【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、外管をシールグラウト中に位置せしめ、かつ外管を覆う被覆膜が長くても、またシールグラウト外側の地盤に硬軟な層があっても、またセメント系グラウト等、強度の高いグラウトを一次注入した後の地盤でも弾性被覆膜を面圧で膨出して、弾性被覆膜の区間に対応する長さのシールグラウトに確実に亀裂を生じせしめて、地盤に注入液を所定の被覆膜の区間に浸透しめて、また繰り返し注入や一次注入、二次注入による複合注入を可能にして前記先願発明の問題を解決し、背景技術の項に記載した要求に応えた、以下の技術を提供するものである。
【0015】
以下に本発明を請求項と図と対応させて説明する。
(請求項1)
図1・
図2・
図3・
図4・
図5・
図6・
図7・
図8・
図9
地盤に形成された削孔(2…削孔)内に設置して該削孔周囲の地盤中に注入材を注入するための注入管を備えた地盤注入装置(A…注入管装置)において、
前記注入管は削孔内に充填したシールグラウト(3…シールグラウト)内に固定される注入外管(4…注入外管)と該注入外管に挿入して上下に摺動する一本又は複数本の注入液送液管路(11…注入液送液管路)を有する注入内管(5…注入内管)からなり、
該注入外管は注入液外管吐出口(6…外管吐出口)と該外管の外周に管軸方向に該注入液外管吐出口を覆い、管軸方向に多数分布する表面吐出部(7…表面吐出部)を有する断面円形状に所定長被覆する、一つ又は複数の長尺弾性被覆膜(8…長尺弾性被腹膜)から構成され、該長尺弾性被覆膜は所定長の両端を注入外管に固着材(9…固着材)によって閉束されてなり、
該表面吐出部は該長尺弾性被覆膜の弾性によって加圧時には開口し、非加圧時には閉束してなり、該注入内管は上下を流体圧によって膨縮する複数の内管パッカ(10…内管パッカ)によってはさまれた内管吐出口(12…内管吐出口)からなる内管注入部(13…内管注入部)を一つ又は複数有してなり、
注入液の注入に際しては内管注入部が注入外管の外管吐出口に位置して、該内管パッカを膨張して該長尺弾性被覆膜内(14…長尺弾性被覆膜内)に注入材を吐出して、該長尺弾性被覆膜を面圧で膨出することによりシールグラウトを所定長にわたって割裂すると共に該表面吐出部から注入液を地盤中に注入することを特徴とする地盤注入装置。
【0016】
逆止弁のスリーブの長さは通常8〜10cmであるが、上記長尺弾性被覆膜は地盤条件と注入孔間隔に応じて通常のスリーブよりも長く、好ましくは20cm〜3000cm、さらに好ましくは30〜200cmが用いられる。
【0017】
(請求項2)
図7・
図8・
図9・
図11(ロ)・
図12(ロ)・
図14(ロ)・
図15(ハ)
地盤に形成された削孔(2…削孔)内に設置して該削孔周囲の地盤に注入材を注入するための注入管を備えた地盤注入装置(A…注入管装置)において、
前記注入管は削孔内に充填したシールグラウト(3…シールグラウト)内に固定される注入外管(4…注入外管)と該注入外管に挿入して上下に摺動する一本又は複数本の注入液送液管路(11…注入液送液管路)を有する注入内管(5…注入内管)からなり、
該注入外管は管軸方向に複数の外管吐出口(6…外管吐出口2)と該外管の外周に管軸方向に断面円形状に所定長被覆し、該注入液外管吐出口を覆い、円周方向のスリットが分布する加圧時には開口し、非加圧時には閉束してなる表面吐出部(7…表面吐出部)を有する一つ又は複数の長尺弾性被覆膜(8…長尺弾性被覆膜)と該長尺弾性被覆膜とは異なる位置に設けた逆止弁(20…袋パッカ内逆止弁)を有する外管吐出口(19…袋パッカ内外管吐出口)を覆う袋パッカ(18…袋パッカ)から構成され、該長尺弾性被覆膜は所定長の両端を固着材(9…固着材)によって閉束された長尺弾性被覆膜内を形成し、
該注入内管は上下を流体圧によって膨縮する複数の内管パッカ(10…内管パッカ)によってはさまれた内管吐出口(12…内管吐出口)からなる内管注入部(13…内管注入部)を一つ又は複数有してなり、
注入液の注入に際しては袋パッカに袋パッカ外管吐出口から固結材を注入して注入管周りに膨出して後、内管注入部を注入外管の外管吐出口に位置して、該内管パッカを膨張して該長尺弾性被覆膜内(14…長尺弾性被覆膜内)に注入材を吐出して、該長尺弾性被覆膜を面圧で膨出することによりシールグラウトを所定長にわたって割裂すると共に該表面吐出部から注入液を地盤中に注入することを特徴とする地盤注入装置。
【0018】
上記にて袋パッカの材質は広げれば筒状になる布パッカでもゴムパッカでも良い。或いはそれを重ねて用いても良い。このうち布パッカは固結材を加圧した場合、その径の大きさは布が破けない強度を持つ限り、筒の径の大きさに限定される。従って、削孔径よりも大きい径にして、地盤中に設置すれば布パッカは削孔壁を閉束するだけでなく、それ以上に大きくなり、削孔壁周辺を圧縮して土中パッカを形成する。
また布パッカは固結材の圧入と共にその糸の縫い目から固結材の一部を浸出して周辺の土を固化し、袋体の筒の大きさより実質的に大きな土中パッカを形成して注入液の上方への逸出を防ぎ水平方向へ浸透させて大きな固結体を形成する。
袋パッカの布材はジオテキスタイルとしてジオウォーブン(織物、織布)、ジオノンウォーブン(不織物)、ジオニット(編物)等がある。袋パッカに用いる布材の縫い目の大きさと強度は袋体の中に懸濁液を圧入して(通常1MPa程度)懸濁液の浸出状況で確認する事ができる。本発明者の実際の注入における試験において、カルシウムシリケートシールグラウトを用いた直径10cmの削孔中で直径20cmの膨出パッカが形成され、その周辺の懸濁液の浸出成分によって直径ほぼ30cmの強固な土中パッカが形成された。
【0019】
それに対してゴムパッカは固結材を圧入すると不均等に膨出して、部分破損しやすい。そのため、外側を布パッカで重ねることにより、パッカの径の大きさを管理できる。袋パッカの位置は、地盤条件、注入目的に応じて、被覆膜の区間の上下でも、或いは上部又は下部でもよく、1個でも複数でも良いし、最上部に1箇所でも良い。
【0020】
いずれにせよ袋パッカはシールグラウトと共に注入外管の上下方向への注入液の流出を防ぐのみならず、削孔径よりも大きな固結径を形成して、その周辺土も高密度化するため、一次注入も二次注入も上下方向への流出を防ぎ、二次注入液が所定の注入ステージにほぼ水平方向に広範囲に土粒子間浸透することができる。また袋パッカを装着した注入外管に袋パッカ並びに弾性被覆膜以外の位置に1個又は任意の数、注入外管吐出口1を設けて、袋パッカの縦方向のパッカ効果と一次注入材による粗い土層からの注入計画範囲からの逸脱防止効果を併用することにより、浸透性の二次注入材を所定注入領域に確実に土粒子間浸透できる。
【0021】
また、袋パッカは分割して、上下の袋パッカの間に外管吐出口1を設けて一次注入を行うこともできる。外管吐出口1はこの位置に限定しても良い(
図13(ハ))。特に後述する非アルカリ領域のシリカグラウト(
図18、
図19)を
図24の限界速度内で二次注入した場合、表7(a)で設定した注入量を表7(b)または
後述の地盤注入工法19〜22で設定した配合処方で注入ずれば、
図20〜22、
図25の浸透ゲル化の挙動で所定領域を低圧(
図23(ロ))で所定注入量に相当する固結体を地表面や粗い層に逸脱することなく確実に土粒子間浸透固化できる。この一次注入の効果は請求項1においても同様である。
【0022】
(請求項3)
図1〜
図21
請求項1、2の地盤に形成された削孔(2…削孔)内に設置して該削孔周囲の地盤中に注入材を注入するための注入管を備えた地盤注入装置(A…注入管装置)において、
前記注入管は削孔内に充填したシールグラウト(3…シールグラウト)内に固定される注入外管(4…注入外管)と該注入外管に挿入して上下に摺動する一本又は複数本の注入液送液管路(11…注入液送液管路)を有する注入内管(5…注入内管)からなり、
該注入外管は伸縮性スリーブからなる逆止弁(15…外管吐出口1逆止弁)で覆われた外管吐出口1(16…外管吐出口1)と弾性被覆膜(8…弾性被覆膜)で覆われた外管吐出口2(6…外管吐出口2)を有し、該弾性被覆膜は外管吐出口2(6…外管吐出口2)と該外管の外周に管軸方向に該注入液外管吐出口を覆い、円周方向スリットが分布する加圧時には開口し、非加圧時には閉束してなる表面吐出部(7…表面吐出部)を有する断面円形状に管軸方向に所定長被覆する、一つ又は複数の弾性被覆膜(8…弾性被腹膜)から構成され、該弾性被覆膜は所定長の両端を注入外管に固着材(9…固着材)によって閉束された弾性被覆膜内を形成し、
該注入内管は上下を流体圧によって膨縮する複数の内管パッカ(10…内管パッカ)によってはさまれた内管吐出口(12…内管吐出口)からなる内管注入部(13…内管注入部)を一つ又は複数有してなり、
該外管吐出口2からの注入液の注入に際しては内管注入部が注入外管の外管吐出口に位置して、該内管パッカを膨張して該長尺弾性被覆膜内(14…長尺弾性被覆膜内)に注入材を圧入して、該長尺弾性被覆膜が面圧で膨出することによりシールグラウトを所定長にわたって割裂すると共に該表面吐出部から注入液を該シールグラウトの割裂を通して地盤中に注入することを特徴とする地盤注入装置。
【0023】
外管吐出口1からは、被覆膜内の外管吐出口からの二次注入に先立って、一次注入を行って、異なる土層の粗い土層や逸脱しやすい土層を予め注入して注入対象地盤の均質化を行う。例えば、地盤が透水係数で10
0〜10
-4cm/secの土層から成り立っている場合、一次注入によって、一次注入が浸透し得る、10
0、10
-2cm/secのオーダーの土層を10
-3cm/sec〜10
-4cm/secのオーダーにして地盤を均質化する。その上で、ゲル化時間の長い浸透性の良い非アルカリ性シリカグラウトを注入すれば、表7(a)の注入間隔で設定した注入量を
図18の限界速度内で表7(b)又は請求項19〜22で設定した配合処方で注入すれば
図14〜16、
図17、
図19の浸透挙動で大きな浸透範囲に所定注入量が浸透され、注入液は、所定注入領域からそのまま殆ど移動することなくゲル化時間の経過と共に所定範囲に固結する。また、
図1、
図2、
図3にて外管吐出口1は長尺弾性被覆膜から外管吐出口2から一次注入する場合はなくてもよい。
【0024】
また、外管吐出口1は注入外管の地表面に近い部分のみに設置して、あらかじめ懸濁液、或いは瞬結グラウトの一次注入液を注入して外管吐出口2からの二次注入材の地表面の逸脱を防ぐこともできる。注入外管に設けた長尺弾性被覆膜の数は地盤条件や注入目的に応じて1個だけでも良いし、間隔をあけて複数個でも良い。例えば、注入外管の最上部に設けて、その下部には外管吐出口1を任意の数、間隔をあけて設けても良い。又注入外管1を任意の数設けて、下方に被覆膜を1箇所に設けても良い。例えば粘性土層が存在する場合、注入外管吐出口1からの懸濁注入又は瞬結注入の脈状注入とし、砂層や複数の土層からなる土層では被覆膜からの柱状浸透が好ましい。
【0025】
(請求項4)
図2、
図3
請求項1〜3において、該内管注入部から吐出された注入液は弾性被覆内を加圧して弾性被覆膜を面圧で膨出してシールグラウトを所定長にわたって割裂して表面吐出部から該シールグラウトの割裂を通して地盤注入されることを特徴とする地盤注入装置。
【0026】
上記において、弾性被覆膜はその上下を固着材で加締めている。その位置は長尺被覆膜の上下端で加締めることにより注入液の加圧によって、長尺被覆膜内を形成して長尺被覆膜を膨出してシールグラウトを長尺被覆膜の長さにわたって割裂することができる。また長尺被覆膜をいくつかに分割して加締めすることにより、被覆膜の単位長を任意の数設置することができる。また加締めはその端部を袋パッカ或いは外管吐出口1によって閉束されている場合は、その部分を加締めとみなして設けなくてもよいのは当然である。
【0027】
(請求項5)
図2(ハ)〜(ホ)・(ハ')〜(ホ')・
図4・
図7・
図12・
図13
請求項1〜4において、該外管吐出口は該弾性被覆膜の区間内において内管注入部の上下のパッカ間に位置してなり、表面吐出部のスリットはスリット1個が円周方向長さMcm、幅1mmで、N個分布していると換算して、その総面積が該弾性被覆膜の区間内の内管吐出口の総面積よりも小さいことを特徴とする地盤注入装置。
【0028】
上記において、弾性被覆の区間とは接着材や金属リング等の固着剤で上下を加締めた区間をいう。また
図1、
図2にて、長尺弾性被覆膜8の長尺弾性被覆膜内14は説明上、空間を空けて表現しているが、実際は被覆膜の弾性によって外管表面に密着している。或いは長尺弾性被覆膜内に透水性空間保持材25を設けても良い(
図2(ハ')〜(ホ'))。また外管吐出口は表面を帯状弾性逆止弁17'を設けて良い。この場合の逆止弁は上下両端を開放していても良いし、また上下を加締めて中央に円周上に切れ目をつけて注入液が噴出するようにしても良い。この場合、噴出した注入液は透水性空間保持材を通って被覆膜全長に浸入して急速に弾性被覆内が加圧されて長尺弾性被覆膜全長を面圧によって膨出してシールグラウトを割裂する。
【0029】
表面吐出部7のスリット7は外管の円周の接線方向に線状に閉束している。被覆区間に分布しているN個のスリットの表面積の合計がその区間の内管の吐出口12の合計面積よりも小さければ被覆内に流入した注入液の圧力によって初期には被腹膜がシールグラウトの方に膨出してシールグラウトを面圧で区間全長にわたって割裂を生じさせる。膨出の過程でスリットの開きが大きくなり、注入液が割裂を通して区間全体にわたって地盤中に柱状浸透する。
【0030】
スリットは管軸の円周接線方向に長さMcm通常1〜3cmで表面吐出部N本分布しているものとし開口した場合の幅を1mmとして換算すると、スリットの開口時の表面積の総計は0.1MN/cm
2となる。内管吐出口12の1個の断面積がacm
2でb個あるとすると0.1MN(cm
3/cm
2)≦abとすれば良い。なお、以後の図面で透水性空間保持材は省略されているが、空間保持材がない場合は外管径が小さくなり、従って削孔径が小さくなり、また既存の建物の地盤下に曲線上に削孔することが容易になるという利点が生ずる。
【0031】
(請求項16)
図3(ヘ)〜(チ)・
図5・
図6・
図8・
図9・
図11
請求項
2、3において、該外管吐出口逆止弁から吐出した注入液が外管表面に沿って該長尺弾性被覆膜内全長にわたって圧入されて該被覆膜を面圧によって加圧して膨出せしめることにより長尺弾性被覆膜の外周部をとりまくシールグラウトが該被覆区間の所定長の割裂をひきおこして注入液が該割裂から周辺の地盤に注入することを特徴とする地盤注入装置。
【0032】
(請求項7)
図3(ヘ)〜(チ)・
図5・
図6・
図8・
図9・
図11
請求項3、6において、外管吐出口2は上下端を開放した帯状の伸縮性スリーブからなる逆止弁(17…外管吐出口逆止弁)を設けてなり、該内管注入部から吐出された注入液は該外管吐出口から帯状の伸縮スリーブの上下から該長尺弾性被覆膜内に該外管軸方向に沿って圧入されて該長尺弾性被覆膜の面圧によって、シールグラウトを所定長にわたって割裂すると共に該表面吐出部から該シールグラウトの割裂を通して地盤注入されることを特徴とする地盤注入装置。
【0033】
上記において、
図2(ハ')、(ニ')、(ホ’)と同じく弾性被覆膜内に透水性空間保持材25を設けても良い。これによって急速に弾性被覆膜内が加圧されて面圧でシールグラウトの割裂が生ずる。
【0034】
(請求項8)(
図11・
図12・
図13・
図14・
図15)
請求項3、7において、外管吐出口1、又は外管吐出口2のいずれかを一次注入材の吐出口に設定してなることを特徴とする地盤注入装置。
【0035】
一次注入材は外管吐出口1から注入されても外管吐出口1がなくて外管吐出口2のいずれかの箇所から注入されても良い。
図11、
図12、
図13において、外管吐出口1がなくて、L
1-1…L
4-1から一次注入材を注入してL
1〜2…L
4-2から二次注入材を注入しても良いし、また
図14(イ)においてシールグラウト内に位置する注入外管吐出口1から一次注入材を一次注入してから二次注入材を一次注入した領域に合わせて注入しても良い。また
図14(ロ)において、シールグラウト内に位置する注入管外管の袋パッカ内に固結材を注入して後、一次注入材を注入外管吐出口1から注入して後、二次注入材を注入管吐出口2から注入して、一次注入した領域に二次注入を行うことができる。
【0036】
(請求項9)
図4(ロ)・
図6・
図7(ロ)・
図9・
図11・
図14・
図15
請求項1〜8の地盤注入装置において、該注入内管は複数の注入液送液管路(11A,11B…注入液送液管路)をもち、上下を流体圧によって膨縮する複数の内管パッカで挟まれた複数の内管注入部をもち、該複数の内管注入部はそれぞれ複数の長尺弾性被覆膜内(14…長尺弾性被覆膜内)に注入材を吐出するように位置せしめて、該複数の長尺弾性被覆膜から同時に或いは選択的にシールグラウトを所定長にわたって割裂して地盤中に注入することを特徴とする地盤注入装置。(後述(0046)参照)
【0037】
(請求項10)
図1〜
図5・
図11・
図12・
図13・
図14・
図15
請求項3の地盤注入装置において、該注入外管は該長尺弾性被覆膜とは異なる位置に設けた外管吐出口とそれを覆う伸縮性スリーブからなる逆止弁(15…外管吐出口1逆止弁)を設けた外管一次注入材吐出口(16…外管吐出口1)を一つ又は複数有することを特徴とする地盤注入装置。
【0038】
(請求項11)
図11・
図12・
図13・
図14・
図15
請求項1〜10の地盤注入装置を用いて、シールグラウト内に固定した注入外管に挿入した注入内管を摺動して長尺弾性被覆膜内に注入液を吐出して、該表面吐出部から該長尺弾性被覆膜を面圧で膨出することにより、所定長にわたってシールグラウトを割裂して注入液を地盤に注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0039】
(請求項12)(
図11・
図12・
図13・
図14・
図15)
請求項11の地盤注入工法において、一次注入材を注入した領域に二次注入材を注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0040】
(請求項13)(
図11・
図12・
図13・
図14・
図15)
請求項11、12の地盤注入工法であって、
削孔内に該注入外管をシールグラウト内に設置して後、注入内管を通して一次注入材を注入して、粗い層や逸脱しやすい層を充填して後、注入液送液管路を一本又は複数本有する注入内管を注入外管内に摺動して一つ又は複数の長尺弾性被覆膜の区間内に内管注入部を位置せしめて注入内管から二次注入材を一区間或いは複数の区間の長尺弾性被腹膜内に同時に或いは選択的に吐出して該表面吐出部から被覆膜をとりまくシールグラウトを所定長にわたって割裂して地盤中に注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0041】
(請求項14)(
図11・
図12・
図13・
図14・
図15)
請求項11〜13の地盤注入工法であって、一次注入した領域に二次注入を重ねて注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0042】
(請求項15)(
図11・
図12・
図13・
図14・
図15)
請求項11〜14の地盤注入工法において、該複数の内管注入部をそれぞれ異なる長尺弾性被覆膜内に異なる注入材を吐出するように位置せしめて同時に或いは選択的に地盤中に注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0043】
(請求項16)
請求項11〜15の地盤注入工法において、該シールグラウトと一次注入材のいずれか或いはいずれも以下の固結材であって、固結体の強度は一軸強度で10kg/cm2以下である以下のいずれかのグラウトであることを地盤注入工法。後述(0082)〜(0105)参照。
(1)カルシウムアルミネートを有効成分とする懸濁型グラウト。
(2)高分子増粘剤を有効成分とするグラウト。
(3)粘土を有効成分とする懸濁型グラウト。
(4)セメント・ベントナイトを有効成分とする懸濁型グラウト。
【0044】
(請求項17)
請求項11〜16の地盤注入工法において、一次注入材グラウトは懸濁型グラウト又はゲル化時間の短い溶液型グラウトである地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
【0045】
(請求項18)
請求項11〜17において、長尺弾性被腹膜から注入される注入材は溶液型グラウト或いは懸濁型グラウト或いは一次注入材よりも浸透性の良い注入材である地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
【0046】
(
地盤注入工法19)
溶液型グラウトを地盤に注入して地盤改良する地盤注入工法において、以下の条件を満たす地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
1)対象となる土を用いて所定の密度で要求される強度が得られるシリカ濃度を設定する。
2)所定のシリカ濃度を用いてpH或いは添加剤に対応したゲル化時間(GT
0)を有するシリカグラウト配合液を調整する。
3)その配合液を現場土と混合して土中ゲル化時間(GT
S0)を測定する。
4)想定する注入孔間隔、注入方式、1注入ステージ長より単位ステージの固結対象土量を設定する。
5)単位ステージの固結対象土量から注入量を設定し、浸透可能限界内の注入速度から単位ステージ当たりの注入時間(H)を設定する。
6)地盤状況、注入孔間隔、並びに単位ステージ当りの注入量に応じて、
GT
0>H≧GT
S0又はGT
0>GT
S0≧H となる注入液のゲルタイム(GT
0)とシリカ濃度からなる配合処方を設定する。
【0047】
(
地盤注入工法20)
溶液型グラウトを地盤に注入して地盤改良する地盤注入工法において、注入液のゲルタイムをGT
0、注入液と注入液を混合したゲルタイムを地中ゲルタイムとしてGT
S0、1ステージ当りの注入時間をHとすると、これらの値を以下の範囲で設定して、注入範囲外への注入材の逸脱を低減する地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
(1)注入速度は限界浸透注入速度内とする。
(2)注入孔間隔又は固結径L=1.0〜3.0m
(3)毎分注入速度q=1〜30L/minただし、限界浸透注入速度内とする。
(4)1ステージ長:0.33m〜3.0m
(5)1ステージ当たりの注入時間H:4.4〜10000分
ただし、注入時間(H)は現場の作業性や後期の短縮を考慮して短縮することができる。
(6)気中ゲル化時間 GT
0:10分〜10000分
(7)気中pH(pH
0):1〜10
(8)シリカ濃度:0.4〜40%(重量%)
(9)土中ゲルタイム GT
S0:10分〜3000分
ここで限界浸透注入速度内とは、割裂・浸透注入速度よりも小さい浸透注入速度をいう。
【0048】
(
地盤注入工法21)
地盤注入工法19、20において、溶液型グラウトを地盤に注入して地盤改良する地盤注入工法において、以下の条件を満たす地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
注入孔間隔:1m〜3m
土中ゲル化時間(GT
S0)=10〜3000分
注入速度(毎分吐出量)=1〜30l/min
但し、注入速度は限界浸透注入速度内とする。
1ステージ当たりの注入量=132l〜10,800l
1ステージ当たりの注入時間(H)=4.4分〜10,800分
β=H/GT
S0=10800/10〜4.4/3000=1080〜0.001、好ましくは1080〜1
【0049】
(
地盤注入工法22)
地盤注入工法19〜21において、柱状浸透注入であって、以下の条件を満たす地盤注入工法。後述(0108)〜(0121)参照。
1ステージ当たりの注入量132l〜10,800l
注入速度10l〜30l/min
1ステージ当たりの注入時間4.4分〜1080分
土中ゲル化時間(GT
S0)=10〜3000分
β=H/GT
0=1080/10〜4.4/3000=108〜0.001、好ましくはβ=108〜1
【0050】
(請求項
19)
請求項17〜
18の地盤注入工法において、一次注入材を注入後、二次注入材を注入するに先立って水又は注入材を圧入してシールグラウトを割裂した上で、地盤の土粒子間の限界注入圧内の注入速度で注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0051】
(請求項
20)
請求項
19の地盤注入工法において、水又は一次注入材を注入してのち、引き続いて二次注入材を限界注入圧内の注入速度で注入することを特徴とする地盤注入工法。
【0052】
本発明において浸透注入はシールグラウトを割裂した後、
図18における浸透、割裂の注入領域、好ましくは限界注入速度の範囲内の注入速度で注入するが(曲線D)、シールグラウトの割裂にあたっては注入圧を高くする必要がある(曲線(イ))。シールグラウトの割裂を水を圧送して行うか、その注入液が希釈されるのを防ぐときはゲル化時間が長い粘性の低いシリカグラウトで割裂しても良い。また曲線(イ)で割裂した後、引き続いて曲線(D)に切り替えて浸透性注入材を注入することができる。
【0053】
(請求項
21)
請求項11〜
20において、
該注入液はpHが1〜10であって、シリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、
該注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであることを特徴とする地盤注入工法。(
図12・
図13)
【0054】
(請求項
22)
請求項
21において、
該注入液は点注入、多点注入、柱状注入、多点同時注入、又は多ステージ同時注入又は選択注入によって、地盤に注入されることを特徴とする地盤注入工法。(
図14・
図15、表7)
【0055】
図15(ハ)において、外管吐出口1は点注入に、長尺被覆膜8からの注入は柱状注入に複数の内管から、複数の注入ステージへの同時注入、又は選択注入は多ステージ同時注入又は選択注入に相当する。また外管吐出口1又は外管吐出口2からの同時注入や選択注入は複数の注入ポンプを一括制御システムで行うことができる。
【0056】
(請求項
23)
請求項2記載の地盤注入装置を用いて、シールグラウト内に固定した注入外管に挿入した注入内管を摺動して長尺弾性被覆膜内に注入液を吐出して、該表面吐出部から該長尺弾性被覆膜を面圧で膨出することにより、所定長にわたってシールグラウトを割裂して注入液を地盤に注入する地盤注入工法であって、該袋パッカ中への固結材の充填は削孔内におけるシールグラウトの充填後、或いはシールグラウトの充填工程の途中で行うことを特徴とする地盤注入工法。