特許第6465429号(P6465429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465429内容物放出操作ロック機構ならびに内容物放出操作ロック機構を備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465429
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】内容物放出操作ロック機構ならびに内容物放出操作ロック機構を備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/22 20060101AFI20190128BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20190128BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B65D83/22
   B65D83/20
   B05B9/04
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-36727(P2014-36727)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-160632(P2015-160632A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正人
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−199164(JP,U)
【文献】 特開2004−051171(JP,A)
【文献】 実開昭50−053705(JP,U)
【文献】 米国特許第03734353(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/22
B05B 9/04
B65D 83/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド操作により、内容物放出操作が阻止されるロックモードと、この阻止状態を解除して前記内容物放出操作が可能なロック解除モードとを選択できるようにした内容物放出操作ロック機構において、
前記スライド操作の対象となり、内容物の放出口およびこれに通じる下流通路部を有する放出口側可動部材と、
前記内容物放出操作に応じて開閉する弁作用部の出力側に配設された上流通路部を有する内容物通路部材と、
を備え、
前記下流通路部は、
前記上流通路部の周面にシール状態で案内保持され、
前記放出口側可動部材は、
前記スライド操作用の操作面を有するロック切換操作部と、
前記放出口および前記下流通路部を有するノズル部と、からなる一体物であり、
前記内容物通路部材に対して、内側へ入り込む方向にスライドすることにより前記ロックモードに設定され、かつ外側へ飛び出る方向にスライドすることにより前記ロック解除モードに設定され、
前記内容物通路部材は、
その天面部分が前記ロック切換操作部の下面部分の直下に位置するように配設され、
前記ロックモードでは前記ロック切換操作部によって覆われかつ前記ロック解除モードではこの覆われることなしに露出して前記内容物放出操作の対象となる天面操作部を有し、
前記ロック解除モードにおいて、
前記ロック切換操作部に対する下方への前記内容物放出操作にともなう前記天面部分と前記下面部分との当接作用により、前記内容物通路部材が当該ロック切換操作部と連動して内容物噴射状態の作動モードに移行する、
ことを特徴とする内容物放出操作ロック機構。
【請求項2】
前記内容物の容器本体に固定されて、前記放出口側可動部材および前記内容物通路部材を保護するカバーキャップを備え、
前記カバーキャップは、
少なくとも、前記スライド操作により移動する前記ロック切換操作部を案内して前記ロックモードの状態に保持するガイド部を有し、
前記放出口側可動部材は、
前記ガイド部に案内保持される被ガイド部を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の内容物放出操作ロック機構。
【請求項3】
前記ガイド部は、
前記ロック切換操作部を案内して前記ロックモードの状態に保持するスライド操作対応の第一部分と、
当該第一部分から連続形成されて、前記内容物放出操作により移動する当該ロック切換操作部の案内機能を持つ内容物放出操作対応の第二部分と、を有する、
ことを特徴とする請求項2記載の内容物放出操作ロック機構。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の内容物放出操作ロック機構を備え、かつ、容器本体に噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の内容物放出操作ロック機構を備え、かつ、容器本体に内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物放出口を備えた放出口側可動部材の、ステム出力側の内容物放出操作部材に対するスライド動作により、内容物放出操作阻止のロックモードと、内容物放出操作可能なロック解除モードとが選択できる内容物放出操作ロック機構に関する。エアゾール式製品やポンプ式製品を対象とする。
【0002】
特に、スライド動作のガイド部をカバーキャップに、その被ガイド部を放出口側可動部材にそれぞれ形成し、かつ、この可動部材が内容物放出操作部材のステム出力側通路部に常時、前後に移動可能なシール状態で保持される内容物放出操作ロック機構に関する。
【0003】
ロックモードではカバーキャップのガイド部に放出口側可動部材の被ガイド部が案内保持され、スライド操作後のロック解除モードではガイド部と被ガイド部とのロック保持状態が解消される。内容物放出操作部材の作動モード設定操作が可能となる。
【0004】
ここで、内容物放出口を備えた放出口側可動部材は、そのロックモード位置から内容物噴射のロック解除モード位置へシフトするとき、カバーキャップに収容されたそれまでのコンパクト状態から前方に飛び出るように移動する。この前方への飛び出しにより利用者はダイナミックなデザイン性を感得しえる。
【0005】
本明細書では、必要に応じて、ステムなどの弁部材が閉じて内容物が外部空間域に放出されない状態を静止モードといい、操作部の押下げ操作により弁部材が開いて、内容物が外部空間域に放出される内容物噴射状態を作動モードという。
【0006】
利用者がこの静止モードおよび作動モードを選択的に設定できるのは、勿論ロック解除モードのときである。内容物放出操作が阻止されるロックモードは必然的な静止モードともいえる。
【0007】
「開口部」の語を、片側からその裏側へと通じる形のいわば貫通部,孔部のみならず、「貫通していない凹状部」を含む意で用いる。
【0008】
外部空間域への内容物の放出口側を「前」、それとは反対の側を「後」とそれぞれ記し、また、水平面内における前後方向と略直交する方向を「左右」と記す。
例えば概略、図1図4の左側が「前」で右側が「後」となり、図4の上下方向が「左右方向」となる。
【背景技術】
【0009】
従来、エアゾール式製品において、放出操作部のスライド動作により、内容物放出操作阻止のロックモードと、内容物放出操作可のロック解除モードとを選択的に設定する内容物放出操作ロック機構は提案されている(特許文献1参照)。
【0010】
この内容物放出操作ロック機構の場合、概略、内容物の放出操作部がノズル部(ステム出力側通路部から連続してスライドしない放出部)にガイドされながら前後方向へ移動することにより、ロックモードとロック解除モードとが選択的に設定される。
【0011】
ロックモードのときは、放出操作部に形成されたロック片がカバーキャップの上面に略当接した状態に設定される。
【0012】
そのため、利用者がロックモードの放出操作部を押し下げようとしても、その一部のロック片がカバーキャップ上面にあたった状態に保持されたまま、当該操作部は下動できない。すなわち当該操作部の下方向への内容物放出操作が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−140135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように従来の、放出操作部のスライド動作に基づいて、内容物放出操作のロックモードとロック解除モードとを選択する内容物放出操作機構の場合、内容物放出口を備えたノズル部がスライドしないことを前提としている。
【0015】
本発明は、このようなノズル部のスライド動作なしといった固定概念を捨象して、内容物放出口を備えたノズル部が、そのいわば直上流のステム出力側通路部に対してロック切換操作部とともにスライドするようにしたものである。
【0016】
すなわち、ロックモードではカバーキャップの内部にいわばコンパクトに収まっていたノズル部が、ロックモード解除のスライド操作により前方の外部空間域に飛び出す形にしている。
【0017】
このスライド操作時のノズル部は、直上流に配設されてスライドしないステム出力側通路部とのシール性を維持しながら前方へ移動する。
【0018】
本発明は、このような内容物放出口を備えたノズル部ノズル部を、ロックモードにおけるコンパクト収容、およびロック解除モードにおける前方への飛び出し位置への設定といったきわめて特徴的な「メリハリ感」ある、可動部材の形にしている。
【0019】
本発明は、スライド操作により、ロックモードでは後退し、ロック解除モードでは前方へ飛び出すといった位置にそれぞれ移動するノズル部を備えることにより、
(11)ロック解除モードのとき放出口が前方に設定されて、カバーキャップ,容器本体や利用者から比較的離れた外部空間域への内容物噴射動作の安定化,十全化を図り、
(12)さらには、放出口側可動部材のロックモードおよびロック解除モードそれぞれの位置における機構全体のデザイン性向上化(ロックモードでのシンプル化,ロック解除モードでの斬新化)を図る、
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)スライド操作により、内容物放出操作が阻止されるロックモードと、この阻止状態を解除して前記内容物放出操作が可能なロック解除モードとを選択できるようにした内容物放出操作ロック機構において、
前記スライド操作の対象となり、内容物の放出口(例えば後述の放出口3d)およびこれに通じる下流通路部(例えば後述のノズル部3aの内部通路域)を有する放出口側可動部材(例えば後述の放出口側可動部材3)と、
前記内容物放出操作に応じて開閉する弁作用部(例えば後述のステム4および周知のステムガスケット)の出力側に配設された上流通路部(例えば後述の縦通路部1c,横通路部1d)を有する内容物通路部材(例えば後述の内容物放出操作部材1)と、
を備え、
前記下流通路部は、
前記上流通路部の周面(例えば後述の横通路部1dの内周面)にシール状態で案内保持され、
前記放出口側可動部材は、
前記スライド操作用の操作面(例えば後述のスライド操作面3h)を有するロック切換操作部(例えば後述のロック切換操作部3e)と、
前記放出口および前記下流通路部を有するノズル部(例えば後述のノズル部3a)と、からなる一体物であり、
前記内容物通路部材に対して、内側へ入り込む方向にスライドすることにより前記ロックモードに設定され、かつ外側へ飛び出る方向にスライドすることにより前記ロック解除モードに設定され、
前記内容物通路部材は、
その天面部分(例えば後述の放出操作部1aの図示左側に続く上面部分)が前記ロック切換操作部の下面部分(例えば後述のスライド操作面3hの裏側面部分)の直下に位置するように配設され、
前記ロックモードでは前記ロック切換操作部によって覆われかつ前記ロック解除モードではこの覆われることなしに露出して前記内容物放出操作の対象となる天面操作部(例えば後述の放出操作部1a)を有し、
前記ロック解除モードにおいて、
前記ロック切換操作部に対する下方への前記内容物放出操作にともなう前記天面部分と前記下面部分との当接作用により、前記内容物通路部材が当該ロック切換操作部と連動して内容物噴射状態の作動モードに移行する、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記内容物の容器本体(例えば後述の容器本体5)に固定されて、前記放出口側可動部材および前記内容物通路部材を保護するカバーキャップ(例えば後述のカバーキャップ2)を備え、
前記カバーキャップは、
少なくとも、前記スライド操作により移動する前記ロック切換操作部を案内して前記ロックモードの状態に保持するガイド部(例えば後述の直線状開口部2d)を有し、
前記放出口側可動部材は、
前記ガイド部に案内保持される被ガイド部(例えば後述のロック切換操作部3eの凸状部3g)を有している、
構成態様のものを用いる。
(3)上記(2)において、
前記ガイド部は、
前記ロック切換操作部を案内して前記ロックモードの状態に保持するスライド操作対応の第一部分(例えば後述の直線状開口部2d)と、
当該第一部分から連続形成されて、前記内容物放出操作により移動する当該ロック切換操作部の案内機能を持つ内容物放出操作対応の第二部分(例えば後述の斜め逆J字状開口部2e)と、を有する、
構成態様のものを用いる。
【0021】
このような構成からなる内容物放出操作ロック機構、ならびにこの内容物放出操作ロック機構からなるエアゾール式製品およびポンプ式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上の構成をとることにより、
(21)カバーキャップ,容器本体や利用者から比較的離れた外部空間域への内容物噴射動作の安定化,十全化を図り、
(22)内容物放出操作ロック機構全体のデザイン性向上化(ロックモードでのシンプル化,ロック解除モードでの斬新化)を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ノズル部を備えた放出口側可動部材がスライド操作により図示右側の後方位置に設定されたロックモード(内容物放出操作阻止状態)を示す説明図である。
図2図1のロックモードの放出口側可動部材が図示左側の前方へスライド操作されたロック解除・静止モード(内容物放出操作可能状態)を示す説明図である。
図3図2のロック解除・静止モードの放出操作部が押下げ操作された作動モード(内容物噴射状態)を示す説明図である。
図4図1のロックモードに対応した内容物放出操作ロック機構の平面形体を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1乃至図4を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
上述したように、本発明の内容物放出操作ロック機構はエアゾール式製品およびポンプ式製品の双方に適用できる。ただ以下の実施形態では、単なる説明の便宜上、エアゾール式製品の場合を前提とする。
【0026】
なお、以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば放出操作部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば内容物放出操作部材1)の一部であることを示している。
【0027】
図1〜4の内容物放出操作ロック機構において、
1は押下げ回動タイプの内容物放出操作部材(内容物通路部材),
1aは当該内容物放出操作部材の天面後側部分であって、図1のロックモードのときは後述のロック切換操作部3eで覆われ(図4参照)、当該ロック切換操作部を前方へスライドさせた図2図3のロック解除モードのときには内容物放出操作が可能な露出状態に移行する放出操作部(天面操作部),
1bは後述のステム4に取り付けられる下端側の開口部,
1cは開口部1bからその下流側に連続形成されたステム出力側の縦通路部(ステム4の弁作用部出力側に配設された上流通路部),
1dは縦通路部1cからその下流側に連続形成されたステム出力側の横通路部(ステム4の弁作用部出力側に配設された上流通路部),
をそれぞれ示している。
【0028】
また、
2は後述の容器本体5のアンダーカット5aに常時嵌合し、かつ、回動可能な内容物放出操作部材1と一体化している筒状のカバーキャップ,
2aは当該カバーキャップの筒状起立部,
2bは筒状起立部2aの下端側内周面に形成されてアンダーカット5aと係合する周方向凸状部,
2cは筒状起立部2aの内部左右それぞれの前後方向に延びる対向状態で設定されて、その間を後述の放出口側可動部材3が案内されながらスライドする、一対の上下方向の平面基部,
2dは平面基部2cそれぞれの上側部分に形成された略水平方向の直線状開口部(ガイド部の第一部分),
2eは直線状開口部2dの前端部分から後方への図示右下がり傾斜方向に形成された斜め逆J字状開口部(ガイド部の第二部分),
2fは筒状起立部2aの前上端部分に内容物放出操作部材1と連結する薄肉態様により一体成形されて、当該操作部材の押下げ操作の際にその回動中心の作用を呈する薄肉片部,
をそれぞれ示している。
【0029】
また、
3はカバーキャップ2に案内されながら、図1のロックモードの位置と図2のロック解除モードの位置との間でスライドし、かつ、ロック解除モードにおける内容物放出操作により図示時計方向に回動変位する放出口側可動部材,
3aは当該放出口側可動部材の下側部分であって、内容物放出操作部材1の横通路部1dの内周面と密接しながら、すなわちシール作用を呈しながら前後方向に移動するノズル部(下流通路部),
3bはノズル部3aの後端側に形成されて横通路部1dとの間のシール作用を呈するスカート状部分,
3cはノズル部3aの前端部分に取り付けられたノズルピース,
3dはノズルピース3cに形成された内容物流出部としての放出口,
3eは当該放出口側可動部材の上側部分であって、ノズル部3aと一体成形され、カバーキャップ2の直線状開口部2dおよび斜め逆J字状開口部2eに案内されながら、図1図2および図3それぞれの位置にシフトするロック切換操作部,
3fはロック切換操作部3eの左右両端側に内容物放出操作部材1をいわば中に入れ込むように形成された一対の垂下板状部,
3gは垂下板状部3fの各外側面が左右方向に突出する態様で形成され、直線状開口部2dおよび斜め逆J字状開口部2eに案内・保持される一対の凸状部(被ガイド部),
3hはロック切換操作部3eの上面部分に谷状緩斜面の態様で形成された前後方向のスライド操作面,
をそれぞれ示している。
【0030】
また、
4はコイルスプリング(図示省略)の弾性力により上方向に付勢されて周知のステムガスケット(図示省略)と自孔部との間で周知の弁作用を呈し、かつ、内容物放出操作部材1の縦通路部1cと連通する内部通路域を備えた周知のステム,
5は各種の内容物および噴射用ガスを収容したエアゾール式製品の周知の容器本体,
5aは当該容器本体の上側部分に設定される周知のアンダーカット,
6は容器本体5の上端開口部に固定された周知のマウンティングカップ,
7はマウンティングカップ6に保持されてステム4の下側部分を収容し、かつ、噴射対象の内容物が内部空間域を通過する周知のハウジング,
をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、内容物放出操作部材1,カバーキャップ2および放出口側可動部材3は例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0032】
ステム4,容器本体5およびハウジング7は例えばプラスチック製,金属製のものである。また、マウンティングカップ6は金属製のものである。
【0033】
内容物放出操作部材1とカバーキャップ2との全体、および放出口側可動部材3の全体はそれぞれ一体成形品である。
【0034】
なお、カバーキャップ2の平面基部2cやロック切換操作部3eの凸状部3gなどはそれぞれ弾性変形可能な部分である。
【0035】
図示の内容物放出操作ロック機構の基本的特徴は、
図1のロックモードのとき、
(31)放出口側可動部材3は、カバーキャップ2に対し最も後退して、その凸状部3gが当該カバーキャップ2の直線状開口部2dの最後端部分と係合し、
(32)この最後端部分との係合作用により、放出操作部1aがロック切換操作部3eで覆われてその押下げ操作を不能とし、かつ、放出口側可動部材3が内容物放出操作部材1およびカバーキャップ2の内部にコンパクトに収容され、
(33)放出口側可動部材3のノズル部3aのスカート状部分3bが内容物放出操作部材1の横通路部1dの内周面に密接する、
ことである。
【0036】
また、利用者が、図1の放出口側可動部材3をその最前位置までスライドさせて、図2のロック解除・静止モードに設定したとき、
(41)放出口側可動部材3の凸状部3gがカバーキャップ2の斜め逆J字状開口部2eの上前端部分に当接し、
(42)内容物放出操作部材1の放出操作部1aが操作対象部分として露出し、
(43)ノズル部3aのスカート状部分3bが内容物放出操作部材1の横通路部1dの内周面に密接したままに保持される、
ことである。
【0037】
また、利用者が、図2の露出状態の放出操作部1aを押し下げて図3の作動モードに設定したとき、
(51)内容物放出操作部材1がカバーキャップ2の薄肉片部2fを中心にして図示時計方向に回動し、
(52)この回動にともないステム4が下方へ移動して、当該ステムと周知のステムガスケットとの間の弁作用部がそれまでの閉状態から開状態へと変化し、
(53)かつ、この内容物放出操作部材1のシフトにいわば倣う形で、放出口側可動部材3の全体が、その凸状部3gと、カバーキャップ2の斜め逆J字状開口部2eの図示右下がり傾斜面との案内作用により、横通路部1dの内周面に密接したまま内容物放出操作部材1と同様に図示時計方向へと回動する、
ことである。
【0038】
図1のロックモードのとき、内容物放出操作部材1の放出操作部1aがロック切換操作部3eで覆われているので当該放出操作部への押下げ操作はできない。
【0039】
また、このとき利用者が放出口側可動部材3を押し下げようとしても、その一対の凸状部3gがそれぞれカバーキャップ2(平面基部2c)の直線状開口部2dの部分に保持されているので、当該可動部材の押下げ操作は阻止される。
【0040】
そのため、ロックモードにおける放出口側可動部材3(ロック切換操作部3e)のいわば直下部分に配設された形の内容物放出操作部材1が押し下げられることはない。
【0041】
図1のロックモードおよび図2のロック解除・静止モードでは、ステム4が周知のコイルスプリング(図示省略)の弾性力により上方向に付勢された位置にある。このとき、ステム4とステムガスケット(図示省略)との弁作用部は勿論、閉状態である。
【0042】
図3の作動モードでは、ステム4が上方向への弾性付勢力に抗する形で下動し、当該ステムとステムガスケットとの弁作用部は開状態に移行している。
【0043】
そのため、容器本体5の内容物は噴射剤の作用により、概略「ハウジング7−弁作用部−ステム4の内部通路域−内容物放出操作部材1の縦通路部1c−横通路部1d−ノズル部3a−ノズルピース3c−放出口3d」を経て、外部空間域に噴射される。
【0044】
利用者が、放出操作部1aの押下げ操作をやめると、ステム4ならびにこれと一体化している内容物放出操作部材1および放出口側可動部材3がそれぞれ上述の弾性付勢力により上方へと移動し、弁作用部が閉じた図2のロック解除・静止モードにシフトする。
【0045】
このシフト後の放出口側可動部材3を内容物放出操作部材1およびカバーキャップ2に対して後方へとスライドさせることにより、内容物放出操作ロック機構は図1の静止モードに復帰する。
【0046】
図3の作動モードにおいて放出口側可動部材3が内容物放出操作部材1に連動するのは、ノズル部3aのスカート状部分3bが内容物放出操作部材1の横通路部1dの内周面に係合保持されて、双方の部材がいわば一体化しているからである。
【0047】
すなわち、薄肉片部2fを中心とした内容物放出操作部材1の図示時計方向への回動に応じて、放出口側可動部材3は、その一対の凸状部3gがそれぞれカバーキャップ2の斜め逆J字状開口部2eの図示右下がりの長い傾斜面部分に沿いながら移動する。
【0048】
なお、内容物放出操作の際、利用者は、内容物放出操作部材1の放出操作部1aを押下げるのではなく、放出口側可動部材3のスライド操作面3hなどの上面部分を押し下げてもよい。
【0049】
それは、放出口側可動部材3を押し下げると、その直下に配設されている内容物放出操作部材1が当該可動部材の下面部分に当接して押し下げられるからである。
【0050】
放出口側可動部材3の押下げ操作のとき、そのノズル部3aを含む全体が必要に応じ、内容物放出操作部材1の横通路部1dに対していくらか移動することにより、ロック切換操作部3eの下面部分が内容物放出操作部材1の上面前側部分に確実に当接する。
【0051】
放出口側可動部材3を内容物放出操作部材1に組み込むには、
当該可動部材を、当該操作部材の前方から、
ノズル部3aが横通路部1dに合致し、かつ、一対の凸状部3gがそれぞれカバーキャップ2の直線状開口部2dに合致する方向へ、当該凸状部の弾性変形をともないながら一対の平面基部2cの間に入れていけばよい。
【0052】
本発明の内容物放出操作ロック機構が図示の実施形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば、
(61)内容物放出操作ロック機構の構成要素間の凹状部(開口部を含む)とそれに対応した凸状部との形状関係を凹凸逆にする、
(62)放出操作部1aを省略して、放出口側可動部材3のロック切換操作部3eに対する押下げ操作により作動モードの内容物噴射状態を設定する、
(63)直線状開口部2dの下面(下辺)側を図示左下がりの斜面状にして、図示右側の略最奥部分でのみ、ロック切換操作部3eの一対の凸状部3gをロックモード位置に確実に保持する、
(64)斜め逆J字状開口部2eを、そこでのロック切換操作部3eの一対の凸状部3gに対する案内機能を捨象し、内容物放出操作にともなう当該凸状部の移動を許容するだけの開口部として作用させる、
(65)内容物放出操作部材として、カバーキャップ2に連結されなくて回動しない上下動タイプの操作部材を用いる、このとき斜め逆J字状開口部2eに代えて上下方向の開口部を形成する、
(66)ロック切換操作部3eのスライド動作を図示の前後方向以外の方向にておこなう、
ようにしてもよい。
【0053】
本発明が適用される製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0054】
容器本体に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0055】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0056】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0057】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0058】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0059】
高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0060】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤、リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0061】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0062】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0063】
1:押下げ回動タイプの内容物放出操作部材
1a:放出操作部
1b:下端側の開口部
1c:ステム出力側の縦通路部
1d:ステム出力側の横通路部
【0064】
2:カバーキャップ
2a:筒状起立部
2b:周方向凸状部
2c:上下方向の平面基部
2d:略水平方向の直線状開口部
2e:斜め逆J字状開口部
2f:薄肉片部
【0065】
3:放出口側可動部材(ノズル部3a+ロック切換操作部3e)
3a:ノズル部
3b:スカート状部分
3c:ノズルピース
3d:放出口
3e:ロック切換操作部
3f:垂下板状部
3g:凸状部
3h:前後方向のスライド操作面
【0066】
4:ステム
5:容器本体
5a:アンダーカット
6:マウンティングカップ
7:ハウジング
図1
図2
図3
図4