(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シアン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記プリント配線板用樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、1〜90質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板用樹脂組成物。
前記シアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物(D)、マレイミド化合物(E)、及びフェノール樹脂(F)からなる群より選択される一種以上の化合物をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板用樹脂組成物。
前記エポキシ樹脂(B)が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される一種以上のエポキシ樹脂を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線板用樹脂組成物。
前記充填材(C)の含有量が、前記プリント配線板用樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、50〜1600質量部である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0014】
〔プリント配線板用樹脂組成物〕
本実施形態のプリント配線板用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)は、下記一般式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、エポキシ樹脂(B)と、を含有する。
【化2】
(式中、Ar
1はアリール基を表し、Ar
2は、各々独立して、フェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基からなる群より選ばれる二価の置換基を表し、Ar
3は、各々独立して、p+1価のフェニル基、p+1価のナフチル基、及びp+1価のビフェニル基からなる群より選ばれるp+1価の置換基を表し、R
1は、各々独立して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群より選ばれる一価の置換基を表し、R
2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びシアナト基からなる群より選ばれる一価の置換基を表し、nはAr
1に結合するシアナト基の数を表し、1〜3の整数であり、mはAr
1に結合するR
1の数を表し、n+m+2はAr
1の結合可能数以下であり、pはAr
3に結合するR
2の数を表し、1〜9の整数であり、x及びyは各繰返し単位の比率を示し、xが1に対して、yは0.25〜2.0であり、x及びyの各繰り返し単位はそれぞれが連続に並んでいても、お互いが交互もしくはランダムに並んでいてもよい。)
【0015】
上記構成を有することにより、低吸水性、吸湿耐熱性、及び難燃性に優れるプリント配線板を実現し得る樹脂組成物を得ることができる。また、本実施形態の好適な態様によれば、非ハロゲン系化合物のみからなる樹脂組成物(換言すれば、ハロゲン系化合物を含まない樹脂組成物、非ハロゲン系樹脂組成物)、プリプレグ、樹脂複合シート、金属箔張り積層板等を実現することもでき、その工業的な実用性は極めて高いものである。以下、本実施形態の樹脂組成物について説明する。
【0016】
〔シアン酸エステル化合物(A)〕
シアン酸エステル化合物(A)は、上記一般式(1)で表される構造を有する。このような構造を有するシアン酸エステル化合物(A)を含有する樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物は、低吸水性、吸湿耐熱性、及び難燃性に優れる。
【0017】
一般式(1)中、Ar
1で表されるアリール基としては、特に限定されないが、例えば、m+n+1価又はm+n+2価の、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、キシリル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−又はp−トリル基が挙げられる。このなかでも、m+n+1価又はm+n+2価のフェニル基、m+n+1価又はm+n+2価のビフェニル基が好ましく、2価又は3価のフェニル基、2価又は3価のビフェニル基がより好ましい。
【0018】
一般式(1)中、Ar
2は、各々独立して、フェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基からなる群より選ばれる二価の置換基を表す。このなかでも、フェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
【0019】
一般式(1)中、Ar
3は、各々独立して、p+1価のフェニル基、p+1価のナフチル基、及びp+1価のビフェニル基からなる群より選ばれるp+1価の置換基を表す。このなかでも、p+1価のフェニル基、p+1価のビフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0020】
このなかでも、Ar
1が、m+n+1価若しくはm+n+2価のフェニル基又はm+n+1価若しくはm+n+2価のビフェニル基を含み、Ar
2が、フェニレン基又はビフェニレン基を含み、Ar
3が、p+1価のフェニル基又はp+1価のビフェニル基を含むことが好ましく、Ar
1が、2価若しくは3価のフェニル基又は2価若しくは3価のビフェニル基を含み、Ar
2が、フェニレン基又はビフェニレン基を含み、Ar
3が、フェニル基又はビフェニル基を含むことがより好ましい。このようなAr
1、Ar
2、及びAr
3を有することにより、低吸水性、吸湿耐熱性及び難燃性がより向上する傾向にある。
【0021】
また、Ar
1が、m+n+1価又はm+n+2価のフェニル基を含み、Ar
2が、フェニレン基を含み、Ar
3が、p+1価のフェニル基を含むことが好ましく、Ar
1が、2価又は3価のフェニル基を含み、Ar
2が、フェニレン基を含み、Ar
3が、フェニル基を含むことがより好ましい。このようなAr
1、Ar
2、及びAr
3を有することにより、低吸水性、吸湿耐熱性及び難燃性がより向上する傾向にある。
【0022】
さらに、Ar
1が、m+n+1価又はm+n+2価のフェニル基を含み、Ar
2が、ビフェニレン基を含み、Ar
3が、p+1価のフェニル基を含むことが好ましく、Ar
1が、2価又は3価のフェニル基を含み、Ar
2が、ビフェニレン基を含み、Ar
3が、フェニル基を含むことが好ましい。このようなAr
1、Ar
2、及びAr
3を有することにより、低吸水性、吸湿耐熱性及び難燃性がより向上する傾向にある。
【0023】
一般式(1)中、R
1で表されるアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。アルキル基は、鎖状構造、環状構造(シクロアルキル基等)、分岐状構造のいずれを有していてもよい。
【0024】
一般式(1)中、R
1で表されるアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられる。
【0025】
一般式(1)中、R
2で表されるアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。アルキル基は、鎖状構造、環状構造(シクロアルキル基等)、分岐状構造のいずれを有していてもよい。
【0026】
一般式(1)中、R
2で表されるアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中、R
1又はR
2で表されるアルキル基又はアリール基の水素原子は、置換基で、置換されていてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルデヒド基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中、nは、各々独立して、1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数であり、より好ましくは1の整数である。
【0029】
一般式(1)中、mは、各々独立して、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1〜2の整数であり、さらに好ましくは1の整数である。なお、n+m+2はAr
1の結合可能数以下である。
【0030】
一般式(1)中、pは、1〜9の整数であり、好ましくは1〜7の整数であり、より好ましくは1〜5の整数である。
【0031】
一般式(1)中、x及びyは各繰返し単位の比率を示し、xが1に対して、yは、0.25〜2.0であり、好ましくは0.50〜1.75であり、より好ましくは0.75〜1.5であり、さらに好ましくは0.9〜1.5である。
【0032】
なお、一般式(1)で表される化合物1分子中において、xで示される繰返し単位の数は、好ましくは1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、さらに好ましくは1〜20である。
【0033】
また、一般式(1)で表される化合物1分子中において、yで示される繰返し単位の数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10である。
【0034】
繰り返し単位数x及びyで表される各繰り返し単位は、それぞれが連続に並んでいても、お互いが交互もしくはランダムに並んでいてもよい。言い換えれば、シアン酸エステル化合物(A)は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。また、シアン酸エステル化合物(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
シアン酸エステル化合物(A)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜90質量部であり、より好ましくは10〜90質量部であり、さらに好ましくは20〜70質量部である。シアン酸エステル化合物(A)の含有量が上記範囲内であることにより、低吸水性、吸湿耐熱性がより向上する傾向にある。なお、シアン酸エステル化合物(A)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、上記に限定されない。
【0036】
ここで、「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、溶剤及び充填材(C)を除いた樹脂成分をいい、樹脂固形分100質量部とは、樹脂組成物における溶剤及び無機充填材を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0037】
シアン酸エステル化合物(A)の数平均分子量Mnは、好ましくは200〜5000であり、より好ましくは300〜3000であり、さらに好ましくは300〜2000である。数平均分子量Mnが上記範囲内であることにより、難燃性がより向上する傾向にある。
【0038】
(シアン酸エステル化合物(A)の製造方法)
シアン酸エステル化合物(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される樹脂が有するヒドロキシル基をシアネート化する方法が挙げられる。
【化3】
(式中、Ar
1はアリール基を表し、Ar
2は、各々独立して、フェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基からなる群より選ばれる二価の置換基を表し、Ar
3は、各々独立して、p+1価のフェニル基、p+1価のナフチル基、及びp+1価のビフェニル基からなる群より選ばれるp+1価の置換基を表し、R
1は、各々独立して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群より選ばれる一価の置換基を表し、R
2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びシアナト基からなる群より選ばれる一価の置換基を表し、nはAr
1に結合するOH基の数を表し、1〜3の整数であり、mはAr
1に結合するR
1の数を表し、pはAr
3に結合するR
2の数を表し、1〜5の整数であり、x及びyは各繰返し単位の比率を示し、xが1に対して、yは0.25〜2.0であり、x及びyの各繰り返し単位はそれぞれが連続に並んでいても、お互いが交互もしくはランダムに並んでいてもよい。
【0039】
なお、Ar
1、Ar
2、Ar
3、R
1、R
2、m、n、p、x、yの具体的態様としては、一般式(1)で例示したものと同様とすることができる。
【0040】
上記一般式(2)で表される樹脂が有するヒドロキシル基のシアネート化方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。具体的には、一般式(2)で表される樹脂とハロゲン化シアンを、溶媒中で、塩基性化合物存在下で反応させる方法;溶媒中、塩基の存在下で、ハロゲン化シアンが常に塩基より過剰に存在するようにして、フェノール樹脂とハロゲン化シアンを反応させる方法(米国特許3553244号);塩基として3級アミンを用い、これをハロゲン化シアンよりも過剰に用いながら、ビスフェノール化合物に溶媒の存在下、3級アミンを添加した後、ハロゲン化シアンを滴下する、あるいは、ハロゲン化シアンと3級アミンを併注滴下する方法(特許3319061号公報);連続プラグフロー方式で、フェノール樹脂、トリアルキルアミン及びハロゲン化シアンとを反応させる方法(特許3905559号公報);フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを、tert−アミンの存在下、非水溶液中で反応させる際に副生するtert−アンモニウムハライドを、カチオン及びアニオン交換対で処理する方法(特許4055210号公報);フェノール樹脂を、水と分液可能な溶媒の存在下で、3級アミンとハロゲン化シアンとを同時に添加して反応させた後、水洗分液し、得られた溶液から2級又は3級アルコール類もしくは炭化水素の貧溶媒を用いて沈殿精製する方法(特許2991054号);更には、ナフトール類、ハロゲン化シアン、及び3級アミンを、水と有機溶媒との二相系溶媒中で、酸性条件下で反応させる方法(特許5026727号公報)等が挙げられる。本実施形態においては、これらの方法を好適に使用して、シアン酸エステル化合物(A)を得ることができる。
【0041】
〔エポキシ樹脂(B)〕
エポキシ樹脂(B)としては、特に限定されないが、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物などが挙げられる。このなかでも、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される一種以上のエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂(B)を用いることにより、難燃性及び耐熱性がより向上する傾向にある。なお、エポキシ樹脂(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0042】
エポキシ樹脂(B)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは10〜99質量部であり、より好ましくは20〜80質量部であり、さらに好ましくは30〜70質量部である。エポキシ樹脂(B)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性がより向上する傾向にある。なお、エポキシ樹脂(B)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、上記に限定されない。
【0043】
〔充填材(C)〕
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(C)をさらに含有してもよい。充填材(C)としては、公知の無機充填材及び有機充填材を適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。その中でも、積層板用途において一般に使用されているものを好適に用いることができる。
【0044】
無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類;ホワイトカーボン等のケイ素化合物;チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;硫酸バリウム等の金属硫酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物;酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛等の亜鉛化合物;アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E−ガラス、A−ガラス、NE−ガラス、C−ガラス、L−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、M−ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなどが挙げられる。
【0045】
また、有機充填材としては、特に限定されないが、例えば、スチレン型パウダー、ブタジエン型パウダー、アクリル型パウダーなどのゴムパウダー;コアシェル型ゴムパウダー;シリコーンレジンパウダー;シリコーンゴムパウダー;シリコーン複合パウダーなどが挙げられる。
【0046】
これらの充填材(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0047】
充填材(C)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは50〜1600質量部であり、より好ましくは50〜300質量部であり、さらに好ましくは30〜200質量部である。充填材(C)の含有量が上記範囲内であることにより、樹脂組成物の成形性がより向上する傾向にある。充填材(C)の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、上記に限定されない。
【0048】
〔その他の成分〕
充填材(C)を使用する場合、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することが好ましい。
【0049】
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシランなどのアミノシラン系化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系化合物;γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルートリ(β−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン系化合物;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系化合物;フェニルシラン系化合物などが挙げられる。シランカップリング剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0050】
(湿潤分散剤)
また、湿潤分散剤としては、一般に塗料用に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくは、共重合体ベースの湿潤分散剤が使用され、その具体例としては、ビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk−110、111、161、180、BYK−W996、BYK−W9010、BYK−W903、BYK−W940などが挙げられる。湿潤分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
(硬化促進剤)
また、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、硬化速度を適宜調節するための硬化促進剤を含有していてもよい。この硬化促進剤としては、シアン酸エステル化合物やエポキシ樹脂等の硬化促進剤として一般に使用されているものを好適に用いることができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等の有機金属塩類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物;1−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;該イミダゾール類のカルボン酸もしくはその酸無水類の付加体等の誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン類;ホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ダイホスフィン系化合物等のリン化合物;エポキシ−イミダゾールアダクト系化合物;ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物;又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
なお、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.005〜10質量部である。硬化促進剤の含有量は、樹脂の硬化度や樹脂組成物の粘度等を考慮して適宜調整でき、上記に限定されない。
【0053】
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、シアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物(D)、マレイミド化合物(E)、フェノール樹脂(F)、オキセタン樹脂(G)、ベンゾオキサジン化合物(H)、及び/又は、重合可能な不飽和基を有する化合物(I)等を含有してもよい。このなかでも、本実施形態の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物(D)、マレイミド化合物(E)、及びフェノール樹脂(F)からなる群より選択される一種以上の化合物をさらに含有することが好ましい。
【0054】
(シアン酸エステル化合物(D))
シアン酸エステル化合物(D)としては、特に限定されないが、例えば、シアナト基が少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、特に限定されないが、例えば、例えば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
(式中、Ar
4は、各々独立して、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基からなる群より選ばれるp+q+1価又はp+q+2価の置換基を表し、Raは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アラルキル基、及びアルキルアリール基からなる群より選ばれる置換基を表し、pは、Ar
4に結合するシアナト基の数を表し、1〜3の整数である。qは、Ar
4に結合するRaの数を表し、tは0〜50の整数を示し、Xは、単結合、炭素数1〜20の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい)、窒素数1〜10の2価の有機基(−N−R−N−など)、及び下記式で表される二価の置換基からなる群より選ばれる置換基を表す。)
【化5】
(式中、zは4〜7の整数を表す。Rは各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0055】
一般式(3)中、Raで表されるアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。アルキル基は、鎖状構造、環状構造(シクロアルキル基等)、分岐状構造のいずれを有していてもよい。
【0056】
一般式(3)中、Raで表されるアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、o−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0057】
一般式(3)中、Raで表されるアルキル基又はアリール基の水素原子は、置換基で、置換されていてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン原子;メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基;シアノ基が挙げられる。
【0058】
一般式(3)中、Xにおける2価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、フタリドジイル基等が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、置換基で、置換されていてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0059】
一般式(3)中、Xにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
【0060】
また、一般式(3)中のXとしては、下記一般式(4)又は下記式で表される構造であるものが挙げられる。
【化6】
(式中、Ar
5はフェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基からなる群より選ばれる置換基を表し、Rb、Rc、Rf、及びRgは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、及びフェノール性ヒドロキシル基が少なくとも1個置換されたアリール基からなる群より選ばれる置換基を表し、Rd及びReは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる置換基を表し、uは0〜5の整数を示す。)
【0061】
一般式(4)のAr
5としては、特に限定されないが、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、2,4’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,3’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基等が挙げられる。
【0062】
一般式(4)のRb〜Rfにおけるアルキル基及びアリール基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(3)で記載したものと同様のものが挙げられる。
【0063】
シアン酸エステル化合物(D)としては、特に限定されないが、例えば、シアナトベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メチルベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メトキシベンゼン、1−シアナト−2,3−,1−シアナト−2,4−,1−シアナト−2,5−,1−シアナト−2,6−,1−シアナト−3,4−又は1−シアナト−3,5−ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2−(4−シアナフェニル)−2−フェニルプロパン(4−α−クミルフェノールのシアネート)、1−シアナト−4−シクロヘキシルベンゼン、1−シアナト−4−ビニルベンゼン、1−シアナト−2−又は1−シアナト−3−クロロベンゼン、1−シアナト−2,6−ジクロロベンゼン、1−シアナト−2−メチル−3−クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1−シアナト−4−ニトロ−2−エチルベンゼン、1−シアナト−2−メトキシ−4−アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4−シアナトフェニル)スルフィド、1−シアナト−3−トリフルオロメチルベンゼン、4−シアナトビフェニル、1−シアナト−2−又は1−シアナト−4−アセチルベンゼン、4−シアナトベンズアルデヒド、4−シアナト安息香酸メチルエステル、4−シアナト安息香酸フェニルエステル、1−シアナト−4−アセトアミノベンゼン、4−シアナトベンゾフェノン、1−シアナト−2,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナト−2−tert−ブチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,4−ジメチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−5−メチルベンゼン、1−シアナト又は2−シアナトナフタレン、1−シアナト4−メトキシナフタレン、2−シアナト−6−メチルナフタレン、2−シアナト−7−メトキシナフタレン、2,2’−ジシアナト−1,1’−ビナフチル、1,3−,1,4−,1,5−,1,6−,1,7−,2,3−,2,6−又は2,7−ジシアナトシナフタレン、2,2’−又は4,4’−ジシアナトビフェニル、4,4’−ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4’−又は4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3−ジメチルブタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)オクタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルペンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルペンタン、4,4−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,4−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−シアナト−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,3−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[ビス(4−シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4−ジシアナトベンゾフェノン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−プロペン−1−オン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、4−シアナト安息香酸−4−シアナトフェニルエステル(4−シアナトフェニル−4−シアナトベンゾエート)、ビス−(4−シアナトフェニル)カーボネート、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(o−クレゾールフタレインのシアネート)、9,9’−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−シアナトフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4−シアナトフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,1,2,2−テトラキス(4−シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4−シアナトフェニル)メタン、2,4,6−トリス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−6−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−3−シアナト−4−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナトフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5−ジメチル−4−シアナトベンジル)イソシアヌレート、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フタルイミジン、1−メチル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂等のフェノール樹脂を上述と同様の方法によりシアネート化したもの等、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0064】
フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂としては、特に限定されないが、例えば、公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド化合物を、酸性溶液中で反応させたものが挙げられる。
【0065】
フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、公知の方法により、Ar
5−(CH
2Y)
2で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物を酸性触媒もしくは無触媒で反応させたものやAr
5−(CH
2OR)
2で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物やAr
5−(CH
2OH)
2で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたものが挙げられる。
【0066】
フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたものが挙げられる。
【0067】
これらのシアン酸エステル化合物(D)は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0068】
シアン酸エステル化合物(D)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは2〜20質量部であり、さらに好ましくは3〜10質量部である。シアン酸エステル化合物(D)の含有量が上記範囲内であることにより、低吸水性、難燃性がより向上する傾向にある。
【0069】
(マレイミド化合物(E))
マレイミド化合物(E)としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのマレイミド化合物は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0070】
マレイミド化合物(E)の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜70質量部であり、より好ましくは5〜50質量部であり、さらに好ましくは10〜30質量部である。マレイミド化合物(E)の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0071】
(フェノール樹脂(F))
フェノール樹脂(F)としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0072】
(オキセタン樹脂(G))
オキセタン樹脂(G)としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製商品名)、OXT−121(東亞合成製商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらのオキセタン樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0073】
(ベンゾオキサジン化合物(H))
ベンゾオキサジン化合物(H)としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらのベンゾオキサジン化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0074】
(重合可能な不飽和基を有する化合物(I))
重合可能な不飽和基を有する化合物(I)としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、ベンゾシクロブテン樹脂、(ビス)マレイミド樹脂等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらの不飽和基を有する化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0075】
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、難燃性化合物、各種添加剤等を併用することができる。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性化合物としては、4,4’−ジブロモビフェニル等の臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。また、各種添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、流動調整剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらは、所望に応じて1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0076】
なお、本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を使用することができる。この場合、本発明の樹脂組成物は、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部が有機溶剤に溶解あるいは相溶した態様(溶液あるいはワニス)として用いることができる。有機溶剤としては、上述した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部を溶解あるいは相溶可能なものであれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0077】
〔用途〕
本実施形態の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層、半導体パッケージ用材料として用いることができる。以下、各用途について説明する。
【0078】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された上記樹脂組成物と、を有する。プリプレグは、例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を基材に含浸又は塗布し乾燥することで得ることができる。
【0079】
また、基材として剥離可能なプラスチックフィルムを用いて本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液をプラスチックフィルムに塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストとすることができる。ここで、溶剤は20℃〜150℃の温度で1〜90分間加熱することで乾燥できる。また、樹脂組成物は溶剤を乾燥しただけの未硬化の状態で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。
【0080】
以下、本実施形態のプリプレグについて詳述する。プリプレグの製造方法は、本実施形態の樹脂組成物と基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、120〜220℃で2〜15分程度乾燥させる方法等によって半硬化させることで、本実施形態のプリプレグを製造することができる。このとき、基材に対する樹脂組成物の付着量、すなわち半硬化後のプリプレグの総量に対する樹脂組成物量(充填材(C)を含む。)は、20〜99質量%であることが好ましい。
【0081】
基材としては、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができる。例えば、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維;クォーツ等のガラス以外の無機繊維;ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機繊維;液晶ポリエステル等の織布が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0082】
基材の形状としては、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等が知られているが、いずれであっても構わない。基材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0083】
また、基材の厚みは、特に限定されないが、積層板用途であれば0.01〜0.2mmが好ましく、特に超開繊処理や目詰め処理を施した織布が、寸法安定性の観点から好適である。さらに、エポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布は吸湿耐熱性の観点から好ましい。また、液晶ポリエステル織布は、電気特性の面から好ましい。
【0084】
〔金属箔張り積層板〕
本実施形態の金属箔張り積層板は、上記プリプレグを少なくとも1枚以上重ねた積層体と、該積層体の片面又は両面に配された金属箔と、を有する。具体的には、前述のプリプレグを一枚あるいは複数枚重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。
【0085】
ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔等の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚みは、特に限定されないが、2〜70μmが好ましく、3〜35μmがより好ましい。
【0086】
成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを使用し、温度180〜350℃、加熱時間100〜300分、面圧20〜100kg/cm
2で積層成形することにより本発明の金属箔張り積層板を製造することができる。また、上記のプリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることもできる。
【0087】
多層板の製造方法としては、例えば、上述したプリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成し、その後、この内層回路板と上記のプリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形することにより、多層板を作製することができる。
【0088】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、上記樹脂組成物を含む絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層と、を有する。上述した金属箔張り積層板は、プリント配線板として好適に使用することができる。プリント配線板は、常法にしたがって製造することができ、その製造方法は特に限定されない。
【0089】
以下、プリント配線板の製造方法の一例を示す。まず、上述した銅張積層板等の金属箔張り積層板を用意する。次に、金属箔張り積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述したプリプレグを所要枚数重ね、さらにその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、さらに外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
【0090】
上記の製造例で得られるプリント配線板は、絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された導体層とを有し、絶縁層が上述した本実施形態の樹脂組成物を含む構成となる。すなわち、上述した本実施形態のプリプレグ(基材及びこれに含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物)、上述した本実施形態の金属箔張り積層板の樹脂組成物の層(本発明の樹脂組成物からなる層)が、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層から構成されることになる。
【0091】
〔樹脂複合シート〕
本実施形態の樹脂複合シートは、支持体と、該支持体の表面に塗工及び乾燥させた請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有する。樹脂複合シートは上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで得ることができる。
【0092】
ここで用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0093】
塗布方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。また、乾燥後に、積層複合シートから支持体を剥離又はエッチングすることで、単層シート(樹脂シート)とすることもできる。なお、上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく単層シート(樹脂シート)を得ることもできる。
【0094】
なお、本実施形態の単層あるいは積層シートの作製において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20℃〜200℃の温度で1〜90分間が好ましい。また、本実施形態の単層あるいは積層シートの樹脂層の厚みは、本実施形態の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1〜500μmが好ましい。
【実施例】
【0095】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0096】
(合成例1)芳香族アルコール、芳香族アルデヒド化合物、及びアラルキル化合物を重縮合して得られる、水酸基含有芳香族化合物のシアン酸エステル化合物1(下記一般式(5))の合成
【0097】
【化7】
(式中、mが1に対して、nは、1.4である。)
【0098】
式(6)で表される水酸基含有芳香族化合物1(エア・ウォーター社株式会社製 SK HE510 OH基当量151g/eq.)370g及びトリエチルアミン372.1g(3.68mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.5モル)をジクロロメタン2280gに溶解させ、これを溶液1とした。
【0099】
塩化シアン334.6g(5.44mol)(ヒドロキシ基1モルに対して2.2モル)、ジクロロメタン780.8g、36%塩酸523.2g(5.17mol)(ヒドロキシ基1モルに対して2.1モル)、水3233.4gを、撹拌下、液温を−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を50分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン297.7g(2.94mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.2モル)をジクロロメタン298gに溶解させた溶液(溶液2)を30分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
【0100】
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水2000gで6回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は20μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除かれたことを確認した。
【0101】
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて、目的とする一般式(5)で表されるシアン酸エステル化合物1(褐色粘性物)を410g得た。得られたシアン酸エステル化合物1の数平均分子量Mnは364であった。
【化8】
(式中、mが1に対して、nは、1.1である。)
【0102】
(合成例2)芳香族アルコール、芳香族アルデヒド化合物、及びアラルキル化合物を重縮合して得られる、水酸基含有芳香族化合物のシアン酸エステル化合物1(下記一般式(7))の合成
【化9】
(式中、mが1に対して、nは、1.2である。)
【0103】
式(6)で表される水酸基含有芳香族化合物1の代わりに、式(8)で表される水酸基含有芳香族化合物2(エア・ウォーター社株式会社製 SK HE610 OH基当量184g/eq.)450gを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とする一般式(7)で表されるシアン酸エステル化合物2(褐色粘性物)を440g得た。得られたシアン酸エステル化合物2の数平均分子量Mnは377であった。
【化10】
(式中、mが1に対して、nは、0.9である。)
【0104】
(実施例1)
合成例1により得られた一般式(5)で表されるシアン化エステル樹脂50質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH、日本化薬(株)製)50質量部、溶融シリカ(SC2050MB、アドマテックス製)100質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)0.05質量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、150℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0105】
得られたプリプレグを8枚重ねて12μm厚の電解銅箔(JDLCN、JX日鉱日石金属(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行い、絶縁層厚さ0.8mmの金属箔張り積層板を得た。得られた金属箔張り積層板を用いて、吸水率、吸湿耐熱性、難燃性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0106】
(実施例2)
実施例1において、一般式(5)で表されるシアン化エステル樹脂を用いる代わりに、一般式(7)で表されるシアン化エステル樹脂を50質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張り積層板を得た。得られた金属箔張り積層板の評価結果を表1に示す。
【0107】
(測定方法及び評価方法)
1)吸水率:
30mm×30mmの金属箔張り積層板サンプルを使用し、JIS C648に準拠して、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC−3型)で121℃、2気圧で5時間処理後の吸水率を測定した。
【0108】
2)吸湿耐熱性:
50mm×50mmの金属箔張り積層板サンプルの片面の半分以外の全銅箔をエッチング除去して試験片を得た。この試験片を、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC−3型)で121℃、2気圧で5時間処理後、260℃のハンダ中に60秒浸漬した後の外観変化を目視で観察した。(フクレ発生数/試験数)
【0109】
3)難燃性:
13mm×130mmの金属箔張り積層板サンプルの銅箔をエッチングによりすべて除去して試験片を得た。この試験片を用い、UL94垂直試験法に準じて耐燃性試験を実施した(n=5)。
【0110】
(比較例1)
実施例1において、式(5)で表されるシアン化エステル樹脂を用いる代わりに、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物(CA210、三菱ガス化学(株)製)を50質量部、オクチル酸亜鉛を0.03質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張り積層板を得た。得られた金属箔張り積層板の評価結果を表1に示す。
【0111】
(比較例2)
実施例1において、式(5)で表されるシアン化エステル樹脂を用いる代わりに、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物(Primaset PT−30、ロンザジャパン(株)製)を50質量部、オクチル酸亜鉛を0.04質量部用い、含侵塗工時に165℃で4分間加熱乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.8mmの金属箔張り積層板を得た。得られた金属箔張り積層板の評価結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1から明らかなように、本実施形態の樹脂組成物を用いることで、低吸水性を有するだけでなく、吸湿耐熱性、難燃性にも優れるプリプレグ及びプリント配線板等を実現できることが確認された。
【0114】
本出願は、2014年2月4日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−019555)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。