特許第6464843号(P6464843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464843
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20190128BHJP
   B66B 1/36 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B66B3/02 P
   B66B1/36 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-52233(P2015-52233)
(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-172601(P2016-172601A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】金子 元樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
(72)【発明者】
【氏名】片山 知
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−188319(JP,A)
【文献】 特開昭58−216873(JP,A)
【文献】 特開2012−224422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごに設置された複数の光電センサと、前記光電センサと対向するように昇降路に設置された複数のプレートとを有し、
前記プレートは、
前記光電センサからの光軸が通過する空隙部と、前記光電センサからの光軸を遮蔽する遮蔽部とが、昇降路の上下方向に交互に配置された構成であって、空隙部の数が異なる複数種類からなる第1種プレート及び第2種プレートと、空隙部のない第3種プレートを含んでおり、
前記光電センサのうちのひとつの光電センサが前記第3種プレートを検出している間、前記光電センサのうちの他の光電センサは前記第1種プレート及び第2種プレートの検出が可能な構成となっているETSと、
かごの着床停止位置やドア開閉可能ゾーンを検出するために昇降路に設置された検出プレートと前記検出プレートを検出するためにかごに設置された光電センサを備えたものにおいて、
前記第1種から第3種のプレートは、各1枚ずつがそれぞれ厚み方向に間隔をあけて設けられており、
昇降路の平断面において、前記検出プレートを前記第1種プレート又は第2種プレートの何れかと重なる位置であって、前記ひとつの光電センサが前記第3種プレートを検出しない高さに配置するとともに、
前記複数の光電センサは、
前記第1種プレート又は第2種プレートの何れか一方及び前記第3種プレートを検出するETS用光電センサと、
前記検出プレートを検出する光電センサと前記第1種プレート又は第2種プレートの何れか他方を検出するETS用の光電センサをひとつの光電センサで兼用した兼用光電センサとを含み、
前記ETS用光電センサ及び前記兼用光電センサは前記光軸の軸方向に並んで配置されていることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記検出プレートは、対応する階の乗場に対する相対的な位置が各階とも共通するように設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記兼用光電センサは、3種のセンサが上下方向に並んで設けられた構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記兼用光電センサは、ETS用の光電センサとして使用するときは、前記3種のセンサうち何れか1種のセンサのみを使用することを特徴とする請求項3に記載のエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降路内を走行するエレベータのかごの位置を検出する装置に係り、特に昇降路上下端部におけるかごの位置を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇降路内を走行するエレベータのかごの位置を検出する装置として、昇降路内に多数の位置センサを配置し、かごには前記位置センサを操作するカムを設置した構成のもの(特許文献1参照)がある。この装置は、かごが位置センサの箇所を通過する度に、カムが位置センサをオン・オフすることによって、かごの位置を検出するものである。
しかしこの装置だと、位置センサの数が多くなり、位置センサの配線ケーブルも増加してしまう。
【0003】
そこで、かごに光電センサを設け、昇降路には前記光電センサの光軸を遮断する遮蔽板(プレート)を配置したもの(例えば特願2015−019169号参照)が考えられている。
この装置を図により説明する。図2は昇降路内のプレートの配置を示す図、図3はかご天井部の要部を示す図、図4はプレートの詳細説明図、図5はかごの位置を判定するための表、図6は動作を示すフローチャート、図7は各プレートの位置関係説明図である。
【0004】
図において、1はかご2が昇降する昇降路、A1〜A6は昇降路1に配置されたA相プレート、同様にB1〜B6はB相プレート、Z1〜Z6はZ相プレートである。
4はかご2の上部に設置された光電センサであり、A相プレートA1〜A6用の光電センサ4a,B相プレートB1〜B6用の光電センサ4b,Z相プレートZ1〜Z6用の光電センサ4zを備えている。5はかご2の昇降を案内する一対のガイドレールである。
【0005】
図4に示すように、A相,B相プレートには空隙部Gが空けられ、その上下はプレート本体である遮蔽部Sとなっている。遮蔽部Sは光電センサ4の光軸を遮断し、空隙部Gは光電センサ4の光軸が通過可能であり、両者は上下方向に交互に並んでおり、遮蔽部Sと空隙部Gの長さLは同一になっている。
【0006】
図2に示すように、昇降路1の上部には、上から順に、空隙部Gが3個のプレートA1、空隙部Gが2個のプレートA2、空隙部Gが1個のプレートA3が配置されている。
一方、昇降路1の下部には、上から順に、空隙部Gが2個のプレートA4、空隙部Gが3個のプレートA5、空隙部Gが4個のプレートA6が配置されている。このように、昇降路1の上下端部に近いほど空隙部Gの数の多いプレートが配置されるとともに、上部よりも下部のプレートの方が、空隙部が1個多くなっている。
【0007】
B相プレートB1〜B6も、A相プレートA1〜A6と同様に構成され、配置されているが、昇降路1の上部では、A相プレートよりも、L/2だけ下げて配置され、昇降路1の下部では、A相プレートよりも、3L/2だけ上げて配置されている。
【0008】
Z相プレートZ1〜Z6は空隙のないプレートで、対応するA相,B相プレートより長くなっており、その上端は対応するA相,B相プレートより上方まで伸び、その下端は対応するA相,B相プレートより下方まで伸びている。
光電センサ4は遮蔽部Sの上端又は下端(エッジ)を検出するとパルス信号を発生し、このパルス信号によってかご位置検出を行う。
【0009】
また、Z相プレートZ1〜Z6の上下端部を基準にして、昇降路1を多数の区間に区切っている。
【0010】
図2,図5に示すように、プレートZ1の上端から昇降路1の上端までを区間1、プレートZ1の上端からプレートZ2の上端までを区間2、以下同様にして、プレートZ6の上端から昇降路1の下端までを区間7としている。また、プレートZ1の下端から昇降路1の上端までを区間11、プレートZ1の下端からプレートZ2の下端までを区間12、以下同様にして、プレートZ6の下端から昇降路1の下端までを区間17としている。
【0011】
これらの区間はかご2の進行方向も示している。即ち、各Z相プレートを通過したかご2が区間1〜6に達したと判断されたときにはかご2は上昇中であり、また各Z相プレートを通過したかご2が区間12〜17に達したと判断されたときにはかご2は下降中である。
【0012】
ここで、各Z相プレートの上下間の距離をD[m]とすると、距離Dは数式(1)を満足する。
【0013】
【数1】
【0014】
また、遮蔽部Sと空隙部Gの長さL [m]は、数式(2)となる。
【0015】
【数2】
【0016】
次に、図6のフローチャートについて説明する。
まず、光電センサ4が、A相,B相,Z相の何れかのプレートのエッジを検出してパルス信号(A,B又はZ)を発すると、信号処理部(図示省略)でそのパルス信号を受信する(ステップS1)。
【0017】
次にステップS2で、A相及びB相からの信号A,Bによりパルスエッジ数Pを増減する。尚、Pの初期値は0である。このステップにおいて、条件1-1及び条件1-2を満足するかどうかを検討する。
【0018】
図6の条件1-1の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP+1に増加させる。
【0019】
図6の条件1-2の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP―1に減少させる。
【0020】
また、条件1-1,1-2の何れも満足しないときには、パルスエッジ数Pはそのままで(ELSE)、次のステップS3に進む。
【0021】
ステップS3では、A相、B相及びZ相からの信号A,B,Zにより、プレート配置区間の判断を行う。このステップにおいて、条件2-1及び条件2-2を満足するかどうかを検討する。
【0022】
図6の条件2-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Aが検出され、信号Bが検出されないとき、つまり信号Aが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をAと識別」し、「Type=A」と判定し、Xを0に戻す。
【0023】
図6の条件2-2の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Bが検出され、信号Aが検出されないとき、つまり信号Bが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をBと識別」し、「Type=B」と判定し、Xを0に戻す。
【0024】
また、条件2-1,2-2の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS4に進む。
【0025】
ステップS4では、Z相からの信号Zの判断を行う。このステップにおいて、条件3-1〜条件3-3を満足するかどうかを検討する。
【0026】
図6の条件3-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出した(信号Zの立ち上がり)とき、「X=1」とする。
【0027】
また、条件3-2の式において、光電センサ4が信号Zの検出を終了した(信号Zの立ち下がり)とき、かごの位置を決定する。このかごの位置とは、図5の区間1〜6及び区間12〜17の何れにかご2が存在するかである。その後、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0028】
条件3-3の式では、かご2がZ相プレートを検出せず、かつ信号Zが立ち下がりでないことを示している。この条件3-3を満足するときには、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0029】
また、条件3-1〜条件3-3の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS5に進む。
ステップS5では、かご2がどの区間にあるかを出力する。
【0030】
次に、具体的な例によって、図6のフローチャートを説明する。
図7は、図2のプレートA3,B3,Z3部分の詳細図であり、ここをかご2が上昇する場合について説明する。
【0031】
かご2がプレートZ3の下方にある場合、信号A,B,Zは発せらないので、ステップS1は未実行のため、P、X、Typeは初期状態となっている。即ち、P=0、X=0、Type=不明となっている。
【0032】
かご2が上昇してa1に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。P=0、X=1、Typeは不明となる。
【0033】
かご2が上昇してa2に達すると、信号Bが立ち上がりTrueとなるが、信号AはFalseのままなので、ステップS2はELSEとなる。ステップS3は条件2-2を満足するので、Type=B,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、P=0,X=0,Type=Bとなる。
【0034】
これ以降、信号Zが立ち下がるまで、即ちかご2がa10に達するまで、信号ZはTrueを維持しているので、ステップS4はELSEである。そのためX=0も維持されるので、ステップS3もELSEとなる。
従って、かご2がa10に達するまで、X=0,Type=Bを維持する。
【0035】
かご2が上昇してa3に達すると、信号Aが立ち上がりTrueとなり、信号BはTrueのままなので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=1となる。
従って、P=1,X=0,Type=Bとなる。
【0036】
かご2が上昇してa4に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=1,X=0,Type=Bのままである。
【0037】
かご2が上昇してa5に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=2となる。
従って、P=2,X=0,Type=Bとなる。
【0038】
かご2が上昇してa6に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=2,X=0,Type=Bのままである。
【0039】
かご2が上昇してa7に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=3となる。
従って、P=3,X=0,Type=Bとなる。
【0040】
かご2が上昇してa8に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=3,X=0,Type=Bのままである。
【0041】
かご2が上昇してa9に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=4となる。
従って、P=4,X=0,Type=Bとなる。
【0042】
かご2が上昇してa10に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=4,Type=Bなので、図5より、かご2は区間3にあり上昇していることがわかる。
【0043】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間3」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0044】
また、図7において、かご2が下降する場合には、上記と同様の方法でa10からa1へ移動し、詳細な説明は省略するが、P=―4,Type=Aとなる。そのため、図5より、かご2は区間14にあり下降していることがわかる。
同様にして、他の上部のプレートA1,A2,B1,B2,Z1,Z2の箇所についてもかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0045】
更に、昇降路1の下部に配置されたプレートについても、詳細な説明は省略するが、上記と同様にして、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0046】
例えば、かご2が図2のプレートA4,B4,Z4部分を上昇する場合は、詳細な説明は省略するが、P=4,Type=Aとなり、図5より、かご2は区間4にあり上昇していることがわかる。
【0047】
また、かご2が図2のプレートA4,B4,Z4部分を下降する場合は、詳細な説明は省略するが、P=―4,Type=Bとなり、図5より、かご2は区間15にあり下降していることがわかる。
同様にして、他の下部のプレートA5,A6,B5,B6,Z5,Z6の箇所についてもかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0048】
更に、かご2がプレート位置(Z相プレートの範囲内)で停止した後、同じ方向又は逆方向に運転した場合も、上記と同様にしてかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
尚、前記の説明では、A相,B相プレートは空隙部Gを1〜3、又は2〜4個備えた3種類としているが、3箇所に限ることはない。また、A相,B相プレートのうち最も空隙部が少ないプレートは、空隙部Gを0個とすることもできる。
【0049】
また、前記の説明では、昇降路1の上部のA相,B相プレートより、昇降路1の下方のA相,B相プレートのほうが空隙部Gの数が多いが、逆に昇降路1の上部のA相,B相プレートの空隙部Gを、昇降路1の下方のA相,B相プレートの空隙部Gよりも多くすることもできる。更に昇降路1の下端部側又は上端部側のみにプレートを配置することもできる。また、空隙部Gと遮蔽部Sの高さLは、エッジが確実に検出できれば同一でなくてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特許第5355597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0051】
前記の先行技術では、A相,B相,Z相の3種のプレートによって、かご2の位置及び運転方向を検出することができるが、エレベータでは上記3種のプレート以外にも、かご2の着床停止位置やドア開閉可能ソーンを検出するための検出プレートが設置されることがある。
【0052】
例えば、図8に示すように、各階の乗場F1〜F3(以下乗場F1〜F3等をFと総称する)の位置に検出プレートC1〜C3(以下検出プレートC1〜C3等をCと総称する)が配置される場合がある。そして、図9に示すように、かご2には検出プレートCを検出するための光電センサ6が設置される。尚、図8においては、昇降路1の中央部及び下部は図示省略しているが、昇降路1の上部と同じく乗場FやプレートCが配置されている。
【0053】
ここで、光電センサ6は、かご2が乗場Fに着床したことを検出するセンサ、かご2が上下の何れの方向から着床してきたかを検出するセンサ、かご2が乗場Fのドア開閉可能ゾーンに入っているかどうかを検出するセンサの3種のセンサが上下方向に並んで設けられているため、光軸は3本ある。そして、各センサの光軸によって検出プレートCを検出することにより、かご2の着床位置や着床方向を検出している。
【0054】
このように、かご2の天井部に多数の光電センサ4,6が設置されることになるため、他の機器、例えばガイドレール5などと干渉する可能性があり、かご2に光電センサ4,6を設置することが困難になる場合があるという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0055】
本発明は、エレベータのかごに設置された複数の光電センサと、前記光電センサと対向するように昇降路に設置された複数のプレートとを有し、前記プレートは、前記光電センサからの光軸が通過する空隙部と、前記光電センサからの光軸を遮蔽する遮蔽部とが、昇降路の上下方向に交互に配置された構成であって、空隙部の数が異なる複数種類からなる第1種プレート及び第2種プレートと、空隙部のない第3種プレートを含んでおり、前記光電センサのうちのひとつの光電センサが前記第3種プレートを検出している間、前記光電センサのうちの他の光電センサは前記第1種プレート及び第2種プレートの検出が可能な構成となっているETSと、かごの着床停止位置やドア開閉可能ゾーンを検出するために昇降路に設置された検出プレートと前記検出プレートを検出するためにかごに設置された光電センサを備えたものにおいて、前記第1種から第3種のプレートは、各1枚ずつがそれぞれ厚み方向に間隔をあけて設けられており、昇降路の平断面において、前記検出プレートを前記第1種プレート又は第2種プレートの何れかと重なる位置であって、前記ひとつの光電センサが前記第3種プレートを検出しない高さに配置するとともに、前記複数の光電センサは、前記第1種プレート又は第2種プレートの何れか一方及び前記第3種プレートを検出するETS用光電センサと、前記検出プレートを検出する光電センサと前記第1種プレート又は第2種プレートの何れか他方を検出するETS用の光電センサをひとつの光電センサで兼用した兼用光電センサとを含み、前記ETS用光電センサ及び前記兼用光電センサは前記光軸の軸方向に並んで配置されていることを特徴とするものである。
【0056】
また本発明は、前記検出プレートは、対応する階の乗場に対する相対的な位置が各階とも共通するように設置されていることを特徴とするものである。
【0057】
更に本発明は、前記兼用光電センサは、3種のセンサが上下方向に並んで設けられた構成であることを特徴とするものである。
【0058】
更にまた本発明は、前記兼用光電センサは、ETS用の光電センサとして使用するときは、前記3種のセンサうち何れか1種のセンサのみを使用することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、かごに設置する光電センサの数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明の実施の形態による昇降路内のプレートの配置を示す図である。
図2】従来の昇降路内のプレートの配置を示す図である。
図3】従来のかご天井部の要部を示す図である。
図4】従来のプレートの詳細説明図である。
図5】従来のかごの位置を判定するための表である。
図6】従来の動作を示すフローチャートある。
図7】従来の各プレートの位置関係説明図である。
図8】従来の昇降路内のプレートの配置を示す図である。
図9】従来のかご天井部の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は昇降路内のプレートの配置を示す図である。尚、図8と同様、図1においても、昇降路1の中央部及び下部は図示省略しているが、昇降路1の上部と同じく乗場やプレートが配置されている。
【0062】
本実施の形態は、昇降路1の平断面において、検出プレートCをA相プレートA1〜A6と重なるように配置したものである。これにより、光電センサ6は、図3に示すように、A相プレートA1〜A6用の光電センサ4aと兼用することになる。したがって、図9のように、光電センサ6を別の場所に設置する必要がなくなるので、光電センサのかご2への設置が容易になる。
【0063】
前記A相,B相,Z相の各プレート及び光電センサ4(4a,4b,4z)は、終端階強制減速装置(ETS)に使用されるものであるため、各光電センサ4a,4b,4zの光軸はそれぞれ1本である。これに対して、光電センサ6は上下方向に3本の光軸を有している。
そのため、検出プレートC用と兼用するA相プレートA1〜A6用の光電センサ4aは、光電センサ6と同様に3種のセンサが上下方向に並んで設けられた構成のものを使用する。そして、A相プレートA1〜A6用として使用するときは、3種のセンサのうち何れかのセンサのみを使用する。
【0064】
ここで、光電センサ4aをETS用とかご着床位置等の検出用に切換える方法について説明する。既に図6図7によって説明したように、ETSとしてかご位置の検出動作を行うのは、最初にZ相プレートZ1〜Z6のエッジを検出して信号Zが立ち上がってTrueとなり、最後にZ相プレートZ1〜Z6のエッジを検出して信号Zが立ち下がってFalseとなるまでの間である。つまり、光電センサ4zがZ相プレートZ1〜Z6を検出している間である。換言すれば、Z相プレートは、ETSがかご位置検出動作が可能であることを検出するプレートである。
【0065】
したがって、光電センサ4aは、光電センサ4zがZ相プレートZ1〜Z6を検出している間はETS用、光電センサ4zがZ相プレートZ1〜Z6を検出していない間は、かご着床位置等の検出用として使用することになる。
即ち検出プレートCは、Z相プレートZ1〜Z6が検出される高さを避けて配置することになる。換言すれば、ETSがかご位置検出動作を行わない位置に、検出プレートCを配置することになる。
【0066】
尚、現場の状況により、検出プレートCとA相プレートA1〜A6等が干渉する場合には、検出プレートCの配置を優先する。例えば、図8の場合、昇降路の平断面において、検出プレートCをA相プレートA1〜A6と重なるように配置すると、検出プレートCとA相プレートA1が干渉することになる。そのため、図1では、A相プレートA1,B相プレートB1,Z相プレートZ1を、図8の位置より少し高い位置に配置している。
これは、検出プレートCは、かご2が乗場Fに着床停止するために、正確な位置に設置する必要があるのに対し、ETSの場合は若干の位置変更があっても実用上大きな問題にはならないからである。
【0067】
また、図4からわかるように、A相プレートA1〜A6等の長さは、Lの整数倍であるが、このLは前記の数式(2)で表される。そのため、サンプリング周波数を上げることによりLを小さくする、即ちA相プレートの長さを短くできる。そのため、サンプリング周波数を上げることによっても、検出プレートCとの干渉を避けることができる。
【0068】
上記のように本実施の形態によれば、かご2に設置する光電センサの数を減らすことができる。
【0069】
前記の実施の形態においては、検出プレートC用と兼用する光電センサ4aは、光電センサ6と同様に3種のセンサが上下方向に並んで設けられた構成のものを使用し、他の光電センサ4b、4zは光軸が1本のものを使用しているが、光電センサの種類を統一するために、全ての光電センサを光電センサ6と同じく3種のセンサが上下方向に並んだタイプとし、ETS用として使用するときは、必要なセンサの光軸のみを使用するようにすることもできる。
【0070】
また、前記の実施の形態においては光電センサ4aと光電センサ6を兼用したが、光電センサ4bと光電センサ6を兼用することもできる。即ち、検出プレートCを、A相プレートA1〜A6の代わりに、昇降路の平断面において、B相プレートB1〜B6と重なるように配置することも可能である。
更に、光電センサ4,6は投光器と受光器が分離した透過型センサのほか、プレートとして反射板を使用し、光電センサとして投光器と受光器が一体になった反射型センサを使用して、投光器からの光軸を反射板(プレート)に反射させて受光器で受光させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 昇降路
2 かご
4,6 光電センサ
5 ガイドレール
A1〜A6 A相プレート
B1〜B6 B相プレート
C,C1〜C3 検出プレート
F,F1〜F3 乗場
G 空隙部
S 遮蔽部
Z1〜Z6 Z相プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9