特許第6465616号(P6465616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465616
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】端子カバー
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20190128BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H01R9/00 B
   H01H73/20 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-220253(P2014-220253)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-85956(P2016-85956A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】納所 大輔
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−135671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15 − 9/28
H01H 73/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に端子部の測定部材を挿通可能な貫通孔を備えた端子カバーにおいて、端子カバーの上面に、前記貫通孔を通り、端子カバーの上面に沿って延びるガイド部を形成したことを特徴とする端子カバー。
【請求項2】
ガイド部を貫通孔ごとに形成したことを特徴とする請求項1に記載の端子カバー。
【請求項3】
ガイド部を端子カバーの上面に、通電方向に形成したことを特徴とする請求項2に記載の端子カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器や端子台等の配電機器の端子部に取付けられる端子カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電機器の端子部には、感電事故を防止するためや極間の絶縁距離を確保するために、合成樹脂製の端子カバーが取付けられている。また特許文献1に示されるように、端子カバーの端子ねじに対向する位置には、点検時に種々の測定を行うための測定ピン等の測定部材を挿通するための貫通孔が形成されている。
【0003】
このような貫通孔は、測定部材を挿通するに足る小径のものである。このため配電機器の設置位置によっては貫通孔を目視で確認することが困難な場合があった。例えば開閉器が分電盤に取付けられたものである場合には、高所や暗所に設置されることがあり、開閉器が太陽光発電機器に取付けられたものである場合には、低所に設置されることがあり、これらの場合には小径の貫通孔を目視確認し難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−231898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、配電機器の設置条件によって測定部材を挿通するための貫通孔の位置を目視確認しにくい場合にも、測定部材を貫通孔に挿通することができる端子カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、上面に端子部の測定部材を挿通可能な貫通孔を備えた端子カバーにおいて、端子カバーの上面に、前記貫通孔を通り、端子カバーの上面に沿って延びるガイド部を形成したことを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、ガイド部を貫通孔ごとに形成した構造とすることが好ましく、また請求項3のように、ガイド部を端子カバーの上面に通電方向に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の端子カバーは、貫通孔に連通するガイド部を備えたものであるから、高所、低所、暗所等で貫通孔の目視が困難な場合であっても、測定部材を貫通孔に容易に挿通することができる。
【0009】
ガイド部を貫通孔ごとに形成した構造とすれば、各極ごとに測定部材を貫通孔に挿通することが容易となる。またガイド部を端子カバーの上面に通電方向に形成した構造とすれば、各極ごとのガイド部を容易に区別することができ、各極ごとに測定部材を貫通孔に挿通することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す平面図である。
図2】第1の実施形態を示す斜視図である。
図3】要部の拡大断面図である。
図4】第2の実施形態を示す平面図である。
図5】第3の実施形態を示す平面図である。
図6】第4の実施形態を示す平面図である。
図7】第5の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1図3は本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は平面図、図2は斜視図、図3は要部の拡大断面図である。
【0012】
これらの図において、1は端子部、2は端子部1に取付けられた端子カバーである。この実施形態の端子部1は、配線用遮断器3の電源側及び負荷側に形成されているが、単独の端子台であってもよい。図3に示すように端子部1は各極ごとに端子ねじ4を備えている。端子カバー2は端子ねじ4の上面を覆い、感電事故を防止するとともに、図示されていない隔壁によって極間の絶縁距離を確保する機能を備えている。
【0013】
図3に示すように、端子カバー2の上面には測定部材5である測定ピンを挿通可能な貫通孔6が形成されている。貫通孔6は端子ねじ4の直上位置に形成されており、測定部材5を真っ直ぐに挿通するとその尖端が端子ねじ4に接触するようになっている。貫通孔6の周囲には傾斜部7が形成されているが、前記したように高所、低所、暗所等では貫通孔6の目視が困難なことがある。
【0014】
そこで本発明では、貫通孔6に連通するガイド部8を端子カバー2の上面に設けた。ガイド部8は貫通孔6を通り、端子カバー2の上面に沿って延びるものであり、各極ごとに、すなわち各貫通孔6ごとに凹溝状に形成されており、その方向は通電方向、すなわち配線用遮断器3の長手方向である。この実施形態ではガイド部8は直線溝であり、端子カバー2の上面の略全長にわたり形成されている。なおガイド部8は各貫通孔6の両側に延びている。
【0015】
また、ガイド部8を端子カバー2の上面を貫通させて設けてもよい。その場合、ガイド部8の幅は貫通孔6の径よりも狭くしておくことが好ましい。測定部材5である測定ピンは根本ほど太くなっているので、ガイド部8には測定ピンに先端部のみが入る。このため貫通孔6の位置までガイドされたときにのみ、測定ピンを貫通孔6に完全に落とし込めるようになる。
【0016】
端子カバー2をこのような構造としておけば、高所、低所、暗所等で貫通孔6の目視が困難な場合であっても、測定部材5である測定ピンの先端をガイド部8の何れかの部分に挿入してガイド部8に沿ってスライドさせれば、貫通孔6に容易に到達することができ、電圧や絶縁抵抗の測定等を行うことができる。このため従来にように、測定ピンの先端で小径の貫通孔6を直接探り当てる必要がなくなる。
【0017】
図4は本発明の第2の実施形態を示す平面図である。第1の実施形態においては、ガイド部8は貫通孔6の両側に延びていたが、第2の実施形態では、ガイド部8の端部を貫通孔6とした。このような構造とすれば、ガイド部8に挿入した測定ピンの先端が貫通孔6を通り越してしまうことが防止できる。
【0018】
図5は本発明の第3の実施形態を示す平面図である。この実施形態では、ガイド部8を貫通孔6を中心として斜め方向に形成した。また他の実施形態とは異なり、ガイド部8を各貫通孔6ごとに複数本形成した。図示のように端子カバー2の端部側が広がるようにガイド部8を形成しておけば、手探りでも測定部材5を確実に貫通孔6に到達させることができる。
【0019】
図6は本発明の第4の実施形態を示す平面図である。この実施形態では、ガイド部8を貫通孔6を中心として扇型の凹溝とした。測定部材5をこの凹溝内に落とし込み、その端縁に沿ってスライドさせれば容易に貫通孔6に到達可能である。
【0020】
図7は本発明の第5の実施形態を示す断面図である。上記した各実施形態ではガイド部8は全て凹溝であったが、第5の実施形態では突起とした。なおその平面形状は上記した各種の形状を採用することができる。また、ガイド部8の突起上に傾斜部を設け、測定部材5をガイド8間に誘導させる構造としてもよい。
【0021】
以上に説明したように、本発明の端子カバーはガイド部8を設けたことにより、高所、低所、暗所等で貫通孔6の目視が困難な場合であっても、測定部材を貫通孔6に容易に挿通することができる利点がある。
【符号の説明】
【0022】
1 端子部
2 端子カバー
3 配線用遮断器
4 端子ねじ
5 測定部材
6 貫通孔
7 傾斜部
8 ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7