【文献】
西田 公至,丸山 朗,発光ダイオードを用いた音場の可視化測定方法,日本機械学会論文集C編,日本,一般社団法人 日本機械学会,1985年,51巻461号,223−227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の様に、これまでにも空間内の波や場、流れ、微粒子、ガスなどを測定したり把握したりしようとする試みは幾つか存在するものの、検知対象の強弱や大小、あるいは方向や勾配までも映像化し光学映像に重ねて視覚的にとらえるための簡便かつ直観性に優れる方法は存在しなかった。
【0009】
この点、非特許文献1の方法は、設備が大掛かりであり、個人的な使用はできなく、さらに、単に音場の存在を光跡として表示するものであり、背景や発生源などの光学映像に重ねて表示することは想定されていない。
【0010】
一方、たとえば、空間中に存在する電界、磁界などの物理量、非可視光(赤外線、紫外線)、空気環境(温度、湿度、気流など)、放射線・放射線源、空中物質環境(超微粒子など)は、視覚的に把握できず、不便、不具合を感じても対策が講じられないことがある。
【0011】
先ず、電界・磁界にあっては非可視であるとともにその場を感じることができないため、次のような問題がある。
【0012】
たとえば、電位治療器で治療をする場合、電界が非可視であると共に体感度合いは微弱で更に個人差もあるため、被治療者としては電位治療の効果や、電位治療器の仕様毎の電界分布特性を可視的に理解できないこと、また治療者としては電界分布が最適となるような配置調整が困難なことにより、治療効果を使用者個々に最大にする事が困難との問題があった。
【0013】
また、電界又は磁界に過敏に反応してしまう電磁界過敏者やペースメーカー使用者などが、電気製品、電子製品等の電磁界発生源に不用意に近づいたり、電力設備など高電圧を取り扱う場において誤って機器(高電圧部)に触れたりすることで、健康障害や事故を引き起こす恐れがある。
【0014】
さらに、電子製品の製造・取扱現場などにおいては、電子製品及び人体などが帯電することにより、電子機器の誤作動や部品の損傷などの問題が発生するが、帯電の有無にかかわらず、いちいち除電作業を行うことは非常に面倒であるが、それを確認する簡便な方法、手段もなかった。また、構成ユニットから発生する不要電磁界による電子製品の誤動作を防止する場面においても、不要電磁界の有無や影響を確認する簡便な手段もなかった。
【0015】
この点、先願特許における電界検知出力装置は、ハンディタイプの検知手段を実現したことにより、極めて手軽に電界の強弱を把握することができるようになったが、これ単体では、現在当該装置が存在する位置の電界の存否を局所的に把握することしかできず、事後的に電界の分布状態を客観的に確認することができなかった。
【0016】
次に、たとえば赤外線、紫外線などの非可視光については、赤外線は温度上昇をもたらすが、室内においてその状況が不明であると、置かれた什器、機材や動植物への熱的な効果や影響を把握することはできない。また、紫外線においても、その場の状況が不明であると、置かれた什器、機材や動植物、人間の皮膚などへの悪影響を把握できず、殺菌装置にあっては適量な照射量があるか否かを把握することもできない。
【0017】
また、温度、湿度、気流などの空気環境は、感じることはできてもその感度は客観性を有さず分解能も不十分である。また、空間の小範囲での検出しかできず、全体を把握するためには、すべての箇所を測定して記録して全体を把握しなければならない。
【0018】
また、放射線(α線、β線、γ線、中性子線など)も見えない場として存在する。これらは人体に著しい影響を及ぼすものであり、それぞれの検知装置はあるが、その検知位置でしか測定できず、場の全体を把握することはできなかった。
【0019】
さらに、PM2.5や花粉、あるいは有害ガス(有機溶媒揮発成分、オゾン、生産用ガス、実験用ガスなど)、可燃性ガス、香気(臭気)などの空中物質環境があり、これらも非可視であるうえ、人体に悪影響を与えたりするものが多い。しかしながら、これらもそれぞれの検知装置はあるが、その検知位置しか測定できず、場の全体を把握することはできなかった。
【0020】
このように、空間中に存在する様々な対象は、その強度や大小、さらには向きや勾配を視覚的に把握することが有効であるが、これを限られた時間内で簡便かつ正確に実現できる装置や方法は存在しなかった。
【0021】
そこで、この発明は、空間内に存在する対象を検知して、光学映像に重ねて一画面上に表示するための、簡便性、直観性に優れる検知対象の可視化装置および可視化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、空間中の検知対象の可視化装置であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する、持ち運び自在な検知手段と、前記検知手段を、所定の経路で走査させる走査手段と、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像を記録する表示手段を備え
、前記検知対象は、環境電磁界である、ことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、空間内に存在する場などの検知対象物が検知手段によって検知された場合、発光信号として外部に表示される。そして、当該検知手段を空間内で走査をして、その様子を撮影手段で継続的に撮影する。
【0025】
また、請求項
2に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化装置であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段と、前記検知手段を、所定の経路で走査させる走査手段と、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像を記録する表示手段を備え、前記検知対象は、空気環境である、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項
3に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化装置であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段と、前記検知手段を、所定の経路で走査させる走査手段と、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像を記録する表示手段を備え、前記検知対象は、放射線である、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項
4に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化装置であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段と、前記検知手段を、所定の経路で走査させる走査手段と、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像を記録する表示手段を備え、前記検知対象は、環境物質である、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項
5に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化装置であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段と、前記検知手段を、所定の経路で走査させる走査手段と、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像を記録する表示手段を備え、前記検知対象は、電位治療装置から発せられる電界である、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項
6に記載の発明は、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の可視化装置において、前記検知手段が発する光の色または強弱は、検知対象の強弱や大小、向き、傾斜、あるいは閾値により変化する、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項
7に記載の発明は、請求項
1または
5のいずれか1項に記載の可視化装置において、前記検知対象が電界である場合において、前記検知手段は電界検知出力装置である、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項
8に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化方法であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段を、所定の経路で走査させ、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影し、前記画像を記録し、前記検知対象は、環境電磁界である、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項
9に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化方法であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段を、所定の経路で走査させ、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影し、前記画像を記録し、前記検知対象は、空気環境である、ことを特徴とする。
【0034】
また、請求項
10に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化方法であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段を、所定の経路で走査させ、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影し、前記画像を記録し、前記検知対象は、放射線である、ことを特徴とする。
【0035】
また、請求項
11に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化方法であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段を、所定の経路で走査させ、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影し、前記画像を記録し、前記検知対象は、環境物質である、ことを特徴とする。
【0036】
また、請求項
12に記載の発明は、
空間中の検知対象の可視化方法であって、空間中に検知対象の存在や方向・濃度勾配を検知した場合に、所定の色や強度に発光する持ち運び自在な検知手段を、所定の経路で走査させ、前記検知手段の走査中の発光状態を一画像上で撮影し、前記画像を記録し、前記検知対象は、電位治療装置から発せられる電界である、ことを特徴とする。
【0037】
また、請求項
13に記載の発明は、請求項
8ないし
12のいずれか1項に記載の可視化方法において、前記検知手段が発する光の色または強弱は、検知対象の強弱、大小、向き、傾斜、あるいは閾値により変化する、ことを特徴とする。
【0038】
また、請求項
14に記載の発明は、請求項
8または
12のいずれか1項に記載の可視化方法において、前記検知対象が電界である場合において、前記検知手段は電界検知出力装置である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項
1〜5、8〜12に記載の発明によれば、空間内の検知対象は、小型・軽量で持ち運び自在の検知手段を用い、検知対象を検知させて発光させながら、空間内を移動・走査をして、その経路を継続的に一画面上に撮影をすることで、簡便かつ迅速に精度よく空間内の検知対象の存在、分布、強度、方向等の諸情報を光学映像に重ねて一画面上の図として表示、記録をすることが可能になる。
【0040】
また、請求項
1、8に記載の発明によれば、環境電磁界を可視化して、一画面上に撮影をすることで、簡便かつ迅速に精度よく空間中の環境電磁界の存在や性質を把握して、治療効果の維持・向上や電子機器の誤作動や部品の損傷の抑制、強い電界や磁界による事故や健康障害の予防が可能となる。
【0041】
また、請求項
2、9に記載の発明によれば、空気環境を可視化して、一画面上に撮影をすることで、場の全体を簡便かつ迅速に精度よく把握することが可能になる。
【0042】
また、請求項
3、10に記載の発明によれば、放射線・放射源を可視化して、一画面上に撮影をすることで、放射線・放射源が存在する場の全体像を、簡便かつ迅速に精度よく把握して、人体への影響を最小限に抑える対策を未然に講ずることが可能になる。
【0043】
また、請求項
4、11に記載の発明によれば、環境物質を可視化して、一画面上に撮影をすることで、人体に悪影響のある物質などの分布を、場の全体像を、簡便かつ迅速に精度よく把握することが可能となる。
【0044】
また、請求項
5、12に記載の発明によれば、電位治療装置から発せられる電界を可視化することで、治療の際の機器の設定や設置場所の最適化や規格化をすることができ、さらには被治療者自らが電界の存在を視覚的に確認して、治療の状態を実感することが可能となる。
【0045】
また、請求項
6、13に記載の発明によれば、検知対象の強弱、大小により、検知手段の発する光の強弱や色が変わってくるので、検知対象の存在を、より具体的定量的に可視化することが可能となる。
【0046】
また、請求項
7、14に記載の発明によれば、電界検知出力装置を検知手段として使うことで、電界の大きさや分布に加え、電界の向きについての簡便で正確な可視化が可能となる。さらに、電界検知出力装置は、絶縁体で構成された把持部を把持した状態で、電界内に出し入れできるので非侵襲性に優れており、電界内に挿入したときに、電界を大きく乱すことなく、検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0049】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る、空間中の検知対象の可視化装置の概略構成図を示している。
【0050】
可視化装置1は、空間S内に配置した、発光手段を備える検知手段2と、該検知手段2を保持して、空間S内を所定の経路で走査する走査手段3と、検知手段2の走査中の発光状態を一画像上で撮影する撮影手段4と、撮影手段4で撮影した画像を記録する表示手段5とを備える。
【0051】
また、空間Sには、検知対象(図示略)を発生させる発生源6が設置されている。
【0052】
検知手段2が検知対象を検知したときに発せられた光は、後述する撮影手段4によって撮影され、表示手段5に表示される。
【0053】
検知手段2は、
図2の概略構成ブロック図に示すように、センサ21と発光素子駆動回路22と発光素子23で構成されており、センサ21が検知対象の存在を検知すると、電気信号が発生し、その電気信号が発光素子駆動回路22に送信され、発光素子23が点灯する。センサ21は、後述するように、検知対象に応じて、適したものを使用する。発光素子駆動回路22には、目的に応じて線形回路、非線形回路、閾値回路などが用いられる。
【0054】
また、発光素子23には、LED(Light‐Emitting‐Diode)や有機EL(Electro−Luminescence)、半導体レーザー発振素子、液晶表示器などが使用され、その発光強度や光の色は、検知対象の強弱や大小、あるいは閾値によって変化するようになっている。また、その発光の態様は、光り方としては点灯や点滅、光の形状としては、点状、線状または面状、光の種類としては、可視光、非可視光が考えられる。
【0055】
走査手段3を構成する部品の素材は、検知対象に応じて、適切なものを選択する必要がある。例えば、検知対象が環境電磁界の場合、金属製のロープやレールを使用すると、それにより環境電磁界が乱されてしまうので、非金属の素材を選択する。
【0056】
走査手段3は、本実施の形態1では、空間S内に架設されたロープやレールなどでできた走査経路3Aに、検知手段2を保持する保持部(図示略)を備える。保持部は、走査経路3Aに沿って、空間S内を
図1中の上下矢印方向に自在に移動でき、検知手段2の連続的移動を可能にする。また、人Mの影響を防ぐために、人Mと走査面との距離を確保するために十分な長さを有するものとする。また、走査経路3Aの下端は、水平移動用レール3Bに
図1中の左右矢印方向に移動自在に取り付けられており、検知手段2の横方向への連続的移動を可能にする。検知手段2の移動は、人Mの手によって行うものとする。
【0057】
撮影手段4は、長時間露出撮影、インターバル撮影、微速度撮影(タイムラプス)、多重露出撮影などを含む、光の軌跡を撮影できるモードを有するカメラであって、表示手段5はハードディスクやメモリ等であり、撮影手段4で撮影した画像は、表示手段5に送られて表示される。通常撮影手段4は、表示手段5と一体に構成されている。ここで、表示手段5は、表示した画像のデータを記憶する機能も備える場合がある。また、撮影手段4は、図の矢印の向きから、空間Sの一面を一方向から撮影している。また、カメラの機能として、可視光の光学像を記録し、対象の映像と重畳させることも含む。
【0058】
発生源6は、空間S内に設置され、検知対象を発生させて空間S内に放射・拡散・浸み出し・対流・伝搬させる。ここで、検知対象は、環境中の電界Eや磁界、または非可視光である赤外線や紫外線を含む環境電磁界、温度や湿度といった空気環境、PM2.5や花粉、あるいは有害ガス、可燃性ガス、香気などの環境物質、α線、β線、γ線、中性子線、X線、ガンマ線などの放射線や放射線源を対象とする。
【0059】
次に、このような可視化装置1の作用および可視化装置1による、空間S中の検知対象の可視化方法について説明する。
【0060】
検知手段2のセンサ21には、環境電磁界であれば、後述する電界検知出力装置30の他、磁気センサ、電界センサ、紫外線センサ、または赤外線センサなどであり、空気環境であれば電子式の温湿度計、環境物質の場合は、それぞれの物資やガスの濃度を検知するセンサ、放射線であればガイガーカウンターやシンチレーション検出器、X線測定器のように、検知対象や検知の目的に適したものを選ぶ。
【0061】
検知手段2を走査手段3の保持部に固定し、発生源6より検知対象の発生を開始する。
【0062】
次に撮影手段4を、光の軌跡を撮影できるモードに設定して撮影を開始すると同時に、表示手段5で撮影された画像の記録を開始する。
【0063】
ここで、空間Sの明るさは、検知手段2から発光された光が、空間Sの明るさに埋もれてしまい、画面上で判別できなくならない程度に、照明を調整する。あるいは、発光の波長を非可視光とし、フィルタを用いることにより、照明の調整を省略する。
【0064】
検知手段2を、適当な速度で走査経路3Aに沿った上下移動と、走査手段3Bに沿った水平移動をさせながら、検知手段2が検知対象を検知したときに発する光の軌跡を、撮影手段4で一画面上に撮影・記録する。走査経路は、目的に応じて変化させるため、本例のようなxy二次元平行走査に限定されない。
【0065】
このように、本実施の形態1に係る発明によれば、小型・軽量で持ち運び自在の検知手段2を用い、検知対象を検知させて発光させながら、空間S内を移動・走査をして、その経路を継続的に背景映像などの光学映像に重ねて一画面上に撮影をすることで、簡便かつ高精度に空間S内の環境電磁界、空気環境、放射線、環境物質の存在、分布、強度、方向等の諸情報を、視覚的に把握することが可能になる。
【0066】
(実施の形態2)
図3から
図7は、この発明の実施の形態2を示している。この実施の形態2では、電界検知出力装置30を用いた、電位治療装置40近傍の電界Eの可視化を行う。
【0067】
なお、実施の形態2〜6では検知手段2として、電界検知出力装置30を用いるが、これに限られず、電界Eを検知して、その強度や方向に応じて発光する機能を有する装置であれば、同様の形態の実施が可能である。
【0068】
図3、
図4は、実施の形態2における検知手段2である、電界検知出力装置30である。電界検知出力装置30は、上述したように、先願特許において、本願発明者により提案されたものであり、空間S中の電界Eを検知すると、その強度と方向に応じ、本体に備えられた発光素子が発光するものである。
【0069】
電界検知出力装置30は二枚の電極31と32を、平行に一定の間隔をおいて固定する。当該装置には、複数のLED等の発光素子33と絶縁体で構成された把持部34とそれを延長するロッドが備え付けられており、操作者は、これを把持することで、発光素子33の光を観測する。
【0070】
両電極31、32は、電池35と、仮想接地型電流検出器36と、発光素子33とで構成された回路で接続されるとともに、使用中には開放し、未使用状態では閉じた状態にある開閉式のスイッチ37によっても、接続される構成となっている。ここで、電池35は、発光素子33と仮想接地型電流検出器36に電力を供給する役割を担う。
【0071】
電界検知出力装置30は、電界Eの強さに依存して回路に流れる電流が変化し、発光素子33の点灯する数が、備えられている発光素子33の数の範囲内で増減する機構になっている。すなわち、検知対象である電界Eの強弱により、検知手段2である電界検知出力装置30の光の強さも変化することになる。ここで、後述するように、電界検知出力装置30を電界E内に配置したとき、電気力線の向きに対して、電極31、32の面が垂直に近ければ、より強い電界Eが電極31、32を通るので、多くの発光素子33が点灯し、水平に近くなるにつれて、電極31、32を通る電界Eは弱くなるので、発光する発光素子33の数は少なくなる。
【0072】
図5は、この実施の形態2における、検知対象の発生源6である、電位治療器40の概略斜視
図40Aと、側面
図40Bである。電位治療器40は、椅子状の形状をしており、上部電極41、座部電極42、下部電極(アース)43に仕込まれた3枚の電極を備えている。被治療者は椅子に着座して、上部電極41と座部電極42の間に発生する電界E内に身体を置くことで、治療を受ける。
【0073】
図6は、この実施の形態2における、振り子式走査手段50を示す概略図である。
【0074】
振り子式走査手段50は、把持部51、ガイドロープ52、電界検知出力装置30を保持する保持部53、自動巻き取り器54、アンカー55で構成されており、アンカー55は、電位治療装置40の上部電極41の中央付近に接続される。
【0075】
ここで、上述のように、振り子式走査手段50のガイドロープ52などの構成部品の素材は、検知対象である電界を乱さないように、樹脂やプラスティックなどの非金属素材を選択した。
【0076】
次に、本実施の形態2による作用、及び電位治療装置40周辺の電界Eの可視化方法について説明をする。
【0077】
先ず、撮影手段4と表示手段5、及びその使用方法は、実施の形態1と同様である。撮影手段4は、電位治療装置40の側面40Bの方向から撮影をした。
【0078】
操作者は、把持部51をもって、ガイドロープ52に張力をかけながら、保持部53を移動させる。保持部53には、電界検知出力装置30の把持部34が固定されている。ここで、電界検知出力装置30は、電極31、32の面が、ガイドロープ52伸長方向に垂直に向くように固定する。
【0079】
ガイドロープ52の長さは、自動巻き取り器54により、ガイドロープ52に係る張力に応じて、伸び縮みする。つまり、操作者が、把持部51を移動させると、保持部53は、把持部51が描く円弧と同一平面内において、
図6中の破線矢印と同じように円弧を描く。
【0080】
操作者は、振り子式走査手段50を、その可動限界である約120°の範囲で下から上に向かって一定の速度で回動運動をさせ、上端に達したならば、把持部51を引っ張り、自動巻き取り器54により、ガイドロープ52を所定の量伸ばし、先ほどと同心円状に円弧を描きながら、振り子式走査手段50を下に向かって、適当な速度で回動させる。
【0081】
このように、電界E内で電界検知出力装置30を取り付けた振り子式走査手段50の上下の回動と、ガイドロープ52の伸長を繰り返して、その様子を撮影手段4で一画像上に撮影した。ここで、撮影中は、電界検知出力装置30の光跡のコントラストを向上させるために、空間Sの照明の照度を低下させた。
【0082】
図7は本実施の形態2による、電位治療装置40周辺の電界Eの可視化結果を示す図面代用写真であり、電界Eの強度分布が光跡および光の強度変化として可視化されている。
【0083】
ここで、本写真の左隅には、映像化の開始前に撮影した空間Sの光学像であり、光跡撮影のための低照明による光学像の劣化を補っている。以降に示す図面代用写真でも、同様の表示をする。
【0084】
(実施の形態3)
図8、9はこの発明の実施の形態3を示している。実施の形態3は、走査手段3と走査経路3Aが異なる以外は、実施の形態2と同様である。
【0085】
図8は、この実施の形態3における、一輪車式走査手段60を示す概略図である。
【0086】
一輪車式走査手段60は、車輪61と、車軸62、把持部51、ガイドロープ52、保持部53と、一対の自動巻き取り器54、及び一対のアンカー55から構成されており、保持部には、電界検知出力装置30が固定されている。
【0087】
車輪61の中心には貫通穴が開口されており、当該貫通穴には車軸62が差し込まれており、車輪61は、車軸62を中心に回転することができるようになっている。また、車軸62には、この実施の形態3の保持部53が、垂直に接続されている。保持部53には電界検知出力装置30の把持部34が取り付けられるようになっている。
【0088】
車軸62の両端には、それぞれガイドロープ52がつけられている。また、ガイドロープ52には実施の形態2と同様に、自動巻き取り器54とアンカー55が取り付けられており、アンカー55は、電位治療器40の背面の壁に固定されており、走査中、一輪車式走査手段60の走査経路3Aが安定するようになっている。また、車軸には、一輪車式走査手段60の把持部51が設けられている。
【0089】
この実施の形態3において、電界検知出力装置30は、上述の通り、保持部53に、その把持部34を固定してとりつけるが、このとき、電界検知出力装置30の電極31、32は、その面が車輪の側面と垂直方向に向くような向きでとりつける。すなわち、電極31、32の面は、一輪車の進行方向(破線の矢印)に垂直に面して取り付けられる姿態になる。
【0090】
次に、本実施の形態3による作用、及び電位治療装置40周辺の電界Eの可視化方法について説明をする。
【0091】
先ず、撮影手段4と表示手段5、及びその使用方法は、実施の形態2と同様である。撮影手段4は、電位治療装置40の側面40Bの方向から撮影をした。
【0092】
被治療者Pを電位治療器40に着座させた状態で、電位治療器40を起動させ、電界Eを発生させる。
【0093】
操作者は、把持部51をもって、ガイドロープ52に張力をかけながら、一輪車を動かして、一輪車式走査手段60を、被治療者Pの身体の起伏線に沿って頭頂部から足元に向けて、適当な速度で移動させる。
【0094】
このように、電界E内で電界検知出力装置30を取り付けた一輪車式走査手段60を走査させ、その様子を撮影手段4で一画像上に撮影した。ここで、撮影中は、電界検知出力装置30の光跡がはっきりと見えるように、部屋の照明の照度を調整した。
【0095】
図9は本実施の形態3による、電位治療装置40周辺の電界Eの可視化結果を示す図面代用写真であり、電位治療装置40周辺及び電位治療装置40内の人体周辺の電界Eの強度分布が光跡および光の強度によって示されている。
【0096】
(実施の形態4)
図10から
図12は、この発明の実施の形態4を示している。実施の形態4は、走査手段3と走査経路3Aが異なる以外は、実施の形態2と同様である。
【0097】
図10は、この実施の形態4における、走査手段3である、差し込み式走査手段70を示す概略図である。
【0098】
差し込み式走査手段70は、一片が数10cmであり、厚さが数cmの直方体形状をしており、プラスティックなどの軽く、表面が滑らかな素材でできている。差し込み式走査手段70の面内には、任意の数の貫通穴71が開口されている。貫通穴71は、電界検知出力装置30の把持部34が、滑らかに回転できるような大きさにされており、電界検知出力装置30を、把持部34を軸として、
図10中の曲線の矢印方向に回転して使用できるようになっている。また、差し込み式走査手段70の側面は滑らかであり、これ自体を、例えば
図10中の直線の矢印の向きにスライドさせるなど、任意の方向に走査できるようにもなっている。
【0099】
次に、本実施の形態4による作用、及び電位治療装置40周辺の電界Eの可視化方法について説明をする。
【0100】
図11は本実施の形態4に係る、差し込み式走査手段70の走査方法を示している。
【0101】
紙面の左から右に向かう電界Eの存在する空間Sで、電界検知出力装置30を差し込み式走査手段70に設置し、把持部34の向きが電界Eの向きと垂直方向を向くように、差し込み式走査手段70を配置する。この状態で把持部34軸にして、時計回りに回転させたときの、電界検知出力装置30の、発光素子33の45°ごとの回転動作の分解図が80A〜80Hである。
図11においては図の簡略化のため、発光素子33以外の電界検知出力装置30の構成要素の図示を省略した。
【0102】
まず、電極31、32の面が、電界Eと垂直に向いているとき(80A)、発光素子に流れる電流は最も大きくなるので、発光素子33は全て点灯する。また、電極31、32の面が、電界Eに対して傾いている状態(80B)では、発光素子33に流れる電流は、弱くなるので、発光素子33は一部のみ(図では2個)が点灯する。さらに、電極31、32の面が、電界Eと水平に向いた場合(80C)には、発光素子33には電流は流れないため、発光素子33は何れも点灯しない。以降これと同様に、電極31、32が電界Eに対して傾いているとき(80D)は、80Bと同様2個、垂直のとき(80E)のときは4個、傾いているとき(80F)は2個、水平のとき(80G)は0個、傾いているとき(80H)は2個の発光素子33が点灯をする。なお、
図11中では、説明の簡略のために、80B、80D、80Fにおいて、電極31、32と電界Eのなす角が約45°のとき、発光素子33の発光数が半分になるように示したが、正確には発光素子33の発光数は、電界Eと電極31、32のなす角に比例するものではなく、余弦関数に依存して変化をする。
【0103】
電界E内で電界検知出力装置30を取り付けた差し込み式走査手段70を走査して、その様子を撮影手段4で一画像上に撮影した。ここで、撮影中は、電界検知出力装置30の光跡がはっきりと見えるように、部屋の照明の照度を調整した。また、測定箇所(電界検知出力装置30を回転させる点)は、一箇所ではなく、電位治療装置40の周辺で数十箇所、測定を行った。
【0104】
図12は本実施の形態4による、電位治療装置40周辺の電界Eの可視化結果を示す図面代用写真である。前述の通り、電界検知出力装置30は電極31、32に平行に電気力線があたったとき、発光しないので、リング状の光跡において、それぞれ、円周上の向かい合わせの位置に、2箇所光跡が途切れている断線箇所があるが、電極31、32と電気力線が平行になったところである。すなわち断線箇所をつないだ線(
図12中の矢印)が、電界Eの方向である。
【0105】
これらのように、実施の形態2〜4によれば、簡便な設備と方法により、電界治療装置40から発する電界Eを可視化することで、その存在や強弱、空間中の分布などを客観的に把握することができる。また、走査手段3を、目的に応じて取り替えるだけで、場の存在や方向・強度勾配を把握することが可能になる。
【0106】
(実施の形態5)
次に
図13は、この発明の実施の形態5であるパソコンのハードディスク周辺の環境電磁界である電界Eと、室内の壁面周辺の環境電磁場である電界を可視化した、図面代用写真である。実施の形態5は、発生源6と、走査手段3と走査経路3Aが異なる以外は、実施の形態2と同様である。
【0107】
検知手段2は、電界検知出力装置30を用いた。走査手段3としては、差し込み式走査手段70を使用した。走査経路3Aは、電界検知出力装置30の把持部34を差し込み式走査手段70の貫通穴71に挿入した状態で、差し込み式走査手段70を、ハードディスクの上方で
図10中の直線の矢印の方向に左右にスライドさせた。
【0108】
図13には、ハードディスクの上方の環境電磁界である電界Eがハードディスクから離れるにつれて弱くなって行く様子が、電界検知出力装置30の光によって可視化されている。
【0109】
(実施の形態6)
次に
図14は、この発明の実施の形態6である、室内の壁面周辺の環境電磁場である電界Eを可視化した、図面代用写真である。実施の形態6は、発生源6と、走査手段3と走査経路3Aが異なる以外は、実施の形態2と同様である。
【0110】
検知手段2は、電界検知出力装置30を用い、これを持った人の手を、壁面上の所定の走査経路に沿って走査することを走査手段3とした。
【0111】
図14には、壁面から漏れ出している電界Eの、場所ごとの強度の違いが、電界検知出力装置30の光として、可視化されている。この壁面から漏れ出ている電界Eの発生源は、壁内に埋設された屋内配線コードによるものが考えられる。
【0112】
このように、実施の形態5,6によれば、パソコンのハードディスク周辺や室内の壁面周辺の環境電磁界を可視化して、その存在や強弱、空間中の分布などを客観的に把握することができる。
【0113】
以上のように、この発明によれば、空間S内の検知対象は、小型・軽量で持ち運び自在の検知手段2を用い、検知対象を検知させて発光させながら、空間S内を移動・走査をして、その経路を継続的に一画面上に撮影をすることで、簡便かつ高精度に空間S内の検知対象の存在、分布、強度、方向等の諸情報を背景映像などの光学映像に重ねて一画面上の図として表示、記録をすることが可能になる。
【0114】
また、人間が視覚的に把握できない環境電磁界、空気環境、放射線、環境物質などの環境や人体に影響のある対象を可視化して、事故や障害への対策を、未然に講ずることが可能となる。
【0115】
さらに、電位治療装置40の周辺に分布する電界Eを可視化することで、治療の際の機器の設定や設置場所の最適化や規格化をすることができ、さらには被治療者自らが電界Eの存在を視覚的に確認して、治療を実感することが可能となる。
【0116】
さらには、検知対象の強弱、大小により、検知手段2の発する光の強弱や色が変わってくるので、検知対象の存在を、より具体的・定量的に可視化することが可能となる。
【0117】
また、電界検知出力装置30を検知手段2として使うことで、電界Eの大きさや分布に加え、電界Eの向きについての簡便で正確な可視化が可能となる。さらに、電界検知出力装置30は、絶縁体で構成された把持部34を把持した状態で、電界E内に出し入れできるので非侵襲性に優れており、電界E内に挿入したときに、電界Eを大きく乱すことなく、検知することができる。
【0118】
以上、この発明の実施の形態1〜6について説明したが、具体的な構成は、各実施の形態1〜6に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の各実施の形態においては、専ら検知対象が電界Eの場合について説明したが、検知対象はこれに限られず、検知手段2のセンサ21がその存在を検知して、電気信号に変換することができるものであれば、同様に可視化が可能である。また、発生源が空間Sの外部に存在し、空間Sに侵入する場合にも適用可能である。
【0119】
また、振り子式走査手段50、一輪車式走査手段60、差し込み式走査手段70の用途は、以上の各実施の形態中で使用した発生源6や検知対象に限られるものではなく、検知手段2との組み合わせで、他の検知対象である環境電磁界、空気環境、放射線、環境物質に対しても使用可能である。
【0120】
また、以上の各実施の形態では検知手段2の走査には、走査経路3Aは専ら治具を使用して一定の経路を保持したが、経路の厳密性をそれほど求めない場合には、直接人の手で一定範囲の経路を走査してもよいし、一方で、経路と走査速度を常に一定に保つ場合には、アクチュエーター等を使用して、機械的に走査することも可能である。
【0121】
さらに、実施の形態1から6においては、検知手段2の走査は専ら撮影手段4に対面して、平面的な移動を行ったが、これに奥行き方向の移動を加え、立体的な移動を行ってもよい。また、この際撮影は、一個の撮影手段4により、撮影することに限られず、撮影手段4を複数用いて、多角的に撮影を行うことで、平面だけではなく、立体的に空間S中の検知対象を可視化して、より客観的に高精度な把握が可能となる。