特許第6464578号(P6464578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464578
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20190128BHJP
   C23F 1/18 20060101ALI20190128BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20190128BHJP
   H05K 3/26 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H05K3/18 D
   C23F1/18
   C25D7/00 J
   H05K3/18 G
   H05K3/26 E
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-123220(P2014-123220)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2015-46575(P2015-46575A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2013-160643(P2013-160643)
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和彦
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−260216(JP,A)
【文献】 特開2006−013340(JP,A)
【文献】 特開2003−228178(JP,A)
【文献】 特開2000−089480(JP,A)
【文献】 特開2002−062668(JP,A)
【文献】 特開2002−151841(JP,A)
【文献】 特開2012−033642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
H05K 3/26
C23F 1/18
C25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セミアディティブ工法において、
絶縁層上に化学銅メッキを施す、または絶縁層上にスパッタリング法で銅薄膜を成膜する工程、
得られた銅表面に、過酸化水素0.1〜3質量%、硫酸0.3〜5質量%、フッ素イオン、塩化物イオンおよびヨウ素イオンからなる群より選択される ハロゲンイオン0.1〜3ppm、およびテトラゾール類0.003〜0.3質量%を含有するエッチング液を用いて粗化処理する工程、
粗化処理された銅表面にドライフィルムレジストを付着させ露光現像し、露光現像後の開口部に電気銅メッキを施す工程、及び
モノエタノールアミン0.5〜20質量%、第四級アンモニウム水酸化物0.2〜10質量%、エチレングリコール類0.01〜10質量%、およびアゾール類0.01〜0.5質量%を含有するレジスト剥離液を用いて残余のドライフィルムレジストを剥離処理する工程、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記粗化処理された銅表面の比表面積(但し、銅表面の比表面積は、銅表面の縦5μm×横5μmの単位領域当たりの表面積であり、面積は倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値である)が1.2〜2.0である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記粗化処理前後の銅表面粗さ(Ra)(但し、銅表面粗さは、倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値である)が0.1〜0.3μmである、請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記エッチング液中のテトラゾール類が、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、および1,5−ジメチルテトラゾールからなる群より選択される1種以上である、請求項1から3のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記レジスト剥離液中の第四級アンモニウム水酸化物が、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物およびトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物からなる群より選択される1種以上である、請求項1から4のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記レジスト剥離液中のエチレングリコール類が、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノフェニルエーテルである、請求項1から5のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記レジスト剥離液中のアゾール類が、5−アミノテトラゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールである、請求項1から6のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、電子機器等に使用されるプリント配線板の製造方法に関し、詳細にはセミアディティブ工法での微細配線形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化に伴い、プリント配線板には銅配線の微細化かつ高密度化が強く要求されてきている。
【0003】
微細な配線を形成する製造法の一つとしてセミアディティブ工法がある。この配線形成法は、絶縁層上にシード層と呼ばれる金属層を形成し、その表面にメッキレジスト層を形成し、その後に露光、現像してレジストパターンを形成する。その後、開口部に電気銅メッキを施して、レジストを剥離し、シード層をエッチング除去して銅配線を形成する。
【0004】
従来、絶縁層表面を化学的または物理的に粗化処理で凹凸を形成して物理的(アンカー)効果で、絶縁層とシード層である化学銅メッキとの密着性を確保している。一般的に化学銅メッキの厚みは0.5〜1μm以下であるため、化学銅メッキ表面は絶縁層の凹凸に追従して形成されるため、表面粗度は算術平均粗さRa値が0.4〜1μmと大きい。近年、銅配線幅は10μmまで微細化されており、更に次世代向けとして数μmまで微細化の検討が行われている。しかしながら、従来の大きく粗化された絶縁層上に形成された化学銅メッキの表面は凹凸が大きいため、ドライフィルムレジストの露光工程において光散乱による解像度低下で配線幅10μmより微細なパターン形成が困難である。
【0005】
最近は微細配線向けとして、従来の絶縁層材料より低粗化表面で化学銅メッキとの密着を確保出来る絶縁層材料が製品化されている。該絶縁層材料は、低粗化の物理的な効果と化学的な効果で化学銅メッキとの密着性を確保している。該絶縁層表面に化学銅メッキを施した表面は凹凸がなくほぼ平滑である。このような化学銅メッキ表面では、ドライフィルムレジスト材との密着が不十分となり、パターン形成が出来ない。
【0006】
また、微細配線製造のため化学銅メッキの代わりにスパッタリング法で成膜された銅(スパッタ銅)がシード層に形成されるケースがあり(スパッタ銅厚み0.5〜0.7μm)、化学銅メッキよりスパッタ銅表面は平滑となり、ドライフィルムレジスト材との十分な密着が得られずパターン形成が困難となる。
【0007】
従来の銅用粗化剤として、過酸化水素、鉱酸、アゾール類、銀イオン、ハロゲンイオンを含有する表面処理剤(特許文献1)や、オキソ酸、過酸化物、アゾール類、ハロゲン化物を含有するエッチング液(特許文献2)、そして過酸化水素、硫酸、ベンゾトリアゾール類、塩化物イオンを含有する表面粗化処理液(特許文献3)、または硫酸、過酸化物、テトラゾール、銅よりも電位が貴である金属イオンを含むマイクロエッチング剤(特許文献4)、更には硫酸、過酸化水素、アミノテトラゾール、アミノテトラゾ−ル以外のテトラゾール化合物、ホスホン酸系キレート剤を含有する表面粗化剤(特許文献5)等が開示されている。
【0008】
また、セミアディティブ工法において、レジストパターン形成して、その開口部に電気銅メッキを施し、レジスト剥離工程の際、レジストパターン幅が10μmより微細になると従来の水酸化ナトリウムを含有するレジスト剥離剤等を用いてドライフィルムレジストを膨潤させて剥離させる剥離液では隣接するレジストパターンのスペースが狭いため、レジストが十分に膨潤しない。そのため剥離が十分できない。また、微細配線形成向けのドライフィルムレジスト材料は高解像度を有する低膨潤タイプに改良されているため、従来の剥離液では剥離できない状況である。
【0009】
有機化合物を含むレジスト剥離液として、第四級アンモニウム水酸化物、水溶性アミンおよびヒドロキシルアミン類を含有する水溶液からなる剥離剤(特許文献6)、そしてフッ化アンモニウム、極性有機溶剤、エポキシポリアミドを含有する水溶液からなる剥離剤(特許文献7)、またはアルカノールアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、糖類、水を含有するレジスト剥離液(特許文献8)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−3283号公報
【特許文献2】特開2000−64067号公報
【特許文献3】特開2005−213526号公報
【特許文献4】特開2005−187945号公報
【特許文献5】特開2009−19270号公報
【特許文献6】特開2002−62668号公報
【特許文献7】特開2002−289569号公報
【特許文献8】特開平成9−152721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らの実験によると、特許文献1〜5のような従来の銅表面粗化液を用いて化学銅メッキ表面またはスパッタ銅表面を粗化すると、銅の溶解量が多くなる、または溶解後の表面粗さRz(最大粗さ)が1μm以上大きくなることがあり、これは化学銅メッキやスパッタ銅の厚み以上になるため断線が生じる等の不具合が生じることがあった。
また、特許文献6〜8に開示された剥離液を用いてドライフィルムレジストを剥離すると、改良された精細な配線形成用のドライフィルムレジストの剥離性は不十分であった。
本発明は、プリント配線板の製造におけるセミアディティブ工法でのシード層である化学銅メッキ表面またはスパッタ銅表面とドライフィルムレジストとの密着性を向上させ、ドライフィルムレジスト剥離性が良好で高信頼性の微細配線形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、プリント配線板の製造におけるセミアディティブ工法でのシード層である化学銅メッキ表面またはスパッタリング法で成膜された銅(スパッタ銅)表面を特定のエッチング液で緻密に粗化処理することにより、化学銅メッキ表面またはスパッタ銅表面とドライフィルムレジストとの密着性が向上することを見出した。更に、銅配線に対して低ダメージの特定のレジスト剥離液を用いてドライフィルムレジストを剥離することにより、残渣無くドライフィルムレジストを剥離することができ、微細配線を有するプリント配線板を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> セミアディティブ工法において、
絶縁層上に化学銅メッキを施す、または絶縁層上にスパッタリング法で銅薄膜を成膜する工程、
得られた銅表面に、過酸化水素0.1〜3質量%、硫酸0.3〜5質量%、ハロゲンイオン0.1〜3ppm、およびテトラゾール類0.003〜0.3質量%を含有するエッチング液を用いて粗化処理する工程、
粗化処理された銅表面にドライフィルムレジストを付着させ露光現像し、露光現像後の開口部に電気銅メッキを施す工程、及び
モノエタノールアミン0.5〜20質量%、第四級アンモニウム水酸化物0.2〜10質量%、エチレングリコール類0.01〜10質量%、およびアゾール類0.01〜0.5質量%を含有するレジスト剥離液を用いて残余のドライフィルムレジストを剥離処理する工程、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
<2> 前記粗化処理された銅表面の比表面積(但し、銅表面の比表面積は、銅表面の縦5μm×横5μmの単位領域当たりの表面積であり、面積は倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値である)が1.2〜2.0である、上記<1>に記載のプリント配線板の製造方法である。
<3> 前記粗化処理前後の銅表面粗さ(Ra)(但し、銅表面粗さは、倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値である)が0.1〜0.3μmである、上記<1>または<2>に記載のプリント配線板の製造方法である。
<4> 前記エッチング液中のテトラゾール類が、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、および1,5−ジメチルテトラゾールからなる群より選択される1種以上である、上記<1>から<3>のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法である。
<5> 前記レジスト剥離液中の第四級アンモニウム水酸化物が、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物およびトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物からなる群より選択される1種以上である、上記<1>から<4>のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法である。
<6> 前記レジスト剥離液中のエチレングリコール類が、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよび/またはジエチレングリコールモノフェニルエーテルである、上記<1>から<5>のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法である。
<7> 前記レジスト剥離液中のアゾール類が、5−アミノテトラゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールである、上記<1>から<6>のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプリント配線板の製造方法によって、従来困難であったセミアディティブ工法によるプリント配線板の製造において、シード層である化学銅メッキまたはスパッタリング法で成膜された銅(スパッタ銅)を低エッチング量でありながら、低粗度で緻密粗化することにより露光工程での光散乱による解像度低下を抑制することができ、さらに現像後のドライフィルムレジストとの密着性を向上させ、かつドライフィルムレジストを残渣無く剥離することにより微細配線を形成できるため、産業上の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)
図2】比較例1の銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)
図3】未処理の銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)
図4】実施例5の配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)
図5】比較例8の配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)
図6】本発明のプリント配線板の製造方法の一例を示す概略図
図7】本発明のプリント配線板の製造方法の他の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のプリント配線板の製造方法を図6及び図7を用いて説明するが、本発明は図6及び図7の態様に限定されるものではない。
通常、図6に示されるように、コア(絶縁層)1上に銅配線2が形成され、銅配線2を覆うように絶縁層3が形成される。そして、絶縁層3の表面は過マンガン酸塩などを用いて粗化処理することが望ましい。続いて、絶縁層3上に化学銅メッキ4を施すか、あるいは、絶縁層3上にスパッタリング法で銅薄膜を成膜する。そして、形成された銅表面4に、本発明の特徴の一つである特定のエッチング液を用いて粗化処理を行う。なお、銅表面4にエッチング液を用いて粗化処理をすること自体新規な発想であり、従来技術にはない。
続いて、粗化処理された銅表面4にドライフィルムレジスト5を付着させ露光現像する。ドライフィルムレジスト5は露光現像により開口部6が形成される。そして、開口部6に電気銅メッキ7を施し、本発明の特徴の一つである特定のレジスト剥離液を用いて残余のドライフィルムレジスト5を剥離処理する。こうして微細配線を形成することができる。
【0017】
図7の態様では、出発材料として絶縁層3が用いられている。絶縁層3の表面は過マンガン酸塩などを用いて粗化処理することが望ましい。続いて、絶縁層3上に化学銅メッキ4を施すか、あるいは、絶縁層3上にスパッタリング法で銅薄膜を成膜する。そして、形成された銅表面4に、本発明の特徴の一つである特定のエッチング液を用いて粗化処理を行う。上述した通り、銅表面4にエッチング液を用いて粗化処理をすること自体新規な発想であり、従来技術にはない。
続いて、粗化処理された銅表面4にドライフィルムレジスト5を付着させ露光現像する。ドライフィルムレジスト5は露光現像により開口部6が形成される。そして、開口部6に電気銅メッキ7を施し、本発明の特徴の一つである特定のレジスト剥離液を用いて残余のドライフィルムレジスト5を剥離処理する。剥離されたドライフィルムレジスト5と接触していた部分の化学銅メッキ4をフラッシュエッチングにより除去して、微細配線を形成することができる。
【0018】
本発明で使用されるエッチング液は、過酸化水素、硫酸、ハロゲンイオン、及びテトラゾール類を含有することが望ましい。過酸化水素の濃度は0.1〜3質量%であり、好ましくは0.1〜2質量%であり、更に好ましくは0.2〜1.5質量%であり、特に好ましくは0.2〜1質量%である。過酸化水素の濃度が0.1〜3質量%であるとき、良好な銅の溶解速度が得られ、経済的にも優れる。
【0019】
硫酸の濃度は、0.3〜5質量%であり、好ましくは0.4〜4質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%であり、特に好ましくは0.8〜2.5質量%である。硫酸の濃度が0.3〜5質量%であるとき、良好な銅の溶解速度が得られ、経済的にも優れる。
【0020】
ハロゲンイオンは銅表面を粗化させる効果があると考えられ、そのため銅表面とドライフィルムレジスト材料との密着性が良好となる。ハロゲンイオンはフッ素イオン、塩化物イオン、臭素イオン、及びヨウ素イオンが挙げられるが、これらのうち好ましいものは、塩化物イオンおよび臭素イオンであり、特に好ましくは塩化物イオンである。ハロゲンイオンの濃度は、0.1〜3ppmであり、好ましくは0.3〜3ppmであり、特に好ましくは0.5〜2ppmである。
【0021】
テトラゾール類は、ハロゲンイオンと併用することにより、銅表面を微小に緻密に粗化できる効果があり、銅表面とドライフィルムレジスト材料との密着性を向上させる。テトラゾール類の中でも、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、1−エチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−エチルテトラゾール、5−n−プロピルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプトテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、1,5−ジエチルテトラゾール、1−メチル−5−エチルテトラゾール、1−エチル−5−メチルテトラゾール、1−イソプロピル−5−メチルテトラゾール、及び1−シクロヘキシル−5−メチルテトラゾールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。更に好ましくは、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−エチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、1,5−ジエチルテトラゾール、及び1−エチル−5−メチルテトラゾールであり、特に好ましくは、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、及び1,5−ジメチルテトラゾールである。テトラゾール類の濃度は0.003〜0.3質量%であり、好ましくは0.005〜0.25質量%で、特に好ましくは0.01〜0.2質量%である。
【0022】
本発明のもう一つの特徴であるレジスト剥離液は、モノエタノールアミン、第四級アンモニウム水酸化物、エチレングリコール類、及びアゾール類を含有することが望ましい。モノエタノールアミンの濃度は0.5〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%であり、更に好ましくは2〜10質量%であり、特に好ましくは3〜8質量%である。モノエタノールアミンの濃度が0.5〜20質量%であるとき、良好なレジスト剥離性が得られ、経済的にも優れる。
【0023】
第四級アンモニウム水酸化物は、レジスト剥離片を微細化することによりレジスト剥離残渣の発生を抑制させる。第四級アンモニウム水酸化物の中でも、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラプロピルアンモニウム水酸化物、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物、及びトリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。更に好ましくは、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物である。第四級アンモニウム水酸化物の濃度は、0.2〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、更に好ましくは0.8〜5質量%、特に好ましくは1〜4質量%である。第四級アンモニウム水酸化物の濃度が0.2〜10質量%であるとき、良好なレジスト剥離性が得られ、経済的にも優れる。
【0024】
エチレングリコール類はレジスト材料への浸透性を向上させると考えられ、レジスト剥離残渣が発生することを抑制する。エチレングリコール類の中でも、エチレングリコールモノフェニルエーテル、及びジエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。エチレングリコール類の濃度は、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。エチレングリコール類の濃度が0.01〜10質量%であるとき、良好なレジスト剥離性が得られ、経済的にも優れる。
【0025】
アゾール類は銅配線の防錆剤として効果がある。アゾール類の中でも5−アミノテトラゾール、及び1,2,4−トリアゾールが好ましい。アゾール類の濃度は、0.01〜0.5質量%であり、好ましくは0.02〜0.4質量%、更に好ましくは0.03〜0.3質量%、特に好ましくは0.05〜0.2質量%である。アゾール類の濃度が0.01〜0.5質量%であるとき、良好な防錆性が得られ、経済的にも優れる。
【0026】
セミアディティブ工法における配線形成での化学銅メッキまたはスパッタ銅の膜厚は0.5〜1μmと薄いため、断線等の不具合が起きやすい。これを防止するために化学銅メッキまたはスパッタ銅表面粗さ(平均粗さ:Ra値)は、0.35μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下で、特に好ましくは0.25μm以下に抑える必要がある。上限値が0.35μmを超えると、断線発生原因となることがある。
下限値は0.1μm以上が好ましく、0.12μm以上がより好ましく、0.15μm以上が特に好ましい。下限値が0.1μm未満では粗化形状が不十分で好ましくない。なお、銅表面粗さ(Ra値)は、倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値である。
【0027】
化学銅メッキまたはスパッタ銅の溶解速度は種々の条件下で変化するが、例えば30℃の処理条件下で0.05〜2μm/分が良く、より好ましくは0.1〜1.5μm/分で、特に0.2〜1μm/分が好ましい。
【0028】
本発明で使用されるエッチング液の使用温度は特に制限はないが、20〜50℃が良く、より好ましくは25〜40℃で、更に好ましくは25〜35℃である。使用温度が高いほど銅の溶解速度は早くなるが、50℃を超えると過酸化水素の分解が激しくなり好ましくない。
【0029】
本発明で使用されるエッチング液の処理時間は特に制限はないが、1〜600秒が好ましく、5〜300秒がより好ましく、10〜180秒が更に好ましく、15〜120秒が特に好ましいが、金属表面の状態、エッチング液の濃度、温度、処理方法等の種々の条件により適宜選択される。
【0030】
本発明で使用されるエッチング液による処理方法は、特に制限はないが浸漬、噴霧等の手段による。また、処理時間は溶解される銅の厚さにより適宜選択される。
【0031】
本発明においてエッチング対象となるスパッタ銅とは、真空中で不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、ターゲット(プレート状の成膜材料)にマイナスの電圧を印加してグロー放電を発生させ、不活性ガス原子をイオン化し、高速でターゲットの表面にガスイオンを激しく衝突させ、ターゲットを構成する成膜材料の粒子(原子・分子)を弾き出し、勢いよく基材・基板の表面に付着・堆積させ薄膜形成された銅である。
【0032】
銅の表面積[μm]は、銅の表面を走査型トンネル顕微鏡で観測することで算出できる。すなわち、銅の表面積[μm]は、銅の表面を走査型トンネル顕微鏡で観測して3次元形状データを得た後、この3次元形状データに基づいて算出する。
【0033】
銅の表面の走査型トンネル顕微鏡での観察倍率は、例えば30,000倍である。
【0034】
銅の比表面積は、走査型トンネル顕微鏡で観察し、銅表面の所定の領域内の凹凸を考慮した場合の表面積を、その領域が平坦であると仮定した場合の表面積で除した値に等しい。例えば、銅表面の縦5μm×横5μmの領域内の凹凸を考慮した場合の表面積を、その領域が平坦であると仮定した場合の表面積(つまり、5μm×5μm=25μm)で除した値である。粗化処理された銅表面の比表面積(銅表面の縦5μm×横5μmの単位領域当たりの表面積であり、面積は倍率3万倍の走査型トンネル顕微鏡を用いて測定した値)が1.2〜2.0であることが好ましく、1.3〜1.8であることがより好ましい。粗化処理された銅表面の比表面積が1.2〜2.0であると、銅表面の微小な凸部の数が増加することによりドライフィルムとのアンカー効果が良好となり密着性が向上し好ましい。
【0035】
銅の比表面積は、銅の表面の凹凸を考慮した値である。したがって、銅の表面が緻密であればあるほど、銅の比表面積は大きくなる傾向がある。ここでいう「緻密」とは、銅表面の凸部の一つ一つが微小であり、かつ、凸部が密集している状態のことをいう。
【0036】
走査型トンネル顕微鏡は、金属探針と試料の間に流れるトンネル電流を検出するタイプの顕微鏡である。先端の尖った白金やタングステンなどの金属探針を試料に近づけた後、それらの間に微小なバイアス電圧を印加すると、トンネル効果によってトンネル電流が流れる。このトンネル電流を一定に保つように探針を走査することにより、試料の表面形状を原子レベルで観測することができる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
・表面積測定
走査型トンネル顕微鏡:エスアイアイナノテクノロジー社製 L−traceII/
NanoNaviIIステーションを使用し、3万倍で観測した。
・銅溶解量測定方法;以下の式により質量法にて算出した。
溶解量=(処理前質量−処理後質量)/(処理面積×8.96)
【0038】
実施例1
<粗化処理工程>
化学銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚0.5μm)を、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.1質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整されたエッチング液を用いて、液温30℃、スプレー圧0.1MPaで30秒間スプレー処理を行い、その結果、銅溶解量は0.2μmであった。具体的な銅溶解量は粗化処理前後の基板の質量差より算出した。
次に、エッチング後の化学銅メッキ表面を、走査型トンネル顕微鏡を用い3万倍の倍率で、縦5μm×横5μmの領域内の表面積を測定した。その結果、化学銅メッキの表面積は38[μm]であった。比表面積は、38[μm]/25[μm]=1.52であった。また、銅表面粗さ(Ra値)は0.17μmであった。銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)を図1に示す。

<ドライフィルム密着性評価>
次に、粗化処理された銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして露光を行った。クロスハッチガイドを用いてドライフィルムレジストに1mm間隔に11本の切り傷を付け、10×10=100個の碁盤目を作成した。碁盤目上に粘着テープを貼り付け、垂直方向に引き剥がし、粘着テープに付着したドライフィルムレジストを目視にて確認を行い、密着性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
密着性の評価基準(目視)
◎:100個の碁盤目全てが基板上に残っている状態
○:90個以上の碁盤目が基板上に残っている状態
△:60個以上89個以下の碁盤目が基板上に残っている状態
×:59個以下の碁盤目が基板上に残っている状態

<レジスト剥離処理工程>
上述の<粗化処理工程>を行った銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして、露光、現像を行った。露光後の開口部に電気銅メッキを施した。次に、モノエタノールアミン5質量%、テトラメチルアンモニウム水酸化物1質量%、エチレングリコールモノフェニルエーテル2質量%、5−アミノテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整されたレジスト剥離液を用いて、液温50℃、スプレー圧0.2MPaで3分間スプレー処理して、レジストを剥離した。金属顕微鏡(オリンパス株式会社製MX61L)にて倍率200倍で観察した結果、レジストは完全に剥離除去出来ていることを確認した。また、同金属顕微鏡にて、導体部の銅配線表面を観察した結果、ピンホール等の銅腐食は見られなかった。
【0039】
実施例2
エッチング液が、過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−アミノテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は40[μm]で、比表面積は1.60であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.20μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0040】
実施例3
エッチング液が、過酸化水素0.4質量%、硫酸2質量%、1H−テトラゾール0.05質量%、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール0.03質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は37[μm]で、比表面積は1.48であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.19μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0041】
実施例4
エッチング液が、過酸化水素0.5質量%、硫酸2.5質量%、5−メチルテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、臭素イオン3ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>及び<レジスト剥離処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は39[μm]で、比表面積は1.56であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.20μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示し、ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0042】
比較例1
エッチング液が、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.22μmであった。銅表面の電子顕微鏡写真(×30,000)を図2に示す。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0043】
比較例2
エッチング液が、過酸化水素0.3質量%、硫酸1.5質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は26[μm]で、比表面積は1.04であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.14μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0044】
比較例3
エッチング液(特許文献1の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素2質量%、硫酸9質量%、5-アミノテトラゾール0.3質量%、銀イオン0.2ppm、塩化物イオン0.2ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.40μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0045】
比較例4
エッチング液(特許文献2の実施例7で使用されたもの)が、過酸化水素4質量%、硫酸9質量%、5-アミノテトラゾール0.3質量%、塩化物イオン10ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.33μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0046】
比較例5
エッチング液(特許文献3の実施例で使用されたもの)が、過酸化水素1.5質量%、硫酸5質量%、ベンゾトリアゾール0.3質量%、塩化物イオン5ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.36μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0047】
比較例6
エッチング液(特許文献4の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素1質量%、硫酸9質量%、テトラゾール0.1質量%、銀イオン1ppmおよび残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は28[μm]で、比表面積は1.12であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.35μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0048】
比較例7
エッチング液(特許文献5の実施例1で使用されたもの)が、過酸化水素5.25質量%、硫酸12.5質量%、5−アミノテトラゾール0.06質量%、5−メチルテトラゾール0.02質量%、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸0.4質量%および残部は水で調整された以外は、実施例1と同様に<粗化処理工程>を行った。化学銅メッキの表面積は27[μm]で、比表面積は1.08であった。銅表面粗さ(Ra値)は0.28μmであった。ドライフィルム密着性評価の評価結果を表1に示す。なお、ドライフィルムレジストの密着性が良くなかったため、その後の<レジスト剥離処理工程>は行わなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例5
化学銅メッキ基板(寸法15cm×15cm、メッキ厚0.5μm)を、過酸化水素0.4質量%、硫酸1.5質量%、5-メチルテトラゾール0.05質量%、1,5−ジメチルテトラゾール0.05質量%、塩化物イオン1ppmおよび残部は水で調整されたエッチング液を用いて、液温30℃、スプレー圧0.1MPaで30秒間スプレー処理した。粗化処理前後の基板の質量差より算出した結果、銅溶解量は0.2μmであった。
次に、粗化処理した銅表面にドライフィルムレジスト(日立化成工業製製品)をラミネートして、露光、現像を行った。露光後の開口部に電気銅メッキを施した。次に、モノエタノールアミン5質量%、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、エチレングリコールモノフェニルエーテル2質量%、5−アミノテトラゾール0.1質量%および残部は水で調整されたレジスト剥離液を用いて、液温50℃、スプレー圧0.2MPaで3分間スプレー処理して、レジストを剥離した。金属顕微鏡(オリンパス株式会社製MX61L)にて倍率200倍で観察した結果、レジストは完全に剥離除去出来ていることを確認した。また、同金属顕微鏡にて、導体部の銅配線表面を観察した結果、ピンホール等の銅腐食は見られなかった。
得られた配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)を図4に示す。
【0051】
実施例6
レジスト剥離液が、モノエタノールアミン8質量%、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル5質量%、1,2,4−トリアゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0052】
比較例8
レジスト剥離液(特許文献6の実施例1で使用されたもの)が、テトラエチルアンモニウム水酸化物1質量%、モノエタノールアミン8質量%、ヒドロキシルアミン0.5質量%、1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール0.1質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
得られた配線パターンの電子顕微鏡写真(×3,000)を図5に示す。
【0053】
比較例9
レジスト剥離液(特許文献7の実施例4で使用されたもの)が、フッ化アンモニウム1質量%、モノエタノールアミン0.1質量%、N,N−ジメチルアセトアミド67.9質量%、エポキシポリアミド3質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0054】
比較例10
レジスト剥離液(特許文献8の実施例1で使用されたもの)が、モノエタノールアミン10質量%、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル30質量%、D−ソルビトール10質量%および残部は水で調整された以外は、実施例5と同様に行った。ドライフィルム剥離性評価の評価結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0056】
表1及び表2の結果から、本発明で使用される特定のエッチング液で処理すると化学銅表面とドライフィルムレジストとの密着性が向上し、さらに本発明で使用される特定のレジスト剥離液でドライフィルムレジストを剥離すると残渣無く剥離出来ることがわかる。
【符号の説明】
【0057】
1:コア(絶縁層)
2:銅配線
3:絶縁層
4:化学銅メッキ
5:ドライフィルムレジスト
6:開口部
7:電気銅メッキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7