(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施例であるワーク供給装置100を示す平面視概要図、
図2はワーク供給装置100の側面視説明図である。ワーク供給装置100は、対向状に配置した一対のNC旋盤101a、101bに対するワークWの供給及び排出を実行するロボットアーム102にワークWを供給するものであって、容器反転部105、ホッパー部106,第1ベルトコンベア107,振動フィーダ108,第2ベルトコンベア109からなっている。ワークWとしては、水栓トイレに設置されるアングル止水栓(
図1B参照)であり、NC旋盤101a、101bによりワークWのバリ取り/磨き作業をすることを想定しているが、これには限定されずどのようなNC加工でも良い。
【0010】
ワーク供給装置100やロボットアーム102の外周囲には人が立ち入るのを制限するため囲い枠103a、103bが設置され、これら囲い枠103a、103bには作業者や被処理物の収容される収容容器の供給排出を行うための開閉部b1、b2が設けられている。
【0011】
図3A及びBはそれぞれ容器反転部105の正面図及び平面図であり、
図4A及びBはそれぞれ容器反転部105の右側面図及び背面図である。容器反転部105は収容容器104内のワークWをホッパー部106内に落下させるもので、枠構造体1、昇降枠体2、昇降駆動部3、ホルダー4、モータ5を備えている。
【0012】
昇降枠体2は方形枠体の枠構造体1内を昇降移動可能に保持されるもので、
図3及び
図4中では仮想線による二重斜線を付してその存在位置を示している。昇降枠体2は一対の側面部2a、2bと、横向きの棒部材2cと、各側面部2a、2bの外側に装着された4個の案内車輪2dで形成されている。案内車輪2dは、枠構造体1に敷設された案内枠内を転動する。昇降駆動部3はチェーン15を駆動し、チェーン15に接続された昇降枠体2を上下動する。
【0013】
図2に戻り、ホルダー4は、水平方向の対状の支軸16a、16bが固設されており、これら支軸16a、16bは昇降枠体2の一対の軸受17a、17bによりホルダー4は傾斜可能に支承されている。収容容器104は上面の全体が開放されており、走行移動可能に支持する4つの車輪20を備えている。収容容器104は、作業員によりホルダー4に搭載/離脱自在であり、ホルダー4に搭載される際にホルダー4の鈎部材19が、収容容器104下部の鈎孔部8に勘合して収容容器104はホルダー4が傾斜してもホルダー4に安定的に固定化される。
【0014】
モータ5が昇降枠体2の側面部2bに固定されており、変速機、スプロケット、チェーン等を介してモータ5の回動を支軸16bに伝達する。モータ5が回転作動することで、ホルダー4は収容容器104を水平位置(図中f2の状態)から収容容器104を傾け(同f4の状態)、反転させる(同f3の状態)。
【0015】
ホッパー部106について
図2及び
図5を参照して説明する。
図5はホッパー部106の周辺を示し、
図5Aは平面図で
図5Bは側方視説明図である。ホッパー部106は、フラップ31、覆い機構部27を備えている。
【0016】
ホッパー部106は、縦向き筒体であって下部を下細り状にしてフラップ31が底面となるように形成されており、台枠28により床面上に支持されている。ホッパー部106の内部空間には、保護板21が後下がりの傾斜状に架設されている。この保護板21は収容容器104からワークWが落下したとき、フラップ31に直接衝突しないようにするものである。フラップ31は、
図5Aに示すように前端部の下面に結合片を介して止着された支点軸32により、揺動可能に支持されている。
【0017】
第1センサ22は、収容容器104からホッパー部106内部に落下するワークWを光学的に検出するもので、ホッパー部106内部を光軸が横切るように投光部22a及び受光部22bを設けている。光軸の位置は、収容容器104の傾きが増したときにから最も速く落下するワークWが通過する可能性が高い位置に設定されている。
【0018】
第1センサ22は、容器反転部105のモータ5を制御するために用いられる。収容容器104を水平位置f2から次第に傾けたとき、第1センサ22においてワークWの存在が検出されると、その瞬間においてモータ5を制御し、収容容器104の傾きの増大を止める。第1センサ22は単一のセンサを有するものとしているが、これに限定するものではなく、収容容器104からワークWが落下したことを出来るだけ早く検出できるように、複数のセンサを設けることも差し支えない。
【0019】
図6はフラップ31及び覆い機構部27の周辺を示し、
図6Aは正面図で
図6Bは側方視説明図である。アーム部材34a、34b、支点軸32を中心にしてフラップ31と同体状に回転可能である。空気圧による伸縮作動可能な一対の第1シリンダ装置35a、35bの出力軸に対応するアーム部材34a、34bが回動可能に連結されている。第1シリンダ装置35a、35bが伸張作動することによりフラップ31は水平姿勢となってワークWの通過できない閉鎖状態とし、逆に第1シリンダ装置35a、35bが短縮作動することによりフラップ31は後下がりの傾斜姿勢となってホッパー部106の底を開放状態とする。
【0020】
覆い機構部27は、容器反転部105側のホッパー部106の側壁を形成している。ホルダー4が収容容器104を傾斜させてゆく過程で、ホッパー部106内部にホルダー4が進入するように移動する。その際、ホルダー4がホッパー部106内部に進入するための領域g1をホッパー部106に設けておく必要があるが、覆い機構部27はこれをホルダー4の移動に従って、覆うように作動するものであって、ホッパー部106のスライドドア36、上下移動案内部37、及びシリンダ装置38a、38bを備えている。
【0021】
スライドドア36は、上下移動案内部37a、37bに沿って領域g1内で上下自在に摺動する。シリンダ装置38a、38bの各出力軸がスライドドア36の下縁に連結されている。
【0022】
シリンダ装置38a、38bに供給された空気圧でその出力軸が上方へ押圧され、スライドドア36は上下移動案内部37a、37bに沿って上方へ移動する。
図2に示すように、ホルダー4が水平位置f2に位置しているときスライドドア36は
図6B中に仮想線h1で示す最大高さまで上昇した状態となり、領域g1の全域を覆った状態となる。一方、ホルダー4が傾斜してホッパー部106に進入すると(
図2中に符号f4の位置)、シリンダ装置38a、38bによる上方への押圧力よりも強い力でスライドドア36は押し下げられる。このような作動により、スライドドア36は領域g1を通ってワークWが落下しないように覆った状態となる。ホルダー4が水平に復帰すると、スライドドア36は再度上昇する。
【0023】
第1ベルトコンベア107はホッパー部106から落下されたワークWをコンベア面が受け止めて振動フィーダ108に移動させる。第1ベルトコンベア107は、
図1に示すように、第1ベルトコンベア107を周回移動可能に案内する複数の案内車41、これら案内車41を支持した本体フレーム42、モータ43を備えている。第1ベルトコンベア107は幅中央点がフラップ31の中央点の真下に位置され、
図2中に示すように上がりの傾斜状である。また、第1ベルトコンベア107上に落下したワークWを、傾斜の下流で受けるプレート47が設けられている。モータ43は第2センサ46がワークWを検出すると作動を開始され第1ベルトコンベア107を周回させる。
【0024】
第2センサ46はフラップ31から落下したワークWが第1ベルトコンベア107上の落下位置に存在することを検出するもので、第1センサ22の場合と同様に投光部46a及び受光部46bが使用されている。この第2センサ46は落下したワークWを検出すると直ちに第1シリンダ装置35a、35bを伸張作動させフラップ31を閉鎖する。
【0025】
図5に示すように、本例では第1ベルトコンベア107の搬送経路には、第2センサ46よりも下流に第3センサ45が設置されている。第3センサ45のセンサは第1ベルトコンベア107の搬送経路上であって第2センサ46のセンサよりも下流の位置にワークWが存在することを検出するものであって、投光部45aと受光部45bとが第1ベルトコンベア107による搬送方向に対し傾斜した方向で対向して配置されている。この第3センサ45は、ワークWが第1ベルトコンベア107上に残っていないかを検査するものである。
【0026】
振動フィーダ108は、第1ベルトコンベア107の搬送方向に交差する方向に、ワークWを搬送する搬送面39を有している。
図2、及び
図5に示すように、搬送面39に振動を付与する振動発生部51が設けられ、搬送面39は基台50上に装設されたコイルスプリング53及び板バネ54で弾性変位可能に支持されている。搬送面39の上面は断面形状がV形の溝状であり、載せられたワークWが振動により一方向に移動するように表面形状が加工されている。
【0027】
ワークWは、搬送面39に支持される。ワークWは搬送面39の振動により小刻みに移動する。この移動中に、搬送面39のV形の断面形状による案内作用により、仮に数個のワークWが重なり合っていても、搬送面39の振動により互いに重ならない状態でV形の溝に沿って単列に並ぶ。搬送面39の搬送方向終点に達し、ワークWはこの搬送方向終点から1個単位で第2ベルトコンベア109上に落下する。
【0028】
図1、及び
図5において、第4センサ55のセンサは搬送面39上の溝中央位置i2を、投光部55aと受光部55bによる光軸が通るように配置されている。本例では投光部55aが搬送面39の上流側に固定され、受光部55bは囲い枠103bに固定されている。第4センサ55のセンサによる光軸は第2ベルトコンベア109上を通過しているが、第2ベルトコンベア109は低い位置にあるため、第2ベルトコンベア109上のワークWがこの光軸を遮ることはない。第4センサ55によりワークWが光軸を遮る状態下において、第1ベルトコンベア107の搬送作動を停止させる。
【0029】
図1に示すように、第2ベルトコンベア109は、振動フィーダ108から落下した単一のワークWを水平支持面領域40に搬送する。第2ベルトコンベア109は、モータ60により周回駆動される。水平支持面領域40は第2ベルトコンベア109の搬送端部に形成された水平な平面であり、この姿勢安定性を向上させるため、水平支持面領域40の第2ベルトコンベア109の下側に水平な平面板61を固設し、第2ベルトコンベア109この平面板61の上面を摺接移動する構成とするのがよい。この第2ベルトコンベア109の搬送方向上には搬送上流から第5センサ62、第6センサ63及び第7センサ64が設置されている。
【0030】
第5センサ62は第2ベルトコンベア109の振動フィーダ108から落下したワークWを検出するもので、投光部62a及び受光部62bからなる。第5センサ62は、ワークWの存在を検出したとき、振動フィーダ108の振動発生部52の作動を停止させてその搬送作用を停止させるように作用する。
【0031】
第6センサ63は、ワークWが第2ベルトコンベア109の水平支持面領域40に入ったことを検出するもので、投光部63a及び受光部63bからなる。第6センサ63は、ワークWの存在を検出したとき、モータ60の回転を減速し第2ベルトコンベア109の搬送速度を低減させるように作用するものである。
【0032】
第6センサ63により検出されるとワークWは停止するために水平支持面領域40内をゆっくりと搬送される。第7センサ64は第2ベルトコンベア109の搬送経路上の搬送終点である水平支持面領域40の中央上にワークWが到達したことを検出するもので、投光部64a及び受光部64bからなる。第7センサ64は、ワークWの存在を検出すると第2ベルトコンベア109の移動が停止する。
【0033】
このようにして、ワーク供給装置100は収容容器104内のワークWの1個を水平支持面領域40の上に取り出す。第7センサ64がワークWを検出すると、撮像判別装置110は撮像部110aで映像情報を取得する。撮像判別装置110の制御部には予めワークWの水平支持面上での姿勢についてのデータや必要なプログラムを入力しておく。ワークWは外形が安定したものであれば、1つのみの状態で水平支持面上に安定的に支持される姿勢は限定的であり、水平支持面上での向きにバリエーションがある程度である。
【0034】
ロボットアーム102の制御部には、ワークWの取り得る姿勢ごとに、このワークWを正確に把持し必要場所に移動させるためのデータ及びプログラムを予め記憶させておく。撮像判別装置110が取得した映像情報から、制御部は水平支持面領域40上の1個のワークWが何れの姿勢となっているか及びその存在位置を判別する。
【0035】
判別されたワークWの姿勢及び位置に基づき、ロボットアーム102はワークWをピックアップし2台のNC旋盤101a、101bに対し適時に供給する。水平支持面領域40上の1個のワークWが存在しなくなると、これを第7センサ64が検出し、振動フィーダ108の作動を開始させる。
【0036】
図10は、ワーク供給装置100の動作フローである。ワーク供給装置100のコントローラ(図示せず)により実行される。本動作フローを用いて、ワークWを無造作に投入された収容容器104がホルダー4に固定され、枠構造体1内を昇降枠体2が上昇し、水平位置f2に位置している状態から説明する。
容器反転部105において、モータ5により収容容器104を搭載したホルダー4の傾斜を増加させる(ステップS1)。収容容器104内には、ワークWが無造作に重なり合った状態であるので、どのような角度でワークWの落下が開始するのか、突然大量に落下するのかバラバラと落下する想定するのが難しい状態である。
【0037】
第1センサ22が、最初の落下(ワークWが1つかもしれないし、多数が一度に落下したかもしれない)を検出すると(ステップS3)、直ちにモータ5による傾斜の増加を停止する(ステップS4)。この状態では、ホッパー部106内部には、1つ又は複数のワークWが存在している状態である。以降、後述するようにホッパー部106内部がカラになるまで傾斜の増加を行わず、傾斜の増加は間歇的である。
【0038】
第1シリンダ装置35a、35bを稼働して、フラップ31を開く(ステップS5)。第2センサ46がワークWの落下を検出すると(ステップS6)、フラップを閉じる(ステップS7)。このときに、フラップ31を通して落下するのも1つのワークWかもしれないし、複数かもしれない。複数の場合は、第1ベルトコンベア107の搬送方向や、上下に重なっているかもしれない。また、ホッパー部106内には、ワークWが残っているかもしれない。
【0039】
第1ベルトコンベア107を駆動する(ステップS8)。第1ベルトコンベア107は、第3センサ45がワークWを検出している限り、すなわち第1ベルトコンベア107のワークWが無くなるまで駆動される(ステップS9)。第1ベルトコンベア107上のワークWが無くなると、第1ベルトコンベアを停止する(ステップS10)。
【0040】
ワークWは、振動フィーダ108上に落下したので、これを第4センサ55が検出し(ステップS11)、振動フィーダ108による振動送りを開始する(ステップS13)。振動送りにより、ワークWは単列に並ぶようになる。
【0041】
振動フィーダ108から、第2ベルトコンベア109に最初の一個が落下したことを第5センサ62が検出すると(S14)、振動フィーダ108の振動送りを停止する。この結果、第2ベルトコンベア109には単一のワークWのみが存在することになる。
【0042】
第2ベルトコンベア109は、第6,第7センサを用いて、水平支持面領域40の中央に正確にワークWを停止させる(ステップS16)。
【0043】
ロボットアーム102が、水平支持面領域40のワークWをピックアップしてワークWが水平支持面領域40から消失すると、第7センサがこれを検出して(ステップS17)、振動フィーダ108を再度駆動する(S11へ戻る)。この際、第4センサ55がワークWを検出していないとき、すなわち、振動フィーダ108上にはワークWが無いときは、ステップS5に戻り、ホッパー部106からワークWを落下させる(S5に戻る)。
【0044】
フラップ31が開状態になって、所定時間経過しても第2センサ46がワークWを検出しないと、ホッパー部106内にはワークWが無い状態であると判断し、フラップ31を閉じてステップS1に戻る(ステップS12)。そして、ホルダー4の傾きを増加して、新たにワークWを収容容器104から落下させる。尚、ホッパー部106内にはワークWが無い状態は、第1センサ22をフラップ31の近傍に配置した場合は、第1センサ22で検出しても良い。また、ホッパー部106の重量を測定する他のセンサによっても検出できる。
【0045】
ホルダー4の傾きが
図2のf3のように反転の状態にまで最大化したら、処理を終了する(ステップS2)。
【0046】
図10は、ワーク供給装置100の動作フローにおいては、第4センサ55において振動フィーダ108上にワークwが検出されないときに、フラップ31を動作させて新たなワークを第1のベルトコンベア107に落下させていた。しかし、処理を速くするために、第1のベルトコンベア107にワークが無いことを検出すると予めフラップ31を動作させて新たなワークを第1のベルトコンベア107に落下させてスタンバイさせておき、第4センサ55において振動フィーダ108上にワークwが検出されないときに直ちに振動フィーダ108上に移動させるように動作フローを変更しても良い。
【0047】
本実施例のワーク供給装置100によれば、容器反転部105による収容容器104の傾きを増加させる過程において、第1センサ22が最初のワークWの落下を検出したら、傾きの増加を止めてさらなるワークWの落下を止めている。
【0048】
このため、ポッパー部106内には、絞られた量のワークWが存在することになる。但し、収容容器104からの落下量は、収容容器104内でのワークWの片寄り方、互いのからみ方により大きく変動しがちである。しかし、ポッパー部106内を落下するにつれて、ワークWの片寄り、互いのからみは、一旦は解消され、かつ傾き増加の停止により、続いて落下するワークWが無いことから、ワークWが再び片寄り、絡み合うことは抑止される。そして、ポッパー部106の底に配置されたフラップ31の一回の開閉により、均一化された個数のワークWを第1ベルトコンベア107上に取り出すことができる。ホッパー部106内に一度に多量のワークWが落下して堆積したときには、フラップ31の開閉を複数回だけ行えば良く、第1ベルトコンベア107上のワークWは予想された個数の範囲内である。この結果、後工程における振動フィーダ108による整列化、第2ベルトコンベアによるワークWの1つずつの取り出しが可能になる。
【0049】
第2ベルトコンベアは、水平支持面無領域に1つのみのワークWを提供するため、ロボットアーム102は現状入手可能な画像処理技術を適用すれば、ワークWを確実にピックアップできる。