(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465489
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】クリーニングヘッドおよび清掃方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-208587(P2015-208587)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-84858(P2017-84858A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】511254284
【氏名又は名称】ヒューグル開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】白根 智博
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−24607(JP,A)
【文献】
特開2005−270841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長孔のエア吸引口が長手方向に形成されたヘッド本体と、前記ヘッド本体のエア吸引口およびその周囲を清掃する清掃装置と、を搭載するクリーニングヘッドであって、
前記清掃装置は、
前記ヘッド本体に取り付けられる誘導支持部と、
前記誘導支持部により誘導支持され、前記エア吸引口の長手方向と相対的かつ略平行に移動する移動部と、
前記移動部とともに移動し、前記エア吸引口およびその周囲の異物を接触除去する異物除去部とを備えることを特徴とするクリーニングヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記異物除去部は、前記エア吸引口が形成される底面と略平行な棒状または短冊状の長尺体であり、前記エア吸引口およびその周囲に対して前記長尺体が接触して清掃することを特徴とするクリーニングヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記異物除去部は、前記エア吸引口が形成される底面と略平行な回転軸に軸支されるローラであり、前記エア吸引口およびその周囲に対して前記ローラが回転しつつ接触して清掃することを特徴とするクリーニングヘッド。
【請求項4】
請求項3記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記ローラは、帯電防止用の静電ローラであることを特徴とするクリーニングヘッド。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記エア吸引口からの吸引を停止した状態で清掃を行うことを特徴とする清掃方法。
【請求項6】
請求項5に記載の清掃方法において、
前記クリーニングヘッドのエア噴出口から洗浄エアを噴出する状態で清掃を行うことを特徴とする清掃方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記エア吸引口およびその周囲を監視する異物センサを配置し、前記異物センサからの検出信号に基づいて、異物があると判断したときに清掃を行うことを特徴とする清掃方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記クリーニングヘッドの直下でシャッタを有するように搬送ステージを配置し、清掃時に前記シャッタを開いた状態とし、除去した異物を、前記シャッタを介して前記搬送ステージ下に落とすことを特徴とする清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア吸引口およびその周囲を清掃する機能を有するクリーニングヘッド、および、その清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ、液晶表示器のガラス板、フィルム等の各種基板(以下、単に基板という)の製造工程において、基板の表面から塵埃を除去する除塵を行う必要がある。例えば、基板の水平搬送経路上方にクリーニングヘッドを配置し、搬送される基板に対してクリーニングヘッドが除塵を行う。
【0003】
クリーニングヘッドの底面にはエア噴射口およびエア吸引口が形成されている。エア噴射口およびエア吸引口は、基板の搬送方向に対して略垂直な方向に長いスリットである。クリーニングヘッドのエア噴射口は、搬送される基板に洗浄エアを噴射して塵埃を吹き飛ばし、また、エア吸引口は、基板から飛散した塵埃を周囲のエアとともに吸引し、基板全面の除塵を行う。
【0004】
このクリーニングヘッドのエア吸引口に、ガラスやフィルムの欠片が挟まったり、エア吸引口の周囲に静電気により欠片が貼り付いたりすることがある。この異物は、搬送される基板に対して傷を与えるおそれがある。また、特にエア吸引口に異物が挟まっている場合、その箇所では吸引力が弱まるためその箇所の除塵ができない。エア吸引口およびその周囲に固着する異物は、基板品質を低下させ、基板製造の歩留まりを悪化させる。
【0005】
近年では基板の大型化および薄型化が進んでおり、クリーニングヘッドに固着した目視確認が難しい比較的小さな異物でさえも基板品質に大きな影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
基板品質の低下を防ぐために異物を清掃除去する必要があるが、このような異物がいつ固着するかは特定できない。そこで、従来の清掃作業では、基板不良の発生時に異物が付着したと判断し、作業員がエア吸引口およびその周囲に固着する異物を拭きとることにより清掃除去していた。
【0007】
しかしながら、搬送ステージからクリーニングヘッドの底面までのギャップは数ミリ程度しかなく、エア吸引口およびその周囲は狭隘な箇所にあり、拭き取りによる異物の清掃除去が容易ではない。この清掃作業は、作業性が低い上に新たな発塵の要因になるなどの問題がある。
【0008】
そして、この清掃作業が困難なことに起因して製造設備の停止時間が長くなると、製造時間が失われ、また、人的コストも増大する。このように従来技術ではクリーニングヘッドへの異物の固着とその清掃除去に起因して、製造コストが増大するという問題がある。
【0009】
そこで、クリーニングヘッドのエア吸引口およびその周囲の異物を、機械的に簡単かつ迅速に清掃除去したいという課題が知見された。このようなクリーングヘッドのエア吸引口の清掃を行う装置の先行技術は知見されていなかった。
【0010】
クリーングヘッドとは異なる他の技術分野において、異物の清掃を機械的に行う装置の先行技術が、例えば、特許文献1(特許第4773209号公報)に開示されている。特許文献1の部品圧着装置では、その
図6A,
図6B,
図3A,
図3B等に、ブラシ状の清掃部品21をステージ面17の上面に接触させながら水平方向に移動させて異物を除去する構造が記載されている。
【0011】
また、異物の清掃を機械的に行う装置の他の先行技術が、例えば、特許文献2(特許第4031625号公報)に開示されている。特許文献2の電子部品実装装置では、その
図3,
図4等に、バックアップ面の上面の異物をブラシ10により除去する構造が記載されている。
【0012】
また、異物の清掃を機械的に行う装置の他の先行技術が、例えば、特許文献3(特許第3757215号公報)に開示されている。特許文献3の除塵装置では、その
図5等に、第1のスクレーパ30の歯31に挟まった塵を、第2のスクレーパ40の掻取部41によって掻き取ることが記載されている。
【0013】
また、異物の清掃を機械的に行う装置の他の先行技術が、例えば、特許文献4(特開2014−46502号公報)に開示されている。特許文献4の液体噴射装置では、その
図5,
図6等に、特に液体噴射ヘッド10の液体噴射面12に清掃部材40を接触させながら水平移動させて異物を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献2】特許第4031625号公報(
図3,
図4)
【特許文献4】特開2014−46502号公報(
図5,
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術のクリーニングヘッドでは、異物が付着するという事象やそれに伴う問題は滅多に起こらないため、これら問題については考慮されていなかった。したがって、クリーニングヘッドに付着した異物を機械的に清掃除去する点についても着目されていなかった。
【0016】
特許文献1〜4に記載の装置も、接触により異物を清掃除去するものではあるがクリーニングヘッドのエア吸引口およびその周囲の異物を除去する装置については開示されていなかった。
【0017】
本発明は、上記のように新たに着目された課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ヘッド本体のエア吸引口およびその周囲の異物を簡単かつ迅速に除去する清掃機能を有し、基板品質の向上とともに製造コスト低減を実現するクリーニングヘッド、および、清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明では、
長孔のエア吸引口が長手方向に形成されたヘッド本体と、前記ヘッド本体のエア吸引口およびその周囲を清掃する清掃装置と、を搭載するクリーニングヘッドであって、
前記清掃装置は、
前記ヘッド本体に取り付けられる誘導支持部と、
前記誘導支持部により誘導支持され、前記エア吸引口の長手方向と相対的かつ略平行に移動する移動部と、
前記移動部とともに移動し、前記エア吸引口およびその周囲の異物を接触除去する異物除去部とを備えることを特徴とするクリーニングヘッドとした。
【0019】
また、請求項2に記載した発明では、
請求項1記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記異物除去部は、前記エア吸引口が形成される底面と略平行な棒状または短冊状の長尺体であり、前記エア吸引口およびその周囲に対して前記長尺体が接触して清掃することを特徴とするクリーニングヘッドとした。
【0020】
また、請求項3に記載した発明では、
請求項1記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記異物除去部は、前記エア吸引口が形成される底面と略平行な回転軸に軸支されるローラであり、前記エア吸引口およびその周囲に対して前記ローラが回転しつつ接触して清掃することを特徴とするクリーニングヘッドとした。
【0021】
また、請求項4に記載した発明では、
請求項3記載のクリーニングヘッドにおいて、
前記ローラは、帯電防止用の静電ローラであることを特徴とするクリーニングヘッドとした。
【0022】
また、請求項5に記載した発明では、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記エア吸引口からの吸引を停止した状態で清掃を行うことを特徴とする清掃方法とした。
【0023】
また、請求項6に記載した発明では、
請求項5に記載の清掃方法において、
前記クリーニングヘッドのエア噴出口から洗浄エアを噴出する状態で清掃を行うことを特徴とする清掃方法とした。
【0024】
また、請求項7に記載した発明では、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記エア吸引口およびその周囲を監視する異物センサを配置し、前記異物センサからの検出信号に基づいて、異物があると判断したときに清掃を行うことを特徴とする清掃方法とした。
【0025】
また、請求項8に記載した発明では、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の前記清掃装置を用いて清掃する方法であって、
前記クリーニングヘッドの直下でシャッタを有するように搬送ステージを配置し、清掃時に前記シャッタを開いた状態とし、除去した異物を、前記シャッタを介して前記搬送ステージ下に落とすことを特徴とする清掃方法とした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ヘッド本体のエア吸引口およびその周囲の異物を簡単かつ迅速に除去する清掃機能を有し、基板品質の向上とともに製造コスト低減を実現するクリーニングヘッド、および、清掃方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明を実施するための第1の形態のクリーニングヘッドの説明図であり、
図1(a)は側面図、
図1(b)は正面図である。
【
図2】本発明を実施するための第2の形態のクリーニングヘッドの説明図であり、
図2(a)は側面図、
図2(b)は正面図である。
【
図3】本発明を実施するための第1の形態のクリーニングヘッドの使用例の説明図であり、
図3(a)は清掃前の状態のクリーニングヘッドの側面図、
図3(b)は清掃前の状態のクリーニングヘッドの正面図、
図3(c)は清掃途中の状態のクリーニングヘッドの側面図、
図3(d)は清掃途中の状態のクリーニングヘッドの正面図である。
【
図4】本発明を実施するための第2の形態のクリーニングヘッドの使用例の説明図である。
【
図5】本発明を実施するための第1の形態のクリーニングヘッドの他の使用例の説明図であり、
図5(a)は側面図、
図5(b)は正面図である。
【
図6】本発明を実施するための第2の形態のクリーニングヘッドの他の使用例の説明図であり、
図6(a)は側面図、
図6(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための第1の形態のクリーニングヘッド100について図を参照しつつ説明する。このクリーニングヘッド100は、
図1に示すように、ヘッド本体10、清掃装置20を備えている。
【0029】
ヘッド本体10は、さらにエア噴射口11、エア吸引口12、給気部13、排気部14を備える。ヘッド本体10の形状は、六面により形成される直方体を例示している。底面には、図示しないが、平行な二線の直線状の長孔であるエア噴射口11およびエア吸引口12が、ヘッド本体10の長手方向(
図1(b)の左右方向)に長くなるように形成されている。給気部13から供給された洗浄エアは、エア噴射口11から噴射される。そして、エア吸引口12で吸引された塵埃は排気部14から排出される。
【0030】
清掃装置20は、さらに誘導支持部21、移動部22、異物除去部23を備えている。
【0031】
誘導支持部21は、
図1(b)に示すように、ヘッド本体10の正面に形成され、例えばヘッド本体10の長手方向(
図1(b)の左右方向)に長いレールである。なお、誘導支持部21は、
図1ではヘッド本体10の正面の中段の高さに取り付けてあるが、ヘッド本体10の底面に近くなるように正面の下段の高さに取り付けても良い。
【0032】
移動部22は、その一方の端部で誘導支持部21に沿って摺動しつつ移動するようになされている。また、この移動部22の他方の端部に異物除去部23が取り付けられている。異物除去部23と移動部22とが一体になって、誘導支持部21に沿って長手方向(
図1(b)の左右方向)に移動する。
【0033】
異物除去部23は、詳しくは、長孔のエア噴射口11やエア吸引口12の長手方向に対して略垂直方向であり、かつエア噴射口11やエア吸引口12が形成されるヘッド本体10の底面と略平行方向に長くなるような棒状または短冊状の長尺体である。この長尺体では少なくともヘッド本体10の底面と当接する辺または面は平行である。なお、
図1ではヘッド本体10の底面と異物除去部23との間に視認可能なギャップが存在しているが、これは図を見やすくするためであり、実際は接触した状態となっている。
【0034】
この異物除去部23は、エア吸引口12を傷つけない程度に弾性があるが比較的硬質の部材により形成されている。異物除去部23は、ヘッド本体10のエア吸引口12およびその周囲へ適度な力で押圧するため、硬質であることが好ましい。
【0035】
異物除去部23は、棒状または短冊状の長尺体による弾性支持の効果によって、エア吸引口12およびその周囲に線接触または面接触しつつ移動し、エア吸引口12およびその周囲の異物を掻き取ることになる。なお、エア噴射口11は殆どの異物を吹き飛ばすため異物が固着するおそれは極めて少ないが、異物除去部23はエア噴射口11も清掃可能であり、上記したエア吸引口12の周囲にはエア噴射口11も含まれるものとする(以下、本明細書中では同様に定義する)。
【0036】
続いて本発明のクリーニングヘッド100による清掃の原理について説明する。クリーニングヘッド100のエア吸引口12にガラスの欠片などの異物が挟まった場合やその周囲に固着している場合、何らかの部材を接触させることで異物が簡単に落ちることや、吸引を停止することでも異物が落ちることが、経験上知られている。これら方法を組み合わせて清掃を行う。
【0037】
続いて本形態のクリーニングヘッド100の清掃方法について説明する。ヘッド本体10のエア吸引口12にガラスの欠片などである異物が挟まったり、また、その周囲に静電気力により異物が張り付いたりした状態とする。まず、エア噴射口11からの噴射およびエア吸引口12からの吸引を停止する。これにより、エア吸引口12に挟まっている異物に加わる吸引力を無くし、異物を取りやすくする。そして、異物除去部23がエア吸引口12およびその周囲に線接触または面接触した状態で、作業員が移動部22を移動させると、異物除去部23も長手方向に移動し、異物除去部23がエア吸引口12およびその周囲の異物を掻き取る。
【0038】
異物除去部23はエア吸引口12およびその周囲への押し付け力が適切となるように調整されており、異物除去部23が密着接触して異物を掻き取る。この際、吸引を停止しているため、接触により異物はエア吸引口12およびその周囲から容易に落下する。
【0039】
そして、異物除去部23が左右の一方の端部まで移動したところで反転させて元の方向へ戻すように移動させる。最後に、異物除去部23を、その最初にあった待機位置にて停止させる。この清掃は、除塵していないアイドルタイムなどで定期的に行われたり、また、異物発見時に行われたりする。このような本形態のクリーニングヘッド100によれば、容易にエア吸引口およびその周囲を清掃することができる。
【0040】
続いて、本発明を実施するための第2の形態のクリーニングヘッド200について図を参照しつつ説明する。このクリーニングヘッド200は、
図2で示すように、ヘッド本体10、清掃装置30を備えている。
【0041】
先に
図1を用いて説明した第1の形態と比較すると、第2の形態では、ヘッド本体10は、先に説明した第1形態の構成と同じであるが、清掃装置30は、その構成が異なる。この清掃装置30は、さらに誘導支持部21、移動部22、異物除去部24を備える。本形態では異物除去部24のみが相違する。
【0042】
そこで、ヘッド本体10や、清掃装置30の誘導支持部21と移動部22については、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略し、相違する清掃装置30の異物除去部24のみ説明する。なお、
図2ではヘッド本体10の底面と異物除去部24との間に視認可能なギャップが存在しているが、これは図を見やすくするためであり、実際は接触した状態となっている。
【0043】
清掃装置30の異物除去部24は、詳しくは、エア噴射口11やエア吸引口12の長手方向に対して略垂直方向であり、かつエア噴射口11やエア吸引口12が形成されるヘッド本体10の底面と略平行方向に長くなるような回転軸に軸支されて回転するローラである。このローラは、例えば、外形が円柱状のブラシ、ゴム、スポンジや、筒体の表面に布を巻いたものなどである。これらのようなローラを使用することで、エア吸引口12およびその周囲の異物を掻き取ることになる。
【0044】
そして、このローラは、好ましくは帯電防止用の静電ローラである。静電ローラを使用することで、底面の静電気を除電して静電気力を弱めた上で、静電気力で張り付いた異物を掻き取りながら清掃する。
【0045】
異物除去部24による清掃では、移動部22の移動とともに、エア吸引口12およびその周囲に対してローラである異物除去部24が回転しつつ適当な押付力で摺接させることで、エア吸引口12およびその周囲の異物を掻き取ることになる。
【0046】
続いて本形態のクリーニングヘッド200の清掃方法について説明する。ヘッド本体10のエア吸引口12にガラスの欠片などである異物が挟まったり、また、その周囲に静電気力により異物が張り付いたりした状態とする。まず、エア噴射口11からの噴射およびエア吸引口12からの吸引を停止する。そして、異物除去部24がエア吸引口12およびその周囲に接触した状態で、作業員が移動部22を移動させると、異物除去部24も長手方向に移動し、異物除去部24がエア吸引口12およびその周囲の異物を掻き取る。
【0047】
異物除去部24はエア吸引口12およびその周囲への押し付け力が適切となるように調整されており、異物除去部24が回転接触して異物を掻き取る。この際、吸引を停止しているため、異物はエア吸引口12およびその周囲から容易に落下する。
【0048】
そして、異物除去部24が左右の一方の端部まで移動したところで反転させて元の方向へ戻すように移動させる。最後に、異物除去部24を、その最初にあった待機位置にて停止させる。この清掃は、除塵していないアイドルタイムなどで定期的に行われたり、また、異物発見時に行われたりする。このような本形態のクリーニングヘッド200によれば、容易にエア吸引口およびその周囲を清掃することができる。
【0049】
なお、クリーニングヘッドでは、第1形態の異物除去部23か第2形態の異物除去部24のうちの何れか一方を用いるものとして説明したが、この他にも、同一のクリーニングヘッドに対し、状況に応じて長尺体である異物除去部23を取り付けて第1形態のクリーニングヘッド100にしたり、また、ローラである異物除去部24を取り付けて第2形態のクリーニングヘッド200にしたりして、適宜使い分けて使用しても良い。
【0050】
また、第1,第2の形態のクリーニングヘッド100,200では、ともにエア噴射口11からの噴射およびエア吸引口12からの吸引を停止して清掃するものとしたが、エア吸引口12からの吸引を停止しつつエア噴射口11から噴射させた状態で清掃しても良い。この場合、掻き取った異物を吹き飛ばすことになる。また、エア噴射口11からの噴射を停止しつつエア吸引口12から吸引した状態で清掃しても良い。この場合、掻き取った異物を吸引することになる。事情に応じて適宜採用することができる。
【0051】
続いて、清掃方法の他の形態について説明する。この形態は先に
図1を用いて説明した第1の形態のクリーニングヘッド100の清掃方法を改良する清掃方法である。図示しないが、クリーニングヘッド100のエア吸引口12およびその周囲を監視する異物センサを備えるようにした。
【0052】
例えば異物センサはカメラであり、異物がないエア吸引口およびその周囲の画像と、撮像したエア吸引口およびその周囲の画像と、を比較して、画像の変化により異物が付着していると作業員が判定したときに作業員が清掃を開始する。さらに、移動部22を駆動制御する制御部を備え、異物センサの検出信号に基づいて清掃を開始するように制御部が移動部22を駆動制御しても良い。加えて、制御部に出力部を接続しておき、清掃が必要と判断されたことを音声や表示により作業員に通知するようにしても良い。そしてこの清掃方法を先に
図2を用いて説明した第2の形態のクリーニングヘッド200を用いる第2の清掃方法に適用しても良い。これらのような清掃方法とすることができる。
【0053】
続いて清掃方法の他の形態について説明する。この形態は先に説明した第1の形態のクリーニングヘッド100を用いる清掃方法をさらに改良する形態である。この清掃方法について
図3を参照しつつ説明する。
図3(a),(b)に示すように、クリーニングヘッド100の下側に、搬送ステージ300により基板が搬送されるようになされている。
【0054】
搬送ステージ300は、上流側(
図3(a)では右側)から基板を順次搬送する。そして、クリーニングヘッド100の下を通過する際にクリーニングヘッド100が除塵を行う。
【0055】
クリーニングヘッド100の直下ではシャッタ301が配置されている。通常の基板搬送時では、
図3(a)で示すようにシャッタ301は閉じられており、
図3(b)で示すように清掃装置20の移動部22は停止している。
【0056】
清掃時には、エア噴射口11からの噴射およびエア吸引口12からの吸引を停止し、
図3(c)で示すようにシャッタ301を開いた状態とする。そして、
図3(d)で示すように、清掃装置20の移動部22が動作して除去した異物を、シャッタ301を介して搬送ステージ300の下に落とす。これにより、異物の除去を行う。なお、この清掃方法では上記の異物センサを用いる清掃方法を併せて適用しても良い。
【0057】
また、
図4で示すように、先に説明した第2の形態のクリーニングヘッド200を用いる清掃方法に対し、このシャッタ301を用いる清掃方法を適用しても良い。また、この清掃方法でも上記の異物センサを用いる清掃方法を併せて適用しても良い。
【0058】
続いて他の形態について説明する。この形態は、
図5(a),(b)で示すように、先に説明した第1形態のクリーニングヘッド100を上側に、また、対向クリーニングヘッド400を下側に配置した形態である。この場合、クリーニングヘッド100と対向クリーニングヘッド400との間は、狭隘な空間であるが、クリーニングヘッド100の異物除去部23がこの空間内に配置され、エア吸引口12を清掃することができる。この場合、クリーニングヘッド100と対向クリーニングヘッド400がともに吸引することで、掻き取った異物を上下からの吸引により清掃除去できる。このような基板両面の除塵用のクリーニングヘッドにも適用できる。
【0059】
続いて他の形態について説明する。この形態は、
図6(a),(b)で示すように、先に説明した第2形態のクリーニングヘッド200を上側に、また、対向クリーニングヘッド400を下側に配置した形態である。この場合も、クリーニングヘッド200と対向クリーニングヘッド400との間は、狭隘な空間であるが、クリーニングヘッド200の異物除去部24がこの空間内に配置され、エア吸引口12を清掃することができる。この場合、クリーニングヘッド200と対向クリーニングヘッド400がともに吸引することで、掻き取った異物を上下からの吸引により清掃除去できる。このような基板両面の除塵用のクリーニングヘッドにも適用できる。
【0060】
以上、本発明のクリーニングヘッドおよび清掃方法について図を参照しつつ説明した。なお、先に説明したクリーニングヘッドはエア噴射口およびエア吸引口が一つであるPV型のクリーニングヘッドを想定して説明したが、一つのエア噴射口が二つのエア吸引口の間に配置されるVPV型のクリーニングヘッドや一つのエア吸引口が二つのエア噴射口の間に配置されるPVP型のクリーニングヘッドであっても良い。このような場合でも本発明の実施は可能である。
【0061】
また、先に説明したクリーニングヘッドは、
図1(b)や
図2(b)で示すように、正面側に清掃装置20の誘導支持部21を配置したが、正面側ではなく背面側(図示せず)に誘導支持部21を配置しても良い。このような場合でも本発明の実施は可能である。
【0062】
以上説明したこれらクリーニングヘッドおよび清掃方法によれば、ヘッド本体のエア吸引口およびその周囲の異物を簡単かつ迅速に除去する清掃機能を有し、その結果として基板品質の向上とともに製造コスト低減を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のクリーニングヘッドおよび清掃方法は、電気・電子製品に用いられる各種基板の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
100,200:クリーニングヘッド
10:ヘッド本体
11:エア噴出口
12:エア吸引口
13:給気部
14:排気部
20,30:清掃装置
21:誘導支持部
22:移動部
23:異物除去部(長尺体)
24:異物除去部(ローラ)
300:搬送ステージ
301:シャッタ
400:対向クリーニングヘッド