(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の縦枠と第2の縦枠の一対の縦枠の上部同士が上枠で連結され下部同士が下枠で連結されてなるおもり枠内に複数のおもり片が積み重ねられて収納された、エレベータの釣合おもりに装着される補強器具であって、
前記第1の縦枠に、前記第2の縦枠に向かって引掛けられる第1の引掛具と、
前記第2の縦枠に、前記第1の縦枠に向かって引掛けられる第2の引掛具と、
前記複数のおもり片の内上下方向に隣接する二つの前記おもり片の間に介挿され、前記第1の引掛具と連結される第1の介挿具と、
前記二つのおもり片の間に介挿され、前記第2の引掛具と連結される第2の介挿具と、
前記第1の引掛具が連結された前記第1の介挿具と前記第2の引掛具が連結された前記第2の介挿具を、前記第1の引掛具と前記第2の引掛具が相互に引き寄せられる向きに、引き付けた状態で締結する締結具と、
を有し、
前記第1の介挿具および前記第2の介挿具の各々は、前記上下方向に隣接する前記二つのおもり片の内、下側のおもり片の上に載置されるものであり、
前記第1の引掛具と前記第2の引掛具とは、前記締結具によって前記相互に引き寄せられる向きに、引き付けた状態とされることによって、前記第1の縦枠と前記第2の縦枠にそれぞれ固定されることを特徴とする、エレベータの釣合おもり用補強器具。
前記釣合おもりは、前記第1の縦枠と前記第2の縦枠における前記コ字各々の前記開口部とは反対側にそれぞれ設置された一対のガイドレールに案内されて昇降する釣合おもりであって、
前記第1の縦枠に引掛けられた、前記第1の引掛具を構成する前記第1の鉤状部材と前記第2の鉤状部材との間には、当該第1の縦枠に対応する前記ガイドレールと干渉しないよう間隙が空いており、
前記第2の縦枠に引掛けられた、前記第2の引掛具を構成する前記第1の鉤状部材と前記第2の鉤状部材との間には、当該第2の縦枠に対応する前記ガイドレールと干渉しないよう間隙が空いていることを特徴する請求項2に記載のエレベータの釣合おもり用補強器具。
第1の縦枠と第2の縦枠の一対の縦枠の上部同士が上枠で連結され下部同士が下枠で連結されてなるおもり枠内に複数のおもり片が積み重ねられて収納された、エレベータの釣合おもりであって、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の釣合おもり用補強器具が装着されて、前記おもり枠が補強されていることを特徴とする、エレベータの釣合おもり。
【背景技術】
【0002】
釣合おもりは、おもり枠と当該おもり枠内に収納された複数のおもり片により構成される。おもり枠は、一対の縦枠、並びに当該縦枠の上部同士を連結する上枠および下部同士を連結する下枠を含む。
【0003】
縦枠には、一般的にコ字状横断面を有する溝形鋼が用いられ、一対の縦枠は、コ字の開口部同士が対向する姿勢で、上枠と下枠とで連結されている。
【0004】
前記複数のおもり片の各々は、帯状をした鋼材からなり、前記開口部に嵌るように、一般的に両端部部分がその他の部分よりも幅狭に形成されている。そして、当該複数のおもり片の各々は、その両端部部分が対応する縦枠の開口部に嵌めこまれた状態で、積み重ねられて、おもり枠内に収納されている。これにより、おもり片は、おもり枠から簡単には脱落しないようになっている。
【0005】
ところで、近時に発生した大地震によるエレベータでの被害事例を受け、耐震強化を目的として、エレベータに関する耐震関係告示が平成25年に制定され(平成25年度国土交通省告示)、平成26年4月1日に施行されている。この告示は多岐にわたっているが、釣合おもりに関しては、第1048号において、「おもり枠が地震力を受けた場合に、縦枠に生じるたわみによっておもり片がおもり枠から外れないこと」が要求されている。
【0006】
当該告示の施行日以降に新たに設置されるエレベータについては、前記要求を満足することが求められる。一方、施行日よりも前に設置されているエレベータについては、前記要求を満足することが法的に求められることは無いものの、耐震強化を望む顧客からの要望等に基づく、釣合おもりに対する耐震補強の要請がある。
【0007】
上記告示で示された要求を満足するためには、おもり枠に対し、一対の縦枠が外方に膨出するようにたわむのを抑制するための補強処理を施せば良い。
【0008】
既設のエレベータにおける釣合おもりに対し、そのような補強処理となり得る技術が特許文献1、特許文献2に開示されている。
【0009】
特許文献1には、一対の縦枠の前面にボルトにより両端部が取り付けられて、おもり枠の前側で上記一対の縦枠を連結する、帯状をした金属板からなる前側連結体、上記前側連結体の両端部にボルトによりそれぞれ、対応する縦枠に当接状態で取り付けられている一対の取付金、及び上記一対の取付金にボルトにより両端部が取り付けられ、上記おもり枠の後側で上記一対の取付金を連結する、帯状をした金属板からなる後側連結体を備えた耐震装置(補強器具)が開示されている(特許文献1の請求項1、
図2、
図4等)。
【0010】
特許文献2には、帯状をした金属板からなり、両端部の各々が対応する縦枠を抱えるように「コ」字状に屈曲された後側連結体と、おもり枠の前側に配された、帯状をした金属板からなり、両端部が前記後側連結体の両端部とともに、一対の縦枠の前面にボルトによって連結された前側連結体とを備えた耐震装置(補強器具)が開示されている(特許文献2の請求項1、
図3、
図5等)。
【0011】
そして、特許文献1、特許文献2共に、前側連結体と後側連結体とは、縦枠の上下方向における中間部分に固定されている(特許文献1の
図1、特許文献2の
図2)。
【0012】
特許文献1に記載された補強器具によれば、一対の縦枠に当接状態で設けられた一対の取付金同士を連結する前側連結体と後側連結体とが、特許文献2に記載された補強器具によれば、「コ」字状に屈曲された両端部で一対の縦枠を抱えるように設けられた後側連結体と当該後側連結体の両端部を連結する前側連結体とが、一対の縦枠の上下方向における中間部同士を相互に拘束し、当該一対の縦枠が外方に膨出するようにたわむのを抑制する。その結果、縦枠に生じるたわみによっておもり片がおもり枠から外れることを防止できる。
【0013】
ところが、おもり枠の製造上の理由から、一対の縦枠の間隔(水平方向における一対の縦枠間の距離)にはバラツキが生じる。このため、当該間隔が大きすぎると、特許文献1,2の耐震装置は既存の釣合おもりに取り付けることが困難になる(特に、後側連結体の取付が困難となる。)。一方、前記間隔が小さすぎると、特許文献1の耐震装置では、取付金と縦枠との間、特許文献2では、後側連結体の両端部と縦枠との間に隙間が生じ、一対の縦枠に対する上記した拘束が不十分なものとなり、おもり枠の補強機能が損なわれてしまう。
【0014】
これに対し、特許文献3には、一対の縦枠の中間部分にワイヤロープを巻き付ける構成の補強器具が開示されている(特許文献3の
図1、
図2)。ワイヤロープには、所定の長さに切断された工業用ビニールホースからなる保護管(特許文献3の段落[0030]、
図2)が4個、外挿されている。当該ワイヤロープの一端部には、締付金具が固定されており、他端部には、スタッドボルトの一端部が連結されている。前記締付金具には、前記スタッドボルトの挿通孔が開設されている。そして、上記の構成からなる補強器具は、一対の縦枠の四隅に、前記保護管の各々が位置するように、前記ワイヤロープを巻き付けた後、前記締付金具の貫通孔にスタッドボルトの他端部部分を挿入し、当該他端部部分の先端から螺合させたナットを締め付けることにより、当該ワイヤロープでおもり枠を緊締して、既存の釣合おもりに取り付けられる。
【0015】
特許文献3の補強器具によれば、一対の縦枠の間隔が大きすぎても小さすぎても、4個の保護管を縦枠に当接させた状態(圧接させた状態)で取り付けることができ、一対の縦枠が外方に膨出するようにたわむのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
〔補強対象釣合おもり〕
実施形態1に係る、エレベータの釣合おもり用補強器具10(以下、単に「補強器具10」と言う。)の説明の前に、補強器具10(
図3〜
図4)による補強対象となる既設の釣合おもりの一例を、
図1、
図2に基づいて説明する。
【0029】
釣合おもり300は、トラクション式のエレベータで用いられるおもりである。トラクション式は、かご(不図示)と釣合おもり300をワイヤロープ302でつるべ式に連結し、ワイヤロープ302の折り返し中間地点に設置された巻上機のシーブ(不図示)にワイヤロープ302を巻き掛け、前記シーブを電動機(不図示)で正転または逆転させることで、ワイヤロープ302を走行させ、昇降路(不図示)内で、かごと釣合おもり300を互いに反対向きに昇降させる方式である。
【0030】
釣合おもり300は、前記昇降路内において上下方向に敷設された一対のガイドレール304,306間に設けられる。釣合おもり300は、全体的に方形をしたおもり枠308内に複数の(本例では、16個の)おもり片310が積み重ねられてなる構成を基本構成とする。複数のおもり片310は、いずれも同じものであるが、それぞれを区別する必要がある場合は、符号「310」にアルファベットの小文字「a,b,c,...」を添えることとする。
【0031】
おもり枠308は、第1の縦枠312と第2の縦枠314の一対の縦枠312,314の上部同士が上枠316で連結され、下部同士が下枠318で連結されてなる。
【0032】
第1の縦枠312と第2の縦枠314には、ぞれぞれ、コ字状の横断面を有する溝形鋼が用いられ、
図2に示すように、前記コ字の開口部312a,314a同士が対向する姿勢で、上枠316と下枠318とで連結されている。
【0033】
下枠318は、長方形の鋼板を用いた一対の板部材318a、318bからなる。板部材318a,318bの両端部部分がそれぞれ、対応する縦枠312,314に接合されている。上枠316も、長方形の鋼板を用いた一対の板部材318a(一方の、板部材318aのみが、
図1に現れている)からなり、一対の板部材318aの両端部部分がそれぞれ、対応する縦枠312,314に接合されている。上記接合は、溶接やボルト締めによってなされている(いずれも不図示)。
【0034】
おもり片310の各々は、帯状をした鋼材からなり、第1および第2の縦枠312,314の開口部312a,314aに嵌るよう、
図2に示すように、両端部部分がその他の部分よりも幅狭に形成された幅狭部3101,3102を有している。ここで、幅狭部3101,3102間の、幅狭部3101,3102よりも幅の広い部分を幅広部3103と称することとする。
【0035】
そして、複数のおもり片310の各々は、幅狭部3101,3102がそれぞれ開口部312a,314aに嵌めこまれた状態で、積み重ねられて、おもり枠308内に収納されている。この場合に、最下位のおもり片310g(
図1)は、その幅広部3103が下枠318を構成する板部材318a、318bの上端に当接して、板部材318a,318bで受け止められている。
【0036】
また、おもり片310は、厚み方向に開設された2個の貫通孔3104,3105を有している。貫通孔3104,3105の各々には、通しボルト320,322が、それぞれ挿入されている。
【0037】
複数のおもり片310の貫通孔3104,3105に挿入されて、複数のおもり片310の全てを貫通した通しボルト320,322の上端部部分には、それぞれ2個のナット326,328が螺合している。ナット326,328と最上位のおもり片310aの上面との間の通しボルト320,322部分には、平座金330,332が嵌められている。
【0038】
通しボルト320,322の下端部部分は、下枠318を構成する2枚の板部材318a,318bの下端部に当該下端部間を橋渡しするように接合された取付板334に開設された2個の貫通孔(不図示)に挿入されていて、取付板334から突出した通しボルト320,322部分にそれぞれ2個のナット336,338が締め付けられている。
【0039】
第1の縦枠312の上端と下端には、ガイドレール304に摺接するガイドシュー340,342が設けられており、第2の縦枠314の上端と下端には、ガイドレール306に摺接するガイドシュー344,346が設けられている。
【0040】
上枠316とワイヤロープ302とは、シャックルロッド348等を含む公知の連結手段350を介して連結されていて、釣合おもり300がワイヤロープ302で吊り下げられている。
【0041】
上記の構成からなる釣合おもり300は、ガイドシュー340,342、ガイドシュー344,346がそれぞれガイドレール304,306に案内されて昇降路(不図示)内を昇降する。
【0042】
ここで、昇降路内における省スペースの観点から、ガイドレール304とガイドレール306間の空間を有効に利用するため、両ガイドレール304,306と釣合おもり300の第1および第2の縦枠312,314は可能な限り近接させ、両縦枠312,341間に設けられるおもり片310の平面積をできるだけ稼ぐようにしている。例えば、本例では、
図2に示す、ガイドレール304の先端と第1の縦枠312の隙間G1、ガイドレール306の先端と第2の縦枠314の隙間G2は、それぞれ8mm程度と狭小である。一般的にも、このG1とG2は、10mm前後に設定されていると考えられる。
【0043】
また、釣合おもり300において、かご(不図示)と昇降路内ですれ違う際に、当該かごに面する側を正面、かごとは反対側を背面とすると、背面と昇降路壁とが非常に近接している場合が多い。例えば、背面と昇降路壁の隙間に、腕が入り込めない程度に近接していることがある。
図2、
図6、
図7、および
図8において、正面側を指す矢印に符号「F」を背面側を指す矢印に符号「R」を付して、前記正面と前記背面とを区別することとする。
【0044】
〔補強器具の構成〕
上記の構成を有する釣合おもり300のおもり枠308を補強するための補強器具10について、
図3、
図4を参照しながら説明する。
【0045】
図3に示すように、補強器具10は、第1の介挿具110、第2の介挿具210、第1の引掛具112、および第2の引掛け具212を有する。
【0046】
第1の介挿具110と第2の介挿具210、第1の引掛具112と第2の引掛具212とは、それぞれ、同様の構成である。よって、第1の介挿具110と第1の引掛具112を代表に説明する。この場合に、第1の介挿具110に関する構成部分には、百番台の符号を付し、第2の介挿具210に関する構成部分には、二百番台の符号を付し、両者に共通する構成部分に付す符号の下二桁は同じ番号として、第2の介挿具210の構成の説明については省略することとする。また、第1の引掛具112に関する構成部分には、百番台または千番台の符号を付し、第2の引掛具212に関する構成部分には、二百番台または二千番台の符号を付し、両者に共通する構成部分に付す符号の下二桁または下三桁は同じ番号として、第2の引掛具212の構成の説明については省略することとする。
【0047】
第1の介挿具110は、長方形をしたベース板118を有する。ベース板118の長辺を含む側面の各々には、側板120,122が接合されている。この接合は、隅肉溶接(溶接ビードは不図示)によってなされている。
【0048】
また、ベース板118の上面には、その長さ方向に間隔を空けて幅方向に平行に第1リブ板124と第2リブ板126が立設されている。第1リブ板124と第2リブ板126は、ベース板118、および側板120,122と隅肉溶接により接合されている(溶接ビードは不図示)。
【0049】
ベース板118には、その長さ方向に長い長円形をした通しボルト挿通孔128が開設されている。通しボルト挿通孔128の開設位置は、第1リブ板124と第2リブ板126の間の第2リブ板126寄りの位置である。
【0050】
第1リブ板124には、ベース板118の幅方向に並んだ2個のボルト挿通孔130,132が開設されている。
【0051】
側板120,122の各々には、第2リブ板126を挟んだ両側に、厚み方向に貫通したねじ穴134,136,138,140が形成されている。
【0052】
なお、第1の介挿具110の幅Wk1(
図3)は、第1の縦枠312の幅Wf1(
図2)と同じ大きさに設定されている。
【0053】
次に、第1の引掛具112について説明する。第1の引掛具112は、第1の鉤状部材114と第2の鉤状部材116とからなる。
【0054】
第1の鉤状部材114は、短冊状をした鋼板の一端部がL字状に(直角に)屈曲されてなる本体1141を有する。本体1141において、屈曲部位を境に、長手方向における一端部までの距離が短い方の部分を引掛部1141Aと称し、距離が長い方の部分を連結部1141Bと称することとする。
【0055】
連結部1141B側面の幅方向における下方寄りの位置には、長手方向に延びる補強リブ1143が隅肉溶接(溶接ビードは不図示)により接合されている。また、連結部1141Bには、補強リブ1143の上方に、長手方向に並んで、2個のボルト挿通孔1141C,1141Dが開設されている。
【0056】
引掛部1141Aの側面には、四角鋼からなる当て金1145が、
図4に示すように接合されている。当該接合は、当て金1145の両端部に対し、隅肉溶接(溶接ビードは不図示)によりスポット的になされている。
【0057】
第2の鉤状部材116は、第1の鉤状部材114と同様の構成を有している。すなわち、短冊状をした鋼板の一端部がL字状に(直角に)屈曲されてなる本体1161を有し、その連結部1161B側面には補強リブ1163が接合され、補強リブ1163の上方には、2個のボルト挿通孔1161C,1161Dが開設されている。引掛部1161Aの側面には、当て金1165が接合されている。
【0058】
補強器具10は、また、第1の鉤状部材114および第2の鉤状部材116と第1の介挿具110とを連結する連結具である連結ボルト142を4個有している。連結ボルト142は、ばね座金付きボルトである。連結ボルト142のねじの外径とボルト挿通孔1141C,1141D,1161C,1161Dの径は、連結ボルト142を、ボルト挿通孔1141C,...,1161Dにスムーズに挿入できると共に、挿入後に、連結ボルト142がガタツクことのないような大小関係に設定されている。
【0059】
補強器具10は、さらに、第1の介挿具110と第2の介挿具210を締結する締結具である、二組の締結ボルト12、締結ナット14、およびばね座金16を有する。2個の締結ナット14の各々は、そのねじ孔が、第1の介挿具110の第1リブ板124に開設されたボルト挿通孔130,132と連通する状態で、第1リブ板124に隅肉溶接(符号「18」を付したのが溶接ビード)で接合されている。
【0060】
上記の構成部材からなる補強器具10は、
図5に示すように、釣合おもり300のおもり枠308における第1の縦枠312と第2の縦枠314を連結するように装着される。なお、
図5において、便宜上、ガイドレール304,306、通しボルト320,322、ワイヤロープ302、シャックルロッド348を含む連結手段350、ガイドシュー340,342,344,346(
図1)等については図示を省略している。
【0061】
補強器具10の上下方向における装着位置は、第1および第2の縦枠312,314の撓みを効果的に抑制するという観点から、図示例のように、第1および第2の縦枠312,314の上下部同士をそれぞれ連結する上枠316と下枠318間の中央部が好ましい。
【0062】
釣合おもり300に装着された状態における、補強器具10の構成部材間の関係について
図6を参照しながら説明する。なお、
図6(b)では、側板120,222の一部を切り欠いて表している。
【0063】
コ字状の横断面を有する第1の縦枠312の前記コ字における第1角部312C1に第1の鉤状部材114が第2の縦枠314に向かって引掛けられ、第2角部312C2に第2の鉤状部材116が第2の縦枠314に向かって引掛けられている。第1および第2の鉤状部材114,116は、第1の縦枠312の前記コ字の開口部312aとは反対側の側面312bに当て金1145,1165を当接させた形で引掛けられている。
【0064】
第1の縦枠312に引掛けられた第1および第2の鉤状部材114,116(第1の引掛具112)と第1の介挿具110は、4個の連結ボルト142によって連結されている。すなわち、(a)第1の鉤状部材114に開設されたボルト挿通孔1141C,1141D(
図3、
図4)と第1の介挿具110の側板120に形成されたねじ穴136,134(
図3、
図4)がそれぞれ連通した状態で、2個の連結ボルト142がボルト挿通孔1141C,1141Dにそれぞれ挿入され、ねじ穴136,134に螺合され、(b)第2の鉤状部材116に開設されたボルト挿通孔1161C,1161D(
図3、
図4)と第1の介挿具110の側板122に形成されたねじ穴138,140(
図3、
図4)がそれぞれ連通した状態で、2個の連結ボルト142がボルト挿通孔1161C,1161Dにそれぞれ挿入され、ねじ穴138,140に螺合されて、第1および第2の鉤状部材114,116と第1の介挿具110が連結されている。
【0065】
第2の引掛具212を構成する第1および第2の鉤状部材214,216が第2の縦枠314に引掛けられた状態で、第2の介挿具210と連結される態様は、上記した第1の引掛具112、第1の介挿具110と同様なので、その説明については省略する。
【0066】
第1の引掛具112が連結された第1の介挿具110と第2の引掛具212が連結された第2の介挿具210とは、二組の締結ボルト12・締結ナット14によって締結されている。すなわち、ばね座金16が嵌められた2本の締結ボルト12が、第1リブ板224に開設されたボルト挿通孔230,232(
図3)と第1リブ板124に開設されたボルト挿通孔132,130(
図3、
図4)に挿入され、対応する締結ナット14に螺合されて、第1の介挿具110と第2の介挿具210が締結されている。
【0067】
〔補強器具の装着手順〕
上記の構成からなる補強器具10の既存の釣合おもり300への装着手順について説明する。
先ず、
図1に示す状態の釣合おもり300において、通しボルト320,322を取り外す[第1工程]。
【0068】
次に、積み重ねられている複数のおもり片310の内、補強器具10の装着予定位置よりも上側に位置するおもり片310を一または複数個(本例では、5個のおもり片310a〜310e)をおもり枠308から取り外す[第2工程]。おもり片310a〜310eの取り外しは、最上位のおもり片310aから1個ずつ順次なされる。おもり片310は、
図1に示す水平姿勢から、一端部を持ち上げて斜めの姿勢にすることにより、取り外し対象とされているおもり片310(例えば、おもり片310a)の直下のおもり片310(例えば、おもり片310b)と上枠316との間に存する空間から、容易に取り外すことができる。
【0069】
取り外し対象のおもり片310a〜310eが全て取り外されると、そのときに最上位に在るおもり片310(本例では、おもり片310f)の上面に、第1の介挿具110(
図3)を載置する[第3工程]。
【0070】
載置された第1の介挿具110に、第1の鉤状部材114と第2の鉤状部材116を4個の連結ボルト142でそれぞれ連結する[第4工程]。
図7に示すように、第1の鉤状部材114は、正面F側から、一点鎖線で示すように、第1の介挿具110の側板120にあてがい、ボルト挿通孔1141C,1141D(
図4)をそれぞれ、側板120のねじ穴136,134(
図4)に連通させた状態で、2個の連結ボルト142で連結する。第2の鉤状部材116は、背面R側から、一点鎖線で示すように、第1の介挿具110の側板122にあてがい、ボルト挿通孔1161C,1161D(
図4)をそれぞれ、側板122のねじ穴138,140(
図4)に連通させた状態で、2個の連結ボルト142で連結する。この場合、釣合おもり300の背面Rと昇降路(不図示)の側壁とが近接しているとはいえ、手を差し挟む程度の隙間は十分に確保されているため、無理なく第2の鉤状部材116と第1の介挿具110とを連結することができる。なお、第1の介挿具110に対する第1および第2の鉤状部材114,116の連結順序は、上記の逆でも構わない。すなわち、第2の鉤状部材116を連結した後に、第1の鉤状部材114を連結することとしても構わない。なお、この段階では、当て金1145,1165(
図6)は、必ずしも、一点鎖線で示すように、第1の縦枠312の側面312bに当接している必要はない。
【0071】
以上のように、第1の縦枠312に引掛ける第1の引掛具112を第1の鉤状部材114と第2の鉤状部材116の二つの部材で構成し、第1の鉤状部材114は、釣合おもり300の正面F側から、第2の鉤状部材116は、同背面R側から第1の縦枠312に取り付けるようにした。これにより、釣合おもり300をガイドレール304,306から取り外すことなく、第1の引掛具112を第1の縦枠312に取り付ける(引掛ける)ことができる。
【0072】
また、第1の鉤状部材114と第2の鉤状部材116とは、
図7に一点鎖線で示すように、第1の縦枠312に引掛られた状態で、第1の縦枠312の側面312b上に存する端部同士の間には、ガイドレール304(の先端部)との干渉を防ぐ間隙が形成されるため、釣合おもり300の昇降に支障をきたすことがない。
【0073】
第2の介挿具210、第1および第2の鉤状部材214,216も、上記した第1の介挿具110等と同様にして、第2の縦枠314に取り付けられる。すなわち、おもり片310fの上面に第2の介挿具210を載置し[第5工程]、載置された第2の介挿具210に、第1および第2の鉤状部材214,216を4個の連結ボルト242で連結する[第6工程]。この段階では、当て金2145,2165(
図6)は、必ずしも、第2の縦枠314の側面314bに当接している必要はない。
【0074】
なお、言うまでもなく、第3、第4工程と第5、第6工程とは、上記の逆になっても構わない。すなわち、第5、第6工程の後に、第3、第4工程を実施しても構わない。
【0075】
第1および第2の鉤状部材114,116と第1の介挿具110とが連結され、第1および第2の鉤状部材214,216と第2の介挿具210とが連結されると[第3〜第6工程]、第1の介挿具110と第2の介挿具210とが相互に近接するように、両者を手で引き寄せる。これにより、当て金1145,1165、当て金2145,2165が、第1の縦枠312の側面312b、第2の縦枠314の側面314bにそれぞれ、確実に当接することとなる[第7工程]。
【0076】
そして、二組の締結ボルト12・締結ナット14によって、第1の介挿具110と第2の介挿具210を締結する[第8工程]。
図6は締結された状態を示している。
【0077】
当て金1145,1165、当て金2145,2165が、第1の縦枠312の側面312b、第2の縦枠314の側面314bにそれぞれ、当接された状態で[第7工程]、第1の介挿具110と第2の介挿具210との間には、間隔D1が空いており、当該間隔D1が縮小される向きに、すなわち、第1の介挿具110と第2の介挿具210が相互に引き寄せられる向き、ひいては、第1の引掛具112と第2の引掛具212が相互に引き寄せられる向き、引き付けた状態で、両介挿具110,210が締結される。このため、第1の縦枠312と第2の縦枠314の間隔(水平方向における両縦枠312,314間の距離)にバラツキがあったとしても、第1の引掛具112(第1および第2の鉤状部材114,116)と第2の引掛具212(第1および第2の鉤状部材214,216)を、それぞれ第1の縦枠312、第2の縦枠314に密接させた状態で、第1および第2の縦枠312,314を補強器具10で連結することができる。これにより、前記バラツキがあったとしても、おもり枠308の補強機能を発揮できる状態で、補強器具10が釣合おもり300に取り付けられることとなる。
【0078】
二組の締結ボルト12・締結ナット14による第1の介挿具110と第2の介挿具210の締結が完了すると、前記第2工程で取り外したおもり片310a〜310eをおもり枠308内に戻す[第9工程]。おもり片310をおもり枠308に戻す作業[第9工程]は、おもり片310をおもり枠308から取り外す作業[第2工程]とは逆の手順でなされる。すなわち、そのときにおもり枠308内に積み上げられているおもり片310の内、最上位に在るおもり片310(例えば、おもり片310d)に対し、おもり枠308内に戻す対象とされているおもり片310(例えば、おもり片310c)を斜めの姿勢にして、おもり片310dと上枠316との間に存する空間に進入させた後、水平姿勢にして、おもり片310dに積み重ねるのである。なお、おもり片310eは、補強器具10に積み重ねられることとなる。
【0079】
おもり片310a〜310eが全ておもり枠308内に戻されると[第9工程]、通しボルト320,322を取り付ける[第10工程]。この場合、補強器具10において、通しボルト320,322は、通しボルト挿通孔128,228に挿通される。
【0080】
以上の第1〜第10工程が実施されて、釣合おもり300は、補強器具10が装着されておもり枠308が補強されてなる釣合おもりとなる。
【0081】
以上説明した補強器具10の既設の釣合おもり300への装着手順から明らかなように、本実施形態に係る補強器具10によれば、釣合おもり300をガイドレール304,306から取り外すことなく、補強器具10を釣合おもり300へ装着することができる。
【0082】
また、釣合おもり300に対して穴明け加工を施したり、また、釣合おもり300が設置されている現場での溶接作業等が生じたりすることもない。
【0083】
なお、上記の実施形態では、前記現場において、第1の介挿具110に第1の鉤状部材114と第2の鉤状部材116とを、連結ボルト142で連結したが([第4工程])、第1および第2の鉤状部材114,116のいずれか一方は、予め(例えば、補強器具10の製造工場において)、連結しておいても構わない。すなわち、上記第3工程において、当該一方の鉤状部材が連結された第1の介挿具110を、そのときに最上位に在るおもり片310に載置するのである。
【0084】
この場合に、連結ボルト142による連結作業が比較的し辛い背面R側になる第2の鉤状部材116を予め第1の介挿具110と連結しておくことが好ましい。また、当該連結は、ボルト(連結ボルト142)に限らず、他の連結手段、例えば、リベットによっても構わない。あるいは、溶接によって、第2の鉤状部材116と第1の介挿具110とを予め連結しても構わない。さらには、第2の鉤状部材116と第1の介挿具110を一体的に形成しても構わない。これは、例えば、側板122の、第2リブ板126側端部を延設し、当該延設部分の先端部をL字状に屈曲させて、第1の縦枠312の第2角部312C2に引掛ける部分を形成することにより実現される。
【0085】
第1および第2の鉤状部材214,216のいずれか一方を、予め、第2の介挿具210連結しておいても構わないのは、上記した第1の介挿具110の場合と同様である。
【0086】
<実施形態2>
実施形態2に係るエレベータの釣合おもり用補強器具20(以下、単に「補強器具20」と言う。)は、
図8に示すように、第1リブ板124と第2リブ板126の間にスペーサ22,24を挟み込む構成としている。このスペーサ22,24が追加されている以外は、実施形態2の補強器具20は、実施形態1の補強器具10(
図6)と同じ構成である。よって、
図8において、補強器具10(
図6)と同様の構成部分には同じ符号を付して、その説明については省略するか、必要に応じて言及するに留める。
【0087】
図9に示すように、スペーサ22は、長方形の金属板からなり、厚み方向に開設されたボルト挿通孔22A,22Bが長手方向に2個並んで設けられている。スペーサ24は、スペーサ22とは厚みのみが異なる金属板からなり、スペーサ22と同様、厚み方向に開設されたボルト挿通孔24A,24Bが長手方向に2個並んで設けられている。
図9に示すように、スペーサ24の方が、スペーサ22よりも厚みが小さく設定されている。
【0088】
図8に戻り、補強器具20は、実施形態1の補強器具10における上記第1〜第10工程を経て、釣合おもり300に装着されるが、補強器具20では、前記第7工程と前記第8工程の間に、スペーサの挟みこみ工程(第7-1〜3工程)が実施される。
【0089】
第7工程によって、当て金1145,1165、当て金2145,2165が、第1の縦枠312の側面312b、第2の縦枠314の側面314bにそれぞれ当接した状態で、金尺またはノギス等によって、第1リブ板124と第1リブ板224の間隔D2を測定する[第7-1工程]。このとき測定される間隔D2の大きさは、言うまでも無く、第1の縦枠312と第2の縦枠314の間隔(水平方向における両縦枠312,314間の距離)に左右される。
【0090】
そして、積層したときの合計の厚みTが測定された間隔D2よりも若干小さくなるように、一または複数枚のスペーサ22,24を選定する[第7-2工程]。本例では、5枚のスペーサ22と5枚のスペーサ24が選定されている。測定された間隔D2と前記厚みTの差は、締結ボルト12と締結ナット14の締付代M(=D2−T)となる。
【0091】
第7-2工程で、必要なスペーサ22,24が選定されると、5枚のスペーサ22と5枚のスペーサ24を、全てのボルト挿通孔22Aとボルト挿通孔24Aが連通し、全てのボルト挿通孔22Bとボルト挿通孔24Bが連通するように積層した上で、当該積層されたスペーサ22,24を、第1リブ板124と第1リブ板224の間に挿入する[第7-3工程]。
【0092】
そして、実施形態1の場合と同様、二組の締結ボルト12・締結ナット14によって、第1の介挿具110と第2の介挿具210を締結する[第8工程]。このとき、2本の締結ボルト12の一方は、連通されたボルト挿通孔22Aとボルト挿通孔24Aに挿入され、もう一方は、連通されたボルト挿通孔22Bとボルト挿通孔24Bに挿入される。
【0093】
以上により、5枚のスペーサ22と5枚のスペーサ24が、第1リブ板124と第1リブ板224の間に挟みこまれた状態で、第1の介挿具110と第2の介挿具210が締結される。締結された状態で、第1リブ板124、スペーサ24、スペーサ22、および第1リブ板224は密着している。すなわち、締付代Mの分だけ、第1の介挿具110と第2の介挿具210が相互に引き寄せられ、ひいては、第1の引掛具112(第1および第2の鉤状部材114,116)と第2の引掛具212(第1および第2の鉤状部材214,216)が相互に引き寄せられる向きに、引き付けた状態で締結されることとなる。締結後において、第1リブ板124と第2リブ板224の間隔D2は、前記厚みTと等しくなる(D2=T)。
【0094】
上記のように、スペーサ22,24を用いることにより、第1リブ板124、スペーサ24、スペーサ22、および第1リブ板224が密着したときに、締結ボルト12の締付が完了となるため、必要以上に締め付けることを防止できることとなる。
【0095】
<実施形態3>
実施形態1,2では、おもり枠308を構成する第1の縦枠312、第2の縦枠314に引掛ける第1の引掛具112、第2の引掛具212を、それぞれ、二つに分かれた部材(第1および第2の鉤状部材114,116、第1および第2の鉤状部材214,216)で構成した。これに対し、実施形態3に係る、エレベータの釣合おもり用補強器具30(以下、単に「補強器具30」と言う。)では、引掛具を一つの部材で構成している。
【0096】
実施形態3の補強器具30は、実施形態1の補強器具10とは、引掛具および介挿具において、当該引掛具を連結する部分の構成が異なる以外は、基本的に同様である。よって、
図10に示す補強器具30において、補強器具10と同様の構成部分には同じ符号を付して、必要に応じて言及するに留め、以下、異なる部分を中心に説明する。
【0097】
実施形態3に係る補強器具30を構成する第1の引掛具150は、
図10(a)に示すように、ワイヤロープ152を含む。ワイヤロープ152は、例えば、ステンレス製で、その外径が2mmのものが用いられる。ワイヤロープ152の両端部は、環状に曲げられており、端部部分各々は、スリーブ状をしたステンレス製のクランプ管154,156でとめられている(かしめられている)。ここで、クランプ管154,156で止められて形成されたワイヤロープ152の環状部分をそれぞれ、ループ部152A,152Bと称することとする。
【0098】
補強器具30を構成する第1の介挿具158の側板160,162の各々には、その厚み方向に貫通する貫通孔(不図示)が同軸上に開設されており、両貫通孔にシャフト164が挿入されている。側板160,162から突出したシャフト164両端部には、それぞれ、鍔部材166,168が圧入されている。なお、鍔部材166,168の外径は、ループ部152A,152Bが通過できる程度の大きさに設定されている。
【0099】
なお、補強器具30においても、第2の引掛具(不図示)は第1の引掛具150と同様の構成であり、第2の介挿具(不図示)は第1の介挿具158と同様の構成なので、それらの説明については省略する。
【0100】
上記の構成部材を有する補強器具30では、
図10(c)に示すように、第1の縦枠312に第1の引掛具150が第2の縦枠314(
図1)に向かって引掛けられており、第1の縦枠312に引掛けられた第1の引掛具150のループ部152Aが鍔部材168側のシャフト164端部部分に係留され、ループ部152Bが鍔部材166側のシャフト164端部部分に係留されて、第1の引掛具150が第1の介挿具158に連結されている。
【0101】
第1の引掛具150が連結された第1の介挿具110と前記第2の引掛具が連結された前記第2の介挿具(いずれも不図示)が、二組の締結ボルト12・締結ナット14(
図3)によって締結される構成は、実施形態1の場合と同様なので、その説明については省略する。
【0102】
なお、第1の引掛具150の第1の縦枠312への引掛けは、例えば、正面F側からループ部152Aを、ガイドレール304の先端と第1の縦枠312の側面312bとの隙間G1を通して、背面R側へ進入させることにより実現できる。当該方法から明らかなように、実施形態3においても、釣合おもり300(
図1)をガイドレール304,306から外すことなく、第1の引掛具150を第1の縦枠312に引掛けることができる。
【0103】
隙間G1の大きさが8mmの場合、ワイヤロープ152の外径が2mmなので、ワイヤロープ152とガイドレール304の先端との隙間は6mm程度となる。この程度の隙間が空いておれば、釣合おもり300の昇降中に、ワイヤロープ152がガイドレール304(の先端)に接触することはないため、問題は生じない。
【0104】
以上、実施形態3について説明してきたが、実施形態3は、上記したものに限らず、例えば、以下の変形例としても構わない。
(変形例)
(i)上記の例では、第1の縦枠312に第1の引掛具150を1本引掛けたが、これに限らず2本、あるいは3本以上引掛けることとしても構わない。
【0105】
(ii)あるいは、第1の引掛具150を略2倍の長さに変更し、二重にして第1の縦枠312に引掛けるようにしても構わない。すなわち、第1の引掛具150の長さ方向における中央部をシャフト164の鍔部材168側端部に引掛けて折り返し、ループ部152A,152Bを両方共、シャフト164の鍔部材166側端部に係留させても構わない。この場合、第1の縦枠312の側面312b上において、ワイヤロープ152を交差させないことに留意する。ワイヤロープ152とガイドレール304先端の隙間を不必要に狭くさせないためである。
【0106】
(iii)上記の例では、第1の引掛具150の両端をシャフト164に係留するため、ワイヤロープ152の両端部にループ部152A,152Bを形成したが、ループ部152A,152Bに代えて、金属環(不図示)をワイヤロープ152の両端部に接合しても構わない。
【0107】
(iv)上記の例では、第1の縦枠312に引掛けられる第1の引掛具150の主要部に索状体であるワイヤロープ152を用いたが、索状体は、ワイヤロープに限らず、例えば、スチールコード等の心線入りのゴムベルトや炭素繊維からなるベルトを用いても構わない。要は、可撓性を有していて、第1の縦枠312に引掛けることができ、第1の縦枠312に引掛けられて、その側面312bに密着した状態で、ガイドレール304の先端との隙間が、釣合おもり300の昇降に支障をきたすほど小さいものにならないような索状体であれば構わないのである。
【0108】
以上、本発明に係る、エレベータの釣合おもり用補強器具を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態としても構わない。
【0109】
(1)上記実施形態において、釣合おもり300は、複数のおもり片を貫通する通しボルトを有するタイプの釣合おもりであったが、通しボルトを有しない釣合おもりも、補強器具10,20,30による補強の対象となる。例えば、おもり枠を構成する縦枠に取り付けられて、積み重ねられたおもり片の内の最上位のおもり片の上面を下方に向かって押さえる押さえ金具(不図示)を有するタイプの釣合おもりも、補強器具10,20,30による補強の対象(装着対象)となる。
【0110】
(2)上記実施形態では、補強器具10,20,30は、既設の釣合おもりに装着したが、これに限らず、新設する釣合おもりに装着しても構わない。すなわち、釣合おもりに補強器具10,20,30を装着した後、当該釣合おもりをガイドレールにセットしても構わない。
【0111】
(3)上記実施形態では、第1の介挿具110と第2の介挿具210を締結する締結具として、締結ボルト12と締結ナット14を用いたが、締結ナット14に代えて、以下のようにしても構わない。すなわち、第1リブ板124に開設されているボルト挿通孔130,132をねじ穴とし、当該ねじ穴に締結ボルト12を螺合させても構わない。
【0112】
(4)上記実施形態1,2では、第1の介挿具110と第1および第2の鉤状部材114,116とを連結具である連結ボルト142で連結したが、これに限らず、例えば、ブラインドリベット(不図示)で連結しても構わない。この場合、側板120,122に形成したねじ穴134,...,140に代えて、単なる貫通孔(不図示)とする。そして、当該4個の貫通孔と(ボルト挿通)孔1141C,1141D,1161C,1161Dとをそれぞれ連通させた状態で、ブラインドリベットの本体胴部を挿入してかしめるのである。なお、ブラインドリベットで連結しても構わないのは、第2の介挿具210と第1および第2の鉤状部材214,216との連結も同様である。