(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465455
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】カントリーエレベータにおける集塵装置
(51)【国際特許分類】
B07B 7/08 20060101AFI20190128BHJP
B04C 3/06 20060101ALI20190128BHJP
A01F 25/00 20060101ALI20190128BHJP
B02B 1/02 20060101ALI20190128BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
B07B7/08
B04C3/06
A01F25/00 F
B02B1/02
B01D45/12
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-64925(P2015-64925)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182573(P2016-182573A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】中本 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】清家 暢隆
【審査官】
田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−301053(JP,A)
【文献】
特開平11−075528(JP,A)
【文献】
特開平08−228587(JP,A)
【文献】
実開昭63−006058(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 4/00−11/08
B04C 1/00−11/00
B01D 45/00−45/18
B02B 1/00− 7/02
A01F 25/00−25/22
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に籾殻投入口を設けるとともに底部に籾殻排出口を設けてなる鋼板製の籾殻タンクの周囲を筒状の外壁で囲繞してそれらの間に形成される空間を塵埃沈降室となし、前記筒状外壁の筒身部に、集塵ファンを介して一端を穀物乾燥機又は粗選機に接続された集塵ダクトの他端部を連結し、前記塵埃沈降室の下部を集塵室となす一方、前記筒状外壁の上端に天板を設けるとともに該天板の中央部には前記塵埃沈降室と連通する排気口を開口することを特徴とするカントリーエレベータにおける集塵装置。
【請求項2】
前記集塵室に塵埃取出用開口部を設けてなる請求項1のカントリーエレベータにおける集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大規模穀物乾燥調整貯蔵施設(カントリーエレベータ)に係り、特に、カントリーエレベータにおける集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カントリーエレベータは周知である(例えば、特許文献1及び2を参照)。
この種のカントリーエレベータにについて、
図5を参照して説明する。生産者から穀物を受け入れるホッパ3を設けるとともに夾(きょう)雑物を除去する荷受・粗選設備2、生籾(もみ)等を乾燥する複数の穀物乾燥機10、乾燥後の籾米等を精選する精選設備5、精選後の籾米等を脱ぷ処理する籾摺(すり)機7を備えた調製設備6、及び玄米タンク9等を備えた出荷設備8等を備える。そして、前記各設備類を収納する機械室建屋1が設けられるとともに、この機械室建屋1に近接して籾米等を貯留する複数のサイロからなるサイロ列11が設置される。そして、前記機械室建屋1の屋外には、前記籾摺機7に近接して籾殻タンク12が立設されるとともに、前記複数の穀物乾燥機10に近接して集塵装置13が設けられる。
【0003】
前記籾殻タンク12は、前記籾摺機7で脱ぷ処理を行う際に大量に発生する籾殻を貯蔵する鋼板製のタンクである。この種の籾殻貯蔵設備としては、特許文献3及び4に記載される籾殻収納用の建屋である籾殻庫が知られているが、近年の建設費高騰の傾向でコスト高の問題があり、近年は鋼板製タンクが採用されつつある。
【0004】
前記集塵装置13は、前記穀物乾燥機10や前記荷受・粗選設備2から発生する塵埃(じんあい)等を集塵処理する設備である。この種の集塵装置は湿式又は乾式の処理方式があるが、いずれも建築費及び設備費がコスト高となっている。さらに、定期的なメンテナンスが必要であり、湿式の場合、汚水処理に費用を要する一方、乾式の場合は汚水処理は不要であるが、湿式に比して初期投資が高額となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−301052
【特許文献2】特開2004−321064
【特許文献3】特開平6−319931
【特許文献4】特開平10−76169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、建設費を抑えることができるカントリーエレベータにおける集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
上部に上部に籾殻投入口を設けるとともに底部に籾殻排出口を設けてなる鋼板製の籾殻タンクの周囲を筒状の外壁で囲繞(にょう)してそれらの間に形成される空間を塵埃沈降室となし、前記筒状外壁の筒身部に、集塵ファンを介して一端を
穀物乾燥機又は粗選機に接続された集塵ダクトの他端部を連結し、前記塵埃沈降室の下部を集塵室となす一方、前記筒状外壁の上端に天板を設けるとともに該天板の中央部には前記塵埃沈降室と連通する排気口を開口することを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記集塵室に塵埃取出用開口部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカントリーエレベータにおける集塵装置は、鋼板製の籾殻タンクを囲繞して集塵装置となしたので、集塵装置と籾殻タンクとを個々に設ける場合に比べて設置面積が減少し、工期が短縮されるとともに建設コストが低減される。また、集塵装置の排気口が比較的高い(約20メートル超)ので、極微小な塵埃が排出されたとしても本施設周囲に飛散することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態における集塵装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるカントリーエレベータにおける集塵装置の斜視図であり、
図2は、
図1の集塵装置の一部破断した正面図であり、
図3は、
図2におけるA−A線断面図であり、
図4は、同じくB−B線断面図を示す。
本発明の実施の形態における籾殻タンク14は、高さ16メートル、直径7メートルの鋼板製の筒状体であり、上壁15には、籾殻ダクト(図示せず。)に接続される籾殻投入口16を設ける一方、該籾殻タンク14の下端から約5メートル上方に底壁17を設けるとともに、該底壁17には複数個の排出口(図示せず)を設け、前記底壁17の下方空間を籾殻出荷室18となす。
【0012】
前記籾殻タンク14の全体を囲繞するべく、高さが23メートルで直径11メートルの鋼板製筒状体からなる外壁体19を設ける。前記外壁体19の底部19b(スカート部)には、前記籾殻出荷室18に通じる一対の出入口20a,20bを対称的に設け、各出入口20a,20bにはシャッターを設けるとよい。
【0013】
前記籾殻タンク14と外壁体19との間に形成される空間は塵埃沈降室21となす。すなわち、籾殻タンク14と外壁体19との各筒身部間に形成される塵埃沈降室21は、幅が2メートルの空間を有する立設したスリーブ形状に形成される。また、籾殻タンク14の上壁15と外壁19の天板19aとの間も2メートルの空間が形成されるとともに、前記籾殻タンク14の上方の天板19a中央部には円形の排気口22が開口される。
【0014】
前記外壁体19の筒身部には、一端側を穀物乾燥機や粗選機及び集塵ファンに接続された複数の集塵ダクト23の他端部を集合したダクトヘッダ24が接線状に連結され(
図4参照)、集塵ダクト23で搬送される塵埃空気が塵埃沈降室21内へ吐出するよう形成される。このダクトヘッダ24は、必要に応じて等間隔に複数設けるとよい。
【0015】
前記塵埃沈降室21の底部、すなわち、前記籾殻タンク14の底壁17位置よりも下方を、籾殻排出室18を挟んで一対の集塵室25となし(
図3参照)、前記塵埃沈降室21内を沈降する塵埃等を該集塵室25内に貯留する。前記各集塵室25には、塵埃取出口26及び該塵埃取出口26を開閉する扉27をそれぞれ設ける。
【0016】
前記外壁体19の天板19aには排気口22を開口するので、前記籾殻タンク14の上壁15に溜まる雨水を外壁体19外に排出するための雨樋28を設けるとよい(
図2参照)。
【0017】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、複数の穀物乾燥機や粗選機等から排出される塵埃を含んだ排風は、集塵ファン(図示せず)を介して集塵ダクト23によって搬送され、ダクトヘッダ24から塵埃沈降室21内へ吐出される。塵埃沈降室21内の含塵空気は遠心力によって塵埃沈降室21に沿って旋回しながら遠心分離され、塵埃は重力沈降する。含塵空気は更に上昇して天板19aに衝突し、塵埃は慣性力によって沈降する一方、清浄空気は排気口22から機外へ排気される。
【0018】
塵埃沈降室21内を上昇する含塵空気の風速は毎秒0.5メートル程度とし、含塵空気が塵埃沈降室21内を約10秒間滞留するものとする。
【0019】
塵埃沈降室21内を沈降する塵埃は、一対の集塵室25内へ堆積され、籾殻出荷室18において、塵埃取出口26から適宜、排出される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、カントリーエレベータにおける籾殻タンクの周囲に外壁体を囲繞して塵埃沈降室を形成することにより、集塵装置を個別に設ける必要がなく、設置面積を少なくするとともに建設費やランニングコストを大幅に低減できて極めて有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 機械室建屋
2 荷受・粗選設備
3 荷受ホッパ
4 粗選装置
5 精選設備
6 調製設備
7 籾摺機
8 出荷設備
9 玄米タンク
10 穀物乾燥機
11 サイロ列
12 籾殻タンク
13 集塵装置
14 籾殻タンク
15 上壁
16 籾殻投入口
17 底壁
18 籾殻出荷室
19 外壁体
19a 天板
19b スカート部
20a,20b 出入口
21 塵埃沈降室
22 排気口
23 ダクト
24 ダクトヘッダ
25 集塵室
26 塵埃取出口
27 扉
28 雨樋