(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465802
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】伝導冷却した電気化学セルで使用するためのバイポーラプレートの設計
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20190128BHJP
H01M 8/0267 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0208 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0204 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0228 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0232 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/0245 20160101ALI20190128BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20190128BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0267
H01M8/0247
H01M8/0208
H01M8/0204
H01M8/0228
H01M8/0232
H01M8/0245
H01M8/10 101
【請求項の数】26
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-535718(P2015-535718)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公表番号】特表2015-530727(P2015-530727A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013062653
(87)【国際公開番号】WO2014058643
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】61/711,502
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/817,689
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/817,707
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505163578
【氏名又は名称】ヌヴェラ・フュエル・セルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ブランシェ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ルント,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ドミット,エドワード
【審査官】
太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−091207(JP,A)
【文献】
特開2002−358975(JP,A)
【文献】
特開2005−243401(JP,A)
【文献】
特開2003−068323(JP,A)
【文献】
特開2010−108816(JP,A)
【文献】
特開2008−287910(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0040924(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0082422(US,A1)
【文献】
国際公開第2000/031814(WO,A1)
【文献】
特開2006−228753(JP,A)
【文献】
特開2009−252491(JP,A)
【文献】
特開2004−273140(JP,A)
【文献】
特開2009−054414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/0297
H01M 8/08 − 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域、ならびに
第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレート
を含む電気化学セルであって、
少なくとも1つのバイポーラプレートは、活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却領域と、活性領域に垂直な方向に前記少なくとも1つのバイポーラプレートを貫通する複数の冷却チャネルとを含み、前記複数の冷却チャネルは、前記バイポーラプレートの相対する側の2つの長縁部に位置し、冷却領域において前記長縁部の長さに沿って間隔をあけて配置されており、
少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、熱を複数の冷却領域及び冷却チャネルに伝導する吸熱器として機能し、
前記複数の冷却チャネルは、隣接する冷却チャネル間の間隔が様々であり、冷却チャネル間の間隔は、前記少なくとも1つのバイポーラプレートの端部ゾーンに近づくにつれて大きくなる、上記電気化学セル。
【請求項2】
前記複数の冷却領域に放熱構造が備えられており、放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含む、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記複数の冷却領域に放熱構造が備えられており、放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含む、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部から伸びるフィンをさらに含む、請求項3に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さが、バイポーラプレートを形成するのに使用される材料の熱伝導率、第一のフロー構造と接するバイポーラプレート表面に対して直角の方向に沿った所定の温度勾配、およびバイポーラプレートの長さに沿った所定の熱流束量に基づく、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さが、0.03mmから3mmの範囲である、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバイポーラプレートは、316ステンレス鋼の熱伝導率および電気伝導率より高い熱伝導率および電気伝導率を有する材料から作製される、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバイポーラプレートが、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、Ni−Cr合金、およびインコネルから選ばれる材料から作製される、請求項7に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバイポーラプレートが、クラッド材料から作製される、請求項7に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記クラッド材料が、アルミニウムのステンレス鋼とのクラッドを含む、請求項9に記載の電気化学セル。
【請求項11】
非円形の外形を有する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項12】
全体的に長方形の外形を有する、請求項11に記載の電気化学セル。
【請求項13】
第二のバイポーラプレートをさらに含む、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項14】
第二の電極と第二のバイポーラプレートとの間に第二のフロー構造をさらに含む、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項15】
第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、多孔質基板を含む、請求項14に記載の電気化学セル。
【請求項16】
第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、圧縮された多孔質金属基板を含む、請求項15に記載の電気化学セル。
【請求項17】
第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、圧縮された多孔質金属基板上にラミネートされた微孔性材料層を含む、請求項16に記載の電気化学セル。
【請求項18】
2つまたはそれより多くの電気化学セルを含む電気化学セルスタックであって;
少なくとも1つのセルは、
第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域ならびに
第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレート
を含み、
少なくとも1つのバイポーラプレートは、活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却領域と、活性領域に垂直な方向に前記少なくとも1つのバイポーラプレートを貫通する複数の冷却チャネルとを含み、前記複数の冷却チャネルは、前記バイポーラプレートの相対する側の2つの長縁部に位置し、冷却領域において前記長縁部の長さに沿って間隔をあけて配置されており、
少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、熱を複数の冷却領域及び冷却チャネルに伝導する吸熱器として機能するように構成されており、
前記複数の冷却チャネルは、隣接する冷却チャネル間の間隔が様々であり、冷却チャネル間の間隔は、前記少なくとも1つのバイポーラプレートの端部ゾーンに近づくにつれて大きくなる、上記電気化学セルスタック。
【請求項19】
前記複数の冷却領域に放熱構造が備えられており、放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含む、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項20】
冷却流体が、前記冷却チャネルに平行して流動する、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項21】
冷却流体が、前記冷却チャネルを介して連続的に流動する、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項22】
前記複数の冷却領域に放熱構造が備えられており、放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含む、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項23】
前記2つまたはそれより多くの電気化学セルが、セルスタック中で連続して配置される、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項24】
前記セルスタックが、2つまたはそれより多くの電気化学セル間に流体チャネルをまったく含まない、請求項18に記載の電気化学セルスタック。
【請求項25】
前記複数の冷却チャネルは、様々な直径を有する、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項26】
前記冷却チャネルの直径は、前記少なくとも1つのバイポーラプレートの端部ゾーンに近づくにつれ小さくなる、請求項25に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み入れられる2012年10月9日付けで出願された米国仮出願第61/711,502号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
[0002]本発明の開示は、電気化学セルを対象とし、より具体的には、伝導冷却した(conduction-cooled)電気化学セルで使用するためのバイポーラプレートの設計を対象とする。
【背景技術】
【0003】
[0003]電気化学セルは通常、燃料電池または電気分解セルとして分類され、化学反応により電流を発生させたり、または電流の流れを使用して化学反応を誘導したりするために使用されるデバイスである。燃料電池は、燃料(例えば水素、天然ガス、メタノール、ガソリンなど)と酸化剤(空気または酸素)の化学エネルギーとを、電気と、熱および水の廃棄物とに変換する。基礎的な燃料電池は、負電荷を有するアノード、正電荷を有するカソード、および電解質と呼ばれるイオン伝導性材料を含む。
【0004】
[0004]様々な燃料電池技術において様々な電解質材料が利用されている。プロトン交換膜(PEM)燃料電池は、例えば、電解質として高分子イオン伝導膜を利用する。水素PEM燃料電池において、水素原子は、アノードで電気化学的に電子と陽子(水素イオン)とに分離する。電子は回路を通ってカソードに流れて電気を発生させるが、陽子は電解質膜を通ってカソードに拡散する。カソードでは、水素の陽子が(カソードに供給された)電子および酸素と結合して、水および熱を生産する。
【0005】
[0005]電解セルは、それとは逆に稼働する燃料電池の代表である。基礎的な電解セルは、外部の電位が適用されると水を水素と酸素ガスとに分解することによって水素発生器として機能する。水素燃料電池または電解セルの基礎的な技術は、例えば電気化学的な水素の加圧、精製、または膨張などの電気化学的な水素の操作に適用できる。電気化学的な水素の操作は、水素の管理に従来使用されていた機械システムの実用的な代替物として出現した。エネルギーキャリアーとしての水素の商業化の成功および「水素経済」の長期的持続可能性は主に、燃料電池、電解セル、および他の水素の操作/管理システムの効率および費用対効果によって決まる。
【0006】
[0006]1つの燃料電池は、作動中、一般的には約1ボルトを生産できる。望ましい量の電力を得るには、個々の燃料電池を組み合わせて燃料電池スタックを形成する。各セルがカソード、電解質膜、およびアノードを包含する燃料電池を、連続して一緒にスタックする。各カソード/膜/アノード接合体は、「膜電極接合体」または「MEA」を構成し、これは通常、バイポーラプレートの両面上に支持される。プレート中に形成されたチャネルまたは溝(これは、流れ場として知られている)を介してMEAの電極にガス(水素および空気)が供給される。バイポーラプレート(これは、流れ場プレートまたはセパレータープレートとしても知られている)は、機械的な支持を提供することに加えて、スタック中の個々のセルを電気的に連結しつつ物理的に分離する。またバイポーラプレートは、集電装置としても作用し、チャネルを介してそれぞれの電極表面に燃料と酸化剤とを供給し、さらにセル作動中に形成された水を除去するためのチャネルを提供する。典型的には、バイポーラプレートは、例えばステンレス鋼、チタンなどの金属、および例えばグラファイトなどの非金属の電気導体から作製される。
【0007】
[0007]加えて、典型的な燃料電池スタックは、燃料および酸化剤をそれぞれアノードおよびカソードの流れ場に向かわせるためのマニホールドおよび注入口ポートを包含する。また燃料電池スタックは、個々のセルの作動中に発生した熱を吸収するための冷却流体をスタック内の内部チャネルに向かわせるためのマニホールドおよび注入口ポートを包含する場合もある。また燃料電池スタックは、未反応のガスおよび冷却水を追い出すための排気マニホールドおよび出口ポートも包含する。
【0008】
[0008]
図1は、従来技術のPEM燃料電池10の様々な構成要素を示す概略的な分解組立図である。例示されているように、バイポーラプレート2は、アノード7A、カソード7C、および電解質膜8を含む「膜電極接合体」(MEA)の両側に配置されている。アノード7Aに供給された水素原子は、電気化学的に電子と陽子(水素イオン)とに分けられる。電子は、電気回路を介してカソード7Cに流れその過程で電気を発生させ、それと同時に陽子は、電解質膜8を介してカソード7Cに移動する。カソードでは、陽子は(カソードに供給された)電子および酸素と結合して、水および熱が生産される。
【0009】
[0009]加えて、従来技術のPEM燃料電池10は、セル内のMEAの両側に導電性ガス拡散層(GDL)5を含む。GDL5は、ガスの輸送を可能にする拡散媒体として機能し、セル内の液体は、バイポーラプレート2と電解質膜8との間で電気伝導をもたらし、セルから熱やプロセス水を除去するのに役立ち、場合によっては電解質膜8への機械的な支持を提供する。GDL5は、電解質膜に面する側に電極7Aおよび7Cが配置された織布または不織布のカーボンクロス(carbon cloth)を含み得る。場合によっては、電極7Aおよび7Cは、隣接するGDL5または電解質膜8のいずれかの上にコーティングされた電極触媒(electrocatalyst)材料を包含する。いくつかの高圧または高差圧燃料電池は、従来のGDLと組み合わせて、またはその代わりに「フリット」タイプの高密度に焼結された金属、スクリーンパック、エキスパンドメタル、金属発泡体、または立体的な多孔質金属基板を使用することにより、バイポーラプレート2中に形成された従来のランドチャネル型の流れ場4と組み合わせてMEAに構造的な支持体を提供する。いくつかの高圧または高差圧セルでは、金属発泡体または立体的な多孔質金属基板が、同様に従来のチャネルタイプの流れ場4の代わりに使用できる。
【0010】
[0010]典型的な燃料電池において、電解質膜の両側の反応物であるガスは、立体的な多孔質金属流れ場または従来のチャネルタイプ流れ場を通って流動し、多孔質GDLを通って拡散して電解質膜に到達する。流れ場とGDLとが隣接して配置されており、内部の流体ストリームで連結されていることから、以降特に他の規定がない限り、流れ場とGDLとを集合的に「フロー構造」と称する。立体的な多孔質金属GDLと組み合わせて従来のチャネルタイプ流れ場を使用すること、従来のGDLと組み合わせて立体的な多孔質金属流れ場を使用すること、または流れ場およびGDLの両方として立体的な多孔質金属基板を使用することは、本発明の開示の範囲内である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]多孔質金属フロー構造の使用は、高圧または高差圧電気化学セルの作動の物理的な限界および性能の不利益のうちいくつかを克服するが、このような電気化学のセル/セルスタックは、一般的には、セル内に高圧流体をシールすること及び優れたパワー対重量比を維持することというさらなる課題に直面する。典型的には、高圧または高差圧電気化学セルなどの電気化学セルは、スタック中の隣接するセル間に挿入された別個の冷却セルまたは冷却プレート(以降、まとめて「冷却デバイス」と称する)に頼っている。冷却デバイスは、一般的には、スタックされたセルの水平面と平行に設置された内部流体チャネルを用いて構築される。チャネルを介して冷却流体がポンプ注入されて、セルスタック作動中に発生した熱が除去される。高い熱発生率(例えば、>200mW/cm
2)の電気化学セルスタックにとって、1つまたはそれより多くの冷却デバイスを使用した熱伝達は必須である。しかしながら、例えば水素圧縮機のように低い熱発生率でセルスタックを作動させる場合、別個の冷却デバイスはセルスタックの構成を不必要に複雑にすることから、スタックのコストと重量が増加し、冷却デバイスとバイポーラプレートとの間の接触抵抗が増加するためにスタックの効率が低下する(すなわち、電気出力が減少する)。したがって、高圧または高差圧電気化学セルスタックが直面する問題は、隣接するセル間の冷却デバイスを使用したスタックの対流冷却によって増大する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]本発明の開示は、電気化学セルスタックで使用するための改善された冷却システムの設計を対象とする。特に、本発明の開示は、これらに限定されないが、燃料電池、電解セル、水素精製機、水素エキスパンダー(hydrogen expander)、および水素圧縮機などの電気化学セルの伝導冷却において吸熱器(または冷却板)として使用するためのバイポーラプレートの設計を対象とする。必要な冷却は、各電気化学セルの1つまたはそれより多くのバイポーラプレートを使用して、セルの活性領域から熱を収集して、従来の熱伝達手段によって熱の除去が可能なセルの外部境界の少なくとも一部に熱伝達することによって達成できる。このような配置は、セルスタック中央の活性領域内で冷却流体チャネルを使用する必要性を回避できる。
【0013】
要約
[0013]本発明の開示の第一の態様は、第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域を有する電気化学セルである。本セルは、第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレートをさらに含み、ここで少なくとも1つのバイポーラプレートは、活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却流体表面を含む。少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、複数の冷却流体表面に熱伝導する吸熱器としての機能が提供されるように設計される。さらに、セル中の複数の冷却流体表面のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのバイポーラプレートからの熱の除去を容易にするために放熱構造と共に提供される。
【0014】
[0014]他の実施態様において、放熱構造は、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含んでいてもよい。他の実施態様において、放熱構造は、第一の複数の並べられた穴を含んでいてもよい。他の実施態様において、冷却流体チャネルの第一のセットは、第一の複数の並べられた穴を経由していてもよい。他の実施態様において、放熱構造は、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含んでいてもよく、ここで冷却流体チャネルのセットは、縁部マニホールドを経由する。
【0015】
[0015]他の実施態様において、放熱構造は、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部から伸びるフィンをさらに含んでいてもよい。他の実施態様において、フィンは、縁部マニホールドを経由する冷却流体チャネルに隣接していてもよい。他の実施態様において、少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さは、バイポーラプレートを形成するのに使用される材料の熱伝導率、第一のフロー構造と接するバイポーラプレート表面に対して直角の方向に沿った予め決められた温度勾配、および予め決められたバイポーラプレートの長さに沿った熱流束量に基づいていてもよい。
【0016】
[0016]他の実施態様において、少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さは、約0.03mmから約3mmの範囲であってもよい。他の実施態様において、少なくとも1つのバイポーラプレートは、316ステンレス鋼の熱および電気伝導率より高い熱および電気伝導率を有する材料から作製されてもよい。他の実施態様において、少なくとも1つのバイポーラプレートは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、Ni−Cr合金、およびインコネルから選ばれる材料から作製されてもよい。他の実施態様において、少なくとも1つのバイポーラプレートは、クラッド材料から作製されてもよい。他の実施態様において、クラッド材料は、ステンレス鋼とのアルミニウムクラッドを含んでいてもよい。
【0017】
[0017]他の実施態様において、電気化学セルは、非円形の外部圧力境界を含んでいてもよい。他の実施態様において、電気化学セルは、全体的に長方形の外部圧力境界を含んでいてもよい。他の実施態様において、電気化学セルは、円形の外部圧力境界を含んでいてもよい。他の実施態様において、電気化学セルは、第二のバイポーラプレートをさらに含んでいてもよい。他の実施態様において、電気化学セルは、第二の電極と第二のバイポーラプレートとの間に第二のフロー構造をさらに含んでいてもよい。
【0018】
[0018]他の実施態様において、第一および第二のフロー構造の少なくとも1つは、多孔質基板を含んでいてもよい。他の実施態様において、第一および第二のフロー構造の少なくとも1つは、圧縮された多孔質金属基板を含んでいてもよい。他の実施態様において、第一および第二のフロー構造の少なくとも1つは、圧縮された多孔質金属基板上に積層された微孔性材料層を含んでいてもよい。
【0019】
[0019]本発明の開示の第二の態様は、2つまたはそれより多くのセルを含む電気化学セルスタックである。スタック中の少なくとも1つのセルは、第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域を有する。少なくとも1つのセルは、第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレートをさらに含み、ここで少なくとも1つのバイポーラプレートは、活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却流体表面を含む。少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、複数の冷却流体表面に熱伝導する吸熱器としての機能が提供されるように設計される。さらに、セル中の複数の冷却流体表面のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのバイポーラプレートからの熱の除去を容易にするために放熱構造と共に提供される。請求項22に記載の電気化学セルスタックにおいて、放熱構造は、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含む。
【0020】
[0020]他の実施態様において、放熱構造は、第一の複数の並べられた穴を含んでいてもよい。他の実施態様において、冷却流体チャネルの第一のセットは、第一の複数の並べられた穴を経由していてもよい。他の実施態様において、冷却流体は、冷却流体チャネルの2つまたはそれより多くのセットを介して平行して流動していてもよく、冷却流体チャネルの各セットは、少なくとも1つのバイポーラプレートの別個の冷却流体表面に配置される。他の実施態様において、冷却流体は、冷却流体チャネルの2つまたはそれより多くのセットを介して連続的に流動でき、冷却流体チャネルの各セットは、少なくとも1つのバイポーラプレートの別個の冷却流体表面に配置される。
【0021】
[0021]他の実施態様において、放熱構造は、第二の複数の並べられた穴を含んでいてもよく、ここで冷却流体チャネルの第二のセットは、第二の複数の並べられた穴を経由し、ここで第一の複数の並べられた穴は、少なくとも1つの冷却流体表面の外側の縁部の近くに配置され、第二の複数の並べられた穴は、活性領域の境界の近くに配置される。他の実施態様において、冷却流体は、まず冷却流体チャネルの第二のセットに、続いて冷却流体チャネルの第一のセットに連続的に流動できる。他の実施態様において、放熱構造は、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含んでいてもよく、ここで冷却流体チャネルのセットは、縁部マニホールドを経由する。他の実施態様において、2つまたはそれより多くの電気化学セルは、セルスタック中で連続して配置されていてもよい。他の実施態様において、セルスタックは、2つまたはそれより多くの電気化学セル間に流体チャネルをまったく含まない。
【0022】
[0022]添付の図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施態様を説明と共に例示するものであり、本発明の様々な態様の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、従来技術のプロトン交換膜(PEM)燃料電池の様々な構成要素を示す概略的な分解組立図を例示する。
【
図2】
図2は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る高差圧における作動で使用するための電気化学セルの断面図を例示する。
【
図3A】
図3Aは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る電気化学セル中の高圧および低圧フロー構造の平面図を例示する。
【
図3B】
図3Bは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る電気化学セル中の高圧および低圧フロー構造の平面図を例示する。
【
図4】
図4は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、「二部品」のバイポーラプレート設計を例示する。
【
図5】
図5は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、部品の一方がクラッド材料を含む「二部品」のバイポーラプレート設計を例示する。
【
図6】
図6は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、プレートの少なくとも1つの縁部がフィンを含むバイポーラプレート設計を例示する。
【
図7A】
図7Aは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、プレートの少なくとも1つの縁部が複数の並べられた穴を有する内部マニホールドを含むバイポーラプレート設計を例示する。
【
図7B】
図7Bは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、プレートの少なくとも1つの縁部が外部マニホールドおよび複数のフィンを含むバイポーラプレート設計を例示する。
【
図8】
図8は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、プレートの少なくとも1つの縁部がプレートと平行に伸びるフィンを含むバイポーラプレート設計を例示する。
【
図9】
図9は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、複数の電気化学セルを含む伝導冷却した電気化学セルスタックの概略的な正面図を例示する。
【
図10A】
図10Aは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、バイポーラプレートから対流的に熱を除去するための様々な可能性のある冷却流体フローの立体配置を例示する。
【
図10B】
図10Bは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、バイポーラプレートから対流的に熱を除去するための様々な可能性のある冷却流体フローの立体配置を例示する。
【
図10C】
図10Cは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、バイポーラプレートから対流的に熱を除去するための様々な可能性のある冷却流体フローの立体配置を例示する。
【
図11】
図11は、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、長さに沿って均一に分布した冷却チャネルを長縁部に包含するバイポーラプレート設計を例示する。
【
図12】
図12は、標準的な長方形のバイポーラプレートの温度プロファイルを例示し、ここで冷却されていない端部ゾーンにおける温度は一般的に中央の活性領域の温度より低い。
【
図13A】
図13Aは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、2つのバイポーラプレートの冷却チャネルの立体配置を例示する。
【
図13B】
図13Bは、本発明の開示の典型的な実施態様に係る、2つのバイポーラプレートの冷却チャネルの立体配置を例示する。
【
図13C】
図13Cは、本発明の開示の典型的な実施態様に係るバイポーラプレートの冷却フィンの立体配置を例示し、ここでフィンの面積は、長縁部の長さに沿って変動する。
【
図14A】
図14Aは、典型的な実施態様に係る様々なバイポーラプレート設計を例示し、ここで端部ゾーンは、端部ゾーンを介する熱伝達速度が低下するように設計された機構を包含する。
【
図14B】
図14Bは、典型的な実施態様に係る様々なバイポーラプレート設計を例示し、ここで端部ゾーンは、端部ゾーンを介する熱伝達速度が低下するように設計された機構を包含する。
【
図14C】
図14Cは、典型的な実施態様に係る様々なバイポーラプレート設計を例示し、ここで端部ゾーンは、端部ゾーンを介する熱伝達速度が低下するように設計された機構を包含する。
【
図15A】
図15Aは、
図13A、13B、および13Cで例示された設計の形態と、
図14A、14Bおよび14Cで例示した設計の形態とを組み合わせた様々なバイポーラプレート設計を例示する。
【
図15B】
図15Bは、
図13A、13B、および13Cで例示された設計の形態と、
図14A、14Bおよび14Cで例示した設計の形態とを組み合わせた様々なバイポーラプレート設計を例示する。
【
図15C】
図15Cは、
図13A、13B、および13Cで例示された設計の形態と、
図14A、14Bおよび14Cで例示した設計の形態とを組み合わせた様々なバイポーラプレート設計を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0040]前述の一般的な説明と以下の詳細な説明とはいずれも単なる例示および説明であり、特許請求された発明を限定しないことが理解されよう。
【0025】
[0041]以下、本発明の開示に合致する所定の実施形態について述べ、その例を添付の図面で例示する。可能な限り、同じまたは類似の部品を指す場合は図面全体にわたり同じ参照番号を使用する。本発明の開示を高差圧電気化学セルに関して説明するが、本発明の開示のデバイスおよび方法は、これらに限定されないが、高圧および低圧セル、熱発生率が低いセル、加えて高い熱発生率で作動するセルなどの様々な種類の電気化学セルで採用できることが理解されよう。
【0026】
[0042]本発明の開示は、伝導冷却した電気化学セルで使用するためのバイポーラプレートの設計を対象とする。このような電気化学セルにおいて、必要な冷却は、セルの1つまたはそれより多くのバイポーラプレートを介して、セルの活性領域から発生した熱(本開示において後で説明される)をセル外縁に伝導することによって提供される。熱は、従来の熱伝達手段によってセル外縁から除去される。いくつかの典型的な実施態様において、熱は、冷却流体によってセル外縁から除去される。他の実施態様において、熱は、空気流を使用してセル外縁から除去される。追加の実施態様において、熱は、冷却流体と空気流との組み合わせを使用してセル外縁から除去される。
【0027】
[0043]いくつかの実施態様において、電気化学セルは円柱形であり、すなわちこのようなセルは円形の圧力境界を有することから、セル内の流体圧力のバランスをとるために、このようなセルは円周方向に生じる円周応力を頼るようになる。いくつかの他の実施態様において、電気化学セルは、非円形の外部圧力境界を有し、すなわちこのようなセルは、非円形の外形を有する。いくつかの典型的な実施態様において、電気化学セルは、全体的に長方形の外形を有する。このような実施態様の一つにおいて、電気化学セルは、完全に長方形の外形を有する。他のこのような実施態様において、電気化学セルは、正方形の外形を有する。さらに他のこのような実施態様において、電気化学セルは、「レーストラック」型の外形、すなわち側面が半楕円形の実質的に長方形の形状を有する。いくつかの典型的な電気化学セルは、角を丸くした全体的に長方形の外形(例えば、長方形、正方形の形状など)を有していてもよい。バイポーラプレートのベース形状は、セルの外部圧力境界の形状に相当する。例えば、非円形の外形を有する電気化学セルは、非円形のベース形状を有する1つまたはそれより多くのバイポーラプレートを含む。すなわち、例示的な電気化学セルが全体的に長方形の外形を有するならば、セルの1つまたはそれより多くのバイポーラプレートは、全体的に長方形のベース形状を有する。
【0028】
[0044]いくつかの実施態様において、セルスタック中の各電気化学セルは2つのバイポーラプレートを含み、これらはそれぞれ膜−電極−接合体(MEA)の両側にある。
図2は、長方形の形状と2つのバイポーラプレート30、31とを有する高差圧電気化学セル20の断面図を示す。バイポーラプレート30は、セル20の高圧側に配置され、バイポーラプレート31は、セル20の低圧側に配置される。
図2で例示されるように、セル20は、それぞれの側にフロー構造22および28が配置されたMEA40を含む。フロー構造22および28は、それぞれバイポーラプレート30および31で取り囲まれており、これらのバイポーラプレートは、スタック中の隣接するセルから電気化学セル20を隔てている。領域60は、燃料と酸化剤に晒されるセルの活性領域を示す。領域60は、フロー構造22、28と、フロー構造22、28と接するMEAの少なくとも一部を包含する。
【0029】
[0045]追加の実施態様において、セルスタック中の2つの隣接する電気化学セルは、バイポーラプレートを共有しており、すなわちスタックがn個のセルを含む場合、スタック中のバイポーラプレートの合計数は、(n+1)個である。このような実施態様において、単一のバイポーラプレートは、プレートの両側に流れ場機構を有していてもよく、例えば、プレートの一方の側が1つのセルのフロー構造を支持し、他方の側が隣接するセルのフロー構造を支持する。
【0030】
[0046]
図2を再度参照すると、高差圧での作動にセルが使用される場合、電気化学セル中の一方のフロー構造は、作動中に、電解質膜の他方の側でフロー構造より高い流体圧力に晒される。以下、作動中により高い流体圧力に晒されるフロー構造は、「高圧フロー構造」と称し、それより比較的低い流体圧力に晒されるフロー構造は、「低圧フロー構造」と称する。
図2において、例えばフロー構造22は、高圧フロー構造と指定され、フロー構造28は低圧フロー構造と指定される。
【0031】
[0047]典型的な実施態様において、
図2に表されるように、高圧フロー構造22は、フロー構造−MEAインターフェースにおいて、すなわち電解質膜に面する側で、低圧フロー構造28よりも小さい表面積を有する。フロー構造−MEAインターフェースにおける高圧の場22の境界は、完全に低圧フロー構造28の境界に包含される。このような配列において、高圧フロー構造22から電解質膜に作用する高い流体圧力は、膜の他方の側に配置された低圧フロー構造28によって提供される構造的な支持によって連続的にバランスが保たれる。低圧フロー構造28によって提供される均一で連続的な支持は、膜の破損を引き起こすことがわかっている膜上の高い応力点から保護する役割がある。低圧フロー構造28によって提供される補強はさらに、高圧下で膜が過度に曲がらないようにし、膜の破裂を防ぐ。
【0032】
[0048]
図2はさらに、高圧側のバイポーラプレート30と電解質膜との間に提供されるシール25を示し、シール25は、連続した低圧フロー構造に対する高圧側のシーリングが達成されるように、その全体が膜に面する側の低圧の場の外周内に含まれている。またシール25(本明細書では高圧側シールとも称される)は、高圧ガスの漏れを防ぐために低圧フロー構造28とで膜を挟んでいる。このような配列は、低圧側におけるあらゆる不連続部分(例えば、低圧フロー構造によって支持されていない膜のあらゆる部分、またはバイポーラプレートと低圧フロー構造との間のあらゆるギャップ)が高圧に晒されないようにする。典型的な実施態様において、全セルスタック中の高圧側シールは全て、それぞれの低圧フロー構造の外周内にある。
【0033】
[0049]いくつかの実施態様において、バイポーラプレートが非円形のベース形状を有する場合、隣接するフロー構造も非円形の形状を有する。
図3Aは、長方形の形状を有する例示的な高差圧電気化学セルのフロー構造の平面図を示す。このような実施態様において、フロー構造22および28は、長方形の外形を有する。
図3で例示されるように、高圧フロー構造22の外周は、電解質膜に面する側の低圧フロー構造の外周内にその全体が含まれている。またシール25は、連続した低圧フロー構造に対する高圧側のシーリングが達成されるように、膜に面する側の低圧フロー構造の外周内に含まれている。
【0034】
[0050]他の実施態様において、セル中の1つまたはそれより多くのバイポーラプレートのベース形状は、セル中のフロー構造の形状と一致していない。例えば、長方形のベース形状を有するバイポーラプレートが、円形の形状を有する隣接するフロー構造を支持していてもよい。同様に、高差圧セル中の高圧および低圧フロー構造が異なる形状を有していてもよい。
図3Bは、高圧フロー構造22および低圧フロー構造28が異なる形状を有する例示的な高差圧電気化学セルのフロー構造の平面図を示す。
図3Bで例示されるように、低圧フロー構造28は、角を丸くした長方形の外形を有するが、高圧フロー構造22および高圧側シール25は、「レーストラック」型の外形を有する。
図3Bで示されるように、高圧フロー構造22の外周、同様にシール25の外周は、低圧フロー構造28の外周内にその全体が含まれる。
【0035】
[0051]例示的な実施態様において、フロー構造22、28は、金属発泡体または他の多孔質金属基板を使用して作製される。このような実施態様の一つにおいて、開口したセル状のフロー構造は、例えば金属発泡体、焼結された金属フリット(sintered metal frit)、または他のあらゆる多孔質金属などの高度に多孔質な金属材料を圧縮することによって形成される。多孔質金属材料としては、例えばステンレス鋼、チタン、アルミニウム、ニッケル、鉄などの金属、または例えばニッケルクロム合金、ニッケル−スズ合金などの金属合金が挙げられる。所定の実施形態において、低圧フロー構造28は、高圧フロー構造22の密度レベルより大きい密度レベルに圧縮される。さらにいくつかの実施態様において、圧縮された多孔質金属マトリックスを一方の側で微孔性材料層(MPL)と共に積層することにより、フロー構造が形成される。追加の実施態様において、電極触媒が膜電極接合体に一体化されない場合、MPLは電極触媒層でコーティングされる。結果得られた積層構造は、電気化学セル中で電極触媒層が膜に隣接して配置された状態で配列されることとなる。電極触媒層は、圧縮された多孔質金属基板上の電解質膜に面する側に直接コーティングしてもよい。
【0036】
[0052]伝導冷却した電気化学セルスタックの典型的な実施態様において、各セル中の1つまたはそれより多くのバイポーラプレートは、吸熱器として機能するように設計される。セルスタック作動中に発生した熱はバイポーラプレートにより収集され、セルの活性領域からプレート外縁に熱伝導されて、プレート外縁で、熱は公知の熱伝達手段を使用して除去される。バイポーラプレートが有効な吸熱器として機能するためには、バイポーラプレートは、十分な厚さになるように設計されなければならない。典型的な実施態様において、バイポーラプレートの厚さは、作動中のセル中の熱発生率、プレートを形成するために選択された材料の熱伝導率(「k」)、およびプレートに対して直角な方向での望ましい温度勾配(「ΔT」)に基づき決定される。バイポーラプレートがセルの活性領域からセル外縁に効果的に熱伝導するには、バイポーラプレートの長さ(「l」)に沿った熱流束(「q」)が、セルの作動パラメーターに基づき決定される活性領域中の熱発生率と同等でなければならない。したがって熱流束qは、以下の式(1)で示されるように、プレートの長さに沿った熱伝導性(「k/l」)、プレートの厚さ(「t」)、および望ましい温度勾配ΔTの関数である。
【0038】
[0054]式(1)に基づいて、バイポーラプレートの厚さtを調節することにより、以下の式(2)で示されるようにセル全体で望ましい温度勾配を維持することもできる。
【0040】
[0056]例示的な実施態様において、セル中の1つまたはそれより多くのバイポーラプレートの厚さは、約0.03mmから約3mmの範囲であってもよい。例えば、バイポーラプレートの厚さは、約0.03mmから約2mm、約0.03mmから約1mm、約0.05mmから約2mm、約0.05mmから約2mm、約0.1mmから約2mm、約0.1mmから約1mm、約0.5mmから約2mm、約0.5mmから約1mm、約0.2mmから約1mm、約0.2mmから約0.8mm、約0.4mmから約0.6mmなどの範囲であってもよい。電気化学セルの典型的な実施態様の一つにおいて、
図2で示されるように、1つまたはそれより多くのバイポーラプレートは、フロー構造を含有/支持するためにポケットが内部に形成された材料の単一の部品から作製される。他の実施態様において、
図4で例示されるように、1つまたはそれより多くのバイポーラプレートは、「二部品」の設計を有する。このような実施態様において、バイポーラプレート30は、2つの別個の部品を含み、すなわちフロー構造のためのポケットを形成する枠組み部品30Aと、1つの全体的に平坦なプレート30Bとを含む。2つの部品は、それらのインターフェース35で結合手法で結合されている。結合手法としては、これらに限定されないが、接着剤での結合、溶接、ろう付け、ポリマーでの熱接合などが挙げられる。
【0041】
[0057]典型的な実施態様において、バイポーラプレートは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、Ni−Cr合金、インコネル、または他のあらゆる電気および熱伝導性材料から作製できる。選択的な実施態様において、バイポーラプレートは、316ステンレス鋼の熱および電気伝導率より高い熱および電気伝導率を有する材料を含む。一実施態様において、バイポーラプレートは、片側または両側に、クラッド材料、例えばステンレス鋼とのアルミニウムクラッドを含む。
図5は、「二部品」のバイポーラプレート30を例示し、ここで平坦なプレート30Bはクラッド材料を含む。クラッド法は、両方の金属固有の利点を提供する。例えば、ステンレス鋼−クラッドアルミニウムから作製されたバイポーラプレートの場合、ステンレス鋼はセル作動中にアルミニウムのコアを腐食から保護し、一方、高い強度重量比、高い熱および電気伝導率といったアルミニウムの優れた材料特性がもたらされる。
【0042】
[0058]再度、熱を管理するためのバイポーラプレートの使用を参照すると、バイポーラプレート外縁に伝導された熱は、例えばあらゆる適切な空気もしくは液体ベースの熱伝達手段を使用することによる、または熱パイプ、冷却板などを使用することによる放射、伝導、もしくは対流によって除去される。典型的な実施態様において、バイポーラプレート外縁の少なくとも一部には、1つまたはそれより多くの冷却流体表面が備えられており、それによって、容易にバイポーラプレートから、雰囲気に、または二次的な熱伝達要素、例えば冷却流体を流す1つまたはそれより多くのチャネルに、熱が除去される。いくつかの典型的な実施態様において、電気化学セルスタック中の少なくとも1つのセルのバイポーラプレートに、1つまたはそれより多くの冷却流体表面が提供される。他の典型的な実施態様において、電気化学セルスタック中の各セルの1つまたはそれより多くのバイポーラプレートに、1つまたはそれより多くの冷却流体表面が提供される。冷却流体表面は、セルの活性領域の境界の外側に存在する。所定の実施形態において、冷却流体表面は、バイポーラプレートからの熱の除去を容易にするために放熱構造と共に提供される。
【0043】
[0059]選択された実施態様において、1つまたはそれより多くのファンによって可能になる強制対流の形態での空冷か、または自然の空気流を介した空冷のいずれかによって、熱は冷却流体表面から除去される。このような実施態様の一つにおいて、バイポーラプレートの、すなわち冷却流体表面の1つまたはそれより多くの縁部には、プレートの縁部からの放熱を容易にするフィン42(
図6で示される通り)の形態の放熱構造が提供される。
【0044】
[0060]いくつかの他の実施態様において、熱は、冷却流体を使用してバイポーラプレート外縁から除去される。このような実施態様において、複数の冷却流体チャネルは、バイポーラプレートの冷却流体表面を通過している。冷却流体チャネルは、バイポーラプレートの表面に垂直に設置され、セルスタックの長さ全体に伸びる。選択された実施態様において、セルスタックの活性領域に冷却流体チャネルがまったく含まれなくなるように、スタック中の全ての冷却流体チャネルはセル外縁に、すなわち冷却流体表面に提供される。このようなアプローチにより、冷却流体はスタックの活性領域から隔離される。このような実施態様の一つにおいて、冷却流体チャネルは、バイポーラプレートの1つまたはそれより多くの冷却流体表面を通って内部でマニホールド化される。このような実施態様において、1つまたはそれより多くの冷却流体表面は、
図7Aで示されるように、放熱構造を複数の並べられたホール/穴43の形態で含む。冷却流体チャネルは、ホール/穴43を経由する。他の実施態様において、冷却流体表面は、放熱構造を、バイポーラプレートの1つまたはそれより多くの縁部に熱的に接続された1つまたはそれより多くの縁部マニホールドの形態で含む。このような立体配置において、冷却流体チャネルは、1つまたはそれより多くの縁部マニホールドを通過する。
図7Bは、冷却流体表面が、縁部マニホールドに隣接するバイポーラプレートの端部に複数のフィン44を含む、選択された実施態様を示す。このような実施態様において、フィン44は、プレートから、縁部マニホールドを経由するチャネル中を流動する冷却流体への放熱を容易にする。
【0045】
[0061]追加の実施態様において、1つまたはそれより多くの冷却流体表面は、
図8で例示されるように、放熱構造を、1つまたはそれより多くのプレートの縁部から外側に伸びる平坦なフィン45の形態で含む。このような実施態様において、冷却流体は、
図8では矢印の方向で示されるように、スタック中の2つの隣接するフィンの間のバイポーラプレートに平行である。
【0046】
[0062]
図9は、N個の電気化学セル20を含む伝導冷却した電気化学セルスタックの概略的な正面図を例示する。セルスタック中の領域50は、スタックの活性な熱発生領域を示し、領域55は、セルスタックの2つの相対する側における冷却流体表面を示す。活性領域50中で発生した熱は、電気化学セル20のバイポーラプレートを介して領域55に伝導される。
図10A、10B、および10Cは、領域55から対流的に熱を除去するための、様々な可能性のある冷却流体フローの立体配置を例示する。流体ポンプ56と熱交換器57とを含む閉ループ冷却システムを使用して、冷却流体がセルスタックを通ってポンプ注入される。ポンプ56は、冷却領域55に、または冷却領域55の近傍に提供された冷却チャネルに冷却流体を通過させる。冷却流体はバイポーラプレートから熱を除去して、熱交換器に流動し、そこで冷却流体からの熱は周囲大気に移される。次いで冷却流体はポンプで冷却領域55に戻され、セル作動中に発生した熱を除去する。冷却流体は、
図10Aで示されるように平行して、または
図10Bに表されるように連続して冷却領域55を通ってポンプ注入される。
図10Cに表されたさらなる実施態様において、冷却流体は、2つの冷却領域55を別々に且つ平行して通ってループ状に循環する。このような配置は、セル間および各セル全体の温度勾配を最小化する。さらにこのような実施態様において、冷却領域55は、第二の複数の並べられたホール/穴を含み、ここで冷却流体チャネルの第二のセットは、第二の複数の並べられたホール/穴を経由する。第二の複数のホール/穴は、活性領域50の境界の近くに配置され、ホール/穴43は、バイポーラプレートの縁部の近くに配置される。冷却流体は、まず第二の複数のホール/穴に、続いてホール/穴43に連続的に流動する。
【0047】
[0063]上記で
図9および10A〜10Cに関して説明した冷却のための配置は、セルの活性領域からの冷却流体の分離を容易にし、冷却流体がセル中の電気化学の材料を汚染する危険を最小化する。またこのような配置は、スタック中の隣接するセル間で別個の冷却チャネル/プレートを使用することへの必要性も回避することから、スタック内部におけるオーム抵抗損失を低下させ、スタックの効率を改善する。加えて、スタック内部に別個の冷却チャネルがないことから、セル構成が簡単になり、製造コストを低下させ、長方形のセルと円形のセルのどちらにも適用可能な安定した冷却構成が可能になる。さらにそれにより、セルスタックの冷却要素のデザイン変更または構造変更を行わなくてもセルの活性領域のスケールを変えることが可能になる。
【0048】
[0064]様々な実施態様において、セルの活性領域60全体での最大温度の差を小さくすることにより電気化学セルの性能およびロバスト性が最大化されるように、冷却流体表面内の構造および機構が設計されていてもよい。
図11は、各長縁部の長さに沿って均一に分布した均一な大きさの冷却チャネル43を有するバイポーラプレート30を例示する。様々な実施態様によれば、冷却チャネル43は、活性領域60の外側および冷却流体表面65の内側に配置されていてもよい。上記で様々な実施態様に関して説明したように、活性領域中で発生した熱は、冷却流体表面65に移動させて、冷却チャネル43を通って巡行する冷却流体によって除去することもできる。
【0049】
[0065]
図11で例示した立体配置の結果の1つとして、冷却されていない端部ゾーン61(すなわち短縁部)に近い活性領域60の温度は、一般的に、端部ゾーン61における追加の熱伝導経路と放射熱の損失のために中央の活性領域の温度より低くなる。例えば、
図12は、長方形のバイポーラプレートの温度プロファイルを例示し、それによれば冷却されていない端部ゾーン61の温度は、一般的に、中央の活性領域60の温度より低い。この条件は活性領域60全体の最大温度差を増加させることから、電気化学セルの性能およびロバスト性に悪影響を与える可能性がある。
【0050】
[0066]この潜在的な問題を解決するために、端部ゾーン61での、またはその近傍での熱伝導および放射熱の損失が低減するように、様々な実施態様に従ってバイポーラプレート30を設計してもよい。端部ゾーン61での、またはその近傍での熱伝導および放射熱の損失を低減させるのに使用できる立体配置設計がいくつかある。
【0051】
[0067]冷却チャネルを使用するバイポーラプレートの場合、チャネルサイズ(すなわち、断面積)を変更してもよいし、またはチャネルの間隔を変更してもよい。例えば、
図13Aは、端部ゾーン61に近づくにつれて冷却チャネル43の直径が小さくなるバイポーラプレート30を例示する。端部ゾーン61近傍の冷却チャネル43の直径を小さくすることにより、熱を消散させる冷却チャネル43の能力を低減させることが可能になるため、端部ゾーン61近傍に移動する熱が少なくなると予想される。
図13Bで例示したような他の実施態様によれば、端部ゾーン61に近づくにつれて冷却チャネル43の間隔を大きくしてもよい。冷却チャネル43の直径を小さくすることと同様に、間隔を大きくすることにより、端部ゾーン61近傍で熱を消散させる冷却チャネル43の能力を低減させることが可能になる。他の実施態様において、端部ゾーン61近傍における冷却チャネル43を通る冷却流への制限(例えば、開口部、拡散媒体など)を使用して、端部ゾーン61近傍で熱を消散させる冷却チャネルの能力を低減させてもよい。
【0052】
[0068]
図13Cで例示したような他の実施態様によれば、バイポーラプレート30は、冷却フィン44を包含していてもよく、ここで各冷却フィン44の面積を、端部ゾーン61に近づくにつれて小さくしてもよい。冷却フィン44面積を小さくすることにより、端部ゾーン61近傍で熱を消散させる能力を低減させることが可能になる。他の実施態様において、端部ゾーン61近傍の冷却フィン44に沿って、またはその間に制限(例えば、バッフル、拡散媒体など)を使用して、端部ゾーン61近傍で熱を消散させる能力を低減させることができる。
【0053】
[0069]他の実施態様によれば、
図13A、13B、および13Cで例示したように冷却チャネルまたはフィン面積を改変する代わりに、端部ゾーン61における熱流量を制限して熱伝導および放射熱の損失が低減されるように、バイポーラプレート30を設計してもよい。例えば、
図14Aで例示したように、開口した空隙が、端部ゾーン61内の断熱用空隙62として作用する可能性がある。断熱用空隙62は、端部ゾーン61を介した活性領域60からの熱流量を制限できることから、端部ゾーン61近傍で活性領域60の温度を高くし、結果として活性領域60全体の最大温度差を減少させる。同様に、
図14Bで例示したように、端部ゾーン61内の互い違いの断熱用空隙62は、熱的経路の長さを大きくし、活性領域60からの熱流量を制限することができる。形状(例えば、円形、正方形、長方形など)、サイズ、レイアウト(すなわち、パターン、並びなど)、および断熱用空隙62の数を調節して、端部ゾーン61を通る熱流量の速度を最適化し得ることが考えらえる。
図13Cにバイポーラプレート30のさらに他の実施態様を例示するが、ここで端部ゾーン61内に、バイポーラプレート30は、断熱用空隙の代わりに断熱ゾーン63を包含する。断熱ゾーン63は、端部ゾーン61を介して活性領域60からの熱流量が制限されるように設計された断熱材料で構成されていてもよい。形状(例えば、円形、正方形、長方形など)、サイズ、レイアウト(すなわち、パターン、並びなど)、材料、および断熱ゾーン63の数を調節して、端部ゾーン61を通る熱流量の速度を最適化し得ることが考えらえる。
【0054】
[0070]様々な他の実施態様によれば、
図13A、13B、または13Cの設計と
図14A、14B、または14Cの設計とを組み合わせることによって、端部ゾーン61で、またはその近傍で熱伝導および放射熱の損失が低減されるようにバイポーラプレート30を設計してもよい。例えば、
図15A、15B、および15Cは、熱流量を制限し、加えて冷却チャネル43の立体配置または冷却フィン44の立体配置のいずれかを調整することによって端部ゾーン62近傍で活性領域60からの熱流量が低減されるように設計された、端部ゾーン61内に両方の構造/機構を含むバイポーラプレート30の設計を例示する。具体的には、
図15Aは、両方の冷却チャネル43の直径が端部ゾーン61近傍で小さくなっており、端部ゾーン61が断熱用空隙62を包含する実施態様を例示する。
図15Bは、両方の冷却チャネル43の間隔が端部ゾーン61近傍で大きくなっており、端部ゾーン61が互い違いの断熱用空隙62を含有する実施態様を例示する。
図15Cは、両方の冷却フィン44の面積が端部ゾーン61近傍で小さくなっており、端部ゾーン61が断熱ゾーン63を包含する実施態様を例示する。
図15A、15B、および15Cは、単に3種の可能性のある組み合わせの実施態様を例示しているが、
図13A、13B、または13Cのバイポーラプレート設計のいずれの組み合わせも、
図14A、14B、または14Cのバイポーラプレート設計のどれと組み合わせてもよいことが考えられる。セルの活性領域60全体の最大温度差を小さくすることによって電気化学セルの性能およびロバスト性が最大化されるように、このような組み合わせを最適化してもよい。
【0055】
[0071]本明細書の考察および本明細書において開示された本発明の実施から、当業者には本発明の他の実施態様は明らかであると予想される。本明細書および実施例は単なる典型例とみなされものとし、本発明の真の範囲および本質
は特許請求の範囲で示される。
以下は出願当初の特許請求の範囲の記載である。
[1]第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域と;
活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却流体表面を含む、第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレートと
を含む電気化学セルであって、
少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、熱を複数の冷却流体表面に伝導する吸熱器として機能するように構成され;かつ、
複数の冷却流体表面のうち少なくとも1つには、少なくとも1つのバイポーラプレートからの熱の除去を促進する放熱構造が提供されている、上記電気化学セル。
[2]前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含む、[1]に記載の電気化学セル。
[3]前記放熱構造が、第一の複数の並べられた穴を含む、[1]に記載の電気化学セル。
[4]冷却流体チャネルの第一のセットが、第一の複数の並べられた穴を経由する、[3]に記載の電気化学セル。
[5]前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含み、冷却流体チャネルのセットが、縁部マニホールドを経由している、[1]に記載の電気化学セル。
[6]前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部から伸びるフィンをさらに含む、[5]に記載の電気化学セル。
[7]前記フィンが、縁部マニホールドを経由する冷却流体チャネルに隣接する、[6]に記載の電気化学セル。
[8]前記少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さが、バイポーラプレートを形成するのに使用される材料の熱伝導率、第一のフロー構造と接するバイポーラプレート表面に対して直角の方向に沿った所定の温度勾配、およびバイポーラプレートの長さに沿った所定の熱流束量に基づく、[1]に記載の電気化学セル。
[9]前記少なくとも1つのバイポーラプレートの厚さが、約0.03mmから約3mmの範囲である、[1]に記載の電気化学セル。
[10]前記少なくとも1つのバイポーラプレートは、316ステンレス鋼の熱伝導率および電気伝導率より高い熱伝導率および電気伝導率を有する材料から作製される、[1]に記載の電気化学セル。
[11]前記少なくとも1つのバイポーラプレートが、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、Ni−Cr合金、およびインコネルから選ばれる材料から作製される、[10]に記載の電気化学セル。
[12]前記少なくとも1つのバイポーラプレートが、クラッド材料から作製される、[10]に記載の電気化学セル。
[13]前記クラッド材料が、アルミニウムのステンレス鋼とのクラッドを含む、[12]に記載の電気化学セル。
[14]非円形の外部圧力境界を含む、[1]に記載の電気化学セル。
[15]全体的に長方形の外部圧力境界を含む、[14]に記載の電気化学セル。
[16]円形の外部圧力境界を含む、[1]に記載の電気化学セル。
[17]第二のバイポーラプレートをさらに含む、[1]に記載の電気化学セル。
[18]第二の電極と第二のバイポーラプレートとの間に第二のフロー構造をさらに含む、[17]に記載の電気化学セル。
[19]第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、多孔質基板を含む、[18]に記載の電気化学セル。
[20]第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、圧縮された多孔質金属基板を含む、[19]に記載の電気化学セル。
[21]第一および第二のフロー構造の少なくとも1つが、圧縮された多孔質金属基板上にラミネートされた微孔性材料層を含む、[20]に記載の電気化学セル。
[22]2つまたはそれより多くの電気化学セルを含む電気化学セルスタックであって;
少なくとも1つのセルは、
第一の電極、第二の電極、第一の電極と第二の電極との間に配置された電解質膜、および第一の電極に隣接する第一のフロー構造を含む活性領域と;
活性領域の境界の外側に配置された複数の冷却流体表面を含む、第一のフロー構造に隣接する少なくとも1つのバイポーラプレートと
を含み、
各セルの少なくとも1つのバイポーラプレートは、セル作動中に活性領域で発生した熱を収集して、熱を複数の冷却流体表面に伝導する吸熱器として機能するように構成され;
複数の冷却流体表面のうち少なくとも1つには、少なくとも1つのバイポーラプレートからの熱の除去を促進する放熱構造が提供されている、上記電気化学セルスタック。
[23]前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートから伸びるフィンを含む、[22]に記載の電気化学セルスタック。
[24]前記放熱構造が、第一の複数の並べられた穴を含む、[22]に記載の電気化学セルスタック。
[25]冷却流体チャネルの第一のセットが、第一の複数の並べられた穴を経由する、[24]に記載の電気化学セルスタック。
[26]冷却流体が、2つまたはそれより多いセットの冷却流体チャネルを介して平行して流動し、冷却流体チャネルの各セットは、少なくとも1つのバイポーラプレートの別個の冷却流体表面に配置される、[25]に記載の電気化学セルスタック。
[27]冷却流体が、2つまたはそれより多いセットの冷却流体チャネルを介して連続的に流動し、冷却流体チャネルの各セットは、少なくとも1つのバイポーラプレートの別個の冷却流体表面に配置される、[25]に記載の電気化学セルスタック。
[28]前記放熱構造が、第二の複数の並べられた穴を含み、冷却流体チャネルの第二のセットが、第二の複数の並べられた穴を経由しており、第一の複数の並べられた穴は、少なくとも1つの冷却流体表面の外側の縁部の近くに配置されており、第二の複数の並べられた穴は、活性領域の境界の近くに配置されている、[25]に記載の電気化学セルスタック。
[29]冷却流体が、まず冷却流体チャネルの第二のセットに、続いて冷却流体チャネルの第一のセットに連続的に流動する、[28]に記載の電気化学セル。
[30]前記放熱構造が、少なくとも1つのバイポーラプレートの縁部に熱的に接続された縁部マニホールドを含み、冷却流体チャネルのセットが、縁部マニホールドを経由している、[22]に記載の電気化学セルスタック。
[31]前記2つまたはそれより多くの電気化学セルが、セルスタック中で連続して配置される、[22]に記載の電気化学セルスタック。
[32]前記セルスタックが、2つまたはそれより多くの電気化学セル間に流体チャネルをまったく含まない、[22]に記載の電気化学セルスタック。
【符号の説明】
【0056】
2 バイポーラプレート
4 ランドチャネル型の流れ場
5 導電性ガス拡散層(GDL)
7A アノード
7C カソード
8 電解質膜
10 PEM燃料電池
20 高差圧電気化学セル
22 高圧フロー構造
25 シール
28 低圧フロー構造
30、31 バイポーラプレート
30A 枠組み部品
30B 平坦なプレート
35 インターフェース
42、44、45 フィン
43 冷却チャネル、並べられたホール/穴
55 冷却領域
50 活性領域
56 流体ポンプ
57 熱交換器
60 領域
61 冷却されていない端部ゾーン
62 断熱用空隙
63 断熱ゾーン
65 冷却流体表面