特許第6465420号(P6465420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465420センサ監視装置、センサ監視方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465420
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】センサ監視装置、センサ監視方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20190128BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   G01D21/00 Q
   G08C25/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-527092(P2017-527092)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2016059586
(87)【国際公開番号】WO2017006593
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-136724(P2015-136724)
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】島津 秀雄
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−350198(JP,A)
【文献】 特開平09−329470(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165496(WO,A1)
【文献】 特開2006−350707(JP,A)
【文献】 特表平11−510898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 25/00
G01D 18/00−21/02
G08B 29/24
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段と、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得手段と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段と、
を有し、
前記判定手段は、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段と、
を有するセンサ監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ監視装置において、
前記第3の判定手段は、前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、自動修復可能な異常があると判定するセンサ監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ監視装置において、
前記第3の判定手段は、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係がないと判定した場合、自動修復不可能な異常があると判定し、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていないと判定した場合、正常であると判定するセンサ監視装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ監視装置において、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、前記測定データから前記参照データを得るための補正式を生成する補正式生成手段と、
をさらに有するセンサ監視装置。
【請求項5】
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段と、
前記測定データと同種のデータであり、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末各々により測定されたデータに基づき算出された参照データを取得する参照データ取得手段と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段と、
を有するセンサ監視装置。
【請求項6】
コンピュータが、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得工程と、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得工程と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定工程と、
を実行し、
前記判定工程は、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定された場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程及び前記第2の判定工程の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定工程と、
を有するセンサ監視方法。
【請求項7】
コンピュータを、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得手段、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段、
として機能させ、
前記判定手段を、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段、
として機能させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータが、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得工程と、
前記測定データと同種のデータであり、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末各々により測定されたデータに基づき算出された参照データを取得する参照データ取得工程と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定工程と、
を実行するセンサ監視方法。
【請求項9】
コンピュータを、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段、
前記測定データと同種のデータであり、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末各々により測定されたデータに基づき算出された参照データを取得する参照データ取得手段、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ監視装置、センサ監視方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、寸法公差等により発生するガスセンサ間のばらつきを校正する手段が開示されている。
【0003】
特許文献2には、予め機器に備え付けられている温度センサによる温度センサ値と、予め機器に備え付けられている吸入圧力センサによる吸入圧力センサ値との相関係数を算出し、相関係数が所定基準を下回ると、吸入圧力センサに異常が発生したと判定する手段が開示されている。
【0004】
特許文献3には、設備に複数のセンサを設置し、複数のセンサから得られたセンサ値に基づき、設備の故障を検出する手段が開示されている。
【0005】
特許文献4には、複数のガス区分と、各ガス区分に対応して設けられた複数のガスセンサとを有するガス絶縁電気機器が開示されている。当該ガス絶縁電気機器は、複数のガスセンサからの出力値のばらつきを監視し、所定レベルを超えた場合、いずれかのガスセンサに故障が発生していると判定する。
【0006】
特許文献5には、チェック機能実行時に、所定の検出装置からの信号を受信しなかった場合、その検出装置が故障していると判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−52901号
【特許文献2】特開2009−192208号
【特許文献3】特開2006−135412号
【特許文献4】特開2001−186613号
【特許文献5】特開昭60−201498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
所定位置にセンサを設置し、継続的にセンサ値を取得し、当該センサ値に基づいて様々な事象を解析する試みが多くなされている。所定位置に設置されたセンサには、経年劣化や、設置位置で発生した不測の事態等に起因して異常が発生し得る。そこで、センサの異常を精度よく検出する技術が望まれている。
【0009】
特許文献1に記載の技術は、センサの異常を検出する技術でない。
【0010】
特許文献2に記載の技術は、温度センサ値と吸入圧力センサ値との相関係数に基づき、吸入圧力センサの異常を判定している。これは、温度センサ値が正常であることを前提とした技術であるが、当然、温度センサも故障し得る。温度センサ値が正常であることを担保する手段を有さない特許文献2に記載の技術の場合、吸入圧力センサの異常の判定結果の精度が悪くなる。
【0011】
特許文献3に記載の技術は、センサの異常を検出する技術でない。
【0012】
特許文献4に記載の技術は、複数のセンサのいずれかが故障していることを検出できるものの、その中の特定のセンサが故障していることを検出することはできない。
【0013】
特許文献5に記載の技術は、所定のセンサが通信できない状態となっている異常を検出することはできる。しかし、通信可能であるが、異常値を出力してしまうような異常を検出することはできない。
【0014】
本発明は、センサの異常を検出する新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段と、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得手段と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段と、
を有し、
前記判定手段は、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段と、
を有するセンサ監視装置が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得工程と、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得工程と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定工程と、
を実行し、
前記判定工程は、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定された場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程及び前記第2の判定工程の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定工程と、
を有するセンサ監視方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段、
前記測定データと同種のデータであり、参照センサ端末により測定されたデータ、及び、前記測定データと同種のデータであり、他の監視対象センサ端末により測定されたデータに基づき算出されたデータのいずれかである参照データを取得する参照データ取得手段、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段、
として機能させ、
前記判定手段を、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、センサの異常を検出する新たな技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0020】
図1】本実施形態の装置のハードウエア構成の一例を概念的に示す図である。
図2】本実施形態の一例の概要を説明するための図である。
図3】本実施形態の一例の概要を説明するための図である。
図4】本実施形態の一例の概要を説明するための図である。
図5】本実施形態のセンサ監視装置の機能ブロック図の一例である。
図6】本実施形態のセンサ端末の設定値の一例を説明するための図である。
図7】本実施形態のセンサ監視装置で管理される情報の一例を説明するための図である。
図8】本実施形態の判定部の機能ブロック図の一例である。
図9】本実施形態のセンサ監視装置の機能ブロック図の一例である。
図10】本実施形態のセンサ監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本実施形態のセンサ監視装置の機能ブロック図の一例である。
図12】本実施形態のセンサ監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本実施形態の装置(センサ監視装置、センサ端末)のハードウエア構成の一例について説明する。本実施形態の装置が備える各部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インタフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
図1は、本実施形態の装置(センサ監視装置、センサ端末)のハードウエア構成の一例を概念的に示す図である。図示するように、本実施形態の装置は、例えば、バス10Aで相互に接続されるCPU1A、RAM(Random Access Memory)2A、ROM(Read Only Memory)3A、通信部8A、補助記憶装置9A等を有する。なお、本実施形態の装置は、さらに、表示制御部4A、ディスプレイ5A、操作受付部6A、操作部7A等を有してもよい。また、図示しないが、本実施形態の装置は、その他、マイク、スピーカ等の他の要素を備えてもよい。また、図示する要素の一部を有さなくてもよい。
【0023】
CPU1Aは各要素とともに装置のコンピュータ全体を制御する。ROM3Aは、コンピュータを動作させるためのプログラムや各種アプリケーションプログラム、それらのプログラムが動作する際に使用する各種設定データなどを記憶する領域を含む。RAM2Aは、プログラムが動作するための作業領域など一時的にデータを記憶する領域を含む。補助記憶装置9Aは、例えばHDD(Hard Disc Drive)であり、大容量のデータを記憶可能である。
【0024】
ディスプレイ5Aは、例えば、表示装置(LED(Light Emitting Diode)表示器、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等)である。ディスプレイ5Aは、タッチパッドと一体になったタッチパネルディスプレイであってもよい。表示制御部4Aは、VRAM(Video RAM)に記憶されたデータを読み出し、読み出したデータに対して所定の処理を施した後、ディスプレイ5Aに送って各種画面表示を行う。操作受付部6Aは、操作部7Aを介して各種操作を受付ける。操作部7Aは、操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパネルディスプレイ、キーボードなどを含む。通信部8Aは、有線及び/または無線で、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続し、他の電子機器と通信する。また、通信部8Aは、有線及び/または無線で他の電子機器と直接つながり、通信を行うことができる。
【0025】
以下、本実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
<第1の実施形態>
(本実施形態の概要)
本実施形態のセンサ監視装置は、例えば、圃場やハウス内の状態を計測するために設置されるセンサ端末の状態を監視するために用いられる。なお、例示した用途はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0027】
農業用でセンサ端末を設置する場合、オフィス内に設置するのと異なり、厳しい外的条件(風雨、ほこり、落ち葉が落ちてくるなど)により、異常が発生しやすくなる。一方で、不便な所に設置されることが多いので、人間が見回りに行くのが大変だという二重の意味で厳しい環境にある。
【0028】
センサ端末に異常が発生すると、測定データを送信しない不通状態になったり、測定値が異常値になったりする。不通状態や、完全にランダムな異常値を出力する状態は、コンピュータ側での自動修復が不可能な異常である。しかし、出力値が正解値から離れた異常値であるが、異常値と正解値の間に相関関係がある場合は、出力値に適当な補正(キャリブレーション)を加えてやると正解値に変換することが可能になる。すなわち、このような異常は、コンピュータ側での自動修復が可能な異常と考えることができる。本実施形態では、センサ端末の状態を図2に示すようにケース1乃至4に分ける。
【0029】
ケース1:センサ端末の出力値が正常値(正解値と一致、又は、その差が所定レベル以下)。このケースは、センサ端末の状態が正常である。
【0030】
ケース2:センサ端末の出力値は異常値(正解値との差が所定レベルより大)であるが、正解値との間に相関関係がある。このケースは、センサ端末の状態が自動修復可能な異常である。
このケースでは、センサ監視装置100が補正式(異常値から正解値を得るための補正式)を生成し、以降、センサ端末の測定値を当該補正式で補正することで、異常値を正常値に変換することができる。例えば、正解値より10℃高い温度(異常値)を示す温度センサの場合、出力値から10℃を引く補正式とすることができる。
【0031】
ケース3:センサ端末の出力値がランダムな異常値をとる。このケースは、センサ端末の状態が自動修復不可能な異常である。この場合、オペレータに通知し、修理、交換等を促す。
【0032】
ケース4:センサ端末から測定値を取得できない不通状態。このケースは、センサ端末の状態が自動修復不可能な異常である。この場合、オペレータに通知し、修理、交換等を促す。
【0033】
本実施形態のセンサ監視装置は、監視対象のセンサ端末(以下、「監視対象センサ端末」)から受信した測定データを解析し、センサ端末の状態を上記ケース1〜4に分類する。そして、検出したケースに応じた処理を行う。
【0034】
(本実施形態の原理)
遠隔地の監視対象センサ端末を監視し、問題発生時にそれを検出するためには、監視対象センサ端末は、無線通信等で常にサーバと接続され、定期的に測定データをサーバに送信することが前提となる。その監視対象センサ端末から送出された測定データをサーバ側で解析することで、監視対象センサ端末が正常か異常かを判断できる。
【0035】
しかし、監視対象センサ端末から送られてくる測定データのみに基づき、監視対象センサ端末が正常か異常かを判断することはできない。例えば、ある場所に設置された監視対象センサ端末が、「温度:17℃」と報告してきた場合、それが正しいかどうか、すなわちその測定値が異常値か否かは、その場所の正確な温度(正解値)を認識しないと判断できない。
【0036】
本実施形態では、定期的(例:3か月ごと)に、正常であることを確認済みのセンサ端末(参照センサ端末)を、所定期間(例:数日程度)、監視対象センサ端末と並置する。そして、センサ監視装置は、監視対象センサ端末のみならず、参照センサ端末からも、測定データを取得する。センサ監視装置は、監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとを比較することで、監視対象センサ端末に異常が発生していないか判定する。参照センサ端末と監視対象センサ端末は同種のセンサ端末であり、同じ対象(温度等)をセンシングする。
【0037】
具体的には、センサ監視装置は、監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとが一致する場合、又は、その差が所定レベル以下である場合、その監視対象センサ端末が正常であると判定する。
【0038】
一方、センサ監視装置は、監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとの差が所定レベルより大である場合、その監視対象センサ端末は異常であると判定する。この場合、センサ監視装置は、さらに、監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとの間に、所定レベル以上の相関関係があるか判定する。ある場合、その監視対象センサ端末は、コンピュータ側で自動修復可能な異常であると判定する。ない場合、その監視対象センサ端末は、コンピュータ側で自動修復不可能な異常であると判定する。
【0039】
当該方法の場合、監視対象センサ端末の測定データと比較される参照データ(参照センサ端末の測定データ)の正確性は高く確保される。このような正確な参照データとの比較により監視対象センサ端末の状態を判定する本実施形態の場合、監視対象センサ端末の状態の判定精度を高めることができる。
【0040】
参照センサ端末を設置する手段としては、例えば、監視対象センサ端末の監視を業とする事業者が、所定のタイミング(検査タイミング)で、監視対象センサ端末を利用しているユーザに、参照センサ端末を配送してもよい。そして、ユーザが自身で参照センサ端末の設置及び回収を行ってもよい。その他、上記事業者が、監視対象センサ端末を利用しているユーザを訪問し、参照センサ端末の設置及び回収を行ってもよい。
【0041】
ここで、上記検査の流れの一例を説明する。図3に示すように、日時T0に監視対象センサ端末を所定位置に設置したとする。その後の日時T1が定期検査のタイミングであり、その後の日時T2が次の定期検査のタイミングであるとする。T1とT2の直前に、正常であることを確認済みの参照センサ端末を、例えば宅配便等で監視対象センサ端末のユーザに送付する。ユーザは、参照センサ端末を、監視対象センサ端末と並べて設置する。
【0042】
ケースAは、日時T1の定期検査の結果、監視対象センサ端末が正常であった場合である。すなわち、監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとが一致、又は、その差が所定レベル以下であった場合である。
【0043】
ケースBは、日時T1の定期検査の結果、監視対象センサ端末の測定値が異常値(監視対象センサ端末の測定データと、参照センサ端末の測定データとの差が所定レベルより大)であるが、それらの間に相関関係がある場合である。このケースは、監視対象センサ端末の状態が自動修復可能な異常である。この場合、日時T1の定期検査以降、センサ監視装置で生成された補正式を用いて、監視対象センサ端末の測定値を補正することができる。
【0044】
補正式は、監視対象センサ端末に送信されてもよいし、又は、監視対象センサ端末から測定データを受信するサーバに送信されてもよい。前者の場合、監視対象センサ端末は、以降、補正式を用いて測定データを補正し、補正後の測定データをサーバに送信する。後者の場合、サーバは、監視対象センサ端末から受信した測定データを、補正式を用いて補正し、補正後の測定データを用いて所定の解析を行う。
【0045】
なお、相関関係を調べる一般的な手法はすでに確立している。ここでは一般的な相関関係の計算方法の説明を行う。センサ値は、時系列データとして表現できる。例えば、温度、湿度、雨量などのセンサが代表的なセンサであり、「2015/3/29 11:01に17℃」、「2015/3/29 12:01に19℃」、「2015/3/29 13:01に21℃」などのように測定されるので、2つのセンサが存在する場合、2つの時系列データとなる。個々のセンサの時系列を変数で表現すると、2変数間の関係を数値で記述する分析方法は、相関分析と呼ばれ、大別すると間隔尺度・比率尺度のデータに対して行うピアソンの積率相関分析と順序尺度のデータに対して行うスピアマンの順位相関分析の2つがある。温度や湿度、雨量などの場合は、ピアソン積率相関分析が適している。ピアソンの積率相関とは、2変数間に、どの程度、直線的な関係があるかを数値で表す分析であり、相関係数の数式は、下記式1に示すものである。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、
変数xの値が大きいほど、変数yの値も大きい場合を正の相関関係
変数xの値が大きいほど、変数yの値が小さい場合を負の相関関係
変数xの値と、変数yの値の間に直線関係が成立しない場合を無相関
とよび、相関係数の強さは、−1≦r≦1の値を取る。rの値は図4に示すように、
0は、相関なし、
−0.2から0.22は、ほとんど相関なし、
−0.4から−0.2あるいは0.2から0.4は、低い正(負)の相関あり、
−0.7から−0.4あるいは0.4から0.7は、高い正(負)の相関あり、
−1.0から−0.7あるいは0.7から1.0は、完全な正(負)の相関
となる。
【0048】
したがって、2つの時系列データを用意すれば、上記式1を用いて相関係数rが計算でき、rの値によって相関の程度を明らかにすることができる。これらピアソンやスピアマンの相関分析は、すでに商用ツールであるSPSSやRなどのデータ分析ツールに基本機能として入っており、本実施形態では、相関分析そのものに対して新機能を提供するものではなく、一般的に使われる手法として流用する立場である。これらのツールを使えば、2変数の間の相関関係を自動的に計算してくれる。利用者側としては、0または1の値以外の場合の判断として、低い正(負)の相関、や高い正(負)の相関については、その境界を0.4にするか、より安全を見越して、もっと高い値(例:0.5とか0.6)にするかどうかは、個別応用での判断となる。この実際の応用での境界値をどこにするかも設計的事項である。
【0049】
ケースCは、日時T0、T1では正常だったのだが、日時T1とT2の間に、監視対象センサ端末からサーバにデータが送られなくなってしまった場合である。例えば、サーバ側で、最大許容の不通期間を設定しておく。そして、本来ならば定期的にデータが送られてくるべきなのに、その最大の不通期間を超えて送られなくなった場合に、不通状態と判断し、データを送信してこない監視対象センサ端末を異常と判定する。このようにして、当該異常を検出できる。
【0050】
ケースDは、日時T0、T1では正常だったのだが、日時T1とT2の間に、監視対象センサ端末が異常値を出力するようになった場合である。当該異常は、日時T2の検査時に検出することができる。しかし、それまで放置するのは好ましくない。そこで、本実施形態では、以下のような手法で、このようなケースの場合に早期に監視対象センサ端末の異常を検出する。
【0051】
監視対象センサ端末の周辺には、すぐ隣とは限らないが、比較的近地に他の監視対象センサ端末(例:他のユーザが使用している監視対象センサ端末)が設置されている場合がある。この場合、近地であるため、センサでの測定値が似ていると期待できる。ただ、近地であっても、例えば山の北側と南側のように環境が異なれば、天候や温度が大きく異なり得る。このように、比較的近地であっても、必ずしもセンサでの測定値が似ているとは限らない。また、近地の監視対象センサ端末に異常がある可能性もある。
【0052】
そこで、近地の1つの他の監視対象センサ端末の測定データを参照データとするのでなく、近地の複数の他の監視対象センサ端末の測定データを参照データとするのが好ましい。このようにすることで、参照データの信頼性が高まる。
【0053】
本実施形態では、比較的近くに設置されている複数の監視対象センサ端末をグループ化し、それらの測定データから得られるデータ(例:平均したもの、標準偏差等)を算出する。そして、算出されたデータに基づき、監視対象センサ端末に異常が発生しているか否かを判定する。例えば、判定対象の監視対象センサ端末の測定値が標準偏差から大きく外れた値を取る場合等には、その監視対象センサ端末は自動修復不可能な異常と判定する。
【0054】
なお、ケースBとケースDでは状況が異なる。ケースBで説明した異常検出方法と、ケースDで説明した異常検出方法とを比較すると、正常であることを確認済みの参照センサ端末を用いるケースBの方が、信頼性が高い。このため、ケースDで説明した異常検出方法は、ケースBで説明した異常検出方法を補完するように利用するのが好ましい。例えば、定期検査時には、ケースBで説明した異常検出方法を優先し、それ以外のタイミングで、ケースDで説明した異常検出方法を採用してもよい。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、センサの異常を検出する新たな技術が実現される。
【0056】
<第2の実施形態>
本実施形態のセンサ監視装置は、第1の実施形態で説明した定期検査を実施する点を特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0057】
図5に、本実施形態のセンサ監視装置100の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、センサ監視装置100は、測定データ取得部110と、参照データ取得部120と、判定部130とを有する。
【0058】
測定データ取得部110は、監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する。
【0059】
監視対象センサ端末は、所定位置に設置され、定期的に所定種類のデータを測定する。監視対象センサ端末が測定するデータの種類は特段制限されない。例えば、監視対象センサ端末は、温度、湿度、圧力、照度、雨量等を測定してもよいし、その他を測定してもよい。監視対象センサ端末は、予め定められた時間間隔(例:5秒、30秒、1分、5分、15分、1時間)で、測定を行う。そして、監視対象センサ端末は、このような測定値を含む測定データを、所定の外部装置に送信する。
【0060】
送信手段は特段制限されず、インターネット等のネットワークを介し、任意の通信プロトコルで実現してもよい。外部装置は、監視対象センサ端末の異常を検出するセンサ監視装置100や、測定データに基づき所定の解析(監視対象センサ端末設置位置の異常を検出する解析)を行う解析装置等が考えられる。
【0061】
監視対象センサ端末は、測定データをリアルタイム処理で外部装置に送信してもよいし、バッチ処理で外部装置に送信してもよい。いずれを選択するかは設計的事項である。
【0062】
ここで、図6を用いて、センサ端末(監視対象センサ端末、参照センサ端末)毎に設定される設定内容の一例を説明する。
【0063】
201は、自分自身(センサ端末。以下同様。)の一意名を格納するID格納器である。図示する例では、「13」が格納されている。当該情報は、例えば、センサ端末の出荷段階からID格納器に格納される。
【0064】
202は、センサの種類を格納する格納器である。図示する例では、「温度センサ」が格納されている。なお、図示する例では、1種類のデータを測定するセンサが示されているが、センサ端末は、「温度センサと雨量センサ」のように、複数種類のデータを測定できてもよい。当該情報は、例えば、センサ端末の出荷段階から格納器に格納される。
【0065】
203は、自分自身が設置されている位置情報を記録する位置格納器である。図示する例では、「(緯度X、経度Y)」が格納されている。なお、位置情報は、その他、住所、郵便番号等で示されてもよい。
【0066】
例えば、センサ端末にGPS機能を備えておき、センサ端末が自動的に任意のタイミングで自身の位置情報を取得し、位置格納器に格納するようにしてもよい。その他、ユーザが、位置情報をセンサ端末に入力してもよい。そして、センサ端末は、入力された位置情報を位置格納器に格納してもよい。
【0067】
204は、測定値(測定データ)を測定する時間間隔、又は、所定の外部装置へ測定値(測定データ)を送信する時間間隔を格納した格納器である。図示する例では、「15分ごと」が格納されている。例えば、センサ端末の出荷段階では初期値が格納器に格納されていてもよい。そして、任意の操作により、センサ端末を用いたサービスを提供する事業者や、センサ端末を利用するユーザが、当該値を変更できてもよい。
【0068】
このような規則性で測定・送信された測定データは、例えば、当該測定データに基づき、監視対象センサ端末の設置位置の異常を検出する解析等を行う解析装置に送信される。
【0069】
205は、現在の時刻を記録する格納器である。
【0070】
206は、測定データの送信先である外部装置のアドレス情報を格納した格納器である。図示する例では、「10.94.101.34」が格納されている。例えば、センサ端末の利用を開始する前の前準備として、センサ端末を用いたサービスを提供する事業者や、センサ端末を利用するユーザが、任意の操作により、当該情報を格納してもよい。206では、1つのアドレス情報が格納されているが、複数のアドレス情報が格納されてもよい。
【0071】
207は、測定値(測定データ)を測定する日時、又は、所定の外部装置へ測定値(測定データ)を送信する日時を格納した格納器である。図示する例では、「毎日12時00分」が格納されている。なお、この頻度は1日1回に限定されず、1日4回(例:毎日0時00分、6時00分、12時00分、18時00分)、1時間に1回(例:毎日0時00分、1時00分、2時00分、・・・23時00分)などとしてもよい。
【0072】
例えば、センサ端末の利用を開始する前の前準備として、センサ端末を用いたサービスを提供する事業者や、センサ端末を利用するユーザが、任意の操作により、当該情報を格納してもよい。そして、任意の操作により、センサ端末を用いたサービスを提供する事業者や、センサ端末を利用するユーザが、当該値を変更できてもよい。
【0073】
このような規則性で測定・送信された測定データは、例えば、当該測定データに基づき、監視対象センサ端末の異常を検出するセンサ監視装置100に送信される。
【0074】
第1のセンサ端末(例:監視対象センサ端末)の測定データと、第2のセンサ端末(例:参照センサ端末、又は、近地に設置された他の複数の監視対象センサ端末)の測定データとを比較し、第1のセンサ端末の異常を検出する場合、検出精度を高めるためには、同じタイミングで測定された測定値同志を比較するのが好ましい。
【0075】
センサ端末は、204の格納器に設定されている時間毎に測定値(測定データ)を測定し、外部装置に送信するが、測定間隔が一致していても、測定タイミングが一致するとは限らない。例えば、第1のセンサ端末は、12時00分、12時15分、12時30分と15分ごとのタイミングで測定値(測定データ)を測定・送信し、第2のセンサ端末は、12時7分、12時22分、12時37分と15分ごとのタイミングで測定値(測定データ)を測定・送信する場合などが考えられる。
【0076】
207の格納器で設定されているタイミングで、センサ端末が測定値(測定データ)を測定・送信するようにすることで、センサ監視装置100は、同タイミングで測定された第1のセンサ端末(例:監視対象センサ端末)の測定データと、第2のセンサ端末(例:参照センサ端末、又は、近地に設置された他の複数の監視対象センサ端末)の測定データとを取得することができる。そして、このような測定データに基づき監視対象センサ端末の異常の有無を判定することで、精度を高めることができる。
【0077】
上述した各センサ端末の設定情報は、センサ監視装置100等の外部装置にも格納されていてもよい。
【0078】
ここで、図7に、センサ監視装置100が記憶する情報の一例を模式的に示す。測定データ取得部110が各監視対象センサ端末から受信した測定データは、センサ値格納部111に格納される。センサ値格納部111は複数に分けられ、各々にL1〜L5のようにIDが付されている。各センサ値格納部111は、各監視対象センサ端末から受信した測定データを記憶する。測定データは、測定時刻と、そのタイミングでの測定値(センサ値)とを対応付けたデータである。
【0079】
なお、図示する例の場合、測定データ取得部110は、図6を用いて説明した204の格納器の設定値に基づき測定・送信された測定データ、及び、207の格納器の設定値に基づき測定・送信された測定データの両方を取得し、センサ値格納部111に格納している。変形例として、測定データ取得部110は、207の格納器の設定値に基づき測定・送信された測定データのみを取得し、センサ値格納部111に格納してもよい。
【0080】
センサ情報格納部112には、センサ監視装置100が管理する複数のセンサ端末各々の情報が記録される。図示する例では、各センサ端末のIDと、最新の状態(例:判定部130による最新の判定状態)と、測定データを格納するセンサ値格納部111のIDと、補正式と、基準時刻(図6の207の格納器に設定される値)と、許容される最大不通時間と、設置位置の位置情報とが対応付けられている。
【0081】
図5に戻り、参照データ取得部120は、測定データ取得部110が取得する測定データと同種のデータであり、異常が発生していない監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似する参照データを取得する。「同種のデータ」は、同じ対象(温度等)をセンシングすることで得られた測定データを意味する。
【0082】
本実施形態では、第1の実施形態で説明したように、正常であることを確認済みの参照センサ端末を、監視対象センサ端末の近くに設置する。そして、参照データ取得部120は、当該参照センサ端末が測定した測定データを、上記参照データとして取得する。
【0083】
正常であることを確認済みであり、かつ、監視対象センサ端末の近くに設置された参照センサ端末が測定した測定データ(参照データ)は、異常が発生していない当該監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似すると考えられる。
【0084】
例えば、参照センサ端末も、図7に示すセンサ情報格納部112に登録されてもよい。そして、図示しないが、当該登録情報の中で、参照センサ端末である旨を示す情報、及び、いずれの監視対象センサ端末の近くに設置されるかを示す情報がさらに対応付けられてもよい。このように、センサ情報格納部112では、監視対象センサ端末と参照センサ端末を、各々を識別可能に登録できてもよい。
【0085】
第1の実施形態で説明した通り、参照センサ端末は、定期的に(例:3カ月ごと)、所定期間(例:数日程度)だけ監視対象センサ端末の近くに設置され、測定データの測定及び送信を行う。このように、参照センサ端末を設置し、測定データの測定及び送信を行う期間を短く設定することで、この期間中に参照センサ端末に異常が発生する可能性を低く抑えることができる。この場合、参照センサ端末から受信した参照データの信頼性が高くなる。結果、監視対象センサ端末の異常の有無の判定精度を高めることができる。
【0086】
判定部130は、測定データ取得部110が取得した測定データ、及び、参照データ取得部120が取得した参照データに基づき、監視対象センサ端末における異常の有無を判定する。判定部130は、図8に示すように、第1の判定部131と、第2の判定部132と、第3の判定部133とを有してもよい。
【0087】
第1の判定部131は、測定データと参照データとが所定レベル以上離れているか判定する。例えば、第1の判定部131は、同タイミング(例:2015年6月22日13時00分)で測定された測定データの測定値と参照データの測定値との差を算出してもよい。そして、その差の絶対値が所定の閾値以上である場合、所定レベル以上離れており、その差の絶対値が所定の閾値未満である場合、所定レベル以上離れていないと判断してもよい。
【0088】
その他、第1の判定部131は、ある期間内(例:12時間、1日、3日、参照センサ端末が監視対象センサ端末の近くに設置され、参照データをセンサ監視装置100に送信する期間)に同タイミングで測定された測定データの測定値と参照データの測定値の差の絶対値の統計値(例:平均値、最大値、最頻値、最小値等)を算出してもよい。そして、その統計値が所定の閾値以上である場合、測定データと参照データとは所定レベル以上離れており、その統計値が所定の閾値未満である場合、測定データと参照データとは所定レベル以上離れていないと判断してもよい。
【0089】
第2の判定部132は、測定データと参照データとは所定レベル以上離れていると第1の判定部131が判定した場合、測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する。例えば、第2の判定部132は、ある期間内(例:12時間、1日、3日、参照センサ端末が監視対象センサ端末の近くに設置され、参照データをセンサ監視装置100に送信する期間)における時系列な測定データと、時系列な参照データとの間の相関係数を算出してもよい。そして、第2の判定部132は、相関係数の絶対値が所定値以上である場合、測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があると判定し、相関係数の絶対値が所定値未満である場合、測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係がないと判定してもよい。
【0090】
第3の判定部133は、第1の判定部131及び第2の判定部132の判定結果に基づき、監視対象センサ端末における異常の有無を判定する。
【0091】
第3の判定部133は、第1の判定部131の判定結果が「測定データと参照データとが所定レベル以上離れていない」である場合、監視対象センサ端末は正常であると判定する。
【0092】
また、第3の判定部133は、第1の判定部131の判定結果が「測定データと参照データとが所定レベル以上離れている」であり、かつ、第2の判定部132の判定結果が「測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係がある」である場合、監視対象センサ端末にはコンピュータによる自動修復可能な異常があると判定する。
【0093】
また、第3の判定部133は、第1の判定部131の判定結果が「測定データと参照データとが所定レベル以上離れている」であり、かつ、第2の判定部132の判定結果が「測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係がない」である場合、監視対象センサ端末にはコンピュータによる自動修復不可能な異常があると判定する。
【0094】
判定部130は、任意のタイミングで、監視対象センサ端末における異常の有無を判定する。例えば、判定部130は、測定データ取得部110及び参照データ取得部120が、図6を用いて説明した207の格納器に設定されているタイミングで送信される測定値を取得するごとに、上記判定を行ってもよい。判定部130による判定結果は、図7のセンサ情報格納部のセンサ状態の欄に記録される。判定部130が新たな判定結果を出力するごとに、センサ状態の欄の値が更新される。
【0095】
図9に示すように、センサ監視装置100は通知部140を有してもよい。通知部140は、判定部130による判定結果をユーザに通知する。なお、少なくとも、監視対象センサ端末の現在の状態が、図2に示すケース1乃至4のいずれに該当するかを通知できればよく、通知手段は特段限定されない。例えば、通知部140は、ディスプレイ、スピーカ、メーラー、警告ランプ等の出力装置を用いて、ケース1乃至4を識別可能に通知してもよい。
【0096】
次に、図10のフローチャートを用いて、本実施形態のセンサ監視装置100の処理の流れの一例を説明する。
【0097】
まず、測定データ取得部110が監視対象センサ端末により測定された測定データを取得し、参照データ取得部120が参照センサ端末により測定された参照データを取得する(S10)。測定データ取得部110及び参照データ取得部120は、リアルタイム処理で測定データ及び参照データを取得してもよいし、バッチ処理で取得してもよい。
【0098】
その後、判定部130が、測定データ及び参照データに基づき、監視対象センサ端末の異常の有無を判定する。判定部130は、最新の所定時間分の時系列な測定データ及び参照データを処理対象とし、上記判定を行う。
【0099】
まず、第1の判定部131は、測定データと参照データとが所定レベル以上離れているか判定する(S11)。所定レベル以上離れていない場合(S11のNo)、第3の判定部133は、正常と判定する。そして、通知部140は、その旨をユーザに通知する(S15)。例えば、通知部140は、その旨を示したメールを予め登録されているユーザに送信してもよい。
【0100】
一方、所定レベル以上離れている場合(S11のYes)、次に、第2の判定部132が、測定データと参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する(S12)。
【0101】
所定レベル以上の相関関係がある場合(S12のYes)、第3の判定部133は、コンピュータで自動修復可能な異常があると判定する。そして、通知部140は、その旨をユーザに通知する(S13)。例えば、通知部140は、その旨を示したメールを予め登録されているユーザに送信してもよい。
【0102】
一方、所定レベル以上の相関関係がない場合(S12のNo)、第3の判定部133は、コンピュータで自動修復不可能な異常があると判定する。そして、通知部140は、その旨をユーザに通知する(S14)。例えば、通知部140は、その旨を示したメールを予め登録されているユーザに送信してもよい。
【0103】
以上、説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を実現できる。また、本実施形態の場合、「監視対象センサ端末の測定データ」と、「異常が発生していない監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似する参照データ」とに基づき、監視対象センサ端末の異常の有無を判定する。このような参照データを用いるため、本実施形態の場合、判定の精度が向上する。
【0104】
また、本実施形態の場合、単に、監視対象センサ端末の状態を「正常」及び「異常」に分類するだけでなく、「異常」をさらに「コンピュータによる自動修復可能な異常」及び「コンピュータによる自動修復不可能な異常」に分類することができる。このため、ユーザは、監視対象センサ端末の状態をより詳細に把握することができる。そして、把握した状態に応じた適切な対応をとることができる。
【0105】
<第3の実施形態>
本実施形態のセンサ監視装置100は、監視対象センサ端末に「コンピュータによる自動修復可能な異常」があると判定した場合、その監視対象センサ端末の測定値(異常値)を正解値に変換するための補正式を生成する機能を有する点で、第2の実施形態と異なる。
【0106】
図11に、本実施形態のセンサ監視装置100の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、センサ監視装置100は、測定データ取得部110と、参照データ取得部120と、判定部130と、補正式生成部150とを有する。センサ監視装置100は、さらに、通知部140を有してもよい。測定データ取得部110、参照データ取得部120、判定部130及び通知部140の構成は、第2の実施形態で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
補正式生成部150は、第1の判定部131が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、第2の判定部132が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、すなわち、第3の判定部133が「コンピュータによる自動修復可能な異常」があると判定した場合、測定データから参照データを得るための補正式を生成する。補正式の生成手段は特段制限されないが、以下一例を説明する。
【0108】
例えば、補正式生成部150は、同タイミングで測定された参照データの測定値から測定データの測定値を引いた差Dを算出し、補正式として、(補正後の測定値)=(補正前の測定値)+Dを生成してもよい。
【0109】
その他、補正式生成部150は、ある期間内(例:12時間、1日、3日、参照センサ端末が監視対象センサ端末の近くに設置され、測定データをセンサ監視装置100に送信する期間)に同タイミングで測定された参照データの測定値及び測定データの測定値をペアとし、ペア毎に、参照データの測定値から測定データの測定値を引いた差Dを算出してもよい。その後、このようにして得られた複数のDの統計値D(例:平均値、最大値、最頻値、最小値等)を算出してもよい。そして、補正式として、(補正後の測定値)=(補正前の測定値)+Dを生成してもよい。
【0110】
その他、補正式生成部150は、同タイミングで測定された参照データの測定値を測定データの測定値で割った比率Rを算出し、補正式として、(補正後の測定値)=(補正前の測定値)×Rを生成してもよい。
【0111】
その他、補正式生成部150は、ある期間内(例:12時間、1日、3日、参照センサ端末が監視対象センサ端末の近くに設置され、測定データをセンサ監視装置100に送信する期間)に同タイミングで測定された参照データの測定値及び測定データの測定値をペアとし、ペア毎に、参照データの測定値を測定データの測定値で割った比率Rを算出してもよい。その後、このようにして得られた複数のRの統計値R(例:平均値、最大値、最頻値、最小値等)を算出してもよい。そして、補正式として、(補正後の測定値)=(補正前の測定値)×Rを生成してもよい。
【0112】
補正式生成部150が生成した補正式は、「コンピュータによる自動修復可能な異常」があると判定された監視対象センサ端末に送信されてもよい。補正式を受信した監視対象センサ端末は、以降、測定データを補正式で補正した後、補正後の測定データを外部装置に送信する。
【0113】
その他、補正式生成部150が生成した補正式は、「コンピュータによる自動修復可能な異常」があると判定された監視対象センサ端末から測定データを受信する外部装置に送信されてもよい。この場合、外部装置は、以降、当該監視対象センサ端末から受信した測定データを補正式で補正した後、補正後の測定データに基づいて所定の解析を行う。
【0114】
以上説明した本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
【0115】
また、本実施形態の場合、コンピュータで自動修復可能な異常が見つかった場合、補正式を生成し、以降それを用いて測定データを補正することで、その異常を自動修復することができる。結果、監視対象センサ端末の修理、取り換え等のユーザの手間を軽減することができる。
【0116】
<第4の実施形態>
本実施形態のセンサ監視装置100は、ある監視対象センサ端末の異常の有無の判定を、近地に設置された他の複数の監視対象センサ端末の測定データに基づき行う点を特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0117】
本実施形態のセンサ監視装置100の機能ブロック図の一例は、図5及び図9で示される。図5に示すように、本実施形態のセンサ監視装置100は、測定データ取得部110と、参照データ取得部120と、判定部130とを有する。図9に示すように、センサ監視装置100は、さらに通知部140を有してもよい。
【0118】
測定データ取得部110の構成は、第2及び第3の実施形態と同様である。
【0119】
参照データ取得部120は、監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末各々により測定された測定データから参照データを得る。
【0120】
参照データ取得部120は、第1の監視対象センサ端末の異常の有無を判定するための参照データを得る際、図7のセンサ情報格納部112に格納されている情報に基づき、第1の監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末を特定する。例えば、監視対象センサ端末各々の位置情報(図7の位置記録の欄の値)に基づき、参照データ取得部120は、第1の監視対象センサ端末と他の監視対象センサ端末との距離を算出することができる。そして、算出した距離と、予め保持している所定の閾値との大小比較を行うことで、第1の監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末を特定することができる。
【0121】
なお、参照データ取得部120は、監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されており、かつ、現在の状態(図7のセンサ状態の欄の値)が「正常」又は「補正後正常」である他の複数の監視対象センサ端末を特定してもよい。「補正後正常」とは、「コンピュータによる自動修復可能な異常」がある状態であり、補正式を用いることで正常な状態にできる。
【0122】
他の複数の監視対象センサ端末を特定した後、参照データ取得部120は、当該複数の監視対象センサ端末の測定データから、参照データを得る。例えば、参照データ取得部120は、測定データの平均データ(例:同タイミングの測定値の平均値を時系列に並べたデータ)を参照データとして生成してもよい。なお、複数の監視対象センサ端末の測定データから参照データを得る手段は、これに限定されない。
【0123】
判定部130及び通知部140の構成は、第2及び第3の実施形態と同様とすることができる。
【0124】
なお、本実施形態の場合、判定部130は、第1の判定部131及び第3の判定部133を有し、第2の判定部132を有さない構成としてもよい。この場合、第3の判定部133は、第1の判定部131が所定レベル以上離れていると判定した場合、異常があると判定し、第1の判定部131が所定レベル以上離れていないと判定した場合、正常であると判定することができる。
【0125】
次に、図12のフローチャートを用いて、本実施形態のセンサ監視装置100の処理の流れの一例を説明する。
【0126】
まず、測定データ取得部110が、異常有無判定対象の監視対象センサ端末により測定された測定データを取得する(S20)。
【0127】
その後、参照データ取得部120が、当該監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末を特定する(S21)。その後、参照データ取得部120は、特定した他の複数の監視対象センサ端末により測定された測定データを取得する。そして、参照データ取得部120は、他の複数の監視対象センサ端末により測定された測定データから、参照データを生成する(S22)。
【0128】
その後、判定部130が、測定データ及び参照データに基づき、監視対象センサ端末の異常の有無を判定する。判定部130は、最新の所定時間分の時系列な測定データ及び参照データを処理対象とし、上記判定を行う。
【0129】
まず、第1の判定部131は、測定データと参照データとが所定レベル以上離れているか判定する(S23)。所定レベル以上離れていない場合(S23のNo)、第3の判定部133は、正常と判定する。そして、通知部140は、その旨をユーザに通知する(S24)。例えば、通知部140は、その旨を示したメールを予め登録されているユーザに送信してもよい。
【0130】
一方、所定レベル以上離れている場合(S23のYes)、第3の判定部133は、異常と判定する。そして、通知部140は、その旨をユーザに通知する(S25)。例えば、通知部140は、その旨を示したメールを予め登録されているユーザに送信してもよい。
【0131】
なお、変形例として、S23〜S25の処理を、図10に示すS11〜S15の処理に置き換えてもよい。
【0132】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
【0133】
また、本実施形態の場合、異常有無判定対象の監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末の測定データから、参照データを得る。1つの他の監視対象センサ端末の測定データを参照データとした場合、判定の精度が悪くなる。
【0134】
例えば、その他の監視対象センサ端末に異常があったり、設置位置は異常有無判定対象の監視対象センサ端末から近いが環境が大きく異なったりする場合、その他の監視対象センサ端末の測定データは参照データとしてふさわしくない。すなわち、異常有無判定対象の監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末の測定データの中には、参照データとしてふさわしくないデータが含まれ得る。本実施形態の場合、他の複数の監視対象センサ端末の測定データから参照データを得ることで、参照データの正確性を高めている。結果、判定の精度が高まる。
【0135】
<第5の実施形態>
本実施形態のセンサ監視装置100は、第2の実施形態と第4の実施形態を組み合わせた実施形態である。さらに、第3の実施形態を組み合わせてもよい。
【0136】
本実施形態のセンサ監視装置100の機能ブロック図の一例は、図5図9及び図11で示される。そして、判定部130の機能ブロック図の一例は、図8で示される。
【0137】
測定データ取得部110の構成は、第2乃至第4の実施形態と同様である。
【0138】
参照データ取得部120は、第2及び第3の実施形態で説明した参照センサ端末により測定された測定データを取得している間は、当該測定データを参照データとして取得する。そして、参照データ取得部120は、第2及び第3の実施形態で説明した参照センサ端末により測定された測定データを取得できない間は、第4の実施形態で説明した手段を用い、異常有無判定対象の監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の監視対象センサ端末各々により測定された測定データから参照データを得る。
【0139】
判定部130の構成は、第2乃至第4の実施形態と同様である。判定部130は、第2及び第3の実施形態で説明した参照センサ端末により測定された測定データを取得できる間は、当該測定データを参照データとして用い、上述した判定を行う。そして、判定部130は、第2及び第3の実施形態で説明した参照センサ端末により測定された測定データを取得できない間は、第4の実施形態で説明した手段を用いて得られた参照データに基づき、上述した判定を行う。
【0140】
通知部140及び補正式生成部150の構成は、第2乃至第4の実施形態と同様である。
【0141】
以上説明した本実施形態によれば、第1乃至第4の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
【0142】
また、本実施形態によれば、第2の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせることができる。結果、2通りの方法で、参照データを得ることができる。この2通りの方法のうち、第2の実施形態で説明した方法の方が参照データの正確性が高い。このため、本実施形態では、第2の実施形態で説明した方法で参照データを得られる場合は、当該参照データを優先的に用いて、監視対象センサ端末の異常の有無を判定する。そして、第2の実施形態で説明した方法で参照データを得られない場合は、第4の実施形態で説明した方法で得た参照データを用いて、監視対象センサ端末の異常の有無を判定する。
【0143】
このような本実施形態によれば、第1乃至第4の実施形態と同様な作用効果を実現できる。また、第2の実施形態と第4の実施形態とを適切に組み合わせて用いることで、判定の精度を維持しつつ、常時、監視対象センサ端末の異常の有無を判定することが可能となる。
【0144】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段と、
前記測定データと同種のデータであり、異常が発生していない前記監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似する参照データを取得する参照データ取得手段と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段と、
を有するセンサ監視装置。
2. 1に記載のセンサ監視装置において、
前記判定手段は、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段と、
を有するセンサ監視装置。
3. 2に記載のセンサ監視装置において、
前記第3の判定手段は、前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、自動修復可能な異常があると判定するセンサ監視装置。
4. 3に記載のセンサ監視装置において、
前記第3の判定手段は、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係がないと判定した場合、自動修復不可能な異常があると判定し、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていないと判定した場合、正常であると判定するセンサ監視装置。
5. 2から4のいずれかに記載のセンサ監視装置において、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、前記測定データから前記参照データを得るための補正式を生成する補正式生成手段と、
をさらに有するセンサ監視装置。
6. 1から5のいずれかに記載のセンサ監視装置において、
前記参照データ取得手段は、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の前記監視対象センサ端末各々により測定された前記測定データから前記参照データを得るセンサ監視装置。
7. コンピュータが、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得工程と、
前記測定データと同種のデータであり、異常が発生していない前記監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似する参照データを取得する参照データ取得工程と、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定工程と、
を実行するセンサ監視方法。
7−2. 7に記載のセンサ監視方法において、
前記判定工程では、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程及び前記第2の判定工程の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定工程と、
を有するセンサ監視方法。
7−3. 7−2に記載のセンサ監視方法において、
前記第3の判定工程では、前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定工程で所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、自動修復可能な異常があると判定するセンサ監視方法。
7−4. 7−3に記載のセンサ監視方法において、
前記第3の判定工程では、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定工程で所定レベル以上の相関関係がないと判定した場合、自動修復不可能な異常があると判定し、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていないと判定した場合、正常であると判定するセンサ監視方法。
7−5. 7−2から7−4のいずれかに記載のセンサ監視方法において、
前記第1の判定工程で所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定工程で所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、前記測定データから前記参照データを得るための補正式を生成する補正式生成工程、
をさらに有するセンサ監視方法。
7−6. 7から7−5のいずれかに記載のセンサ監視方法において、
前記参照データ取得工程では、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の前記監視対象センサ端末各々により測定された前記測定データから前記参照データを得るセンサ監視方法。
8. コンピュータを、
監視対象センサ端末により測定された測定値が時系列に並んだ測定データを取得する測定データ取得手段、
前記測定データと同種のデータであり、異常が発生していない前記監視対象センサ端末により測定される測定データと一致する又は所定レベル以上類似する参照データを取得する参照データ取得手段、
前記測定データ及び前記参照データに基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する判定手段、
として機能させるプログラム。
8−2. 8に記載のプログラムにおいて、
前記判定手段を、
前記測定データと前記参照データとが所定レベル以上離れているか判定する第1の判定手段、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定した場合、前記測定データと前記参照データとの間に所定レベル以上の相関関係があるか否か判定する第2の判定手段、
前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の判定結果に基づき、前記監視対象センサ端末における異常の有無を判定する第3の判定手段、
として機能させるプログラム。
8−3. 8−2に記載のプログラムにおいて、
前記第3の判定手段は、前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、自動修復可能な異常があると判定するプログラム。
8−4. 8−3に記載のプログラムにおいて、
前記第3の判定手段は、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係がないと判定した場合、自動修復不可能な異常があると判定し、
前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていないと判定した場合、正常であると判定するプログラム。
8−5. 8−2から8−4のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記第1の判定手段が所定レベル以上離れていると判定し、かつ、前記第2の判定手段が所定レベル以上の相関関係があると判定した場合、前記測定データから前記参照データを得るための補正式を生成する補正式生成手段、
としてさらに機能させるプログラム。
8−6. 8から8−5のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記参照データ取得手段は、前記監視対象センサ端末から所定の距離以内に設置されている他の複数の前記監視対象センサ端末各々により測定された前記測定データから前記参照データを得るプログラム。
【0145】
この出願は、2015年7月8日に出願された日本出願特願2015−136724号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
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