(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
目的の機能を付与するための機能性付与成分を添加した組成物によって成形される無香の基材と、前記基材に埋没される少なくとも1つの芯材とを含み、前記芯材には香料が含浸されており、少なくとも一部が前記基材の中央から表面あるいは表面近傍に達するものであることを特徴とする芳香性固形組成物。
前記芯材は、多角形の中央蒸散部と、該中央蒸散部の各辺から前記基材の表面に向けて放射状に延びる三角形の前記末端蒸散部を有するものであり、前記末端蒸散部の一部又は全部が上又は下に向けて折り曲げられ、三次元的形状を成している請求項3記載の芳香性固形組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水に徐溶性の固形組成物に芳香性を付与する場合、固形組成物と共に香料を釜に入れて加熱することによって、香料が多量に揮発して強烈な臭いを発し、周辺環境に悪影響を及ぼす虞がある。しかも、香料は室温よりも遙かに高い温度に晒されており、香料自体の熱的劣化が生じる問題もある。水性ゲル状組成物に芳香性を付与する場合においても、香料は室温よりも遙かに高い温度で添加されることから、同様に、香料の揮発や香料自体の熱的劣化が生じ得る。さらに、水に徐溶性の固形組成物及び水性ゲル状組成物に複数の香料成分が調合された香料を添加する場合には、製造過程において低沸点の香料成分のみが揮発して香料成分の調合バランスが崩れ、所望の香りが得られにくいという問題もある。
【0006】
また、固形組成物自体に香料を配合する場合、固形組成物の製造過程において使用される釜や型に香料成分が付着して匂い移りが起こることがある。したがって、無香の固形組成物と芳香性の固形組成物とを同じ釜や型で製造すると、釜や型への香料の移りが生じ、無香の固形組成物に芳香性が付与されたり、芳香性の固形組成物の芳香の質や種類が微妙に変化してしまう問題が発生する。また、釜にて溶融あるいは溶解させた固形組成物を型に充填する際に必要となるノズル等の充填装置についても、同じ問題が発生する。このため、消費者の嗜好の多様化に応じて少なくとも無香用と芳香用の2種類の専用の製造設備並びにその設置場所を必要とするばかりか、管理の手間もかかるものとなる。特に大型の投資が必要となる釜や充填装置といった主要製造設備の重複設置は、製造設備費の上昇及び設備設置面積を大きく増加させる主要因となる。また、固形組成物に付与する芳香の種類を異ならせる場合には、別種の芳香の混入を防ぐ必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、周辺環境に悪影響を及ぼすような強烈な臭いを発することなく、かつ香料成分の調合バランスが崩れたり、所望の香りが得られ難くなるなどといった問題を解消できる芳香性固形組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、無香性の固形組成物を製造するための釜や充填装置といった少なくとも主要製造設備を無香固形組成物と共用可能として製造できる芳香性固形組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を解決するため、本願発明は、無香の基材に香料を含む芯材を埋設することで、少なくとも釜や充填設備といった主要製造設備を無香用と芳香用の固形組成物の製造過程において共通化することができるようにしたものである。
【0009】
即ち、本発明の芳香性固形組成物は、目的の機能を付与するための機能性付与成分を添加した組成物によって成形される無香の基材と、基材に埋没される少なくとも1つの芯材とを含み、芯材には香料が含浸されて
おり、少なくとも一部が基材の中央から表面あるいは表面近傍に達するものとしている。
【0011】
また、本発明の芳香性固形組成物において、芯材は、基材が部分的に貫通する貫通孔あるいは連通する領域を少なくとも基材の中心あるいはその付近に有していることが好ましい。また、芯材は、基材の表面に向けて放射状に延びる複数の末端蒸散部を有していることが好ましい。より好ましくは、芯材は、多角形の中央蒸散部と、蒸散部の各辺から基材の表面に向けて放射状に延びる三角形の末端蒸散部を有するものであり、末端蒸散部の一部又は全部が上又は下に向けて折り曲げられ、三次元的形状を成していることである。
【0012】
他方、基材としては、時間の経過と共に水に溶解することで含有する機能性付与成分を水に溶け出させたり、あるいは含有する水または水及び水溶性アルコール類を蒸散させて収縮する際に含有する機能性付与成分を大気中に蒸散させたりするものであれば良く、水に徐溶性の固形組成物あるいは水性または油性のゲル状組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の芳香性固形組成物によれば、無香の基材に香料を含浸させた芯材が埋没された構造としているので、目的の機能を付与するための機能性付与成分(蒸散性物質を含む)を添加した基材の塊の中に芯材を埋没させるようにして基材中に香料成分を封じ込めることができる。即ち、溶融あるいは溶解状態の無香の基材で香料成分を含ませた芯材を固めるだけなので、香料を基材と共に高温で溶かす必要もなければ、香料等を高温に長時間晒すこともない。したがって、香料が多量に揮発して強烈な臭いを発することがなく、周辺環境に悪影響を及ぼす虞がない。
【0014】
また、基材そのものに香料を添加する構造ではないので、香料を高温で加熱して香料等を高温に長時間晒すこともないので、香料の熱的劣化が抑えられるし、複数の香料成分が調合された香料を使用する場合にも、低沸点の香料成分のみが揮発して香料成分の調合バランスが崩れて所望の香りが得られ難いという問題も抑えられる。
【0015】
さらに、無香の固形組成物と芳香性の固形組成物とで基材を共通にしている。このため、釜では無香の基材を高温で溶かして機能性付与成分を添加するだけでよく、釜を共用できる。また、ノズル等の充填装置も共用できる。したがって、釜や充填装置といった主要製造設備を共用して無香性固形組成物と芳香性固形組成物とを製造することが可能となり、製造設備費及び設備設置面積の大幅な削減が可能である。しかも、芳香性固形組成物であっても、室温下で型の中に香料を含浸した芯材を入れてから、無香の組成基剤・基材を溶かして流し込んで固めることによって固形組成物が成形されるので、型にも香料がほとんど移ることがないか、香りが移ったとしても型清掃時に拭き取れる程度に止まる。したがって、同じ型を使って無香性固形組成物と芳香性固形組成物とを製造することも可能となり、無香用と芳香用とで製造設備を共用化することができる。仮に、型内面に芯材が付着して香りが移る事態が生じたとしても、型は安価で且つスタッキング収納により場所をとらないため、無香用と芳香用とで別々の型を使うようにしても、釜や充填装置といった主要製造設備を共用して無香性固形組成物と芳香性固形組成物とを製造することによる製造設備費及び設備設置面積の大幅な削減のメリットは維持される。また、固形組成物に付与する芳香の種類を異ならせる場合にも、基材を共通にしていることから、同様に製造設備費及び設備設置面積の大幅な削減が可能である。
【0016】
また、香料を含浸する芯材が無香の基材中に埋設されることにより、基材に囲まれている部分では香料の溶出や蒸散が起こりにくく、基材が溶解することであるいは収縮することで露出した芯材部分の香料成分が放出されるので、基材の溶解あるいは収縮に応じて芯材が少しずつ露出して香を放つことができる。即ち、固形組成物の溶解あるいは収縮に伴って少しずつ香料を含浸する芯材が露出するため、流通段階や使用開始前に香りが立ち難く、固形組成物の溶解あるいは収縮に伴って徐々に香りが立ってくることとなる。しかも、芯材は少しずつ基材から露出するので、徐々に芯材が露出して香料成分が放出されることで、芳香性が持続させられる。
【0017】
さらに、本発明の芳香性固形物によれば、無香の基材に香料を含浸させた芯材が埋没された構造としていることから、芯材の数を変更することによって、あるいは単一の芯材の体積や形状等を変更することによって、香料含浸量を容易に調整することができる。固形組成物自体に香料を配合して芳香性固形組成物を製造する場合には、香料の配合割合を高めすぎると香料が固形組成物から分離してしまい、配合した香料全量を固形組成物中に含ませることができないことがある。また、芳香性固形組成物を製造する際の固化工程において、香料の過剰配合の結果として、固化しにくくなったり、固化しなくなったりといった不具合が起こることもある。したがって、固形組成物自体に香料を配合して芳香性固形組成物を製造する場合には、香料をある一定量以上含む芳香性固形組成物を得ることは困難である。これに対し、本発明の芳香性固形組成物は、無香の基材に香料を含む芯材を埋設した構造としていることから、芯材の数を増やしたりあるいは芯材の大きさや形状等を大きくしたりすることにより芯材の体積を増加させて香料含浸量を増加させるだけで、芳香性固形組成物中の香料含有量を容易に増加させることができる。したがって、芳香の強さの増強を容易に行うことができる。勿論、芯材の数を減らしたりあるいは芯材の大きさや形状等を小さくしたりすることで芯材の体積を減少させて香料含浸量を減少させるだけで、芳香性固形組成物中の香料含有量を容易に減少することができる。したがって、芳香の強さを弱めることも容易である。さらに、基材の体積を大きくする必要がある場合にも、基材に埋没させる芯材の数を増やせば目的とする芳香強度を確保することができるし、芯材の位置を分散させることで固形組成物の表面から均一に芳香を放出させることが容易である。
【0018】
また、本発明の芳香性固形組成物において、芯材を、少なくとも一部が基材の中央から表面あるいは表面近傍に達しているものとした場合には、固形組成物の溶解あるいは収縮が基材の表面あるいは表面近傍から中央に至るまでの間、芯材が少しずつ基材から露出し続けて香料成分が放出され続ける。したがって、固形組成物の溶解あるいは収縮が基材の表面あるいは表面近傍から中央に至るまでの間、芳香が持続的に放出される。
【0019】
また、本発明の芳香性固形組成物において、芯材を、基材が部分的に貫通する貫通孔あるいは連通する領域を少なくとも基材の中心あるいはその付近に有するものとした場合には、この貫通孔あるいは連通する領域を通して芯材の一方の面側の基材と他方の面側の基材とが繋がって1つの塊を構成する。したがって、基材の最終的な消失に至るまで固形組成物が芯材により分断されて割れることがないので、基材が溶解あるいは収縮する過程で固形組成物が芯材により分断されて芯材が一度に露出してしまい、香料の蒸散が短期間に終わってしまうようなことがなく、長時間芳香性が維持される。
【0020】
さらに、本発明の芳香性固形組成物において、芯材が基材の表面に向けて放射状に延びる複数の末端蒸散部を有している場合には、基材が溶解することであるいは収縮することで露出した芯材部分の香料成分が放出されるので、基材の溶解あるいは収縮に応じて芯材が少しずつ露出して香を放つことができる。しかも、芯材を型内にセットする際に、室温下で芯材が型内面に点接触あるいは線接触で極めて局所的に僅かに触れる程度であるので、型にも香料がほとんど移ることがないか、香りが移ったとしても型清掃時に拭き取れる程度に止まる。したがって、この場合には、無香性の固形組成物を製造するための釜や充填装置といった主要製造設備だけでなく、型をも共用して製造することが可能である。
【0021】
さらに、本発明の芳香性固形組成物において、芯材が、多角形の中央蒸散部と、蒸散部の各辺から基材の表面に向けて放射状に延びる三角形の末端蒸散部を有するものであり、末端蒸散部の一部又は全部が上又は下に向けて折り曲げられ、三次元的形状を成している場合、芯材を型内にセットする際に、芯材が基材の底面から離されてほぼ中央に配置された状態で収めることができるので、基材に対する芯材の配置に偏りが少なく、芳香成分の流出・蒸散に偏りが起き難くなる。即ち、固形組成物が周りから少しずつ水に溶けることによって、あるいは固形組成物が水または水及び水溶性アルコール類の蒸散に伴って収縮することで、香料成分を含浸する芯材基材の上側と下側とで少しずつ露出して行くので、芳香成分が緩やかに放出されて芳香性が固形組成物の溶解消失まで長期に亘って持続できる。また、この場合にも、芯材を型内にセットする際に、芯材が型内面に点接触で極めて局所的に僅かに触れる程度であるので、型にも香料がほとんど移ることがないか、香りが移ったとしても型清掃時に拭き取れる程度に止まる。したがって、無香性の固形組成物を製造するための釜や充填装置といった主要製造設備だけでなく、型をも共用して製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1に本発明にかかる芳香性固形組成物の一実施形態を示す。この芳香性固形組成物は、目的の機能を付与するための機能性付与成分を添加した組成物によって成形される無香の基材1と、該基材1に埋没される少なくとも1つの芯材2とを含み、芯材2には香料成分が含浸されている。
【0025】
芯材2は、必要十分な量の香料を含浸して担持し、基材1の外に露出したときに蒸散あるいは流出させ得る素材によって構成されている。本実施形態の場合、必要十分な量の香料を含浸できると共に形状を維持できる強さも担保できる素材、例えば連続気泡構造のスポンジや多孔質ゴムなどの樹脂製多孔質材料の板、あるいは芳香剤用芯として一般的なフェルトの板などで構成されているが、これら材料に特に限定されるものではなく、香料を含浸して蒸散させ得る材質であれば、例えばコースター紙などのパルプ材などの使用も可能である。
【0026】
本実施形態において、芯材2は、基材1が周りから少しずつ溶けるのに伴って、少しずつ露出するように、少なくとも一部が基材1の中央から表面あるいは表面近傍に達するように設けられている。例えば、本実施形態の場合、芯材2は、
図1〜
図3に示すように、多角形の中央蒸散部3と、該中央蒸散部3の各辺から基材の表面に向けて放射状に延びる三角形の複数の末端蒸散部4を有する星形の多角形、具体的には六芒星の形に象られている。そして、芯材2は、中央蒸散部3が基材1の内側に配置されると共に、先端に向かうに従って幅が細くなる三角形に形成される末端蒸散部4が基材1の表面あるいは表面近傍に達するように基材1の外側に配置されるように基材1に埋没されて固められている。これにより、基材1の溶解に伴って周辺の末端蒸散部4から少しずつ露出するように構成されている。そして、基材1の溶解がその表面あるいは表面近傍から中央に至るまでの間、香料が蒸散され続け、基材1の溶解の末期に至るまで、芳香が持続的に放出される。但し、芯材2は必ずしも基材1の中央に存在せずともよい。例えば、芯材2の少なくとも一部が基材1の中央近傍から基材1の表面あるいは表面近傍まで達するものであれば、基材1の中央近傍までは基材1の溶解とともに芯材2が徐々に露出して芳香が持続的に放出される。また、基材1の中央に芯材が存在していなくても、基材1の溶解に伴って基材1が小さくなれば基材1の溶解速度は速くなるし、芯材2からの残香によって芳香が持続し得るので、基材1が溶解して消失するまで芳香を持続させ得ることが期待できる。尚、この際に香料として残香性の強いものを芯材2に含浸させれば、残香による芳香の持続効果をさらに高め得る。
【0027】
また、この芯材2には、基材1を構成する組成物が部分的に貫通(連通)する領域や孔などが設けられている。例えば、中央蒸散部3の中心に貫通孔5が設けられている。この貫通孔5は、芯材2を挟む固形組成物1が芯材2によって分離されないように部分的に芯材2を挟んで連通させるようにしたものであり、周りから溶解する固形組成物が中心でも繋がっているように、少なくとも基材1の中心あるいはその付近に設けられていることが好ましい。また、中央蒸散部3の周辺においては、三角形の末端蒸散部4と末端蒸散部4との間に切り欠き6が形成されることから、基材1の芯材2の上側の部分と下側の部分とが切り欠き6の部分で連通し、芯材2の中央蒸散部3並びにその周りの末端蒸散部4の基材1による保持を確実にするようにしている。つまり、本実施形態の芳香性固形組成物は、芯材2の中央蒸散部3の中心の貫通孔5と中央蒸散部3の周りに末端蒸散部4と交互に環状に配置される切り欠き6とで、芯材2の上側の基材と下側の基材とを連結して一体化されている。
【0028】
さらに、本実施形態の芯材2は、中央蒸散部3の周囲から放射状に突出する複数の末端蒸散部4の一部又は全部が上方にあるいは下方に折り曲げられて、全体として三次元的形状を成している。具体的には、六片の三角形状の末端蒸散部4が1つ置きに斜め上方へ向けて折り返される一方、その間の末端蒸散部4が斜め下方へ折り曲げられている。これにより、この芯材2は、各末端蒸散部4の頂点・先端で型7の内周壁あるいは底面と点接触して型7内に保持されるので、型7の内部空間に末端蒸散部4の先端を除いた部分、即ち中央蒸散部3と三角形の末端蒸散部4の大部分が浮かんだ状態で収容され、中央蒸散部3が基材1のほぼ中央に位置するように配置される。したがって、溶融された基材1の組成物を型内に注ぎ込むと、芯材2を囲むように基材1が充填されてから固められるため、基材1のほぼ中央に芯材2が配置されて埋没される。このため、基材1が周りから溶解しても、最後まで芯材2が基材1に囲まれて保護された状態を維持できる。勿論、芯材2は末端蒸散部4の一部又は全部を上又は下に向けて折り曲げて三次元的形状に形成していなくとも、平坦な面に形成される二次元的形状でも良い。換言すれば、芯材2は、立体的なものに限られず、平面的なものとしても良い。例えば、各末端蒸散部4の先端を通過する円が型7の底面の内周面の直径よりも大きく、尚且つ型7の開口部の直径よりも小さな直径とすることにより、型7の途中の内周壁に末端蒸散部4の先端部分を引っ掛けることによって型7の途中に浮いた状態で保持させることが可能であるし、場合によっては型の底面から入り口開口部付近の内周壁面の少なくとも2点で支持されるように斜めに立てかけるように配置することで、基材1の軸方向(縦方向)並びに径方向(横方向)の双方において中央から表面あるいは表面近傍に達するように芯材2を配置させることもできる。
【0029】
芯材2の形状は特定の形状に限定されるものではなく、芯材2が基材1に埋没された際に当該芯材2を挟んだ基材1が芯材2で分断されて割れないように、芯材2を挟んで基材1を構成する組成物が繋がるような構造であれば良い。例えば、
図3に示す六芒星の形状に限られず、その他の星形の多角形、例えば図示していないが三角形や星芒形、五芒星、クロス形などでも良い。また、末端蒸散部4は、必ずしも三角形であることに拘らず、
図6に示すように基端(中央側)から先端(周縁側)まで同じ幅の帯状としたり、あるいは場合によっては基端から先端に向かって幅が広がるような形状(図示省略)としても良い。また、芯材2は、特に中央蒸散部3と末端蒸散部4とを区別して有するものである必要はなく、場合によっては、
図7に示すように基材1の中心から表面あるいは表面付近まで達する円盤状あるいは円環状の平坦な芯材でも良い。この芯材2の場合には、基材が部分的に貫通する貫通孔5を少なくとも基材の中心付近に有していれば、基材1が周りから少しずつ溶けても芯材はその中心付近で基材に保持されているので、外れることが無いし、また基材も芯材を境に割れて分離することがない。この円盤状あるいは円環状の芯材2の場合、型7の途中の内周壁に周縁部を引っ掛けて型の底面に対して水平に保持することによって、あるいは型7の底面から入り口開口部付近の内周壁面の少なくとも2点で支持されるように斜めに配置することで、型7の内部に浮上した状態で保持させて、基材1の中央から表面あるいは表面近傍に達するように芯材2を配置させることができる。
【0030】
また、芯材2は、部分的に立体構造とするのではなく、全体として立体構造に形成しても良い。例えば
図4に示すような略菱形、図示していないが逆T形、あるいは
図5に示すようなX形などの各種立体構造が実施可能である。例えば、
図5に示すX形の芯材2の場合、多孔質樹脂からなる2枚の板材を途中に入れたスリットを互いに噛み合わせるように組み合わせることにって、自立可能に構成されている。このX形の芯材2の場合には、中央の交差箇所を囲むように基材組成物が注がれて固まるため、基材1が周りから水に溶解して芯材2が露出し始めたとしても、交差箇所では最後まで基材1に包囲されて芯材2が保持されるため、固形組成物に包囲されている部分の芯材に含有される香料は蒸散せずに残留することで、芳香性が持続される。この場合においても、芯材2の交差箇所、即ち少なくとも基材の中心付近に基材を構成する組成物が部分的に貫通(連通)する貫通孔5を有していることが好ましい。貫通孔5を設けることによって、X形に仕切られた基材の組成物が互いに連通して繋がるため、より最後まで基材に交差箇所が包囲されて芯材2が基材に保護される。また、
図4に示す菱形の芯材2においても同様で、3片が交差する箇所では最後まで基材1に包囲されて芯材2が保持されるため、固形組成物に包囲されている部分の芯材に含有される香料は蒸散せずに残留することで、芳香性が持続される。そして、芯材2の交差箇所、即ち少なくとも基材の中心付近に基材を構成する組成物が部分的に貫通(連通)する貫通孔5を備えることによって、芯材2によって分断される基材1の一部を互いに繋げて芯材2の交差箇所周辺の基材1が割れないようにできる。
【0031】
上述したように、芯材2は基材1を通過させて芯材2の表側の基材組成物と裏側の基材組成物とを繋ぐ貫通孔5を有していることが好ましい。しかしながら、芯材2において、貫通孔5は、必ずしも設けなくてはならない存在ではなく、基材1を構成する組成物が溶解の末期においても芯材2によって分断されることなく繋がる構造・芯材を包囲する構造、換言すれば、基材1の中心あるいはその付近に芯材2が介在した状態で基材1が連通して繋がる領域を有する構造を採りうるのであれば、1つの貫通孔5も設けなくとも良い。例えば、
図5のX形芯材2や
図4の菱形芯材2の場合には、基材1の中心付近に貫通孔5を設けなくとも、中央の交差箇所を上下左右から囲むように基材1を構成する組成物を注ぎ込んで固めることができるため、基材1が周りから水に溶解して芯材2が露出し始めたとしても、交差箇所では最後まで基材1に包囲されて芯材2が保持される。これによって、芯材2の交差箇所付近の基材1が早期に分裂・剥離することがないので、芯材2の露出が基材1の溶解に伴うものとなり、芳香性が持続される。また、貫通孔5は芯材2の略中心部に位置していることが好ましいが、これに特に限られるものではなく、中心からずれた所に設けられても良い。また、貫通孔5は1つでも良いし、複数でも良く、あるいは比較的に大きな孔の貫通孔と比較的に小さな複数の貫通孔のいずれかでも良いし、あるいはそれらの組み合わせでも良い。例えば、
図7に示すように、芯材2の中心に大きめの貫通孔5を備え、その周囲に小さめの貫通孔5’を環状に配置して貫通孔の機能を分散させるようにしても良い。この場合、基材1が中央とその周辺とで芯材2を確実に保持できるので、香料を保護でき、芳香性を持続できる。
【0032】
さらに芯材2は、より立体的な構造・形状とすることも可能である。例えば、
図8に示すように、円錐形の芯材を背中合わせに連結した立体構造物とすることも可能である。この場合においても、芯材2で囲まれた上部と下部と側部の3つの分断された領域が形成されるが、中央の貫通孔5と周辺の貫通孔5’を介して各領域の基材組成物が互いに繋がって、基材1が分裂したり分離することがないように1つの塊として構成される。尚、図示していないが、場合によっては芯材2の一部あるいは全域において基材1の組成物が芯材2を通過して繋がる格子状又はハニカムコア状の立体構造としても良い。この場合、芯材2を貫く多数の空隙に基材1を侵入させて空隙内を基材1で満たすことによって、基材1が芯材2で分断されることなくしっかりと繋がる。
【0033】
芯材2に含浸される香料は、芳香性固形組成物の用途や使用場所、ユーザーの嗜好などに応じて適宜選択されるものであるが、弱い匂いのものを含浸させれば基材1を透過して香が匂うということがないので、小便器用トイレ消臭剤のように水に徐溶性のトイレ消臭剤として用いる場合には、水を流したときにのみ香りが漂うようにできる。その反面、強い匂いのものを含浸させれば、水を流さなくとも、基材1を透過して香がある程度漂うので、常時香りを漂わせる必要がある用途、例えば使用者の多い公衆トイレなどでの使用に適するものとできる。本実施形態の場合、基材1の表面に芯材2の端が達して僅かに露出するように芯材2を配置させるようにしているが、芳香性固形組成物を目的の用途に使用開始当初に芳香が不要であったり、あるいは基材1の層を透過する程に強い匂いの香料を使用する場合には、基材1の表面まで芯材2が露出させておく必要はなく、表面よりも中側に芯材2の周縁が配置されるように埋設しても良い。
【0034】
また、芳香性固形組成物の芳香の強弱は、香料自体の芳香の強弱だけでなく、基材1に埋設させる芯材2の数や芯材2の大きさや形状等を変更することによって、総体としての芯材2の体積を変えることによっても調整することができる。例えば、基材1に埋設させる芯材2の数を増やして、基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材2の表面積を増加させることで、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を増加させて芳香を強めることができる。逆に、芯材2の数を減らして、芯材2の体積及び基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材の表面積を減少させることで、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を減少させて芳香を弱めることができる。本発明の芳香性固形組成物は、基材1中に香料を含浸させた芯材2を埋設させる構造としていることから、このような調整を容易に行うことができる。ここで、複数の芯材のうちの少なくとも1個の芯材については、基材1の中央から表面あるいは表面近傍に達するものとすることが好ましい。この場合、基材1の溶解が基材1の中央に至るまで、この少なくとも1個の芯材が基材1から分離することなく芳香が持続する。
【0035】
以下に、複数の芯材2を採用する実施形態について説明する。例えば、
図7に示すような円盤状あるいは円環状の平坦な3個の互いに独立した芯材2a、2b及び2cを、それぞれ一定の距離をおいて且つ基材1の底面に対して水平に埋設した場合(
図9)には、基材1の溶解に伴って露出する芯材の表面積を増加させることができるので、芳香を強めることができると共に、蒸散部位が分散されることによってより均一に芳香を発生させ得る。尚、各芯材の埋設位置及び芯材間の距離は、それぞれの芯材の直径を少しずつ異ならせて、それぞれの芯材の周縁部の型内面への引っかかり位置を調整することで、適宜調整することができる。
【0036】
また、複数の芯材2は、異なる平面上に配置させる場合に限られず、同一平面上において分散させても良い。例えば、
図10に示すように、基材1の半径よりも若干短い長さの平板状の芯材2を、それぞれ基材1の中心付近から表面あるいは表面近傍に向けて、且つ芯材2の平面が基材1の底面に対して水平になるように放射状に複数埋設することによって、基材1の溶解に伴って露出する芯材の表面積を増加させることができるので、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を増加させて、芳香を強めることができる。逆に、芯材2の数を減らすことによって、基材1の溶解に伴って露出する芯材の表面積を減少させることができるので、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を減少させて、芳香を弱めることができる。しかも、この場合、基材1の中心部分では基材1が芯材2に分断されることなく連通して繋がっている。また、芯材間の隙間も基材1で繋がっている。したがって、基材1の溶解に伴って芯材2が徐々に露出して芳香が持続的に放出し、基材1の溶解が終了するまで、基材1が割れることなく、芳香が持続する。また、複数の平板状の芯材2を等角度に配置にすることで、基材1中における芯材の分散性が向上し、芳香を均一に放たせることもできる。尚、
図10に示す芳香性固形組成物は、例えば、溶融した基材1を型に半量程度入れてある程度固化させた後、平板状の芯材2を放射状に並べ、その上から溶融した基材1の残りの半量を型に入れて固化させることで、製造することができる。尚、複数個の芯材が放射状に埋設された層は、一層だけ設ける場合には限定されず、上記工程を繰り返して二層以上設けるようにしてもよい。
【0037】
また、芳香性固形組成物の芳香の強弱は、基材1に埋設させる芯材2の大きさや形態の変化により体積を変更することによっても調整することができる。例えば、
図3や
図6に示すような複数の末端蒸散部4を有する芯材の場合、芯材2の末端蒸散部4等の枝葉部分の個数や形状を変更することよって、芯材の体積及び基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材の表面積を増減させることができる。これにより、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を増減させて、芳香の強弱を調整することができる。例えば、
図11に示すように、
図6に示す芯材2の末端蒸散部4の数を増やしたり減らしたりして、芯材2の体積及び基材1の溶解に伴って露出する芯材の表面積を増減させ、香料含浸量及び香料の単位時間当たりの蒸散量を調整することで、芳香を強めたり弱めたりすることができる。また、複数の末端蒸散部4を等角度に設けるようにすれば、基材1中における芯材の分散性が向上し、芳香を均一に放たせることもできる。尚、図示省略するが、末端蒸散部4からさらに枝分かれした1個又は複数個の分岐末端蒸散部をさらに設けるようにしてもよい。これにより、芯材の体積及び基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材の表面積をさらに増加させて、芳香を増強させることができる。また、芯材2を平面的な形状ではなく、例えばウニ状の三次元形状とし、複数の針状部の数を増減させることによって、芳香の強弱を調整することができる。この場合にも、針状部からさらに枝分かれした1個又は複数個の分岐針状部をさらに設けるようにして、芳香を増強させることもできる。また、芯材2の表面にうねりや凹凸を持たせるようにして、基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材の表面積をさらに増加させて、芳香強度を増強するようにしてもよい。さらに、上述したように、芯材2を格子状又はハニカムコア状の立体構造とすることで、基材1の溶解に伴って同時期に露出する芯材2の表面積を増加させて、芳香強度を増強するようにしてもよい。
【0038】
また、芯材2の形態は、例えば、芯材2の厚みを増減させることによっても調整することができる。芯材2の厚みを増減させることで、特に芯材2の体積を容易に増減させることができるので、香料含浸量を容易に調整することができる。
【0039】
このように、芳香性固形組成物の芳香の強弱は、香料自体の芳香の強弱だけでなく、基材1に埋設させる芯材2の数又は芯材2の形態を変更することによって容易に調整することができる。また、芯材2の数と形態の双方を変更することによって、芳香性固形組成物の芳香の強弱をさらに調整することができる。
【0040】
また、本実施形態では、基材1の形状は、型7の形状の関係で僅かな抜け勾配が与えられたほぼ円柱形状であり、基材1の軸方向と芯材2の多角形の中央蒸散部3とが略垂直に交わるように配置されている。但し、基材1の形状は任意であり、使用条件に合わせて適宜選択可能である。四角形状などの多角形状や楕円柱形状としてもよい。例えば複数個の芯材を埋設させる場合には、基材1の形状を楕円柱形や四角形等とすることで、基材1中における芯材2の占積率を向上させ得る。
【0041】
ここで、本発明が適用可能な無香の基材1を構成する組成物は、時間の経過とともに周囲から収縮して行きあるいは水などに溶解して行き、固形組成物中に含まれている蒸散性あるいは溶解性の薬剤物質や化学的成分、微生物などの機能性付与成分を周囲に蒸散あるいは溶け出させて所定の機能を発揮させるものであれば、その組成や溶解・蒸散メカニズム、形態等において特定のものに限定されるものではない。本実施形態の場合、小便器用トイレ消臭剤として好適な固形組成物の基材1として、時間の経過と共に水に溶解することで含有する機能性付与成分を水に溶け出させたり、あるいは含有する水または水及び水溶性アルコール類を蒸散させて収縮する際に含有する機能性付与成分を大気中に蒸散させたりする、水に徐溶性の固形組成物あるいは水性または油性のゲル状組成物が採用されている。尚、水に徐溶性の固形組成物の場合、水に不溶な物質が含まれる場合もあり、このような物質も徐々に水に触れることにより、水の中へ出て行く。これは正確には溶解ではないが、本明細書では便宜上これも水に「溶解する」あるいは「溶ける」と表現する。
【0042】
具体的には、基材1としては、本件特許出願人によって提案された特開2004−166844号公報(特許第4202096号)記載の水に徐溶性の固形組成物の使用が好ましい。この水に徐溶性の固形組成物は、ポリエチレングリコール及びステアリルアルコール及び必要によりパラオキシ安息香酸エステルを共用することによって、界面活性剤を使用することなく長期間に亘って水に徐々に溶けて含有する有効成分等を溶け出させるものである。したがって、使用目的に応じた有効成分並びに必要に即した添加剤を含有すれば、水に触れる環境下に置かれたとき、水に徐々に溶けて含有する有効成分並びに添加剤を長期間に亘って安定に溶け出させることができる。溶解調整剤としては、固形組成物中のステアリルアルコールの配合量が2〜40重量%及びパラオキシ安息香酸エステルの固形組成物中の配合量が1〜20重量%であることが好ましく、ステアリルアルコールの配合量を2〜30重量%及びパラオキシ安息香酸エステルの配合量を1〜10重量%としたときに、使用目的に応じた有効成分並びに必要に即した添加剤を含有する固形組成物として、特に水洗小便器用消臭剤の基材としての用途に適した物性を示す。固形組成物中のステアリルアルコールの配合量は、少なければ固形物は早く水に溶け、多ければ難溶性となって長持ちすることから、前述の範囲内で調節することにより固形組成物の溶け方を希望する期間に調節できる。またステアリルアルコールを、パラオキシ安息香酸エステルと作用することで、界面活性剤を使用した場合に発生しがちな、固形組成物の水中での膨潤が全く起きないようにでき、長期間使用中も固形組成物は割れずに、あたかも石鹸が溶ける様に微粒子となって外側から均一に溶けて小さくなるようにすることができる。因みに、パラオキシ安息香酸エステルは、雑菌類に対する抗菌作用があるために、雑菌の繁殖による悪臭の発生をより効果的に抑えることが期待できる。更に、本発明に係る小便器用トイレ消臭剤に用いる微生物(バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis))と共存しても全く悪影響を与えない利点がある。本件特許出願人等が行った実験によれば、パラオキシ安息香酸ブチル5〜10重量%、バチルスサブチリス製剤0.5〜1.0重量%を含む小便器用トイレ消臭剤1グラム当り106個オーダーの生菌が維持されていることが確認された。このことは、パラオキシ安息香酸エステルを使用するということは、単に混合助剤としてだけでなく、抗菌作用があり、且つバチルスサブチリスと共用でき、一層消臭効果を高めるという大きな特長がある。
【0043】
また、この固形組成物には、配合有効成分・機能性付与成分として、バチルスサブチリスと称する土壌由来の有用微生物及びフマル酸を配合すれば、水に徐溶性のトイレ消臭剤を構成できる。このとき、上述のポリエチレングリコール、パラオキシ安息香酸エステル並びにステアリルアルコールが配合されてなる水洗小便器用消臭剤の基材として好適な固形組成物に、更に適量例えば10〜70重量%好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%のフマル酸が配合されることにより、固形物・ステアリルアルコールをより細かい粒子にして水中に分散させると共にべとつき感を与えないという、水洗小便器用消臭剤の基材としての用途に最も適した物性を示す。しかも、フマル酸は、他の有機酸と異なり水に対する溶解度が低いために少しづつ溶解して行き、成形剤に配合した場合長持ちする利点があり、例えば300メッシュパスのフマル酸粉末を約40重量%配合すると安定な成形物が得られる。これにより、消臭剤基材に配合される有効成分を水中に細かく分散させて、殺菌、消臭並びに尿石の軟化作用が十分となる。しかも、パラオキシ安息香酸エステルは殺菌性を有し、尿石に対する消臭作用も発揮する即ち、このポリエチレングリコール、パラオキシ安息香酸エステル、ステアリルアルコール並びにフマル酸の4成分が上述の適量の範囲で共に配合されるとき、水に全く溶けないステアリルアルコールが小さな固まりとならずに細かい粒子となって最も高い分散効力が得られる。(詳細は特開2004−166844号公報参照)。
【0044】
更に、バチルスサブチリスと称する土壌由来の有用微生物は、65〜70℃という高温においても胞子を形成し死滅することがない。したがって、この範囲で加熱液化した状態のポリエチレングリコール基材に混合したときにも、死滅することがないし、その後冷却固化することが可能である。また耐酸性があるため、フマル酸との併用で失活することが無い。また有機物の分解作用が強く、結果として悪臭発生源をなくす効果がある。なお、本発明に係るトイレ消臭剤における使用量は、例えば製剤として約5重量%である。
【0045】
以上のように構成された芳香性固形組成物においては、以下のようにして製造される。例えば、基材1は、常温で固体のポリエチレングリコール(平均分子量約6500)33重量%、溶解調整剤としてのステアリルアルコール14重量%、パラオキシ安息香酸ブチル4重量%及び消臭剤の有効成分としてバチルスサブチリス製剤5重量%とフマル酸42重量%並びに添加剤(防錆剤他)2重量%を配合してなり、界面活性剤を一切含有しないものを用いる。この配合の基材1は、図示しない釜において、ポリエチレングリコール、ステアリルアルコール、パラオキシ安息香酸ブチルを混合し、約65℃で加熱溶融して粘性ある半透明で均一な液をつくり、その中にフマル酸及び製剤化した微生物・バチルスサブチリス製剤を混合し、防錆剤その他の必要成分を加えて均一に混合する。このとき、香料は添加されないので、香料が約65℃の高温で溶かされることもなければ、同温度に長時間晒されることもないので、香料の熱的劣化が抑えられる。また、複数の香料成分が調合された香料を使用する場合にも、低沸点の香料成分のみが揮発して香料成分の調合バランスが崩れて所望の香りが得られにくいという問題も抑えられる。
【0046】
そして、型7内に溶解物を流し込み、冷却固化して芳香性の固形組成物を製造する。このとき、型7には、
図2に示すように、予め香料を含浸させた芯材2が収められており、その周りに溶融状態にある基材1が流し込まれて冷却固化されるので、基材1によって芯材2が囲まれる固形組成物が形成される。ここで、芯材2は、型7内に収められたときに、各末端蒸散部4の頂点で型7の内周壁面あるいは底面と点接触することにより保持されるので、固化した基材1の表面には、あるいは表面近く・直下には、芯材2の末端蒸散部4の頂点が存在する芳香性固形組成物・トイレ消臭剤が得られる。
【0047】
このトイレ消臭剤は、このまま或いは適当な容器に入れて男子トイレの目皿上又は排水経路に置いて消臭剤として使用することができる。この場合、水を流すことによって、基材1の表面が徐々に溶解して消臭成分が流されると同時に、芯材2が少しずつ露出するため、基材1が溶けて無くなるまで溶解の都度新たな蒸散面が現れて香料が放たれる。
【0048】
尚、
図2に示す芯材2のように、型7内に収められたときに、各末端蒸散部4の頂点で型7の内周壁面あるいは底面と点接触して保持される場合には、芯材2に含浸された香料は、型内で局所的に僅かに触れる程度に止まる。したがって、型に香料がほとんど移ることがないか、香りが移ったとしても型清掃時に拭き取れる程度に止まり、型についても無香用と芳香用とで共用することができる。このため、製造設備の共用化がさらに進む。また、
図7に示す芯材2等のように、芯材2の周縁部が型内面に線接触する場合にも同様のことがいえる。
【0049】
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、界面活性剤を含まずに水に徐溶性とした固形組成物を利用した水洗小便器用消臭剤に適用した場合について主に説明したが、このような用途の固形組成物に特にかぎられるものではなく、界面活性剤を含有している一般的な水に徐溶性の固形組成物を利用した水洗小便器用消臭剤であったり、あるいは水洗小便器用消臭剤に限られず、機能性付与成分を変更することにより排水管の消臭剤、厨房流し排水管の消臭・ヌメリ取り剤、排水浄化剤殺菌剤、殺虫剤、樹木栄養剤や水溶性肥料、農薬等といった、様々な用途に適用できるし、この場合に芳香を放ちながら含有する機能性付与成分等を目的の期間中水に徐々に溶け出させることができる。
【0050】
しかも、用途に応じた機能付与成分・有効成分を添加した無香の基材を共通にして、香料を含む芯材を埋設することで、少なくとも釜や充填設備等の主要製造設備を無香用と芳香用の固形組成物の製造過程において共通化することができるので、香料を含浸する香料芯材を取り替えるだけで、様々な芳香性の固形組成物を同じ製造ラインで連続的に簡単に生産することができる。
【0051】
また、本発明の固形組成物は必ずしも水に徐溶性である必要はなく、空気中に放置することにより固形組成物そのものが周りから無くなって行くあるいは縮んで行く固形組成物でも良い。例えば、ゲル状消臭剤やゲル状芳香剤などとして一般的な、ゲル化剤としてカラギーナン等を用いた水性ゲル状組成物あるいは油性ゲル状組成物によって固形組成物が構成され、その中に蒸散性物質として例えば消臭成分、除菌成分、防虫成分、忌避成分、誘引成分、殺虫成分、殺菌成分、燻蒸成分、殺ダニ成分、等を添加することにより、芳香性の消臭剤、除菌剤、防虫剤、忌避剤、誘引剤、殺虫剤、殺菌剤、燻蒸剤、殺ダニ剤などとして使用することも可能である。
【0052】
しかも、いずれの場合においても、香料は室温下に香料芯材に予め含浸された状態で型内に収められ、そこに機能性付与成分などを添加した溶融状態のゲル状組成物あるいは固形組成物を注ぎいれてから冷却して固めるようにしているので、長い時間香料が高温に晒されることなく冷却されることで、香料の揮発や熱的劣化が生じる問題が少ない。また、複数の香料成分が調合された香料を使用する場合にも、長い時間香料が高温に晒されることなく冷却されるので、低沸点の香料成分のみが揮発して香料成分の調合バランスが崩れ、所望の香りが得られ難くなるということも少なくなる。
【0053】
また、上述の実施形態では、基材1の中央から表面あるいは表面近傍に達する経路を1個の芯材により形成するようにしていたが、複数の芯材を用いてこの経路を形成するようにしてもよい。例えば、
図12に示すように、基材1の中央に埋設したX形芯材2dとX形芯材2dを取り囲むように埋設したX形芯材2eによって、基材1の中央から基材の表面あるいは表面近傍に至る芯材の経路を形成することができる。したがって、例えば基材1のサイズを大きくすることが要求される場合にも、複数個の芯材を組み合わせて、基材1の中央から表面あるいは表面近傍に至る芯材の経路を形成し、芳香の持続性を担保することができる。換言すれば、基材1に埋設させる芯材2の数を増やすと共に、芯材2の埋設位置を適度に分散させることによって、固形組成物の表面から均一に芳香を放たせるようにすることができる。尚、
図12では図示省略しているが、X形芯材2d、2eに貫通孔を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、互いに独立した複数の芯材2を基材1に埋設する場合、例えば、
図13に示すように、小片状の芯材2に香料を含浸させて基材1に分散させたものとしてもよい。この場合、小片状の芯材2の個数の増減によって、香料含浸量及び香料の単位時間当たりを増減させて、芳香の強弱を調整することができる。また、基材1の溶解とともに芯材2が徐々に露出して芳香が持続的に放出するし、分散する小片状の芯材2の間が基材1によって繋がれているので溶解の末期に至るまで基材1が割れることも無い。このような芳香性固形組成物は、例えば、溶融した基材1に香料成分を含浸させた小片状の芯材2を加えてゆっくりと攪拌しながら固化させることで、製造することができる。この場合、芯材2を特定の形状に加工する手間が省けるという利点がある。また、基材1中における芯材2の分散性を高めて、芳香をより均一に放たせることができるという利点もある。
【0055】
また、複数の芯材2を用いる場合、特に
図13に示すような小片からなる芯材を用いる場合には、芯材毎にあるいは幾つかのグループ毎に含浸させる香料の種類を異ならせるようにしてもよい。例えば、基材1の溶解初期に露出する芯材には残香性の弱い香料を、基材1の溶解末期に露出する芯材には残香性の強い香料を含浸させることで、基材1の溶解が終了した後もしばらくの間は空間に芳香を漂わせることができる。また、基材1の溶解に伴って同時期に露出する複数の芯材にそれぞれ別の香料を含浸させて、複数種の香料のハーモニーにより、ユーザーの嗜好の多様化に応じたより優れた芳香が空間に放たれるようにすることもできる。本発明の芳香性固形組成物は、無香の基材1に香料を含浸させた芯材2を埋設させた構造としていることから、このような調整も容易に行うことができる。