(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るフラップヒンジ及びフラップヒンジを備えた収納体の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフラップヒンジを備えた収納体を示す、収納体内部方向から見た要部斜視図であり、(a)は収納体に対して扉体を閉じた状態、(b)は同じく扉体を開いた状態を示している。
同図に示すように、本実施形態に係るフラップヒンジ10は、例えばキッチンの流し台のキャビネット等の収納体の本体に開閉自在な扉体を取り付けるためのフラップヒンジであり、収納体の開口部を覆う扉体の両端を支持する一対対称形のフラップヒンジが備えられるようになっている。
【0015】
[キャビネット・扉]
図1に示す例では、収納体となる流し台のキャビネット1の前面開口部に、扉体としてほぼ正方形の扉2を取り付けるために、扉2の左右両端にそれぞれフラップヒンジ10が備えられるようになっている。
また、扉2の収納体内側面には、例えば皿やフライパン,調理器具などの小物を収納可能なホルダーとなる小物収納3が備えられている。
また、キャビネット1の開口部の扉2の内面と対向・当接する開口周縁部には、緩衝用のクッション材1aが配設されている(
図2,3参照)。
【0016】
なお、
図1では、キャビネット1の前面開口部周辺の要部のみを示しており、キャビネット1の全体像の図示は省略してある。
このような本実施形態に係るキャビネット1は、フラップヒンジ10が備えられることで、扉2の開閉が円滑となり、かつ急激な開閉動作が抑制されることになり、また、小物収納3を備えた扉2は、収納体に対して所定の角度(例えば約50度)以上展開しないように取り付けられる。
以下、本実施形態のフラップヒンジ10の詳細について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
[フラップヒンジ]
図2は、本実施形態に係るフラップヒンジ10の外観を示す、扉体を取り付ける前のキャビネット1の前方から見た要部斜視図であり、フラップヒンジ10をキャビネット1に取り付ける前の状態を示している。
図3は、本実施形態に係るフラップヒンジ10をキャビネット1及び扉2に取り付けた状態のキャビネット側面から見た要部断面図であり、キャビネット1に対して扉2を閉じた状態を示している。
図4(a)及び(b)は、本実施形態に係るフラップヒンジ10の外観を示す斜視図であり、(a)はキャビネット前面に向かって右側に取り付けられるフラップヒンジ10の組立状態及び分解状態、(b)は同じく左側に取り付けられるフラップヒンジ10の分解状態及び組立状態を示している。同図(c)は、本実施形態に係るフラップヒンジ10において、カバー20内に配設・位置決めされるダンパー19(19a,19b)の状態を示す収納体側面から見たカバーの要部断面図である。
また、
図5は、本実施形態に係るフラップヒンジを介して収納体に取り付けられた扉体の開閉状態の軌跡を示す、収納体側面から見た要部断面図であり、(a)は収納体に対して扉体が閉じられた状態、(b)は同じく扉体が約32度展開された状態、(c)は同じく扉体が最大展開角度(約50度)まで展開された状態を示している。
【0018】
これらの図に示すように、フラップヒンジ10は、ヒンジ構造の本体(基板)となるベース11と、取付ブラケット12,取付金具13,リンク14(15,16),引張りバネ17,隙間板18,ダンパー19(19a,19b)及びカバー20の各部を備えた構成となっている。
ベース11は、収納体となるキャビネット1側に取り付けられるベース部材であり、本実施形態では、金属製等の板状部材からなるベース11が、キャビネット1の前面開口部の左右両端の内側面に取り付けられて固定されるようになっている。このベース11が基板となってフラップヒンジ10を構成する各部が一体的に組み立てられるようになっている。
なお、本実施形態では、
図4に示すように、ベース11の所定箇所にネジ止め用の貫通孔が穿設してあり、図示しないネジや釘等によってキャビネット1の開口部内側面(
図2参照)に固定されるようになっている。
【0019】
取付ブラケット12は、キャビネット1の扉2側に取り付けられる部材であり、本実施形態では、金属製等の板状部材からなる取付ブラケット12が、取付金具13を介して扉2に固定されるようになっている。
取付ブラケット12には、取付金具13がネジ留めにより固定されて取り付けあれる取付面が備えられ、この取付面には、取付金具13と係合する切り欠き12a及び切り欠き12a内に突出する突起部12bが備えられている。
また、取付ブラケット12のキャビネット1側に伸びる端部は、後述するカバー20との隙間を可能な限り少なくするように延伸・延設された湾曲部12cとなっている
そして、この取付ブラケット12は、リンク14(15,16)を介してベース11に回動可能に連結されるようになっている。
【0020】
取付金具13は、取付ブラケット12の取付面に着脱可能に取り付けられる部材であり、この取付金具13を介して取付ブラケット12が扉2側に取り付けられるようになっている。
取付金具13は、本実施形態では、L字形状に形成された金属製等の板状部材からなり、
図2〜4に示すように、L字形状の一片側(短片側)が、取付ブラケット12側の取付面に形成された切り欠き12a内の突起部12b(
図7,9,10参照)に係止・位置決めされつつ、ネジ止め固定されるとともに、L字形状の他片側(長辺側)が、扉2の内面にネジ止め固定されるようになっている。
具体的には、取付金具13の取付ブラケット12の取付面に固定される短片には、取付ブラケット12側に螺合するネジ止め用の貫通孔が穿設してあり、取付金具13の長片にも、
図2,4に示すように、所定箇所にネジ止め用の貫通孔が形成してあり、図示しないネジや釘等によって扉2の内面に固定されるようになっている。
【0021】
また、取付金具13の短片側端部は鉤状にほぼ直角に折り曲げ形成された折り曲げ部13aとなっており、この折り曲げ部13aに取付ブラケット12の突起部12bが挿入・係合する切り欠き13bが形成されている(
図7,9,10参照)。
これにより、取付金具13の折り曲げ部13aが取付ブラケット12側の切り欠き12aに係止し、取付ブラケット12側の突起部12bが取付金具13の切り欠き13bと係合することにより、取付金具13は取付ブラケット12に対して所定位置に位置決めされるようになり、取付作業が容易かつ正確に行えるようになる。
また、取付金具13は、キャビネット1側の端縁が折り曲げ形成された折り曲げ部13aの付け根部分に切り欠き13bが形成されており、取付ブラケット12の突起部12bに切り欠き13bを係合させると、取付金具13の折り曲げ部13aがキャビネット1側において取付ブラケット12の取付面に係止して引っ掛けられた状態となって位置決めされ、かつ、連結が保持されるようになっている。
【0022】
このように、取付ブラケット12は、扉2の内面に固定された取付金具13を介して扉2に取り付けられることになる。
取付ブラケット12を取付金具13を介して扉2に固定する構成とすることで、フラップヒンジ10をキャビネット1及び扉2に取り付ける際に、取付ブラケット12を含むベース11と取付金具13とをそれぞれキャビネット1側と扉2側に別々に取り付けた後、取付金具13を取付ブラケット12に取り付けることでキャビネット1と扉2を組み立てることができ、組立作業が容易に行えるようになる(
図9〜11参照)。
【0023】
また、取付金具13と取付ブラケット12とが、上述した折り曲げ部13aと切り欠き12a、及び切り欠き13bと突起部12bが係合することにより位置決め・保持されることにより、取付金具13と取付ブラケット12とのネジ止め固定がされていない状態においても、取付金具13と取付ブラケット12との取付が容易には脱落しないようにすることができる(
図9〜11参照)。
これによって、取付金具13と取付ブラケット12とのネジ止めが外れてしまったような場合でも、取付金具13と取付ブラケット12との取付は容易には脱落せず、扉2がキャビネットから脱落・落下等する危険性を回避することができるようになる。
【0024】
リンク14は、ベース11及び取付ブラケット12に回動可能に取り付けられる部材であり、取付ブラケット12をベース11に対して折り畳み可能、及び所定角度に展開可能に連結するリンク手段として機能する。
具体的には、リンク14は、ベース11と取付ブラケット12とを回動可能に連結する第一のリンク15と、取付ブラケット12をベース11に対して所定角度を超えて展開しないように規制する第二のリンク16とからなる。
この第一及び第二のリンク15,16は、ベース11と取付ブラケット12とを回動可能に連結する例えば金属製の板状部材や棒状部材によって形成される。
【0025】
第一のリンク15は、一端においてベース11の下端側に回動可能に連結され、他端において取付ブラケット12の下端側に回動可能に連結されている。
これによって、取付ブラケット12は、第一のリンク15の連結部分を支点として、ベース11に折り畳み及び展開ができるようになる(
図5参照)。
第二のリンク16は、一端においてベース11の上端側に回動可能に連結され、他端において取付ブラケット12の第一のリンク15の連結部分の上部近傍に回動可能に連結されている。この第二のリンク16を備えることで、取付ブラケット12が展開されていくと、取付ブラケット12側の連結位置において、第二のリンク16と第一のリンク15とが当接・干渉し、第一及び第二のリンク15,16がそれ以上回動しないように規制されるようになっている
これによって、第一のリンク15によって回動可能な取付ブラケット12は、その回動範囲が第二のリンク16によって規制されて、ベース11に対して所定角度を超えて展開しないようになる(
図5参照)。
【0026】
ここで、本実施形態では、取付ブラケット12の展開角度が、ベース11に対して最大約50度となるように(
図5(c)参照)、第一及び第二のリンク15,16の長さが設定されている。
従って、この第一及び第二のリンク15,16の長さを変更することにより、ベース11に対する取付ブラケット12の展開角度を変更・調整することが可能となる。
そして、以上のような第一及び第二のリンク15,16を備えたリンク14のうち、第一のリンク15と取付ブラケット12との間に、引張りバネ17が架設・張架されるようになっている。
【0027】
引張りバネ17は、
図3に示すように、取付ブラケット12とリンク14間に架設される付勢手段である。引張りバネ7は、まず、取付ブラケット12がベース11側に折り畳まれると、リンク14を介して取付ブラケット12をベース11に折り畳まれる方向に付勢する(引っ張る)ことにより、取付ブラケット12をベース11に対して折り畳まれた状態で保持する。
また、引張りバネ7は、取付ブラケット12がベース11に対して展開されると、当該取付ブラケット12をベース11に対して所定角度で展開された状態で保持するようになっている。
【0028】
具体的には、引張りバネ17は、第一のリンク15のベース11側の連結部分下側近傍と、取付ブラケット12の第一のリンク15の連結部分近傍に取り付け(引掛け)られており、両取付位置間を常に引っ張る方向に付勢力が作用している。
図6(a)及び(b)に、本実施形態に係るフラップヒンジ10のリンク14(15,16)と取付ブラケット12及び引張りバネ17の関係を示す。
同図に示すように、第一のリンク15と第二のリンク16,取付ブラケット12、及び引張りバネ17の引掛け位置の位置関係により、取付ブラケット12は最大角度に展開された状態で保持されるようになっている(
図6参照)。
【0029】
より具体的には、
図6(a)に示すように、第一のリンク15と取付ブラケット12の連結部分を基点軸Pとして、その基点軸Pを中心に挟んで引張りバネ17の両端と、第一のリンク15及び取付ブラケット12との連結部となる引掛け位置S1,S2が設定されている。
そして、
図5に示すように、ベース11と取付ブラケット12(取付金具13)の展開角度が約32度となると、基点軸Pを中心に挟んで引張りバネ17の両端の第一のリンク15との連結部及び取付ブラケット12との連結部となる引掛け位置S1,S2の中心が一直線上になり、力がつり合うようになっている(
図5(b)及び
図6(a)参照)。
したがって、この展開角度約32度の状態で、基点軸Pを中心とした回転モーメントが働かなくなり、その線上で回転しようとする引張りバネ7の力が各リンク15,16へも伝わらなくなるため、止まった(均衡した)状態となる。
【0030】
これに対して、展開角度約32度以下の場合には、引張りバネ7の両側引掛け位置S1,S2の線上に対し、基点軸Pが下側にあるため、閉じる方向に回転モーメントが働き、取付ブラケット12(取付金具13)はベース11側に付勢・引っ張られることになり、折り畳まれる方向に移動する。
一方、展開角度約32度以上の場合には、引張りバネ17の両側引掛け位置S1,S2の線上に対し、基点軸Pが上側にあるため、開く方向に回転モーメントが働き、取付ブラケット12(取付金具13)はベース11と反対側に付勢・引っ張られることになり、展開される方向に移動することになる。
このような引張りバネ17の付勢力とリンク15,16の基点軸Pの作用により、取付ブラケット12がベース11に対して折り畳まれた状態及び所定角度で展開された状態で移動・保持され、キャビネット1に対して扉2が所定角度で展開でき、また、滑らかに閉じられるように動作するようになる(
図5参照)。
【0031】
そして、以上のように所定角度で展開及び折り畳み動作が行われるリンク14は、後述するダンパー19(19a,19b)によってその動作が緩衝・減衰されるようになっており、リンク14を介して行われる扉2の回動・開閉動作が滑らかに行われるようになっている。
本実施形態では、
図6に示すように、リンク14の第一のリンク15の上端縁がダンパー19(19a,19b)と当接する当接部、具体的には、第一及び第二の当接部15a,15bとなっており、この当接部15a,15bが対応するダンパー19a,19bに当接・押圧されることで、リンク14の回動動作が緩衝・減衰されるようになる。
【0032】
より具体的には、第一の当接部15aは、取付ブラケット12が折り畳まれる方向に移動されると、対応する第一のダンパー19aと当接して当該第一のダンパー19aを押圧するように作用する。
一方、第二の当接部15bは、取付ブラケット12が展開される方向に移動されると、対応する第二のダンパー19bと当接して当該第二のダンパー19bを押圧するように作用する。
これによって、第一のリンク15の第一及び第二の当接部15a,15bが対応するダンパー19a,19bによって当接・押圧され、リンク14の回動動作が緩衝・減衰されることになる。
このダンパー19による緩衝・減衰作用については、更に後述する。
【0033】
また、以上のように展開・折り畳み動作が行われる第一及び第二のリンク15,16は、取付ブラケット12がベース11に対して折り畳まれる過程において、開閉される扉2とキャビネット1との間に第一及び第二のリンク15,16の間の隙間が塞がれて露出しないようになっている。
具体的には、取付ブラケット12が展開・開閉される状態において扉2とキャビネット1との間に出没・突出する、第一のリンク15と第二のリンク16の間の隙間を塞ぐ遮蔽手段として隙間板18を備えている。
【0034】
図7(a)及び(b)は、本実施形態に係るフラップヒンジ10に備えられる隙間板18の機能を示した斜視図であり、(a)は隙間板を備えている場合、(b)は隙間板を備えていない場合を示している。
同図に示すように、隙間板18は、第二のリンク16とベース11との間に配設される板状部材からなり、第二のリンク16とほぼ同様の長さの板状部材が、第二のリンク16に積層された状態で配設されている。
【0035】
この隙間板18は、上端側が第二のリンク16とともにベース11に回動可能に連結されるとともに、下端側は自由端として固定されないようになっている。
そして、このように配置された隙間板18は、取付ブラケット12がベース11側から展開されると、重ねて配置されている第二のリンク16の展開動作に伴って移動・展開して、
図7(a)に示すように、第一のリンク15と第二のリンク16の間の隙間を塞ぐように突出・露出する。
【0036】
さらに、本実施形態では、第一及び第二のリンク15,16によって展開・折り畳み動作が行われる取付ブラケット12とカバー20との間に、できる限り隙間ができないように構成されている。
具体的には、取付ブラケット12には、上述した通り、キャビネット1側に伸びる端部が、カバー20に湾曲するようにして延伸・延設された湾曲部12cとなっている。
図7(c)に、湾曲部12cにより取付ブラケット12とカバー20の間に隙間がほぼ存在しない状態を示す。
【0037】
同図に示すように、取付ブラケット12のキャビネット1側の端部が、湾曲部12cとして湾曲・延伸されるように形成されている。
湾曲部12cは、取付ブラケット12の回動・展開方向に沿った湾曲形状に形成されており、取付ブラケット12が回動しても、その表面がカバー20と当接・緩衝せず、かつ、カバー20の内部が露出しないように、取付ブラケット12の移動方向に沿って延在するようになっている。
このような湾曲部12cを備えることで、取付ブラケット12が折り畳み状態から展開状態に至るまでの間、最大角度までに展開された状態においても、カバー20側に伸びる湾曲部12cによって、カバー20と取付ブラケット12の間の隙間は、湾曲部12cによって塞がれるようになる。
【0038】
以上のように、本実施形態では、まず隙間板18を備えることによって、第一及び第二のリンク15,16は、取付ブラケット12が展開された状態において、キャビネット10に固定されるベース11側が隙間板18によって覆われて隠されるようになる。したがって、扉2がキャビネット1に対して開閉される際に、第一及び第二のリンク15,16の間の隙間は隙間板18によって隠されて扉2とキャビネット1の間に露出しないようになり、第一及び第二のリンク15,16が回動しても、そこに使用者の手指が挟まれることがなく、安全に扉2の開閉動作が行われるようになる。
また、取付ブラケット12にカバー20側に伸びる湾曲部12cを備えることによって、カバー20と取付ブラケット12の間の隙間は、湾曲部12cによって塞がれる、カバー20と取付ブラケット12との間に極力隙間が生じないようにすることができ、そこに手指等が挟まれることを抑止乃至防止することができるようになる。
【0039】
ダンパー19は、扉2に取り付けられる取付ブラケット12の展開及び折り畳み動作に伴って、当該取付ブラケット12の移動が緩やかになるようリンク14の回動を緩衝・減衰する緩衝・減衰手段である。
ダンパー19は、例えばハウジング部とハウジング部に対して移動可能なピストンロッドを備えたリニアダンパー等からなり、流体やガス圧によってハウジング部に対するピストンロッドの移動が緩衝・減衰されるようになっている。
【0040】
そして、本実施形態では、
図6に示すように、ダンパー19として、第一のダンパー19aと第二のダンパー19bの2つの独立したダンパー手段を備えている。
これら2つのダンパー19a,19bは、それぞれキャビネット1及び扉2の高さ方向(上下方向・垂直方向)に沿って平行に配設される2本のダンパー手段からなり、キャビネット1側に第一のダンパー19aが、扉2側に第二のダンパー19bが、カバー20の内部に固定・保持されるて配置されている。
【0041】
第一のダンパー19aは、取付ブラケット12が折り畳まれる方向に移動されると、上述した第一のリンク15の第一の当接部15aに当接することにより、取付ブラケット12の折り畳まれる方向への移動が緩やかになるようリンクの回動を緩衝・減衰するように作用する。
第二のダンパー19bは、取付ブラケット12が展開される方向に移動されると、第一のリンク15の第二の当接部15bに当接することにより、取付ブラケット12の展開される方向への移動が緩やかになるようリンクの回動を緩衝・減衰するように作用する。
【0042】
これら第一及び第二のダンパー19a,19bは、カバー20を介してベース11側の所定位置に位置決め・固定されるとともに、各ダンパー19a,19bの一端が、それぞれ対応する第一のリンク15の端部、すなわち、第一の当接部15a,第二の当接部15bに当接・干渉するようになっている。
これによって、第一のリンク15の回動がダンパー19の緩衝力(減衰力)によって規制され、第一のリンク15の回動が緩やかに行われるようになり、取付ブラケット12及び扉2の開閉動作が、ダンパー19によって規制・減衰されるようになる。
【0043】
具体的には、ベース11には、
図4(a)及び(b)に示すように、ベース11の全体を覆うように取り付けられるカバー部材としてのカバー20が備えられるようになっており、カバー20の内壁面には、ダンパー19の2つのダンパー19a,19bをそれぞれ収納して位置決め,固定する凹部やリブが形成されている。
また、
図4(c)に示すように、2つのダンパー19a,19bは、カバー20内部において、それぞれがカバー内壁やリブによって仕切られており、ダンパー19a,19bがぶれたりガタついたり互いに干渉したりしないように、堅固に保持・位置決めされるようになる。
【0044】
このようにカバー20によって位置決めされるダンパー19は、まず、第一のダンパー19aは、一端側(本実施形態ではハウジング部側の端部)が、第一のリンク15のベース11との連結部分における端部である第一の当接部15aと当接しており、当該第一の当接部15aによって押圧される力を緩やかに緩衝・減衰するように作用する。同様に、第二のダンパー19bは、一端側(ハウジング部側端部)が、第一のリンク15のベース11との連結部分における端部である第二の当接部15bと当接して、当該第二の当接部15bによって押圧される力を緩やかに緩衝・減衰するように作用する(
図6参照)。
これにより、ダンパー19a,19bは、それぞれ、カバー20の内壁とリンク14の端部間に挟持されることになり、取付ブラケット12が折り畳まれる方向及び展開される方向に移動されるときに、取付ブラケット12の移動が緩やかになるようリンク14の回動を緩衝・減衰するようになる。
【0045】
より具体的には、本実施形態では、上述したように、引張りバネ17によるリンク14の付勢方向切り替わり角度は、ベース11と取付ブラケット12(取付金具13)の展開角度が約32度となると位置である(
図5参照)。
展開角度約32度の位置を基準として、それ以下の角度の場合には、リンク14が閉じる方向に引張りバネ17によって引っ張られ、展開角度が約20度となる位置から、第一のダンパー19aが第一の当接部15aによって押圧・圧縮されて、リンク14が閉じる速度は減速されるようになる。
一方、展開角度約32度を基準に、それ以上の角度となった場合には、リンク14が開く方向に引張りバネ17により引っ張られ、展開角度が約33度となる位置から、第二のダンパー19bが第二の当接部15bによって押圧・圧縮されて、リンク14が開く速度が減速される。
【0046】
このように、2つのダンパー19a,19bを設けることにより、リンク14の回動動作がダンパー19a,19bによって2方向に緩衝・減衰され、取付ブラケット12が折り畳まれる方向及び展開される方向に移動されるときに、ダンパー19の緩衝力が働くことになる。
これによって、取付ブラケット12が閉じられる方向、すなわち扉2がキャビネット1側に閉じられる方向に対して、ダンパー19の減衰力が作用し、扉2が急激に閉じられることがないように動作が規制されることになり、また、扉2がキャビネット1側から開かれる方向に対しても、ダンパー19の減衰力が作用し、扉2が急激に開かれることがないように動作が規制されることになる。
【0047】
したがって、扉2は、キャビネット1に対して開閉される際に、ダンパー19の減衰力によって緩やかに開閉されることになり、かつ、その状態において上述したように第一及び第二のリンク15,16が隙間板18によって覆い隠されることから、扉2が開閉される際に使用者がリンク15,16や扉2に手指を挟まれることがなくなり、安心して扉2の開閉動作を行えるようになる。
また、本実施形態では、ダンパー19a,19bは、それぞれが、カバー20の内面に形成された位置決め用の凹部やリブに収納・配置するのみでベース11及びリンク14との間に挟持される形で固定されるようになっている。これによって、ダンパー19自体は、いずれの部分にも固定,連結等する必要がなく、フラップヒンジ10全体の構成が複雑化することがなくなり、また、ダンパー19の取付,組立,交換等もきわめて容易に行えるようになる。
【0048】
カバー20は、
図2,4に示すように、ベース11のリンク14及び取付ブラケット12が連結される片面側を覆うように設けられるカバー部材であり、ネジ止め等によってベース11に固定されるようになっている。
このカバー20は、カバー内面側に上述したダンパー19を所定位置で位置決め・保持する収納空間が形成されるとともに、ベース11を貫通したネジ等が螺合するボスが形成される。
そして、このカバー20が取り付けられたベース11は、カバー20の外側から挿入されたネジがベース11の貫通孔を貫通して、キャビネット1側に螺合・固着されるようになる(
図2参照)。
【0049】
[開閉動作]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るフラップヒンジ10を備えたキャビネット1の扉2の開閉動作について、
図5及び6を参照しつつ説明する。
まず、
図5(a)に示すように、キャビネット1に対して扉2が閉じられた状態では、リンク15,16がベース11側に折り畳まれ、取付ブラケット12とともにベース11内に格納されている。
この状態では、引張りバネ17が取付ブラケット12及びリンク15,16をベース11側に引っ張るように付勢しており、扉2はキャビネット1に対して閉じられた状態が保持される。
なお、このとき扉2とキャビネット1は、キャビネット開口周縁部に配設されたクッション材1aを介して当接している。
【0050】
この状態から扉2が開かれると、
図5(b)に示すように、リンク15,16を介して扉2に固定された取付ブラケット12が回動する。
このとき、引張りバネ17が取付ブラケット12及びリンク15,16をベース11側に引っ張るように付勢しているため、扉2は急激に開くことなく緩やかに展開されるようになる。
なお、この展開過程においては、第二のリンク16の展開動作に伴って隙間板18が回動・移動し、
図7(a),(b),
図8(b)に示すように、第一のリンク15と第二のリンク16の間の隙間が隙間板18によって塞がれる。したがって、リンク15,16は、扉2とキャビネット1の間に露出しないように覆い隠される。また、カバー20と取付ブラケット12の間の隙間についても、取付ブラケット12の湾曲部12cによって塞がれるようになり、カバー20と取付ブラケット12との間には、取付ブラケット12の回動・移動範囲にわたって、ほぼ隙間が生じないようになる。
【0051】
扉2が展開されて、引張りバネ17によるリンク14の付勢方向切り替わり角度となるベース11と取付ブラケット12(取付金具13)の展開角度が約32度の位置(
図5(b),
図6(a)参照)を越えると、リンク14が開く方向に引張りバネ17により引っ張られる。
ところが、展開角度が約33度となる位置から、第二のダンパー19bが第二の当接部15bによって押圧・圧縮され、第二のダンパー19bによる緩衝・減衰力が第一のリンク15に作用し、リンク14が開く速度が減速される。
これにより、第二ダンパー19bの緩衝力(減衰力)が第一のリンク15の端部(第二の当接部15b)に作用して、扉2は急激に開くことなく緩やかに展開されるようになる。
【0052】
さらに扉2が展開されていくと、
図5(c)に示すように、リンク15,16が更に回動し、最大の展開角度(約50度)位置において、取付ブラケット12側の連結位置で第二のリンク16と第一のリンク15とが当接・干渉する。これによって、第一及び第二のリンク15,16はそれ以上回動しないように規制・保持される。
また、この状態においては、第一のリンク15と第二のリンク16,取付ブラケット12、及び引張りバネ17の引掛け位置の位置関係により、取付ブラケット12が展開された状態で保持されるようになっている。このときの引張りバネ17の状態を示したのが
図6(b)である。
したがって、扉2は所定の展開角度(本実施形態では約50度)を超えて展開しないように保持され、扉2が所定角度で展開・保持されることで、キャビネット1の内部へのアクセスが行え、例えば扉2の内面に配設された小物収納3への収納物の出し入れも、扉2が所定角度で開かれた状態で保持されるので容易に行えるようになる(
図1参照)。
【0053】
展開された扉2を閉じる場合は、上記と逆に
図5(c)の状態から
図5(b)の状態を経て
図5(a)の状態となる。
すなわち、扉2が閉じられて、引張りバネ17によるリンク14の付勢方向切り替わり角度となるベース11と取付ブラケット12(取付金具13)の展開角度が約32度の位置(
図5(b),
図6(a)参照)を越えると、リンク14が閉じる方向に引張りバネ17により引っ張られる。
ところが、展開角度が約20度となる位置から、第一のダンパー19aが第一の当接部15aによって押圧・圧縮され、第一のダンパー19aによる緩衝・減衰力が第一のリンク15に作用して、リンク14が閉じる速度が減速される。
これにより、第一ダンパー19aの緩衝力(減衰力)が第一のリンク15の端部(第一の当接部15a)に作用して、扉2は急激に閉じることなく緩やかに閉じられるようになる。
【0054】
また、この扉2が閉じられる過程においても、第一のリンク15と第二のリンク16の間の隙間が隙間板18によって塞がれており、リンク15,16は、扉2とキャビネット1の間に露出しないように覆い隠される。また、カバー20と取付ブラケット12の間の隙間についても、取付ブラケット12の湾曲部12cによって塞がれるようになり、扉2が閉じられる過程において、カバー20と取付ブラケット12との間にもほぼ隙間が生じないようになる。
このようにして、扉2がキャビネット1側に閉じられる場合にも、ダンパー19の減衰力によって扉2が緩やかに閉じられることになり、かつ、その状態において第一及び第二のリンク15,16が隙間板18で覆い隠されることから、扉2が閉じられる際に使用者がリンク15,16や扉2、カバー20と取付ブラケット12との間などに手指を挟まれることがなくなり、安心して扉2の開閉動作を行えるようになる。
【0055】
この状態を従来のキャビネットと対比したものが
図8である。
図8(a)は従来のフラップヒンジ及びステーを備えたキャビネット1’と扉2’、同じく(b)は本実施形態に係るフラップヒンジ10を備えたキャビネット1と扉2の関係を示している。
一般に、開閉可能な扉体を備えた収納体のうち、例えば流し台のキャビネットなどでは、扉体の内側面に小物収納や包丁差しなどの収納構造が備えられることがあり、このような収納構造を備えたキャビネット等の場合、収納物の出し入れが円滑に行えるようにするために、扉体が収納体に対して所定の角度(例えば約50度)以上展開しないように取り付けられるようになっている。
このような扉体を収納体に対して所定角度以上展開しないようにするために、従来は、フラップヒンジを介して取り付けられる収納体と扉体の間に、扉体の展開角度を規制するためのステー等の補助部材が備えられるのが一般的となっている(
図8(a)参照)。
【0056】
この種の扉体の展開角度規制用のステーは、
図8に示すように、収納体と扉体の間に回動可能に架設される二つ折りのアーム等によって構成され、アームが二つ折りにされた状態で扉体が収納体に対して閉じられた状態となり、二つ折りのアームが展開された状態で、扉体が収納体に対してアームの長さ分だけ所定角度に展開され、それ以上は展開されないように規制されるようになる。
ところが、この種のステーを用いて扉体の展開角度を規制する場合、ステーを構成する二つ折りのアームが収納体と扉体の間に位置するため、扉体を閉じる際に折り曲げられるアームに手指を挟むおそれがあった。
【0057】
これは、フラップヒンジによって扉体が緩やかに閉じられる場合でも、二つ折りにされるアームは扉体と収納体の間に大きく露出しており、折り曲げられていくアームの間隔が徐々に狭くなっていくため、不注意により、また、子どもなどが手指をアームに挟み込む可能性が高く、大きな怪我につながる危険性もあった。
また、収納体と扉体との間に位置する二つ折りアームのステーは、扉体を開閉するたびに収納体と扉体の間に大きく露出することになり、収納体の美観の点からも好ましいものとは言えなかった。
さらに、このようなステー等の補助部材を備える分だけ部品点数や組立工程も増加するという欠点もあった。
【0058】
具体的には、
図8(a)に示すように、従来のキャビネット1’では、ヒンジのみでは扉2’の最大展開角度を規制できないために、扉2’の展開角度規制用ステーが備えられている。このため、キャビネット1’と扉2’の間には、ステーを構成する二つ折りのアームが大きく露出しており、かつ、扉2’の開閉動作に応じて二つ折りのアームがキャビネット1’と扉2’の間で折り畳み動作を繰り返すことになり、扉2’を閉じる際に折り曲げられるアームに手指を挟む危険性が高い。
【0059】
これに対して、本実施形態に係るキャビネット1では、
図8(b)に示すように、上述したダンパー19の作用により、扉2が急激に閉じることなく緩やかに移動し、かつ、この状態において扉2とキャビネット1の間(同図のドットで示す領域)に位置するフラップヒンジ10のリンク15,16は隙間板18によって覆い隠されており、リンク15,15の隙間が露出することがない。従って、扉2が閉じられる過程において、リンク15,16や扉2に使用者の手指を挟まれることは発生しなくなる。
したがって、ユーザは安心して扉2の開閉動作を行うことができるようになる。
【0060】
[取付金具の取付方法及び脱落防止機能]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るフラップヒンジ10における取付金具13の取付方法と脱落防止機能について説明する。
図9は、本実施形態に係るフラップヒンジの取付ブラケットと取付金具の取付動作を示した側面図であり、(a)は取付金具を取付ブラケットの突起部に引っ掛けた状態、(b)は(a)の状態から取付金具の一片を取付ブラケットの端面に面接触させた状態、(c)は(b)の状態から取付金具を取付ブラケットの端面にネジ止めした状態を示している。
図10は、
図9に対応したフラップヒンジの取付ブラケットと取付金具の取付動作を示した斜視図である。
なお、
図9,10では、図示の便宜上、取付金具13に扉2が取り付けられていない状態を示しているが、実際には、取付金具13は、取付ブラケット12に取り付けられる前に、予め扉2に取付・固定されるようになる。
【0061】
取付ブラケット12と取付金具13とを取付・連結する場合には、まず、
図9(a)に示すように、取付金具13のL字形状の短片側の折り曲げ部13aを取付ブラケット12の取付面の切り欠き12aに位置合わせして係止させつつ、取付ブラケット12の切り欠き12a内に形成された突起部12bに取付金具13の折り曲げ部13aの折り曲げ部分に形成された切り欠き13bを係合させる。
次いで、この状態から、
図9(b)に示すように、取付金具13を突起部12b及び切り欠き13bを支点として取付ブラケット12の端面側に倒すように移動させ、取付金具13の短片と取付金具13を取付ブラケット12の取付面を面接触状態に接触・当接させる。
さらに、この状態から、
図9(c)に示すように、取付金具13の短片に形成した貫通孔を貫通させて取付ブラケット12の端面に形成されたネジ穴に固定用のネジを螺合させて固定する。
【0062】
これによって、取付金具13と取付ブラケット12の取付作業は完了し、取付金具13は取付ブラケット12に堅固に固定される。
このように、本実施形態では、フラップヒンジ10の取付ブラケット12を取付金具13を介して扉2に固定するようになっており、フラップヒンジ10をキャビネット1及び扉2に取り付ける際に、取付ブラケット12を含むベース11と取付金具13とをそれぞれキャビネット1側と扉2側に別々に取り付けた後、取付金具13を取付ブラケット12に取り付けることでキャビネット1と扉2を組み立てることができるので、組立作業が容易に行えるようになる。
また、以上のように取付金具13と取付ブラケット12とが、折り曲げ部13aと切り欠き12a、及び切り欠き13bと突起部12bが係合することにより位置決め・保持されることにより、取付金具13と取付ブラケット12とのネジ止め固定がされていない状態においても、取付金具13と取付ブラケット12との取付が容易には脱落しないようにすることができる。
【0063】
図11に本実施形態に係るフラップヒンジの取付ブラケットと取付金具がネジ止めされていない状態を説明するための側面図を示す。同図は、上述した
図9(b),
図10(b)に示す状態に対応している。
この図に示すように、取付金具13と取付ブラケット12は、取付金具13側の折り曲げ部13aと取付ブラケット12側の切り欠き12a、及び取付金具13側の切り欠き13bと取付ブラケット12側の突起部12bとが、互いに挿入・係合していることから、これら折り曲げ部13aと切り欠き12a、及び切り欠き13bと突起部12bの係合部分において両者の連結が保持されることになる。
【0064】
特に、取付金具13の折り曲げ部13aは、キャビネット1側の端縁が鉤形状にほぼ直角に折り曲げ形成され、取付ブラケット12側の切り欠き12aの開口縁部に係止・係合するようになっている。また、取付金具13の切り欠き13bは、その折り曲げ部13aに切り欠き形成されている。
このため、取付金具13の折り曲げ部13aと取付ブラケット12の切り欠き12aに係合させ、かつ、取付金具13の切り欠き13bを取付ブラケット12の突起部12bと係合させると、取付金具13の折り曲げ部がキャビネット1側において取付ブラケット12の切り欠き12aの端縁に係止して引っ掛けられた状態となる。
【0065】
このため、
図11に示すように、取付金具13と取付ブラケット12とのネジ止め固定がされていない状態において扉2の開閉が行われても、取付金具13と取付ブラケット12とは直ちに連結が外れることはなく、取付金具13側の折り曲げ部13aと取付ブラケット12側の切り欠き12a、及び取付金具13側の切り欠き13bと取付ブラケット12側の突起部12bが係合した状態は維持される。
従って、取付金具13と取付ブラケット12とのネジ止めが外れてしまったような場合でも、取付金具13と取付ブラケット12との取付は容易には脱落せず、扉2がキャビネットから脱落・落下等する危険性を回避することができ、使用者が安心にキャビネット1を使用することができるようになる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係るフラップヒンジ10とこのフラップヒンジ10を備えた収納体1によれば、収納体1に対してフラップヒンジ10を介して扉2が開閉可能に取り付けられることで、扉2が急激に開いたり閉じたりすることが防止されるとともに、フラップヒンジ10のみによって扉体の展開角度を規制することが可能となる。
また、本実施形態に係るフラップヒンジ10は、ヒンジ機構を構成するリンク14(15,16)が隙間板18によって隠されて開閉される扉2と収納体1の間に露出せず、また、従来のような扉体の展開角度を規制・保持するためのステー等の手段が不要となるため、手指を挟む危険性がなく、円滑かつ安全に扉2の開閉動作を行うことができるようになる。
【0067】
また、従来のようなステー等を必要としない本実施形態のフラップヒンジ10によれば、扉2の開閉の際に展開角度保持のステー等が露出することがなく、開閉動作時の収納体1の美観を向上させることができる。
さらに、扉2の展開角度規制のためのステー等を必要としない本実施形態のフラップヒンジ10は、部品点数の増加が抑制されるとともに、収納体1及び扉2への取付・組立工程も少なくなり、簡易かつ低コストでフラップヒンジ付きの収納体を製造することができる。
【0068】
以上、本発明のフラップヒンジ及びフラップヒンジを備えた収納体の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るフラップヒンジ及びフラップヒンジを備えた収納体は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0069】
例えば、上述した実施形態では、本発明に係るフラップヒンジを使用する収納体として、扉内側面に小物収納を備えた流し代用のキャビネットを例にとって説明したが、本発明に係るフラップヒンジは、小物収納を備えたキャビネットに限定されず、扉体が収納体の本体に対して所定角度の範囲内で開閉させる構造の収納体であれば、どのような収納体に対しても適用することができる。
また、本発明に係るフラップヒンジによって規制される扉体の展開角度は、上記実施形態で示したものに限定されず、収納体や扉体の形状や大きさ,用途等に応じて、扉体の展開角度を任意に設定することができる。その場合、リンクの長さや連結位置等を変更することで、扉体の展開角度を所望の値に設定・変更することができる。