特許第6465346号(P6465346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465346書籍の注文支援システムおよび書籍の注文支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465346
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】書籍の注文支援システムおよび書籍の注文支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20190128BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20190128BHJP
【FI】
   G06Q30/06
   G06Q30/02 300
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-5533(P2015-5533)
(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公開番号】特開2016-130991(P2016-130991A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】398040158
【氏名又は名称】株式会社ビジュアルジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】山田 徳廣
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−265761(JP,A)
【文献】 特開2008−176662(JP,A)
【文献】 特開2013−109506(JP,A)
【文献】 特表2007−520802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースから所定の情報を取得して書籍の注文の支援を行う書籍の注文支援装置であって、
前記データベースから、少なくとも書籍名、当該書籍のジャンル、当該書籍の販売開始日、当該書籍の1日当たりの販売数を含む書籍情報を取得する書籍情報取得手段と、
前記書籍の販売開始日から、最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を前記ジャンルごとに取得する販売期待期間取得手段と、
前記書籍情報取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、特定のジャンルの、現在から前記販売期待期間取得手段が取得した前記販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍ごとの現在までの販売数を算出する販売数算出手段と、
前記販売数算出手段が算出した前記販売数を多い順にランク付けしたランクデータを算出するランクデータ算出手段と、
前記ランクデータ算出手段が算出した前記ランクデータに基づいて書店の前記ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する注文候補選択手段と、
を有することを特徴とする書籍の注文支援装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、前記販売期待期間を前記ジャンルごとに決定する販売期待期間決定手段と、
前記販売期待期間決定手段が決定した前記販売期待期間を保存する販売期待期間保存手段と、をさらに有するとともに、
前記販売数算出手段は、前記販売期待期間保存手段に保存されている前記販売期待期間に基づいて前記販売数を算出することを特徴とする請求項1に記載の書籍の注文支援装置。
【請求項3】
前記注文候補選択手段が選択した前記注文候補を注文候補データとして出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の書籍の注文支援装置。
【請求項4】
データベースから所定の情報を取得して書籍の注文の支援を行う書籍の注文支援プログラムであって、
コンピュータが、
前記データベースから、少なくとも書籍名、当該書籍のジャンル、当該書籍の販売開始日、当該書籍の1日当たりの販売数を含む書籍情報を取得する書籍情報取得手段と、
前記書籍の販売開始日から、最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を前記ジャンルごとに取得する販売期待期間取得手段と、
前記書籍情報取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、特定のジャンルの、現在から前記販売期待期間取得手段が取得した前記販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍ごとの現在までの販売数を算出する販売数算出手段と、
前記販売数算出手段が算出した前記販売数を多い順にランク付けしたランクデータを算出するランクデータ算出手段と、
前記ランクデータ算出手段が算出した前記ランクデータに基づいて書店の前記ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する注文候補選択手段と、
として機能することを特徴とする書籍の注文支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、書店が書籍の注文を行う場合における、注文作業を支援する書籍の注文支援装置および書籍の注文支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
毎年おびただしい数の新刊書籍が発行され、書店の書棚等に載置できる書籍数には限りがあるため、書店では書籍の入れ替えを頻繁に行っている。我が国では、書籍に関して委託販売制度が採用されており、同制度の下では、一定期間書棚に載置したが販売に至らなかった書籍は、取次店に返品することができる。そのため、上記書籍の入れ替えに当たっては、書棚に配置しても販売の見込みが薄い書籍を、売れ行きが好調な書籍、すなわち、販売の見込みが大きい書籍と入れ替えている。
【0003】
従来、書籍の入れ替えに当たっては、書店の仕入れ担当者が、各書籍の売れ行きや自己の書店書棚の在庫情報を参考にしながら、経験に基づき、返品とする書籍及び注文する書籍を決定していた。ところで、一日に発刊される新刊書籍は200ないし300冊、1年間ではおよそ10万の新刊書籍が発刊されており、この中から売れ筋の商品を見極め、それと入れ替えるべき返品書籍を決定することは非常に困難であり、販売の機会を逸したり、販売見込みの少ない在庫を発生させたりしがちであるため、より収益性の高い書店に成長させることが困難であった。
【0004】
上記事情に鑑み、本出願人は特許文献1に記載されている書籍の注文及び返品支援システムを提案している。特許文献1に記載された書籍の注文及び返品支援システムは、書棚をデジタルカメラ等で撮影して、書籍の背表紙画像をコード化し、コード化データと背表紙マスタデータベースとを照合して対象書籍の書籍コードを抽出する。そして、撮影した書棚のジャンルに基づいて現在時点において書棚に陳列されている書籍のうち販売が見込めない書籍、及びこれと入れ替えるべき売れる可能性の高い書籍を選定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−109506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている書籍の注文及び返品支援システムを利用することによって、現在時点において書棚に陳列されている書籍のうち販売が見込めない書籍、及びこれと入れ替えるべき売れる可能性の高い書籍を選定することができる。ここで、売れる可能性の高い書籍を選定については、所定期間の販売数順から当該ジャンルの書棚に無いタイトルを選定している。しかしながら、コミックのように短期間で販売数が急激に低下するものや、学術書のように販売数の低下が比較的緩いものなど、短期間で売り上げが急激に落ち込むジャンルや長期間売上を維持しているジャンルがある。したがって、単に書棚のジャンルごとに選定するだけでは、売れる可能性の高い書籍を選定できるとは限らず、販売が見込める書籍の選定については改善の余地を残していた。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、販売が見込まれる書籍を注文候補書籍として決定することができる書籍の注文支援装置および書籍の注文支援プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、データベースから所定の情報を取得して書籍の注文の支援を行う書籍の注文支援装置であって、前記データベースから、少なくとも書籍名、当該書籍のジャンル、当該書籍の販売開始日、当該書籍の1日当たりの販売数を含む書籍情報を取得する書籍情報取得手段と、前記書籍の販売開始日から、最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を前記ジャンルごとに取得する販売期待期間取得手段と、前記書籍情報取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、特定のジャンルの、現在から前記販売期待期間取得手段が取得した前記販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍ごとの現在までの販売数を算出する販売数算出手段と、前記販売数算出手段が算出した前記販売数を多い順にランク付けしたランクデータを算出するランクデータ算出手段と、前記ランクデータ算出手段が算出した前記ランクデータに基づいて書店の前記ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する注文候補選択手段と、を有することを特徴とする書籍の注文支援装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、前記販売期待期間を前記ジャンルごとに決定する販売期待期間決定手段と、前記販売期待期間決定手段が決定した前記販売期待期間を保存する販売期待期間保存手段と、をさらに有するとともに、前記販売数算出手段は、前記販売期待期間保存手段に保存されている前記販売期待期間に基づいて前記販売数を算出することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記注文候補選択手段が選択した前記注文候補を注文候補データとして出力する出力手段を有することを特徴とすることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、データベースから所定の情報を取得して書籍の注文の支援を行う書籍の注文支援プログラムであって、コンピュータが、前記データベースから、少なくとも書籍名、当該書籍のジャンル、当該書籍の販売開始日、当該書籍の1日当たりの販売数を含む書籍情報を取得する書籍情報取得手段と、前記書籍の販売開始日から、最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を前記ジャンルごとに取得する販売期待期間取得手段と、前記書籍情報取得手段が取得した前記書籍情報に基づいて、特定のジャンルの、現在から前記販売期待期間取得手段が取得した前記販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍ごとの現在までの販売数を算出する販売数算出手段と、前記販売数算出手段が算出した前記販売数を多い順にランク付けしたランクデータを算出するランクデータ算出手段と、前記ランクデータ算出手段が算出した前記ランクデータに基づいて書店の前記ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する注文候補選択手段と、として機能することを特徴とする書籍の注文支援プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、書籍の販売開始日から最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を書籍のジャンルごとに取得する。そして、販売数算出手段が、特定のジャンルの現在から販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍ごとの現在から販売期待期間まで遡った期間内における販売数を算出する。このようにすることにより、短期間で売り上げが急激に落ち込むジャンルや長期間売上を維持しているジャンルなどそのジャンルの売り上げ特性に合った期間における販売数を算出できる。例えばコミックのように短期間で販売数が急激に低下するものは販売期待期間が短くなり、学術書のように販売数の低下が比較的緩いものは販売期待期間が長くなる。
【0013】
また、ランクデータ算出手段が、販売数算出手段が算出した販売数を多い順にランク付けしたランクデータを算出する、そして、注文候補選択手段が、ランクデータ算出手段が算出したランクデータに基づいて書店の当該ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する。このようにすることにより、ジャンルごとの特性に合った期間における販売数上位の書籍が書棚の所定の割合を占めるように注文候補を選択、決定することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、販売期待期間決定手段が決定した販売期待期間を販売期待期間保存手段に保存し、販売期待期間保存手段に保存されている販売期待期間に基づいて販売数算出手段が販売数を算出する。このようにすることにより、販売期待期間は、ジャンルごとに設定される期間であり、更新頻度を高くする必要が無い。そこで、販売期待期間保存手段に保存することにより、販売期待期間を毎回算出する必要が無くなる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、出力手段により注文候補選択手段が選択した注文候補を注文候補データとして出力されるので、例えば書店等ではオンラインを介して、あるいは画面表示等で注文候補を確認することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明よれば、コンピュータプログラムにより、短期間で売り上げが急激に落ち込むジャンルや長期間売上を維持しているジャンルなどそのジャンルの売り上げ特性に合った期間における販売数を算出できる。また、ジャンルごとの特性に合った期間における販売数上位の書籍が書棚の所定の割合を占めるように注文候補を選択、決定することができる。さらに、コンピュータプログラムであるので、インストールやバージョンアップ等も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかる書籍の注文支援装置を含む書籍の注文支援システムの概略構成図である。
図2図1に示されたサーバの概略構成図である。
図3図1に示されたサーバが書籍の注文支援装置として機能する際の機能的構成図である。
図4図1に示されたサーバにおける販売期待期間決定動作のフローチャートである。
図5図1に示されたサーバにおける注文候補を選択する動作のフローチャートである。
図6】販売数算出のための販売期待期間の説明図である。
図7】本発明の他の実施形態にかかる書籍の注文支援装置を含む書籍の注文支援システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態にかかる書籍の注文支援装置を図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる書籍の注文支援装置を含む書籍の注文支援システムの概略構成図である。
【0019】
図1に示した書籍の注文支援システムは、サーバ1と、データベース2と、を有している。そして、サーバ1は、インターネット3を介して書店4に設置された不図示の端末等と接続されており、サーバ1で後述する動作により選択された注文候補情報を書店4の端末等に出力する。
【0020】
サーバ1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、HDD(Hard Disc Drive)14と、入出力インタフェース15と、を有し、これらがバス16で接続されている汎用のコンピュータである。
【0021】
CPU11は、HDD14に格納されている書籍の注文支援プログラムが実行される。RAM12は、CPU11が動作する際に必要なデータ等を一時的に記憶するワークメモリ等として機能する。ROM13は、サーバ1の起動時等に動作するプログラム等が記憶されている。
【0022】
HDD14は、CPU11で実行される書籍の注文支援プログラムや、データベース2から入出力インタフェース15を介して取得した書籍情報等が格納される。
【0023】
入出力インタフェース15は、例えば、データベース2とのデータのやり取りや、書店4とのデータのやり取り等に用いられるインターフェース(I/F)である。入出力インタフェース15は、具体的には有線または無線のネットワークインタフェース等で構成される。
【0024】
なお、図1の構成例では、サーバ1は、データベース2とインターネット3の2つに接続されているので、入出力インタフェース15は2系統の入出力を持つが、データベース2をインターネット3に接続してもよい。その場合は入出力インタフェース15は1系統の入出力を持つ。
【0025】
データベース2は、図1に示したように、書籍情報データベース2aと、販売情報データベース2bと、を有する所謂データベースサーバである。書籍情報データベース2aは、書籍コードと、その書籍の書籍名、出版社、価格、著者、ジャンル、販売開始日等が関連付けられて蓄積されている。販売情報データベース2bは、書籍コードとその書籍コードに対応する書籍の1日当たりの販売数と販売開始日から1日ごとに関連付けて蓄積されている。
【0026】
書籍コードとは、書籍固有に付されるコードであり、例えば書籍の裏表紙等にバーコード等で印刷されている。また、販売情報データベース2bに蓄積される販売数は、全国規模などなるべく多くの書店4の情報が集計されていることが好ましい。
【0027】
データベース2は、サーバ1からの要求に基づいて、書籍情報データベース2aと販売情報データベース2bとを検索し、書籍コード、書籍名、出版社、価格、著者、ジャンル、販売開始日等と、1日ごとの販売数の情報と、を書籍情報として出力する。なお、データベース2を独立して設けずに書籍情報データベース2aと販売情報データベース2bとをサーバ1が有する構成としてもよい。
【0028】
次に、図2に示した構成のサーバ1が本発明の一実施形態にかかる書籍の注文支援装置として機能する際の機能的構成を図3を示して説明する。図3に示したように、サーバ1は、書籍情報取得手段21と、販売期待期間決定手段22と、保存手段23と、販売数算出手段24と、ランクデータ算出手段25と、注文候補選択手段26と、出力手段27と、を有している。
【0029】
書籍情報取得手段21は、販売期待期間決定手段22または販売数算出手段24からの要求に応じてデータベース2から上述した書籍情報を取得する。書籍情報取得手段21は、例えば入出力インタフェース15が機能する。
【0030】
販売期待期間決定手段22は、書籍情報取得手段21が取得した書籍情報に基づいて、販売期待期間を決定する。販売期待期間とは、特定のジャンルについて、販売開始日(発行日、発売日等店頭に置かれて購入が可能となる日)から最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である。算出方法としては、例えば、特定のジャンルの個々の書籍ごとに、販売開始日から販売数のピーク値の所定の割合(1/10等)まで低下する日までの販売期間を算出して平均値を算出する。また、同じジャンルで販売開始日が同じ書籍が複数ある場合は販売数をまとめて算出してもよい。販売期待期間決定手段22は、例えばCPU11が機能する。
【0031】
保存手段23には、販売期待期間決定手段22で算出された販売期待期間が保存される。保存手段23は、例えばHDD14などが機能する。即ち、保存手段23は、販売期待期間保存手段として機能する。販売期待期間は、ジャンルごとに算出するものであり、同じジャンルであれば時期的変動は大きくないと考えられるので、頻繁に算出する必要はない。そこで、保存手段23に保存して、以降の処理に利用する。
【0032】
販売数算出手段24は、書籍情報取得手段21が取得した書籍情報に基づいて、予め指定されたジャンルの現在から保存手段23に保存された販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された当該ジャンルの書籍の現在までの販売数を書籍ごとに算出する。販売期待期間は、勿論指定されたジャンルに対応したものを用いる。書籍情報には、1日ごとの販売数と販売日が含まれているので、例えば販売期待期間分の販売数を積算することで算出することができる。販売数算出手段24は、例えばCPU11が機能する。
【0033】
なお、本実施形態における販売数算出手段24は上述した説明から明らかなように保存手段23に保存された販売期待期間を取得するので、保存手段23と販売数算出手段24とが、販売期待期間取得手段としても機能する。
【0034】
ランクデータ算出手段25は、販売数算出手段が算出した販売数を多い順にランキング(ランク付け)したランクデータを算出する。ランクデータ算出手段25は、例えばCPU11が機能する。
【0035】
注文候補選択手段26は、ランクデータ算出手段25がランキングしたランクデータの上位(販売数が多い)の書籍を販売が見込める書籍の注文候補としてリストアップ(選択)する。注文候補としてリストアップする数は、例えばサーバ1に注文候補の選択要求をした書店4における当該ジャンルの書籍が収容されている書棚(当該ジャンルに割り当てられた書棚)の1割など、書棚における予め定めた所定割合に相当する数とすればよい。なお、書店4における書棚の収容可能書籍数はジャンルごとに予めサーバ1に登録する。注文候補選択手段26は、例えばCPU11が機能する。
【0036】
なお、上記書棚の所定割合は、書店の規模や当該書店の方針(例えば特定のジャンルの書籍を充実させたい等)に基づいて適宜定めればよい。
【0037】
出力手段27は、注文候補選択手段26が選択した注文候補を注文候補データとして、サーバ1に注文候補の選択要求をした書店4の端末等に出力する。書籍情報取得手段21は、例えば入出力インタフェース15が機能する。注文候補データには少なくとも書籍名が含まれている。
【0038】
次に、上述した構成の書籍のサーバ1の動作(CPU11で動作する書籍の注文支援プログラムの動作)について図4および図5のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、販売期待期間決定動作を図4のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS101において、販売期待期間を決定するジャンルを選択する。本ステップで選択されたジャンルは販売期待期間決定手段22が取得する。なお、選択はサーバ1に接続されている図示しないキーボードやマウス等の入力手段で行ってもよいし、サーバ1に接続された他の端末等で行ってもよい。あるいは、サーバ1において自動的に順次ジャンルを選択するようにしてもよい。
【0040】
次に、ステップS102において、販売期待期間決定手段22が販売期待期間を決定する。販売期待期間は、上述したように、選択されたジャンルについて、個々の書籍ごとに販売開始日から販売数のピーク値の所定の割合(1/10等)まで低下する日までの販売期間を算出して平均値を算出して決定する。
【0041】
次に、ステップS103において、ステップS102で決定した販売期待期間を保存手段23に保存する。そして、ステップS104において、全てのジャンルについて販売期待期間が決定された(全ジャンル完)か否かを判断し、全ジャンル完の場合(YESの場合)は販売期待期間決定動作を終了し、全ジャンル完でない場合(NOの場合)は、ステップS101に戻る。
【0042】
なお、図4のフローチャートの動作は例えば1年に1度程度実行すればよい。また、図4では、全ジャンルについて販売期待期間を決定していたが、指定した一部のジャンルのみを決定するようにしてもよい。即ち、ジャンルごとに販売期待期間の算出間隔は異なっていてもよい。また、販売期待期間は、最初に決定した期間を変更せずに以後利用し続けることでも構わない。
【0043】
次に、注文候補を選択する動作を図5のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS201において、注文候補を選択するジャンルや販売が見込める書籍で埋める書棚の割合等の必要事項を入力する。この必要事項の入力は、例えば注文候補の選択要求をする書店4の端末等から入力する。なお、書棚に収容可能な書籍数等の書店4の書棚の情報は上述したように予めサーバ1に登録してあり、入力された割合から注文候補としてリストアップする書籍数を算出することが可能となっている。
【0044】
次に、ステップS202において、販売数算出手段24が、ステップS201で入力されたジャンルの現在から保存手段23に保存されている販売期待期間分遡った期間に販売開始された当該ジャンルの書籍の現在までの販売数を書籍ごとに算出する。
【0045】
このステップS202について図6に示した例を参照して説明する。図6において、現在から販売期待期間遡った日をdとする。この場合、dから現在までの間に販売開始された書籍A、B、Cについて販売数を算出する対象とするが、d以前に販売開始された書籍Dに関しては販売数を算出する対象とはしない。そして、書籍Aは販売開始日(図中の書籍A)から現在までの販売数、書籍Bは販売開始日(図中の書籍B)から現在までの販売数、書籍Cは販売開始日(図中の書籍C)から現在までの販売数、がそれぞれ算出される。
【0046】
次に、ステップS203において、ランクデータ算出手段25が、ステップS202で算出された販売数を多い順にランキングしたランクデータを算出する。
【0047】
次に、ステップS204において、注文候補選択手段26が、ステップS203でランキングされたランクデータに基づいて注文候補を選択する。本ステップでは、ステップS201で入力された書棚の割合に基づいてランキングの上位から所定数を販売が見込める書籍の注文候補として選択する。例えば書棚に500冊収容できる場合で割合を1割としたとすると、ランキングの上位50冊(アイテム)が注文候補として選択される。
【0048】
次に、ステップS205において、出力手段27が、ステップS204で選択された注文候補の少なくとも書籍名を含む情報を注文候補データとして書店4の端末等に出力する。
【0049】
注文候補データを受信した書店4では、例えば、当該注文候補データと在庫データとを突き合わせて在庫の少ないあるいは無い書籍を注文する。
【0050】
注文した書籍と入れ替えて返品する書籍の選択については、特に限定しないが、例えば特許文献1に記載された方法により行えばよい。即ち、所定期間以上前に販売開始された注文候補を選択したジャンルの書籍のうち、販売数が所定数以下の書籍を販売数が少ない順にリストアップし、新たに注文した書籍数に相当する書籍を選択する。
【0051】
なお、図4または図5に示したフローチャート中で書籍とあるのは、使用者等が参照する可能性がある注文候補データを除いて書籍名に限らず、書籍コードであってもよい。つまり、個々の書籍を識別できる情報であればよく、その情報に基づいて販売数の算出や、ランキングをすればよい。
【0052】
以上に説明した本実施形態によれば、販売期待期間決定手段22が書籍のジャンルごとに販売開始日から最も販売数が多い日の販売数の所定の割合に低下する日までの期間である販売期待期間を決定し、保存手段23に保存する。そして、販売数算出手段24が現在から販売期待期間まで遡った期間に販売開始された書籍の現在までの販売数を算出する。このようにすることにより、短期間で売り上げが急激に落ち込むジャンルや長期間売上を維持しているジャンルなどそのジャンルの売り上げ特性に合った期間における販売数を算出できる。例えばコミックのように短期間で販売数が急激に低下するものは販売期待期間が短くなり、学術書のように販売数の低下が比較的緩いものは販売期待期間が長くなる。
【0053】
また、販売期待期間決定手段22が決定した販売期待期間を保存手段23に保存し、保存手段23に保存されている販売期待期間に基づいて販売数算出手段24が販売数を算出するので、更新頻度を高くする必要が無い販売期待期間を毎回算出する必要が無くなる。
【0054】
また、販売数算出手段24が、現在から販売期待期間まで遡った期間内に販売開始された書籍の販売数を算出するので、販売開始されてから日が浅く比較的販売が見込まれる書籍のみのランクデータを作成することができる。したがって、販売が見込まれる書籍をより精度良く注文候補として選択することができる。
【0055】
また、ランクデータ算出手段25が、販売数算出手段24が算出した販売数を多い順にランク付けしたランクデータをジャンルごとに算出する。次に、注文候補選択手段26が、ランクデータ算出手段25が算出したランクデータに基づいて書店の当該ジャンルに割り当てられた書棚の所定割合に相当する数の書籍を注文候補として選択する。そして、出力手段27が、注文候補選択手段26が選択した注文候補を注文候補データとして出力する。このようにすることにより、ジャンルごとの特性に合った期間における販売数上位の書籍が書棚の所定の割合を占めるように注文候補を選択、決定することができる。
【0056】
また、出力手段27により注文候補選択手段26が選択した注文候補を注文候補データとして出力されるので、例えば書店等ではオンラインを介して、あるいは画面表示等で注文候補を確認することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、サーバ1を書店4の外部に設置し複数の書店が共有して利用する構成であったが、例えば図7に示したように、サーバ1’として書店4に設置し、書店ごとに販売数算出手段24以降の処理を行うようにしてもよい。図7では、書籍情報取得手段21、販売期待期間決定手段、保存手段23は別のサーバ20が機能し、インターネット3に接続されている。そして、販売数算出手段24は、サーバ20から販売期待期間を取得し、データベース2から書籍情報を取得して販売数算出動作を行う。図7の構成において、販売期待期間は一度に全ジャンル分を取得してもよいし、必要なジャンル分を取得するようにしてもよい。
【0058】
また、サーバ1’として書店4に設置した場合の出力手段27は、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段が相当する。また、図7の構成の場合、サーバ20が取得する書籍情報と、サーバ1(販売数取得手段24)が取得する書籍情報(販売数等)とは、異なるデータベースから取得するものであってもよい。例えば、サーバ20は全国規模の情報が蓄積されているデータベースから書籍情報を取得して販売期待期間を決定し、サーバ1は、当該書店が属する書店チェーンのみの情報が蓄積されているデータベースから書籍情報を取得して販売数を算出してもよい。
【0059】
また、図7に示したように販売期待期間をインターネット3から取得するに限らず、販売期待期間をCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬型記憶媒体に記憶させ、それを読み出すことで取得するようにしてもよい。販売期待期間は、頻繁に更新されないので、CD−ROM等の記憶媒体から取得することでも構わない。
【0060】
また、データベース2については、全国規模等のより多くの情報が蓄積された方が販売期待期間やランクデータの精度が向上するので、複数の書店4のデータが蓄積できるような形態が好ましい。
【0061】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の書籍の注文支援装置および書籍の注文支援プログラムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 サーバ
2 データベース
4 書店
21 取得手段(書籍情報取得手段)
22 販売期待期間決定手段
23 保存手段(販売期待期間保存手段)
24 販売数算出手段(販売期待期間取得手段)
25 ランクデータ算出手段
26 注文候補選択手段
27 出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7