(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタは、前記第1の筐体構成部材において、前記本体部の前記開口部が略矩形状に形成され、前記本体部の前記開口部を囲み、かつ、前記ボビンの前記巻胴部の中心軸と平行又は略平行な周辺部のうち前記第1の接続部から相対的に遠い側の周辺部が他の周辺部よりも手前に突出すると共に、前記第1の接続部側の面に溝が形成され、前記第2の筐体構成部材において、前記本体部が略矩形板形状に形成されると共に、前記第2の接続部から相対的に遠い側の縁辺部に前記周辺部の前記溝に挿入された稜線状突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
前記コネクタは、前記第2の筐体構成部材において、前記本体部の前記第1の筐体構成部材側の面に、前記第1の筐体構成部材側の前記開口部に進入すると共に、前記開口部の形状に対応する略直方体形状に形成された閉止突出部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のソレノイド。
前記コネクタは、前記第1の筐体構成部材において、前記ボビンの前記巻胴部の中心軸と直交する又は略直交する方向に延在すると共に、外部に開口する第1の貫通孔と第2の貫通孔とが前記本体部に形成され、前記第1の端子と前記第2の端子とが前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔とにそれぞれ挿入されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のソレノイド
【背景技術】
【0002】
近年、ソレノイドの実装を容易にするために、コネクタを一体的に設けているものが多くなっている。小型のソレノイドにおいては、コネクタをボビンと一体的に設けるなど、コネクタも小型化することを意識した発明が多くなされている。
【0003】
図15は、従来技術に係るソレノイドの構造を示す図であり、(a)は断面図、(b)はコネクタと周辺部の拡大斜視図である。
図15において、100はソレノイド、101はヨーク構成部材、102は固定磁極、103は可動磁極、104はコイル、105はヨーク構成部材、106はボビン、107は第1の鍔状部、108は第2の鍔状部、109は貫通孔、110はコネクタ、111は段差部、112及び113はスリット、114及び115は端子である。
【0004】
図15は、特開2002−8919公報において開示されている発明である。ソレノイド100は、
図15(a)に示すように、ケースとしての役割も持つヨーク構成部材101及び105に囲まれたフィールドコアの内部に、固定磁極102、可動磁極103、コイル104、ボビン106及びコネクタ110を設けている。ボビン106は、第1の鍔状部107に対して第2の鍔状部108をより厚く形成しており、
図15(b)に示すように、貫通孔109を避けて形成した段差部111にコネクタ110を設けている。コネクタ110の端子114及び115は、スリット112及び113を介してコイル104を構成するコイルワイヤの終端部に接続されている。
【0005】
以上の構成によれば、フィールドコアのコーナー部にコネクタ110を配置するようにしたので、小型化が図ることが容易である。また、フィールドコアから突出する突出部を少なくできるので、空間的な障害を少なくすることもできる。ところで、最近では、ソレノイドを実装している機器において、デバイスの実装密度をさらに高めることが要求されている。ソレノイドにおいては、ソレノイド全体を小型化するという要求のほかに、コネクタの配置及び端子が延在する方向における自由度を高めることが求められている。すなわち、コネクタをボビンの鍔状部の上に配置するだけでなく、鍔状部から離隔した部位、つまり、ソレノイドのケース又はヨークの外側となる部位に設け、さらに端子を任意の方向に向けて配置可能とすることが新たな課題になってきている。
図15に示した構成では、コネクタ110の全長をさらに長いものにすれば、ヨーク構成部材101の外側に張り出すように設けることができる。しかし、ソレノイド100の中心軸に対するコネクタ110の位置や、端子114及び115が延在する方向は変更できない。これでは、実装する基板上の部品配置などをソレノイド100のコネクタ110の位置や端子114及び115が延在する方向に合わせなければならず、課題を解決することにはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、ソレノイドにおいて、コネクタをケース又はフレーム状のヨークの側方に張り出すように設けることができ、端子の延在する方向を任意に変更することが可能な構造を有するソレノイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、巻胴部と、前記巻胴部の第1の端部側に形成された第1の鍔状部と、前記巻胴部の前記第1の端部とは反対側の第2端部側に形成された第2の鍔状部とを備えたボビンと、コイルワイヤを前記ボビンの前記巻胴部に巻回して構成されたコイルと、前記コイルを構成する前記コイルワイヤの第1の終端部と第2の終端部とが基端部にそれぞれ接続された第1の端子と第2の端子とを備えたコネクタとを有するソレノイドであって、前記ボビンは、前記巻胴部の第2の端部側に形成されると共に前記第2の鍔状部に近接して配置された第3の鍔状部をさらに備え、前記コネクタは、第1の筐体構成部材と第2の筐体構成部材をさらに備え、前記第1の筐体構成部材は、前記ボビンの前記巻胴部の中心軸と平行又は略平行で、かつ、前記巻胴部に対向していない一面を開口部とした略箱形状に形成されると共に前記第1の端子及び前記第2の端子の前記基端部側を支持する本体部と、前記ボビンの前記第2の鍔状部と前記第3の鍔状部との間に挿入されると共に前記第2の鍔状部及び前記第3の鍔状部に固定された第1の接続部とを備え、前記第2の筐体構成部材は、前記第1の筐体構成部材の前記開口部を閉止するように形成された本体部と、前記ボビンの前記第2の鍔状部と前記第3の鍔状部との間に挿入されると共に前記第2の鍔状部及び前記第3の鍔状部に固定された第2の接続部とを備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記コネクタは、前記第1の筐体構成部材において、前記本体部の前記開口部が略矩形状に形成され、前記本体部の前記開口部を囲み、かつ、前記ボビンの前記巻胴部の中心軸と平行又は略平行な周辺部のうち前記第1の接続部から相対的に遠い側の周辺部が他の周辺部よりも手前に突出すると共に、前記第1の接続部側の面に溝が形成され、前記第2の筐体構成部材において、前記本体部が略矩形板形状に形成されると共に、前記第2の接続部から相対的に遠い側の縁辺部に前記周辺部の前記溝に挿入された稜線状突出部が形成されていることを特徴とするソレノイドである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記コネクタは、前記第2の筐体構成部材において、前記本体部の前記第1の筐体構成部材側の面に、前記第1の筐体構成部材側の前記開口部に進入すると共に、前記開口部の形状に対応する略直方体形状に形成された閉止突出部が形成されていることを特徴とするソレノイドである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記ボビンは、前記第3の鍔状部に切欠部が形成され、前記コネクタは、前記第1の筐体構成部材の前記第1の接続部及び前記第2の筐体構成部材の前記第2の接続部において、基端側部分の厚みが前記ボビンの前記第2の鍔状部と前記第3の鍔状部との間隙と等しく又はほぼ等しく形成され、先端側部分の厚みが前記基端側部分の厚みよりも大きく形成され、前記基端側部分と前記先端側部分との段差面が前記第3の鍔状部の前記切欠部に当接するように形成されていることを特徴とするである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記コネクタは、前記第1の筐体構成部材において、前記ボビンの前記巻胴部の中心軸と直交する又は略直交する方向に延在すると共に、外部に開口する第1の貫通孔と第2の貫通孔とが前記本体部に形成され、前記第1の端子と前記第2の端子とが前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔とにそれぞれ挿入されていることを特徴とするソレノイドである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、コイルワイヤの終端部とリード線との接続部分を収納し、かつ、保護するために、ボビンの一端部に2つの鍔状部を近接して設ける、つまり二重に鍔状部を設けることがしばしば行われるが、二重に設けた鍔状部の間隙に第1の接続部と第2の接続部を挿入して固定するので、ボビンの側方に張り出したコネクタをボビンによって安定的に支持させることが容易になる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1の筐体構成部材の手前に突出した周辺部の溝に第2の筐体構成部材の稜線状突出部が係止された状態になるので、ソレノイドの組立工程において、外部から加わる衝撃などによって第1の筐体構成部材と第2の筐体構成部材とが分離することを防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第2の筐体構成部材の閉止突出部によって第1の筐体構成部材の開口部を確実に閉止することができる。さらに、ソレノイドの組立工程において、外部から加わる衝撃などによって、第2の筐体構成部材の組付位置が垂直又は水平方向にすれることを防止できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、第3の鍔状部の切欠部を、第1の接続部及び第2の接続部の段差面が第3の鍔状部に切欠部に当接した状態で第1の筐体構成部材及び第2の筐体構成部材を接着するときに、第1の筐体構成部材及び第2の筐体構成部材が所定の位置に正しく接着されるような形状とすることによって、ボビンに対してコネクタを常に正しく接着することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第1の端子及び第2の端子を第1の筐体構成部材に装着することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのボビン及びを示す部分斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材を示す図(1)であり、(a)は斜視図、(b)は斜視図(隠れ線有)である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材を示す図(2)であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材を示す図(3)であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第2の筐体構成部材を示す図(1)であり、(a)は斜視図(隠れ線有)、(b)は斜視図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第2の筐体構成部材を示す図(2)であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材及び端子を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(1)である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(2)である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(3)である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(4)である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(5)である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドのコネクタを示す平面図である。
【
図15】従来技術に係るソレノイドの構造を示す図であり、(a)は断面図、(b)はコネクタと周辺部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの全体概要について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのボビン及びを示す部分斜視図である。
図1において、10は第1の筐体構成部材、30は第2の筐体構成部材、45はコネクタ、50は第1の端子、53は第2の端子、60はボビン、61は第1の鍔状部、62は第2の鍔状部、63は第3の鍔状部、64は切欠部、65は貫通孔、66は間隙部、67は巻胴部、68はコイルである。また、
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの断面図である。
図2において、11は右側面部、16は上面部、21は配線路、22は左側面部、23は下面部、56はコイルワイヤ終端部、57はハンダ、58はコイルワイヤ終端部、59はハンダ、70はソレノイド、71は固定磁極、72は可動磁極、73は補助磁極、74は蓋、75はシャフト、76はケース、77は切欠部であり、その他の符号は
図1と同じものを示す。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドは、コネクタをケース又はフレーム状のヨークの側方に張り出すように設けることができる点に特徴がある。また、この形態に係るソレノイドは、大きさに関して特に限定されるものではないが、小型のものに特に好ましく適用できる。例えば、事務機器などに実装される径20mm以下の小型のソレノイドではコネクタも非常に小さいものとなるので、コネクタをケースに対してねじ止めすることが難しくなるが、本発明はこれを鑑みてねじ止めによらずに固定できるようにしている。すなわち、
図1に示すように、コネクタ45は、第1の筐体構成部材10、第2の筐体構成部材30、並びに、第1の端子50及び第2の端子53から構成されている。第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30は、第2の鍔状部62及び第3の鍔状部63に対して接着されており、ボビン60の側方に張り出している。また、
図2に示すように、ボビン60を設けているソレノイド70は、ケース76の切欠部77を介してコネクタ45をケース76の外部に配置している。また、平面視において、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30からなるコネクタボックスの中心線は、ボビン60の中心点とほぼ重なる。なお、平面視は、補助磁極73に正対した上で、補助磁極73側から固定磁極71側を見下ろす方向の視線と定義し、以下の平面視も応用のものとする。さらに、第1の端子50及び第2の端子53は、このコネクタボックスの中心線と第2の鍔状部62の円形の輪郭線が交わる点における接線とほぼ平行に延在している。
【0021】
また、ソレノイド70は、略円筒形状に形成されたケース76の内部に、固定磁極71、可動磁極72、シャフト75、ボビン60、コイル68が収納されている。ケース76の一方の端部は固定磁極71によって閉止されており、他方の端部は蓋74によって閉止されている。シャフト75は、可動磁極72の貫通孔に嵌合されており、さらにその先端部は補助磁極73の開口部に嵌合されている。コイル68に通電すると、固定磁極71、ケース76、蓋74、補助磁極73及び可動磁極72を巡る磁気回路が生成されて、可動磁極72が固定磁極71に吸引される。したがって、コネクタ45の第1の端子50及び第2の端子53は、可動磁極72の摺動方向、つまり、シャフト75の中心軸方向に対して直交する方向に延在している。ボビン60は、貫通孔65が形成された巻胴部67の固定磁極71に近い端部側に第1の鍔状部61が形成され、蓋74に近い端部側に第2の鍔状部62及び第3の鍔状部63が形成されている。第1の鍔状部61、第2の鍔状部62及び第3の鍔状部63は、略円板形状に形成されている。第2の鍔状部62と第3の鍔状部63との間隙部66は、通常のソレノイドの場合、コイルワイヤ終端部とリード線との接続部の収納に利用するが、本発明では後述するようにコネクタ45の固定に利用している。さらに、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30は、大部分がケース76の側方に張り出した状態になっている。なお、本発明は、ケース76のような円筒形状のケースを持つソレノイドだけではなく、いわゆるオープンフレームソレノイドのようなフレーム状(矩形状)のヨークを持つソレノイドにも好ましく適用できる。
【0022】
さらに、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材について詳しく説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材を示す図(1)であり、(a)は斜視図、(b)は斜視図(隠れ線有)である。
図3において、12は突出周辺部、13は溝、17は基端側部分、18は先端側部分、19は第1の接続部、23は下面部、24は段差面、25は開口部、26は背面部、27は第2の貫通孔、28は第1の貫通孔であり、その他の符号は
図1及び
図2と同じものを示す。また、
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材を示す図(2)であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図4において用いた符号は、すべて
図1及び
図3と同じものを示す。さらに、
図5は、14は傾斜面、15は傾斜面、20は鍔状部対応部分、29は本体部であり、その他の符号は
図1及び
図2と同じものを示す。
【0023】
この実施の形態に係るソレノイド70の第1の筐体構成部材10は、コネクタ45のケースを構成するものであり、
図3及び
図4に示すように、略直方体形状の本体部29と略板形状の第1の接続部19とを備えている。本体部29は、右側面部11、上面部16、左側面部22、下面部23及び背面部26の五面を壁面としており、背面部26に背向する正面側を開口部25としている。さらに、本体部29の内部には、背面部26に開口している第1の貫通孔28及び第2の貫通孔27が形成されている。第1の貫通孔28と第2の貫通孔27とは、第1の端子50と第2の端子53とをそれぞれ挿入して保持するために形成されており、第1の端子50と第2の端子53との形状及び大きさに対応する形状及び大きさに形成されている。また、右側面部11、上面部16、下面部23及び背面部26の外面が平坦に形成されているのに対して、左側面部22の外面は2の鍔状部62に対応した円筒状の凹面に形成されている。すなわち、コネクタ45をボビン60に接着したときに、左側面部22が第2の鍔状部62に接した状態になる。そこで、左側面部22を円筒状の凹面に形成し、第2の鍔状部62にできる限り密着する、又は、密着に近い状態で接することによって、コネクタ45とボビン60との間の無駄な間隙を生じないようにしている。
【0024】
また、左側面部22の上端からは、第1の接続部19が接続されている。第1の接続部19は、コネクタ45をボビン60に接続するための手段であり、左側面部22の左方、つまり、ボビン60側に向かって延びるように平坦に形成されている。さらに、
図4に示すように、第1の接続部19は、左側面部22に近い基端側部分17と左側面部22から遠い先端側部分18との肉厚を異なるものとし、先端側部分18がボビン60に接着される構成としている。なわち、
図1に示すように、先端側部分18の肉厚を第2の鍔状部62と第3の鍔状部63との間隙部66に対応する肉厚に形成している。さらに、基端側部分17は、先端側部分18の肉厚と第3の鍔状部63の肉厚の和と同じ肉厚とし、先端側部分18を間隙部66に挿入して接着したときに、基端側部分17と第3の鍔状部63との上面が同じ高さになるようにしている。また、基端側部分17の前面側は、
図1に示す第3の鍔状部63の切欠部64と同じ長さとなるように形成している。
【0025】
また、基端側部分17及び先端側部分18の先端面は、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30からなるコネクタボックスの中心線と直交する。くわえて、
図5に示すように、第1の接続部19の背面部26側の端部近傍を切欠部64に対応した円弧状の輪郭を持つ形状としている。第1の接続部19を以上のように形成することによって、コネクタ45とボビン60との視覚的な一体感を高めている。さらに、コネクタ45とボビン60との間に無用な段差や間隙を生じないようにしている。くわえて、ソレノイド70の組立工程において、段差や間に工具が引っ掛かって組立不良を生じることを防止可能としている。また、
図2及び
図3(b)に示すように、本体部29の開口部25内の空間から、第1の接続部19の基端側部分17の下側を経由して先端側部分18の上に開口している配線路21が形成されている。配線路21は、コイル68のコイルワイヤ終端部56及びコイルワイヤ終端部58を開口部25内の空間に導出するための通路であり、コイルワイヤ終端部56及びコイルワイヤ終端部58を保護する役割も持つ。また、第2の筐体構成部材30側が全体にわたって開口しており、この開口している側からコイルワイヤを容易に挿入することができる。特に、小型のソレノイドにおいて使用するコイルのコイルワイヤは非常に細いものであることが多く、ソレノイド70の組立工程において絶縁被覆に疵を付けと絶縁性が著しく低下することになる。この実施の形態におけるソレノイド70では、コイルワイヤ終端部56及びコイルワイヤ終端部58が第1の接続部19によって保護されるので、ソレノイド70の組立工程におけるこのようなトラブルの発生を防止することが可能となる。
【0026】
さらに、
図5に示すように、本体部29の開口部25は、下面部23の手前に段差面24を設けて、後述するように、第2の筐体構成部材30の閉止突出部が軽く嵌合されるようにしている。さらに、開口部25の右側面部11側、つまり第1の接続部19の周辺部のうち、第1の接続部19から相対的に遠い側(方向に関係なく、互いの空間距離が遠い側)の周辺部を手前側に突出した突出周辺部12としている。突出周辺部12は、第1の接続部19側の面に溝13を形成しており、後述する第2の筐体構成部材30の稜線状突出部が挿入される。これによって、ソレノイド70の組立途中において、第2の筐体構成部材30が脱落することを防止している。さらに、溝13の両側部の角を面取りして、傾斜面14及び傾斜面15を形成し、稜線状突出部の挿入を容易にしている。なお、第1の筐体構成部材10は、第1の端子50及び第2の端子53を
図1に示した方向と反対側に向かって延在させる必要がある場合には、開口部25の面を基準面として面対称となる形状に形成すればよい。
【0027】
続けて、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第2の筐体構成部材について詳しく説明する。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第2の筐体構成部材を示す図(1)であり、(a)は斜視図(隠れ線有)、(b)は斜視図である。
図6において、31は本体部、32は稜線状突出部、35は第2の接続部、36は先端側部分、37は基端側、40は閉止突出部であり、その他の符号は
図1と同じものを示す。また、
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第2の筐体構成部材を示す図(2)であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図7において、33は傾斜面、34は傾斜面、38は鍔状部対応部分、39は曲面部、41は傾斜面、42は傾斜面であり、その他の符号は
図6及び
図1gと同じものを示す。
【0028】
この実施の形態に係るソレノイド70の第2の筐体構成部材30は、第1の筐体構成部材10と共にコネクタ45のケースを構成するものであり、
図6及び
図7に示すように、略板形状の本体部31と第2の接続部35とを備えている。本体部31と第2の接続部35とは、それぞれ第1の筐体構成部材10の本体部29と第1の接続部19とに対して接着されることによって、コネクタ45の外殻となる。本体部29は、全体が矩形板状に形成されており、ボビン60の中心軸に対して平行又はほぼ平行に形成されている。また、本体部29は、第1の筐体構成部材10の開口部25側に矩形状で平坦に形成された閉止突出部40が突出している。閉止突出部40は、開口部25に対応する形状及び大きさに形成されており、手作業等によって開口部25に圧入する。よって、ソレノイド70の組立中又は組立後に、第2の筐体構成部材30が垂直又は水平方向にすれることを防止できる。さらに、閉止突出部40が開口部25に軽く嵌合された状態になるので、塵埃等の侵入を防ぐことができる。くわえて、閉止突出部40が開口部25に軽く嵌合された状態になると、閉止突出部40が第1の端子50及び第2の端子53と軽く当接する。つまり、後述する手順によって第1の端子50及び第2の端子53を第1の筐体構成部材10に挿入したときに挿入が不十分であると、閉止突出部40を開口部25に圧入するときに、閉止突出部40によって第1の端子50及び第2の端子53が適正な位置まで押し込まれることになる。なお、前述のように、第1の筐体構成部材10を開口部25の面を基準面として面対称となる形状に形成する場合には、第2の筐体構成部材30も閉止突出部40の面を基準面として面対称に形成すればよい。
【0029】
さらに、本体部31の右端面には、稜線状突出部32があたかも稜線状に延在している。稜線状突出部32は、第1の筐体構成部材10の溝13に挿入されるものであり、ソレノイド70の組立工程などにおいて、外部からの衝撃や振動によって第2の筐体構成部材30が第1の筐体構成部材10から離脱することを防止するものである。すなわち、第1の筐体構成部材10と第2の筐体構成部材30との接着後、接着剤が十分に硬化する前にソレノイド70の組立を開始すると、本体部31の右端部は、ボビン60に近い側と異なり工具が引っ掛かるなどのトラブルを発生することがある。このようなトラブルが起きると、第2の筐体構成部材30の本体部31と第1の筐体構成部材10との間に間隙を生じたまま接着剤が硬化して不良品となる。稜線状突出部32は、このようなトラブルを未然に防ぐことが可能である。また、稜線状突出部32の先端側の角を面取りして、傾斜面33及び傾斜面34を形成している。傾斜面33及び傾斜面34を形成することによって、稜線状突出部32を溝13に挿入する際に、稜線状突出部32の先端側の角が溝13の周辺部に引っ掛かることがない。
【0030】
第2の接続部35は、本体部31の左端面の上部から、ボビン60の中心軸と直交する方向に、かつ、ボビン60側に延在している。また、第2の接続部35は、先端側部分36と基端側部分37との肉厚を、それぞれ第1の接続部19の基端側部分17と先端側部分18と同じ肉厚に形成されている。さらに、第2の接続部35の鍔状部対応部分38は、
図1に示すように、第1の筐体構成部材10の鍔状部対応部分20及び第3の鍔状部63と共に、1つの円弧状の輪郭を構成している。くわえて、先端側部分36を第2の鍔状部62と第3の鍔状部63との間に挿入することを容易にするために、先端側部分36の先端側の角を面取りして、傾斜面41及び傾斜面42を形成している。また、本体部31の第2の接続部35の下方の部分は、
図7(b)に示すように、曲面部39としている。曲面部39は、第2の鍔状部62に対応した形状に形成されている。
【0031】
さらに、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの端子について説明する。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの第1の筐体構成部材及び端子を示す斜視図である。
図8において、51は本体部、52はハンダ付けランド部、54は本体部、55はハンダ付けランド部であり、その他の符号は
図1及び
図3と同じものを示す。
【0032】
この実施の形態に係るソレノイド70の第1の端子50と第2の端子53とは、それぞれ長方形板形状に形成された本体部51と本体部54との基端部に、ボビン60側に延在するハンダ付けランド部52とハンダ付けランド部55とをそれぞれ形成している。よって、第1の端子50と第2の端子53は、平面視において「L」を左右対称にしたような外観を呈している。本体部51と本体部54とは、基端部側が第1の筐体構成部材10の第1の貫通孔28と第2の貫通孔27とにそれぞれ挿入され、先端部側が第1の筐体構成部材10の本体部29から突出して他のコネクタに電気的に接続される部分となる。ハンダ付けランド部52とハンダ付けランド部55とは、
図2に示しているコイルワイヤ終端部56とコイルワイヤ終端部58とをハンダ57とハンダ59によって接続するためのランドであり、本体部29の内部空間に収納可能な長さに形成されている。なお、第1の端子50と第2の端子53とは、同一の形状及び大きさであり、両者を入れ替えて使用することも可能である。
【0033】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順の概要について説明する。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(1)である。
図9において、56はコイルワイヤ終端部、57はハンダであり、その他の符号は
図8と同じものを示す。また、
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(2)である。
図10において用いた符号は、すべて
図8及び
図9と同じものを示す。さらに、
図11は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(3)である。
図11において用いた符号は、すべて
図8及び
図9と同じものを示す。くわえて、
図12は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(4)である。
図12において用いた符号は、すべて
図8及び
図9と同じものを示す。また、
図13は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコネクタの組立手順を示す平面図(5)である。
図13において用いた符号は、すべて
図8及び
図9と同じものを示す。なお、端子に関わる組立手順は、便宜上第1の端子50のみについて説明するが、第2の端子53についても同じ組立手順となる。
【0034】
まず、コイルのコイルワイヤ終端部56を第1の筐体構成部材10の配線路21を通す前に、
図9に示すように、第1の端子50のハンダ付けランド部52にコイルワイヤ終端部56の端部近傍をハンダ付けし、ハンダ57によってコイルワイヤ終端部56と第1の端子50との電気的接続を確保する。次に、
図10に示すように、第1の端子50の本体部51を第1の筐体構成部材10の第1の貫通孔28に先端側から挿入して行くと共に、コイルワイヤ終端部56を配線路21に配置する。そして、
図11に示すように、ハンダ付けランド部52が第1の貫通孔28の側方部分に当接して挿入が規制されたところが第1の端子50の挿入の停止点となる。次に、
図12に示すように、第1の筐体構成部材10の開口部25と第2の筐体構成部材30の稜線状突出部32に接着剤を塗布したら、稜線状突出部32を第1の筐体構成部材10の溝13に挿入し、続けて、閉止突出部40を開口部25に開閉扉を閉じるようにして挿入して行く。
図13に示すように、第1の筐体構成部材10と第2の筐体構成部材30とが完全に一体になったら、第1の筐体構成部材10の第1の接続部19及び第2の筐体構成部材30の第2の接続部35に接着剤を塗布し、ボビン60の第2の鍔状部62及び第3の鍔状部63に接着する。なお、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30は、ボビン60によって固定することが望ましいが、圧入、ネジ止め、テープ貼り付けなどによって固定してもよい。
【0035】
以上のように、通常のソレノイドにおいてコイルワイヤ終端部とリード線との接続部分を収納し、かつ、保護するために、ボビンの一端部に2つの鍔状部を近接して設ける、つまり二重に鍔状部を設けることがしばしば行われるが、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド70は、第2の鍔状部62と第3の鍔状部63との間隙部66に第1の接続部19と第2の接続部35を挿入して接着するので、ボビン60の側方に張り出したコネクタ45をボビン60によって安定的に支持させることが容易になる。また、第1の筐体構成部材10の手前に突出した周辺部の溝13に第2の筐体構成部材30の稜線状突出部32が係止された状態になるので、ソレノイド70の組立工程において、外部から加わる衝撃などによって第1の筐体構成部材10と第2の筐体構成部材30とが分離することを防止することができる。さらに、第2の筐体構成部材30の閉止突出部40によって第1の筐体構成部材10の開口部25を確実に閉止することができる。さらに、ソレノイド70の組立工程において、外部から加わる衝撃などによって、第2の筐体構成部材30の組付位置が垂直又は水平方向にすれることを防止できる。くわえて、第3の鍔状部63の切欠部64を、第1の接続部19及び第2の接続部35の段差面が第3の鍔状部63に切欠部64に当接した状態で第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30を接着するときに、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30が所定の位置に正しく接着されるような形状とすることによって、ボビン60に対してコネクタ45を常に正しく接着することが可能となる。また、第1の端子50及び第2の端子53を第1の筐体構成部材に装着することが容易になる。
【0036】
さらに、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドのコネクタを示す平面図である。
図14において、80は第1の筐体構成部材、81は鍔状部対応部分、82は突出周辺部、83は基端側部分、84は先端側部分、85は第1の接続部、91は第2の接続部、92は鍔状部対応部分、93は稜線状突出部、95は第2の端子、96は本体部である。
【0037】
本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドは、第1の筐体構成部材80及び第2の筐体構成部材90の構成が第1の実施の形態に係るソレノイドと異なっている。すなわち、第1の筐体構成部材80の第1の接続部85と第2の筐体構成部材90の第2の接続部91との先端面は、第1の筐体構成部材80及び第2の筐体構成部材90からなるコネクタボックスの中心線に対して斜交するように形成されている。第1の実施の形態に係るソレノイドでは、第1の筐体構成部材10及び第2の筐体構成部材30からなるコネクタボックスの中心線と基端側部分17及び先端側部分18の先端面は直交しており、この点が相違する。また、第2の実施の形態に係るソレノイドにおいてこのように形成したことによって、第1の筐体構成部材80の鍔状部対応部分81の平面視における面積が第2の筐体構成部材90の鍔状部対応部分92よりもかなり大きいものとなっている。なお、第1の筐体構成部材80において、基端側部分83の肉厚が先端側部分84の肉厚よりも厚くした構成は、第1の実施の形態に係るソレノイドと同じである。また、第2の筐体構成部材90において、稜線状突出部93が第1の筐体構成部材80の突出周辺部82に保持されている構成も同じである。さらに、図示していないボビン等の構成も、第1の筐体構成部材80と同じである。
【0038】
以上のように構成した第1の筐体構成部材80及び第2の筐体構成部材90は、第1の筐体構成部材80及び第2の筐体構成部材90からなるコネクタボックスの中心線に対して斜交している。よって、第2の端子95の本体部96と、図示していない第1の端子95の本体部とは、第1の筐体構成部材80及び第2の筐体構成部材90からなるコネクタボックスの中心線と第2の鍔状部の円形の輪郭線が交わる点における接線と平行にならない。また、第1の接続部85と第2の接続部2とをコネクタボックスの中心線に対してさらに斜交させれば、第2の端子95の本体部96と、図示していない第1の端子の本体部とをさらに別の角度を持たせることが可能である。言い換えると、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドの第1の接続部85と第2の接続部91とを適宜変形させることによって第2の端子95及び図示していない第1の端子を様々な方向に向けることが可能となる。なお、端子の方向を変更するという観点ではなく、例えばボビンに対する接着を強固にする観点から、鍔状部対応部分81と鍔状部対応部分92の平面視における面積を同等の比率で大きくしてもよい。
【0039】
本発明は以上に説明した内容に限定されるものではなく、例えば、ケースに代えてフレーム状のヨークを設けてもよく、直動型ではなく回転型のソレノイドに適用してもよい。このように、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変形を加えることが可能である。