特許第6465576号(P6465576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465576ビデオ監視システムにおけるビデオカメラ及びビデオ受信器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465576
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】ビデオ監視システムにおけるビデオカメラ及びビデオ受信器
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20190128BHJP
   H04N 19/46 20140101ALI20190128BHJP
【FI】
   H04N7/18 D
   H04N19/46
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-142963(P2014-142963)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-33136(P2015-33136A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】13179109.7
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514176952
【氏名又は名称】アプリケーション・ソリューションズ・(エレクトロニクス・アンド・ヴィジョン)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・シュレプファー
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー・ケラウェイ
【審査官】 大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−148327(JP,A)
【文献】 特開2011−029969(JP,A)
【文献】 特開2012−049956(JP,A)
【文献】 特開2011−182388(JP,A)
【文献】 特開2000−253398(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0067580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 7/18
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のデジタル画像(DI)を監視するための監視情報データ(WID)を有する該一連のデジタル画像を提供する画像生成部(2A)と、
前記監視情報データ(WID)を符号化して情報ブロックを生成する情報データエンコーダ(2D)と、
前記画像生成部(2A)から受信した前記デジタル画像(DI)から前記監視情報データを除いた画像データを圧縮して画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成するビデオ圧縮部(2E)と、
前記ビデオ圧縮部(2E)から受信した、前記生成された画像ブロックと、
前記情報データエンコーダ(2D)により生成された前記情報ブロックとをビデオ監視システム(1)のビデオ受信器(4)に伝送するデータ伝送部(2F)と、
を備え、前記ビデオ受信器(4)は、前記監視情報データ(WID)を評価して、受信した一連の前記デジタル画像を監視するビデオ監視システム(1)のビデオカメラ(2)。
【請求項2】
さらに、
前記画像生成部(2A)から受信した前記一連のデジタル画像(DI)に組み込まれた監視情報データ(WID)を分割し、該分割された監視情報データを、前記情報データエンコーダ(2D)に接続されたメモリ(2C)に保存する分割部(2B)を備える、請求項1に記載のビデオカメラ。
【請求項3】
前記ビデオカメラ(2)の前記データ伝送部(2F)は、前記画像ブロックと前記情報ブロックとを、ペイロードデータとして、前記データ伝送部(2F)により、前記ビデオカメラ(2)のインタフェースを介して、前記ビデオ監視システム(1)の前記ビデオ受信器(4)に伝送されるデータパケットに封入する封入手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のビデオカメラ。
【請求項4】
前記データ伝送部(2F)の前記封入手段は、前記情報データエンコーダ(2D)により生成されたデジタル画像の前記情報ブロックと、前記ビデオ圧縮部(2E)により出力された前記圧縮されたデジタル画像の前記画像ブロックとを、ペイロードデータとして、前記ビデオカメラ(2)の前記インタフェースを介して前記ビデオ監視システム(1)の前記ビデオ受信器(4)に伝送される少なくとも1個のイーサネットパッケージに封入することを特徴とする請求項3に記載のビデオカメラ。
【請求項5】
前記画像生成部(2A)は、それぞれがマトリクス状の画像画素からなる一連のデジタル画像(DI)を提供し、
前記画像生成部(2A)により生成された各デジタル画像(DI)は、画素行と画素列とからなり、
前記画像生成部(2A)により生成された前記デジタル画像(DI)の前記監視情報データ(WID)は、前記デジタル画像(DI)の所定の画素行に組み込まれることを特徴とする先行請求項1乃至のうち一項に記載のビデオカメラ。
【請求項6】
前記監視情報データは、前記デジタル画像(DI)の前記所定の行内の所定の画素の組に組み込まれ、前記各デジタル画像(DI)の生成の際に前記画像生成部(2A)により提供される画像カウンタ値又はタイムスタンプデータを含む前記デジタル画像(DI)の画像パラメータからなることを特徴とする請求項に記載のビデオカメラ。
【請求項7】
前記ビデオ圧縮部(2E)は、該ビデオ圧縮部(2E)により受信及び圧縮された各デジタル画像の末尾に割り込み信号を生成し、
前記生成された割り込み信号は、前記情報データエンコーダ(2D)に供給され、前記情報データエンコーダ(2D)は、前記各デジタル画像DIの前記監視情報データ(WID)を符号化して、前記ビデオ圧縮部(2E)により出力された前記画像ブロックに付加される情報ブロックを生成することを特徴とする先行請求項1乃至のうち一項に記載のビデオカメラ。
【請求項8】
ビデオ監視システム(1)の少なくとも1台のビデオカメラ(2)であって、一連のデジタル画像(DI)を監視するための監視情報データ(WID)を有する該一連のデジタル画像を提供する画像生成部(2A)と、前記監視情報データ(WID)を符号化して情報ブロックを生成する情報データエンコーダ(2D)と、前記画像生成部(2A)から受信した前記デジタル画像(DI)から前記監視情報データを除いた画像データを圧縮して画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成するビデオ圧縮部(2E)とを備えたビデオカメラからのデジタル画像(DI)の画像ブロック及び情報ブロックを受信するデータ受信部(4A)と、
前記デジタル画像(DI)の前記受信した画像ブロック及び前記受信した情報ブロックが提供され、前記ビデオ圧縮部で圧縮された前記画像ブロックを復号化するビデオデコーダ(4B)と、
前記ビデオデコーダ(4B)から受信し、前記情報データエンコーダで符号化された情報ブロックを復号化することにより、前記デジタル画像(DI)の監視情報データ(WID)を提供する情報データデコーダ(4E)と、
前記デジタル画像(DI)の前記監視情報データ(WID)を評価して、前記ビデオ監視システム(1)の少なくとも1台のビデオカメラ(2)から受信した一連の前記デジタル画像を監視する評価部(4F)とを備える、前記ビデオ監視システム(1)のビデオ受信器(4)。
【請求項9】
前記ビデオ受信器(4)の前記データ受信部(4A)は、前記ビデオ監視システム(1)の少なくとも1台のビデオカメラ(2)から受信されたデータパケットの中にペイロードデータとして入っている画像ブロック及び情報ブロックを開封し、前記開封した画像ブロック及び情報ブロックを前記ビデオ受信器(4)の前記ビデオデコーダ(4B)に提供する開封手段を備えることを特徴とする請求項8に記載のビデオ受信器。
【請求項10】
前記ビデオ受信器(4)の前記評価部(4F)は、前記デジタル画像DIの前記監視情報データ(WID)を評価することにより、画像カウンタ値及び/又はタイムスタンプデータを含む前記デジタル画像(DI)の画像パラメータの不整合を検出することを特徴とする請求項8又は9に記載のビデオ受信器。
【請求項11】
前記ビデオ受信器(4)の前記評価部(4F)は、さらに、前記受信したデータパケットのヘッダデータ、前記受信したデータパケットのフレームレート、及び、前記ビデオカメラ(2)と前記ビデオ受信器(4)との間の通信チャンネルの平均処理能力を確認することで、前記通信チャンネルの通信障害を検出することを特徴とする先行請求項8乃至10のうち一項に記載のビデオ受信器。
【請求項12】
前記ビデオ受信器(4)の前記評価部(4F)は、前記ビデオデコーダ(4B)及び/又は前記情報データデコーダ(4E)のデコーダエラーメッセージを確認することにより、前記ビデオ監視システム(1)のビデオカメラ(2)と前記ビデオ受信器(4)との間の通信チャンネルの通信障害を検出することを特徴とする先行請求項8乃至11のうち一項に記載のビデオ受信器。
【請求項13】
前記デジタル画像(DI)の画像パラメータの不整合及び/又はビデオカメラ(2)と前記ビデオ受信器(4)との間の通信チャンネルの通信障害が前記評価部(4F)により検出された場合、前記ビデオ受信器(4)の前記評価部(4F)は、前記受信された画像を表示するために提供される、前記ビデオ受信器(4)に接続されたディスプレイ(5)の動作を停止することを特徴とする先行請求項8乃至12のうち一項に記載のビデオ受信器。
【請求項14】
先行請求項1乃至7のうち一項に記載の少なくとも1台のビデオカメラ(2)と先行請求項9乃至13のうち一項に記載のビデオ受信器(4)とを備えるビデオ監視システム(1)。
【請求項15】
一連のデジタル画像を監視するための監視情報データを有する該一連のデジタル画像を提供するステップと、
前記監視情報データを符号化して情報ブロックを生成するステップと、
前記デジタル画像から前記監視情報データを除いた画像データを圧縮して画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成するステップと、
前記生成された画像ブロックと前記情報ブロックとをビデオ受信器に伝送するステップと
前記ビデオ受信器(4)が、前記監視情報データ(WID)を評価して、受信した一連の前記デジタル画像を監視するステップとを有する、ビデオ監視システムにおいてセキュリティを向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ監視システムにおけるビデオカメラ及びビデオ受信器に関し、特に、自動車のサラウンドビューシステムに採用可能なビデオ監視システムで使用されるビデオカメラのためのビデオ監視構想に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ監視システムにおけるビデオカメラには、多くの用途がある。例えば、ビデオカメラは、空港警備や、交通モニタリングに使用される。また、ビデオカメラは、自動車の用途におけるラップアラウンドトップビューシステムにも使用できる。トラック等の車両に、車載カメラを搭載することにより、複数の角度からの画像を記録することができる。従来のトップビューシステムでは、複数のカメラの映像を合成することにより、運転者は、視界を向上することができる。ラップアラウンドビューシステムでは、ユーザは、自分の車両の俯瞰図を見ることができるとともに、車両の画像を複数の角度で表示するようにシステムを制御することができる。
【0003】
図1は、本発明が解決しようとしている問題を示す図である。図1に示すように、従来の車両におけるトップビューシステムには、複数のカメラCが設けられる。図1に示すように、これらのカメラは、車両の様々な位置に取り付けられる。図1の例では、車両には、4台のカメラが取り付けられており、カメラCは、車両の前側に位置し、カメラCは、後側に位置し、カメラCは、左側に位置し、カメラCrは、右側に位置している。これら4台のカメラにより、車両の運転者は、自分の車両の周囲を見ることができ、特に、信号TLで待っているときに、自分の車両の右側にいる自転車の運転者BD等の接近物体を見ることができる。連続的なビデオデータストリームの表示により、車両の運転者は、自転車がまだ距離D1だけ車両の後尾から離れているため、車両が自転車の運転者BDを危険にさらすことなく信号TLで右折できる、と判断する可能性がある。しかしながら、ビデオカメラによる画像の生成と、車両の運転者がディスプレイに表示される画像を取得するタイミングとの間に時間の遅延がある場合、運転者に対して表示されるデジタル画像は、自転車の運転者BDが既に図1に示す距離D2となるまでに車両の後尾に非常に近くに移動していたことを、反映しない。自転車の運転者BDが既に移動していたために、運転者に与えられた遅延したサラウンドビュービデオ映像が、自転車がまだ遥か後方にいる、という誤った印象を運転者に与える一方、現実には、自転車の運転者BDが、既に非常に近くにいるか、又は、図1に示すように、車両の脇にいる、ということが起こることもある。この場合、車両は、右折し、自転車は、車両に衝突し、自転車の運転者BDは、激しく負傷する恐れがある。1台以上のカメラの制御不能の遅延は、各ビデオカメラ又はビデオ受信器の故障により生じる可能性がある。また、ビデオカメラとビデオ受信器との間の通信チャンネルが、遮断又は阻害されることにより生じる可能性がある。さらに、画像のフリーズ又は制御不能の遅延は、複雑なビデオ処理ソフトウェアの処理エラーにより生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2013/0194436号明細書
【特許文献2】特開平4−192845号公報
【特許文献3】米国特許第6424272号明細書
【特許文献4】米国特許第7289019号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、ビデオ監視システムにおけるセキュリティを向上させる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する少なくとも1台のビデオカメラと、請求項8の特徴を有するビデオ受信器とを備えるビデオ監視システムによって達成される。
【0007】
本発明の第一の側面によると、ビデオ監視システムのビデオカメラが提供され、このビデオカメラは、一連のデジタル画像を監視するための監視情報データを有する一連のデジタル画像を提供する画像生成部と、監視情報データを符号化して情報ブロックを生成する情報データエンコーダと、画像生成部から受信したデジタル画像を圧縮して画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成するビデオ圧縮部と、ビデオ圧縮部から受信した、生成された画像ブロックと、情報データエンコーダにより生成された情報ブロックとを伝送するデータ伝送部とを備える。
【0008】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの一実施の形態において、ビデオカメラは、さらに、画像生成部から受信した一連のデジタル画像に組み込まれた監視情報データを分割し、分割された監視情報データを、情報データエンコーダに接続されたメモリに保存する分割部を備える。
【0009】
本実施の形態では、監視情報データが、一連のデジタル画像に組み込まれる。監視情報データは、この組み込まれたデータを処理するために提供される追加的な回路が複雑になり過ぎないように、組み込まれる。また、組み込まれたデータを監視情報データとして使用することにより、ビデオ監視システムが、危険及び/又は不正からの回復力を持つようになる。
【0010】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの他の一実施の形態において、ビデオカメラのデータ伝送部は、画像ブロックと情報ブロックとを、ペイロードデータとして、データ伝送部により、ビデオカメラのインタフェースを介して、ビデオ監視システムのビデオ受信器に伝送されるデータパケットに封入する封入手段を備える。
【0011】
本実施の形態では、画像ブロックと、符号化された監視情報データを形成する情報ブロックとが、データパケットに封入されて伝送される際に、ビデオカメラは、パケット伝送の通信標準を使用することができる。情報ブロックをペイロードとしてデータパケットに封入して伝送することは、データ伝送が、データ通信チャンネルの通信障害からの回復力を持つようになるという点で、有利である。
【0012】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの他の一実施の形態において、画像生成部は、それぞれがマトリクス状の画像画素からなる一連のデジタル画像を提供する。
【0013】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラのさらに他の一実施の形態において、画像生成部により生成された各デジタル画像は、画素行と画素列とからなり、画像生成部により生成されたデジタル画像の監視情報データは、デジタル画像の所定の画素行に組み込まれる。
【0014】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの他の一実施の形態において、監視情報データは、デジタル画像の所定の行内の所定の画素の組に組み込まれ、各デジタル画像の生成の際に画像生成部により提供される画像カウンタ又はタイムスタンプデータを含むデジタル画像の画像パラメータからなる。
【0015】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの他の一実施の形態において、ビデオ圧縮部は、ビデオ圧縮部により受信及び圧縮された各デジタル画像の末尾に割り込み信号を生成し、生成された割り込み信号は、情報データエンコーダに供給され、情報データエンコーダは、各デジタル画像の監視情報データを符号化して、ビデオ圧縮部により出力された画像ブロックに付加される情報ブロックを生成する。
【0016】
本発明の第一の側面に係るビデオカメラの他の一実施の形態において、データ伝送部の封入手段は、情報データエンコーダにより生成されたデジタル画像の情報ブロックと、ビデオ圧縮部により出力された圧縮されたデジタル画像の画像ブロックとを、ペイロードデータとして、ビデオカメラのインタフェースを介してビデオ監視システムのビデオ受信器に伝送される少なくとも1個のイーサネットパッケージに封入する。
【0017】
イーサネットパッケージ又はイーサネットフレームという標準は、広く使用されているため、追加的な回路を実装する必要がないので、イーサネットパッケージ又はイーサネットフレームを使用することは、有利である。
【0018】
本発明の第二の側面は、請求項8の特徴を有するビデオ監視システムのビデオ受信器を提供する。
【0019】
本発明の第二の側面によると、ビデオ監視システムのビデオ受信器が提供され、このビデオ受信器は、ビデオ監視システムの少なくとも1台のビデオカメラからのデジタル画像の画像ブロック及び情報ブロックを受信するデータ受信部と、デジタル画像の受信した画像ブロック及び受信した情報ブロックを復号化するビデオデコーダと、ビデオデコーダから受信した復号化された情報ブロックを復号化することにより、デジタル画像の監視情報データを提供する情報データデコーダと、デジタル画像の監視情報データを評価して、ビデオ監視システムの少なくとも1台のビデオカメラから受信した一連のデジタル画像を監視する評価部とを備える。
【0020】
本発明の第二の側面に係るビデオ受信器の一実施の形態において、ビデオ受信器のデータ受信部は、ビデオ監視システムの少なくとも1台のビデオカメラから受信されたデータパケットの中にペイロードデータとして入っている画像ブロック及び情報ブロックを開封し、開封した画像ブロック及び情報ブロックをビデオ受信器のビデオデコーダに提供する開封手段を備える。
【0021】
本発明の第二の側面に係るビデオ受信器の他の一実施の形態において、ビデオ受信器の評価部は、デジタル画像の監視情報データを評価することにより、画像カウンタ及び/又はタイムスタンプデータを含むデジタル画像の画像パラメータの不整合を検出する。
【0022】
本発明の第二の側面に係るビデオ受信器の他の一実施の形態において、ビデオ受信器の評価部は、さらに、受信したデータパケットのヘッダデータ、受信したデータパケットのフレームレート、及び、ビデオカメラとビデオ受信器との間の通信チャンネルの平均処理能力を確認することで、通信チャンネルの通信障害を検出する。
【0023】
本実施の形態は、障害に対するセキュリティがさらに向上する点で、有利である。
【0024】
本発明の第二の側面に係るビデオ受信器の他の一実施の形態において、ビデオ受信器の評価部は、ビデオデコーダ及び/又は情報データデコーダのデコーダエラーメッセージを確認することにより、ビデオ監視システムのビデオカメラとビデオ受信器との間の通信チャンネルの通信障害を検出する。
【0025】
本発明の第二の側面に係るビデオ受信器の他の一実施の形態において、デジタル画像の画像パラメータの不整合及び/又はビデオカメラとビデオ受信器との間の通信チャンネルの通信障害が評価部により検出された場合、ビデオ受信器の評価部は、受信された画像を表示するために提供される、ビデオ受信器に接続されたディスプレイの動作を停止する。
【0026】
本発明の第三の側面は、請求項14の特徴を有するビデオ監視システムを提供する。
【0027】
本発明の第三の側面によると、ビデオ監視システムが提供され、このビデオ監視システムは、本発明の第一の側面に係る少なくとも1台のビデオカメラと本発明の第二の側面に係るビデオ受信器とを備える。
【0028】
本発明の他の一側面は、ビデオ監視システムにおいてセキュリティを向上させる方法を提供し、この方法は、一連のデジタル画像を監視するための監視情報データを有する該一連のデジタル画像を提供するステップと、監視情報データを符号化して情報ブロックを生成するステップと、デジタル画像を圧縮して画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成するステップと、生成された画像ブロックと情報ブロックとをビデオ受信器に伝送するステップとを有する。
【0029】
本発明の他の一側面によると、伝送された画像ブロックと情報ブロックとは、受信され、デジタル画像の受信された画像ブロックと受信された情報ブロックとは、復号化され、復号化された情報ブロックは、さらに復号化されて、デジタル画像の監視情報データを提供し、デジタル画像の監視情報データは、評価されて、ビデオ監視システムのビデオ受信器により受信された一連のデジタル画像を監視する。
【0030】
以下、本発明に係るビデオカメラとビデオ受信器とを備えるビデオ監視システムの実施の形態を、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明が解決しようとしている問題を示す図
図2】本発明の第一の側面に係るビデオカメラの一実施の形態のブロック図
図3】本発明の一側面に係るビデオ監視システムの一実施の形態のブロック図
図4】自動車の用途における本発明に係るビデオ監視システムの一実施の形態を示すブロック図
図5】本発明の他の一側面に係るビデオ受信器の一実施の形態のブロック図
図6】本発明に係るビデオ監視システムの一実施の形態で使用されるデータ画像のデータ構造を示す図
図7】本発明に係るビデオカメラにより画像ブロック及び情報ブロックを生成する方法の一実施の形態のフローチャートであり、
図8】本発明の他の一側面に係るビデオ受信器により画像ブロック及び情報ブロックを処理する方法の一実施の形態のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2及び図3に示すように、本発明の一側面に係るビデオ監視システム1は、該ビデオ監視システム1のビデオ受信器4にネットワーク3を介して接続された少なくとも1台のビデオカメラ2を備え、該システム1において、ビデオ受信器4にディスプレイ5が接続されてもよい。図3に示すディスプレイ5は、例えば、自動車、トラック、又は、列車等の車両内のディスプレイであってもよい。図3に示すネットワーク3は、車両におけるローカルネットワーク又はデータバスであってもよいし、他の実施の形態においては、ビデオカメラ2と遠隔のビデオ受信器4とを接続するインターネット等のデータネットワークであってもよい。図3に示すビデオ監視システム1のネットワーク3は、無線又は有線ネットワークであってもよい。
【0033】
図2は、図3に示すビデオ監視システム1で使用されるビデオカメラ2の一例としての実施の形態を示すブロック図である。図2に示すビデオカメラ2は、画像生成部2Aを備える。画像生成部2Aは、一連のデジタル画像DIを監視するための監視情報データWIDを有する一連のデジタル画像DIを提供する。ビデオカメラ2は、180度を超える範囲を包含する魚眼光学系等の光学系を備えていてもよい。画像生成部2Aは、例えば、カラーのデジタル画像を提供してもよい。一実施の形態では、画像生成部2Aは、それぞれがマトリクス状の画像画素からなる一連のデジタル画像DIを生成する。該画像生成部2Aにより生成された各デジタル画像DIは、画素行と画素列とからなっていてもよい。一実施の形態では、画像生成部2Aにより生成されたデジタル画像DIの監視情報データWIDは、図6に示すように、デジタル画像DIの所定の画素行Rに組み込まれている。図示の例では、デジタル画像DIは、行Rと列Lとからなる。例えば、デジタル画像DIは、L=1280画素及びR=800画素の大きさのデジタル画像であってもよい。一実施の形態では、各画素は16ビットからなる。図6に示す一例としての実施の形態では、デジタル画像DIにおいて、監視情報データWIDは、画像画素マトリクスの第1行内のデータフィールドに組み込まれている。一実施の形態では、監視情報データWIDは、デジタル画像DIの所定の行R内の所定の画素の組に組み込まれている。監視情報データWIDは、デジタル画像DI及び/又はデジタル画像DIを生成するビデオカメラ2の画像パラメータからなっていてもよい。一実施の形態では、これらの画像パラメータは、デジタル画像DIの生成の際に画像生成部2Aにより提供される画像カウンタ値ICVを含む。一実施の形態では、画像生成部2Aは、画像カウンタ値ICVを生成するカウンタを備えていてもよく、このカウンタは、画像生成部2Aによりデジタル画像DIが生成する毎にインクリメントされる。また、一実施の形態では、画像生成部2Aは、各デジタル画像DIが画像生成部2Aにより生成された時間を示すタイムスタンプデータTSDを生成してもよい。画像カウンタ値ICV及び/又はタイムスタンプデータTSDは、図6に示す画像画素マトリクスの第1行内の所定の位置に監視情報データWIDとして組み込まれていてもよい。一実施の形態では、第1行R内の最初の2個の画素が、画像カウンタ値ICVを組み込むのに使用されてもよい。この実施の形態では、画像カウンタにより生成される画像カウンタ値ICVを組み込むのに、2×16ビットが使用される。画像生成部2Aにより提供される画像カウンタ値ICV及び/又はタイムスタンプデータTSDの他に、デジタル画像DIの他の画像パラメータが、図6に示すデジタル画像DIの第1行Rに組み込まれていてもよい。他の画像パラメータとしては、例えば、各デジタル画像DIの画像の解像度、画質レベル又は基準色、及び/又は、輝度等のビデオ設定が挙げられる。その他のビデオ設定の例としては、各デジタル画像DIの逆光補正、画像の鮮明さ、及び/又は、照度が挙げられる。他の組み込まれる画像パラメータの例としては、デジタル画像DIのレジスタ設定又はヒストグラフィックデータが挙げられる。さらに、監視情報データWIDは、カメラの種類及び/又はカメラのID等のビデオカメラ2のパラメータであってもよい。
【0034】
図2に示すように、画像生成部2Aにより提供された一連のデジタル画像DIは、分割部2Bに供給される。分割部2Bは、画像生成部2Aから受信した一連のデジタル画像DIに組み込まれた監視情報データWIDを分割し、その分割された監視情報を、監視情報データ一時保存用のメモリ2Cに保存する。メモリ2Cは、データレジスタからなっていてもよい。メモリの入力部は、分割部2Bと接続されているのに対し、メモリ2Cの出力部は、図2に示すように、情報データエンコーダ2Dに接続されていてもよい。ビデオカメラ2は、さらに、分割部2Bに接続されたビデオ圧縮部2Eを備える。
【0035】
情報データエンコーダ2Dは、メモリ2Cに保存された監視情報データWIDを符号化して、情報ブロックを生成する。ビデオ圧縮部2Eは、画像生成部2Aから受信したデジタル画像DIを圧縮して、画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成する。一実施の形態では、ビデオ圧縮部2Eは、MPEGビデオ圧縮部であってもよい。他の一実施の形態では、ビデオ圧縮部2Eは、MJPEG(モーションJPEG)ビデオ圧縮部であってもよい。さらに他の一実施の形態では、ビデオ圧縮部2Eは、H.264MPEG−4ビデオ圧縮部であってもよい。H.264/MPEG−4AVC(アドバンスドビデオコーディング)とは、ブロック単位の動き補償ベースのコーデック標準である。H.264/AVCは、地上波、有線、又は衛星でのHDTV放送においてインターネットソースをストリーミングするのに使用できる。H.264/AVCは、構成を複雑化せずに他の標準よりも低いビットレートで高品質のビデオを提供する。ビデオ圧縮部2Eは、画像生成部2Aから受信したデジタル画像DIを圧縮することにより、必要となるデータ伝送容量を低減する。ビデオカメラ2は、また、データ伝送部2Fを備える。データ伝送部2Fは、ビデオ圧縮部2Eから受信した生成された画像ブロックと、情報データエンコーダ2Dにより生成された情報ブロックとを伝送する。
【0036】
一実施の形態では、ビデオ圧縮部2Eは、該ビデオ圧縮部2Eにより受信及び圧縮された各デジタル画像DIの末尾に割り込み信号INTを生成する。生成された割り込み信号INTは、情報データエンコーダ2Dに供給される。情報データエンコーダ2Dは、各デジタル画像DIの監視情報データWIDを符号化して情報ブロックを生成し、情報ブロックは、ビデオ圧縮部2Eにより出力された画像ブロックに付加される。一実施の形態では、あるソフトウェアのブロックが、最後に符号化された画像ブロックの中に画像の終わりを示すマーカを見つけることにより、ビデオパケットの送信を中止するようにしてもよい。一実施の形態では、ソフトウェアのブロックは、列の終わりを示すマーカの前に入力されるDCT又はMJPEGブロック等のソフトウェア画像ブロックでもよく、組み合わされたデータとして送信されてもよい。一実施の形態では、色又は構造の情報のブロックからなる列を、伝送される画像の末尾に付加してもよい。これらの色情報ブロックを使用することにより、構造の情報データは、符号化され、これにより、構造の情報データが歪みを受ける恐れがなくなる。その符号化されたデータは、画像カウンタ値ICV等の情報データを含んでいてもよい。画像生成部2Aより提供されたその組み込まれた列行のデータは、この列で符号化されてもよい。
【0037】
一実施の形態では、ビデオカメラ2のデータ伝送部2Fは、ビデオ圧縮部2Eから受信した画像ブロックと、情報データエンコーダ2Dから受信した情報ブロックとを、ペイロードデータとしてデータパケットに封入する封入手段を備えていてもよい。これらのデータパケットは、データ伝送部2Fにより、ビデオカメラ2のインタフェースを介して、ビデオ監視システム1のビデオ受信器4に伝送されてもよい。一実施の形態では、データ伝送部2Fの封入手段は、情報データエンコーダ2Dにより生成されたデジタル画像DIの情報ブロックと、ビデオ圧縮部2Eにより出力された圧縮されたデジタル画像の画像ブロックとを、ペイロードデータとして少なくとも1個のイーサネットパッケージに封入し、そのイーサネットパッケージは、ビデオカメラ2のインタフェースを介して、ビデオ受信器4に伝送される。データパケットは、画像ブロックと情報ブロックとともに、パケットカウンタ等のさらなる情報を有するヘッダデータHDも含むペイロードデータからなる。
【0038】
図3に示すように、画像ブロックと情報ブロックとを含むペイロードデータからなるデータパケットは、ネットワーク3を介して、ビデオ監視システム1のビデオ受信器4に送られてもよい。図3に示す一実施の形態では、1台のビデオカメラ2が、ネットワーク3を介してビデオ受信器4に接続されている。他の実施の形態では、複数のビデオカメラ2が、ネットワーク3を介してビデオ受信器4に接続される。一実施の形態では、トラック等の車両に、複数のビデオカメラ2が搭載され、そのビデオカメラ2が、データバス又はネットワーク3を介して、ビデオ監視システム1のビデオ受信器4に接続される。
【0039】
図4は、複数の側面に配置された4台のビデオカメラ2−1、2−2、2−3、及び、2−4を備える自動車やトラック等の車両に実装されたビデオ監視システム1の一実施の形態を示す。この車両は、図4に示すように、複数のビデオカメラ2−iからのデータストリームを受信するように、1以上のインタフェースを備えるビデオ受信器4を有する電子制御部6を備えていてもよい。図示の実施の形態では、ディスプレイ5が、ビデオ受信器4に接続されており、ビデオ受信器4の画像処理部により生成された処理済みのデータ画像を表示することにより、車両の周囲の上面図すなわち俯瞰図を提供するか、又は、運転者が駐車場で自分の車両を駐車する際に運転者を支援する。
【0040】
図5は、本発明に係るビデオ監視システム1で採用されるビデオ受信器4の一実施の形態を示すブロック図である。図5に示すように、図示の実施の形態では、ビデオ受信器4は、データ受信部4Aを備え、データ受信部4Aは、ビデオ監視システム1の少なくとも1台のビデオカメラ2−iからのデジタル画像の画像ブロック及び情報ブロックを受信する。一実施の形態では、データ受信部4Aは、複数のビデオカメラ2−iからデータパケットを受信する。一実施の形態では、ビデオ受信器4のデータ受信部4Aは、開封手段を備え、この開封手段は、車両のデータネットワーク3又はデータバスを介して少なくとも1台のビデオカメラ2−iからビデオ受信器4により受信されたデータパケットの中にペイロードデータとして入っている画像ブロック及び情報ブロックを開封する。開封手段は、開封した画像ブロック及び情報ブロックをビデオ受信器4のビデオデコーダ4Bに提供する。ビデオデコーダ4Bは、受信したデジタル画像の画像ブロック及び情報ブロックを復号化する。一実施の形態では、ビデオデコーダは、MPEGデコーダ又はMJPEGデコーダでもよい。ビデオデコーダ4Bの出力部は、ビデオ監視システム1の複数のビデオカメラ2−iから受信したデータ画像の画像処理をする画像処理部4Cと接続されていてもよい。一実施の形態では、複数のカメラから受信したデータ画像は、処理され、統合されて、単一のトップビュー画像となってもよい。処理されたデータは、分割部4Dに提供されて、画像ブロックから情報ブロックを分割する。ビデオ受信器4の情報データデコーダ4Eは、ビデオデコーダ4Bにより復号化され、画像処理部4Cにより処理された情報ブロックを受信して復号化することにより、ビデオ監視システム1内の複数のビデオカメラ2の画像生成部2Aにより生成されたデジタル画像DIの監視情報データWIDを提供する。分割部4Dにより提供された画像ブロックは、車両の運転者に対してディスプレイ5上に表示されてもよい。ディスプレイ5は、無線リンクを介してビデオ受信器4に接続された携帯電話等のポータブルモバイルデバイスのディスプレイであってもよい。
【0041】
ビデオ受信器4の評価部4Fは、情報データデコーダ4Eから受信したデジタル画像DIの監視情報データWIDを評価して、ビデオ監視システム1の少なくとも1台のビデオカメラ2−iから受信した一連のデジタル画像を監視する。一実施の形態では、評価部4Fは、デジタル画像DIの監視情報データWIDを評価することにより、例えば、画像カウンタ値ICV及び/又はタイムスタンプデータTSDを含むそのデジタル画像の画像パラメータの不整合を検出する。一実施の形態では、評価部4Fは、ビデオ監視システム1内の特定のビデオカメラ2−iから受信したデジタル画像DIの画像カウンタ値を監視して、不整合があるかどうか、特に、画像カウンタ値ICVがインクリメントせず、次々と提供されるデジタル画像DIに対する値が同じになってしまっているかどうか、検出する。画像カウンタ値ICVがインクリメントしない場合、このことは、各ビデオカメラ2−iによる一連のデジタル画像の提供が中断されていて、画面がフリーズしていることを示している可能性がある。さらに、タイムスタンプデータTSD及び/又は画像カウンタ値ICVが、時間の遅延を示していることもある。例えば、図4の実施の形態に示すように、ビデオ受信器4が、4台の異なるカメラ2−iから異なるデジタル画像を受信する際に、3台のカメラ2−1、2−2、及び、2−3から受信したデジタル画像DIのタイムスタンプデータTSD、TSD、及び、TSDが、等しい時間を示しているのに対し、第4のビデオカメラ2−4のタイムスタンプデータTSDが、それのデジタル画像DIがより早く生成されたことを示しているとする。この場合、このビデオカメラ2−4のタイムスタンプデータTSDは、残りのカメラ2−1、2−2、及び、2−3のタイムスタンプデータTSDと不整合となっている可能性がある。ビデオ受信器4の評価部4Fにより検出されうる他の不整合は、一連のデジタル画像の画像カウンタ値ICVが、増加するのではなく、減少する場合である。これは、デジタル画像DIが、デジタル画像DIの処理中に入れ替わったかもしれないことを示している。ビデオ監視システム1毎のセキュリティレベルにより、画像カウンタ値ICVの変化は、ある程度許容される場合もある。例えば、デジタル画像の画像カウンタ値ICVが、最初のカウンタ値から次のカウンタ値に、所定の許容差を下回る差だけ変化した場合、これは、許容されるが、画像カウンタ値ICVが、所定の閾値差を上回る差だけ変化した場合、これは、画像パラメータ間の許容されない不整合と解釈されることがある。一連のデジタル画像の、伝送される画像パラメータも、評価部4Fにより評価されることにより、不整合が検出されることもある。例えば、評価部4Fが、一連のデジタル画像中に、急激な色の変化又は輝度の変化を検出した場合、不整合が検出されることもある。
【0042】
本発明に係るビデオ受信器4の他の一実施の形態では、評価部4Fは、データ受信部4Aと、ビデオデコーダ4Bと、画像処理部4Cとに接続されていてもよい。本実施の形態では、評価部4Fは、さらに、受信したデータパケットのヘッダデータ又は受信したデータパケットのフレームレートを確認し、ビデオカメラ2とビデオ受信器4との間の通信チャンネルの平均処理能力を監視することで、各通信チャンネルの通信障害を検出してもよい。評価部4Fは、さらに、イーサネットの平均受信フレームレートや、平均処理能力や、イーサネットのパケットカウンタ等のイーサネットのパケットヘッダにある情報を確認してもよい。受信したデータパケットのヘッダデータも監視することにより、ビデオ監視システム1のセキュリティがさらに向上する。一実施の形態では、評価部4Fは、ビデオデコーダ4B及び/又は情報データデコーダ4Eのデコーダエラーメッセージを確認することにより、ビデオ監視システム1のビデオカメラ2とビデオ受信器4との間の通信チャンネルの通信障害を検出してもよい。ビデオ受信器4によりディスプレイ5が直接動作されない場合、一実施の形態では、符号化された情報ブロックを、画像処理部4Cにより提供された、生成された出力画像の既知の位置にコピーしてもよい。
【0043】
一実施の形態では、デジタル画像の画像パラメータの不整合及び/又は通信障害が評価部4Fにより検出された場合、評価部4Fは、警告を出力するようにしてもよい。また、一実施の形態では、デジタル画像の画像パラメータの不整合及び/又はビデオカメラ2とビデオ受信器4との間の通信チャンネルの通信障害が評価部4Fにより検出された場合、評価部4Fは、ビデオ受信器4に接続されたディスプレイ5の動作を停止するか、又は、ディスプレイ5へのデータリンクを遮断する。ディスプレイ5の動作停止により、車両の運転者は、即座に、ビデオ監視システム1が適切に動作していないと気付き、従来のミラー等の他の技術手段を用いて、車両の周囲を監視することができる。
【0044】
図7は、本発明に係るビデオ監視システム1のビデオカメラ2内で行われる処理の一実施の形態を示すフローチャートである。一実施の形態では、ステップS1において、ビデオカメラ2の画像生成部2Aは、それぞれが監視情報データWIDを持つ一連のデジタル画像DIを提供する。監視情報データWIDは、一連のデジタル画像を監視する。一実施の形態では、監視情報データWIDは、一連のデジタル画像DIに組み込まれている。画像生成部2Aから受信された一連のデジタル画像DIに組み込まれた監視情報データWIDは、分割され、ステップS2において、情報データエンコーダ2Dは、監視情報データWIDを符号化して、情報ブロックを生成する。図7に示すように、ステップS3において、ビデオ圧縮部2Eは、画像生成部2Aから受信したデジタル画像DIを圧縮して、画像ブロックからなる圧縮されたデジタル画像を生成する。次に、ステップS4において、ビデオカメラ2のデータ伝送部2Fは、ビデオ圧縮部2Eから受信した、生成された画像ブロックと、情報データエンコーダ2Dにより生成された情報ブロックとを伝送する。一実施の形態では、画像ブロックと情報ブロックとは、ステップS4において、データパケットに封入され、そのデータパケットは、インタフェースを介して、ビデオカメラ2のデータ伝送部2Fにより、ビデオ監視システム1のビデオ受信器4に伝送される。
【0045】
図8は、本発明に係るビデオ監視システム1のビデオ受信器4内で行われる処理の一実施の形態を示すフローチャートである。ステップS5において、ビデオ受信器4のデータ受信部4Aは、ビデオ監視システム1の少なくとも1台のビデオカメラ2から、デジタル画像の画像ブロックと情報ブロックとを受信する。画像ブロックと情報ブロックとは、分割され、ステップS6において、ビデオデコーダ4Bは、デジタル画像の受信した画像ブロックと受信した情報ブロックとを復号化する。ステップS7において、ビデオ受信器4の情報データデコーダ4Eは、ビデオデコーダ4Bから受信した、復号化された情報ブロックを復号化して、デジタル画像の監視情報データWIDを提供する。ステップS8において、ビデオ受信器4の評価部4Fは、デジタル画像の監視情報データWIDを評価して、ビデオ監視システム1の少なくとも1台のビデオカメラ2から受信した一連のデジタル画像を監視する。図8に示すように、ステップS9において、分割されたデジタル画像は、ディスプレイ5上に表示される。
【0046】
本発明に係るビデオ監視システム1は、複数のビデオカメラ2と1台のビデオ受信器4とを備え、このシステムは、様々な用途に用いることができる。一実施の形態では、ビデオ監視システム1は、空港又は輸送機関のセキュリティシステムで使用することができる。また、ビデオ監視システム1は、交通モニタリングに使用することができる。他の一実施の形態では、ビデオ監視システム1は、輸送システムにおける群衆整理に使用することができる。ビデオ監視システム1で使用されるビデオカメラの数は、変わってもよい。一実施の形態では、ビデオ監視システム1は、例えば、人が携行するための単一のカメラを備えていてもよい。他の一実施の形態では、ビデオ監視システム1は、ネットワーク3を介してビデオ受信器4に接続された複数のビデオカメラ2を備えていてもよい。図5に示す実施の形態では、評価部4Fが、ビデオ受信器4に組み入れられている。他の一実施の形態では、評価部4Fは、インタフェースを介してビデオ受信器4に接続される。ビデオカメラ2により提供されたビデオストリームは、複数のクライアントからなるマルチキャストグループに提供されてもよい。一実施の形態では、ビデオストリームは、ビデオカメラ2のIPアドレスを入力することで、インターネットブラウザによりアクセスされるようにしてもよい。表示されるページは、複数のユニキャストクライアント又はマルチキャストクライアントにより同時に見られる実況のMPEGビデオストリームとしてもよい。
【0047】
本発明に係るビデオ監視システム1の一実施の形態では、評価部4Fは、ビデオ監視システム1のビデオカメラ2から受信した、監視された一連のデジタル画像DIの中に不整合を検出した場合、制御データを生成してもよい。一実施の形態では、この制御データは、ある通信チャンネル内で、ビデオ受信器4から問題のビデオカメラ2に、例えば、問題のビデオカメラ2−iのリセットを行うために、伝送されてもよい。評価部4Fは、問題のビデオカメラ2−iを再起動した後、問題のビデオカメラ2−iから受信したデジタル画像の情報ブロックを再度監視して、ビデオカメラのリセットによって、整合性のある一連のデジタル画像を提供するようになったかどうか確認してもよい。評価部4Fが、もう不整合性がないと検出した場合、一実施の形態では、ビデオ監視システム1のディスプレイ5上にデジタル画像DIの表示を再度行ってもよい。
【0048】
更に他の一実施の形態では、評価部4Fは、問題のビデオカメラ2の通信チャンネルを無効にし、残りのまだ動作しているビデオカメラに基づいて画像処理を行うように、ビデオ受信器4の画像処理部4Cに指示してもよい。一実施の形態では、監視情報データWIDを伝送する情報ブロックは、ビデオ圧縮部により提供される画像ブロックと同じサイズである。一実施の形態では、監視情報データWIDは、色付きの情報ブロックに符号化され、その色付きの情報ブロックは、所定の個数の許容できる色値を含む。これらの色付きの情報ブロックを使用することにより、そこに含まれる監視情報データWIDは、例えば、その通信チャンネルへの外部からの影響により生じる歪みを受ける恐れがなくなる。
【0049】
一実施の形態では、情報は、ソフトウェアビデオエンコーディングにより生成できる色付きの構造を持った色領域又はブロックによって送られてもよい。これらは、ビデオチェーンにおける処理に対して強固である。それらは、各画像の所定の位置に設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ビデオ監視システム
2,2−1,2−2,2−4,2−4 ビデオカメラ
2A 画像生成部
2B 分割部
2C メモリ
2D 情報データエンコーダ
2E ビデオ圧縮部
2F データ伝送部
3 ネットワーク
4 ビデオ受信器
4A データ受信部
4B ビデオデコーダ
4C 画像処理部
4D 分割部
4E 情報データデコーダ
4F 評価部
5 ディスプレイ
6 電子制御部
BD 自転車の運転者
,C,C,C カメラ
D1,D2 距離
DI デジタル画像
ECU 電子制御部
L デジタル画像DIの列
NW ネットワーク
R デジタル画像DIの行
デジタル画像DIの第1行
S1〜S9 ステップ
TL 信号
WID 監視情報データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8