特許第6465529号(P6465529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6465529
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】通信装置および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20190128BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20190128BHJP
   H04W 4/10 20090101ALI20190128BHJP
   H04W 76/45 20180101ALI20190128BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20190128BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H04B1/40
   H04B1/00 296
   H04W4/10
   H04W76/45
   H04M1/00 H
   H04M3/56 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-115205(P2018-115205)
(22)【出願日】2018年6月18日
【審査請求日】2018年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711002915
【氏名又は名称】株式会社サークル・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】一丸 敏雄
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−235067(JP,A)
【文献】 特開2011−135291(JP,A)
【文献】 特開平06−197058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/40
H04B 1/00
H04M 1/00
H04M 3/56
H04W 4/10
H04W 76/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で情報伝達を行う通信装置であって、第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有するとともに、第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有する通信装置であって、
前記音声入力手段は、一方の通信機の音声/受信出力端子から発せられる音声が他方の通信機のマイク入力端子へ入力されるとともに、一方の通信機の音声/受信出力端子からの信号がPTT接点信号変換器に入力されることによって、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなるものであり、
前記第一の通信機群を構成する通信機と前記第二の通信機群を構成する通信機のいずれの通信機から音声が発せられたかを判断する制御部を備えており、制御部が前記第一の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第一のPTT接点信号変換器を介して前記第二の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、前記第二の通信機群を構成する通信機へ音声を送信し、制御部が前記第二の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第二のPTT接点信号変換器を介して前記第一の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、前記第一の通信機群を構成する通信機へ音声を送信し、
前記制御部の判断により、前記第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を前記第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段と、前記第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を前記第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段とを切替える切替器を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項に記載の通信装置を備え、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で無線通信を行うことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を、簡便な方法で行うことが可能な通信装置と無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は、防災無線等において幅広く利用されており、無線通信機として様々なものが存在する。しかし、通常の無線通信では、使用者に対して電波法によって免許が付与されて、使用される周波数が割り当てられる。そのため、周波数の割り当てによる制限を受け、異なる周波数の電波を使用した通信機同士での通信を行うことが困難である。
【0003】
特許文献1には、複数台の電力線搬送通信装置に対し、電力線の周波数特性に合わせて、異なる搬送周波数で通信していても、その異なる周波数同士間の通信を行うことが可能な電力線搬送通信システムが記載されている。これは、通信を行っている他方の電力線搬送通信装置との間に、周波数相互変換器を設置し、搬送周波数の信号を変換して通信可能とするものであり、周波数相互変換器を必要とするものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−127092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信においても、このような周波数相互変換器を用いて、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことも可能であるが、周波数相互変換器を用いると、装置構成が複雑となり、普及が難しい。また、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機間において、双方向での通信を適正に行うことも重要な課題となる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことを可能とし、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことが可能な通信装置と無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明の通信装置は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で情報伝達を行う通信装置であって、第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有するとともに、第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有することを特徴とする。
【0008】
互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間の情報伝達が、音声入力手段によってなされるため、周波数相互変換器を設置することなく、簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことが可能となる。そのため、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことができる。
【0009】
本発明の通信装置においては、前記音声入力手段は、一方の通信機の音声/受信出力端子から発せられる音声が他方の通信機のマイク入力端子へ入力されるとともに、一方の通信機の音声/受信出力端子からの信号がPTT接点信号変換器に入力されることによって、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなるものとすることができる。
【0010】
このような音声入力手段を備えることによって、互いに周波数の異なる電波を用いている一方の通信機から他方の通信機へ音声信号を送信するタイミングを正確に把握することができる。
【0011】
本発明の通信装置においては、前記第一の通信機群を構成する通信機と前記第二の通信機群を構成する通信機のいずれの通信機から音声が発せられたかを判断する制御部を備えており、制御部が前記第一の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第一のPTT接点信号変換器を介して前記第二の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、前記第二の通信機群を構成する通信機へ音声を送信し、制御部が前記第二の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第二のPTT接点信号変換器を介して前記第一の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、前記第一の通信機群を構成する通信機へ音声を送信することとすることができる。
【0012】
互いに周波数の異なる電波を用いた通信機間での双方向の通信を行うためには、いずれのタイプの通信機から音声が流れているかを把握する必要があるが、このような制御部を備えることにより、互いに周波数の異なる電波を用いた通信機の間の通信の方向を正確に定めることができ、異なるタイプの通信機間での双方向の通信を適正に行うことができる。
【0013】
本発明の通信装置においては、前記制御部の判断により、前記第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を前記第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段と、前記第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を前記第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段とを切替える切替器を備えていることとすることができる。
【0014】
切替器を構成するスイッチの切替動作により、音声入力手段の切替が可能であるため、簡便な手法で、互いに周波数の異なる電波を用いた通信機の間の通信の方向を切替えることができる。
【0015】
本発明の無線通信システムは、本発明の通信装置を備え、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で無線通信を行うことを特徴とする。
【0016】
互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間の情報伝達が、音声入力手段によってなされるため、周波数相互変換器を設置することなく、簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことが可能となる。そのため、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことが可能となる。そのため、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る通信装置と無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る通信装置と無線通信システムの構成を示す図である。
図3】第一の通信機群を構成する通信機と第二の通信機群を構成する通信機のいずれの通信機から音声が発せられたかを判断する制御部の機能を示す図である。
図4】双方向通信の様子を明示した通信装置と無線通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の通信装置と無線通信システムを、その実施形態に基づいて説明する。
図1図2に、本発明の実施形態に係る通信装置と無線通信システムの構成を示す。
図1は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群から第二の通信機群への情報伝達の状況を示している。
【0020】
図1において、無線機Aタイプ1は、特定の周波数の電波を用いて無線通信を行う第一の通信機群に属する通信機であり、無線機Aタイプ1は、PTTボタン2と、マイク入力端子3と、音声/受信出力端子4とを備えている。
【0021】
無線機Bタイプ5は、無線機Aタイプ1とは異なる周波数の電波を用いて無線通信を行う第二の通信機群に属する通信機であり、無線機Bタイプ5は、PTTボタン6と、マイク入力端子7と、音声/受信出力端子8とを備えている。音声/受信出力端子4と音声/受信出力端子8は、音声を出力し、受信ランプや受信信号で、受信状態を信号として出力する。
【0022】
音声変換装置9は、マイク信号変換器10とPTT接点信号変換器11とを備えている。また、音声変換装置12は、マイク信号変換器13とPTT接点信号変換器14とを備えている。音声変換装置9と音声変換装置12には、切替器15が接続されている。図1においては、切替器15の切替動作によって、無線機Aタイプ1からの信号が入力される音声変換装置9がオンとなり、無線機Bタイプ5からの信号が入力される音声変換装置12がオフとなっている。
【0023】
PTT接点信号変換器11、14は、VOX回路によって構成することができ、一方の通信機の音声/受信出力端子から発せられる音声信号がVOX回路に入力されると、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなる。これにより、周波数の異なる他方の通信機への通信が可能となる。また、PTT接点信号変換器11、14は、一方の通信機の音声/受信出力端子から音声が発せられることによって点灯する光信号が光スイッチに入力されることによって、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなる構成とすることができる。
【0024】
なお、以下の具体例の説明においては、PTT接点信号変換器11、14を、VOX回路によって構成した場合を想定し、PTT接点信号変換器11、14に音声信号が入力される場合について説明しているが、PTT接点信号変換器11、14はこれに限定されず、一方の通信機の音声/受信出力端子から、受信ランプや受信信号で、受信状態を信号として出力することにより、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなるものであれば、他のものであってもよい。
【0025】
無線機Aタイプ1同士は、第一の通信機群で使用される周波数の電波によって無線通信が行われ、無線機Aタイプ1の音声/受信出力端子4から発せられる音声は、音声変換装置9に設けられたマイク信号変換器10を介して、無線機Bタイプ5のマイク入力端子7に入力される。マイク信号変換器10は、音声信号をマイク入力に適した信号レベルとインピーダンスとなるように調整を行う。
【0026】
また、音声がマイク入力端子7へ入力される際に、通信機Aタイプ1の音声信号がPTT接点信号変換器11に入力されることによって、通信機Bタイプ5のPTTボタン信号がオンとなる。
【0027】
このように、音声変換装置9は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で信号変換を行って情報伝達を行う通信装置として機能する。
【0028】
音声変換装置9による上記の動作によって、周波数変換を行うことなく、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う無線機Aタイプ1から無線機Bタイプ5への通話が可能となる。無線機Bタイプ5へ伝達された情報は、無線機Bタイプ5同士による、第二の通信機群で使用される周波数の電波によって無線通信が行われる。このようにして、周波数割り当ての垣根を超えた無線通信が可能となる。
【0029】
図2は、図1とは逆に、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第二の通信機群から第一の通信機群への情報伝達の状況を示している。
【0030】
図2において、無線機Bタイプ5は、特定の周波数の電波を用いて無線通信を行う第二の通信機群に属する通信機であり、無線機Bタイプ5は、PTTボタン6と、マイク入力端子7と、音声/受信出力端子8とを備えている。
【0031】
無線機Aタイプ1は、無線機Bタイプ5とは異なる周波数の電波を用いて無線通信を行う第一の通信機群に属する通信機であり、無線機Aタイプ1は、PTTボタン2と、マイク入力端子3と、音声/受信出力端子4とを備えている。
【0032】
音声変換装置9は、マイク信号変換器10とPTT接点信号変換器11とを備えている。また、音声変換装置12は、マイク信号変換器13とPTT接点信号変換器14とを備えている。音声変換装置9と音声変換装置12には、切替器15が接続されている。図2においては、切替器15の切替動作によって、無線機Aタイプ1からの信号が入力される音声変換装置9がオフとなり、無線機Bタイプ5からの信号が入力される音声変換装置12がオンとなっている。
【0033】
無線機Bタイプ5同士は、第二の通信機群で使用される周波数の電波によって無線通信が行われ、無線機Bタイプ5の音声/受信出力端子8から発せられる音声は、音声変換装置12に設けられたマイク信号変換器13を介して、無線機Aタイプ1のマイク入力端子3に入力される。マイク信号変換器13は、音声信号をマイク入力に適した信号レベルとインピーダンスとなるように調整を行う。
【0034】
また、音声がマイク入力端子3へ入力される際に、通信機Bタイプ5の音声信号がPTT接点信号変換器14に入力されることによって、通信機Aタイプ1のPTTボタン信号がオンとなる。
【0035】
このように、音声変換装置12は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で信号変換を行って情報伝達を行う通信装置として機能する。
【0036】
音声変換装置12による上記の動作によって、周波数変換を行うことなく、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う無線機Bタイプ5から無線機Aタイプ1への通話が可能となる。無線機Aタイプ1へ伝達された情報は、無線機Aタイプ1同士による、第一の通信機群で使用される周波数の電波によって無線通信が行われる。このようにして、周波数割り当ての垣根を超えた無線通信が可能となる。
【0037】
このように、本発明の通信装置は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で情報伝達を行う通信装置であって、第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有するとともに、第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有している。
【0038】
この音声入力手段は、一方の通信機の音声/受信出力端子から発せられる音声が他方の通信機のマイク入力端子へ入力されるとともに、一方の通信機の音声信号がPTT接点信号変換器に入力されることによって、他方の通信機のPTTボタン信号がオンとなるものである。
【0039】
互いに周波数の異なる電波を用いた通信機間での双方向の通信を行うためには、いずれのタイプの通信機から音声が流れているかを把握する必要があるが、図3に、第一の通信機群を構成する通信機と第二の通信機群を構成する通信機のいずれの通信機から音声が発せられたかを判断する制御部の機能を示す。また、図4に、双方向通信の様子を明示した通信装置と無線通信システムの構成を示す。
【0040】
第一の通信機群を構成する通信機A同士は、無線によって通信がなされており、第二の通信機群を構成する通信機B同士は、無線によって通信がなされている。制御部20は、通信機Aからの音声出力と受信信号出力が、マイク信号変換器10とPTT接点信号変換器11へ入力されているのか、あるいは、通信機Bからの音声出力と受信信号出力が、マイク信号変換器13とPTT接点信号変換器14へ入力されているのかを判断する機能を有している。
【0041】
第一の通信機群を構成する通信機Aからの音声出力と受信信号出力が、マイク信号変換器10とPTT接点信号変換器11へ入力されていると制御部20が判断すると、切替器15の切替動作によって、通信機Aからの音声信号は、第一のPTT接点信号変換器、すなわち通信機BへのPTT接点信号変換器を介して、第二の通信機群を構成する通信機BのPTTボタン信号をオンとし、第二の通信機群を構成する通信機Bへ音声を送信する。その結果、通信機Aから通信機Bへ音声が送信される。
【0042】
図3図4では、この通信状態を実線で示している。またこのとき、図1に示すように、無線機Aタイプ1の音声が入力される音声変換装置9がオンとなり、無線機Bタイプ5の音声が入力される音声変換装置12がオフとなっている。
【0043】
その逆に、第二の通信機群を構成する通信機Bからの音声出力と受信信号出力が、マイク信号変換器13とPTT接点信号変換器14へ入力されていると制御部20が判断すると、切替器15の切替動作によって、通信機Bからの音声信号は、第二のPTT接点信号変換器、すなわち通信機AへのPTT接点信号変換器を介して、第一の通信機群を構成する通信機AのPTTボタン信号をオンとし、第一の通信機群を構成する通信機Aへ音声を送信する。その結果、通信機Bから通信機Aへ音声が送信される。
【0044】
図3図4では、この通信状態を一点鎖線で示している。またこのとき、図2に示すように、無線機Aタイプ1の音声が入力される音声変換装置9がオフとなり、無線機Bタイプ5の音声が入力される音声変換装置12がオンとなっている。
【0045】
このように、制御部20は、第一の通信機群を構成する通信機と第二の通信機群を構成する通信機のいずれの通信機から音声が発せられたかを判断する機能を有しており、制御部20が第一の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第一のPTT接点信号変換器へ音声信号を送って第二の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、第二の通信機群を構成する通信機へ音声を送信する。
【0046】
また、制御部20が第二の通信機群を構成する通信機から音声が発せられたと判断すると、第二のPTT接点信号変換器へ音声信号を送って第一の通信機群を構成する通信機のPTTボタン信号をオンとして、第一の通信機群を構成する通信機へ音声を送信する。
【0047】
この制御部20の判断に基づいて、切替器15を構成するスイッチのオンオフの切替動作により、第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段と、第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段との切替えがなされる。
【0048】
このような制御部20を備えることにより、互いに周波数の異なる電波を用いた通信機の間の通信の方向を正確に定めることができ、異なるタイプの通信機間での双方向の通信を適正に行うことができる。
【0049】
上述した通信装置を備えることにより、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で無線通信を行う無線通信システムを構築することができる。
【0050】
なお、以上の説明においては、第一の通信機群と第二の通信機群という、使用する周波数の異なる2つのタイプの通信機間の通信について説明しているが、通信機群は2つ以上あってもよく、複数の通信機群の間で、上述した構成と動作原理によって、双方向の通信を行うことができる。
【0051】
無線通信を防災に適用した場合には、使用者に対して電波法によって免許が付与されて、使用される周波数が割り当てられるため、防災に関与する組織である警察、消防、自治体のそれぞれの関係者相互間の通話ができず、各関係機関が相互に無線通信によって情報伝達することができないが、本発明の無線通信システムを用いると、周波数の割り当てに伴う制限がなく、防災無線システムの普及に大きく貢献する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことが可能であり、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことができる通信装置と無線通信システムとして、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 無線機Aタイプ
2 PTTボタン
3 マイク入力端子
4 音声/受信出力端子
5 無線機Bタイプ
6 PTTボタン
7 マイク入力端子
8 音声/受信出力端子
9 音声変換装置
10 マイク信号変換器
11 PTT接点信号変換器
12 音声変換装置
13 マイク信号変換器
14 PTT接点信号変換器
15 切替器
20 制御部
【要約】
【課題】簡便な方法で、異なる周波数の電波によって無線通信を行う通信機の間の通信を行うことを可能とし、周波数の割り当てによる制限を受けずに通信を行うことが可能な通信装置と無線通信システムを提供する。
【解決手段】通信装置は、互いに異なる周波数の電波によって無線通信を行う第一の通信機群と第二の通信機群との間で情報伝達を行う通信装置であって、第一の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第二の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有するとともに、第二の通信機群を構成する通信機から発せられる音声を、第一の通信機群を構成する通信機に入力する音声入力手段を有している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4