【実施例】
【0037】
以下に実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
・表面積測定
走査型トンネル顕微鏡:エスアイアイナノテクノロジー社製 L−traceII/
NanoNaviIIステーションを使用し、3万倍で観測した。
・銅溶解量測定方法;以下の式により質量法にて算出した。
溶解量=(処理前質量−処理後質量)/(処理面積×8.96)
【0038】
実施例1
<粗化処理工程>
化学銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚0.5μm)を、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.1質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整されたエッチング液を用いて、液温30℃、スプレー圧0.1MPaで30秒間スプレー処理を行い、その結果、銅溶解量は0.2μmであった。具体的な銅溶解量は粗化処理前後の基板の質量差より算出した。
次に、エッチング後の化学銅メッキ表面を、走査型トンネル顕微鏡を用い3万倍の倍率で、縦5μm×横5μmの領域内の表面積を測定した。その結果、化学銅メッキの表面積は38[μm
2]であった。比表面積は、38[μm
2]/25[μm
2]=1.52であった。また、銅表面粗さ(Ra値)は0.17μmであった。銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)を
図1に示す。
<ドライフィルム密着性評価>
次に、粗化処理された銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして露光を行った。クロスハッチガイドを用いてドライフィルムレジストに1mm間隔に11本の切り傷を付け、10×10=100個の碁盤目を作成した。碁盤目上に粘着テープを貼り付け、垂直方向に引き剥がし、粘着テープに付着したドライフィルムレジストを目視にて確認を行い、密着性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
密着性の評価基準(目視)
◎:100個の碁盤目全てが基板上に残っている状態
○:90個以上の碁盤目が基板上に残っている状態
△:60個以上89個以下の碁盤目が基板上に残っている状態
×:59個以下の碁盤目が基板上に残っている状態
<レジスト剥離処理工程>
上述の<粗化処理工程>を行った銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして、露光、現像を行った。露光後の開口部に電気銅メッキを施した。次に、モノエタノールアミン5質量%、テトラメチルアンモニウム水酸化物1質量%、エチレングリコールモノフェニルエーテル2質量%、5−アミノテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整されたレジスト剥離液を用いて、液温50℃、スプレー圧0.2MPaで3分間スプレー処理して、レジストを剥離した。金属顕微鏡(オリンパス株式会社製MX61L)にて倍率200倍で観察した結果、レジストは完全に剥離除去出来ていることを確認した。また、同金属顕微鏡にて、導体部の銅配線表面を観察した結果、ピンホール等の銅腐食は見られなかった。
【0039】
実施例2
エッチング液が、過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−アミノテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は40[μm
2]で、比表面積は1.60であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.20μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0040】
実施例3
エッチング液が、過酸化水素0.4質量%、硫酸2質量%、1H−テトラゾール0.05質量%、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール0.03質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は37[μm
2]で、比表面積は1.48であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.19μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0041】
実施例4
エッチング液が、過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−メチルテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、臭素イオン3ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は39[μm
2]で、比表面積は1.56であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.20μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0042】
比較例1
エッチング液が、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm
2]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.22μmであった。銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)を
図2に示す。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0043】
比較例2
エッチング液が、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は26[μm
2]で、比表面積は1.04であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.14μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0044】
比較例3
エッチング液(特許文献1の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素2質量%、硫酸9質量%、5-アミノテトラゾール0.3質量%、銀イオン0.2ppm、塩化物イオン0.2ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm
2]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.40μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0045】
比較例4
エッチング液(特許文献2の実施例7で使用されたもの)が、過酸化水素4質量%、硫酸9質量%、5-アミノテトラゾール0.3質量%、塩化物イオン10ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm
2]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.33μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0046】
比較例5
エッチング液(特許文献3の実施例で使用されたもの)が、過酸化水素1.5質量%、硫酸5質量%、ベンゾトリアゾール0.3質量%、塩化物イオン5ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm
2]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.36μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0047】
比較例6
エッチング液(特許文献4の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素1質量%、硫酸9質量%、テトラゾール0.1質量%、銀イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm
2]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.35μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0048】
比較例7
エッチング液(特許文献5の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素5.25質量%、硫酸12.5質量%、5−アミノテトラゾール0.06質量%、5−メチルテトラゾール0.02質量%、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸0.4質量%および残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm
2]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.28μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例5
化学銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚0.5μm)を、過酸化水素0.4質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整されたエッチング液を用いて、液温30℃、スプレー圧0.1MPaで30秒間スプレー処理した。粗化処理前後の基板の質量差より算出した結果、銅溶解量は0.2μmであった。
次に、粗化処理した銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして、露光、現像を行った。露光後の開口部に電気銅メッキを施した。次に、モノエタノールアミン5質量%、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、エチレングリコールモノフェニルエーテル2質量%、5−アミノテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整されたレジスト剥離液を用いて、液温50℃、スプレー圧0.2MPaで3分間スプレー処理して、レジストを剥離した。金属顕微鏡(オリンパス株式会社製MX61L)にて倍率200倍で観察した結果、レジストは完全に剥離除去出来ていることを確認した。また、同金属顕微鏡にて、導体部の銅配線表面を観察した結果、ピンホール等の銅腐食は見られなかった。
得られた配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)を
図4に示す。
【0051】
実施例6
レジスト剥離液が、モノエタノールアミン8質量%、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル5質量%、1,2,4−トリアゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0052】
比較例8
レジスト剥離液(特許文献6の実施例1で使用されたもの)が、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、モノエタノールアミン8質量%、ヒドロキシルアミン0.5質量%、1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
得られた配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)を
図5に示す。
【0053】
比較例9
レジスト剥離液(特許文献7の実施例4で使用されたもの)が、フッ化アンモニウム1質量%、モノエタノールアミン0.1質量%、N,N−ジメチルアセトアミド67.9質量%、エポキシポリアミド3質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0054】
比較例10
レジスト剥離液(特許文献8の実施例1で使用されたもの)が、モノエタノールアミン10質量%、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル30質量%、D−ソルビトール10質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0055】
【表2】