【文献】
除染に伴って発生する除去土壌の再生利用に関する提案書,[online],日本,除染・廃棄物技術協議会 浄化土壌ワーキンググループ,2013年10月,p.132,[検索日 平成30年3月27日],URL,tacrwm.jp/03_techinfo/pdf/03_06_/03_06_00_material_pub/pdf
【文献】
サイト修復のための汚染土壌分別装置の開発,デコミニュース,日本,(財)原子力研究バックエンド推進センター,2002年 6月,No.20,p.13-14,URL,http://www.randec.or.jp/publish/documents/Dekomi News/Decommissioning News_20.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記定量供給手段による前記処理物質の切り出し量を少なくさせることで、前記洗浄処理装置における洗浄能力を高めることを特徴とする請求項1又は2記載の汚染物浄化システム。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る汚染物浄化システムの実施の形態の構成を示す概略構成図である。
【
図2】
図1に示す汚染物浄化システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す分別部の構成例を示す斜視図である。
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
本実施の形態の汚染物浄化システムは、放射性物質によって汚染された土壌や瓦礫等の汚染物を洗浄して放射能濃度を浄化基準値以下に低下させるためのシステムであり、
図1を参照すると、第1分別装置10と、洗浄処理装置20と、第2分別装置30と備えている。そして、第1分別装置10と、洗浄処理装置20と、第2分別装置30とは、
図2に示すように、システム制御装置40によって動作制御されるように構成されている。以下、放射性物質によって汚染された土壌(以下、汚染土壌と称す)を汚染物として洗浄する例について説明する。
【0011】
第1分別装置10は、汚染土壌から放射性物質により高い濃度で汚染された土壌(以下、高濃度汚染土壌と称す)を分別するための装置であり、ホッパー11と、定量供給部12と、ベルトコンベア13と、計量部14と、放射線量測定部15と、分別部16とを備えている。
【0012】
定量供給部12は、ホッパー11の底部に配置され、ホッパー11に投入された汚染土壌をベルトコンベア13上に所定量ずつ切り出す装置である。定量供給部12による汚染土壌の切り出し量は、システム制御装置40によって制御可能に構成されている。
【0013】
計量部14は、ベルトコンベア13上を搬送される汚染土壌の重さをリアルタイムで連続して計量する装置である。計量部14は、例えば、ベルトコンベア13の搬送ベルトに下面側から当接し、搬送ベルト上の単位長さに位置する汚染土壌の荷重を検出する荷重ローラと、荷重ローラによって検出された荷重を電気信号に変換するロードセルとを備えている。
【0014】
放射線量測定部15は、ベルトコンベア13の搬送ベルト上に、計量部14と対向配置され、計量部14によって計量された汚染土壌の放射線量を測定する装置である。
【0015】
分別部16は、計量部14による計量結果と、放射線量測定部15による測定結果とに基づいて、汚染土壌の放射能濃度(Bq/kg)を算出する。そして、分別部16は、算出した放射能濃度と処理限界値とを比較することで、高濃度汚染土壌を分別する。処理限界値は、洗浄処理装置20によって洗浄処理を行うことが可能な放射能濃度であり、洗浄処理装置20では、放射能濃度が処理限界値の汚染土壌を、1回の洗浄処理で浄化基準値以下に低下させることが想定されている。分別部16は、例えば、
図3に示すように、ベルトコンベア13の排出端に設けられた分別用ベルトコンベア50で構成され、算出した放射能濃度が処理限界値以下である場合には、分別用ベルトコンベア50を矢印Xで示す方向に正転させて搬送することで、放射能濃度が処理限界値以下の汚染土壌を洗浄処理装置20によって洗浄処理を行うことが可能な処理可能土壌として分別する。そして、分別部16は、算出した放射能濃度が処理限界値を超過した場合には、分別用ベルトコンベア50を矢印Yで示す方向に逆転させて搬送することで、洗浄処理装置20による洗浄処理に適さない高濃度汚染土壌を分別する。また、分別部16は、算出した放射能濃度と、処理限界値よりも低い処理限界近接閾値とを比較し、算出した放射能濃度が処理限界近接閾値を超過した場合に、処理可能土壌の放射能濃度が処理限界値に近いことを通知する濃度警戒信号をシステム制御装置40に出力する。
【0016】
洗浄処理装置20は、
図1を参照すると、ホッパー21と、計量部22と、定量供給部23と、洗浄処理部24とを備えている。
【0017】
ホッパー21には、洗浄処理部24によって洗浄処理を行う土壌(以下、処理土壌と称す)が投入され、ホッパー21の底部に配置された定量供給部23は、ホッパー21に投入された処理土壌を洗浄処理部24に所定量ずつ切り出す。定量供給部23による処理土壌の切り出し量は、システム制御装置40によって制御可能に構成されている。
【0018】
計量部22は、ホッパー21に投入された処理土壌の重さを計量する装置であり、ロードセル等で構成されている。そして、計量部22による計量結果は、ホッパー21内の土壌量を通知する土壌量信号としてシステム制御装置40に出力される。
【0019】
洗浄処理部24は、処理土壌を洗浄処理することで、放射性物質を除去した処理済み土壌を排出する装置である。洗浄処理部24では、例えば、洗浄水でほぐして泥水状態にする泥水化処理と、表面に付着した放射性物質を剥ぎとる摩砕処理と、粗粒土、細粒土、洗浄水を分離する分級・すすぎ・脱水処理とが行われる。また、洗浄処理部24で、反応促進剤と共に焼成して放射性物質を分離させる焼成処理や、シュウ酸溶液等の薬剤で処理後、固液分離した処理液から吸着剤にて放射性物質を吸着させる薬剤吸着処理を行うようにしても良い。
【0020】
第2分別装置30は、洗浄処理部24から排出された処理済み土壌から洗浄処理部24によって再度洗浄処理を行う必要のある再処理土壌を分別するための装置であり、ホッパー31と、定量供給部32と、ベルトコンベア33と、計量部34と、放射線量測定部35と、分別部36とを備えている。第2分別装置30は、第1分別装置10と同一構成のものを採用することができる。
【0021】
ホッパー31には、洗浄処理部24によって洗浄処理された処理済み土壌が投入され、ホッパー31の底部に配置された定量供給部32は、ホッパー31に投入された処理済み土壌をベルトコンベア33上に所定量ずつ切り出す。定量供給部32による汚染土壌の切り出し量は、システム制御装置40によって制御可能に構成されている。
【0022】
計量部34は、ベルトコンベア33上を搬送される処理済み土壌の重さをリアルタイムで連続して検量する装置である。計量部34は、例えば、ベルトコンベア33の搬送ベルトに下面側から当接し、搬送ベルト上の単位長さに位置する汚染土壌の荷重を検出する荷重ローラと、荷重ローラによって検出された荷重を電気信号に変換するロードセルとを備えている。
【0023】
放射線量測定部35は、ベルトコンベア33の搬送ベルト上に、計量部34と対向配置され、計量部34によって計量された汚染土壌の放射線量を測定する装置である。
【0024】
分別部36は、計量部34による計量結果と、放射線量測定部35による測定結果とに基づいて、処理済み土壌の放射能濃度(Bq/kg)を算出する。そして、分別部36は、算出した放射能濃度と浄化基準値とを比較することで、再処理土壌を分別する。分別部36は、算出した放射能濃度が浄化基準値以下である場合には、洗浄済み土壌として分別し、算出した放射能濃度が浄化基準値を超過した場合には、洗浄処理装置20によって再度洗浄処理を行う必要がある再処理土壌を分別する。また、分別部36は、算出した放射能濃度と、浄化基準値よりも低い浄化基準近接閾値とを比較し、算出した放射能濃度が浄化基準近接閾値を超過した場合に、浄化済み土壌の放射能濃度が浄化基準値に近いこと通知する濃度警戒信号をシステム制御装置40に出力する。
【0025】
システム制御装置40は、プログラム制御によって動作するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。システム制御装置40は、第1分別装置10の定量供給部12と、洗浄処理装置20の定量供給部23と、第2分別装置30の定量供給部32とにおける切り出し量を制御可能に構成されている。そして、システム制御装置40は、通常時には、各定量供給部12、23、32の切り出し量をほぼ同量に制御し、濃度警戒信号が入力されると、洗浄処理装置20の定量供給部23の切り出し量を通常時に比べて少なく制御する。また、システム制御装置40は、洗浄処理装置20の計量部22から入力される土壌量信号によってホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を超えたことを検出すると、第1分別装置10の定量供給部12による切り出しを停止させる。そして、第1分別装置10の定量供給部12により切り出しを停止させた後、予め設定された所定時間が経過する前にホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を下回ると、第1分別装置10の定量供給部12により切り出しを再開させる。一方、第1分別装置10の定量供給部12により切り出しを停止させた後、予め設定された所定時間が経過してもホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を超えた状態が維持されていた場合には、システム制御装置40は、洗浄処理装置20の定量供給部23と、第2分別装置30の定量供給部32との切り出しも停止させ、警告灯等の表示手段やブザー等の音声出力手段等からなる報知部41によってエラーを報知する。
【0026】
次に、本実施の形態の浄化処理システムの動作について
図1に基づいて詳細に説明する。
まず、矢印Aで示すように、汚染土壌を第1分別装置10のホッパー11に投入する。ホッパー11に投入された汚染土壌は、ホッパー11の底部に配置された定量供給部12によって、矢印Bに示すように、ベルトコンベア13上に所定量ずつ切り出される。
【0027】
ベルトコンベア13上に切り出された汚染土壌は、矢印Cに示すように、ベルトコンベア13によって分別部16に向けて搬送される。汚染土壌は、分別部16に到達するまでの間に、計量部14によって重さが計量されると共に、放射線量測定部15によって放射線量が測定される。そして、分別部16は、計量部14による計量結果と、放射線量測定部15による測定結果とに基づいて、汚染土壌の放射能濃度(Bq/kg)を算出することで、搬送されてきた汚染土壌から高濃度汚染土壌を分別する。
【0028】
算出した放射能濃度が処理限界値(例えば、8000 Bq/kg)を超過した汚染土壌は、分別部16によって、矢印Dに示すように、洗浄処理装置20による洗浄処理に適さない高濃度汚染土壌として分別される。この高濃度汚染土壌は、放射性物質汚染対処特措法に基づいて、管理型処分場に放射能が漏えいしない特別な方法による処分状態で保管されることになる。これにより、後段の洗浄処理装置20に洗浄能力を逸脱した汚染土壌が投入されることを防止することができ、繰り返し洗浄処理を行う頻度を低下させることができるため、浄化効率を向上させることができる。
【0029】
一方、算出した放射能濃度が処理限界値以下である汚染土壌は、分別部16によって、矢印Eに示すように、洗浄処理装置20による洗浄処理に適する処理可能土壌として分別され、洗浄処理装置20のホッパー21に処理土壌として投入される。なお、処理可能土壌は、分別部16から洗浄処理装置20のホッパー21に直接投入されるように構成しても良く、分別部16から排出された処理可能土壌をベルトコンベア等の搬送手段によって洗浄処理装置20まで搬送してホッパー21に投入するように構成しても良い。
【0030】
ホッパー21に投入された処理土壌は、ホッパー21の底部に配置された定量供給部23によって、矢印Fに示すように、洗浄処理部24に所定量ずつ切り出される。そして、洗浄処理部24は、処理土壌を洗浄処理することで、放射性物質を除去した処理済み土壌を排出する。
【0031】
洗浄処理部24から排出された処理済み土壌は、矢印Gに示すように、第2分別装置30のホッパー31に投入される。処理済み土壌は、洗浄処理装置20からの第2分別装置30のホッパー31に直接投入されるように構成しても良く、洗浄処理装置20から排出された処理済み土壌をベルトコンベア等の搬送手段によって第2分別装置30まで搬送してホッパー31に投入するように構成しても良い。
【0032】
ホッパー31に投入された処理済み土壌は、ホッパー31の底部に配置された定量供給部32によって、矢印Hに示すように、ベルトコンベア33上に所定量ずつ切り出される。
【0033】
ベルトコンベア33上に切り出された処理済み土壌は、矢印Iに示すように、ベルトコンベア33によって分別部36に向けて搬送される。処理済み土壌は、分別部36に到達するまでの間に、計量部34によって重さが計量されると共に、放射線量測定部35によって放射線量が測定される。そして、分別部36は、計量部34による計量結果と、放射線量測定部35による測定結果とに基づいて、処理済み土壌の放射能濃度(Bq/kg)を算出することで、搬送されてきた処理済み土壌から洗浄処理装置20によって再度洗浄処理を行う必要がある再処理土壌を分別する。
【0034】
算出した放射能濃度が浄化基準である浄化基準値(例えば、3000 Bq/kg)以下である処理済み土壌は、分別部16によって、矢印Kに示すように、洗浄処理装置20による洗浄処理が完了した浄化済み土壌として分別されて排出される。
【0035】
一方、算出した放射能濃度が浄化基準値を超過した処理済み土壌は、分別部36によって、矢印Jに示すように、再処理土壌として分別され、洗浄処理装置20のホッパー21に処理土壌として投入される。なお、再処理土壌は、分別部36から洗浄処理装置20のホッパー21に直接投入されるように構成しても良く、分別部36から排出された再処理土壌をベルトコンベア等の搬送手段によって洗浄処理装置20まで搬送してホッパー21に投入するように構成しても良い。
【0036】
なお、洗浄処理部24において、洗浄処理で除去された放射性物質は、残渣(細粒分)として排出される。この残渣は、放射性物質が濃縮される傾向があり、放射能濃度が処理限界値を超過する虞がある。そこで、洗浄処理部24から排出される残渣も放射能濃度が処理限界値(例えば、8000 Bq/kg)を超過するか否かで分別すると好適である。これにより、放射性物質汚染対処特措法に基づいて、処理限界値を超過する残渣は、管理型処分場等に特別な方法による処分状態で、処理限界値以下の残渣は、管理型処分場等に通常通りの処分状態でそれぞれ区別して保管することができる。洗浄処理部24から排出される残渣の分別には、第1分別装置10や第2分別装置30と同様の構成を有する新たな第3分別装置を用いても良く、洗浄処理部24から排出される処理済み土壌を分別する第2分別装置30を用いても良い。第2分別装置30を用いる場合には、洗浄処理部24から排出される残渣がある程度たまった段階で、定量供給部32による処理済み土壌の切り出しを停止させ、残渣の分別が行われるように構成すると良い。
【0037】
本実施の形態では、放射能濃度が処理限界値である汚染土壌を、洗浄処理装置20による1回の洗浄処理で浄化基準値以下に低下させることが想定されているが、何らかの要因で浄化基準値以下に低下させることができなかった場合には、第2分別装置30によって再処理土壌として分別され、洗浄処理装置20のホッパー21に処理土壌として投入される。洗浄処理装置20のホッパー21には、第1分別装置10によって分別された処理可能土壌も処理土壌として投入されるため、第2分別装置30によって分別される再処理土壌の量が増加すると、洗浄処理装置20のホッパー21内の処理土壌の量が増加する。そこで、システム制御装置40は、洗浄処理装置20の計量部22から入力される土壌量信号によってホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を超えたことを検出すると、第1分別装置10の定量供給部12による切り出しを停止させる。これにより、第1分別装置10によって分別された処理可能土壌の洗浄処理装置20のホッパー21への投入が停止されるため、洗浄処理装置20のホッパー21から処理土壌があふれてしまうことを防止することができる。なお、第1分別装置10の定量供給部12による切り出しを停止させただけでは、ベルトコンベア13上の汚染土壌や分別部16にある処理可能土壌が洗浄処理装置20のホッパー21に投入される。従って、この量を考慮して限界量を設定すると良い。また、定量供給部12による切り出しの停止と同時にベルトコンベア13及び分別部16も停止させるようにしても良い。
【0038】
また、洗浄処理装置20に何らかの障害が生じ、洗浄能力が失われてしまった場合には、第1分別装置10の定量供給部12による切り出しを停止させても、洗浄処理装置20から排出される処理済み土壌の全量が再処理土壌として洗浄処理装置20のホッパー21に投入され、ホッパー21内の土壌量が減ることがない。そこで、システム制御装置40は、第1分別装置10の定量供給部12により切り出しを停止させた後、予め設定された所定時間が経過してもホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を超えた状態が維持されていた場合には、洗浄処理装置20の定量供給部23と、第2分別装置30の定量供給部32との切り出しも停止させ、報知部41によってエラーを報知する。これにより、洗浄処理装置20の洗浄能力に障害が発生したことを通知することができる。
【0039】
洗浄処理装置20の洗浄能力は、洗浄処理部24に投入される処理土壌の量が少ないほど高くなる。そこで、第1分別装置10の分別部16は、算出した放射能濃度と、処理限界値よりも低い処理限界近接閾値(例えば、6000 Bq/kg)とを比較し、算出した放射能濃度が処理限界近接閾値を超過した場合に、放射能濃度が処理限界値に近いこと通知する濃度警戒信号をシステム制御装置40に出力する。そして、システム制御装置40は、濃度警戒信号が入力されると、洗浄処理装置20の定量供給部23の切り出し量を通常時に比べて少なく制御する。これにより、処理可能土壌の放射能濃度が処理限界値に近い場合には、洗浄処理装置20の洗浄能力を高めることで、処理土壌の放射能濃度を確実に低下させ、再処理土壌として分別されることを防止することができるため、浄化効率を向上させることができる。また、第2分別装置30の分別部36は、算出した放射能濃度と、処理限界値よりも低い浄化基準近接閾値(例えば、2000 Bq/kg)とを比較し、算出した放射能濃度が浄化基準近接閾値を超過した場合に、浄化済み土壌の放射能濃度が処理限界値に近いこと通知する濃度警戒信号をシステム制御装置40に出力する。そして、システム制御装置40は、濃度警戒信号が入力されると、洗浄処理装置20の定量供給部23の切り出し量を通常時に比べて少なく制御する。これにより、浄化済み土壌の放射能濃度が浄化基準値に近い場合には、洗浄処理装置20の洗浄能力を高めることで、処理土壌の放射能濃度を確実に低下させ、再処理土壌として分別されることを防止することができるため、浄化効率を向上させることができる。なお、洗浄処理部24に投入される処理土壌の量を少なくすることによって、洗浄処理部24における洗浄処理動作を制御することなく、洗浄処理装置20の洗浄能力を高めることできる。これに対し、システム制御装置40に濃度警戒信号が入力されると、その旨をシステム制御装置40から洗浄処理部24に通知し、洗浄処理部24が洗浄能力を高めて運転するようにしても良い。例えば、シュウ酸溶液等の薬剤を用いて洗浄処理を行う場合には、使用する薬剤量を増加させることで、洗浄能力を高めることができる。また、摩砕処理によって洗浄処理を行う場合には、摩砕処理時間を延長して剥ぎとる量を増加させることで、洗浄能力を高めることができる。
【0040】
本実施の形態では、汚染土壌及び処理済み土壌の重さを計量することで、汚染土壌及び処理済み土壌の放射能濃度を正確にそれぞれ算出するように構成したが、汚染土壌の比重が予め予測される場合には、汚染土壌及び処理済み土壌の体積を計量し、計量した汚染土壌及び処理済み土壌の体積と放射線量とに基づいて、汚染土壌及び処理済み土壌の放射能濃度を正確にそれぞれ算出しても良い。汚染土壌及び処理済み土壌の体積は、例えば、定量供給部12、32から切り出された汚染土壌及び処理済み土壌をベルトコンベア13、33積載前に予め容量が設定されている容器等を用いて計量することができる。また、ベルトコンベア13、33積載後の汚染土壌及び処理済み土壌をカメラ等で撮像し、この画像データに基づいて体積を計量することもできる。さらに、ベルトコンベア13、33積載後の汚染土壌及び処理済み土壌にレーザー光等を照射することで断面積を求め、断面積に基づいて体積を計量することもできる。また、汚染土壌及び処理済み土壌の重さと体積との両方を計量し、計量した汚染土壌及び処理済み土壌の重さ及び体積と放射線量とに基づいて、汚染土壌及び処理済み土壌の放射能濃度をそれぞれ算出しても良い。この場合には、放射能濃度をさらに正確に算出することもできる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、放射性物質によって汚染された汚染土壌の放射能濃度を浄化基準値以下に低下させる汚染物浄化システムであって、汚染土壌の放射能濃度と処理限界値とを比較することで、放射能濃度が処理限界値以下の処理可能土壌と放射能濃度が処理限界値を超過する高濃度汚染土壌とに分別する第1分別装置10と、投入された処理土壌を洗浄して放射能濃度を低下させた処理済み土壌を排出する洗浄処理装置20と、洗浄処理装置20から排出された処理済み土壌の放射能濃度と浄化基準値とを比較することで、放射能濃度が浄化基準値以下の浄化済み土壌と放射能濃度が浄化基準値を超過する再処理土壌とに分別する第2分別装置30とを具備し、第1分別装置10によって分別された処理可能土壌と、第2分別装置30によって分別された再処理土壌とが処理土壌として洗浄処理装置20に投入されるように構成されている。
この構成により、洗浄処理前の汚染土壌から高濃度汚染土壌を分別した処理可能土壌が洗浄処理装置20に投入されるため、高濃度汚染土壌の洗浄処理が繰り返されることがなく、浄化効率を向上させることができると共に、洗浄処理後の処理済み土壌から浄化済み土壌を分別した再処理土壌が洗浄処理装置20に投入されるため、浄化確認のための仮置き検査ヤードを必要とすることない。
【0042】
さらに、本実施の形態において、第1分別装置10は、ベルトコンベア13上を搬送される汚染土壌の重さを計量する計量部14と、計量部14によって計量された汚染土壌の放射線量を測定する放射線量測定部15とを備え、計量部14による計量結果と、放射線量測定部15による測定結果とに基づいて、汚染土壌の放射能濃度を算出し、第2分別装置30は、ベルトコンベア33上を搬送される処理済み土壌の重さを計量する計量部34と、計量部34によって計量された処理済み土壌の放射線量を測定する放射線量測定部35とを備え、計量部34による計量結果と、放射線量測定部35による測定結果とに基づいて、処理済み土壌の放射能濃度を算出するように構成されている。
この構成により、洗浄処理前の汚染土壌の放射線量を正確に測定できると共に、洗浄処理後の処理済み土壌の放射線量を正確に測定できる。
【0043】
さらに、本実施の形態において、洗浄処理装置20は、処理土壌を洗浄する洗浄処理部24と、投入された処理可能土壌及び再処理土壌を処理土壌として受け入れるホッパー21と、ホッパー21内の処理土壌を所定量ずつ切り出して洗浄処理部24に投入する定量供給部23とを備えている。
この構成により、洗浄処理部24に投入する処理土壌の量を調整することによって、洗浄処理装置20の洗浄能力をコントロールすることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態において、第1分別装置10は、汚染土壌の放射能濃度を処理限界値よりも低い処理限界近接閾値とも比較させ、前記汚染土壌の放射能濃度が前記処理限界値以下で、且つ前記処理限界近接閾値を超過する場合には、前記定量供給手段による前記処理土壌の切り出し量を少なくさせるように構成されている。
この構成により、洗浄処理前の汚染土壌の放射能濃度が洗浄処理装置20の処理限界値に近い場合に、洗浄処理装置20の洗浄能力を高めて洗浄処理が行われるため、第2分別装置30で再処理土壌として分別される量を減らすことができ、浄化効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態において、第2分別装置30は、処理済み土壌の放射能濃度を浄化基準値よりも低い浄化基準近接閾値とも比較させ、処理済み土壌の放射能濃度が浄化基準値以下で、浄化基準近接閾値を超過する場合には、定量供給手部24による前記処理土壌の切り出し量を少なくさせるように構成されている。
この構成により、洗浄処理後の処理済み土壌の放射能濃度が浄化基準値に近づくと、洗浄処理装置20の洗浄能力を高めて洗浄処理が行われるため、第2分別装置30で再処理土壌として分別される量を減らすことができ、浄化効率を向上させることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態において、洗浄処理装置20は、ホッパー21内の土壌量を検出する物質量検出手段として機能する計量部22を備え、ホッパー21内の土壌量が予め設定された限界量を超過した場合には、第1分別装置10から洗浄処理装置20のホッパー21への処理可能土壌の投入を停止させるように構成されている。
この構成により、洗浄処理装置20のホッパー21から処理土壌があふれてしまうことを防止することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態において、エラーを報知する報知部41を備え、第1分別装置10から洗浄処理装置20のホッパー21への処理可能土壌の投入を停止させた後、ホッパー内21の土壌量が限界量を超過した状態が予め設定された所定時間継続した場合には、報知部41からエラーを報知させるように構成されている。
この構成により、洗浄処理装置20の洗浄能力に障害が発生したことを通知することができる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、本実施の形態では、第1分別装置10によって処理可能土壌として分別された全量を洗浄処理装置20によって洗浄処理するように構成したが、第1分別装置10によって分別された処理可能土壌を放射能濃度が浄化基準値以下か否かで分別する第3分別装置を設け、浄化基準値を超過する放射能濃度の処理可能土壌のみを洗浄処理装置20によって洗浄処理するようにしても良い。