(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465746
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】光ファイバコードリール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
G02B6/46
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-101716(P2015-101716)
(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公開番号】特開2016-218204(P2016-218204A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 章博
【審査官】
山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−135577(JP,U)
【文献】
実開平02−046784(JP,U)
【文献】
特開2004−163804(JP,A)
【文献】
独国特許発明第102008060843(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46
B65H 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の余長処理部材を連結して構成される分割式の光ファイバコードリールであって、
各余長処理部材は、光ファイバコードを巻き取るガイド面と、隣接する余長処理部材同士を連結する連結部を備え、
この連結部に、隣接する余長処理部材同士を摺動移動させながら連結位置まで導くスライド部と、
連結後の摺動移動を規制するロック部を、互いに離して配置したことを特徴とする光ファイバコードリール。
【請求項2】
前記のロック部として、突起部を有する係合部と、窪み部を有する被係合部の双方を備え、
この突起部が、スライド部の摺動方向に対し垂直に形成され、
この窪み部が、隣接する余長処理部材の突起部と係合してその移動を規制することを特徴とする請求項1記載の光ファイバコードリール。
【請求項3】
前記の突起部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成するとともに、
前記の窪み部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成したことを特徴とする請求項2記載の光ファイバコードリール。
【請求項4】
前記の少なくとも2つの窪み部のうち、
一方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち何れか一方に向かう動きを規制する第一の規制部を形成し、
他方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち他方に向かう動きを規制する第二の規制部を形成したことを特徴とする請求項3記載の光ファイバコードリール。
【請求項5】
前記の各突起部には、突起部を前記の窪み部へと誘導する誘込部を形成したことを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の光ファイバコードリール。
【請求項6】
前記のスライド部として、係合凸部を有する係合部と、係合溝部を有する被係合部の双方を備えることを特徴とする請求項1記載の光ファイバコードリール。
【請求項7】
前記のスライド部とロック部を、前記のガイド面の内周側に形成したことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコードリール。
【請求項8】
各余長処理部材のガイド面と垂直な上下2面を略扇形状に形成し、
これらの上下2面に対し垂直な面で、かつ前記扇形状を形成する直線を含む2つの面上に、それぞれ、スライド部とロック部の双方を配置し、
これらの2つの面のうち、
一方に、ロック部の係合部と、スライド部の被係合部を形成し、
他方に、ロック部の被係合部と、スライド部の係合部を形成したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光ファイバコードリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの余長を処理するための光ファイバコードリールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの余長を処理するための光ファイバコードリールの構造として、分割式構造、具体的には、
図16に示すように、それぞれ単独でも余長処理の用途に使用可能な余長処理部材30を連結して、サークル状のリールを形成した構造が開示されている(特許文献1)。
【0003】
上記の従来構造では、
図17に示すように、各余長処理部材30の一側部に係止部31を、他側部に係止溝部32を形成し、連結する余長処理部材を上下何れかの方向からスライドさせながら、一方の余長処理部材の係止部と、他方の余長処理部材の係止溝部を嵌め合せて連結を行っている。
【0004】
また、このように上下何れの方向からもスライド自在としつつ、連結後は、上下何れにも移動しない構造とすべく、
図18、
図19に示すように、係止部31と係止溝部32に引掛部33を形成している。
【0005】
このような構造において、
図19の状態から、余長処理部材30間の連結を解く際には、係止部31と係止溝部32に形成された引掛部33を撓ませる作業が必要となるが、上記の従来構造では、余長処理部材30をスライドさせる係止部31と余長処理部材30を連結する引掛部33とが一体構造となっており、また、各余長処理部材30は、強度確保の観点から、弾性の小さい部材で構成されているため、係止部31・係止溝部32・引掛部33の何れも撓み難くなっており、余長処理部材30間の連結を解く作業が行い難いという問題があった。
【0006】
なお、余長処理部材30を弾性の大きい部材で構成した場合、上記の問題は回避することができるが、連結後のリール全体での強度の観点や、余長処理部材間の連結箇所における連結強度の観点から、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3970165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は前記の問題を解決し、複数の余長処理部材を連結して構成される分割式の光ファイバコードリールにおいて、連結後のリール全体での強度や、連結箇所における連結強度を犠牲にすることなく、余長処理部材間の連結を解く作業も簡単に行えるようにした技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記の課題を解決するための手段として、複数の余長処理部材を連結して構成される分割式の光ファイバコードリールにおいて、各余長処理部材は、光ファイバコードを巻き取るガイド面と、隣接する余長処理部材同士を連結する連結部を備え、この連結部に、隣接する余長処理部材同士を摺動移動させながら連結位置まで導くスライド部と、連結後の摺動移動を規制するロック部を、互いに離して配置する構成を採用した。
【0010】
前記のロック部は、請求項2記載の発明のように、突起部を有する係合部と、窪み部を有する被係合部の双方を備え、この突起部が、スライド部の摺動方向に対し垂直に形成され、この凹部が、隣接する余長処理部材の凸部と係合してその移動を規制することが好ましく、請求項3記載の発明のように、前記の突起部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成するとともに、前記の窪み部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成することが好ましく、請求項4記載の発明のように、前記の少なくとも2つの窪み部のうち、一方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち何れか一方に向かう動きを規制する第一の規制部を形成し、他方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち他方に向かう動きを規制する第二の規制部を形成することが好ましく、請求項5記載の発明のように、前記の各突起部には、突起部を前記の窪み部へと誘導する誘込部を形成することが好ましい。
【0011】
前記のスライド部は、請求項6記載の発明のように、係合凸部を有する係合部と、係合溝部を有する被係合部の双方を備えることが好ましい。
【0012】
前記のスライド部とロック部は、請求項7記載の発明のように、前記のガイド面の内周側に形成することが好ましい。
【0013】
更に、請求項8記載の発明のように、各余長処理部材のガイド面と垂直な上下2面を略扇形状に形成し、これらの上下2面に対し垂直な面で、かつ前記扇形状を形成する直線を含む2つの面上に、それぞれ、スライド部とロック部の双方を配置し、これらの2つの面のうち、一方に、ロック部の係合部と、スライド部の被係合部を形成し、他方に、ロック部の被係合部と、スライド部の係合部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、複数の余長処理部材を連結して構成される分割式の光ファイバコードリールにおいて、各余長処理部材は、光ファイバコードを巻き取るガイド面と、隣接する余長処理部材同士を連結する連結部を備え、この連結部に、隣接する余長処理部材同士を摺動移動させながら連結位置まで導くスライド部と、連結後の摺動移動を規制するロック部を、互いに離して配置する構成を採用しているため、ロック部を撓み易くする構造とし、スライド部を撓みにくい構造とすることができる。これにより、連結後の光ファイバコードリール全体での強度や、連結箇所における連結強度を犠牲にすることなく、余長処理部材間の連結を解く作業の作業性向上を図ることができる。
【0015】
請求項2〜請求項4記載の発明のように、前記のロック部として、突起部を有する係合部と、窪み部を有する被係合部の双方を備え、この突起部が、スライド部の摺動方向に対し垂直に形成され、この窪み部が、隣接する余長処理部材の突起部と係合してその移動を規制するものとし、前記の突起部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成するとともに、前記の窪み部を、少なくとも2つ、並列配置するように形成し、前記の2つの窪み部のうち、一方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち何れか一方に向かう動きを規制する第一の規制部を形成し、他方の窪み部には、スライド部の摺動方向のうち他方に向かう動きを規制する第二の規制部を形成する構成とすることにより、隣接する余長処理部材同士を連結する際、上から嵌め込み下に向かってスライドさせる方法、および、下から嵌め込み上に向かってスライドさせる方法の何れにも対応することができ、連結作業の作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項5記載の発明のように、前記の各突起部には、突起部を前記の窪み部へと誘導する誘込部を形成する構成とすることにより、突起部の窪み部への係合が容易となり、連結作業の作業性を更に向上させることができる。
【0017】
請求項7記載の発明のように、スライド部とロック部をガイド面の内周側に形成することにより、光ファイバの余長をガイド面に巻き取る際、光ファイバが、スライド部やロック部に引っ掛かることを防止することができる。
【0018】
請求項8記載の発明のように、各余長処理部材のガイド面と垂直な上下2面を略扇形状に形成し、これらの上下2面に対し垂直な面で、かつ前記扇形状を形成する直線を含む2つの面上に、それぞれ、スライド部とロック部の双方を配置し、これらの2つの面のうち、一方に、ロック部の係合部と、スライド部の被係合部を形成し、他方に、ロック部の被係合部と、スライド部の係合部を形成することにより、ロック部とスライド部の係合部及び被係合部を各々互い違いに形成しているため、隣接する余長処理部材同士を安定した状態で連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】光ファイバコードリールを表面からみた全体斜視図である。
【
図2】光ファイバコードリールを裏面からみた全体斜視図である。
【
図3】余長処理部材を表面からみた全体斜視図である。
【
図4】余長処理部材を裏面からみた全体斜視図である。
【
図5】一方の余長処理部材同士を上から嵌め込み下に向かってスライドさせて、余長処理部材同士を連結する方法を説明する図である。
【
図7】一方の余長処理部材同士を下から嵌め込み上に向かってスライドさせて、余長処理部材同士を連結する方法を説明する図である。
【
図9】余長処理部材同士を係合させた状態を説明する図である。
【
図10】余長収納部材同士を異なる方向から係合させた状態を説明する図である。
【
図12】光ファイバコードリールを上下に段積みした状態を示す全体斜視図である。
【
図13】光ファイバコードリールを上下に段積みする直前の状態を示す全体斜視図である。
【
図14】光ファイバコードリールの底面部の要部拡大図である。
【
図15】光ファイバコードリールの天井部の要部拡大図である。
【
図16】従来技術における、分割式構造を有する光ファイバコードリールの全体斜視図である。
【
図17】
図16の光ファイバコードリールを構成する余長処理部材の全体斜視図である。
【
図18】余長処理部材の連結直前の状態を説明する垂直断面図である。
【
図19】余長処理部材を連結させた状態を説明する垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。以下、本明細書において、光ファイバコードとは、光ファイバ・光コード等を意味するものであり、光ファイバコードリールとは、この光ファイバコードの余長を巻き取って処理する用途に好適に用いられるものである。
【0021】
本実施形態の光ファイバコードリール1は、
図1、
図2に示すように、複数の余長処理部材2を連結して構成される分割式構造からなり、各余長処理部材2は、
図3、
図4に示すように、光ファイバコードを巻き取る曲面からなるガイド面3と、隣接する余長処理部材同士を連結する連結部4を備えている。
【0022】
また、各余長処理部材2は、ガイド面3を上下から挟み込むように、天井部5と底面部6を備えている。
【0023】
図1に示すように、天井部5の外側端部には下方に向けて突出させた折返辺7を備え、底面部6の外側端部には上方に向けて突出させた折返辺8を備えている。これらの折返辺7、8は、ガイド面3に巻き取られた光ファイバコードをその状態に維持する機能を有する。本実施形態では、天井部5の折返辺7と、底面部6の折返辺8とが互いに対向しないように、交互に配置させている。このような配置とすることにより、最低限の数の折返辺7、8で、前記の機能を効率よく奏することができる。また、光ファイバコードを巻き取る作業、取り外す作業を簡単に行うことができる。
【0024】
各余長処理部材2は、連結させずに、それぞれ単独で使用可能とすることもできる。そのための構造として、余長処理部材2の裏面には、
図3、
図4に示すように、各余長処理部材2を光ファイバコードが収納される基板上にネジ止めするための取付孔9が形成されている。その他、取付孔9の代わりに余長処理部材2の裏面に圧入部を形成し、基板上に圧入して取り付ける構造とすることもできる。これらの取付孔9や圧入部は、各各余長処理部材2を連結してリール形状とした際、光ファイバコードのその巻き付け面となるガイド面3よりも内周側に形成することが好ましい。
【0025】
図3、
図4に示すように、隣接する余長処理部材2同士を連結する連結部4には、隣接する余長処理部材2同士を摺動移動させながら連結位置まで導くスライド部10と、連結後の摺動移動を規制するロック部11を、互いに離して配置させている。このため、ロック部11とスライド部10を独立して形成するため、ロック部11を薄い板状に形成し撓み易くする構造とし、余長処理部材2同士の連結を容易に解くことができ、スライド部10を厚みを持たせて形成し連結箇所における強度を持たせるものである。その他に、例えば、余長処理部材2同士を連結するロック部11は弾性の大きい部材で形成し、余長処理部材2の移動規制を行うスライド部10は弾性の小さい部材で形成することができる。これにより、連結後の光ファイバコードリール1全体での強度や、連結箇所における連結強度を犠牲にすることなく、余長処理部材間の連結を解く作業の作業性向上を図ることができる。
【0026】
また、スライド部10とロック部11は、ガイド面3よりも内周側に配置させている。このため、余長収納部材2同士を連結したとき、
図1に示すように、ガイド面3の内周で囲まれた空間内に連結部4となるスライド部10とロック部11が収納されるため、光ファイバコードの余長をガイド面3に巻き取る際、光ファイバコードが、スライド部10やロック部11に引っ掛かることを防止することができる。
【0027】
図3、4に示すように、各余長処理部材2の天井部5と底面部6は扇形状を有している。底面部6には、ガイド面3の内周に延びる延出面6aを形成し、延出面6aにはロック部11を配置し、天井部5と延出面6aに渡って形成したスライド部10を配置している。それぞれ、延出面6aのスライド部10とロック部11の双方は扇形状を構成する直線を含む面上の一側部6bと他側部6cに配置し、これらの2つの面のうち、一側部6bに、ロック部11の係合部12と、スライド部10の被係合部13が形成され、他側部6cに、ロック部11の被係合部14と、スライド部10の係合部15が形成されている。このように、ロック部11とスライド部10の係合部12、15及び被係合部13,14を互い違いに形成しているため、隣接する余長処理部材2同士を安定した状態で連結することができる。なお、上記に示した基板上に取り付けられる取付孔9や圧入部は、延出面6aに取り付けられているものである。
【0028】
スライド部10の被係合部13には、略L字状(鉤状)の係合溝部が、天井部5から底面部6(延出面6a)に渡って形成され、スライド部10の係合部15には、略L字状(鉤状)の係合凸部が、天井部5から底面部6(延出面6a)に渡って形成されている。連結作業時には、隣接する余長処理部材2のうち一方の係合溝部と他方の係合凸部とを合わせて摺動移動させながら連結位置まで導くことにより、連結作業の作業性向上を図ることができる。
【0029】
図3、
図6に示すように、ロック部11は、弾性部材の平面板を用いて、スライド部10と並列に形成されている。ロック部11の係合部12には、スライド部の摺動方向に対し垂直に形成された突起部16が形成され、ロック部11の被係合部14には、この突起部16と係合してその移動を規制する窪み部17が形成されている。
【0030】
突起部16と窪み部17は、それぞれ、少なくとも2つずつ、並列に形成されている。
【0031】
図6に示すように、2つの窪み部のうち、一方の窪み部17には、スライド部10が上方に向かう動きを規制する第一の規制部18が形成され、他方の窪み部17には、スライド部10が下方に向かう動きを規制する第二の規制部19が形成されている。このため、余長処理部材2同士を連結する際、上から嵌め込み下に向かってスライドさせる方法、および、下から嵌め込み上に向かってスライドさせる方法の何れにも対応することができ、連結作業の作業性を向上させることができる。
【0032】
図6、
図9に示すように、連結位置において第一の規制部18に係止される突起部16aには、連結位置において第一の規制部18と係止される係止面21と、突起部16aの下方を斜め下方向けて切り欠いて形成された誘込部20が形成されている。また、連結位置において第二の規制部19に係止される突起部16bには、連結位置において第二の規制部19と係止される係止面21と、突起部16bの上方を斜め上方に向けて切り欠いて形成された誘込部22が形成されている。このような構造とすることにより、突起部16(16a,16b)を窪み部17へと誘導しやすくなり、連結作業の作業性を、更に向上させることができる。なお、本実施形態では、突起部16をロック部11の開放端部(上方側端部)に形成しているため、ロック部11を撓ませて突起部16を窪み部17から外す作業も容易に行うことができる。
【0033】
なお、
図3、4に示したように、スライド部10の被係合部13には、略L字状(鉤状)の係合溝部が、天井部5から底面部6に渡って形成され、スライド部10の係合部15には、略L字状(鉤状)の係合凸部が、天井部5から底面部6に渡って形成されているのに対し、ロック部11の突起部16は、天井部5と底面部6の中間位置近傍に配置されている。このため、隣接する余長処理部材2同士を連結する際、一方の余長処理部材2を上から嵌め込み下に向かってスライドさせる方法(
図5〜8参照)、および、一方の余長処理部材2を下から嵌め込み上に向かってスライドさせる方法(
図10、11参照)の何れの場合であっても、ロック部11同士の係合に先立って、スライド部10同士(一方の係合溝部と他方の係合凸部)が係合され、ロック部11を係合位置までスライド方向に対して垂直方向への移動を規制した状態で移動させることができ、余長処理部材2同士の連結を行いやすくしている。
【0034】
一方の余長処理部材2を上から嵌め込み下に向かってスライドさせる場合(
図5〜8参照)には、一方のスライド部10の被係合部13の係合溝部が、他方のスライド部10の係合部15の係合凸部に、上方から挿入され、垂直下方に向かって摺動移動していく(
図5、6参照)。本実施形態では、上方から挿入されて下方に向けて摺動移動中の余長処理部材2のロック部11の係合部12に形成された突起部16のうち、下方を斜め下方向けて切り欠いて形成された誘込部20を有する突起部16aが、他方の余長処理部材2のロック部11の被係合部14と当接する(
図7、8参照)。続いて、この被係合部14を有するロック部11もしくは係合部12を有するロック部11の何れかが撓んで、前記の誘込部20を有する突起部16aが、被係合部14を乗り越え、被係合部14の面上を滑りながら移動して第一の規制部18と係合するとともに、上方を斜め上方に向けて切り欠いて形成された誘込部21を有する突起部16bの係止面21が第二の規制部19と係合する(
図9参照)。これらの係合を解除したい場合には、窪み部17を有するロック部11の端部を撓ませて、前記の各係合(下方を斜め下方向けて切り欠いて形成された誘込部20を有する突起部16aと第一の規制部18の係合、および、上方を斜め上方に向けて切り欠いて形成された誘込部22を有する突起部16bと第二の規制部19の係合)を解除させた後、少なくともどちらかの余長処理部材2を上方または下方に移動させて突起部16aと第一の規制部18、及び、突起部16bと第二の規制部19の係合の解除を行う。
【0035】
また、一方の余長処理部材2を下から嵌め込み上に向かってスライドさせる場合(
図10、
図11参照)には、一方のスライド部10の被係合部13の係合溝部が、他方のスライド部10の係合部15の係合凸部に、下方から挿入され、垂直上方に向かって摺動移動していく本実施形態では、下方から挿入されて上方に向けて摺動移動中の余長処理部材2のロック部11の被係合部14に、上方を斜め上方に向けて切り欠いて形成された誘込部22を有する突起部16bが当接する(
図11参照)。続いて、この被係合部14を有するロック部11もしくは係合部12を有するロック部11が撓んで、前記の誘込部22を有する突起部16bが、被係合部14を乗り越え、被係合部14の面上を滑りながら移動して第二の規制部19と係合するとともに、下方を斜め下方向けて切り欠いて形成された誘込部20を有する突起部16aが第一の規制部18と係合する(
図9参照)。これらの係合を解除したい場合には、窪み部17を有するロック部11の端部を撓ませて、前記の各係合を解除させた後、少なくともどちらかの余長処理部材2を上方または下方に移動させて突起部16aと第一の規制部18、及び、突起部16bと第二の規制部19の係合の解除を行う。
【0036】
本実施形態の光ファイバコードリール1は、
図12に示すように、上下に段積して使用される。。光ファイバコードリール1を段積した状態で連結させるための構造として、光ファイバコードリール1の天井部5と底面部6に、係合部及び被係合部を形成している。
【0037】
図13〜15に示すように、本実施形態では、底面部6に、係合部として、下方即ち他方のコードリール方向に突出させた凸部23を形成し、天井部5に、この係合部と係合する被係合部として、前記の凸部23が係合可能な孔状の凸部受部26を形成している。また、底面部6の凸部23に隣接した位置には、フック状の規制片24を、凸部23より下方に突出させて形成し、天井部5には、前記の規制片24が挿通可能な孔部25を形成している。更に、凸部23の凸部受部26方向には傾斜状の誘込部27を形成している。同様に、凸部受部26に対応する孔部25の端部にも傾斜状の誘込部28を形成している。少なくとも誘込部は一方のみでよい。また、本実施形態では、係合部を底面板6に形成し、被係合部を天井部5に形成したが、逆であっても良い。
【0038】
光ファイバコードリール1を段積して連結させる作業は、次の手順で行う。一方の光ファイバコードリール1の底面部6の規制片24及び凸部23を、他方の光ファイバコードリール1の天井部5の孔部25に挿通して嵌め込む。その後、周方向、詳しくは、凸部受部26の方向に一方又は他方のコードリールを回動させる。周方向に回動させると、凸部23の誘込部27が、孔部25の誘込部28に当接する。そして、凸部23が誘込部28を乗り越えながら、凸部受部26に係合される。係合させたとき、フック状の規制片24は、天井部5の下面に潜りこむことによって孔部25の端縁に係合して係止され、離れる方向への移動が規制される。凸部23を凸部受部26の係合方向とは反対方向に移動させて、回動すれば容易に分解することができる。
【0039】
なお、光ファイバコードリール1は余長処理部材を複数連結させてリール状に形成しているものであり、隣接する余長処理部材2間に係合面50が生じる。本実施形態では、
図12に示したように、一方の光ファイバコードリール1の底面部6の凸部23と、他方の光ファイバコードリール1の天井部5の凸部受部26を係合させたとき、上下の余長処理部材の係合面50が重ならないように、係合面50をずらして形成している。余長処理部材2間に係合面50が重なっている場合には、上下に段積した状態で、光ファイバコードリール1の天井部5方向から力が加わった場合には、係合面50に掛かった力が上下の光ファイバコードリール1に加わるため、余長処理部材2間の係合が外れやすくなるが、上記のように、上下の余長処理部材2の係合面50が重ならないようにずらした配置をとることにより、係合面50に掛かった力が上下の光ファイバコードリール1に加わった場合でも、余長処理部材2間の係合を外れにくくすることができる。
【0040】
本実施形態では、光ファイバコードリール1を回動させやすいように、底面部6、即ち係合部を形成した同一面上に、光ファイバコードリール1のガイド面の内周面に当接する案内片29を形成している。これにより、係合の位置合わせが容易になる、という効果も得られる。案内片29を、天井部5から底面部6に渡って形成したスライド部10を避ける位置に形成することにより、一定以上の回動を規制することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 光ファイバコードリール
2 余長処理部材
3 ガイド面
4 連結部
5 天井部
6 底面部
6a 延出面
6b 一側部
6c 他側部
7、8 折返辺
9 取付孔
10 スライド部
11 ロック部
12 (ロック部11の)係合部
13 (スライド部10の)被係合部
14 (ロック部11の)被係合部
15 (スライド部10の)係合部
16 突起部
17 窪み部
18 第一の規制部
19 第二の規制部
20 誘込部
21 係止面
22 誘込部
23 凸部
24 規制片
25 孔部
26 凸部受部
27 誘込部
28 誘込部
29 案内片
30 余長処理部材
31 係止部
32 係止溝部
33 引掛部
50 係合面