(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の第1の領域内に、前記基板の面の上の半導体物質からメモリ装置のチャネルを形成するチャネル形成ステップであって、前記チャネルは前記メモリ装置のソースとドレインを接続する、チャネル形成ステップと、
前記チャネルの複数の面に隣り合うチャネルの上に電荷トラッピング誘電体スタックを形成する電荷トラッピング誘電体スタック形成ステップであって、前記電荷トラッピング誘電体スタックはトンネリング層上の電荷トラッピング層上にブロッキング層を含み、前記メモリ装置の前記チャネルは、全方向において前記電荷トラッピング誘電体スタック及び前記ブロッキング層によって囲まれる、電荷トラッピング誘電体スタック形成ステップと、
前記基板の第2の領域の上にMOS装置を形成するMOS装置形成ステップ
とを備え、
前記MOS装置形成ステップは、熱酸化を行って同時的に前記MOS装置のゲート誘電体層と前記メモリ装置の前記ブロッキング層とを形成するステップを含み、
前記電荷トラッピング層は、前記トンネリング層寄りの窒化物を備える下側電荷トラッピング層と、前記下側電荷トラッピング層に比して相対的に酸素リーンで且つ複数の電荷トラッピング層に分布している複数の電荷トラップを備えるとともにHfSiON、HfSiO、HfO、ZrSiON、ZrSiO、ZrO及びY2O3から選択される高誘電率誘電体を備える上側電荷トラッピング層とを含む、複数の電荷トラッピング層を備える、方法。
前記MOS装置を形成するステップは、熱酸化を行って前記MOS装置のゲート誘電体層を形成するのと同時的に前記ブロッキング層を熱的に再酸化するステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記電荷トラッピング層は、前記上側電荷トラッピング層と前記下側電荷トラッピング層とを分離する中間酸化物層をさらに備え、前記ゲート誘電体層は高誘電率ゲート誘電体を備える、請求項1に記載の方法。
前記チャネルを形成するステップは、前記ソースから前記ドレインへ延びる、前記チャネルの延在方向と平行である<100>の表面結晶方位を有するシリコンから前記チャネルを形成するステップを備える、請求項7に記載の方法。
前記電荷トラッピング誘電体スタックを形成するステップは、前記ブロッキング層の上に電荷トラッピング層を形成するステップと、電荷トラッピング誘電体層の上にトンネリング層を形成するステップとを備える、請求項10に記載の方法。
前記電荷トラッピング層は、前記トンネリング層寄りの窒化物を備える下側電荷トラッピング層と、前記下側電荷トラッピング層に比して相対的に酸素リーンで且つ複数の電荷トラッピング層に分布している複数の電荷トラップを備える上側電荷トラッピング層とを含む、複数の電荷トラッピング層を備える、請求項12に記載の方法。
前記電荷トラッピング層は、前記上側電荷トラッピング層と前記下側電荷トラッピング層とを分離する中間酸化物層をさらに備え、前記ゲート誘電体層は高誘電率ゲート誘電体を備える、請求項14に記載の方法。
前記電荷トラッピング誘電体スタックを形成するステップは、前記チャネルの前記露出されている部分の上にトンネリング層を形成するステップと、前記トンネリング層の上に電荷トラッピング層を形成するステップと、電荷トラッピング誘電体層の上にブロッキング層を形成するステップとを備える、請求項18に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ロジック装置と統合された非揮発性電荷トラップメモリ装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。もっとも、これらの具体的な詳細を1以上欠いたとしても特定の実施形態を実施することができる場合もあり、また、他の既知の方法、物質及び機材と組み合わせて実施することができる場合もある。以下の説明においては、本願発明について十分な理解を可能とするため、具体的な材料、寸法及びプロセスパラメータ等の種々の具体的な詳細を示す。また、本願発明の理解を不必要に損なわないため、周知の半導体デザイン及び作製プロセスに関しては具体的な詳細は割愛する。本願明細書中においては、「実施形態」について言及している場合、該実施形態との関連で説明された特定の特徴、構造、材料又は特性が本願発明に関しての少なくとも1つの実施形態に含まれているとの意味が与えられる。したがって、本願明細書の様々な位置にある「実施形態では」との文言が出現している箇所では、必ずしも同じ実施形態が参照されている訳ではない。また、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1以上の実施形態において任意の適切な態様で組み合わされることができる。
【0010】
「〜上」、「〜下」、「〜間」及び「〜の上」の用語は、ある1つの層の、他の層との関係での相対的位置を指し示すために用いられる。したがって、例えば、他の層の上に又は下に堆積又は配置されているある1つの層は、他の層と直接的に接触している場合もあれば、間に1以上の層が介在している場合もある。また、層と層の間に堆積又は配置されているある1つの層は、それらの層と直接的に接触している場合もあれば、間に1以上の層が介在している場合もある。対照的に、第1の層が第2の層の「直上」にあるとその第2の層と接触していることになる。また、オペレーションが基板の絶対的な向きにかかわらずに膜の堆積、改質及び除去を初期状態の基板に対して相対的に行うものであるとの仮定のもとで、ある1つの層の相対位置が示される。
【0011】
1つの実施形態では、基板の第2の領域内にロジックMOS装置のウェル及びチャネルインプラントの少なくとも一部が形成された後に、SONOSスタック等の非揮発性電荷トラップ誘電体スタックが基板の第1の領域内に形成される。
【0012】
別の実施形態では、非揮発性電荷トラップ誘電体スタック形成を、ロジックMOSゲート酸化処理の前に行う。1つのこのような実施形態では、基板の第2の領域からSONOSスタックが除去され、熱酸化物が半導体基板の第2の領域の上に第1のゲート絶縁層を形成し、SONOSスタックのブロッキング層を熱的に再酸化する。さらなる実施形態では、窒化プロセスが第1のゲート絶縁層及びブロッキング層を同時的に窒化する。
【0013】
別の実施形態では、シリサイドコンタクトを有さない非揮発性電荷トラップメモリ装置がシリサイドコンタクトを有するロジック装置と統合される。このような実施形態においては、メモリ装置内のシリサイド関連の応力を低減させることによって非揮発性電荷トラップメモリ装置の信頼性を有利に向上させることが可能である。
【0014】
さらなる実施形態では、ロジック装置の少なくとも1つは、少なくとも他の1つのロジック装置よりも長い軽くドープされたソース及びドレイン(即ち、オフセットされているソース及びドレイン)を有しておりHVオペレーションが許容される(例えば、10Vより高い降伏電圧)。1つのこのような実施形態では、ロジック装置はHV PMOS装置及びNタイプMOS(NMOS)装置を含み、該NMOS装置はHV PMOS装置のよりも小さいソース及びドレインオフセットを有する。別のこのような実施形態では、ロジック装置はHV PMOS装置及びPMOS装置を含み、該PMOS装置はHV PMOSのよりも小さいソース及びドレインオフセットを有する。特定の実施形態では、HV MOS装置の軽くドープされたソース及びドレインの長さは、MOS装置のゲートスタックの側壁の隣の側壁スペーサの厚さよりも大きい。
【0015】
別の実施形態では、HV MOS装置のソース及びドレインをオフセットするため、及び、非揮発性電荷トラップメモリ装置をシリサイド化から保護するために、多層ライナが用いられる。1つのこのような実施形態では、多層ライナは少なくとも最上層及び最下層を含み、最上層は使い捨てスペーサに形成されてHV MOSのソース及びドレインをオフセットし、並びに、最下層は1以上のロジック装置のシリサイド化の間において非揮発性電荷トラップメモリ装置をマスクするのに用いられる。別の実施形態では、最下層は1以上のロジック装置のシリサイド化の間においてHV MOS装置をマスクするのに追加的に用いられる。特定の実施形態では、HV MOSのソース及びドレインがインプラントされた後に、多層ライナの最下層へ、使い捨てスペーサが選択的に除去される。さらなる実施形態では、多層ライナの最下層は、非揮発性電荷トラップメモリ装置の上にILD層として保持されて別のILD層に覆われ、及び、コンタクト形成の際に通り抜けてエッチングされる。別の実施形態では、多層ライナの最下層は、非揮発性電荷トラップメモリ装置及びHV MOS装置の上にILD層として保持される。1つのこのような実施形態では、多層ライナの最下層における応力の符号は、ボトムライナ層の上に堆積された応力誘起ILD層のそれと逆である。1つの特定の実施形態では、多層ライナの最下層は下にある装置に圧縮応力を誘起する一方、応力誘起ILD層は下にある装置に引張応力を誘起する。
【0016】
図1は、本願発明の特定の実施形態による、ロジックMOS装置と統合された非揮発性電荷トラップメモリ装置の作製プロセス100に用いられる特定のモジュールのシーケンスを示すフローチャートである。本方法は、隔離領域の形成から、即ちモジュール101から開始される。隔離領域はSTI(shallow trench isolation)又はLOCOS(local oxidation of silicon)等の任意の従来的な手法によって形成されることができるが、これらには限定されない。
【0017】
モジュール101にて隔離領域が形成された後、プロセスのフローは、モジュール105のウェル及び/若しくはチャネルインプラントへと進むか、又は、非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックの形成及び/若しくはゲート層の堆積の後までウェル及び/若しくはチャネルの形成を遅延することができる。
【0018】
有利な実施形態では、モジュール105にてロジックMOSトランジスタ用のウェル及びチャネルの少なくとも幾つかが形成された後、モジュール110にて基板の第1の領域の上に非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックが形成される。従来的なインプラント後レジストストリッププロセス中に二酸化ケイ素がおよそ0.5nm除去され得ることが見出された。除去量は、二酸化ケイ素が熱的成長酸化物ではなくむしろ堆積酸化物である場合又は二酸化ケイ素がインプラントを受けた場合のほうが大きい(例えば、ストリッププロセスで二酸化ケイ素が1.0nm除去される)。一般的には、CMOSプロセスフロー中には幾つかのウェル及びチャネルインプラントがあるため、ロジックMOSゲート誘電体の準備のためにRCA洗浄を行う前に、二酸化ケイ素が1.5nmから2.5nm除去され得る。同様に、ウェル及びチャネルインプラントストリップが、(二酸化ケイ素を含み得る)非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックをエッチングし得る。インプラントストリッププロセスの名目的なエッチングレートはかなり小さいものの、これがSONOS型メモリ装置の電荷リテンションを減少させ得るピンホール或いは局在欠陥を非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックに形成するということが見出された。したがって、非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックの形成を行うモジュールを、ロジックCMOSフローにおけるウェル及びチャネルインプラントモジュールの後に挿入することによって、非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックへの障害を最小化することができる。
【0019】
非揮発性電荷トラップ装置と同じ基板の上にロジックMOSトランジスタを含めるために、モジュール120にて基板の第2の領域の上にゲート絶縁層が形成される。以下でより詳しく述べるが、MOSゲート絶縁層を形成する前に非揮発性電荷トラッピング誘電体層を形成するこのシーケンスは、後続のMOSゲート絶縁層を形成する熱的処理を有利に活用して非揮発性電荷トラッピング誘電体スタック、殊にブロッキング層、の質を向上させる。また、ロジックMOSゲート絶縁層の形成前に非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックを形成することによって、非揮発性電荷トラッピング誘電体層の形成に関する熱的処理によるロジックMOSトランジスタの劣化を回避する。
【0020】
モジュール120に続いて、モジュール130にてゲート層がMOSゲート絶縁層及び非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックの双方の上に堆積される。そして、モジュール105にてウェル及び/又はチャネルインプラントが行われていなかった場合、モジュール130の後にモジュール140にてウェル及び/又はチャネルインプラントを行うことができる。このような実施形態では、ウェル及びチャネルインプラントは、ウェル及び/又はチャネルを形成するのに加えて、モジュール130で形成されたゲート層を有利にドーピングすることができる。(モジュール105又はモジュール140の結果として)ウェル及びチャネルが配置された後、モジュール150にてゲート層をゲート電極にパターニングすることができる。ゲート電極のパターニングは、基板の第1の領域の非揮発性電荷トラッピングメモリ装置及び基板の第2の領域のMOS装置の双方について同時的に行われることができる。
【0021】
モジュール150にて両装置のゲートスタックが実質的に完成されると、モジュール155にて全ての装置についてtip及び/又はHALOインプラントを形成し並びにモジュール160にて全ての装置について側壁スペーサを形成することができる。そして、オペレーション165にて、全ての装置についてソース及びドレインインプラントを形成することができる。本願明細書の他の箇所にて説明されるように、これらのオペレーションにおいては多層ライナ及び使い捨てスペーサプロセスを行って高電圧CMOSトランジスタを提供することができる。そして、オペレーション170において、シリサイドプロセスを行ってフロントエンドにおける装置作製を実質的に完了することができる。以下さらに詳述するが、非揮発性電荷トラップメモリ装置のシリサイド化をもたらさずにしてロジックCMOSのシリサイド化をもたらすために、多層ライナを用いることができる(即ち、選択的シリサイド化)。そして、従来技術にあるようなバックエンドメタライゼーションを行って、単一の基板上に非揮発性電荷トラップメモリ装置及びMOS装置を備える統合化半導体構造を作製することができる。
【0022】
図2Aは、本願発明の特定の実施形態による、電荷トラッピング誘電体スタックの形成をロジックMOSゲート絶縁体形成に統合する特定のモジュールを含む方法200を示すフローチャートである。したがって、
図2Aは、
図1のモジュール105、110、120及び130の特定の実施形態に用いられる特定のプロセスモジュールを示す。
図3A乃至
図3Jは、
図2Aのプロセスフロー中のモジュールが実施されていく中でのSONOSメモリ装置、高電圧MOS装置及び低電圧MOS装置の断面図を示す。
【0023】
図2Bは、本願発明の特定の実施形態による、電荷トラッピング誘電体スタックと高電圧MOSトランジスタの形成及び選択的コンタクトシリサイド化を統合する特定のモジュールを含むプロセス201を示すフローチャートである。したがって、
図2Bは、
図1で用いられる特定のモジュール155、160、165及び170の特定の実施形態を示す。
図4A乃至
図6Bは、プロセスフロー中のモジュールが実施されていく中での非揮発性電荷トラップメモリ装置、高電圧MOSトランジスタ装置及び低電圧MOS装置の断面図を示す。
【0024】
図2Aを参照するに、方法200は、STIが基板に形成されたところから開始される。基板は単結晶で構成されるバルク基板であることができ、その材料としてはシリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム又はIII−V半導体化合物が含まれることができるが、これらには限定されない。別の実施形態では、基板は、トップエピタキシャル層を伴うバルク層を備える。特定の実施形態では、バルク層は単結晶で構成されており、その材料としてはシリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム、III−V半導体化合物及び石英が含まれることができるがこれらには限定されない。一方、トップエピタキシャル層は単結晶層で構成され、これにはシリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム及びIII−V半導体化合物が含まれることができるがこれらには限定されない。別の実施形態では、基板は、下側バルク層の上にある中間絶縁層の上にあるトップエピタキシャル層を備える。トップエピタキシャル層は、単結晶で構成され、これにはシリコン(例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)半導体基板を形成するため)、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム及びIII−V半導体化合物が含まれることができるがこれらには限定されない。絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素等を含む材料から構成されることができるがこれらには限定されない。下側バルク層は単結晶で構成され、これにはシリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム、III−V半導体化合物及び石英が含まれることができるがこれらには限定されない。
【0025】
モジュール205では、n-ウェルインプラント等の第1のウェルインプラントが行われる。一般的に、モジュール205は、二酸化ケイ素層等のスクリーニング犠牲的誘電体層の上にパターン化されたフォトマスクを形成することを含む。そして、MOSトランジスタ370のための領域等の基板上の領域でn-ウェルインプラントが行われる。特定の実施形態では、n-ウェルインプラントは、MOS装置にとって慣用的な濃度及びエネルギーにてリン種をインプラントすることを含むことができる。単一のn-ウェルインプラントをPMOSトランジスタ、PMOS HVトランジスタ及びp-型SONOS装置について行うことができる。
【0026】
ストリップモジュール206にて、ドライ及び/又はウェットストリップを行ってウェルインプラントフォトマスクを除去する。酸素やフォーミングガス等の従来的なプラズマストリップを用いることができる。同様に、ピラニア洗浄やオゾン洗浄等の従来的なウェットストリップを用いることができる。非揮発性メモリ装置の電荷トラッピング誘電体スタックがまだ形成されていないので、ストリップモジュール206の二酸化ケイ素エッチングレートはあまり重要性を持たない。
【0027】
モジュール207にてp-ウェルインプラントが行われる。ここでも、ホウ素等の従来的なインプラント種を典型的なドーズ及びエネルギーにて用いることができる。p-ウェルインプラントは、モジュール205のn-ウェルインプラント等のようなパターン化されたインプラントであることができるが必ずしもそうではない。パターン化されている場合、モジュール206の任意のストリッププロセスを反復することができる。1つの実施形態では、p-ウェルインプラントが行われる基板上の箇所は、NMOSトランジスタのために準備されているn-ウェル領域の隣の別の箇所とされる。代替的な実施形態では、p-ウェルインプラントはアンマスクドインプラントである。
【0028】
モジュール207では任意の個数のチャネルインプラントをも行って具体的な装置用途に合わせて閾値電圧を調整することができる。例えば、NMOSトランジスタチャネルが配置される基板上の領域においてn-チャネルインプラントを行って閾値電圧を設定することができる。N-チャネルインプラントは、具体的な装置タイプに応じて従来的なインプラント種(例えば、BF
2)、ドーズ及びエネルギーとすることができる。
図3AのSONOS装置300のための領域等の基板302の第1の領域において、非揮発性電荷トラップメモリ装置のためのチャネルインプラントを行うことができる。同様に、HV MOSトランジスタ350の基板上領域において、高電圧MOSトランジスタのためのチャネルインプラントを行うことができる。同様に、例えばMOSトランジスタ370の基板上領域において、p-チャネルインプラントを行うことができる。
【0029】
図3Aに示す好適例では、SONOSチャネルインプラントの準備として、フォトレジスト307で画定されたウィンドウ305が犠牲的誘電体層303の上に形成される。ウィンドウ305は、サブミクロンの寸法を有することができ、例えばおよそ0.2μmの長さ及び幅とすることができる。このような実施形態の1つでは、酸素プラズマ洗浄を行ってウィンドウ305の隅からフォトレジストの残留物をデスカム(descum)する。1つの好適例では、犠牲的なシリコン窒化物層は10〜30nmの厚さであり、界面活性剤を含むバファードオキサイドエッチャント(BOE)で除去してウィンドウ305が完全に開けられていることを再度確かにすることができる。
【0030】
スクリーニング犠牲的誘電体層303についての等方性エッチングによって、フォトレジスト307が量としてはD1程侵食されることが想定される。侵食量D1は、ウィンドウ305がロジック装置に近い場合、例えばHV MOSトランジスタ350の領域における場合に重要になる。なぜならば、スクリーニング犠牲的誘電体層303を通じて行われたロジック装置インプラントでは、侵食された領域内において異なるインプラントプロファイルを有する場合があるからである。したがって、特定の実施形態では、ウィンドウ305の寸法をダウンサイズする。例えば、0.2μmとして作図されたサイズを0.18μmにダウンサイズしてサイドにおける0.01μmずつの侵食を補償することができる。さらなる実施形態では、侵食されたウィンドウ305が隣のロジック装置にとても近くなり得るので、クリティカル・レイヤ・リソグラフィツールを用いて位置合わせ誤りの許容誤差を減らす。
【0031】
ウィンドウ305の形成の後、チャネルインプラントを行って、フォトレジスト307をストリップすることができる。ウェル及びチャネルインプラントを形成した後、アニールを行ってモジュール207を完了することができる。1つのこのような実施形態では、n-ウェル及びp-ウェルの双方についてインプラントを行った後に、急速熱的アニーリングが行われる。急速熱的アニーリングは、MOSトランジスタ用途に適切なものとして知られている任意の既知のものであることができる。
【0032】
ウェル及びチャネルインプラントを完了させたならば、モジュール210にて非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックが形成される。そして、図面2Aを再度参照するに、モジュール210にてONO電荷トラッピング誘電体スタック等の非揮発性電荷トラッピング誘電体スタックが形成及びパターン化されてメモリセル領域においてのみ残るようにされる。
図3Bに示す1つの実施形態では、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306は、トンネリング層304A、電荷トラッピング層304B及びブロッキング層304Cを備える。トンネリング層304Aは、高ゲートバイアス状態において電荷キャリアが電荷トラッピング層内にトンネリングすることを許容しつつ低ゲートバイアス状態においては漏出に対しての適切な障害を維持するような任意の物質及び任意の厚さであることができる。特定の実施形態では、トンネリング層304Aは、およそ1.5nm〜3.0nmの物理的厚さを有する、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸窒化ケイ素(SiO
xN
y(H
z))、後に窒化される二酸化ケイ素等の周知の誘電体層であるか又は、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素(Si
3N
4)若しくは酸窒化ケイ素で構成されたスタック誘電体である。別の実施形態では、トンネリング層304Aは、窒化ケイ素より高い誘電率を有する誘電体層で構成され、これには酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ハフニウム、酸窒化ハフニウム、酸化ハフニウムジルコニウム及び酸化ランタンが含まれるがこれらには限定されない。
【0033】
SONOS装置300の電荷トラッピング層304Bは、任意の周知の電荷トラッピング材料をさらに含むことができ、電荷を蓄積すること及び装置の閾値電圧をモジュレートするのに適した任意の厚さを有することができる。特定の実施形態では、電荷トラッピング層304Bは、窒化ケイ素、ケイ素リッチな窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素である。1つの特定の実施形態では、トラッピング層304Bは、トラッピング層の厚み方向において均質ではないストイキオメトリを有する。例えば、電荷トラッピング層304Bは、ケイ素、酸素及び窒素に関して異なる組成を有する少なくとも2つの酸窒化ケイ素層をさらに含むことができる。1つの特定の実施形態では、電荷トラッピング層304B内のボトム酸窒化物は、高いケイ素濃度と高い酸素濃度と低い窒素濃度を有する第1の組成を有し、これによって酸素リッチな酸窒化物が提供される。
【0034】
ここにおいては、「酸素リッチ」及び「ケイ素リッチ」との用語は、化学量論的な窒化ケイ素、即ち(Si
3N
4)との構成を有しており屈折率(RI)がおよそ2.0であるような慣用されている「窒化物」との関係で相対的に論じられている。したがって、「酸素リッチ」な酸窒化ケイ素については、化学量論的な窒化ケイ素から離れてより高い重量%のケイ素及び酸素(即ち、窒素を減少させる状態)の量に向かって行く。したがって、酸素リッチな酸窒化ケイ素膜は二酸化ケイ素により似ており、RIは純粋な二酸化ケイ素の1.45に向かって減少している。同様に、「ケイ素リッチ」と形容される膜は、化学量論的な窒化ケイ素から離れてより高い重量%のケイ素量に向かうのであって、「酸素リッチ」な膜に比べてより少ない量の酸素を有する。したがって、ケイ素リッチな酸窒化ケイ素膜は、シリコンにより似ており、RIは純粋なシリコンの3.5に向かって増加している。
【0035】
ボトム酸窒化ケイ素は、物理的な厚さを2.5nm〜4.0nmとすることができ、これは1.5nm〜5.0nmのEOTに対応する。電荷トラッピング層304Bは、高いケイ素濃度、高い窒素濃度及び低い酸素濃度を有するトップ酸窒化ケイ素をさらに含むことができ、これによってケイ素リッチな酸窒化ケイ素が提供される。この第2の酸窒化ケイ素は、電荷トラッピング層304Bについては物理的な厚さを4.0nm〜6.0nmとして、ネットでの物理的厚さを9〜11nmとすることができる。第1の酸窒化ケイ素の酸素リッチなストイキオメトリが窒化ケイ素よりは二酸化ケイ素により似ているため、トンネリング層304Aとの関係で良質なインターフェースが提供される。1つのこのような実施形態では、酸素リッチな酸窒化物の構成が、1.7〜1.9の範囲に入るRIを結果的にもたらし、好ましくはRIがおよそ1.8となる。さらなる実施形態では、ケイ素リッチな酸窒化物の構成は、1.8〜2.0の範囲に入るRIを結果的にもたらし、好ましくはRIがおよそ1.9となる。
【0036】
1つの実施形態では、複数の窒化ケイ素若しくは酸窒化ケイ素の電荷トラッピング層が、低圧CVDプロセスにおいて、シラン(SiH
4)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、テトラクロロシラン(SiCl
4)若しくはBTBAS(Bis-TertiaryButylAmino Silane)等をケイ素源として、N
2、NH
3、N
2O若しくは三酸化窒素(NO
3)等を窒素源として、並びに、O
2やN
2O等の酸素含有気体を用いて、形成される。
【0037】
1つの好適例では、基板を堆積チャンバ内に配置して、所望のガス混合比を得られるようにジクロロシラン(SiH
2Cl
2)等のシリコンプリカーサと混合したアンモニア(NH
3)ガス及び亜酸化窒素(N
2O)のフローレートを調整して、まず酸素リッチな酸窒化物膜を形成して次いでケイ素リッチな酸窒化物膜を形成することによって、トンネリング層の上に酸窒化ケイ素電荷トラッピング層を堆積させることができる。「酸素リッチ」及び「ケイ素リッチ」の用語が化学量論的なSi
3N
4膜との関係で相対的なのと同様に、これらの膜の形成は一般的にCVD手法において化学量論的な(Si
3N
4)を得るために用いられるSiH
2Cl
2:NH
3についての3:1の体積流量比を元に特徴付けることができる。したがって、酸素リッチな酸窒化物膜は、ケイ素リッチな酸窒化物膜に用いられるのよりは相対的に高い酸化剤(例えば、N
2O)についての体積流量を用いて形成される。また、酸素リッチな及びケイ素リッチな膜は、相対的に高いシリコンプリカーサ(例えば、SiH
2Cl
2)についての体積流量を用いて形成される。
【0038】
特定のバッチプロセス実施形態では、N
2O、NH
3及びSiH
2Cl
2を含むプロセスガスを導入して、チャンバチャンバ圧力をおよそ5〜500mTorrの範囲に維持して、並びに、およそ2.5〜20分間の期間にわたって基板400の温度をおよそ700〜850°Cの範囲に維持することによって、酸素リッチな酸窒化物膜を形成する。好適例では、プロセスガス混合体は、およそ1:1〜3:1(N
2O:NH
3)の高い体積流量比でもたらされるN
2O及びNH
3を含み、また、SiH
2Cl
2対NH
3においても高い体積流量比が取られておりおよそ3.5:1〜8:1(SiH
2Cl
2:NH
3)とされる。好適実施形態では、N
2O:NH
3比はおよそ2:1であり、SiH
2Cl
2:NH
3比はおよそ6:1である。特定の実施形態では、ガスはおよそ5〜200sccm(standard cubic centimeters per minute)の範囲のフローレートで導入される。
【0039】
そして、さらなる実施形態では、N
2O、NH
3及びSiH
2Cl
2を含むプロセスガス混合体を導入して、チャンバ圧力をおよそ5〜500mTorrの範囲に維持して、並びに、バッチ炉内においておよそ2.5〜20分間の期間にわたって基板400の温度をおよそ700〜850°Cの範囲に維持することによってケイ素リッチな酸窒化物膜が形成される。プロセスガス混合体は、およそ1:8〜1:4(N
2O:NH
3)の体積流量比でもたらされるN
2O及びNH
3を含み、また、およそ3.5:1〜5:1(SiH
2Cl
2:NH
3)の体積流量比でもたらされるSiH
2Cl
2及びNH
3を伴う。好適実施形態では、N
2O及びNH
3はおよそ1:5(N
2O:NH
3)の体積流量比で提供され、SiH
2Cl
2及びNH
3はおよそ4:1(SiH
2Cl
2:NH
3)の体積流量比で提供される。特定の実施形態では、ガスはおよそ5〜200sccmの範囲のフローレートで導入される。
【0040】
ONO電荷トラッピング誘電体スタック306を完成させるに際して、SONOS装置300のブロッキング層304Cは、ゲートスタックの静電容量を大きく減少させずに電荷リークに対しての障害を維持するのに適した任意の厚さを有する任意の周知な物質であることができる。1つの実施形態では、ブロッキング層304Cは、窒化ケイ素より高い誘電率を有する誘電体層を備え、これは酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ハフニウム、酸窒化ハフニウム、酸化ハフニウムジルコニウム及び酸化ランタンを含むことができるがこれらには限定されない。別の実施形態では、ブロッキング層304Cは、二酸化ケイ素層、酸窒化ケイ素層又は二酸化ケイ素及び窒化ケイ素のスタックであり、物理的な厚さはおよそ3.0nm〜5.0nmである。
【0041】
ブロッキング層304Cは、任意の適切な手段によって形成されることができ、例えば熱酸化又はCVD手法がこれに含まれる。好適実施形態では、ブロッキング層は高温CVDプロセスで堆積された膜で形成される。一般的に、堆積プロセスは、SiH
4、SiH
2Cl
2若しくはSiCl
4等のケイ素源並びにO
2やN
2O等の酸素含有気体を堆積チャンバ内に提供して、圧力をおよそ50mTからおよそ1000mTにして、およそ10分からおよそ120分間の期間にわたって基板の温度をおよそ650°Cからおよそ850°Cに維持することを伴う。好適には、ブロッキング層は、電荷トラッピング層304Bを形成するのに用いたプロセッシングツールでシーケンシャルに堆積される。より好適には、電荷トラッピング層304B及びトンネリング層304Aを形成したプロセッシングツール内で、オペレーション間の基板の取り出しを伴わずして、ブロッキング層が形成される。
【0042】
ONO電荷トラッピング誘電体層304A、304B及び304Cが形成されたならば、
図3Bに示すように、それらはSONOS装置300内のONO電荷トラッピング誘電体スタック306にパターン化される。従来的なリソグラフィ及びエッチング手法を用いて、HV MOS領域350やMOS領域370等の基板の他の領域から、電荷トラッピング誘電体層を除去することができる。特定の実施形態では、ドライ及びウェットなエッチングの組合せを行って良質なスタック側壁プロファイルを得る。1つのこのような実施形態では、スピンオン型の無機反射防止コーティング(ARC, anti-reflective coating)、ブロッキング層304C並びに誘電体層304A及び304Bがドライエッチングされ、ドライエッチングプロセスは犠牲的誘電体層303の上で停止する。続くウェットエッチングオペレーションでは、80E等のエッチャントが用いられて犠牲的誘電体層303を一掃する。本願明細書の他の箇所でも
図3Aのウィンドウ305を開けることについて述べているように、ここにおいても、等方性ウェットエッチングがマスクされている領域を侵食する場合がある。この場合、
図3Bにおいて点線で示されているONO電荷トラッピング誘電体スタック306の侵食によって、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306と犠牲的誘電体層303のオーバーラップ量がD2に減少する。ONO電荷トラッピング誘電体スタック306とウィンドウ305のオーバーレイが十分でないと(例えば、D2がゼロになった場合)、後のプロセスによってSONOS装置300の基板領域が機能しない状態になる場合がある。したがって、この理由からしても、ウィンドウ305とONO電荷トラッピング誘電体スタック306の寸法及び配置が重要となる。
【0043】
モジュール210が完了すると、
図2Aの方法は、モジュール212へと進み、ここではHV MOS領域350及びMOS領域370でゲート絶縁層を形成する準備として、フォトレジストのストリッピングによってウェハ上に残った有機残留物又はエッチング副生成物が基板302から洗浄される。
図2Aに示す具体的な実施形態では、モジュール212は非HFゲート絶縁体用事前洗浄剤を含む。フッ化水素酸(HF)系洗浄剤は、従来的なロジックCMOSプロセスにおいてゲート絶縁体を形成する前に基板302から自然酸化物又は化学酸化物を除去するために用いられるが、非揮発性電荷トラッピング誘電体層が既に形成されて実質的に保護されていないままの場合においては不利益をもたらす。
【0044】
特にスタックがCVDで形成されたブロッキング層304Cを含む場合、従来的なHF系ゲート絶縁体事前洗浄剤は、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306をエッチングしてしまうかその質を劣化させてしまう。したがって、図示の実施形態では、モジュール212はHFを実質的に伴わない洗浄オペレーションを含む。このような実施形態に関しては、モジュール212の後において、基板302が自然酸化物又は化学酸化物を保持する場合がある。薄いかつ重要な誘電体層がHF系洗浄剤によって攻撃されてしまうという懸念は、HF系MOSゲート絶縁体事前洗浄を行う前にこのような層(例えば、フラッシュメモリ装置のトンネル酸化物層)をポリシリコンフローティングゲート層で保護する標準的なロジックMOSプロセス及びフラッシュメモリプロセスには当てはまらない。
【0045】
モジュール212の非HF事前洗浄剤は、ピラニア洗浄、オゾン洗浄及びO
2若しくはフォーミングガスを備えるプラズマ洗浄等の技術分野において知られている有機残留物を除去するための洗浄手法を含むことができるがこれらには限定されない。非HF事前洗浄剤はRCA標準クリーンI式(SCI, Standard Clean I)クリーンを含むことができ、これは水、過酸化水素及び水酸化アンモニウムの混合物(H
2O:H
2O
2:NH
4OH)を含む。堆積酸化物ブロッキング層は典型的には熱的に形成された酸化物層よりも劣った質を有するが故に、CVDで形成されたブロッキング層304Cは特に誘電体エッチャントの影響を受け易いことに留意されたい。フィルム応力、孔隙率、化学量論又は他の側面のいずれに起因していても、劣った質は、熱的に成長させた誘電体層に比して相対的に高いエッチングレートを伴う。したがって、事前洗浄モジュール212において用いられるプロセスは過度に強烈であるべきではない。
【0046】
例えば、ロジックCMOSにおいてSCI混合物は典型的には5:1:1(H
2O:H
2O
2:NH
4OH)の比率で用いられるが、このケミストリは、CVDによる二酸化ケイ素ブロッキング層304Cをおよそ0.2〜0.3nm/分の平均レートでエッチングするということが分かっている。この名目的なエッチングレートにより懸念となるのはもしかするとSCIケミストリがブロッキング層304Cを粗くしてしまう作用を持っているということであるかもしれない。この粗さは、RMSラフネス測定値で特徴付けることができる。また、SCIケミストリに関する問題としてはトップ酸化物におけるピンホール欠陥もあり、これはRMSラフネス測定値では検出されない程度の低密度で発生していてもブロッキング層304Cの質を低下させる場合がある。モジュール212において超希釈SCIクリーンを用いることによって、これらの困難性を回避又は相当程度緩和できることが分かった。超希釈SCIは、5:1:1よりも相当程度希釈化されている。例えば、1つの有利な実施形態では、超希釈SCIはおよそ0.001%のNH
4OH及び0.1%のH
2O
2をH
2O中に有する。モジュール212で示されている非HF事前洗浄においては、超希釈SCIの後にRCA標準クリーン2式(SC2, Standard Clean 2)をさらに行うことができ、これは周知の比率で構成されたH
2O:H
2O
2:HClの混合物で構成される。
【0047】
代替的な実施形態では、モジュール212の非HF事前洗浄は、オゾン処理水クリーニング方法を含むことができる。このような実施形態では、SCI洗浄剤をオゾン処理水で代替して有機質及びエッチング残留物を除去することができる。SCI洗浄剤を除外した後においては、基板には少しのメタルしか残らず、したがってSC2は不要となる。
【0048】
モジュール212の非HF事前洗浄の後、基板302の上にロジックMOSゲート絶縁層を形成することができる。ロジックMOSゲート絶縁層は、電荷トラッピング誘電体層304A、304B及び304Cのいずれかについて本願明細書の他の箇所で説明された任意の誘電体物質で構成することができ、特定の実施形態では
図3Cのゲート絶縁層314として熱的に成長させた酸化物が含まれる。シリコン基板302を用いる特定の実施形態に関しては、熱的に成長させたゲート絶縁層314はケイ素−酸素結合を有する。本願の他の箇所で述べられているように、
図1に示す統合されたフローは、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306の形成を、ロジックMOSゲート絶縁体の形成の前に有利にシーケンスすることによって、ロジックMOSゲート絶縁体の形成を熱的プロセスによって行わせることを通じて、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306を追加的に再酸化させるという利益をもたらす。ブロッキング層304Cを再酸化させることによって、CVDで形成されたブロッキング酸化物層を高密度化させ、ブロッキング酸化物の質を向上させ、それによって非揮発性電荷トラップメモリ装置のパフォーマンスを向上させる(例えば、バックインジェクションの減少)という効果がある場合がある。
図3Cにおいては、フィールド線の追加によってブロッキング層304Cの再酸化を表している。さらなる実施形態では、ゲート絶縁層314の形成は、
図3Cに示す電荷トラッピング層304Bの一部若しくは全部等の電荷トラッピング層の一部若しくは全部の酸化若しくは再酸化をさらに伴うことができ、これにより電荷トラッピング層304B内に勾配のついたバンドギャップを得ることができる。このような勾配のついたバンドギャップは、非揮発性電荷トラップメモリ装置のパフォーマンスをさらに向上させることができる。ブロッキング層304Cの堆積の後のこのような目的のための再酸化は、酸化剤のより制御された拡散を可能とし、薄い電荷トラッピング層304Bの制御された態様での酸化及び再酸化を可能とすることができる。
【0049】
一般に、ゲート絶縁層314の形成は、酸素(O
2)、亜酸化窒素(N
2O)、酸化窒素(NO)、オゾン(O
3)及び蒸気(H
2O)等の酸化ガスの雰囲気下で基板302を加熱する任意の従来的ゲート酸化プロセスを含むことができる。1つの実施形態では、ゲート酸化プロセスは、ブロッキング層304Cが堆積される温度よりも高い温度で行われる。特に有利な実施形態では、希釈ウェット酸化が用いられてゲート絶縁層314が形成される。希釈ウェット酸化は、H
2:O
2比が1〜1.3の間であるという点において、従来的なウェット酸化と区別可能である。1つの具体的な実施形態では、温度が800°C〜900°Cの間で、H
2:O
2比をおよそ1.2として希釈酸化を行う。さらなる実施形態では、希釈酸化の持続時間を、基板302がシリコンの場合に二酸化ケイ素が5.0nm〜15.0nm成長することができる長さの時間とする。1つのこのような実施形態では、シリコン基板の上で二酸化ケイ素層がおよそ10nm〜1.1nm成長するのに足りる持続時間が用いられる。このような希釈ウェット酸化プロセスは、堆積されたブロッキング層304Cを有利に再酸化し、及び、電荷トラッピング層304Bの一部をさらに酸化若しくは再酸化することができる。
【0050】
事前洗浄モジュール212の後において基板302上に自然酸化物又は化学酸化物が残る場合、基板302内の自然酸化物又は化学酸化物の下にあるシリコンの一部を消費することによって、熱酸化プロセスが二酸化ケイ素で構成されるゲート絶縁層314を形成する。したがって、複数の厚さをMOSゲート絶縁層に用いる場合、例えばHV MOSトランジスタ305の領域において第1の厚さを適用し、MOSトランジスタ307の領域において第2の厚さを適用する場合、より小さい厚さの追加的ゲート絶縁層を形成する前に、
図2Aのモジュール214にて最も厚いゲート絶縁層を先に形成するのが有利である場合があり、これに関しては、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306を形成した後に生じた任意の自然酸化物又は化学酸化物が完全に消費されるようにし、及び、MOS装置に対して自然酸化物が及ぼす電気的な影響がより大きなゲート絶縁層厚みによって減少されるようにする。
【0051】
図2Aに示す1つの実施形態では、異なる組成及び/又は厚さのゲート絶縁層がプロセスにて形成されるべき場合、方法200はモジュール218へと進む。モジュール218では、
図3Dにおいてのフォトレジスト層318が堆積されてパターン化されて、次の絶縁体物質及び/又は絶縁体厚さを有すべき基板302上の領域の上に開口部319が形成される。モジュール222においては、
図3Dに示すゲート絶縁層314等のそれまでに形成したゲート絶縁層を選択的に除去して基板302を露出させる。モジュール218及び222においては、モジュール205との関係で説明したもの等のような、従来的なリソグラフィ及びエッチング手法を用いることができる。
【0052】
ゲート絶縁層の除去に続いて、基板302に対して事前洗浄を行うことができる。例えば、モジュール224においては、フォトレジスト層318がONO電荷トラッピング誘電体スタック306を保護している間に、仮にフォトレジスト層318の保護が無かったとした場合にONO電荷トラッピング誘電体スタック306に悪影響を及ぼし得るであろう洗浄を、行うことができる。特定の実施形態では、モジュール224における洗浄が行われないものの、いずれの場合であってもモジュール226でフォトレジスト層318は、ゲート絶縁層の選択的除去に続いて、例えば従来的なピラニア洗浄及び/又はプラズマアッシングオペレーション等によってストリップされる。
【0053】
ONO電荷トラッピング誘電体スタック306がパターン化されて、及び、ゲート絶縁層314がパターン化されたならば、別のゲート絶縁層の形成の準備のために、非HF事前洗浄モジュール212を反復することができる。超希釈SCIクリーン等、モジュール212について他の箇所で説明した任意のプロセスをこの段階で行って、開口部319内での追加的なゲート絶縁層の形成の準備として基板302を洗浄することができる。モジュール212の後、モジュール214にてゲート絶縁層320等のゲート絶縁層を形成することができる。ゲート絶縁層320は、ゲート絶縁層314との関係で説明した任意の物質であることができるが必ずしもゲート絶縁層314と同じ物質であることを要さない。1つの特定の実施形態では、ゲート絶縁層320は、二酸化ケイ素で構成される熱的に成長された層である。さらなる実施形態では、ゲート絶縁層320は、MOSトランジスタ370の場合のように基板302の第3の領域の上に形成され、HV MOSトランジスタ350の場合のように基板302の第2の領域の上に形成されたゲート絶縁層314よりも薄い。1つのこのような実施形態では、二酸化ケイ素で構成されるゲート絶縁層320が厚さおよそ3.0nm〜8.0nmとして形成され、その一方ゲート絶縁層314が5〜15nm程とされる。ゲート絶縁層314の形成に関してモジュール214について本願の他の箇所で述べられた任意のプロセスを、ゲート絶縁層320の形成に用いることもできる。また、ゲート絶縁層314の形成について述べているのと同じように、ゲート絶縁層320の形成中においてブロッキング層304C及び電荷トラッピング層304Bを再酸化することができる。なお、ここでの再酸化は、ゲート絶縁層314の形成において起きるそれよりも小規模であることがあり、特にゲート絶縁層320がゲート絶縁層314よりも薄く形成される場合においてはこれが妥当し、或いは、ゲート絶縁層314の実施形態との関係で説明した希釈蒸気酸化によってゲート絶縁層320が形成された場合にこれが妥当する。
【0054】
必要に応じて、モジュール218、222、224、226、212及び214を任意の回数反復して、
図3C〜
図3Eに示すような2以上の厚さのゲート絶縁層を提供することができる。このようにして、回ごとに逐次薄くなっていくゲート絶縁層を形成することができる。例えば、ゲート絶縁層314及びゲート絶縁層320よりも薄い第3のゲート絶縁層を厚さ2.0nm〜3.5nmとして形成することができる。
【0055】
ゲート絶縁層314等の少なくとも1つのMOSゲート絶縁層を形成した後、
図2Aに示す実施形態はモジュール228へと進む。モジュール228においては、ゲート絶縁層314及びONO電荷トラッピング誘電体スタック306は窒化される。MOSゲート絶縁体を窒化するのに加えて、この窒化プロセスはONO電荷トラッピング誘電体スタック306に窒素を組み込む役割を果たし、スタック内(例えば、誘電体層304Cと304Bとの間)のインターフェースの質を向上させる役割を果たす。この窒化プロセスは、特定の実施形態では、およそ4〜10重量%の窒素をブロッキング層304Cに組み込むことができる。特定の実施形態では、窒化プロセスは基板302を窒素含有雰囲気下でおよそ900〜1100°Cの範囲で加熱することを含む。
【0056】
1つの実施形態では、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306の窒化は、ゲート絶縁層(例えば、ゲート絶縁層314又はゲート絶縁層320)の形成ステップの一環として行われる。したがって、
図2Aのモジュール214及び228は別個のプロセス機材にて行われる必要があるわけではなく、単一のプロセスレシピ内の別個のステップとして行われることで足りる。特定の実施形態においてこの窒化プロセスは、ブロッキング層304Cにおよそ4〜10重量%の窒素を、ゲート絶縁層314及び/又はゲート絶縁層320におよそ4〜10重量%の窒素を、組み込むことができる。1つのこのような実施形態では、窒化モジュール228のためにCVD炉が用いられるのであり、窒化の持続時間を5分〜10分の間とすることができる。別の実施形態では、窒化モジュール228のために単一ウェハツールを用いることができ、ゲート絶縁層及びONO電荷トラッピング誘電体スタック306を窒素含有雰囲気に、およそ30秒から60秒の範囲の持続時間にわたってさらすことができる。
【0057】
ある実施形態では、窒素含有雰囲気は、窒素(N
2)、亜酸化窒素(N
2O)、二酸化窒素(NO
2)、酸化窒素(NO)及びアンモニア(NH
3)等のガスで構成されるがこれらには限定されない。また別の実施形態では、水素が重水素で置換されたガスの導入を通じて、窒素含有雰囲気が重水素をさらに伴っており、例えばNH
3がND
3に置換されている場合が含まれる。水素を重水素で置換することによってSiのダングリングボンドを有利に不動態化できる場合があるため、NBTI(Negative Bias Temperature Instability、負バイアス温度不安定性)寿命等の非揮発性電荷トラップメモリ装置のパラメトリックスを向上させ得る。
【0058】
別の特定の実施形態では、モジュール228での窒化は、最後のゲート絶縁層が形成された後、例えばゲート絶縁層314及びゲート絶縁層320が形成された後に初めて行われる。したがって、
図3Fのフィールド線で表されているように、一回の窒化プロセスによってONO電荷トラッピング誘電体スタック306、ゲート絶縁層314及びゲート絶縁層320が窒化される。このような実施形態では、一回的な窒化によって、統合化された方法200のサーマルバジェットが最小化されるとの前述した利益が得られる。
【0059】
別の実施形態では、モジュール228の窒化プロセスは第1のゲート絶縁体が形成された後、例えばゲート絶縁層314の形成後、に初めて行われる。このような実施形態では、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306は、ゲート絶縁層314と共に窒化される。第1のゲート絶縁体の後に初めて窒化を行うことにより、HV MOSトランジスタ350のための領域等の基板302の上に作製されたロジックMOS装置の幾つかが窒化されたゲート絶縁層を有すると共に、MOSトランジスタ370のための領域等の領域においての他のものはそれを有さないことが可能となる。
【0060】
第1のゲート絶縁体が形成された直後に窒化を行う実施形態では、ゲート絶縁層320等の後のゲート絶縁層を形成する前に行う後続のHF系洗浄への露出に関しての、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306の耐性を向上させることできる場合がある。1つの特定の実施形態では、およそ5.0nm〜15.0nmの厚さの二酸化ケイ素のゲート絶縁層314が(基板302上の自然酸化物の下のシリコンを消費しながら)形成されて、モジュール228の窒化が行われて、窒化されたONO電荷トラッピング誘電体スタック306が露出されている状態で希釈HF系洗浄が行われ、並びに、基板302の自然酸化物又は化学酸化物の厚みをあまり消費しないで厚さ2.0nm〜8.0nmの二酸化ケイ素のゲート絶縁層320が形成される。この特定の実施形態において、厚いMOSゲート絶縁層形成プロセスの一部たり得るモジュール228の窒化オペレーションは、ONO電荷トラッピング誘電体への悪影響を最小化した上で、より重要な薄いMOSゲート絶縁層形成プロセスに希釈HF系事前洗浄ケミストリを用いることを可能にする。さらに別の実施形態では、回を追って形成されていく各ゲート絶縁体は、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306が複数回の窒素アニーリングにさらされるようなモジュール228の窒化プロセスを伴う。
【0061】
図2Aのモジュール228の窒化の後、方法200はモジュール230へと進む。モジュール230では、
図3Gに示すように、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306並びにゲート絶縁層314及び320の双方の上にゲート層330が堆積される。ゲート層は、従来的に知られている任意のプロセスを用いて形成されることができる。ゲート層は、技術分野でゲート層に用いられている任意の電導体又は半導体物質であることができる。1つの実施形態では、ゲート層330は、ハフニウム、ジルコニウム、チタニウム、タンタル、アルミニウム、ルテニウム、パラジウム、プラチナ、コバルト、ニッケル、これらのシリサイド、これらの窒化物、及びこれらの炭化物等のメタルを含むがこれらには限定されない。
【0062】
別の実施形態では、ゲート層330はポリシリコン(p-silicon)である。さらなる実施形態では、ポリシリコンゲート層330はデュアルドープされて、第1の及び/又は第2のゲート絶縁層(314、320)の第1の部分においてはN+伝導性を有するようにされてHV NMOS及び/又はNMOSトランジスタをそれぞれ形成し、また他方で、第1の及び/又は第2のゲート絶縁層(314、320)の第2の部分においてはP+伝導性を有するようにされてHV PMOS及び/又はPMOSトランジスタをそれぞれ形成するようにされることができる。さらなる実施形態では、ポリシリコンゲート層330は、SONOS装置300内においてN+又はP+伝導性を有するようにドープされることができる。したがって、デュアルドープされたポリシリコンは、P+ポリシリコンゲートをN型SONOSメモリ装置上に形成することができる。P+ポリシリコンゲートはN+ポリシリコンゲートよりもおよそ1eV高いフェルミレベルを有するため、N型SONOS装置チャネルでのP+ポリシリコンゲートのより大きな作用によって、N+ポリシリコンゲートを有するN型SONOS装置との対比では、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306に入っていく電荷キャリアの個数が減少し、信頼性が向上し得る。
【0063】
図3Hにさらに示すように、SONOS装置300の基板領域の上にSONOSゲート電極がパターン化され、その一方で、HV MOSトランジスタ350及びMOSトランジスタ370の基板領域上にそれぞれHV MOSゲート電極358及びMOSゲート電極378がパターン化される。特定の実施形態では、ONO電荷トラッピング誘電体スタック上で停止するドライエッチングを用いてSONOSゲート電極のパターニングが行われて、SONOS装置300の基板半導体が保護される。
【0064】
そして、
図2Aのモジュール255にて従来的なTIP及び/又はHALOインプラントプロセスを行って、軽くドープされたドレイン(不図示)を形成することができる。そして、
図3Iでさらに示しているように、モジュール261にて、SONOSゲート電極308の側壁の隣かつONO電荷トラッピング誘電体スタック306の上に、側壁スペーサ309が形成される。側壁スペーサ309は例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は窒化ケイ素で構成され、また、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306に比べて選択的にパターン化されることができる。そして、
図3Jに示すように、ONO電荷トラッピング誘電体スタック306を続いてエッチングして、側壁スペーサ309とセルフアラインさせて、SONOSゲートスタック301の形成を完了させることができる。似たようなプロセスを用いて、HV MOSゲートスタック351及びMOSゲートスタック371の隣のスペーサ359及び379をそれぞれ形成することができる。
【0065】
図4Aは、
図2Bのソース/ドレインインプラントモジュール263が行われた後の横から見た断面図である。純粋に明確性確保の観点から、ゲートスタック301、351及び371の描写は、
図3Jの描写に比べて簡略化されている。ここで、SONOS装置300は、基板302内に、チャネル領域とは逆の伝導性を有するソース及びドレインを有する。例えば、本願発明のある実施形態によれば、ソース及びドレイン410はN型ドープを受けており、他方、基板302のチャネル領域はP型ドープを受けている。1つの実施形態では、基板302は、ホウ素濃度が1×10
15〜1×10
19 atoms/cm
3の範囲にあるホウ素でドープされた単結晶シリコンで構成される。別の実施形態では、ソース及びドレイン410は、リン又はヒ素でドープされた領域を持ち、N型ドーパントの濃度は5×10
16〜1×10
20 atoms/cm
3の範囲にある。特定の実施形態では、ソース及びドレイン410は、基板302内での深さが80〜200nmの範囲となる。本願発明の代替的実施形態によれば、ソース及びドレイン410はP型ドープを受けており、他方、基板302のチャネル領域はN型ドープを受けている。さらに示しているように、
図2Aのモジュール255で形成した軽くドープしたソース及びドレイン(LDD)411は、側壁スペーサ309の下に伸びている。
【0066】
HV MOSトランジスタ350及びMOSトランジスタ370の双方は、それぞれLDD461及び481をも含む。MOSトランジスタ370は、側壁スペーサ379に隣り合いかつゲートスタック371の側壁の下から距離T1離れている、ソース及びドレイン480をさらに含む。ソース及びドレイン480は、N型伝導性を有し、特定の実施形態では、ソース及びドレイン410と実質的に同じドーパント濃度を有することができる。もっとも、
図4Aにあるように、モジュール263においては、HV MOSトランジスタ350はソース及びドレイン410、480に類似しているソース及びドレインを欠いている。したがって、ソース及びドレイン410、480のインプラント中においては、HV MOSトランジスタ350を、事前にパターン化しておいた感光性マスク又は例えばアモルファスカーボン(非限定的例示)等の周知の非感光性ハードマスクでマスクすることができる。
【0067】
そして、
図2Bのモジュール264にて多層ライナを形成する。
図4Bに示すように、基板302の上にライナ485が形成され、これはSONOS装置300、HV MOSトランジスタ350及びMOSトランジスタ370を覆う。図示される特定の実施形態において、ライナ485は、ボトムライナ層485A及びトップライナ層485Bを備える多層ライナである。ボトムライナ層485A及びトップライナ層485Bは、一般的に用いられる任意の材料であることができる。好適例においては、トップライナ層485Bに対して異方性エッチングをボトムライナ層485Aとの関係で選択的に行うことができる。1つのこのような実施形態では、ボトムライナ層485Aは二酸化ケイ素であり、トップライナ層485Bは窒化ケイ素である。代替的な実施形態では、ボトムライナ層485Aは窒化ケイ素であり、トップライナ層485Bは二酸化ケイ素である。他の実施形態においては、トップ又はボトム層は、酸窒化ケイ素、炭素ドープ窒化ケイ素、又はホウ素ドープ窒化ケイ素を含むことができる。多層ライナ485は本願明細書の他の箇所で説明した統合に関する利点をもたらすが、特定の実施形態では、例えば、二酸化ケイ素層又は窒化ケイ素層で構成される単一層ライナを用いることもできる。
【0068】
ボトムライナ層485Aを薄くすると、他の装置の側壁の近くに配置されていてもよい側壁スペーサ309、359及び379の側壁に堆積される物質の横方向厚さが有利に減少する。ボトムライナ層485Aが薄いと、基板302のいろいろな領域における膜厚の変化をさらに減少させることができるのであり、この利点については本願明細書の他の箇所で説明している。1つのこのような実施形態では、窒化ケイ素のボトムライナ層485Aを、およそ2nmからおよそ15nmの間の厚さに形成するのであり、好適にはおよそ5nmからおよそ8nmの間とする。本願明細書の他の箇所で説明しているように、スペーサ359の側壁に所望の厚さの多層ライナを提供するために、トップライナ層485Bの厚さを選択できる。1つの実施形態では、二酸化ケイ素のトップライナ層485Bがおよそ10nm〜40nmの間の厚さに形成されるのであり、好適にはおよそ20nm〜30nmの間とされる。
【0069】
多層ライナ485の層は任意の周知の手法で堆積されることができ、これには熱酸化、低圧CVD(LPCVD)、プラズマエンハンスドCVD(PECVD)及び当業者に知られているALDプロセスが含まれるがこれらには限定されない。例えば、NH
3等の窒素プリカーサ及びシラン(SiH
4)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、若しくはBTBAS(bis(tertiary-butylamino) silane)等のシリコンプリカーサを用いて窒化物のボトムライナ層485Aを堆積させることができる。基板の温度を例えばおよそ550°Cからおよそ850°Cの間として、堆積チャンバの圧力をおよそ100mT(millitorr)からおよそ700mTの間として、堆積オペレーションを行って、上述してきた範囲内の任意の厚さの膜を形成することができる。
【0070】
似たようにして、ボトムライナ層485Aについて熱酸化若しくは化学酸化を行うことによって、又は、周知のプリカーサを用いるLPCVD等の堆積プロセスを行うことによって、酸化物層のトップライナ層485Bを形成することができ、上述してきた範囲内の任意の厚さの膜を形成することができる。特定の実施形態では、ボトムライナ層485A及びトップライナ層485Bの双方又は片方を、高度に応力を加えられている膜を生じさせるものとして知られる手法によって、堆積させることができる。このような応力が付加されている膜を伴う実施形態では、後にいずれかの層を除去するのがより早くなり、及び/又は、除去が他方の層との関係若しくは下にある層との関係でより選択的となる場合がある。
【0071】
図4Cで示されているように、モジュール265では、トップライナ層485Bに対して異方性エッチングを行って多層ライナ485の下にあるトポグラフィの側壁に沿って使い捨て側壁スペーサ486を形成する。ボトムライナ層485Aまで、トップライナ層485Bは選択的にエッチングされる(即ち、ボトムライナ層485Aはエッチストップを提供する)。1つのこのような実施形態では、トップライナ層485Bが分離した使い捨て側壁スペーサ486に形成された後においても、ボトムライナ層485Aは、基板302上において実質的に連続的な膜として残る。
【0072】
トップライナ層485Bを異方性エッチングして使い捨て側壁スペーサ486を形成するために選択されるプロセスは、選択された材料に左右される。窒化ケイ素のボトムライナ層485Aと二酸化ケイ素のトップライナ層485Bを用いる特定の実施形態では、ボトムライナ層485Aを通り過ぎてエッチングしないように停止させる程の窒化ケイ素との関係で十分に高い選択性を持つ、例えば四フッ化炭素(CF
4)等のようにフッ素系ケミストリを伴うプロセス等の周知のプラズマエッチングプロセスを用いることができる。二酸化ケイ素のボトムライナ層485Aと窒化ケイ素のトップライナ層485Bを用いる代替的な実施形態では、三フッ化窒素(NF
3)等のフッ素系ケミストリ又は塩素系ケミストリ等を用いる周知のプラズマエッチングプロセスの任意のものを用いることができる。
【0073】
使い捨て側壁スペーサ486が形成された後は、モジュール267にて、HV MOSトランジスタのためのソース及びドレインを形成することができる。
図4Dにさらに示す実施形態では、SONOS装置300及びMOSトランジスタ370の上にマスク498が形成された後に、ソース及びドレイン460がp型インプラントを伴って形成される。マスク498は、事前にパターン化しておいた任意の周知の感光性マスク材料(例えば、フォトレジスト)又はアモルファスカーボン等の非感光性マスクであることができる。p型ドーパントは、ホウ素種等の技術分野で一般的に用いられる任意のものであることができる。他の実施形態においては、HV NMOSトランジスタ用のn型ドーパントが含まれる。
【0074】
インプランテーションはゲートスタック351にセルフアラインされておりかつゲートスタック351の側壁から距離T2オフセットされている。距離T2は、側壁スペーサ359の側壁厚さと、ボトムライナ層485Aの側壁厚さと、使い捨て側壁スペーサ486の側壁厚さとを足した和におよそ等しい。
図4Gに示す実施形態では、HV MOSトランジスタ350についての距離T2は、MOSトランジスタ370についての距離T1より大きい。このようにして、ソース及びドレイン460は、T1より大きい距離T2だけオフセットされており、LDD461の長さが増加している。したがって、
図4Bのオペレーションにおいて堆積されるトップライナ層485Bの厚さを予め決定して、適切な横方向幅(厚さ)を有する使い捨て側壁スペーサ486を提供することができる。
【0075】
T2により表される比較的大きなオフセットによって、ソース及びドレイン460からHV MOSトランジスタ350のチャネル領域内へのp型ドーパント拡散による熱処理中の侵食を減少させることができ、降伏電圧を上げることができる場合がある。図示されている実施形態では、ボトムライナ層485Aを通じてp型インプラントを行っている。先述したように、特定の実施形態では、有益なほどに薄いボトムライナ層485Aを用いて、基板302の全域にわたってインプラントプロファイルの均質性を向上させる。
【0076】
ソース及びドレイン460の形成の後、マスク498は除去されて、SONOS装置300及びMOSトランジスタ370を覆っているボトムライナ層485Aを露出させることができる。そして、モジュール268において、また
図4Eでさらに示しているように、使い捨て側壁スペーサ486を除去することができる。使い捨て側壁スペーサ486の除去は、隣り合うロジック装置及び非揮発性電荷トラップメモリ装置間の間隔を有利に増加させる場合があり、これによってより高密度な装置の集積(即ち、より小さな装置ピッチ)を可能とし得る。このことは、メモリセルアレイ等の密集して配置されたSONOS装置のアレイの一部となり得るSONOS装置300にとって特に有益である。使い捨て側壁スペーサ486の除去は、高密度のSONOS装置及びロジック装置の上に堆積されたILD層の段差被覆を向上させ得る。
【0077】
使い捨て側壁スペーサ486の除去はマスクドプロセスによることができ、このようなプロセスでは例えばSONOS装置300から使い捨て側壁スペーサ486が除去されるもHV MOSトランジスタ350においては同スペーサが保持される。しかし、図示されている実施形態では、使い捨て側壁スペーサ486は基板302の全域にわたって非マスクドエッチングプロセスにて除去される。図示されているように、エッチングプロセスはボトムライナ層485Aとの関係で選択的である(即ち、ボトムライナ層485Aが、使い捨て側壁スペーサ486を除去するために用いられるエッチングプロセスに関してのエッチストップとして機能する)。ボトムライナ層485Aの保護によって、基板半導体及び浅型トレンチアイソレーション(STI, shallow trench isolation)等の基板絶縁体は、使い捨て側壁スペーサ486を除去するために用いられるプロセスから保護される。STIがゲートスタック301の幅とあう所にて形成される隅(不図示であり、
図4Eの平面外にある)に対して行う処理が、SONOS装置300のパフォーマンスに大きな影響を与え得るということが分かったので、この領域を、使い捨て側壁スペーサの除去のために用いられるプロセスにさらさないのが有利である。
【0078】
ボトムライナ層485Aがエッチストップ層として機能することによって、使い捨て側壁スペーサ486の除去処理中に基板302、SONOSゲート電極308、HV PMOSゲート層358、NMOSゲート層378並びに側壁スペーサ309、359及び379は、保護されたままとなる。これら構造が保護されているため、使い捨て側壁スペーサ486(即ち、トップライナ層485B)の材質的組成は、ゲート電極308、358、及び378並びに側壁スペーサ309、359及び379の材質とは独立の関係になる。
【0079】
具体的な実施形態で用いられる材料に応じて、使い捨て側壁スペーサ486を、周知のウェット化学又はドライエッチングプロセスで除去することができる。1つの実施形態では、使い捨て側壁スペーサ486が二酸化ケイ素である場合(すなわち、トップライナ層485Bが二酸化ケイ素である場合)、フッ化水素酸(HF)系ウェット化学エッチングを行って、窒化ケイ素のボトムライナ層485Aに対して選択的に使い捨て側壁スペーサ486を除去することができる。代替的な実施形態では、窒化ケイ素のボトムライナ層485Aとの関係で高い選択性を示すと広く知られているような等方性ドライエッチングプロセスを用いることができる。使い捨て側壁スペーサ486が窒化ケイ素である場合(即ち、トップライナ層485Bが窒化ケイ素である場合)の他の実施形態では、加熱リン酸(H
3PO
4)系ウェット化学エッチングを行って、二酸化ケイ素のボトムライナ層485Aに対して選択的に使い捨て側壁スペーサ486を除去することができる。代替的な実施形態では、二酸化ケイ素のボトムライナ層485Aとの関係で高い選択性を示すと広く知られているような等方性ドライエッチングプロセスを用いることができる。
【0080】
使い捨て側壁スペーサ486の除去の後、モジュール269にてボトムライナ層485Aを除去して、モジュール270におけるシリサイド化又はサリサイド化(salicidation, self-aligned silicidation)の準備として、SONOS装置又はロジック装置の双方又は片方のソース及びドレイン領域を露出させることができる。1つの実施形態では、ボトムライナ層485Aに対してのブランケットストリップを行って全装置のソース及びドレインを露出させることができる。このような実施形態では、好ましくはストリッププロセスがSTI comer、ゲート電極308、358及び378並びに側壁スペーサ309、359及び379との関係で選択的である。もっとも、
図4Fでは、ボトムライナ層485Aに対してのパターン化エッチングを用いる代替的な実施形態を示す。パターン化エッチングにより、シリサイドが望まれる装置のソース及びドレインのみが剥き出しになる。このようにして、ボトムライナ層485Aは装置に合わせたシリサイド化をさらに提供することができる。
【0081】
前述したように、シリサイド化プロセスが応力を誘起し得るので、シリサイドはSONOS装置300のパフォーマンスと信頼性に悪影響を与える場合がある。したがって、装置に合わせたシリサイド化プロセスを用いるのが、MOSトランジスタ370等のシリサイドコンタクトを有するロジック装置をSONOS装置300等のシリサイドフリーなコンタクトを有する非揮発性電荷トラップメモリ装置と統合するのに有利となり得る。同様にHV MOSトランジスタ350等のHV MOS装置は、シリサイド化されている又はシリサイドフリーなコンタクトを含むことができる。
図4Eに示すように、LDD領域461は、側壁スペーサ359及びボトムライナ層485A(即ち、使い捨て側壁スペーサ486が除去された箇所の下)を超えて伸びているのであり、この露出しているLDD領域の上にシリサイドを形成するのは望ましくない場合がある。
【0082】
図4Fで示すように、1つの実施形態では、マスク499がSONOS装置300及びHV MOSトランジスタ350の上に形成される。マスク499は、周知の任意の感光性マスク素材(例えば、フォトレジスト)又はアモルファスカーボン等の非感光性マスクであることができ、これはまずパターン化される。ボトムライナ層485Aをエッチングして、後のシリサイド化のためにMOSトランジスタ370の領域を露出させることができる。ボトムライナ層485Aの除去は、材料の組成に応じて、任意の周知な手段によって行うことができる。好ましくは、除去プロセスは半導体基板302及びSTI(不図示)との関係で選択的であるべきである。さらに好ましくは、ゲート層378及び側壁スペーサ379との関係で選択性を有することができる。窒化ケイ素のボトムライナ層485Aを用いる1つの特定の実施形態では、リン酸系のウェット化学エッチングが用いられる。二酸化ケイ素のボトムライナ層485Aを用いる代替的な実施形態では、HF系のウェット化学エッチングを用いることができる。ボトムライナ層485Aの厚さが比較的小さいため、エッチング及びオーバーエッチングの時間は短時間にとどめて下にある層の侵食を回避することができる。また、高度に応力が与えられているボトムライナ層485Aを有する前述の実施形態では、ウェット化学エッチングのレートが大幅に高められている場合がある。さらに別の実施形態では、周知のプロセスパラメータを用いるドライプラズマエッチングを用いてボトムライナ層485Aのマスクされていない部分を除去することもできる。そして、マスク499を除去することができる。
【0083】
そして、
図4Gに示すように、露出されているシリコンがある領域に対してシリサイドプロセスを行うことができる。シリサイドプロセスは、技術分野において慣用される任意のものであることができ、典型的には事前洗浄エッチング、コバルト若しくはニッケルのメタル堆積、アニーリング及びウェットストリップを含むことができる。図示のように、ボトムライナ層485AによってSONOS装置300及びHV装置(例えば、MOSトランジスタ350)からブロックされている間に、露出されているゲート層378及び露出されているソース及びドレイン領域の上にシリサイド領域482を形成することができる。
【0084】
1つの実施形態では、
図4Gに示すオペレーションの後、処理は
図5に示すようにボトムライナ層485Aの除去及びILD層504の堆積へと進む。このような実施形態は、後に行われるコンタクトエッチングを簡略化するという利点を有する。なぜならば、ILD層504をエッチングすることによって、ソース及びドレイン410、ソース及びドレイン460、並びに、MOSトランジスタ370のシリサイド領域482が剥き出しになるからである。この実施形態では、シリサイドを有する装置を、事前にパターン化しておいた周知の感光性マスク材料(例えば、フォトレジスト)又はアモルファスカーボン等の非感光性マスクでマスクすることができる。ボトムライナ層485Aを除去するのに用いるプロセスがシリサイドとの関係で非選択的である場合、シリサイド化された装置(例えばMOSトランジスタ370)をマスキングすることは有益である。そうでない場合、ボトムライナ層485Aについてブランケットストリップを行うことができる。そして、非シリサイド化SONOS装置300、非シリサイド化HV MOSトランジスタ350及びシリサイド化MOSトランジスタ370の上にILD504を堆積させることによってバックエンドインターコネクトプロセスを開始することができる。
【0085】
図6Aに示す代替的な実施形態では、
図4Gに示すオペレーションの後、処理はボトムライナ層485A及びシリサイド領域482の上にILD層を堆積させるステップへと進む。このような実施形態では、ボトムライナ層485AはバックエンドILDの一環として組み込まれ、後ほどシリサイド領域482との関係で選択性を有するエッチングステップでのコンタクトエッチングにおいて除去される。窒化ケイ素のボトムライナ層485Aを用いる特定の実施形態では、ボトムライナ層485Aをセルフアラインドコンタクト(SAC)エッチングにおいてさらに利用することができる。SACエッチングは、窒化ケイ素との関係で高度の選択性を有するエッチングレシピを用いるのであり、コンタクト寸法を、リソグラフィ的にプリントされる寸法から、ボトムライナ層485Aによって覆われる隣り合う装置間の物理的間隔へと縮小させることができる。
【0086】
図6Aでさらに示すように、ボトムライナ層485A及びシリサイド領域482の上に堆積されたILD層は、応力誘起層504Aを含むことができる。応力誘起層504Aは、ロジック装置のチャネル領域に応力を作用させるのに適した任意の物質及び任意の厚さであることができる。応力誘起層504Aは、MOSトランジスタ370等のロジック装置のキャリア移動度及びドライブ電流を有利に増加させることができる。本願発明の実施形態によれば、応力誘起層504AはMOSトランジスタ370の上に直接的に堆積される。1つの実施形態では、応力誘起層504Aは、およそ20〜100ナノメータの範囲の厚さになるまで堆積され、また、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ窒化ケイ素、若しくはホウ素ドープ窒化ケイ素等の物質で構成されるがこれらには限定されない。特定の実施形態では、応力誘起層504Aは引張応力を誘起する層である。
【0087】
応力誘起層504AがSONOS装置300内に望まれざる応力をもたらしてパフォーマンスと信頼性の低下をもたらし得るため、ボトムライナ層485Aは応力誘起層504Aに対抗する向きの応力を誘起するような条件下で堆積されていることができる。特定の実施形態では、ボトムライナ層485Aは、応力誘起層504A内での引張応力に対抗する圧縮応力を誘起することができる。1つのこのような実施形態では、ボトムライナ層485Aの応力がSONOS装置300に課される累積的応力を、ボトムライナ層485Aがなかった場合に応力誘起層504Aがもたらすであろう量の半分以下まで緩和する。したがって、ボトムライナ層485Aは、SONOS装置300とMOSトランジスタ370等のロジック装置の統合のための、選択的シリサイド化及び選択的応力誘起の双方をもたらすことができる。そして、
図4でさらに示すように、ILD層504Bを応力誘起層504Aの上に堆積させて、従来的なバックエンドインターコネクトプロセスの一環として平坦化することができる。
【0088】
さらに別の実施形態では、
図6Bに示すように、ボトムライナ層485Aは、SONOS装置300及びHV MOSトランジスタ350の上から応力誘起層504Aを除去するためのエッチングストップを提供することができる。応力誘起層504Aの、非揮発性電荷トラップメモリ装置(例えば、SONOS装置300)の上にある部分は、ボトムライナ層485Aとの関係で選択性を有するリソグラフィ及びエッチングプロセスによって除去することができる。1つの実施形態では、応力誘起層504Aの、MOSトランジスタ370の上にある部分が、まずパターン化されたフォトレジスト層でマスクされ、そして、応力誘起層504Aの、SONOS装置300の上にある部分が、熱されたリン酸を用いるウェットエッチングプロセス或いは従来的なドライエッチングプロセス等を含むがこれらには限定されない手法によって除去される。
【0089】
ボトムライナ層485Aが二酸化ケイ素である場合、応力誘起層504Aはボトムライナ層485Aとの関係で高い選択性をもって除去されることができる。窒化ケイ素のボトムライナ層485Aを用いる他の実施形態では、応力誘起層504Aのより高い応力がボトムライナ層485Aに選択性をもたらす場合がある。したがって、ボトムライナ層485Aは、その下にある構造に対して、応力誘起層504Aに対してパターニングが行われる間において、保護を提供することができる。代替的な実施形態では、応力誘起層504Aを除去することによってボトムライナ層485Aも除去されることになる。
【0090】
図6Bに示すように、応力誘起層504Aがボトムライナ層485Aとの関係で選択的に除去される場合(例えば、応力誘起層504Aが、SONOS装置300又はHV MOSトランジスタ350のパフォーマンスに悪影響を与えるのを防止することを狙う場合)、さらなるバックエンドインターコネクト処理に備えるために、ILD層504Bを、ボトムライナ層485A及び応力誘起層504Aの双方の上に堆積させることができる。
【0091】
実施及び代案について
別の観点においては、本願の開示はマルチゲート又はマルチゲート−表面メモリ装置に関係しており、基板の表面の上又は上方に形成されたチャネルの2以上の面上にある電荷トラッピング領域及びこれを作製する方法が含まれる。マルチゲート装置には、平面型及び非平面型の装置の両者が含まれる。平面マルチゲート装置(不図示)は、一般的にダブルゲート平面型装置を含み、これにおいては、幾つかの第1の層が堆積されて後に形成されるチャネルの下に第1のゲートが形成され、また、その上に幾つかの第2の層が堆積されて第2のゲートが形成される。非平面マルチゲート装置は、一般的に、基板の表面の上又は上方に形成されておりかつ3つ以上の側面においてゲートによって囲まれている水平又は垂直チャネルを含む。
【0092】
図7Aは非平面マルチゲートメモリ装置700の1つの実施形態を示すものであり、同装置には基板の第1の領域の上に形成された電荷トラッピング層及びその隣に一体的に第2の領域で形成されたMOS装置701が含まれる。
図7Aを参照するに、通例finFETと称されるメモリ装置700は、メモリ装置のソース708及びドレイン710を接続する基板706上の面704の上にある半導体物質の薄い膜又は層から形成されるチャネル702を含む。チャネル702は3つの側において装置のゲート712となるフィンによって囲われている。ゲート712の(ソースからドレインへの方向に向かって測る)厚さが装置の実効的チャネル長を決定する。
【0093】
本願開示によれば、
図7Aの非平面マルチゲートメモリ装置700は、分割電荷トラッピング領域を含むことができる。
図7Bは
図7Aの非平面マルチゲートメモリ装置の一部の断面図であり、基板706、チャネル702及びゲート712の一部が含まれており、分割電荷トラッピング領域が描写されている。ゲート712は、隆起チャネル702の上のトンネル酸化物716、ブロッキング誘電体718及びブロッキング層の上のメタルゲート層720をさらに含み、メモリ装置700の制御ゲートが形成されている。一部の実施形態では、メタルの代わりにドープポリシリコンを堆積させてポリシリコンゲート層を提供することができる。チャネル702及びゲート712は、基板706又は基板の上若しくは上方に形成された埋没酸化物層等の絶縁性若しくは誘電性のある層722の上に直接的に形成されることができる。
【0094】
図7Bを参照するに、分割電荷トラッピング領域714は、トンネル酸化物716寄りの窒化物を備える少なくとも1つの下側又はボトム電荷トラッピング層724とボトム電荷トラッピング層の上にある上側又はトップ電荷トラッピング層726とを含む。一般的には、トップ電荷トラッピング層726は、ケイ素リッチで酸素リーンな窒化物層を備え、複数の電荷トラッピング層に分布している複数の電荷トラップを備えるのであり、ボトム電荷トラッピング層724は酸素リッチな窒化物若しくは酸窒化ケイ素を備え、電荷トラップの個数を減少するためにトップ電荷トラッピング層に比して相対的に酸素リッチである。ここで酸素リッチとは、ボトム電荷トラッピング層724内での酸素濃度がおよそ11%からおよそ40%にある場合を指し、トップ電荷トラッピング層726についての酸素濃度はおよそ5%未満とされる。
【0095】
1つの実施形態では、ブロッキング誘電体718はHTO等の酸化物をも含み、ONNO構造を提供する。チャネル712及び上方にあるONNO構造は、シリコン基板706の上に直接的に形成されることができ、また、ドープポリシリコンゲート層720で覆われてSONNOS構造を提供することができる。
【0096】
図7B等に示す一部の実施形態では、分割電荷トラッピング領域714は、酸化物等の誘電体を備える薄い中間層或いは防トンネリング層728をさらに含むのであって、同層はトップ電荷トラッピング層726をボトム電荷トラッピング層724から分離する。防トンネリング層728は、プログラミング時において上側窒化物層726の境界に蓄積する電子電荷がボトム窒化物層724へとトンネリングする確率を大幅に低下させ、これにより従来的な構造に比べて漏洩電流がより低いものとなる。
【0097】
上述した実施形態において述べたように、ボトム電荷トラッピング層724及びトップ電荷トラッピング層726の片方又は双方は窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含むことができ、例えばN
2O/NH
3及びDCS/NH
3を含む気体混合物によって、CVDプロセスで形成されることができ、混合比及びフローレートはケイ素リッチ且つ酸素リッチな酸窒化物層が得られるように調整される。そして、多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層は、中間酸化物層の上に形成される。トップ電荷トラッピング層726は、ボトム電荷トラッピング層724とは異なる酸素、窒素及び/又はケイ素の化学量論的組成を有しており、その形成或いは堆積もDCS/NH
3及びN
2O/NH
3の気体混合物を含むプロセスガスを用いたCVDプロセスによることができ、混合比及びフローレートはケイ素リッチ且つ酸素リーンなトップ窒化物層が得られるように調整される。
【0098】
酸化物を備える中間層又は防トンネリング層728を含む実施形態では、ラジカル酸化を用いて所望の深さまでボトム酸窒化物層を酸化させることによって防トンネリング層を形成することができる。ラジカル酸化は、例えば、1000°C〜1100°Cの温度で単一のウェハツールを用いて、又は、800°C〜900°Cの温度でバッチリアクタツールを用いて行うことができる。バッチプロセスにおいてはH
2及びO
2の気体混合物を圧力300〜500 Torで用いることができ、シングルヴェーパツールを使う場合には圧力10〜15 Torとして、シングルウェハツールの場合は処理時間を1〜2分として、バッチプロセスにおいては処理時間を30分から1時間とする。
【0099】
最後に、酸化物を含むブロッキング誘電体718を含む実施形態では、酸化物を任意の適切な手段で形成又は堆積させることができる。1つの実施形態では、ブロッキング誘電体718の酸化物は、HTO CVDプロセスにおいて堆積された高温酸化物である。代替的には、ブロッキング誘電体718又はブロッキング酸化物層は、熱的に成長させることができる。もっとも、この実施形態ではトップ窒化物の厚さを調整又は増加することがあるということに留意されたい。なぜならば、トップ窒化物の一部が、ブロッキング酸化物層を熱的に成長させるプロセスの進行中に実質的に消費又は酸化されてしまうからである。第3の選択肢は、トップ窒化物層を所望の深さまでラジカル酸化を用いて酸化することである。
【0100】
ボトム電荷トラッピング層724の適切な厚さはおよそ30Åからおよそ80Åであり(幾らかの変化は許容される。例えば、±10Å。)、このうちおよそ5〜20Åが防トンネリング層728を形成するためのラジカル酸化によって消費される。トップ電荷トラッピング層726の適切な厚さは少なくとも30Åであることができる。特定の実施形態では、トップ電荷トラッピング層726は、厚さ90Åまで形成することができ、このうち30〜70Åがブロッキング誘電体718を形成するためのラジカル酸化によって消費される。一部の実施形態では、ボトム電荷トラッピング層724とトップ電荷トラッピング層726との厚さの比率はおよそ1:1であるが、他の比率も可能である。
【0101】
他の実施形態では、トップ電荷トラッピング層726及びブロッキング誘電体718の片方又は双方が高誘電率誘電体で構成されることができる。適切な高誘電率誘電体には、HfSiON、HfSiOやHfO等のハフニウム系材料、ZrSiON、ZrSiOやZrO等のジルコニウム系材料、及びY
2O
3等のイットリウム系の材料が含まれる。
【0102】
図7Aに示す実施形態では、MOS装置701はfinFETでもあり、MOS装置のソース705及びドレイン707を接続するチャネル703を含み、同チャネルは基板706の上の表面704の上の半導体物質の薄膜又は薄層から形成されるものである。チャネル703はまた、装置のゲートをなすフィンによって三面から囲まれている。もっとも、MOS装置701は
図7Cに示す平面型装置を含むことができ、これは
図1A〜10との関係で説明してきた任意の方法又は実施形態に従って基板面の上又はその中に形成されている。例えば1つの実施形態ではMOS装置701は、基板の第2の領域738内に形成されたディープウェル736内にあるドープチャネル領域734の上にあるゲート730とゲート誘電体層732を含むFETなのであり、浅型トレンチアイソレーション領域等のアイソレーション領域742によって第1の領域740内のメモリ装置700から分離されている。特定の実施形態では、MOS装置701を形成することは、熱的に酸化を行ってブロッキング層718を熱的に再酸化するのと同時にMOS装置のゲート誘電体層732を形成するステップを備える。1つの特定の実施形態では本方法は、上述の窒化プロセスを行ってゲート誘電体層732及びブロッキング層718を同時的に窒化するステップをさらに備えることができる。
【0103】
図8は、本願の特定の実施形態による、ロジックMOS装置と統合された非揮発性電荷トラップメモリ装置の作製プロセスに用いられる特定のモジュールのシーケンスを示すフローチャートである。
図8を参照するに、本方法は、MOS装置のパッド誘電体層を基板の第1の領域或いはMOS領域の上に形成するステップで開始される(モジュール802)。800°C〜900°Cの温度でドライ酸化手法を用いて熱的におよそ100Åにまで成長させる等の従来的手法によってパッド誘電体層を堆積又は成長させることができるが手法はこれらには限定されない。MOS装置と同じ基板上に非平面マルチゲートメモリ装置を含めるために、第2のメモリ装置領域において基板の表面の上に半導体物質の薄膜が形成され、それがパターン化されてメモリ装置のソース及びドレインを接続するチャネルが形成される(モジュール804)。半導体物質の薄膜は、ケイ素、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、又はIII−V半導体化合物等の単結晶の材料で構成されることができるがこれらには限定されず、LPCVDチャンバ内でのエピタキシャル堆積等の従来的手法によって堆積されることができるがこれらには限定されない。
【0104】
非揮発性メモリ装置のパターン化誘電体スタックが第2のメモリ装置領域の上に形成され、チャネルの上にない誘電体スタックの部分を除去するようにパターン化される(モジュール806)。誘電体スタックは一般的に、トンネル層、電荷トラッピング層及び電荷トラッピング層の上にある犠牲的な最上層を含む。誘電体スタックの個々の層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物並びに酸素、窒素及び/又はケイ素を含む様々な化学量論的組成を含むことができ、酸化物の熱的成長、ラジカル酸化及びCVDプロセス等の任意の従来的手法を用いて堆積又は成長させることができるがこれらには限定されない。
【0105】
そして、一部の実施形態では、犠牲層が誘電体スタックの最上部から除去されるのと同時にパッド誘電体層が基板の第1の領域から除去され(モジュール808)、及び、ゲート誘電体層が基板の第1の領域の上に形成されるのと同時にブロッキング誘電体層が電荷トラッピング層の上に形成される(モジュール810)。一般的に、犠牲層及びパッド層の除去は、基板を希釈HF溶液又はBOE溶液等の標準的なゲート事前洗浄ケミストリにさらすことによって行われる。ゲート誘電体層及びブロッキング誘電体層は、基板及び電荷トラッピング層の双方を酸化することのできる手法を用いることによって形成することができる。1つの実施形態では、ゲート誘電体層及びブロッキング誘電体層は、ISSG又はプラズマ系酸化等のラジカル酸化手法を用いて形成されるのであり、各々においては基板及び電荷トラッピング層の一部が消費される。
【0106】
図9A及び9Bに示す別の実施形態では、メモリ装置は、基板の表面の上の半導体物質の薄膜から形成されているナノワイヤチャネルを含むことができ、これはメモリ装置のソース及びドレインを接続するものである。ナノワイヤチャネルとは、シリコン結晶材料の細いストリップ内に形成された導電性のチャネルであり、断面寸法は最大で10ナノメーター(nm)であり、より好適にはおよそ6nm未満である。随意的には、チャネルの長軸との関係で<100>の表面結晶方位を有するようにチャネルを形成することができる。
【0107】
図9Aを参照するに、メモリ装置900は、基板906の表面の上又は上方にある半導体物質の薄膜又薄層から形成されている水平ナノワイヤチャネル902を含み、これはメモリ装置のソース908及びドレイン910を接続する。図示されている実施形態では、装置はゲートオールアラウンド(gate-all-around, GAA)構造を有しており、ナノワイヤチャネル902は全方向において装置のゲート912によって囲まれている。ゲート912の(ソースからドレイン方向で測った場合の)厚さは、装置の実効的チャネル長を決定する。
【0108】
本願の開示によれば、
図9Aの非平面マルチゲートメモリ装置900は、分割電荷トラッピング領域を含むことができる。
図9Bは
図9Aの非平面マルチゲートメモリ装置の一部の断面図であり、基板906、ナノワイヤチャネル902及びゲート912の一部が含まれており、分割電荷トラッピング領域が描写されている。
図9Bを参照するに、ゲート912は、ナノワイヤチャネル902の上にあるトンネル酸化物914、分割電荷トラッピング領域、ブロッキング誘電体916及びゲート層918を含み、メモリ装置900の制御ゲートが形成されている。ゲート層918はメタル又はドープポリシリコンで構成されることができる。分割電荷トラッピング領域は、トンネル酸化物914寄りの窒化物を備える少なくとも1つの内側電荷トラッピング層920と内側電荷トラッピング層の上にある外側電荷トラッピング層922とを含む。一般的に、外側電荷トラッピング層922はケイ素リッチで酸素リーンな窒化物層を備え、複数の電荷トラッピング層に分布している複数の電荷トラップを備えるのであり、内側電荷トラッピング層920は酸素リッチな窒化物若しくは酸窒化ケイ素を備え、電荷トラップの個数を減少するために外側電荷トラッピング層に比して相対的に酸素リッチである。
【0109】
示されているような一部の実施形態では、分割電荷トラッピング領域は酸化物等の誘電体を備える薄い中間層或いは防トンネリング層924をさらに含むのであって、同層は外側電荷トラッピング層922を内側電荷トラッピング層920から分離する。防トンネリング層924は、プログラミング時において外側電荷トラッピング層922の境界に蓄積する電子電荷が内側電荷トラッピング層920へとトンネリングする確率を大幅に低下させ、これにより漏洩電流がより低いものとなる。
【0110】
上述した実施形態において述べたように、内側電荷トラッピング層920及び外側電荷トラッピング層922の片方又は双方は窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含むことができ、例えばN
2O/NH
3及びDCS/NH
3を含む気体混合物によって、CVDプロセスで形成されることができ、混合比及びフローレートはケイ素リッチ且つ酸素リッチな酸窒化物層が得られるように調整される。そして、多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層は、中間酸化物層の上に形成される。外側電荷トラッピング層922は、内側電荷トラッピング層920とは異なる酸素、窒素及び/又はケイ素の化学量論的組成を有しており、その形成或いは堆積もDCS/NH
3及びN
2O/NH
3の気体混合物を含むプロセスガスを用いたCVDプロセスによることができ、混合比及びフローレートはケイ素リッチ且つ酸素リーンなトップ窒化物層が得られるように調整される。
【0111】
酸化物を備える中間層又は防トンネリング層924を含む実施形態では、ラジカル酸化を用いて所望の深さまで内側電荷トラッピング層920を酸化させることによって防トンネリング層を形成することができる。ラジカル酸化は、例えば、1000°C〜1100°Cの温度でシングルウェハツールを用いて、又は、800°C〜900°Cの温度でバッチリアクタツールを用いて行うことができる。バッチプロセスにおいてはH
2及びO
2の気体混合物を圧力300〜500 Torで用いることができ、シングルヴェーパツールを使う場合には圧力10〜15 Torとして、シングルウェハツールの場合は処理時間を1〜2分として、バッチプロセスにおいては処理時間を30分から1時間とする。
【0112】
最後に、酸化物を含むブロッキング誘電体916を含む実施形態では、酸化物を任意の適切な手段で形成又は堆積させることができる。1つの実施形態では、ブロッキング誘電体916の酸化物は、HTO CVDプロセスにおいて堆積された高温酸化物である。代替的には、ブロッキング誘電体916又はブロッキング酸化物層は、熱的に成長させることができる。もっとも、この実施形態では外側電荷トラッピング層922の厚さを調整又は増加することがあるということに留意されたい。なぜならば、トップ窒化物の一部が、ブロッキング酸化物層を熱的に成長させるプロセスの進行中に実質的に消費又は酸化されてしまうからである。
【0113】
内側電荷トラッピング層920の適切な厚さはおよそ30Åからおよそ80Åであり(幾らかの変化は許容される。例えば、±10Å。)、このうちおよそ5〜20Åが防トンネリング層924を形成するためのラジカル酸化によって消費される。外側電荷トラッピング層922の適切な厚さは少なくとも30Åであることができる。特定の実施形態では、外側電荷トラッピング層922は、厚さ90Åまで形成することができ、このうち30〜70Åがブロッキング誘電体916を形成するためのラジカル酸化によって消費される。一部の実施形態では、内側電荷トラッピング層920と外側電荷トラッピング層922との厚さの比率はおよそ1:1であるが、他の比率も可能である。
【0114】
他の実施形態では、外側電荷トラッピング層922及びブロッキング誘電体916の片方又は双方が高誘電率誘電体で構成されることができる。適切な高誘電率誘電体には、HfSiON、HfSiOやHfO等のハフニウム系材料、ZrSiON、ZrSiOやZrO等のジルコニウム系材料、及びY
2O
3等のイットリウム系の材料が含まれる。
【0115】
図9Cは、ビットコストスケーラブル(Bit-Cost Scalable, BiCS)アーキテクチャ926とされた
図9Aの非平面マルチゲート装置900の垂直ストリングの断面図である。アーキテクチャ926は、非平面マルチゲート装置900の垂直ストリング又はスタックを備え、各装置又はセルはチャネル902を含み、これは基板906の上にあって、メモリ装置のソース及びドレイン(本図では不図示)を接続し、ゲート912によって全方向においてナノワイヤチャネル902が囲まれるゲートオールアラウンド(gate-all-around, GAA)構造を有している。BiCSアーキテクチャは、単に層をスタッキングする場合に比べて重要なリソグラフィ行程を減らすのであり、メモリビット当たりのコストが削減されることにつながる。
【0116】
別の実施形態では、メモリ装置は、非平面装置であって基板上の幾つかの半導体層の上に又はそこから伸びる半導体物質の中で或いはそれから形成される垂直ナノワイヤチャネルを備える、非平面装置であるかそのような装置を含む。
図10Aに断面図が示されているこの実施形態の1つのバージョンでは、メモリ装置1000は、装置のソース1004及びドレイン1006を接続する半導体物質の円筒の中で形成された垂直ナノワイヤチャネル1002を、備える。チャネル1002は、トンネル酸化物1008、電荷トラッピング領域1010、ブロッキング層1012及びブロッキング層の上のゲート層1014に囲まれており、メモリ装置1000の制御ゲートが形成されている。チャネル1002は、半導体物質の実質的にソリッドな円筒の外側の層に環状領域を、又は、誘電体充填物質の円筒上に形成された環状層を含むことができる。上述した水平ナノワイヤと同様、チャネル1002は、ポリシリコン又は再結晶ポリシリコンを備えることができ、単結晶チャネルが形成される。随意的には、チャネル1002が結晶シリコンを含む場合、チャネルの長軸との関係で<100>の表面結晶方位を有するようにチャネルを形成することができる。
【0117】
図10Bに示すような一部の実施形態では、電荷トラッピング領域1010は、トンネル酸化物1008に最も近い第1或いは内側電荷トラッピング層1016及び第2或いは外側電荷トラッピング層1018を少なくとも含む分割電荷トラッピング領域であることができる。随意的には、第1及び第2の電荷トラッピング層は、中間酸化物層或いは防トンネリング層1020によって分離されることができる。
【0118】
上述した実施形態と同様に、第1の電荷トラッピング層1016及び第2の電荷トラッピング層1018の片方又は双方は、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含むことができ、例えばN
2O/NH
3及びDCS/NH
3を含む気体混合物によって、CVDプロセスで形成されることができ、混合比及びフローレートはケイ素リッチ且つ酸素リッチな酸窒化物層が得られるように調整される。
【0119】
最後に、第2の電荷トラッピング層1018及びブロッキング層1012の片方又は双方は、HfSiON、HfSiO、HfO、ZrSiON、ZrSiO、ZrO又はY
2O
3等の高誘電率誘電体を備えることができる。
【0120】
第1の電荷トラッピング層1016の適切な厚さはおよそ30Åからおよそ80Åであり(幾らかの変化は許容される。例えば、±10Å。)、このうちおよそ5〜20Åが防トンネリング層1020を形成するためのラジカル酸化によって消費される。第2の電荷トラッピング層1018の適切な厚さは少なくとも30Åであることができ、また、ブロッキング層1012の適切な厚さはおよそ30〜70Åからである。
【0121】
図10Aのメモリ装置1000は、ゲート先行又はゲート後行スキームによって作成することができる。
図11A〜Fは、
図10Aの非平面マルチゲート装置を作製するためのゲート先行スキームを示す。
図12A〜Fは、
図10Aの非平面マルチゲート装置を作製するためのゲート後行スキームを示す。
【0122】
図11Aを参照するに、ゲート先行スキームにおいては、基板1106内のソース又はドレイン等のドープ拡散領域1104の上にブロッキング酸化物等の第1の或いは下側誘電体層1102が形成される。第1の誘電体層1102の上にゲート層1108が堆積されて装置の制御ゲートが形成され、その上に第2の或いは上側誘電体層1110が形成される。上述した実施形態と同様、第1及び第2の誘電体層1102、1110は、CVD若しくはラジカル酸化によって堆積されることができ、又は、基板の下側にある部分の酸化によって形成されることができる。ゲート層1108は、堆積させたメタル又はCVDによって堆積されたドープポリシリコンを備えることができる。一般的に、ゲート層1108の厚さはおよそ40〜50Åからであり、第1及び第2の誘電体層1102、1110はおよそ20〜80Åからである。
【0123】
図11Bを参照するに、上にあるゲート層1108並びに第1及び第2の誘電体層1102、1110を通って、基板1106内の拡散領域1104まで第1の開口部1112がエッチングされる。そして、トンネリング酸化物1114、電荷トラッピング領域1116及びブロッキング誘電体1118の各層が順次堆積され並びに上側誘電体層1110の表面が平坦化されて
図11Cに示す中間的構造が得られる。
【0124】
図示はされていないが、上述した実施形態と同様に、電荷トラッピング領域1116は、トンネリング酸化物1114寄りの1つの下側或いはボトム電荷トラッピング層及びボトム電荷トラッピング層の上にある上側或いはトップ電荷トラッピング層を少なくとも備える分割電荷トラッピング領域を含むことができると理解されるであろう。一般的に、トップ電荷トラッピング層はケイ素リッチで酸素リーンな窒化物層を備え、複数の電荷トラッピング層に分布している複数の電荷トラップを備えるのであり、ボトム電荷トラッピング層は酸素リッチな窒化物若しくは酸窒化ケイ素を備え、電荷トラップの個数を減少するためにトップ電荷トラッピング層に比して相対的に酸素リッチである。一部の実施形態では、分割電荷トラッピング領域1116は酸化物等の誘電体を備える薄い中間層或いは防トンネリング層を少なくとも1つさらに含むのであって、同層はトップ電荷トラッピング層をボトム電荷トラッピング層から分離する。
【0125】
そして、
図11Dにあるように、第2の或いはチャネルの開口部1120が異方性エッチングでトンネリング酸化物1114、電荷トラッピング領域1116及びブロッキング誘電体1118を通るようにされる。
図11Eを参照するに、チャネル開口部に半導体物質が堆積されてその中に垂直チャネル1124が形成される。垂直チャネル1124は半導体物質の実質的にソリッドな円筒の外側の層に環状領域を、又は、
図11Eに示すように誘電体充填物質1126の円筒を囲む別個の半導体物質1122の層を含むことができる。
【0126】
図11Fを参照するに、上側誘電体層1110の表面は平坦化されており、そこに形成されたソースやドレイン等の第2のドープ拡散領域1130を含む半導体物質層1128が上側誘電体層の上に堆積されて図示の装置が形成される。
【0127】
図12Aを参照するに、ゲート後行スキームにおいては、酸化物等の誘電体層1202が基板1206の表面の上の犠牲層1204の上に形成されて、誘電体層及び犠牲層を通って開口部がエッチングされて、及び、その中に垂直チャネル1208が形成される。上述した実施形態と同じように、垂直チャネル1208は、多結晶若しくは単結晶のシリコン等の半導体物質1210の実質的にソリッドな円筒の外側の層に環状領域を、又は、誘電体充填物質(不図示)の円筒を囲む別個の半導体物質層を含むことができる。誘電体層1202は、後ほど形成されるメモリ装置1000のゲート層をそれよりも上位の電気的にアクティブな層又は他のメモリ装置から電気的に絶縁することができる酸化シリコン等の任意の適切な誘電体材料で構成されることができる。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208の材料との関係で高い選択性をもってエッチング又は除去されることのできる任意の適切な材料で構成されることができる。
【0128】
図12Bを参照するに、誘電体層1202及び犠牲層1204を通じて第2の開口部1212が基板1206へとエッチングされ、犠牲層1204はエッチング又は除去される。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208との関係で高い選択性をもってエッチング又は除去できる任意の適切な材料で構成されることができる。1つの実施形態では、犠牲層1204は、バファードオキサイドエッチング(BOE)で除去できるもので構成されている。
【0129】
図12C及び12Dを参照するに、トンネリング酸化物1214、電荷トラッピング領域1216及びブロッキング誘電体1218の各層が開口部に順次堆積され、並びに、誘電体層1202の表面が平坦化されて
図12Cに示される中間的構造が得られる。
図12D等に示す一部の実施形態では、電荷トラッピング領域1216は分割電荷トラッピング領域であることができ、それはトンネル酸化物1214に最も近い第1の或いは内側の電荷トラッピング層1216a並びに第2の或いは外側の電荷トラッピング層1216bを少なくとも含むことができる。選択的には、第1の及び第2の電荷トラッピング層は、中間酸化物又は防トンネリング層1220によって分離されることができる。
【0130】
そして、第2の開口部1212にゲート層1222が堆積され、及び、上側誘電体層1202の表面が平坦化されて
図12Eに示す中間的構造が得られる。上述した実施形態と同じく、ゲート層1222はメタルが堆積された又はドープされたポリシリコンで構成されることができる。最後に、ゲート層1222を通って開口部1224がエッチングされて別個のメモリ装置1226の制御ゲートが形成される。
【0131】
したがって、ロジック装置に電荷トラップメモリ装置を統合する半導体構造及び同構造を形成するための方法が開示された。特定の構造的な特徴又は方法論的な行為に関連する用語を用いて本願発明を説明したが、添付の請求の範囲で規定される本願発明は説明された特定の特徴又は行為に必ずしも限定されていないものとして理解すべきである。開示されている特定の特徴及び行為は、本願発明の特に美しい実施形態に関するものであり、限定的ではなく例示的な説明として理解されるべきである。