特許第6465119号(P6465119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465119
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】DINレール用の装置の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20190128BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20190128BHJP
   H02B 1/052 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H05K7/12 S
   H05K5/02 V
   H02B1/052
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-563345(P2016-563345)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2014082798
(87)【国際公開番号】WO2016092660
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250317
【氏名又は名称】理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】万木 則和
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−030264(JP,A)
【文献】 特開平11−054960(JP,A)
【文献】 特開2012−023022(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3187190(JP,U)
【文献】 米国特許第05508886(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 7/12
H05K 7/14
H02B 1/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置をDINレールに併設して取り付ける取り付け構造であって、
前記DINレールに前記装置を取り付ける取り付け面部を備え、
前記取り付け面部は、
前記DINレールを収容可能なDINレール収容溝と、
前記DINレール収容溝の上側縁に設けられ、前記DINレールの上側フランジを把持する爪部材と、
前記DINレールの下側フランジをロック可能に構成されたロック部材と、
前記DINレール収容溝下の斜め方向に沿って形成され、前記ロック部材を収容するロック部材収容溝と、を備え、
前記ロック部材は、前記取り付け面部の一方の側面から突出可能に形成された取っ手部を備え、前記DINレール収容溝の下側縁に進出して前記下側フランジをロックするロック位置と、前記DINレール収容溝の下側縁から離間する解除位置との間で、前記ロック部材収容溝を前記DINレール収容溝下の斜め方向に沿って移動可能に構成され
前記DINレールに設置された前記装置のロック部材が解除位置にあるときに、該装置の取っ手部は、該装置に併設して設置される装置の側部に接触することにより押し込まれ、前記ロック位置に前記ロック部材を移動するように構成されている、取り付け構造。
【請求項2】
前記DINレールに先に設置された設置済装置のロック部材がロック位置にあるときに、前記設置済装置の取っ手部を収容可能な形状を有する取っ手部収容溝が、前記装置の前記取り付け面部の他方の側面に設けられている、請求項1に記載の取り付け構造。
【請求項3】
前記装置のロック部材がロック位置にあるときに、前記装置の取っ手部を収容可能な形状を有する取っ手部収容溝が、前記ロック部材収容溝の一部を構成している、請求項1に記載の取り付け構造。
【請求項4】
前記取り付け構造は、
前記ロック部材を付勢する付勢機構を設け、
前記付勢機構は、前記ロック位置と前記解除位置との間の境界位置において、付勢方向が切り替わるように構成され、前記ロック位置と前記境界位置との間にある前記ロック部材を前記ロック位置に付勢し、前記境界位置と前記解除位置との間にある前記ロック部材を前記解除位置に付勢する、請求項1から3のいずれかに記載の取り付け構造。
【請求項5】
前記取っ手部は、前記ロック部材の移動方向を示す移動方向表示部を有している、請求項1から4のいずれかに記載の取り付け構造。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記ロック部材が解除状態であることを示す解除状態表示部を有し、前記解除状態表示部は、前記ロック部材が解除状態にあるときには見える位置に、前記ロック部材がロック位置にあるときには、前記取り付け面部内に収容されるように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の取り付け構造。
【請求項7】
前記取り付け面部は、前記装置のいずれかの面で構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置をDIN(ドイツ工業規格)レールに取り付ける取り付け構造に関するものである。特に、PLC(プログラマブルコントローラ)、タイマ、カウンタ、温度調節計といった制御機器等の装置をDINレールに取り付けるための取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、制御機器等の装置を取り付けるためのレールとして、DINレールが使用されている。図14は、従来における装置のDINレールへの取り付け状態を示す側面図である。同図に示すように、DINレール1は、断面略コ字状に形成され、開口端部にはフランジ2(2a,2b)がそれぞれ形成されている。DINレール1は、その底面3が壁4に当接した状態で、ネジ等の締結具(図示せず)により壁4に固定されている。
【0003】
また、従来における装置100は、その裏面に爪部材101と、上下にスライド可能なロック部材102とを備えている。図14(a)に示されるように、装置100のロック部材102を矢印Aのように下方に引き下げるとともに、爪部材101をDINレール1の上側フランジ2aに係止させる。この状態で、装置100を矢印Bのように回動させて、装置100の裏面(取り付け面)を壁4に対向させる。そして、図14(b)に示されるように、ロック部材102を矢印Cのように上方にスライドさせて、DINレール1の下側フランジ2bと係合させてロックさせ、装置100をDINレール1に取り付ける。
特許文献1には、この種の取り付け構造を備えたDINレール用の取り付け装置が開示されている。
また、DINレール1に対して、制御機器等の装置を複数併設できるような構造が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−154884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の装置100は、上述のように、ロック部材102が装置100の下側に設けられており、作業者はロック部材102が上方に押し上げられているか否かを装置100の下側から視認しなければならない。このため、DINレール1に対して、ロックされているか否かの判別がし難いという課題がある。
また、従来の装置100をモジュール化して、DINレール1に複数併設する際に、装置100毎にロック部材102を押し上げるロック処理を行う必要があり、設置に手間がかかるという課題がある。そして、ロック処理が不十分な装置100があっても、その隣に別の装置100を併設することができてしまうため、ロック処理が不十分な装置100がガタつきや脱落の原因となる恐れがあった。
【0006】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、DINレールに対して装置がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる、装置の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における、装置をDINレールに取り付ける取り付け構造は、装置をDINレールに取り付ける取り付け構造であって、前記DINレールに前記装置を取り付ける取り付け面部を備え、前記取り付け面部は、前記DINレールを収容可能なDINレール収容溝と、前記DINレール収容溝の上側縁に設けられ、前記DINレールの上側フランジを把持する爪部材と、前記DINレールの下側フランジをロック可能に構成されたロック部材と、前記DINレール収容溝下の斜め方向に沿って形成され、前記ロック部材を収容するロック部材収容溝と、を備え、前記ロック部材は、前記取り付け面部の一方の側面から突出可能に形成された取っ手部を備え、前記DINレール収容溝の下側縁に進出して前記下側フランジをロックするロック位置と、前記DINレール収容溝の下側縁から離間する解除位置との間で、前記ロック部材収容溝を前記DINレール収容溝下の斜め方向に沿って移動可能に構成されている。
【0008】
この発明によれば、前記装置を前記DINレールに取り付ける際に、前記DINレール収容溝の上側縁に設けられた爪部材で前記DINレールの上側フランジを把持し、前記取り付け面部を壁に対向させる。前記ロック部材が解除位置にあるときは、前記取っ手部と前記ロック部材の一部は、前記取り付け面部の一方の側面から大きく突出している。前記ロック部材が、前記解除位置から前記ロック位置へと前記DINレール収容溝下の斜め上方向に沿って移動するに従って、突出していた前記ロック部材の少なくとも一部が前記取り付け面部に隠れる状態になる。このため、作業者は、前記取り付け面部から突出している部分の形状により、ロックされたか否かを容易に判別することができる。
【0009】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記DINレールに先に設置された設置済装置のロック部材がロック位置にあるときに、前記設置済装置の取っ手部を収容可能な形状を有する取っ手部収容溝が、前記装置の前記取り付け面部の他方の側面に設けられているようにしてもよい。
この発明によれば、前記装置の取っ手部収容溝は、前記設置済装置のロック部材が前記ロック位置にあるときに前記設置済装置の取っ手部を収容するため、作業者は、前記設置済装置に前記装置が隙間なく併設されているか否かによって、前記設置済装置がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる。また、前記DINレールに前記装置を複数併設する場合に、前記設置済装置の前記取っ手部を、次に併設する装置の取っ手部収容溝に収容することで、装置の併設処理と設置済装置のロック処理とを並行して行うことができ、最後に併設する装置だけを手動でロック処理を行えば良くなるため、前記設置済装置のロック処理の手間を低減することができる。
【0010】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記装置のロック部材がロック位置にあるときに、前記装置の取っ手部を収容可能な形状を有する取っ手部収容溝が、前記ロック部材収容溝の一部を構成しているようにしてもよい。
この発明によれば、前記装置の取っ手部収容溝は、前記装置のロック部材が前記ロック位置にあるときに前記装置の取っ手部を収容するため、作業者は、前記装置に前記併設された装置が隙間なく併設されているか否かによって、前記装置がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる。また、前記DINレールに前記装置を複数併設する場合に、前記DINレールに先に設置された設置済装置の前記取っ手部を前記装置が押し込むことによって、装置の併設処理と設置済装置のロック処理とを並行して行うことができ、最後に併設する装置だけを手動でロック処理を行えば良くなるため、前記設置済装置のロック処理の手間を低減することができる。また、装置の取っ手部が該装置の取っ手部収容溝に収容されるため、装置の設置後に取っ手部が突出せず、利便性を高めることができる。また、前記取っ手部収容溝にざぐり穴を側面側から掘り下げて設けることで、該ざぐり穴にドライバ等の器具や作業者の手を介して、取っ手部収容溝に収容された取っ手部を引き出し易くすることもできる。
【0011】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記ロック部材を付勢する付勢機構を設け、前記付勢機構は、前記ロック位置と前記解除位置との間の境界位置において、付勢方向が切り替わるように構成され、前記ロック位置と前記境界位置との間にある前記ロック部材を前記ロック位置に付勢し、前記境界位置と前記解除位置との間にある前記ロック部材を前記解除位置に付勢する、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記取っ手部は、前記ロック部材の移動方向を示す移動方向表示部を有している、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記ロック部材は、前記ロック部材が解除状態であることを示す解除状態表示部を有し、前記解除状態表示部は、前記ロック部材が解除状態にあるときには見える位置に、前記ロック部材がロック位置にあるときには、前記取り付け面部内に収容されるように構成されている、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の取り付け構造において、前記構成を備えた上で、前記取り付け面部は、前記装置のいずれかの面で構成されている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、DINレールに対して装置がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1におけるDINレールに装置を取り付ける取り付け構造を示す斜視図であり、(a)は装置の取り付け面側から視た図であり、(b)はその反対側から視た図である。
図2】本発明の実施形態1における取り付け面部を備えた装置を取り付け面側から視た正面図である。
図3】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図4】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図5】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図6】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図7】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図8】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図9】本発明の実施形態1における装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図10】本発明の実施形態1におけるロック部材及びロック部材収容溝の関係を示す説明図であり、(a)はロック部材収容溝の要部を、(b)は解除位置にあるロック部材を、(c)はロック位置にあるロック部材を示す説明図である。
図11】本発明の実施形態1におけるロック部材及びロック部材収容溝の関係を示す説明図であり、(a)は解除位置にあるロック部材を、(b)は境界位置にあるロック部材を、(c)はロック位置にあるロック部材を示す説明図である。
図12】本発明の実施形態2における取り付け面部を備えた装置をDINレールに複数併設する場合の、対象の装置の取り付け方法を示す工程説明図である。
図13図12に示す取っ手部及び取っ手部収容溝を示す拡大説明図である。
図14】従来における装置のDINレールへの取り付け状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、さらに具体的に説明する。図1は、本発明におけるDINレールに装置を取り付ける取り付け構造を示す斜視図であり、(a)は装置の取り付け面側から視た図であり、(b)はその反対側から視た図である。
【0018】
図1に示す装置10は、略直方体形状の制御機器である。DINレール1を収容するために、装置10はその背面側に取り付け面部12を有するハウジング11を備えている。本実施形態では、取り付け面部12側の面を正面として説明する。
取り付け面部12について、図2を参照して説明する。この図に示されるように、取り付け面部12は、平面視長方形状であり、取り付け面部12の長辺方向及び短辺方向にDINレール1を収容するためのDINレール収容溝13、14を形成している。
【0019】
DINレール収容溝14の上側縁には、爪部材21a,21bが設けられ、爪部材21a,21bによってDINレール1の上側フランジ2aを把持するように構成されている。
取り付け面部12は、DINレール収容溝14に収容されるDINレール1の下側フランジ2bを、ロック可能に構成されたロック部材17を備えている。図2に示されるように、ロック部材17は、取り付け面部12に形成されたロック部材収容溝24に収容されている。ロック部材収容溝24は、ロック部材17の厚みの分だけ取り付け面部12よりも掘り下げられている。また、ロック部材17は、DINレール収容溝14の下側斜め方向に形成されたレール状のガイド部23a,23bに沿って、スライドするように構成されている。これにより、ロック部材17は、DINレール収容溝14の下側縁に進出してDINレール1の下側フランジ2bを進出部22bでロックするロック位置と、DINレール収容溝14の下側縁から離間する解除位置との間で、DINレール収容溝14の下側斜め方向に沿って移動可能に構成される。
【0020】
本実施形態1において、ロック部材17及びロック部材収容溝24は、ロック位置と解除位置との間の境界位置において、ロック位置と境界位置との間にあるロック部材17をロック位置に付勢し、境界位置と解除位置との間にあるロック部材17を解除位置に付勢する付勢機構を有している。これについて、図10図11を用いて説明する。これらの図に示されるように、ロック部材17は、板バネ部31と、その先端側に設けられたコマ32とを有している。ロック部材収容溝24の底面は、コマ32に係合可能な解除穴33及びロック穴34を有している。コマ32が解除穴33に係合しているときに、ロック部材17は解除位置にあり、コマ32がロック穴34に係合しているときに、ロック部材17はロック位置にある。
【0021】
図11に示されるように、ロック部材収容溝24は、解除位置35とロック位置37との間に境界位置36を有している。より具体的には、ロック部材収容溝24は、解除穴33とロック穴34との間に、境界位置36を頂点とする凸部を有し、境界位置36と解除穴33との間に解除側スロープ38を、境界位置36とロック側スロープ39を有している。これにより、ロック部材17のコマ32は、境界位置36を境にして解除位置35またはロック位置37のいずれかに付勢されることになる。これについては、図3図11を用いて詳細を後述する。
【0022】
ロック部材17は、取り付け面部12の一方の側面(図2の左側)から突出する取っ手部25を備えている。取っ手部25は、ロック部材17の移動方向(図2の斜め矢印)を示す表示部26を有している。また、取っ手部25には、ドライバ係合穴27が設けられており、ドライバ係合穴27にドライバ(不図示)を係合させて、取っ手部25を移動させることができる。この場合、表示部26にロック部材17の移動方向が示されているため、作業者は移動方向の把握がし易くなっている。
取り付け面部12は、その他方の側面(図2の右側)に、取っ手部25を収容する取っ手部収容溝28を有している。取っ手部収容溝28については、図3図9を用いて詳細を後述する。
【0023】
このように構成された装置10の併設処理について、図3図11を用いて説明する。これらの図は、DINレール1に対して3つの装置10,10’,10’’を併設する過程を示している。図3において、装置10’’は増設対象の装置であり、装置10’はロックが外れた状態の設置済装置であり、装置10はDINレール1に固定された状態の設置済装置である。すなわち、装置10は、爪部材21a,21bと、ロック位置37に位置したロック部材17の進出部22bとでDINレール1に固定されているが、装置10’,10’’のロック部材17’,17’’はDINレール1から離間した解除位置35に位置しており、装置10’,10’’はDINレール1に沿って容易に移動可能となっている。図2に示される装置10は、図3に示される装置10’’の状態に対応している。図3に示される装置10’,10’’は、図10(b)、図11(a)に示される状態に対応している。
なお、装置10,10’,10’’の構造は全て同一であるため、特に区別する必要の無い時には、“’”や“’’”を付さずに説明する。
【0024】
次に、図4に示されるように、装置10’’をDINレール1上でR方向に滑らせて、装置10’に装置10’’を押し付ける。このとき、装置10’’に形成された取っ手部収容溝28’’の下縁30’’の開口端側に、装置10’の取っ手部25’が接触する。
装置10’’の取っ手部収容溝28’’は、装置10’のロック部材17’がロック位置にあるときに、装置10’の取っ手部25’を収容するように構成されている。より具体的には、取っ手部収容溝28’’の収容溝上縁29’’は、ロック位置での取っ手部25’の上縁の高さH1(図2参照)と略一致している。また、取っ手部収容溝28’’の収容溝下縁30’’は、その開口端側が解除位置での取っ手部25’の下縁の高さL0(図2参照)と略一致しており、その基端側がロック位置での取っ手部25’の下縁の高さL1(図2参照)と略一致している。
図5に示されるように、装置10’’をさらにR方向に滑らせていくと、装置10’の取っ手部25’がこれに接触する下縁30’’に沿って押し上げられ、これにより、ロック部材17’が、DINレール1の下側フランジ2bに向かって、ガイド部23a’,23b’に沿って移動する。このとき、ロック部材17’のコマ32’は、解除側スロープ38’に当接し、解除穴33’側に移動するように付勢力が働いている。このため、この状態で装置10’’の押し付けを停止すると、ロック部材17’は解除位置35’に復帰することになる。
【0025】
図6に示されるように、装置10’’をさらにR方向に滑らせていくと、装置10’の取っ手部25’が下縁30’’の基端側に移動し、ロック部材17’のコマ32’がロック部材収容24’を斜め上方に移動して、装置10’のロック部材17’のコマ32’が境界位置36’に到達する。このとき、図11(b)から把握されるように、コマ32’に作用していた解除穴33’側への付勢力は解除される。
そして、装置10’’をさらにR方向に滑らせていくと、装置10’の取っ手部25’が下縁30’’の基端側にさらに移動し、これにより、装置10’のロック部材17’のコマ32’が境界位置36’を越えてロック側スロープ39’に当接する。このとき、コマ32’にはロック穴34’側に移動するように付勢力が作用し、ロック部材17’がロック位置37’まで自動的に移動する。最終的に、図7図10(c)、図11(c)に示されるように、装置10’のコマ32’はロック穴34’に係合し、ロック部材17’はロック位置37’に保持されることになる。このとき、ロック部材17’の進出部22b’でDINレール1の下側フランジ2bをロックする。このように構成することで、装置10’,10’’間に所定の隙間(遊び)があっても、付勢力によって自動的にロックがかかる。
【0026】
本実施形態1では、解除側スロープ38よりもロック側スロープ39の傾斜が大きくなるように形成しており、これにより、ロック位置側への付勢力を強くしている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、解除側スロープ38よりもロック側スロープ39の傾斜が小さくなるようにしてもよく、同じ傾斜となるようにしてもよい。また、傾斜部分にRを付けて連続的に付勢力を変化させてもよい。
【0027】
図8は、装置10’に一度近接させた増設対象の装置10’’をL方向に滑らせて、装置10’から離間させる状態を示している。このとき、装置10’のコマ32’は、装置10’’を装置10’に近接させる動作と上述の付勢力によって、既にロック穴34’に係合しており、ロック部材17’はロック位置37’に保持されたままである。そして、図9に示すように、装置10’’をさらにL方向に滑らせて、装置10’から完全に離間した状態となっても、装置10’のロック部材17’はロック位置37’に保持される。
【0028】
図9の装置10’,10’’等に示されるように、解除位置にあるロック部材17’’は、取っ手部25’’とロック部材17’’の一部が取り付け面部12’’の左側面から大きく突出している。一方、ロック位置にあるロック部材17’は、突出していたロック部材17’の一部が取り付け面部12’に隠れ、取っ手部25’のみが見える状態になる。このため、作業者は、取り付け面部12から突出している部分の形状により、ロックされたか否かを容易に判別することができる。
また、取っ手部収容溝28’’は、ロック位置にある取っ手部25’を収容するため、作業者は、装置10’,10’’が隙間なく併設されているか否かによって、装置10’がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる。また、DINレール1に装置10,10’,10’’を併設していく場合には、次に設置する装置を設置済みの装置に近接させていくことにより、装置10,10’の取っ手部25,25’は、装置10’ ,10’’の取っ手部収容溝28’、28’’に次々と収容されることになる。つまり、近接させる作業によって、装置10’,10’’の併設処理と装置10,10’のロック処理とを並行して行うことができ、最後に併設する装置10’’だけを手動でロック処理を行えば良くなるため、装置10,10’のロック処理の手間を省くことができる。
また、DINレール1から見た取っ手部25と取っ手部収容溝28の形状を統一することで、外観形状の異なる装置であっても併設の利便性を高めることができ、汎用性も確保できる。
【0029】
以上のように、本実施形態1によれば、DINレールに対して装置がロックされているか否かの判別を容易に行うことができ、最後に併設する装置だけを手動でロック処理を行えば良くなるため、装置のロック処理の手間を低減して、併設処理の際に装置のロック処理を確実に行うことができる。
上述した実施形態1の装置10は、DINレール1に複数併設する際に好適な構成を有しているが、単独で設置する場合であっても、ロック状態の認識性に関して顕著な作用効果を有する。
【0030】
本実施形態1においては、DINレール収容溝14は、取り付け面部12に対して非対称な位置、より具体的には、取り付け面部12の短手方向中心線に対して上側にオフセットした位置に形成されている。このようにすることで、ロック部材収容溝24を長くして、ロック部材17を支える強度を確保している。また、取り付け面部12に取っ手部収容溝28を形成できるだけの領域を確保している。
【0031】
次に、本発明の実施形態2における装置40について、図12図13を用いて説明する。ここで、実施形態1と同様に構成された部材については、同一の番号を付してその説明を適宜省略する。
本実施形態2における装置40において、取っ手部収容溝45は、ロック部材収容溝44の一部を構成している。取っ手部収容溝45は、装置40のロック部材41がロック位置にあるときに装置40の取っ手部43を収容することができる。このため、作業者は、装置40,装置40’が隙間なく併設されているか否かによって、装置40がロックされているか否かの判別を容易に行うことができる。また、DINレール1に装置40,40’を複数併設するときに、設置済みの装置40の取っ手部43を、装置40’のフランジ部分(装置40’の取り付け面部42’の右側面部分)で押し込んで、この装置40の取っ手部収容溝45に収容することで、装置40’の併設処理と装置40のロック処理とを並行して行うことができ、最後に併設する装置40’だけを手動でロック処理を行えば良くなるため、装置40’のロック処理の手間を低減することができる。また、装置40,40’の取っ手部43,43’が各装置40,40’の取っ手部収容溝45,45’にそれぞれ収容されるため、装置40,40’の設置後に取っ手部43,43’が突出せず、利便性を高めることができる。
また、取っ手部収容溝45には、図13に示されているようにざぐり穴46が側面側から掘り下げて設けられており、これにより、取っ手部収容溝45に収容された取っ手部43をドライバ等の器具や作業者の手を介して引き出し易くすることができる。
【0032】
本発明は前述した実施形態1,2に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内、または、特許請求の範囲の均等範囲内で、各種の変形実施が可能である。
例えば、上述の実施形態1,2においては、短辺方向のDINレール収容溝14に加えて長辺方向のDINレール収容溝13を取り付け面部12に設けることで、装置10を縦方向のみならず横方向にも取り付けることが可能となっている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではなく、DINレール収容溝13及び14のいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。また、各溝13,14に用意される爪部材20a,20b、21a,21bは、それぞれ2つ以上であってもよい。
また、ロック部材には、取っ手部の内側に解除状態であることを示す解除状態表示部(例えば、UNLOCK等の文字)を、ロック側スロープによる付勢力が及ばない状態で作業者が認識できる位置に設けてもよい。
また、取り付け面部は、装置のハウジングであってもよいし、装置とは別の部材のアタッチメント部材であってもよい。
また、装置の形状は、立方体形状、直方体形状のものが好ましいが、これに限らず、DINレールに取り付け可能なものであれば、他の形状のものであってもよい。
また、ロック部材を同一の装置に複数設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…DINレール、2(2a,2b)…フランジ、3…底面、4…壁、10…装置、
11…ハウジング、12…取り付け面部、13…長辺方向のDINレール収容溝、14…短辺方向のDINレール収容溝
17…ロック部材、20a,20b…爪部材、21a,21b…爪部材、
22a…長手方向進出部、22b…短手方向進出部、23a,23b…ガイド部、
24…ロック部材収容溝、25…取っ手部、26…表示部、27…ドライバ係合穴、
28…取っ手部収容溝、29…収容溝上縁、30…収容溝下縁、31…板バネ部、
32…コマ、33…解除穴、34…ロック穴、35…解除位置、36…境界位置、
37…ロック位置、38…解除側スロープ、39…ロック側スロープ、
40…装置、41…ロック部材、42…取り付け面部、43…取っ手部、
44…ロック部材収容溝、45…取っ手部収容溝、46…ざぐり穴、
100…装置、101…爪部材、102…ロック部材

図1
図2
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