(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、病院や検査機関などで実施される尿検査時に容器に採取された患者の尿を検査する尿検査装置1の要部を示している。特に、
図1は、容器に残った尿を廃棄する廃液タンク3と、容器回収装置2を中心に示した。なお、検査に用いられる容器は同一形状のものである。
【0011】
第1の実施形態にかかる尿検査装置1は、筐体10と、容器回収装置2と、廃液タンク3と、アーム4とこれらの装置を制御する制御部100と、を含む。
【0012】
筐体10は、アーム4を支える天井部11と、容器回収装置2や、廃液タンク3のロート30が配置される底部12と、側壁16を含む。
【0013】
筐体10内には、天井部11からアーム4が吊るされた状態で設けられる。
【0014】
アーム4は、昇降機構45と、把持部40とを含む。昇降機構45は、矢印P1に示すように、アーム4を上下方向に移動させる。また、把持部40は、矢印P2に示すように開閉するとともに、回転軸46を中心に矢印P3に示すように回転する。すなわち、モータ42が回転すると、回転軸49、プーリ48、無端ベルト47、プーリ431、駆動軸43、プーリ432、無端ベルト44、プーリ461、回動軸46を介して、把持部40に回転力が伝えられる。これにより、一定の角度まで容器を傾ける動作が可能である。
【0015】
底部12には、容器回収装置2と、廃液タンク3へ連通するロート30とが設けられる。容器回収装置2とロート30は、レール13に固定柵14により摺動可能に取り付けられる。レール13は、固定具15により底部12に固定される。なお、容器回収装置2とロート30は、ロート30が蓋36の位置にあるときに容器回収装置2がアーム4の下に来るように一定の間隔を空けて取り付けられている。また、底部12のレール13に対向する部位には、容器回収装置2とロート30の移動経路を確保するための開口部(図示せず)が設けられている。
【0016】
廃液タンク3は、検査後に残った尿を回収するタンクである。廃液タンク3には、廃液量が満タンに達したことを感知するセンサ32が設けられている。センサ32としては、例えば、いわゆる光学センサを用いることができる。具体的には、発光部321から受光部322に向う光軸が物や液体により遮られると受光部322における受光量が変化する。この受光部322の受光量の変化を検出し、廃液の回収レベルが一定量に達したことを検出する。
【0017】
また、廃液タンク3の上部の開口部33は、可撓性の廃液チューブ31に連結される。廃液チューブ31の一方端は廃液タンク3の開口部33に連結され、他方端は、ロート30の下端部34に連結されている。
【0018】
第1の実施形態において、容器はいわゆる使い捨ての紙容器を用いている。なお、テーパ形状で重ねて回収可能な容器であれば、容器の材質等は紙に限定されない。
【0019】
廃液タンク3の図示左隣には、容器回収装置2が配置されている。なお、
図1においては、容器回収装置2の移動範囲を示すため便宜上、容器回収装置2を二つに分割して描写しているが、実際には、一つの装置である。
【0020】
図2に示すように、尿検査装置1は、搬送機構17、尿検査機構101の動作を制御する制御部100を有する。制御部100には、尿検査機構101、容器回収装置2のアクチュエータ23及びセンサ29、アーム4の昇降機構45及び把持部40、廃液タンク3のセンサ32、筐体10の蓋36を開閉する蓋開閉機構37及びレール13に沿って固定柵14をスライドさせるスライド機構18が接続されている。つまり、これらの尿検査機構101、容器回収装置2、廃液タンク3、アーム4、筐体10の動作は全て制御部100によりコントロールされる。
【0021】
続いて、上記構造の尿検査装置1の動作について説明する。
【0022】
尿検査装置1の動作に先立ち、作業者は、被験者の尿が入れられた容器を尿検査装置1へ投入する。容器が投入されると、制御部100は、搬送機構17を駆動し、容器を尿検査機構101まで移送する。尿検査機構101では、尿の検査に必要な量の尿を採取して、検査する。採取されずに容器に残った尿は、搬送機構17を介してアーム4まで搬送される。
【0023】
制御部100は、搬送機構17を制御して尿が残った容器をアーム4の下の把持位置まで搬送して停止させる。制御部100は、把持部40を制御して、把持部40を容器の直径よりも少し大きく開く。次に、制御部100は、昇降機構45を制御して、把持部40を降下させる。そして、制御部100は、アーム4を把持位置に配置した後、把持部40を制御して、把持部40を閉じるとともに容器を掴む。この後、制御部100は、昇降機構45を再び動作させて、容器を持ち上げる。容器が把持部40により掴み上げられると、制御部100は、蓋36を動作制御して、ロート30の開口部35を覆う蓋36を矢印P4に示すように開く。なお、ロート30と蓋36は、別体に構成されている。
【0024】
制御部100は、スライド機構18を動作制御して、ロート30をレール13に沿って移動させアーム4の下に停止させる(尿廃棄位置)。制御部100は、ロート30の開口部35がアーム4の下に停止すると、アーム4の把持部40を動作制御して、把持している容器を回転軸46を中心に必要な角度回動させる。ここで必要な角度とは、容器を傾けて中の尿をロート30へ流すのに必要な角度のことをいう。これにより、容器内に残った尿は、廃液タンク3へ廃棄される。
【0025】
制御部100は、容器内の尿をロート30へ流し入れた後、再び把持部40を動作制御して、アーム4を容器の回動前の位置まで戻す。この後、制御部100は、再びスライド機構18を動作制御して、ロート30を蓋36の位置まで移動し停止させる(容器待機位置)。蓋36を閉じる。なお、開口部35に蓋36をすることにより尿廃液からの匂いの拡散を防止する。
【0026】
ロート30を容器待機位置まで移動すると、容器回収装置2の容器投入口20は、アーム4の下に移動する。この状態で、制御部100は、把持部40を動作制御して、把持部40を開く。把持部40が開らかれると、容器が容器回収装置2へ落下する。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る容器回収装置2の概略図である。
【0028】
容器回収装置2は、容器の最大外径よりも少しだけ大きな内径を有する重力方向に延びるガイド筒21と、このガイド筒21の下端に設けられたベース部材22と、この容器を動かすためのアクチュエータ23を含む。
【0029】
ガイド筒21は、容器が落下するときに容器の軸が重力方向に対して斜めにならないように容器の落下姿勢を安定させるためのものである。このため、ガイド筒21は、使用する容器の最大外径に合わせて、その最大外径よりもわずかに大きな内径を有する円筒体である。なお、ガイド筒21の横断面の形状は、円形に限らない。つまり、使用される容器の落下を妨げず、ある程度の容器の落下安定性を有していればいかなる断面形状であってもよい。このため、例えば、容器の最大外径の円に外接する四角形よりも少し大きな断面を有する角柱状のガイド筒21を用いることもできる。
【0030】
また、ガイド筒21の外壁には、センサ29が設置されている。センサ29は、いわゆる光学センサを用いることができる。具体的には、発光部291から受光部292に向かう光軸が物や液体により遮られると受光部292における受光量が変化する。この受光部292の受光量の変化を検出し、容器の回収レベルが一定数に達したことを検出する。例えば、容器が想定される個数重なり、センサ29の光源が遮られると、その信号が制御部100へ送られ、ガイド筒21から容器を回収する時期が来たことを知らせる。この場合、制御部100は、容器が装置から取り出されるまで、搬送機構17を停止し、容器の搬送を止める。
【0031】
ガイド筒21に用いられる材料は、特に限定されないが、衛生面を考慮すると、洗浄が容易なステンレス等の金属やアクリル等の樹脂により形成することが好ましい。
【0032】
ベース部材22は、ガイド筒21の下端に当接してガイド筒21を支える。第1の実施形態においては、ベース部材22の上面に回転座24(支持体)を設け、その上に投下された容器が載置されるようにした。すなわち、回転座24は、ガイド筒21と同軸且つガイド筒21の内側に配置されている。
【0033】
アクチュエータ23は、ガイド筒21と同軸に配置された回転座24と、ベース部材22と回転座24の間に配置され、回転座24と同軸に固設された第1プーリ25と、ガイド筒21の外側に設けられたモータ26とモータ26の回転軸261に取り付けられた第2プーリ27と、第1プーリ25へ第2プーリ27を介してモータ26の力を伝達する無端ベルト28とを含む。
【0034】
図4は、ガイド筒21を取り外した状態の容器回収装置2の平面図である。回転座24のサイズについては、特に限定されないが、少なくとも容器の底面が十分に乗る程度の大きさを有する必要がある。第1の実施形態において、回転座24は、金属の板で作成したが、回転時の容器との摩擦や、重さ、衛生面等を考慮して種々変更することも可能である。また、第1の実施形態においては、ベース部材22と回転座24とを別体として配置したが、ベース部材22は省略することも可能である。
【0035】
続いて、第1の実施形態の容器回収装置2の動作について説明する。
【0036】
把持部40が開かれて容器をガイド筒21の容器投入口20へ落下すると、制御部100は、把持部40が開かれたことを把持部40に備えられたセンサ41からの信号により検出する。制御部100は、この信号をトリガーにして、容器回収装置2のモータ26を駆動し、回転座24を約3秒間回転させる。
【0037】
続いて、落下する容器の挙動について詳細に説明する。
【0038】
初めにアクチュエータ23が備えられていない容器回収装置における容器の挙動について簡単に説明する。
【0039】
ここでは、これから重ねられる容器を容器Xとし、既に積み重ねられている一番上の容器をYとする。通常、アーム4から容器投入口20へ落下した容器Xは、ガイド筒21の軸に沿って落下していく。そして、容器Yの開口部に容器Xの底部が挿入され、容器Xと容器Yが重なる。
【0040】
しかしながら、容器Xがガイド筒21を落下する場合に、容器X内に尿が少し残っている場合や、把持部40からの容器Xの外れ方等により、容器Xの軸が少し斜めの状態で落下することがある。
【0041】
軸が斜めの状態でガイド筒21の中を落下する容器Xは、たまに、底部が容器Yの開口縁に当たり、容器Xが斜めのまま容器Yに引っ掛かるように停止し、容器Xと容器Yとがきれいに重ならないことがある。
【0042】
次に、アクチュエータ23が備えられている容器回収装置2における容器の挙動について簡単に説明する。
【0043】
把持部40が開かれて、容器Xが容器投入口20へ落下すると、制御部100がアクチュエータ23を作動させる。具体的には、制御部100は、このとき、アクチュエータ23のモータ26を駆動する。回転座24を回転させることにより、回転座24に置かれた容器Yが回転する。これにより、容器Yの開口縁に接触した状態の容器Xも動く。この動きにより、容器Xの軸はガイド筒21に沿うように動いて傾いていた姿勢がガイド筒21の軸に沿うように修正される。この結果、容器Yの開口部内に容器Xの底部が挿入され、容器Xは容器Yに重なる。
【0044】
第1の実施形態においては、制御部100は、容器Xが容器Yに接触する前に回転座24を回転し始めたが、回転座24の回転するタイミングは、特に限定されない。言い換えれば、制御部100は、容器Xが完全に落下した後に回転座24を回転するようにすることも可能である。この場合においても、斜めに重なった容器Xは、容器Yの回転により動かされる。これにより、容器Xの底部が容器Yの開口縁の内側へ落ちて、容器Yと重なる。
【0045】
第1の実施形態において、回転座24の回転速度は60rpmとした。回転座24の回転速度及び回転時間については、特に限定されない。すなわち、斜めに重なった容器を既にスタックされた容器の開口縁の内側に移動させて容器を重合させるのに十分な動きを与え、かつ、容器内部に残存する尿が飛散しない程度の速度であればよい。
【0046】
このようにして、一定数重ねられた容器は、作業者によりガイド筒21の一部に設けられた取り出し口(図示せず)から取り出されて廃棄される。
【0047】
以上のように、第1の実施形態の容器回収装置2においては、ガイド筒21内において容器が斜めに重なることがないため、予定数を確実に重ねてから容器を回収できる。このため、一度に多くの容器を回収することが可能となり、容器の取り出し作業を効率的にできる。さらに、容器は、きれいに重ねられているため、作業者に尿が飛散するおそれも低減され、衛生的である。もちろん、容器廃棄時に容器がゴミ箱内で嵩張ることもない。
【0048】
次に第2の実施形態に係る容器回収装置5について説明する。
【0049】
尿検査装置1の構造については、容器回収装置2を容器回収装置5に置き換えた以外、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0050】
図5に示すように、第2の実施形態の容器回収装置5は、第1の実施形態の容器回収装置2と同様に、収容される容器の最大外径よりも大きな内径を有する重力方向に延びるガイド筒51と、このガイド筒51の下端を支えるベース部材52と、容器を動かすためのアクチュエータ53と、容器の回収時期を検知するセンサ29とを有している。なお、容器投入口50については、第1の実施形態と同様のため
図1に示している。
【0051】
ガイド筒51は、容器が落下するときに軸が斜めにならないように容器の落下姿勢を安定させるためのものである。
【0052】
ベース部材52は、ガイド筒51の下端に設けられるものである。第2の実施形態においては、ベース部材52の上面に振動体54を設け、その上にガイド筒51と同軸を有する台座55(支持体)を設けた。落下した容器は、台座55の上に重なる。
【0053】
第2の実施形態のアクチュエータ53は、振動体54と、モータ56と、回転軸57と、無端ベルト58と、プーリ59と、台座55を含む。台座55は、図示しない支柱を介してベース部材52に固設されている。支柱には、図示しない回転子が偏心して回転可能に取り付けられている。そして、この回転子に無端ベルト58がかけ回されている。
【0054】
モータ56を駆動すると、回転軸57、プーリ59、及び無端ベルト58を介して駆動力が伝えられ、回転子が回転される。これにより、支柱が振動して、台座55が振動する。なお、振動体54の振動方法についてはこれに限られず、斜めに重なった容器を振動により動かし、既に台座55に落下し重合している容器にきれいに重ねられればよい。
【0055】
続いて、第2の実施形態の容器回収装置5の動作について説明する。
【0056】
把持部40が開かれて容器がガイド筒51の容器投入口50へ落下されると、制御部100は、把持部40が開かれたことを把持部40に備えられたセンサ41からの信号により検出する。
【0057】
制御部100は、センサ41からの信号を基にして、モータ56を駆動させて、振動体53を数秒間振動させる。
【0058】
ここで、容器回収装置5に落下した容器の挙動について説明する。
【0059】
例えば、落下する容器を容器Xとし、既にガイド筒51の中で重ねられた一番上の容器をYとする。容器Xの落下と同時に制御部100は、振動部54を駆動させる。このため、台座55と接触している容器Yはこの時発生する振動により振動する。そして、容器Yに接触している容器Xも振動し、容器Yと容器Xの当接部分が動く。このため、容器Xが斜めに落下して、容器Yの開口縁と当接した場合であっても、容器Yの振動を容器Xへ伝達することにより、容器Xの軸の傾きがこの振動により次第にガイド筒51の軸に沿う方向へと変化していく。容器Xの軸の傾きがある点を越えて、容器Yと接触しなくなると、容器Yの開口部の中に容器Xが落下して重ねられる。
【0060】
振動体54は、ベース部材52の上面に設けられているが、振動体54の位置はこれに限られない。例えば、ガイド筒51の外周面に振動体54を設けることも可能である。
【0061】
以上のように、第2の実施形態の容器回収装置5においては、ガイド筒51内において容器が斜めに重なることがないため、予定数を確実に重ねて容器を回収できる。このため、一度に多くの容器を回収することが可能となり、容器の取り出し作業を効率的にできる。さらに、容器は、きれいに重ねられているため、作業者に尿等が飛散するおそれも低減され、衛生的である。もちろん、容器廃棄時に容器がゴミ箱内で嵩張ることもない。
【0062】
さらに、第2の実施形態の容器回収装置5は、斜めに重ねられた容器の位置を戻す動力として振動を用いているため、容器の内側に付着した尿等が飛散しにくく、衛生的である。
【0063】
次に第3の実施形態に示した容器回収装置6について説明する。
【0064】
尿検査装置1の構造については、容器回収装置2を容器回収装置6に置き換えた以外、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、第3の実施形態の容器回収装置6は、第1の実施形態の容器回収装置2と同様に、収容される容器の最大外径よりも大きな内径を有する重力方向に延びるガイド筒61と、このガイド筒61の下端を支持するベース部材62と、ガイド筒61内に収容した容器を動かすためのアクチュエータ63と、容器の回収時期を検知するためのセンサ29を有している。なお、容器投入口60については、第1の実施形態と同様のため
図1に示している。
【0066】
ガイド筒61は、容器が落下するときに軸が斜めにならないように容器の落下姿勢を安定させるためのものである。
【0067】
ベース部材62は、ガイド筒61の下端に設けられるものである。第3の実施形態においては、容器を動かすアクチュエータ63として、エア噴射装置を用いた。具体的には、アクチュエータ63は、コンプレッサ64と、ガイド筒61内へエアを送るエア流路65と、エアを排出するためのノズル66を含む。ノズル66を有するエア流路65は、ガイド筒61の外側に設けられたコンプレッサ64と接続する。
【0068】
ベース部材62の上面に台座67(支持体)を設け、台座67の外周部を囲むように6本のノズル66を設けた。ノズル66の数については特に限定されないが、例えば、台座67から上方に噴出されたエアが容器を動かすのに十分な数を配置する。よって、ノズル64の数及び位置については、使用されるガイド筒61の太さ、容器の大きさ、重さ等により適宜調整される。
【0069】
また、第3の実施形態においては、ベース部材62の上面にノズル66をセットしたが、ノズル66から噴射するエアの方向についても適宜変更可能である。例えば、ガイド筒61の内周面に沿うように渦を巻いて噴射可能となるようにノズル66に角度をつけて配置してもよい。
【0070】
続いて、第3の実施形態の容器回収装置6の動作について説明する。
【0071】
把持部40が開かれて容器をガイド筒61の容器投入口60から落下すると、制御部100は、把持部40が開かれたことを把持部40に備えられたセンサ41からの信号により検出する。
【0072】
ここで、容器回収装置6に落下した容器の挙動について説明する。
【0073】
例えば、落下する容器を容器Xとし、既にガイド筒61の中で重ねられた一番上の容器をYとする。容器Xの落下と同時に制御部100は、コンプレッサ64を駆動させる。これにより、ガイド筒61の内周面には、ノズル66から噴出されるエアの流れが発生する。そして、落下する容器Xの軸は周囲を流れるエアにより重力方向に安定しながら落下する。このエアにより容器Xが斜めに傾くことなく、容器Yの中へ落下して重なる。
【0074】
また、もし容器Xの軸が傾いた状態で容器Yの開口縁に引っ掛かるような場合には、ノズル66から噴射したエアにより、容器Xを動かす。この容器Xの動きにより容器Yとの接点がズレ、容器Xの軸の傾きがガイド筒61の軸に沿う方向へと変化する。そして、容器Xの軸の傾きがある点を越えると、容器Yの開口部の中に容器Xが落下して重ねられる。
【0075】
容器回収装置6においては、ガイド筒61内において容器が斜めに重なることがないため、予定数を確実に重ねて容器を取り出すことができる。このため、容器の取り出し作業を効率的にできる。さらに、容器は、きれいに重ねられているため、作業者に尿等が飛散するおそれも低減され、衛生的である。もちろん、容器廃棄時に容器がゴミ箱内で嵩張ることもない。また、エアを用いているため、誤って容器に残った尿がこぼれた場合でも故障しにくい。また、全体の部品点数を減らすことが可能である。
【0076】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、尿検査装置に備え付けられた容器回収装置を例に挙げて説明したが、容器回収装置としては、各種飲料向けの自動販売機やファーストフード店等で提供される使い捨て容器を対象とすることも可能である。また、本実施形態においては、使用される容器は全て同一サイズのものを想定しているが、重ねられる限りにおいては、多少容器のサイズが異なっていてもよい。さらに、本実施形態においては、全ての容器回収装置のアクチュエータの駆動を制御部がコントロールしていたが、もちろん容器回収装置を独立して配置することも可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]テーパ状の円筒の小径側を塞いだ容器を複数個重ねて回収する容器回収装置であって、
収容される前記容器の最大外径よりも大きな内径を有する重力方向に延びるガイド筒と、
前記ガイド筒の下端において、前記容器を支持する支持体と、
前記容器を動かすためのアクチュエータと、
を有することを特徴とする容器回収装置。
[2] 前記容器の前記ガイド筒への投入を感知するセンサと、
前記センサの検出結果に従って前記アクチュエータを駆動する制御部と、を有することを特徴とする[1]に記載の容器回収装置。
[3] 前記アクチュエータは、前記支持体を回動させることで前記容器を動かすことを特徴とする[1]又は[2]に記載の容器回収装置。
[4] 前記アクチュエータは、前記支持体を振動させる振動体を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の容器回収装置。
[5] 前記アクチュエータは、前記ガイド筒を振動させる振動体を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の容器回収装置。
[6] 前記アクチュエータは、前記ガイド筒内に空気を噴出して前記容器を動かすエア噴射装置を有していることを特徴とする[1]又は[2]に記載の容器回収装置。
[7] [1]から[6]のいずれか一つに記載された容器回収装置が組み込まれた尿検査装置。