【実施例】
【0062】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に述べる。なお、以下の実施例は、本発明の一例について具体的に説明するものであって、本発明をこれに限定するものではない。
【0063】
[使用した原料]
いずれも食品グレード又は食品添加物グレードの原料を使用した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
3.水
純水製造装置(Auto Still WG259、Yamato社製)で精製したイオン交換水を用いた。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
6.精製唐辛子油の調製
表3に記載の精製唐辛子油は、国際公開第2006/043601号パンフレットに記載の方法に準じて調製した。
【0070】
試験例1.乳化分散剤に添加する電解質の濃度検討
乳化分散剤に添加する電解質の濃度を検討した。電解質としては、飲料によく用いられるクエン酸を用いて、0〜0.8Mの範囲で添加した。その配合内容を下表5に示す。
後述のとおり、乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製、及び乳化粒子径の調整(膜処理)を行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、クエン酸・炭酸水素ナトリウムバッファー(クエン酸0.1M溶液を炭酸水素ナトリウムでpH3.2に調整したもの)で0.3重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、乳化粒子径のメジアン径増加率の算出のため、バッファーの代わりにイオン交換水で希釈したサンプルも調製した。その際、バッファーの方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水とバッファーとのいずれにもショ糖を加えて比重を合わせるよう調整した(比重測定値は記録せず)。各サンプルを100mlガラス瓶に60g充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを室温で9日間静置した後、後述の方法で乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
乳化分散剤のメジアン径と乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した結果とを下表7に示す。
クエン酸濃度が0.01〜0.8Mである実施例1〜5は、コントロール(比較例1)に比べ、メジアン径増加率が小さく、乳化安定化効果があった。
【0074】
【表7】
【0075】
試験例2.乳化分散剤に添加する電解質の種類検討1
乳化分散剤に添加する電解質の種類を検討した。電解質としては、飲料によく用いられる電解質(酸及び塩)を選定した。これらを添加し、乳化分散剤(比較例2、実施例6〜9)を調製した。その配合内容を下表8に示す。
後述のとおり、乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製、及び乳化粒子径の調整(膜処理)を行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、各電解質の溶液で0.3重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、乳化粒子径のメジアン径増加率の算出のため、各電解質の溶液の代わりにイオン交換水で希釈したサンプルも調製した。その際、各電解質の溶液の方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水の方にはショ糖を加えて比重が1.007となるように調整した。各サンプルを100mlガラス瓶に50g充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを室温で6日間静置した後、後述の方法で乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
乳化分散剤のメジアン径と乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した結果とを下表10に示す。
クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸又は塩化マグネシウムを添加した実施例6〜9は、コントロール(比較例2)に比べ、メジアン径増加率が小さく、乳化安定化効果があった。
【0079】
【表10】
【0080】
試験例3.乳化分散剤に添加する電解質の種類検討2
乳化分散剤に添加する電解質の種類を検討した。電解質としては、飲食品で使用される頻度が高いグルタミン酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを選定した。これらを添加し、乳化分散剤を調製した。その配合内容を下表11に示す。
後述のとおり、乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製を行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、グルタミン酸ナトリウム0.1M溶液で0.5重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、乳化粒子径のメジアン径増加率の算出のため、グルタミン酸ナトリウム溶液の代わりにイオン交換水で希釈したサンプルも調製した。その際、グルタミン酸ナトリウム溶液の方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水の方にはショ糖を加えてグルタミン酸ナトリウム溶液と同じ比重(1.053)となるように調整した。各サンプルを100mlガラス瓶に100g充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを室温で7日間静置した後、乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0081】
【表11】
【0082】
【表12】
【0083】
乳化分散剤のメジアン径と乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した結果とを下表13に示す。
グルタミン酸ナトリウム、塩化ナトリウム又はクエン酸を添加した実施例10〜12は、コントロール(比較例3)に比べ、メジアン径増加率が小さく、乳化安定化効果が認められた。
【0084】
【表13】
【0085】
試験例4.乳化組成物を添加する液体食品の電解質濃度の検討
液体食品が含有する電解質の濃度によって、乳化安定性が変化するかどうかを検討した。液体食品のモデルとしてクエン酸・炭酸水素ナトリウムバッファー(クエン酸0〜0.1M溶液を炭酸水素ナトリウムでpH3.2に調整したもの)を用いた。その配合内容を下表14に示す。
乳化組成物は、クエン酸0.1Mを予め含有させた乳化分散剤(実施例2の乳化分散剤)を用いて調製した。その配合内容を下表15に示す。乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製、及び乳化粒子径の調整(膜処理)は、後述の方法で行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、下表14に示した実施例14及び15のバッファーで0.3重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、電解質を含まない液体食品として、バッファーの代わりにイオン交換水(実施例13)で希釈したサンプルも調製した。その際、バッファーの方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水とバッファーとのいずれにもショ糖を加えて比重を合わせるよう調整した(比重測定値は記録せず)。各サンプルを100mlガラス瓶に60g充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを室温で9日間静置した後、後述の方法で外観の評価(目視確認)を行った。また、乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】
外観評価の結果及びメジアン径増加率を算出した結果を下表16に示す。
希釈液中にクエン酸(0.01M又は0.1M)を添加した実施例14及び15、並びに、クエン酸を添加しない実施例13のいずれも、メジアン径増加率はほぼ100%であり、乳化安定化効果が維持された。
【0089】
【表16】
【0090】
試験例5.乳化組成物の粒子径の検討1
同一の配合内容の乳化組成物を用いて、乳化安定性が高い乳化粒子径を検討した。
乳化分散剤の調製及び油相の調製は、後述の方法で行った。乳化組成物の配合内容と乳化方法の概略とを下表17及び18にそれぞれ示す。乳化粒子径は、乳化機及び乳化条件を変更することで、同一の配合内容でも異なる乳化粒子径(0.5μm、8μm)を調整した。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、液体食品のモデルとしてpH3.5モデル飲料を加えて0.3重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。pH3.5モデル飲料の配合内容は下表19に示す。各サンプルは、100mlガラス瓶に充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを55℃で7日間静置した後、後述の方法で外観の評価(目視確認)を行った。
【0091】
【表17】
【0092】
【表18】
【0093】
【表19】
【0094】
外観評価の結果を下表20に示す。
乳化組成物の乳化粒子径(メジアン径)が0.5μm、8μmのいずれであっても、本発明の乳化組成物はpH3.5モデル飲料中で乳化安定であった。
【0095】
【表20】
【0096】
試験例6.乳化組成物の粒子径の検討2
同一の配合内容の乳化組成物を用いて、乳化安定性が高い乳化粒子径を検討した。
乳化分散剤の調製及び油相の調製は、後述の方法で行った。乳化組成物の配合内容及び乳化方法の概略は、上述の表17及び下表21にそれぞれ示す。乳化粒子径は、乳化方法及び乳化条件を変更することで、同一の配合でも異なる乳化粒子径(メジアン径15、20、30、42、51μm)を調整した。
【0097】
【表21】
【0098】
乳化組成物を計りとり、0.3重量%となるようにpH3.5モデルゼリーと混合し、均一化した。pH3.5モデルゼリーは、試験例7(後述)で用いたものと同一の配合及び製造方法で調製した。乳化組成物を混合したゼリーを44℃で14日間静置した後、後述の方法で外観の評価(目視確認)を行った。
【0099】
外観評価の結果を下表22に示す。
乳化組成物の乳化粒子径(メジアン径)が、15μm、20μm、30μm、42μm、51μmのいずれであっても、本発明の乳化組成物はpH3.5モデルゼリー中で乳化安定であった。
【0100】
【表22】
【0101】
試験例7.乳化組成物を添加する飲食品の粘性の検討(ゲル状食品)
同一の配合内容の乳化組成物を用いて、乳化安定性が高い飲食品を検討した。一般に、乳化安定性は粘性の高い食品において向上する傾向にあることから、ゲル状食品に乳化組成物を添加し、飲料への添加との比較を行った。
乳化分散剤の調製、油相の調製、及び乳化組成物の調製は、後述の方法で行った(乳化粒子径の調整(膜処理)は行わなかった)。使用した乳化組成物の配合内容は下表23に示す。
【0102】
【表23】
【0103】
合成ジヒドロカプシエイトは、特表2008-529475号公報に記載の方法に準じて、バニリルアルコールと8-メチルノナン酸とを固定化酵素を用いて脱水縮合することにより合成し、精製した。
【0104】
乳化組成物を計りとり、0.3重量%となるように、pH3.5モデル飲料(配合内容は上記の通り)、マヨネーズ(「ピュアセレクト こくうま」、味の素社製)、及びpH3.5モデルゼリーとそれぞれ混合し、均一化した。
pH3.5モデル飲料のサンプルは100mlガラス瓶に充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で室温まで冷却した(実施例23)。
マヨネーズは、乳化組成物と併せてビニルパウチに入れ、密封した後、手でよくもみこんで均一混合した(実施例24)。
pH3.5モデルゼリーは、クエン酸0.01M・炭酸水素ナトリウムバッファー(pH3.5)にソルビン酸カリウムを加え、90〜95℃に加温し、スリーワンモーターを用いて400〜600rpmで撹拌しながら寒天を加え、80〜95℃で10分間保温し、寒天を溶解させて調製した。尚、加温前後の重量差を測定し、蒸発した分だけ加水し、混合した。得られたゼリー液は、スリーワンモーターを用いて300〜600rpmで撹拌しながら40〜50℃まで冷却した。乳化組成物を計りとっておいた50mlプラスチックチューブにゼリー液を99.3重量%となるように充填及び密栓し、手で激しく撹拌した後、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、均一化した(実施例25)。pH3.5モデルゼリーのサンプルの配合内容は、下表24に示す。
上記3種の飲食品を44℃で14日間静置した後、後述の方法で外観の評価(目視確認)を行った。
【0105】
【表24】
【0106】
外観評価の結果を下表25に示す。
pH3.5モデル飲料中で、乳化組成物は乳化安定で外観良好であった。2.07Pa・s(44℃条件下における粘度)のマヨネーズ中で、乳化組成物は乳化安定で外観最良であった。0.82Pa・s(44℃条件下における粘度)のpH3.5モデルゼリー中で、乳化組成物は乳化安定で外観最良であった。
【0107】
【表25】
【0108】
試験例8.乳化組成物に使用する油性成分の種類の検討
乳化組成物に使用する油性成分の種類を検討した。油性成分としては、中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名:MT-N)とキャノーラ油とを用いた。その配合内容を下表26に示す。
後述のとおり、乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製を行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、クエン酸0.1M溶液で0.5重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、乳化粒子径のメジアン径増加率の算出のため、クエン酸溶液の代わりにイオン交換水で希釈したサンプルも調製した。その際、クエン酸溶液の方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水の方にはショ糖を加えてクエン酸溶液と同じ比重(1.013)となるように調整した。各サンプルを100mlガラス瓶に100g充填及び密栓し、微生物が増殖しないよう85℃で10分間加熱殺菌した後、流水で冷却した。これらを室温で7日間静置した後、後述の方法で乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0109】
【表26】
【0110】
乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した結果を下表27に示す。
MT-N又はキャノーラ油を使用した実施例26及び27の乳化組成物は、クエン酸0.1M溶液中でメジアン径増加率が小さくなり、乳化安定化効果があった。
【0111】
【表27】
【0112】
試験例9.油溶性物質を含まない油相、又は香料を含む油相の検討
油相中に油溶性物質を含まない乳化組成物、及び、油溶性物質として香料(リモネン)を含む乳化組成物について検討した。
後述のとおり、乳化分散剤の調製、油相の調製、乳化組成物の調製を行った。得られた乳化組成物をビーカーに計りとり、クエン酸0.1M溶液で0.5重量%となるように希釈し、スターラーで撹拌しながら混合した。また、乳化粒子径のメジアン径増加率の算出のため、クエン酸溶液の代わりにイオン交換水で希釈したサンプルも調製した。その際、クエン酸溶液の方がイオン交換水に比べて比重が高く、乳化安定性に悪影響を与える可能性があると考えられたため、イオン交換水の方にはショ糖を加えてクエン酸溶液と同じ比重(1.013)となるように調整した。各サンプルを100mlガラス瓶に100g充填及び密栓した。これらを室温で7日間静置し、後述の方法で乳化粒子径(メジアン径)を測定し、乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した。
【0113】
【表28】
【0114】
乳化粒子径のメジアン径増加率を算出した結果を下表29に示す。
油溶性物質を含まない乳化組成物、又は油溶性物質として香料(リモネン)を含む乳化組成物は、クエン酸0.1M溶液中でメジアン径増加率が小さくなり、乳化安定化効果があった。
【0115】
【表29】
【0116】
[乳化分散剤の調製]
大豆レシチン、シュガーエステル、各種電解質、及び60〜70℃のイオン交換水を所定の重量分率となるように容器に加え、分散した。各種成分の分散は、T.K.ホモミキサー(MARK II 2.5型、プライミクス社製)を用いて5,000〜10,000rpmで5分間撹拌し、これを2回繰り返して行った。その後、得られた乳化分散剤を常温で半日静置して冷却した。
【0117】
[油相の調製]
油性成分と油溶性物質とを所定の重量分率となるように容器に加え、スターラーで撹拌し、均一化した。
【0118】
[乳化分散剤のメジアン径の測定]
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920、HORIBA製)で適当な透過率になるよう乳化分散剤液を希釈した後に測定した(相対屈折率:120A000I)。なお、粘性があり気泡を含むサンプルについては、測定誤差を小さくするため、超音波処理を3分間行い脱気した後に測定した。
【0119】
[乳化組成物の調製]
乳化は、特に記載のない限りは、以下の方法で実施した。
油相と乳化分散剤とを1:1の重量比で容器に加え、水と油が二相分配した状態を確認してからT.K.ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間撹拌し、乳化を行った。
上記方法で得られた乳化組成物は、手技や配合の影響で乳化粒子径にばらつきが見られた(8μm〜15μm)。精緻に乳化安定性を比較するためには、乳化粒子径のばらつきを極力抑える必要がある。そこで、下記方法で乳化粒子径の調整を行った。
【0120】
[乳化粒子径の調整(膜処理)]
上記方法で得られた乳化組成物を10mlディスポーザブルシリンジに入れ、ディスポーザブルタイプフィルターユニット(DISMIC-25CS、孔径0.80μm、セルロースアセテート素材、ADVANTEC社製)を装着した。シリンジポンプにセットし、乳化組成物を流速1ml/分でフィルターに通した。
この方法で、乳化粒子径(メジアン径)が4〜5μmに揃った乳化組成物を得た。
【0121】
[乳化安定性の評価]
乳化安定性の評価は以下の方法で行った。
【0122】
[目視確認]
明らかに油浮き量に差がある場合は目視で油浮きの多さを評価した。乳化粒子がフロキュレーションしている場合は軽く手で振って再分散させてから評価した。
また、油浮き量の差がわずかで判別がつかない場合は、下記方法で乳化粒子径(メジアン径)増加率を算出して乳化安定性を評価した。
【0123】
[乳化粒子径(メジアン径)増加率の算出]
基本的に比較例1のような従来の乳化組成物は、イオン交換水に希釈した際は油浮きがなく、乳化粒子径も変化しない。すなわち乳化安定である。一方で、電解質を多く含む液に希釈した際には、油浮きが生じる前兆として、乳化粒子径の増大がみとめられる。このことを利用し、イオン交換水で希釈したサンプルのメジアン径を100%として、電解質を含む液で希釈したサンプルのメジアン径の比率を算出した。すなわち、比率が100%に近いほど乳化安定である。
本検討では、コントロール(乳化分散剤調製時に電解質を添加しないもの)より乳化粒子径の増加率が小さければ乳化安定化効果あり、それ以上であれば乳化安定化効果なしと判定した。
【0124】
[乳化粒子径(メジアン径)の測定]
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920、HORIBA製)で適当な透過率になるよう乳化組成物を希釈した後に測定した(相対屈折率:120A000I)。なお、油浮きが一部生じているサンプルについては、手で上下に軽く振って均一化した後、自然に浮いてくる油滴を避けてサンプル中心部より静かにサンプリングした。