【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
燃焼装置の高温の壁面から伝達される排熱を蓄熱して回収する蓄熱式排熱回収装置であって、
蓄熱式排熱回収装置は、
高温の壁面の外側に設けた蓄熱媒体を貯留または循環させるための壁面狭空間からなり、
壁面狭空間には、作動媒体を循環させるための伝熱管が配管されており、
壁面狭空間内に蓄熱媒体を貯留または循環させるとともに、伝熱管内に作動媒体を循環させることで、
作動媒体が、高温の壁面から伝達される排熱を直接回収するのではなく、蓄熱媒体を介して間接的に回収する
ことを特徴とする。
【0013】
従来の排熱回収装置は、作動媒体または熱媒体(20℃前後の水)を高温の壁面に供給して、壁面と作動媒体とが直接接触した状態で、壁面から伝達される排熱を回収する形態である。この形態を、小規模の燃焼装置に適用した場合、次の問題がある。
(1)低温の作動媒体または熱媒体が装置内に供給されると、燃焼装置の壁面温度を低下させ、さらには燃焼室内部の燃焼状態(温度、発熱量)に影響を及ぼすおそれがある。これは、例えばごみの焼却装置においては、燃焼温度の低下が生じ、有害物質が発生する原因になる。
(2)燃焼装置の壁面の内側(燃焼室側、高温)と外側(熱媒体が接触している面)とで大きな温度差(温度勾配)が生じ、燃焼装置の壁面が熱応力により変形、破損の危険がある。
(3)熱媒体がドライアウトして過熱蒸気になると、壁面の急激な温度上昇と系内の圧力上昇とが起こり、壁面の焼損(バーンアウト)や加圧による壁面の変形が生じる。
(4)燃焼炉側壁面と外気側壁面とが作動媒体を介して接触している状態では、作動媒体の熱損失(外部への放熱)が大きくなり、熱回収率が低下して、蒸気生成が不安定となる。
【0014】
そこで、本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、水の飽和温度(100℃、1気圧)よりも高い飽和温度となる液体すなわち高沸点かつ高熱容量の蓄熱媒体と、水または低沸点の作動媒体と、の2種類の熱媒体を用い、高温の壁面の外側に設けた蓄熱媒体を貯留または循環させる壁面狭空間内に伝熱管を配管して、伝熱管内に作動媒体を循環させることで、作動媒体が燃焼装置側壁面と外気側壁面に直接触れることなく、排熱を安全かつ効率よく回収できるようにした。
【0015】
本願発明において、壁面とは、燃焼によって高温に熱せられる燃焼装置の燃焼室(燃焼炉)や煙突部等の壁面を意味する。
また、壁面狭空間とは、燃焼装置の燃焼室(燃焼炉)や煙突部等の壁面の外側に設けられる壁面で挟まれた空間であり、壁面の一部分だけで空間を設けることもできるし、全範囲、つまり、燃焼室(燃焼炉)や煙突部の壁面全てに設けることもできる。壁面狭空間の外気側壁面(外壁)は、外気環境の影響を受けないように断熱性を有することが望ましい。
【0016】
本願発明において、伝熱管は、壁面狭空間内に配管され、管内部に作動媒体を循環させる。伝熱管は、壁面狭空間内を垂直方向に配管することもできるし、螺旋状に形成された管として壁面に沿って配管したり、壁面の周囲に沿って螺旋方向に配管することもできる。
なお、蓄熱媒体や作動媒体を装置外部で循環させる場合のポンプ等の動力源は、別に備えることができる。
【0017】
本願発明における蓄熱媒体は、1気圧における沸点が約300〜400℃で、温度上昇とともに体積が増加する性質すなわち体積膨張率の温度依存性が大きい液体(例えば、温度25〜300℃における容積比1〜1.5以下)である。また、金属繊維または金属粒子等を埋入した蓄熱媒体で壁面狭空間を満たすと、高温壁面から蓄熱媒体への熱移動が促進され、蓄熱媒体の温度分布が均一化されて蓄熱性及び温度制御性が向上する。
【0018】
本願発明における作動媒体は、水または低沸点(沸点100℃以下)のペンタンやブタンの他、フロン系冷媒を用いることができる。このような作動媒体を用いることで、温度100℃以下の低温の排熱回収が可能となり、蒸気タービンの駆動に必要な過熱蒸気を、より安定的に確保することができる。
【0019】
本発明によれば、低温の水や低沸点の作動媒体を装置内に供給しても、燃焼装置の壁面や燃焼室内部の温度や発熱量を低下させることがなく、さらに壁面の変形や焼損を防ぐことができる。
また、低沸点の作動媒体が燃焼装置の高温の壁面と直に接触することがないため、壁面の内側と外側の温度差(温度勾配)が極端に大きくなることが回避されて、熱応力による壁面の変形や、熱伝達低下による燃焼炉壁面の焼損(バーンアウト)、過熱蒸気による壁面の加圧変形を防ぐことができる。
【0020】
さらに、燃焼装置の排熱を発電に利用するコージェネレーションでは、発電に必要な熱エネルギーを常に確保することが必要である。
従って、当該発明により小型燃焼装置に蓄熱機能を持たせることで、排熱の熱的変動が大きい小型燃焼装置においても、過熱蒸気の安定供給すなわち安定した発電出力をえることができる。
【0021】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
燃焼装置の高温の壁面から伝達される排熱を蓄熱して回収する蓄熱式排熱回収装置であって、
蓄熱式排熱回収装置は、
高温の壁面の外側に設けた壁面狭空間からなり、
壁面狭空間は、空間の上方と下方とが開口した隔壁によって、高温の壁面側の空間(内壁側空間)と、壁面狭空間の外壁側の空間(外壁側空間)とに区画され、
内壁側空間には、作動媒体を循環させるための伝熱管が配管されており、
内壁側空間内に貯留する蓄熱媒体が排熱を蓄熱して高温になると、蓄熱媒体は、隔壁上方の開口部分から外壁側空間に流れて冷却され、隔壁下方の開口部分から内壁側空間に戻って再度排熱を蓄熱して高温になり、これが繰り返されることで両空間内を循環するとともに、この循環によって一定の温度に制御された蓄熱媒体が循環する内壁側空間に配管された伝熱管内に、作動媒体を循環させることによって、
作動媒体が、高温の壁面から伝達される排熱を直接回収するのではなく、蓄熱媒体を介して間接的に回収する
ことを特徴とする。
【0022】
本発明は、前記蓄熱式排熱回収装置の壁面狭空間を、隔壁によって内壁側空間と外壁側空間とに区画し、壁面狭空間の上方と下方の開口している空間を通じて、蓄熱媒体が両空間間を自然循環するようにしたものである。
【0023】
小規模の燃焼装置の排熱を発電に利用する場合には、熱的条件(温度、圧力、流量)が一定の過熱蒸気をタービン入口に供給して、周波数一定の安定した発電出力を得る必要がある。そのため、作動媒体の熱源となる蓄熱媒体の温度は、一定または一様に保たれていることが望ましい。
【0024】
そこで、本発明では、高温の壁面の外側に設けた壁面狭空間を、上下両方に開口部を有する隔壁によって仕切り、高温の熱媒体(内壁側)と低温の熱媒体(外壁側)とが、開口部を通して循環できる構成とした。これにより、蓄熱媒体が熱的バランスを保つ形(密度差を補う様相)で自然循環をし、蓄熱媒体及び装置内の温度が一定または一様となるようにした。
【0025】
本発明に用いる蓄熱媒体は、内壁側空間内で、壁面からの高温の排熱を顕熱として蓄熱し、温度上昇にともなって体積が増加し、隔壁上方の開口部分から外壁側空間に流れて、外壁側空間で放熱または冷却される。そして、冷却された蓄熱媒体は、比体積が減少(密度が増加)することで下降流となって隔壁下方の開口部分から内壁側空間に流れ込む。
これにより、加熱域と冷却域の熱的バランスを保つ形で自然循環が継続し、蓄熱媒体及び装置内の温度が、一定または一様に保たれて、熱的駆動力のみで温度制御が可能となる。
【0026】
本発明における隔壁は、断熱性を有し、壁面狭空間を、高温の壁面側の空間(内壁側空間、高温)と、壁面狭空間の外壁側の空間(外壁側空間、低温)とに区画する。
しかし、壁面狭空間を外壁側空間と内壁側空間とに完全に隔てるものではなく、壁面狭空間の上方と下方の空間は開口した状態にしておく。この開口した状態の空間(開口部分)を通じて、蓄熱媒体が各空間を移動して循環する。壁面狭空間の外壁は、外気温の影響を受けないように断熱壁とする場合もあれば、蓄熱媒体を冷やすために冷却壁とする場合もあり、蓄熱媒体の温度条件により異なる。
また、壁面狭空間を内壁側空間と外壁側空間とに区画する隔壁は、内壁側空間と外壁側空間との間で隔壁を通じた熱の伝達が行われないように断熱性を有することが望ましい。
【0027】
なお、この構成においても、低温の水や低沸点の作動媒体が装置内に供給されても、作動媒体が高温の壁面に直接触れることがないため、燃焼装置の壁面や燃焼室内部の温度を下げることがなく、壁面の変形や焼損に至ることもない。
なお、前述と同様、蓄熱媒体を循環させる壁面狭空間または内壁側空間に、金属繊維または金属粒子等を埋入することで、高温壁面から蓄熱媒体への熱移動が促進され、蓄熱媒体の温度分布が均一化されて蓄熱性及び温度制御性が向上する。
【0028】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
燃焼装置の高温の壁面から伝達される排熱を蓄熱して回収する蓄熱式排熱回収装置であって、
蓄熱式排熱回収装置は、
高温の壁面の外側に設けた壁面狭空間からなり、
壁面狭空間は、隔壁によって、高温の壁面側の空間(内壁側空間)と、壁面狭空間の外壁側の空間(外壁側空間)とに区画され、
内壁側空間には、作動媒体を循環させるための伝熱管が配管され、
外壁側空間には、内壁側空間の蓄熱媒体を外壁側空間へ移送し、循環させるため、隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内を通って隔壁下方に形成された開口部を繋ぐ環状の放熱管が配管されており、
内壁側空間内に貯留する蓄熱媒体が排熱を蓄熱して高温になると、蓄熱媒体は、隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内に配管されている放熱管を流れる間に冷却され、隔壁下方に形成された開口部から内壁側空間に戻って再度排熱を蓄熱して高温になり、これが繰り返されることで両空間間を循環するとともに、この循環によって一定(所望)の温度に制御された蓄熱媒体と接触するように内壁側空間に配管された伝熱管内に、作動媒体を循環させることによって、
作動媒体が、高温の壁面から伝達される排熱を直接回収するのではなく、蓄熱媒体と伝熱管壁面を介して間接的に回収する
ことを特徴とする。
【0029】
本発明は、前記蓄熱式排熱回収装置の壁面狭空間を、隔壁によって内壁側空間と外壁側空間とに区画し、隔壁の上方と下方とに形成された開口部を放熱管で繋ぎ、蓄熱媒体が外壁側空間に配管された放熱管内を移動、下降しながら冷却されて、蓄熱媒体が両空間内を温度差による熱駆動力によって自然循環するようにしたものである。
【0030】
小規模の燃焼装置の排熱を発電に利用する場合には、タービン入口に供給される過熱蒸気の熱的条件(温度、圧力、流量)を一定にして、安定した周波数の発電出力を得る必要がある。そのため、作動媒体の熱源となる蓄熱媒体の温度は、一定または一様に保たれていることが望ましい。
【0031】
そこで、本発明では、高温の壁面の外側に設けた壁面狭空間を、上下両方に開口部を有する隔壁によって仕切り、高温の熱媒体(内壁側)と低温の熱媒体(外壁側)とが、開口部を通して循環できる構成とした。これにより、蓄熱媒体が熱的バランスを保つ形(密度差を補う様相)で自然循環をし、蓄熱媒体及び装置内の温度が一定または一様となるようにした。
蓄熱媒体は、内壁側空間内で、壁面からの高温の排熱を回収して蓄熱し、温度が上昇するにしたがって隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内に配管されている放熱管内を流れて、外壁側空間で放熱または冷却される。
そして、冷却される蓄熱媒体は、温度が低下するにしたがって比体積が小さく(密度が大きく)なって下降流となり、隔壁下方に形成された開口部から内壁側空間に流れる。以上の循環のプロセスを繰り返すことにより、蓄熱媒体の温度が一定または一様に保たれる。
以上の結果、高温の壁面から伝達される排熱は、高沸点かつ高熱容量の蓄熱媒体に蓄熱され、蓄熱媒体が保有している顕熱を作動媒体が回収する形態であるため、小規模の燃焼装置であっても、燃焼室内部の熱変動(温度、熱量の変化)の影響を作動媒体が直接受けることがなく、安定した過熱蒸気を生成、供給できる。
【0032】
本発明における隔壁は、断熱性を有し、壁面狭空間を、高温の壁面側の空間(内壁側空間、高温)と、壁面狭空間の外壁側の空間(外壁側空間、低温)とに区画する。
本発明における隔壁は、隔壁の上方と下方とにそれぞれ開口部を設けてある。この上方と下方の開口部を繋ぐようにして環状の放熱管が配管されている。そのため、蓄熱媒体は、開口部を通じて内壁側空間から外壁側空間へと流れ、放熱管内を通過しながら冷却される。
また、壁面狭空間を内壁側空間と外壁側空間とに区画する隔壁は、内壁側空間と外壁側空間との間で隔壁を通じた熱移動がないように断熱性を有することが望ましい。
【0033】
放熱管の冷却には水または冷媒が用いられる。水の場合には、放熱管から得た熱を回収して温水として、装置外部に供給、利用できる。
また、冷媒を循環させる場合には、チラーなどの冷却装置が用いられ、室温または外気温以下の低温の冷却が可能となる。
【0034】
放熱管表面に、放熱管内を循環する蓄熱媒体の放熱または冷却の効果を高めるため、フィンまたは溝を形成することもできる。フィンは放熱管の外周側に形成することもできるし、溝は放熱管の内周側に形成することができる。すなわち、放熱管の内外表面にフィンや溝を施すことで、放熱管内を循環する蓄熱媒体の放熱量を大きくする効果がある。
【0035】
壁面狭空間の外壁は、外気温の影響を受けないように断熱性を有する。外気への熱の移動を小さくして、蓄熱媒体および冷却水(冷媒)の熱損失の低減を図る構成であることが望ましい。
【0036】
前述同様、この構成において、低温の水や低沸点の作動媒体が装置内に供給されても、作動媒体が高温の燃焼炉壁面に直接触れることがないため、燃焼装置壁面や燃焼室内部の温度を低下させることはなく、さらには壁面の変形や焼損を生ずることもない。
なお、蓄熱媒体を循環させる壁面狭空間、内壁側空間または外壁側空間に、金属繊維または金属粒子等を埋入することで、蓄熱性及び温度制御性を向上させることが可能である。
【0037】
本願発明における放熱管は、内壁側空間の蓄熱媒体を外壁側空間で冷却するため、外壁側空間内に配管されている管である。隔壁上方に形成された開口部(放熱管の入口)から外壁側空間内を通って隔壁下方に形成された開口部(放熱管の出口)までを繋ぐ管であり、垂直方向に繋ぐ垂直管にすることもできるし、壁面狭空間内を螺旋状に繋ぐ螺旋管にすることもできる。
なお、蓄熱媒体を循環させる壁面狭空間または内壁側空間に、金属繊維または金属粒子等を混入することで、高温壁面から蓄熱媒体への熱移動が促進され、蓄熱媒体の温度分布が均一化されて蓄熱性能及び温度の制御性が向上する。
【0038】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
前記の内壁側空間を循環する蓄熱媒体は、
常圧における沸点が水のそれよりも高く、温度上昇とともに体積が増加する液体(25〜300℃における容積比が、常温時1に対して1.5倍以下)からなる熱媒体であり、
排熱を蓄熱する前の蓄熱媒体(初期状態)は、液面すなわち気液界面が隔壁上方の開口部または開口部分よりも低い位置で静止しているが、排熱を蓄熱した後の温度上昇に伴って体積が膨張し、隔壁上方の開口部または開口部分に向かって液面が上昇する場合において、
所望の温度に達すると、蓄熱媒体が、隔壁上方の開口部分から外壁側空間に、または隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内に配管された放熱管に、流れ込んで、内壁側空間と外壁側空間との間を循環して外壁側空間で放熱または冷却されるようにすることで、
排熱を回収して蓄熱した蓄熱媒体の温度を制御できる
ことを特徴とする。
【0039】
本発明における蓄熱媒体は、常圧における沸点が水のそれよりも高く(例えば、常圧における沸点が約350℃)、温度上昇とともに体積が増加する性質すなわち体積膨張率の温度依存性が大きい液体(例えば、温度25〜300℃における容積比1〜1.5以下)である。
また、蓄熱媒体の液面は、排熱を蓄熱する前(初期状態)においては、隔壁上方の開口部または開口部分よりも低い位置にあり、排熱を蓄熱した後の温度上昇に伴って体積が膨張して液面が上昇し、隔壁上方の開口部または開口部分よりも高くなる場合において、所望の温度に達すると、蓄熱媒体が、隔壁上方の開口部分から外壁側空間に、または、隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内に配管された放熱管に流れ込んで、内壁側空間と外壁側空間との間を循環して外壁側空間で放熱または冷却されるようにすることで、排熱を回収した蓄熱媒体の温度すなわち蓄熱温度を制御できる。
【0040】
小規模の燃焼装置の排熱を発電に利用する場合には、熱的条件(温度、圧力、流量)が一定の過熱蒸気を、タービン入口に供給して、周波数一定の安定した発電出力を得る必要がある。そのため、作動媒体の熱源となる蓄熱媒体の温度は、一定または一様に保たれていることが望ましい。
【0041】
そこで、本発明は、蓄熱媒体が、所望の温度に達したときに内壁側空間と外壁側空間との間を自然循環して外壁側空間で放熱または冷却されることで、一定の温度を維持できるようにするため、常圧における沸点が水のそれよりも高く(例えば、常圧における沸点が約350℃)、温度が25〜300℃まで上昇する間に容積比が1〜1.5以下まで増加する性質を有する蓄熱媒体とした。
従って、この容積変化(蓄熱媒体の温度と体積膨張率の関係)を考慮して、壁面狭空間を満たす蓄熱媒体の充填量が決定される。すなわち、所望の温度に達すると、蓄熱媒体の液面高さが隔壁上方の開口部に達するように、初期状態での充填量および液面高さが決定され、蓄熱媒体が壁面挟空間内を自然循環する際の開始温度が設定される。
【0042】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
前記の内壁側空間を循環する蓄熱媒体は、
常圧における沸点が水のそれよりも高く、温度上昇とともに体積が増加する液体(25〜300℃における容積比が、常温時1に対して1.5倍以下)からなる熱媒体に、螺旋状にカールした金属繊維や金属薄帯が混入された混合蓄熱媒体であり、
排熱を蓄熱する前は、隔壁上方の開口部または開口部分よりも低い位置で静止している蓄熱媒体の液面が、排熱を蓄熱した後の温度上昇に伴って体積が膨張することで液面が上昇し、それが隔壁上方の開口部または開口部分よりも高くなる場合において、
一定温度に達すると、蓄熱媒体が、隔壁上方の開口部分から外壁側空間に、または、隔壁上方に形成された開口部から外壁側空間内に配管された放熱管に、流れ込んで、内壁側空間と外壁側空間との間を循環して外壁側空間で放熱または冷却されるようにすることで、
排熱を回収して蓄熱した蓄熱媒体の温度を制御できる
ことを特徴とする。
【0043】
混合蓄熱媒体は、液体の蓄熱媒体に、螺旋状にカールした金属繊維や金属薄帯が混入されたものである。混合蓄熱媒体の金属繊維や金属薄帯は、断面形状が円形や楕円または角部を有する細線(等価直径De=0.02〜0.3mm)であり、螺旋状にカールした一連の連続体または寸断された細線の集合体からなる。ここに、等価直径Deとは、細線の断面積A[m
2]を断面周長さS[m]で除した値として、De=A/Sで定義される。
【0044】
また、混合蓄熱媒体に混入される金属繊維や金属薄帯の長さは、連続した一連のものでも良いし、一定長さでも良い、または短くカットしたフレーク状の物でも良い。
つまり、螺旋状にカールした金属繊維や金属薄帯は、壁面狭空間内に蓄熱媒体とともに充填する形態で使用される。
【0045】
さらに、混合蓄熱媒体に混入される金属繊維や金属薄帯は、鉄、クロム、ニッケル、銅、アルミ等を主成分として製造されており、固体表面の摩擦損失の低減や固液界面の親和性を向上させるための表面処理が施されていてもよい。混合蓄熱媒体に使用される金属繊維や金属薄帯は、螺旋状にカールしており、その熱拡散率aは、0.1から100[mm
2/s]で、蓄熱媒体のそれ(例えば、約0.02mm
2/s)よりも大きいことを特徴とする。ここに、熱拡散率とは、熱容量を有する物体の熱が熱伝導により三次元的に広がる(拡散する)速度を表す物性値であり、物体の密度ρ[kg/m
3]、比熱C「[J/kgK]、熱伝導率λ[W/m
2]を用いて、a=λ/(ρ・C)で定義される。
【0046】
混合蓄熱媒体に埋入されている金属繊維や金属薄帯は、上記の幾何形状および熱的特性を有することから、以下の効果を発揮して、蓄熱媒体単体よりも高い伝熱効果および蓄熱性能を奏する。
(1)空間内を三次元的に広がって蓄熱媒体と接触しているため、熱伝導と対流および熱拡散の効果が向上する。
(2)蓄熱媒体よりも高い熱容量の金属製の材料を含むため、蓄熱媒体単体の場合より単位体積当たりの蓄熱量(熱容量)が増加する。
(3)螺旋状にカールした形状であることから、キャピラリー効果(液の吸い上げ効果)が作用し、蓄熱媒体の液面到達位置が高くなり、循環力が向上する。
(4)金属繊維や金属薄帯の本数や螺旋状のカール形状および螺旋角を変えることで、金属繊維や金属薄帯全体の表面積、比体積及び空隙率をコントロールできる。
【0047】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
前記の壁面狭空間または内壁側空間の天井部分には内圧調整弁が設けられており、
内圧調整弁は、
蓄熱媒体が一定温度以上になって体積が増大し、壁面狭空間内または内壁側空間内が高圧になると、
壁面狭空間内または内壁側空間内に貯留する空気を排出し、
蓄熱媒体が一定温度以下になって体積が減少し、壁面狭空間内または内壁側空間内が低圧になると、
壁面狭空間外または内壁側空間外から外気を吸入する
ことで、壁面狭空間内または内壁側空間内の圧力を一定に保つ
ことを特徴とする。
【0048】
高温の壁面から蓄熱媒体に排熱が伝達されると、蓄熱媒体は温度上昇とともに体積が増大する。このとき、壁面狭空間または内壁側空間が密閉された状態では、壁面狭空間または内壁側空間が高圧状態になり、壁面が変形したり、破損する原因になる。
さらに、蓄熱媒体の温度上昇に伴う液面の上昇(体積の増大)を利用して内壁側空間から外壁側空間内に蓄熱媒体が流れ込む方法によって蓄熱媒体を循環させる前記発明においては、蓄熱媒体を循環させることができなくなる。
【0049】
そこで、本発明は、壁面狭空間または内壁側空間の内圧を調整できるように、内圧調整弁を設けた。内圧調整弁は、壁面狭空間または内壁側空間の天井部分(気相空間)に設けられ、蓄熱媒体が一定温度以上になって体積が増大すると、壁面狭空間内または内壁側空間内に存在する気体を排出し、蓄熱媒体が一定温度以下になって体積が減少すると、壁面狭空間外または内壁側空間外から外気を吸入する。空間内の圧力を一定に保つことで、例えば、高圧状態になることで生じる壁面の変形や破損を防ぎ、蓄熱媒体の温度上昇に伴う液面の上昇(体積の増大)を利用して内壁側空間から外壁側空間内に蓄熱媒体が流れ込む方法による蓄熱媒体の循環が行われる。
特に、蓄熱媒体の温度上昇に伴い、蓄熱媒体の液面が上昇して蓄熱媒体が循環する前記発明においては、内圧調整弁によって蓄熱媒体が自然循環を行うことができる。
また、内圧調整弁に、外気解放または伸縮性の蛇腹パック(袋)を設けることにより、壁面挟空間内を大気圧状態に保持することもできる。
【0050】
本発明に係る蓄熱式排熱回収装置は、
前記の伝熱管が、
高温の壁面の外側に設けられた壁面狭空間内または内壁側空間内を、壁面の周囲を、壁面に沿って螺旋状に配管されている
ことを特徴とする。
【0051】
作動媒体は、高温の壁面から伝達される排熱を直接回収するのではなく、蓄熱媒体を介して間接的に回収するが、蓄熱媒体が蓄熱した排熱を効率良く作動媒体に回収させるには、作動媒体が流れる伝熱管が蓄熱媒体と接する面積を増やすことが有効である。
そこで、本発明は、伝熱管を、壁面の周囲に設けられた壁面狭空間内または内壁側空間内に、壁面に沿って螺旋状に配管したものである。
【0052】
本発明に係る燃焼装置は、
燃焼室や煙突部等の高温の壁面から伝達される排熱を蓄熱して回収する蓄熱式排熱回収装置を用いた燃焼装置であって、
燃焼室や煙突部等の壁面の外側に、
前記の蓄熱式排熱回収装置が設けられている
ことを特徴とする。
【0053】
本発明に係る燃焼装置は、前記の蓄熱式排熱回収装置を備えた燃焼装置である。
前記の蓄熱式排熱回収装置は、燃焼室や煙突部等を有する燃焼装置に設けることができる。
燃焼装置の燃焼室や煙突部等の高温の壁面から伝達される排熱を、蓄熱式排熱回収装置が回収することで、外気への熱損失が小さくなり燃焼効率が向上するとともに、熱の有効利用に資する。
【0054】
本発明に係るコージェネレーションシステムは、
前項の燃焼装置と、
作動媒体を圧送するポンプまたはコンプレッサーと、
蓄熱媒体との熱交換により過熱蒸気(飽和温度以上)になった作動媒体によって発電機を駆動するタービンと、
発電機及び復水器とから構成される
ことを特徴とする。
【0055】
本発明に係るコージェネレーションシステムは、前記の燃焼装置を利用したコージェネレーションシステムである。前記の蓄熱式排熱回収装置を備えた燃焼装置に、タービン(発電機)、復水器(冷却器)、ポンプまたは圧縮機を接続し、高温の蓄熱媒体と熱交換することで飽和蒸気になった作動媒体がさらに加熱され、過熱蒸気となってタービンを駆動させることで、小規模の燃焼装置でも、安定的に200〜300℃の過熱蒸気を生成することができ、小規模の燃焼装置であってもコージェネレーションシステムを構築することが可能になる。