特許第6465812号(P6465812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465812妊婦において分娩までの時間を予測するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465812
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】妊婦において分娩までの時間を予測するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20190128BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20190128BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20190128BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20190128BHJP
   C12Q 1/00 20060101ALN20190128BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20190128BHJP
【FI】
   G01N33/53 D
   G01N33/543 521
   C12M1/34 F
   C12M1/26
   !C12Q1/00 Z
   !C07K16/18
【請求項の数】17
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-551719(P2015-551719)
(86)(22)【出願日】2013年12月23日
(65)【公表番号】特表2016-504592(P2016-504592A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013077541
(87)【国際公開番号】WO2014107373
(87)【国際公開日】20140710
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】61/748,310
(32)【優先日】2013年1月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/909,238
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】VKPM  VKPM-92
【微生物の受託番号】VKPM  VKPM-93
【微生物の受託番号】VKPM  VKPM-94
(73)【特許権者】
【識別番号】514000473
【氏名又は名称】キアゲン・サイエンシズ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オーシエロ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】サリナス,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナールドッジ,カイトリン
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,マイケル
【審査官】 海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−535887(JP,A)
【文献】 特表2010−518058(JP,A)
【文献】 米国特許第08114027(US,B2)
【文献】 The Clinical Significance of a Positive Amnisure Test in Women with Preterm Labor and Intact Membranes,Journal of Maternal-Fetal and Neonatal Medicine,2012年 9月,VOl.25, No.9,pp.1690-1698
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期分娩の危険性を検出するための方法であって、
(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、
(b)試料中のPAMG−1の濃度が、1ng/mlから4ng/mlの間の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップとを含み、
PAMG−1が検出されれば、妊婦に早期分娩の危険性があると予測する指標となり、または
PAMG−1が検出されなければ、妊婦に早期分娩の危険性がないと予測する指標となる、前記方法。
【請求項2】
PAMG−1が検出されなければ、妊婦の胎膜が無傷であると決定する指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
妊婦が、以下:
(i)早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴;
(ii)20週〜36週6日の間の在胎週齢;
(iii)25mm以上の子宮頸管長;および
(iv)3cm以下の子宮頸管拡張
のうちの1または複数を示す場合に限り、方法による解析に妊婦を選択するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
妊婦が、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のうちの2つ以上を示す場合に限り、方法による解析に妊婦を選択するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
妊婦が、徴候(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のうちの3つまたは4つ全てを示す場合に限り、方法による解析に妊婦を選択するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
フロックスワブを用いて、膣液試料を妊婦から回収するステップを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
回収デバイスを溶媒と接触させて、回収された膣液試料を放出するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
膣液試料を約30秒間にわたり回収するステップを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
膣液試料を回収した後で約30秒間にわたり、回収デバイスを溶媒と接触させるステップを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と、5分間にわたり接触させる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
PAMG−1の所定の検出閾値レベルが、4ng/mlである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
PAMG−1の所定の検出閾値レベルが、3ng/ml、2ng/ml又は1ng/mlである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体を、側方流デバイス内で使用する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
側方流デバイスが、パッド領域および検査領域を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
検査デバイスのパッド領域が、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体のうちの一方を含み、検査領域が、2つのうちの他方を含み、パッド領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体が、移動可能であり、検査領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体が、固定化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
検査デバイスの検査領域が、対照領域をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
パッド領域内の移動可能抗体が、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271であり、検査領域内の固定化抗体が、ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52である、請求項14から16のいずれかに記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、どちらも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2013年1月2日に出願された米国特許仮出願第61/748,310号、および2013年11月26日に出願された同第61/909,238号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、妊娠患者において分娩までの時間(TTD)を予測するため、ならびに/または患者の早期陣痛および/もしくは絨毛羊膜の自然破裂の危険性を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
早期分娩の危険性がある妊娠では、特に、コルチコステロイド(投与から24時間〜7日間以内に利益が最適となる)の投与に関して、分娩までの時間(TTD)の予測が臨床的に重要である。加えて、早期出産の危険性が高い患者は、三次治療室で分娩すべきでもある。特に、ステロイドの反復使用をめぐる賛否を踏まえると、産科医は、早期分娩の危険性がある患者のTTDを予測する責務を負う。
【0004】
米国産婦人科学会(ACOG)は、その最近の「Practice Bulletin on the Management of Preterm Labor」において、早期出産の危険性がある女性を同定する多くの検査が提起され、査定されているが、利益をもたらすことが示されているのは、超音波検査(子宮頸管長を決定する)および胎児フィブロネクチン検査だけであることを指し示している。超音波検査もしくは胎児フィブロネクチン検査または両方の組合せは、早期分娩の危険性が高い女性の同定において有用でありうる。しかし、それらの臨床的有用性は主に、分娩する可能性が極めて高い女性を同定するそれらの能力(すなわち、陽性的中率(PPV)の高い検査)ではなく、分娩する可能性が低い女性を同定するそれらの能力(すなわち、検査の陰性的中率(NPV))に立脚している場合がある。したがって、差し迫った分娩を正確に予測し、適切な介入を可能とするために、PPVの高い検査が火急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で論じた通り、当技術分野では、差し迫った分娩の危険性がある患者、特に、早期陣痛(PTL)を示唆する徴候、症状、または愁訴を示すが、胎膜の破裂(ROM)の臨床的証拠を示していない患者を正確に診断するための、改善されたデバイスおよび方法(例えば、14日間、7日間、または48時間以内)が必要とされている。このような改善されたデバイスおよび方法は、それらの患者をどのように管理するのかの決定において、例えば、妊娠を延長するための子宮収縮抑制剤の投与、胎児の呼吸器発生を改善するコルチコステロイドの投与、感染の危険性(分娩中および分娩後の)を低下させる抗生剤の投与、仰臥安静、ならびに/または観察の強化および胎児のモニタリングの処方を行うのかどうかの決定において、医療提供者に大きな価値をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、ある種の態様では、本開示は、分娩までの時間(TTD)を予測する方法であって、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦が所定の時間枠内で分娩すると予測するステップとを含む(include)(例えば、これらを含む(comprise)、これらから本質的になる、これらからなる)方法を提示する。別の態様では、TTDを予測する方法は、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦が所定の時間枠内で分娩すると予測するステップ、または(d)PAMG−1が検出されなければ、妊婦が所定の時間枠内で分娩しないと予測するステップとを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、膣液試料が妊婦から得られた時点において、妊婦が所定の時間枠内で分娩しないと予測するステップを含む。TTDを予測するための所定の時間枠は、例えば、約48時間以内;約7日間以内;および/または(iii)約14日間以内でありうる。ある種の態様では、TTDを予測する方法は、以下の陽性的中率(PPV):(i)48時間以内のTTDの予測について、少なくとも約39%;(ii)7日間以内のTTDの予測について、少なくとも約64%;および(iii)約14日間以内のTTDの予測について、少なくとも約77%のうちの1または複数を示す。ある種の態様では、TTDを予測するための方法は、以下のPPV:(i)約48時間以内のTTDの予測について、約45.5%;(ii)約7日間以内のTTDの予測について、約81.8%;および(iii)14日間以内のTTDの予測について、約90.9%のうちの1または複数を示す。いくつかの態様では、方法は、約90%を超える陰性的中率(NPV)を示す。ある種の態様では、TTDを予測するための方法は、以下のPPV:(i)48時間以内のTTDの予測について、約45.5%;および/または(ii)7日間以内のTTDの予測について、約78.3%(例えば、約78%);および/または(iii)14日間以内のTTDの予測について、約87%のうちの1または複数を示す。いくつかの態様では、方法は、87%以上の陰性的中率(NPV)を示す。さらに他の態様では、方法は、以下のNPV:(i)48時間以内のTTDの予測について、約100%;および/または(ii)7日間以内のTTDの予測について、約97.4%(例えば、約87%);および/または(iii)14日間以内のTTDの予測について、約93.6%(例えば、約84%)のうちの1または複数を示す。
【0007】
他の態様では、本開示は、早期分娩の危険性を決定するための方法であって、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦に早期分娩の危険性があると予測するステップとを含む(include)(例えば、これらを含む(comprise)、これらから本質的になる、これらからなる)方法を提示する。他の態様では、本開示は、早期分娩の危険性を決定するための方法であって、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦に早期分娩の危険性があると予測するステップ、または(d)PAMG−1が検出されなければ、妊婦に早期分娩の危険性がないと予測するステップとを含む(include)(例えば、これらを含む(comprise)、これらから本質的になる、これらからなる)方法を提示する。いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、膣液試料が妊婦から得られた時点において、妊婦に早期分娩の危険性がないと予測するステップを含む。
【0008】
さらに他の態様では、本開示は、妊婦の絨毛羊膜の自然破裂の危険性を決定するための方法であって、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦に絨毛羊膜の自然破裂の危険性があると決定するステップとを含む(include)(例えば、これらを含む(comprise)、これらから本質的になる、これらからなる)方法を提示する。別の態様では、本開示は、妊婦の絨毛羊膜の自然破裂の危険性を決定するための方法であって、(a)妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されれば、妊婦に絨毛羊膜の自然破裂の危険性があると決定するステップ、または(d)PAMG−1が検出されなければ、妊婦に絨毛羊膜の自然破裂の危険性がないと決定するステップとを含む方法を提示する。いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、膣液試料が妊婦から得られた時点において、妊婦に絨毛羊膜の自然破裂の危険性がないと予測するステップを含む。
【0009】
ある種の態様では、方法は、絨毛羊膜の早期の自発的な前期破裂の危険性を決定するための方法である。
【0010】
本明細書の別の態様では、妊婦による、所定の時間枠内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩を除外する(可能性が極めて小さいと予測する)ための方法が提示される。方法は、(a)早期分娩の危険性があることが疑われる妊婦から得られた膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と接触させるステップであって、抗体のうちの少なくとも1つが、試料中に存在する場合にPAMG−1に結合して、PAMG−1/モノクローナル抗体複合体を形成するステップと、(b)試料中のPAMG−1の濃度が、所定の検出閾値を超える場合に限り、試料中に存在する任意のPAMG−1/モノクローナル抗体複合体の存在を検出するステップと、(c)PAMG−1が検出されなければ、所定の時間枠内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩を除外する(可能性が極めて小さいと予測する)ステップとを含みうる。所定の時間枠は、例えば、約48時間以内;約7日間以内;および/または(iii)約14日間以内でありうる。いくつかの態様では、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩を除外する(可能性が極めて小さいと予測する)ための方法は、約90%を超える陰性的中率(NPV)を示す。いくつかの態様では、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩を除外する(可能性が極めて小さいと予測する)ための方法は、87%以上の陰性的中率(NPV)を示す。さらに他の態様では、方法は、以下のNPV:(i)48時間以内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の除外(可能性が極めて小さいという予測)について、約100%;および/または(ii)7日間以内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の除外(可能性が極めて小さいという予測)について、約97.4%(例えば、約87%);および/または(iii)14日間以内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の除外(可能性が極めて小さいという予測)について、約93.6%(例えば、約84%)のうちの1または複数を示す。
【0011】
上記で開示された態様のうちのいずれかでは、方法は、妊婦の胎膜が無傷であると決定するステップをさらに含みうる。方法はまた、妊婦が、以下:(i)早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴;(ii)20週〜36週6日の間の在胎週齢;(iii)25mm以上の子宮頸管長;および(iv)3cm以下の子宮頸管拡張のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、または4つ全てを示す場合に限り、方法による解析に妊婦を選択するステップも含みうる。方法はまた、回収デバイス(例えば、フロックスワブ)を用いて、膣液試料を妊婦から回収するステップも含みうる。ある種の態様では、膣フロックスワブは、膣液試料中に存在する任意のPAMG−1の1:4の希釈をもたらす。ある種の態様では、フロックスワブは、膣液試料中に存在する任意のPAMG−1の、1:1〜1:10の範囲の希釈をもたらす。方法はまた、以下のステップ:回収デバイスを溶媒と接触させて、回収された膣液試料を放出するステップ;膣液試料を約30秒間にわたり回収するステップ;膣液試料を回収した後で約30秒間にわたり、回収デバイスを溶媒と接触させるステップ;膣液試料を、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体と、5分間にわたり接触させるステップのうちの任意の1または複数も含みうる。
【0012】
上記の態様のうちのいずれかでは、PAMG−1の所定の検出閾値レベルは、4ng/mlでありうる。
【0013】
上記の態様のうちのいずれかでは、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、側方流デバイス内で使用することができる。側方流デバイスは、パッド領域および検査領域を含みうる。検査デバイスのパッド領域は、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体のうちの一方を含むことが可能であり、検査領域は、2つのうちの他方を含むことが可能である。ある種の態様では、パッド領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、移動可能であり、検査領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、固定化されている。いくつかの態様では、検査デバイスの検査領域は、対照領域をさらに含む。いくつかの態様では、少なくとも2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体の各々は、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271;ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52;およびハイブリドーマN42により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−94を割り当てられたM42からなる群から選択される抗体である。
【0014】
上記の態様のうちのいずれかでは、パッド領域内の移動可能抗体は、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271であることが可能であり、検査領域内の固定化抗体は、ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52でありうる。
【0015】
デバイスを援用する上記の方法のうちのある種の方法では、デバイスは、図1および2で例示されているデバイスでありうる。
【0016】
ある種の態様では、本開示は、(a)所定の閾値を上回るレベルで存在する場合に、膣液試料中のPAMG−1の存在を検出するためのデバイス;および膣スワブを含む(include)(例えば、これらを含む(comprise)、これらから本質的になる、これらからなる)キットを提示する。いくつかの態様では、膣スワブは、フロック型でありうる。いくつかの態様では、キットは、バイアルおよび/または使用のための指示書をさらに含む。ある種の態様では、所定の閾値は、4ng/mlである。さらに他の態様では、デバイスは、PAMG−1に特異的な第1および第2のモノクローナル抗体を含む。第1および第2のPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、PAMG−1に対して異なる結合特異性およびアフィニティーを有しうる。いくつかの態様では、第1および第2のPAMG−1特異的モノクローナル抗体の各々は、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271;ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52;およびハイブリドーマN42により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−94を割り当てられたM42からなる群から選択される抗体でありうる。さらに他の態様では、検査デバイスは、側方流デバイスである。検査デバイスは、パッド領域および検査領域を含みうる。検査デバイスのパッド領域は、第1および第2のPAMG−1特異的モノクローナル抗体のうちの一方を含むことが可能であり、検査領域は、第1および第2のPAMG−1特異的モノクローナル抗体のうちの他方を含みうる。ある種の態様では、パッド領域および検査領域のうちの一方または両方は、さらなるPAMG−1特異的モノクローナル抗体および/または第1の2つのPAMG−1特異的モノクローナル抗体の混合物を含有しうる。ある種の態様では、パッド領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、移動可能である可能性があり、検査領域内のPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、固定化されている可能性がある。さらに他の態様では、パッド領域内の移動可能抗体は、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271であり、検査領域内の固定化抗体は、ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52である。いくつかの態様では、検査デバイスの検査領域は、対照領域をさらに含む。ある種の態様では、キットは、TTDを予測する方法における使用のためのキットでありうる。他の態様では、キットは、早期分娩の危険性を予測する方法における使用のためのキットでありうる。さらに他の態様では、キットは、妊婦の絨毛羊膜の自然破裂(ROM)(例えば、早期の前期ROM)の危険性を決定する方法における使用のためのキットでありうる。いくつかの態様では、キット内のデバイスは、図1および2で例示されているデバイスである。
【0017】
定義
本明細書で使用される「分娩までの時間(TTD)」とは、所定の開始時点(例えば、患者が早期陣痛の潜在的な徴候を示す時点)から始めて、妊娠患者が新生児を分娩するまでの全期間(例えば、時間、日、週)である。TTDは、予測を行う時点から、例えば、約14日間以内(または約7日間以内、または約48時間以内)など「所定の時間枠内」となるように指定することができる。本明細書で使用される「TTDの予測」とは、所定の時間枠内の(例えば、2、7、または14日間以内の)分娩の可能性の決定を意味する。ある種の態様では、TTDの予測は、所定の期間内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の可能性が高いことの決定を含む。ある種の態様では、TTDの予測は、所定の期間内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の除外(すなわち、所定の時間枠内の、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の可能性が極めて小さいことの決定)を含む。
【0018】
本明細書で使用される「早期分娩」とは、在胎週齢37週以前の分娩と定義される。
【0019】
本明細書で使用される、「早期分娩の危険性がある」と決定された妊婦とは、早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴を示す妊婦である。
【0020】
本明細書で使用される、本明細書で開示される検査のための「所定の検出閾値」とは、検出される(すなわち、本明細書で開示される検査(例えば、TTD検査)において陽性結果をもたらす)ために、ポリペプチドまたは他の物質が、試料(例えば、希釈されていない膣液試料または頸膣液試料)中に存在しなければならないレベル(例えば、濃度または量)、またはそれを上回って存在しなければならないレベルである。
【0021】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、ポリペプチドを得るのに使用される方法に依存せず、本明細書で指定される、抗原(例えば、PAMG−1)に対する結合アフィニティーを有する任意のポリペプチドを指す。例えば、ポリペプチドは、モノクローナル抗体もしくはその断片、ポリクローナル抗体もしくはその抗原結合性断片、または本明細書で指定される、標的抗原に対する結合特異性を有する任意の分子でありうる。
【0022】
「抗原」とは、結合性分子が特異的に結合する実体(例えば、タンパク質性の実体またはペプチド)である。
【0023】
「エピトープ」という用語または「抗原決定基」とは、結合性分子(例えば、抗体)が特異的に結合する、抗原上の部位を指す。
【0024】
本明細書で使用される、抗原(例えば、PAMG−1)「に特異的な」抗体は、その抗原に結合する。
【0025】
本明細書で使用される場合、妊婦は、陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴を有するが、臨床的に検出可能な破水(ROM)(例えば、頸管口からの羊水の漏出、後膣円蓋内の羊水の貯留)は示していないことなどであるがこれらに限定されない、本明細書で開示される所定の基準を満たせば、本明細書で開示される方法に従うTTDの予測「に適する」か、またはこれ「を必要とする」。
【0026】
本明細書で使用される「約」という用語は、値がどのようにして測定または決定されたのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する、当業者により決定される特定の値についての許容可能な誤差範囲内であることを意味する。例えば、「約」は、当技術分野における慣行に従い、1標準偏差以内を意味する場合もあり、1標準偏差超を意味する場合もある。代替的に、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%の範囲を意味することが可能であり、なおより好ましくは最大1%の範囲を意味しうる。代替的に、特に、生体系または生物学的過程に関して、用語は、値の桁数以内、好ましくは5倍以内を意味することが可能であり、より好ましくは2倍以内を意味しうる。本出願および特許請求の範囲では、特定の値について記載されるが、別段に言明されない限りにおいて、特定の値についての許容可能な誤差範囲内であることを意味する「約」という用語を前提とされたい。
【0027】
別段に定義しない限りにおいて、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。利益相反の場合は、定義を含む本文書により管理する。
【0028】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書で開示される材料、方法、および例は、例示的なものであるに過ぎず、限定的であることを意図するものではない。
【0029】
本開示の1または複数の実施形態の詳細を、付属の図面および下記の記載に示す。下記では、好ましい方法および材料について記載するが、本開示の実施または検査ではまた、本明細書で記載される方法および材料と類似するかまたは同等の方法および材料も使用することができる。本明細書で開示される方法の他の特色、目的、および利点は、記載および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、膣液試料中のPAMG−1の存在を検出するのに使用しうる例示的なデバイス(例えば、分娩までの時間(TTD)を診断するための)についての長手方向の概略的な断面図である。
図2図2は、これについての平面図である。番号により、例示的なデバイスの以下の構成要素:10=M271抗体領域;12=パッド;14=検査領域;16=対照領域;18=矢印;22=ニトロセルロース膜;24=濾紙膜;26=接着性非可撓性プラスチック基部;28=矢印付きの部分的に透明な保護フィルム;および30=不透明な保護フィルムを同定する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
下記では、本開示の多様な態様について記載する。
【0032】
概観
本開示は、所定の時間枠内の(例えば、約14日間、7日間、または48時間以内の)TTDを予測するための改善された方法を提示する。また、早期分娩(すなわち、在胎週齢37週以前の分娩)の危険性を決定するための方法、および妊婦の絨毛羊膜の自然破裂(ROM)の危険性を決定するための方法も提供される。一般に、本明細書で開示される方法は、所定の検出閾値を上回るレベルで存在する場合にPAMG−1の存在を検出するステップを含む。本明細書で開示される方法は、高度なPPVおよびNPVでTTDを予測し、かつ/または自発的早期分娩を除外しうる。本明細書で開示される方法に従う陽性検査とは、分娩が差し迫っている(すなわち、約14日間、7日間、または48時間以内である)ことを指し示しうる。陰性検査(PAMG−1の検出の非存在)は、14日間、7日間、または48時間以内に分娩が生じる可能性が高くないことを指し示す。陽性検査はまた、妊婦に、早期の自発的な前期ROMおよび/または早期分娩の危険性があることも指し示しうるのに対し、陰性検査は、妊婦に、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩の危険性がないことを指し示す。したがって、また、早期の自発的な前期ROMまたは早期分娩を除外する(可能性が極めて小さいと予測する)ための方法も提示される。
【0033】
PAMG−1とは、羊水中には高濃度で見出されるが、頸膣排出物中にはバックグラウンドレベルの極低濃度で見出されるタンパク質である。近年、医療コミュニティーは、PAMG−1の検出の広範な使用をより多く許容して、胎膜の破裂(ROM)の確認または除外において、供給業者の一助となっている。使用される検査は、AmniSure(登録商標)International、LLC、Boston、MA、USA製の、AmniSure(登録商標)ROM Testとして市販されている。ROMを検出するためのPAMG−1の有用性についてのかつての探索では、AmniSure(登録商標)ROM Testが陽性であり、基準物質臨床評価(すなわち、ニトラジン、シダ状結晶形成、および貯留)が陰性である、23例中20例において、臨床経過の遡及的解析を施したところ、患者は最終的に破水していたと決定されることが注目された(Lee SEら、Obstet Gynecol 2007;109:634〜640を参照されたい)。その後、陣痛の徴候および症状を示した群内の早期患者の全てについて、7日間以内に分娩が後続することが報告された(Lee SMら、J Matern Fetal Neonatal Med 2009;22:305〜310を参照されたい)。また、早期陣痛(PTL)の徴候および症状を示すが、ROMを伴わない患者における陽性AmniSure(登録商標)ROM Testの臨床値も探索された。結果は、AmniSure(登録商標)ROM Testが、48時間、7日間、14日間以内の、これらの患者の分娩を予測することを裏付けた(Lee MSら、J Matern Fetal Neonatal Med. 2012年9月25日(9号):1690〜8を参照されたい)が、PPVは最適でなかった。
【0034】
任意の1つの特定の理論または作用機構に束縛されることを意図するわけではないが、本方法は、少なくとも部分的に、現在利用可能なある種の診断法と比較して、膣分泌物試料中のPAMG−1を検出するための感度を増大させた診断検査を提供することにより、例えば、PPVおよびNPVのほか、感度(SN)および特異度(SP)などの優れた効能をもたらすと考えられる。例えば、PAMG−1を検出する、現在利用可能な検査では、5ng/mlの検出閾値を使用するが、本明細書では、検出閾値を、4ng/mlへと調整することにより、驚くべき程度に改善された診断検査(例えば、PPVが高く、かつ、NPVも高い)がもたらされることが発見されている。検出閾値を、5ng/mlを下回って低下させれば、偽陽性結果の頻度が増大し、これにより、検査のPPVが低下することが予測されたので、本明細書で開示される、TTDを予測するための、PPVの高い方法において、4ng/mlの検出閾値を使用しうることは予測外であった。さらに、かつては、このような低濃度の臨床的重要性は小さいと考えられたので、5ng/mlを下回るPAMG−1の濃度を検出することが、TTDを予測するのに有用でありうるとは認識されていなかった。
【0035】
本明細書ではまた、診断法の最高度の精度を確保するために、本明細書で開示される方法に従いTTDを予測するのに適する、理想的な妊婦の在胎週齢はとりわけ、20週〜36週6日の間であることも発見されている。また、ある種の実施形態では、本明細書で開示されるTTD検査は、子宮頸管拡張が3cm以下である患者集団について、NPVが高く、かつ、PPVが高いほか、SNおよびSPも高い。
【0036】
ある種の実施形態では、妊婦は、その在胎週齢が20週〜36週6日の間であれば、TTDの予測に適し、かつ/またはこのために選択される。ある種の実施形態では、妊婦は、その子宮頸管長が25mm以上であり、かつ/または子宮頸管拡張が3cm以下であれば、TTDの予測に適し、かつ/またはこのために選択される。
【0037】
診断検査では、PPVまたは適合率とは、真陽性(適正な診断など)である陽性検査結果の比率である。PPVは、陽性検査が、検査される基礎状態を反映する確率を反映するので、診断法の効能についての極めて重要な尺度である。他の重要な尺度は、陰性的中率(NPV)、感度(SN)、および特異度(SP)を含む。NPVは、陰性検査結果を伴う対象であって、検査される状態を有さないと適正に同定された対象の比率を指し示す。所与の検査についてのNPVが高いことは、検査が陰性結果をもたらす場合、その評価の適正である可能性が最も高く、偽陰性結果をもたらすことはごくまれであることを指し示す。したがって、差し迫った(例えば、具体的な時間枠内の)分娩を予測するために、NPVが高いことは、検査が、実際は差し迫っている場合の分娩を、差し迫っていないと予測することはごくまれであることを意味する。また、診断検査がもたらす(例えば、臨床研究において)真陽性結果の数と真陰性結果の数とを組み合わせて、診断検査の感度(SN)および特異度(SP)を決定することもできる。
【0038】
PPVは、以下の式:
【0039】
【数1】
に従い計算することができる。
【0040】
NPVは、以下の式:
【0041】
【数2】
に従い計算することができる。
【0042】
SNは、以下の式:
【0043】
【数3】
に従い計算することができる。
【0044】
SPは、以下の式:
【0045】
【数4】
に従い計算することができる。
【0046】
ある種の態様では、本明細書で開示される方法は、14日間以内のTTDの予測について、少なくとも約77%のPPVを示す。具体的な実施形態では、約14日間以内のTTDの予測についてのPPVは、約90.9%(例えば、約91%)である。別の具体的な実施形態では、約14日間以内のTTDの予測についてのPPVは、約87%である。本方法はまた、例えば、少なくとも約75%、76%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のPPVを示す、約14日間以内のTTDを予測するための方法も包含することを察知されたい。ある種の態様では、約14日間以内のTTDの予測についてのPPVは、約70%〜100%、約80%〜100%、約85%〜100%、または約90%〜100%の範囲である。
【0047】
本明細書で開示される方法は、約7日間以内のTTDの予測について、少なくとも約64%のPPVを示す。具体的な実施形態では、約7日間以内のTTDの予測についてのPPVは、81.8%である。別の具体的な実施形態では、約7日間以内のTTDの予測についてのPPVは、約78.3%(例えば、約78%)である。本方法はまた、例えば、少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のPPVを示す、約7日間以内のTTDを予測するための方法も包含することを察知されたい。ある種の態様では、7日間以内のTTDの予測についてのPPVは、約60%〜100%、約65%〜100%、約70%〜100%、約75%〜100%、または約80%〜100%の範囲である。
【0048】
他の態様では、本明細書で開示される方法は、約48時間以内のTTDの予測について、少なくとも約39%のPPVを示す。具体的な実施形態では、約48時間以内のTTDの予測についてのPPVは、45.5%である。本方法はまた、例えば、少なくとも約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のPPVを示す、約48時間以内のTTDを予測するための方法も包含することを察知されたい。ある種の態様では、本方法を使用する、約48時間以内のTTDの予測についてのPPVは、約39%〜100%、約40%〜100%、または約45〜100%の範囲である。
【0049】
ある種の態様では、本明細書で開示される方法に従う、TTDの予測についてのNPVは、約48時間、7日間、または14日間以内のTTDの予測について、少なくとも約90%(例えば、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)である。
【0050】
ある種の態様では、本明細書で開示される方法に従う、TTDの予測についてのSNは、約48時間、7日間、または14日間以内のTTDの予測について、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)である。
【0051】
ある種の態様では、本明細書で開示される方法に従う、TTDの予測についてのSPは、約48時間、7日間、または14日間以内のTTDの予測について、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)である。
【0052】
ある種の実施形態では、本方法は、約14日間以内のTTDの予測について、約90.9%のPPV、および/または約93.6%のNPV、および/または約80%のSN、および/または約97.3%のSPを示す診断検査を提供する。ある種の実施形態では、本方法は、約14日間以内のTTDの予測について、約91%のPPV、および/または約94%のNPV、および/または約80%のSN、および/または約97.3%のSPを示す診断検査を提供する。
【0053】
ある種の実施形態では、本方法は、約14日間以内のTTDの予測について、約87%のPPV、約93.6%のNPV、約80%のSN、および約96.1%のSPを示す診断検査を提供する。ある種の実施形態では、本方法は、約14日間以内のTTDの予測について、約87%のPPV、および/または約94%のNPV、および/または約80%のSN、および/または約96%のSPを示す診断検査を提供する。
【0054】
ある種の実施形態では、本方法は、約7日間以内のTTDの予測について、81.8%のPPV、97.4%のNPV、90%のSN、および95%のSPを示す診断検査を提供する。
【0055】
ある種の実施形態では、本方法は、約7日間以内のTTDの予測について、約78.3%のPPV、および/または約97.4%のNPV、および/または約90%のSN、および/または約93.8%のSPを示す診断検査を提供する。ある種の実施形態では、本方法は、約7日間以内のTTDの予測について、約78%のPPV、および/または約97%のNPV、および/または約90%のSN、および/または94%のSPを示す診断検査を提供する。
【0056】
ある種の実施形態では、本方法は、約48時間以内のTTDの予測について、約45.5%のPPV、約100%のNPV、約100%のSN、および約86.7%のSPを示す診断検査を提供する。
【0057】
上記の値および範囲は、例えば、下記の実施例2、表2および4に示される通り、信頼区間(例えば、95%の信頼区間)を含むように調整しうることを理解されたい。
【0058】
本明細書で開示される方法はまた、患者の(すなわち、妊婦の)早期分娩の危険性を決定するためにも有用である。本明細書では、早期分娩を、在胎週齢37週以前の分娩と定義する。本明細書で開示される方法に従って得られる陽性検査(すなわち、膣液試料中の所定の検出閾値のレベルまたはこれを上回るレベルにおけるPAMG−1の検出)は、患者に早期分娩の危険性があることを指し示す。ある種の実施形態では、患者が、以下の徴候:(i)20週〜36週6日の間の在胎週齢;および/または(ii)25mm以上の子宮頸管長;および/または(iii)3cm以下の子宮頸管拡張のうちの1または複数を示せば、患者を、早期分娩の危険性について検査するために選択する。
【0059】
本明細書で開示される方法はまた、例えば、早期の前期ROMなど、妊婦の絨毛羊膜の自然破裂(ROM)の危険性を決定するためにも有用である。自然ROMは、正常な陣痛過程の一部として生じることが典型的である。しかしまた、早期の前期ROM(例えば、在胎週齢37週に到達する前のROM)も生じうる。必要な場合に、適切な介入措置(例えば、妊娠を延長するための子宮収縮抑制剤の投与、胎児の呼吸器発生を改善するコルチコステロイドの投与、感染の危険性(分娩中および分娩後の)を低下させる抗生剤の投与、仰臥安静、ならびに/または観察の強化および胎児のモニタリングの処方)を講じうるように、早期の前期ROMを含む患者の自然ROMの危険性を決定することが可能なことは有利である。ある種の実施形態では、患者が、以下の徴候:(i)20週〜36週6日の間の在胎週齢;および/または(ii)25mm以上の子宮頸管長;および/または(iii)3cm以下の子宮頸管拡張のうちの1または複数を示せば、患者を、自然ROMの危険性について検査するために選択する。
【0060】
PAMG−1
PAMG−1は、1977年に、羊水から、D. Petruninにより単離され、元は胎盤特異的アルファ−1グロブリンと称された(D. Petruninら、「Immunological Identification of Organ Specific alpha-1 Globulin of Human Placenta and Its Content in the Amniotic Fluid」、Akusherstvo i Ginekologiya、1977、N 1、64〜65ページ、Moscow、USSR)。
【0061】
妊婦の羊水からのPAMG−1の単離の例示的なステップを、表1に概括し、下記で論じる。しかし、PAMG−1は、当技術分野で公知の任意の適切な方法に従い、任意の適切な供給源から単離しうることを理解されたい。
【0062】
【表1】
【0063】
PAMG−1は、在胎週齢16〜25週の女性の羊水から単離した。羊水は、医療上の考慮のために妊娠を終結させた女性から得た。塩化ランタンの10%溶液を、容量比20:1で(その最終濃度が0.5%となるように)、羊水へと添加し、4℃で18時間にわたり保存した。沈殿物を、8,000rpmで30分間にわたる遠心分離によりさらに分離した。沈殿物を、NaHPOの飽和溶液中に溶解させ、次いで、不溶性のランタン塩の沈殿物(8,000rpmで30分間にわたる遠心分離工程で生成する)を分離した。結果として得られる溶液を、4℃で18時間にわたりインキュベートすることにより、50%の飽和硫酸アンモニウムと共に画分化し、結果として得られる沈殿物を、溶解させた沈殿画分の容量を、初期の羊水容量へと戻すような様式で、蒸留水中に溶解させた。次いで、溶液を、60%の飽和硫酸リチウムにより沈殿させ、沈殿物を、少量の蒸留水中に溶解させた。透析の後、等容量の水分吸収剤をタンパク質溶液へと添加し、混合し、10〜15分間にわたりインキュベートし、遠心分離により吸収剤を分離することにより、混合物をピロリン酸カルシウムに吸着させた。
【0064】
PAMG−1の分子量は当初、32kDaと報告された(Boltovskaya, M. N.ら、「Histochemical and Clinico-Diagnostic Study of the Placental Alpha-Microglobulin [PAMG-1] Using Monoclonal Antibodies」、Bulletin of Experimental. Biology and Medicine、1991、10号、397〜400ページ)が、今日では一般に、PAMG−1の分子量は34kDaであることが許容されている(例えば、Pollet-Villardら(Amer J Perinatol、2011年6月;28(6):489〜94)を参照されたい)。PAMG−1とは、妊婦の血清中、羊水中、および膣分泌物中に存在するタンパク質である。PAMG−1は、胎膜破裂の非存在下では、妊婦の血清中の少なくとも約100倍の濃度および妊婦の膣分泌物中の少なくとも3000倍の濃度で羊水中に存在する。結果として、少量の羊水(膣分泌物1ml当たり1滴の約100分の1)が膣分泌物試料中に溶解している場合であってもなお、この膣分泌物試料中には、胎膜破裂が生じたことを指し示すのに十分な量のPAMG−1が存在する。さらに、血清中のPAMG−1濃度が低いために、血清の膣液試料へのわずかな混合(10〜15%)があっても、本開示のデバイスおよび方法によりもたらされる結果には影響が及ばない。ROMを診断するためのPAMG−1の検出は、例えば、28kDaのタンパク質であるIGFBP−1など、他の羊膜タンパク質の検出より優れていることが示されている(Pollet-Villardら(前出)およびEuropean Guidelines on preterm labor(The Journal of Maternal-Fetal and Neonatal Medicine、2011、オンライン先行版、1〜9)を参照されたい)。
【0065】
膣分泌物中の羊水の存在は、胎膜破裂を示しうるため、膣分泌物中の、羊膜タンパク質であるPAMG−1の検出を使用して、胎膜破裂を検出することができる。しかし、本明細書では、TTDを正確に予測する、検出可能なROMの非存在下であってもなお、本明細書で開示される方法を使用して、PAMG−1の検出閾値を約4ng/mlへと調整することにより、膣分泌物中のPAMG−1を検出しうることが発見されている。理論に束縛されたり、任意の1つの特定の作用機構に限定されたりすることを意図するわけではないが、PAMG−1は、分娩が差し迫っている(すなわち、例えば、14日間、7日間、または48時間以内に生じる)場合に生じる子宮収縮時に、胎膜内の絨毛羊膜孔を介して滲出すると考えられる。陣痛および/または感染の炎症性過程に起因する胎膜の細胞外マトリックスの分解はまた、頸膣分泌物中のPAMG−1レベルの上昇の所見ももたらす。
【0066】
PAMG−1抗体
本明細書で開示される方法は、妊婦から得られた膣分泌物試料中のPAMG−1タンパク質の存在を検出するステップを包含する。PAMG−1タンパク質は、当技術分野で公知の任意の適切な方法に従い検出することができる。
【0067】
膣液試料中のPAMG−1を検出するための例示的な方法は、例えば、本明細書で記載されるPAMG−1特異的抗体(例えば、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片)を使用するイムノアッセイ(例えば、ELISA)を含むがこれらに限定されない。
【0068】
本明細書で開示されるPAMG−1抗体は、極低濃度のPAMG−1を検出しうる。例えば、0.05ng/mlの濃度のPAMG−1を検出することができる。羊水中の約1680ng/mlの最小濃度と比較して、血清中のPAMG−1の最大濃度は約25ng/mlであり、膣分泌物中のPAMG−1のバックグラウンド濃度は約0.2ng/mlと極めて低いため、膣内の羊水の発生を検出するための本開示の方法では、PAMG−1のために、低い閾値レベルを使用することができる。本明細書では、本明細書で開示される方法において、PAMG−1のための約4ng/mlの所定の閾値を使用しうることが発見されている。
【0069】
結果として、本開示のデバイスおよび方法は、胎膜破裂を検出するための既往の方法の精度に対して負の影響を及ぼしてきた膣炎または他の変数の存在の影響を受けない。炎症滲出物中のPAMG−1の最大濃度は、3ng/mlである(例えば、Fuksらによる米国特許第7,709,272号を参照されたい)。血清の膣分泌物への混合が10〜15%を超えない場合、同じPAMG−1濃度が生じうる。加えて、PAMG−1の血清濃度の羊膜濃度に対する比が大きければ、PAMG−1検出閾値が低くてもなお、本開示のデバイスおよび方法が、膣分泌物中の血清の存在のために偽陽性結果をもたらす可能性は著明に低くなる。
【0070】
本開示は、約4ng/mlのPAMG−1検出閾値でTTDを予測するための方法およびデバイスを提示する。検出閾値は、PAMG−1結合性抗体の組合せが所望の検出閾値をもたらすように、PAMG−1に対する特異的結合アフィニティーを伴うPAMG−1抗体(例えば、PAMG−1結合性抗体の対)を選択することにより調整することができる。検出閾値はまた、例えば、検査領域(例えば、図1および2中の検査領域14)内の、PAMG−1に対する、少なくとも1または複数のさらなる抗体を使用して、所定の検出閾値を調整することによって調整する(Fuksらによる米国特許第7,709,272号を参照されたい)こともでき、下記で詳細に論じられる通り、検査手順を調整することによって調整することもできる。
【0071】
体液から分離されるか、組換えにより作製されるか、または化学合成により作製されたPAMG−1ポリペプチド、およびその断片または融合タンパク質を含む他の誘導体もしくは類似体を、PAMG−1ポリペプチドを認識する抗体を生成させる免疫原として使用することができる。本明細書で開示される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスの免疫グロブリン重鎖を含みうる。PAMG−1抗体は、重鎖および軽鎖の両方を有しうる。
【0072】
それらが、所望の活性、例えば、PAMG−1への結合を呈示する限りにおいて、抗体(全長抗体を含む)、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体、および抗体断片、例えば、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによりもたらされる断片、上記のうちのいずれかのエピトープ結合性断片、および抗体の操作形態、例えば、scFv分子を使用して、本明細書で開示される方法を実施することができる。例えば、本明細書で開示される抗PAMG−1抗体は、1または複数の異なる哺乳動物種に由来するPAMG−1を認識する場合がある。代替的に、本明細書で開示される抗体は、PAMG−1の単一の形態に特異的な場合もある。ある種の実施形態では、抗PAMG−1抗体は、ヒトPAMG−1に特異的である。
【0073】
エピトープは、連続アミノ酸から形成される場合もあり、タンパク質の三次フォールディングにより並置される非連続アミノ酸から形成される場合もある。連続アミノ酸から形成されるエピトープが、変性溶媒へと曝露されても保持されることが典型的であるのに対し、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、変性溶媒で処理されると失われることが典型的である。エピトープは、固有の空間的コンフォメーション内に、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸を含むことが典型的である。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法は、例えば、X線結晶構造解析および二次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、66巻、G. E. Morris編(1996)を参照されたい。
【0074】
同じエピトープまたは重複エピトープを認識する抗体は、別の抗体の標的抗原への結合を遮断する1つの抗体の能力を示す簡単なイムノアッセイ、すなわち、競合的結合アッセイにより同定することができる。競合的結合は、被験結合性分子が、基準結合性分子の、PAMG−1など、共通の抗原への特異的結合を阻害するアッセイにより決定する。例えば、固相直接ラジオイムノアッセイ(RIA)または固相間接ラジオイムノアッセイ;固相直接酵素イムノアッセイ(EIA)または固相間接酵素イムノアッセイ;サンドイッチ競合アッセイ(Stahliら、Methods in Enzymology、9:242(1983)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Kirklandら、J. Immunol. 137:3614(1986)を参照されたい);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1988)を参照されたい);I−125標識を使用する固相直接標識RIA(Morelら、Mol. Immunol.、25(1):7(1988)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheungら、Virology、176:546(1990));および直接標識RIA(Moldenhauerら、Scand. J. Immunol. 32:77(1990))など、多数の種類の競合的結合アッセイが公知である。
【0075】
このようなアッセイは、標識されていない被験結合性分子および標識された基準結合性分子のうちのいずれかを保有する固体表面または細胞へと結合させた精製抗原の使用を伴うことが典型的である。競合的阻害は、被験結合性分子の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することにより測定する。通例、被験結合性分子は、過剰に存在する。通例、競合する結合性分子が過剰に存在すると、それは、基準結合性分子の共通の抗原への特異的結合を、少なくとも50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%以上阻害するであろう。
【0076】
PAMG−1ポリペプチドまたはその誘導体もしくは類似体に対するポリクローナル抗体を作製するために、当技術分野で公知の多様な手順を使用することができる。抗体を作製するために、PAMG−1ポリペプチドまたはその誘導体(例えば、断片または融合タンパク質)を伴う注射により、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどを含むがこれらに限定されない、多様な宿主動物を免疫化することができる。一実施形態では、PAMG−1ポリペプチドまたはその断片を、免疫原性担体、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはスカシガイヘモシアニン(KLH)へとコンジュゲートさせることができる。宿主種に応じ、フロイントアジュバント(完全アジュバントおよび不完全アジュバント)、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リソレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、スカシガイヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG(カルメット−ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルヴム(Corynebacterium parvum)など、潜在的に有用なヒトアジュバントを含むがこれらに限定されない、多様なアジュバントを使用して、免疫応答を増大させることができる。
【0077】
PAMG−1ポリペプチド、またはその断片、類似体、もしくは誘導体を指向するモノクローナル抗体を調製するために、培養物中の連続細胞系による抗体分子の産生をもたらす任意の技法を使用することができる。これらは、元はKohlerおよびMilstein(Nature、1975、256:495〜497))により開発されたハイブリドーマ法のほか、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら、Immunology Today 1983、4:72; Coteら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1983、80:2026〜2030)、およびヒトモノクローナル抗体をもたらすEBVハイブリドーマ法(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、Inc.、77〜96ページ、1985)を含むがこれらに限定されない。本開示のさらなる実施形態では、モノクローナル抗体を無菌動物に産生させることができる(1989年12月28日に公開された、国際特許公開第WO89/12690号)。実際、本開示に従う、PAMG−1ポリペプチドに特異的なマウス抗体分子に由来する遺伝子を、適切な生物活性を有するヒト抗体分子に由来する遺伝子と併せてスプライシングすることにより、「キメラ抗体」を作製するために開発された技法(Morrisonら、J. Bacteriol. 1984、159:870; Neubergerら、Nature 1984、312:604〜608; Takedaら、1985、Nature 314:452〜454)を使用することができ、このような抗体は、本開示の範囲内にある。このようなヒトキメラ抗体またはヒト化キメラ抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体は、異種抗体より、それ自体が免疫応答、特に、アレルギー応答を誘導する可能性がはるかに低いので、ヒト疾患またはヒト障害(後出で記載する)の治療における使用のために好ましい。
【0078】
本開示に従い、単鎖抗体を作製するための、記載された技法(Hustonによる米国特許第5,476,786号および同第5,132,405号;米国特許第4,946,778号)は、PAMG−1ポリペプチド特異的単鎖抗体をもたらすように適合させることができる。実際、これらの遺伝子は、in vivoにおいて発現させるために送達することができる。本開示のさらなる実施形態では、Fab発現ライブラリーを構築するための、記載された技法(Huseら、Science 1989、246:1275〜1281)を活用して、PAMG−1ポリペプチドまたはその誘導体もしくは類似体に対する所望の特異度を伴うモノクローナルFab断片の迅速で容易な同定を可能とする。
【0079】
抗体分子のイディオタイプを含有する抗体断片は、公知の技法により作製することができる。例えば、このような断片は、抗体分子をペプシン消化することにより作製しうるF(ab)断片;F(ab)断片のジスルフィド架橋を還元することにより作製しうるFab断片;および抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより作製しうるFab断片を含むがこれらに限定されない。
【0080】
抗体を作製するとき、所望の抗体についてのスクリーニングは、当技術分野で公知の技法、例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、in situイムノアッセイ(例えば、金コロイド、酵素、または放射性同位元素標識を使用する)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、ヘマグルチニンアッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどにより達成することができる。一実施形態では、抗体の結合は、一次抗体上の標識を検出することにより検出する。別の実施形態では、一次抗体は、二次抗体または試薬の一次抗体への結合を検出することにより検出する。さらなる実施形態では、二次抗体を標識する。当技術分野では、イムノアッセイにおける結合を検出するための多くの手段が公知であり、本開示の範囲内にある。例えば、PAMG−1ポリペプチドの具体的なエピトープを認識する抗体を選択するには、作製されたハイブリドーマを、このようなエピトープを含有するPAMG−1ポリペプチド断片に結合する産物についてアッセイすることができる。特定の動物種に由来するPAMG−1ポリペプチドに特異的な抗体を選択するためには、その動物種の細胞が発現させたかまたはその動物種から単離されたPAMG−1ポリペプチドとの正の結合に基づいて選択することができる。
【0081】
本明細書で開示されるある種の態様では、本明細書で開示されるPAMG−1特異的モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマN271により作製され、ロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)寄託機関に寄託され、受託番号VKPM−93を割り当てられたM271;ハイブリドーマN52により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−92を割り当てられたM52;およびハイブリドーマN42により作製され、VKPMに寄託され、受託番号VKPM−94を割り当てられたM42でありうる。これらのPAMG−1特異的モノクローナル抗体の結合特性および他の特徴は、Fuksらによる米国特許第7,709,272号において詳細に開示されている。例えば、上記で開示されたPAMG−1特異的抗体などのPAMG−1特異的抗体を産生するハイブリドーマ細胞系は、以下の手順により作製することができる。まず、脾臓B細胞およびリンパ節B細胞を有するマウスを、PAMG−1で免疫化する。次いで、ハイブリドーマを作製して、B細胞を不死化させる。B細胞は、脾臓B細胞の場合もあり、かつ/またはリンパ節B細胞の場合もある。次いで、PAMG−1に対する結合アフィニティーを有するモノクローナル抗体を産生するこれらのハイブリドーマを、ELISA:第1層:PAMG−1;第2層:ハイブリドーマ上清;および第3層:西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたウサギ抗マウス抗体のコンジュゲートにより同定する。次いで、これらの同定されたハイブリドーマを、in vitroの腹水中で培養し、それらがもたらすモノクローナル抗体を単離する。
【0082】
本明細書で開示される、2つ以上のPAMG−1特異的抗体(例えば、モノクローナル抗体)を組合せで使用して、膣液試料中のPAMG−1を検出することができる。ある種の実施形態では、本明細書で開示される方法で使用される抗体のうちの少なくとも1つは、検出可能な形で標識する。染色粒子、酵素、蛍光色素、および放射性同位体を含むがこれらに限定されない、様々な検出可能マーカーを使用することができる。検出可能マーカーの1つの特定の例は、平均の大きさが20〜30nmの範囲の金染色粒子である。検出可能マーカーの別の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。検出可能マーカーを抗体へと接合させるための方法は、例えば、Methods In Enzymology、1981、73巻、3〜46ページ、Harlow、E.、およびLane, D.、「Antibodies a Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、1988、322、323、および343ページ;ならびにPierce Catalog、T9〜T17ページ(1996)において記載されている。適切な酵素は、アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼを含むがこれらに限定されない。本開示に従う使用のための他のマーカーまたは標識は、金コロイド、有色ラテックスビーズ、磁気ビーズ、蛍光標識(少数のフルオロフォアを挙げれば、例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フィコエリトリン(PE)、Texas red(TR)、ローダミン、遊離ランタナイド系列塩またはキレート化ランタナイド系列塩、とりわけ、Eu3+)、化学発光分子、放射性同位体(125I、32P、35S、キレート化Tcなど)、または磁気共鳴イメージング標識を含む。他のマーカーは、例えば、ホモジニアスアッセイならびに固相アッセイにおいて使用される、蛍光消光マーカーおよび蛍光移動マーカーを含む。さらに、本開示に従い、マーカーは、エピトープ、結合パートナー、またはビオチン−ストレプトアビジン;グルタチオン−GST;ヘキサヒスチジン−ニッケルなど、別の分子との相互作用のための「ハンドル」でもありうる。本開示はまた、それ自体マーカーとして検出可能な形で標識された二次抗体の使用(例えば、抗PAMG−1抗体対により、Fc部分が2つの異なる動物種に由来する抗体を使用する状況における)も想定する。
【0083】
本明細書で開示される抗体は、移動可能な(例えば、流体試料の導入時に移動することが可能である(例えば、フローデバイス内で))場合もあり、かつ/または固定化されている(例えば、ストリップデバイスの検査領域内に)場合もある。当技術分野では、抗体を固定化するための方法が周知である。
【0084】
PAMG−1の検出
イムノアッセイ、特に、免疫クロマトグラフィーアッセイは、本開示に従う好ましい技法を構成するが、イムノアッセイを、下記に詳細に示す。これらのアッセイは、特異度、精度、速度、および費用効率の利点を有する。しかしまた、PAMG−1を検出し、定量化するための他の方法も使用することができる。1つのこのような技法は、例えば、飛行時間チャンバー内の抽出の遅延およびリフレクトロンを伴う、マトリックス支援レーザー脱着(MALDI)飛行時間(TOF)質量分析(MS)を使用する質量分析である。MALDIアッセイは、ケイ素アレイ上で実施することが好ましい。MALDIのためのアレイの例は、酸化ケイ素上の、350μmの中央部における、200μmの円形ゲルパッドである。ゲルパッドの間の疎水性表面(反発表面)は、MALDIのために、よりフォーカスされたマトリックス/タンパク質スポットをさらにもたらし、これにより、定量化のためのシグナルを改善する。例えば、Packard Bioscienceシステムを使用して作製されるスポットは、200μm未満の直径でありうる。Piezoシステムは、約300pLのMALDIマトリックス(例えば、DHB、シナピン酸)を、アフィニティー捕捉剤−ペプチドスポットの正確な位置へと送達して、均一なペプチド/マトリックス結晶を創出しうる。MALDI−MS(例えば、Perseptive Voyager)によるこの結晶からの脱着/イオン化(Karasら、Ion Processes、1987、78巻、53〜68ページ;またはZenobiら、Mass Spectrom. Rev. 1998、17巻、337〜366ページ)により、ペプチドピークの高さが、このペプチドを含有するタンパク質の量に照らした高さである、質量スペクトルがもたらされる。
【0085】
本明細書で開示される方法における使用のための代替的な技法は、少量の試料中に存在する解析物の定量化を許容しうる、キャピラリー電気泳動クロマトグラフィーである。
【0086】
さらに、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィーなどの定量的生化学法も、単独または組合せで援用して、試料中のPAMG−1を検出し、その量を定量化することができる。
【0087】
本明細書で開示される方法により包含される、例示的なPAMG−1特異的抗体を使用するこのようなイムノアッセイは、Fuksらによる米国特許第7,709,272号において、詳細に記載されている。
【0088】
PAMG−1を検出するための免疫学的方法および免疫学的デバイス
抗体の抗原への免疫特異的結合を検出するための、当技術分野で公知の多様な手段を使用して、本開示に従う結合を検出することができる。複合体の解析に関与する、抗原と抗体との間の相互作用を検出する初期の方法は、ゲル内の沈殿を介する方法である。解析物検出抗体の結合対を検出するさらなる方法は、放射性ヨード化された検出抗体またはプロテインAなど、IgGと反応性である、放射性ヨード化されたタンパク質の使用を含む。Methods in Enzymology、1980、70巻、166〜198ページにおいて総説されている通り、当業者には、これらの初期の方法が周知である。本明細書で開示されるPROMについての閾値を上回る陽性結果をもたらす抗体および条件を選択することにより、この技術を、本明細書で開示される方法の実施において援用することができる。
【0089】
1つの抗体だけを使用して試料中の解析物の存在を決定するための後期の方法は、競合的結合アッセイを含んだ。この技法では、固体支持体へと固定化されることが最も多い抗体が、公知量の標識解析物と併せて解析物を含有することが疑われる試料へと曝露されるであろう。次いで、試料中の標識解析物および解析物の2つの解析物は、抗体上の結合部位について競合するであろう。遊離標識解析物または結合した標識解析物を決定し、この測定から試料中の競合解析物の量を知る。この方法についてのより完全な記載は、「Basic Principles of Antigen-Antibody Reaction」、Elvin A. Labat、(Methods in Enzymology、70、3〜70、1980)において開示されている。この例では、標識解析物は、放射性同位元素標識で標識することもでき、酵素標識で標識することもできる。
【0090】
より新式のイムノアッセイでは、解析物の存在を検出するための二重抗体法を使用する。これらの技法はまた、Methods in Enzymologyの上記で参照された巻においても総説されている。したがって、本開示の一実施形態に従い、検出されるマーカーの各々に対する抗体の対を使用して、個々のマーカーの存在を決定する。本明細書では、前記抗体の対のうちの一方を「検出抗体」と称し、前記抗体の対のうちの他方を「捕捉抗体」と称する。したがって、本開示の一実施形態では、膣液試料中のPAMG−1を検出するために、二重抗体サンドイッチ法を使用する。この方法では、解析物を、検出抗体と捕捉抗体との間にサンドイッチし、捕捉抗体を、固体支持体へと不可逆的に固定化する。検出抗体は、抗体−解析物サンドイッチの存在を同定し、したがって、解析物の存在を同定するために、検出可能な標識を含有する。
【0091】
固体支持体の共通の初期形態は、ラジオイムノアッセイおよび酵素イムノアッセイの分野ではそれらの全てが周知である、ポリスチレンプレート、ポリスチレンチューブ、またはポリスチレンビーズを含む。より最近では、ナイロンなどの多数の多孔性材料、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラスファイバー、および他の多孔性ポリマーも、固体支持体として援用されている。
【0092】
したがって、具体的な実施形態では、本開示のデバイスは、免疫クロマトグラフィーアッセイを実行するための手段を含む(「免疫クロマトグラフィーアッセイデバイス」)。このようなデバイスは、液体を誘導するための固相手段を含む。本明細書で使用される「液体を誘導するための固相手段」という用語は、例えば、毛細管作用を介して、それを通る液体の移動を可能とする固体支持体を指す。この性質を有する典型的な生成物は、当業者に周知の方法で調製されうるニトロセルロース膜である。
【0093】
当技術分野では、多くの免疫クロマトグラフィーアッセイ手段および免疫クロマトグラフィーアッセイフォーマットが公知であり、本明細書で開示される方法を実施するのに使用することができる。臨床検査室における使用および代替的な、すなわち、検査室以外の施設検査における使用のための、ディップスティックデバイス内またはフロースルーデバイス内で膜を固体支持体として使用する免疫クロマトグラフィーアッセイは、十分に確立されている。免疫クロマトグラフィーアッセイデバイスのための通例の提示物は、プラスチックホルダー内に封入された膜(セルロースまたは非セルロース)である。プラスチックホルダーは、デバイス全体の適正な機能を確保するために、膜を適切な立体配置に保つ。アッセイデバイスの基本構造には、多くの変化形が見られる。例えば、Litmanら(米国特許第5,156,952号および同第5,030,558号)は、試料中の最小量の解析物の存在を決定するためのアッセイ法およびアッセイデバイスについて記載している。Ullmanら(米国特許第5,137,808号および同第4,857,453号)は、アッセイ膜を格納するデバイスであって、試料の流動の一助となる内臓液体試薬を含むデバイスについて記載している。Daffornら(米国特許第4,981,768号)は、試料および追加の液体を適用するためのポートを伴うデバイスについて記載している。Cortiら(欧州特許出願第89118378.2号)、Greenquistら(米国特許第4,806,312号)、およびBergerら(米国特許第5,114,673号)もまた、アッセイデバイスについて記載している。
【0094】
好ましくは、免疫クロマトグラフィーアッセイ手段は、アッセイが適正に進行していることを指し示す対照を含む。対照は、解析物の存在下または非存在下で標識試薬に結合する検出ゾーンより、固相支持体上の試料適用点から遠位のスポットにおける特異的結合反応物であり、したがって、移動可能な受容体が、液体試料と共に、有意味な結果をもたらすのに十分な距離を移動したことを指し示しうる。
【0095】
免疫クロマトグラフィーアッセイにおける使用のための適切な標識は、酵素、フルオロフォア、クロモフォア、放射性同位体、色素、金コロイド、コロイド状炭素、ラテックス粒子、および化学発光薬剤を含む。対照マーカーを援用する場合、受容体マーカーおよび対照マーカーのために、同じ標識を使用することもでき、異なる標識を使用することもできる。
【0096】
本開示の一実施形態では、フロースルー型のイムノアッセイデバイスを使用する。Valkirsら(米国特許第4,632,901号)は、抗原解析物に特異的な抗体であって、液体試料が添加される多孔性膜またはフィルターへと結合させた抗体を含むデバイスについて開示している。液体が膜を通って流動するにつれて、標的解析物は、抗体に結合する。試料の添加に続いて、標識抗体を添加する。標識抗体の視覚的検出は、試料中の標的解析物の存在についての指標をもたらす。
【0097】
Kromerら(EP−A0229359)は、フロースルーデバイスの別の例について開示しており、マトリックスの下方に配置された反応マトリックスへと送達するための試薬の溶解速度を制御するために、水溶性ポリマー中に分散させた、試薬またはその成分で飽和させたマトリックスを含む試薬送達系について記載している。
【0098】
移動型のアッセイでは、固相支持体、例えば、膜に、アッセイを実施するのに必要とされる試薬を含浸させる。標識解析物を結合させ、アッセイの結果を読み取る、解析物検出ゾーンを備える。例えば、Tomら(米国特許第4,366,241号)およびZuk(EP−A0143574)を参照されたい。移動アッセイデバイスは通例、それらの中に、金コロイドまたはコロイド状炭素などの有色標識へと接合させた試薬を組み込み、これにより、さらなる物質の添加を伴わずに、アッセイ結果の目視可能な検出を可能とする。例えば、Bernstein(米国特許第4,770,853号)、Mayら(WO88/08534)、およびChingら(EP−A0299428)を参照されたい。これらの公知の種類のフロースルーデバイスの全ては、本明細書で開示される方法に従い、使用することができる。
【0099】
直接標識は、本開示に従う免疫クロマトグラフィーアッセイにおいて使用しうる標識の一例である。直接標識は、その天然状態において、肉眼にたやすく目視可能であるか、または光学フィルターおよび/または蛍光を誘発する刺激、例えば、U.V.光の適用を一助として目視可能である実体と定義されている。本開示に従い使用しうる有色標識の例は、金属ゾル粒子、例えば、Leuvering(米国特許第4,313,734号)により記載されている金ゾル粒子などの金ゾル粒子;Gribnauら(米国特許第4,373,932号)およびMayら(WO88/08534)により記載されている色素ゾル粒子などの色素ゾル粒子;May、前出、Snyder(EP−A0280559および同0281327)により記載されている着色ラテックスなどの着色ラテックス;またはCampbellら(米国特許第4,703,017号)により記載されている、リポソーム内に封入された色素を含む。他の直接標識は、放射性核種、蛍光部分、または発光部分を含む。これらの直接標識化デバイスに加えてまた、酵素を含む間接標識も、本開示に従い使用することができる。当技術分野では、多様な種類の酵素免疫測定アッセイ、例えば、アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼ、リゾチーム、ブドウ糖−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼを使用するアッセイが周知であり、これらのアッセイおよび他のアッセイは、Eva Engvall、Enzyme Immunoassay ELISA and EMIT、Methods in Enzymology、70、419〜439、1980;および米国特許第4,857,453号により詳細に論じられている。
【0100】
具体的な実施形態では、本開示の診断デバイスは、試料の導入点に対して近位の検出セクションおよびその位置から下流の捕捉セクションを有する膜アセンブリーを含む。検出セクションは、試料中に存在する、本開示の任意の解析物と反応する抗体(検出抗体)(例えば、モノクローナル抗体)を含有する。検出抗体は、膜へと可逆的に固定化されており、使用時には、試料と共に移動するであろう。不可欠ではないが、検出抗体を、例えば、放射性核種、酵素、蛍光部分、発光部分、または先行技術で記載されており、上記で論じた有色標識などの有色標識で標識することが好ましい。具体的には、例えば、抗体が、抗原を捕捉する前は金色を呈し、捕捉すると紫色へと変化するように、反応性標識を援用しうるであろう。
【0101】
前述の通り、検出セクションから下流にある捕捉セクションは、固体支持体へと不可逆的に固定化された捕捉抗体(例えば、モノクローナル抗体)を含み、各抗体は、捕捉セクション内の異なる位置に固定化されている。抗体および必要な試薬は、以前に論じたフロースルー型のイムノアッセイデバイスにおいて論じた通り、当技術分野で認識されている基準物質技法を使用して、固体支持体へと固定化する。一般に、抗体は、非極性タンパク質の亜構造と、非極性支持体マトリックス材料との間の疎水性相互作用の結果として、固体支持体へと吸着させる。
【0102】
本開示の免疫クロマトグラフィーアッセイ技術の特定の利点は、これらのアッセイが定量的データをもたらすことができない欠点を克服することである。したがって、捕捉セクションは、試料中のPAMG−1の量が、所望の検出閾値を超える場合に限り、シグナルを発生させるように、固定化されたPAMG−1に特異的な抗体の混合物を含有しうる。
【0103】
加えて、本開示は、ホモジニアスイムノアッセイフォーマットの使用も想定する。このような競合的ホモジニアス法の一例は、リガンドと、酵素を結合させたリガンドとが、抗体の結合部位について競合する技法について記載している、RubensteinおよびUllmanによる米国特許第3,817,837号において見出される。抗体の、酵素を結合させたリガンドへの結合は、その酵素活性を変化させるので、このような混合物が、基質を生成物へと転換する速度を測定することにより、存在するリガンドの濃度を推定することができる。したがって、ホモジニアス法では、標識の検出可能な特性は、結合したのか結合していないのかに応じて固有な形で異なる。その結合した状態では、標識のシグナル強度は強くなったり弱くなったりするであろう。通例、例えば、標識が酵素である場合、抗体の標識リガンドへの結合は、シグナル強度の低下を引き起こす。この範疇内の典型的な製品は、Syva Company製の酵素イムノアッセイEMITシリーズおよびAbbott Diagnostics製の蛍光偏光イムノアッセイTDXシリーズを含む。特定のホモジニアスアッセイは、解析物の全てをビーズ上に沈着させることにより調製することができ、その場合は、試料を導入し、その後、ビーズをスピンダウンし、検出することになろう。
【0104】
本開示に従い使用しうる生体診断デバイスの他の例は、P.B.Diagnostics Systems,Inc.のG. Grennerにより、米国特許第4,906,439号および同第4,918,025号において記載されているデバイスを含む。Grennerによる439号デバイスは、診断検査エレメントと、試料を検査エレメントへと送達するための複数のグルーブを伴う層を有するエレメントとして特徴付けられる流体送達エレメントを含む試料適用ユニットとを含む。Grennerによる025号は、それに隣接して、固定された試薬および廃液レザバーを含有する毛細管が配置された膜などの試料導入手段を含むデバイスに関する。デバイスが自己完結するように、試料を貯留させ、余剰の液体を廃液レザバーで保持した後の、毛細管からの固定された試薬の放出により、反応が完成する。
【0105】
膜による測定が好ましいが、他の技法および対応するセンサーデバイスもまた上記と同様の様式で使用しうることを理解されたい。現在のところ、多数の試料についてのアッセイを共時的に企図しうる、複数種類の自動式アッセイ装置が利用可能である。これらの自動式アッセイ装置は、連続/ランダムアクセスアッセイ装置を含む。このようなシステムの例は、PB Diagnostic System,Inc.のOPUS(商標)および1988年にAbbott Laboratories、North Chicago、Ill.により導入されたIMX(商標) Analyzerを含む。一般に、被験流体試料は、試料カップ内に供給されることが典型的であり、アッセイ検査エレメントへの試料のピペッティング、インキュベーション、および得られたシグナルの読取りを含む全ての工程ステップは、自動的に実行される。自動式アッセイシステムは一般に、それらの各々が、検査手順内のステップのうちの1つを実施する一連のワークステーションを含む。アッセイエレメントは、1つのワークステーションから次のワークステーションへと、カルーセルまたは可動式のラックなどの多様な手段で輸送して、検査ステップを逐次的に達成することを可能とすることができる。アッセイエレメントはまた、試薬を貯蔵し、流体を混合し、試料などを希釈するなどのためのレザバーも含みうる。アッセイエレメントはまた、所定量の流体試料の投入を許容し、必要な場合に、他の任意の要求される試薬の多孔性膜への投入を許容する開口部も含みうる。試料エレメントはまた、工程ステップの結果として得られた、典型的には、多孔性膜上に存在する試薬の蛍光変化または比色変化であるシグナルを、アッセイシステム内に組み入れられた分光器または蛍光光度計などにより読み取ることを可能とするウィンドウも含みうる。PB Diagnostic Systems,Inc.の自動式アッセイ計器は、米国特許第5,051,237号;同第5,138,868号;同第5,141,871号;および同第5,147,609号において記載されている。
【0106】
本明細書で開示される方法を実施するのに使用しうる、免疫化学解析器システムのさらなるクラスは、バイオセンサーシステムまたは光学イムノセンサーシステムである。一般に、光学バイオセンサーとは、対象の化学的濃度もしくは化学的活性または生化学的濃度もしくは生化学的活性を、電気シグナルへと定量的に変換する光学原理を使用するデバイスである。これらのシステムは、4つの主要な範疇:反射法;表面プラズモン共鳴;光ファイバー法;および集積光学デバイスへと群分けすることができる。反射法は、偏光解析法、多重内部反射分光法、および蛍光キャピラリー充填デバイスを含む。光ファイバー法は、エバネッセント場蛍光センサー、光ファイバーキャピラリーチューブセンサー、および光ファイバー蛍光センサーを含む。集積光学デバイスは、平面状エバネッセント場蛍光センサー、入力グレーディングカプラーイムノセンサー、マッハ−ツェンダー干渉計センサー、ハルトマン干渉計センサー、および位相差干渉計センサーを含む。結合反応のホログラフィーによる検出は、結合性対の一方の反応物が、結合対の固定化された第2の反応物に結合する場合に、所定の画像位置において作成されるホログラフィー画像の存在を検出することにより達成する(1994年10月4日に出願された、Lichtenwalterらによる米国特許第5,352,582号を参照されたい)。光学イムノセンサーの例は、G. A. Robins(Advances in Biosensors、1巻、229〜256ページ、1991)による総説において一般に記載されている。これらのデバイスについてのより具体的な記載は、例えば、米国特許第4,810,658号;同第4,978,503号;および同第5,186,897号;R. A. Bradyら(Phil. Trans. R. Soc. Land. B 316、143〜160、1987)およびG. A. Robinsonら(Sensors and Actuators、Elsevier、1992)において見出される。
【0107】
本開示の方法および対応するキットは、様々な光学測定システム内への組込みおよび様々な光学測定システム内での実施が可能である。具体的に、本開示のキットおよび材料は、イムノアッセイフォーマットで実施しうるが、このようなフォーマット自体の、様々な光学電気検出システム内での具体化も可能である。より特定すれば、本明細書で開示される方法の実施において容易とされ、実装されうる、様々な光学イムノセンサー技術が既に公知である。したがって、例えば、反射法、表面プラズモン共鳴、光ファイバー導波管法、および集積光学デバイスなどのデバイスおよび技法は全て、本方法に従う患者の生体試料の検査の結果を検出し、提示するように採用し、具体的に構成することができる。反射光測定および偏光解析法など、特定の反射法、ならびに光ファイバー、光学導波管、蛍光キャピラリー充填デバイス、および集積光学バイオセンサーの具体的使用が提示されているが、いくつかの変化形の技法および装置も援用することができる。これらのデバイスについての一般的な総説は、Robinson, G. A.、Optical Immunosensors: An Overview, Advances in Biosensors、1巻、229〜256ページ(1991)において見出すことができる。
【0108】
より特定すれば、偏光解析法は、まず、基準表面(基準物質)に対する偏光ビームの方向に依拠し、その後、試料表面に対する偏光ビームの方向に依拠し、続いて、結果として得られる反射の性質および程度の比較を行うことができる。特に、解析物の受容体分子への結合は、表面の厚さの、基準表面に照らした変化として測定されよう。
【0109】
多重内部反射分光法の場合、例えば、リガンドおよびその受容体は、平面状の石英ガラス導波管の光学表面上に共有結合的に固定化することができ、この後、光ビームは、導波管内で内部反射される可能性があり、基準物質と試料との間で屈折率差を測定することが可能となるように、導波管に隣接する溶液中を透過するであろう。この特定のフォーマットでは、蛍光標識を会合させることができ、蛍光を測定する結果として、存在する結合の程度を決定することができる。
【0110】
さらなる技法では、蛍光キャピラリー充填デバイスとして公知の技術を活用する。 この特定の技術では、毛細管径の間隔だけ隔てて保持された2枚のガラスプレートを活用する。受容体分子は、光学導波管としてもまた作用する、基部プレートへと固定化することができる。FITC標識化を活用する競合アッセイまたはサンドイッチアッセイを実施することができ、誘導された蛍光を、結合していない蛍光源に由来するシグナルと対比された、結合した蛍光源に由来するシグナルと共に、導波管へとカップリングする。このようなシグナルを、出射導波管上のその角発散により弁別する。また、金属薄膜上に入射する光の、金属薄膜内の集合電子振動と関連する表面モードへのカップリングに応答して作動する、表面プラズモン共鳴(SPR)デバイスも調製されている。共鳴状態は、金属薄膜の光学特徴、その厚さ、そのいずれかの側の誘電体の屈折率、および光の入射角に依存する。受容体分子を、金属薄膜の表側へと結合させ、プリズム基質などを介して、光を薄膜の裏側に方向付ける。標的解析物は、これらの受容体へと結合すると、それがもたらす局所的な屈折率の変化のために、共鳴状態のシフトを引き起こすであろう。共鳴は、金属薄膜表面上の光ビームの入射角を変化させるときの、反射される光の強度をモニタリングすることにより観察する。共鳴角の変化は、結合した解析物の量と直接相関する。
【0111】
光ファイバーシステムを伴う技法は、エバネッセント場蛍光を含む。この場合、クラッディングを光ファイバーの端部から除去し、これにより、エバネッセント光により周囲の媒質と相互作用するセンサーエレメントをもたらす。受容体分子は、露出されたファイバー表面へと結合させ、受容体およびコンジュゲートタンパク質の天然蛍光を活用して、直接アッセイを実施することができる。FITC標識化を使用して、競合アッセイまたはサンドイッチアッセイを実施して、感度の増大を達成することができる。作動時において、光波はファイバーへとカップリングされ、エバネッセント光により発生する蛍光の一部はファイバーへと戻ってカップリングされ、検出器へと戻って伝搬される。
【0112】
光ファイバー技術を活用するさらなる技法は、被覆のない光ファイバーを、円筒形の充填チャンバー内に封入して、ファイバーのすぐ周囲の充填容量の一部とエバネッセント光により相互作用するセンサーエレメントをもたらす、光ファイバーキャピラリーチューブを伴う。受容体分子は、露出されたファイバー表面へと結合させ、サンドイッチアッセイまたは競合置換アッセイを実施することができる。光波はファイバーへとカップリングされ、エバネッセント光により誘導された蛍光の一部はファイバーへと戻ってカップリングされ、検出器へと戻って伝搬されるであろう。バックグラウンドの蛍光源に由来するシグナルと対比された、標的解析物の蛍光源に由来するシグナルを、出射ファイバー上のその角発散により弁別する。光ファイバー蛍光など、他の光ファイバー法は、上記で明記された同じ原理のうちのあるものを活用して、本明細書で開示される方法に適合させることができる。
【0113】
干渉分光法などのさらなるフォトニック法は、例えば、第1経路上には受容体分子を固定化しうる一方で、第2の経路は基準チャネルをもたらすように遮蔽される、2つの経路を有する薄膜導波管の配置を含む。例えば、ビームの位相シフトの結果として屈折率および被覆層の厚さの変化を検出しうるように、レーザー光を、導波管へとカップリングし、2つの経路に沿ってスプリットすることができ、ビームの位相シフトは、結合した解析物の量と相関するであろう。ハルトマン干渉計では、この手法に対する変化形が同定されるが、ここでは、単一経路マルチモードの薄膜平面状導波管が調製される。受容体分子は、この経路上に固定化することができ、2つのモードが経路に沿って伝搬するように、レーザーに由来する光を導波管へとカップリングすることができる。マルチモード形状の光学は、高次モードのエバネッセント場は大きく、これによりシグナル機構がもたらされ、低次モードのエバネッセント場は事実上存在せず、これにより基準機構がもたらされるような光学である。標的解析物との結合は、関連する屈折率および被覆層の厚さの変化を経路にわたり引き起こし、そのモードの位相シフトを引き起こす、高次モードのエバネッセント場により検出されるであろう。低次モードまたは基準モードは、このような変化に対して感受性でないので、位相シフトは感知されず、測定されたシグナルビームと基準ビームとの間の差異は相関して、結合した解析物の量を決定することが可能である。
【0114】
前出の議論は、一般的な用語およびある程度の詳細の両方において提示したが、光学センサー技術において利用可能な多様な技法が本開示の実施に適合可能である。結合の差異を測定することに成功し、結果として、本明細書で対象のそれぞれのマーカーまたは解析物の存在および量を測定することに成功する、様々な既存の技術を、採用しうるので、上記の列挙は、網羅的でも限定的でもないことを理解されたい。当然ながら、上記で強調した通り、いかなる技術を援用するのであれ、本明細書で開示される方法の実施は、少なくとも3つの解析物の同時的な検出および測定を含む。
【0115】
PAMG−1を検出するための免疫クロマトグラフィー法
下記では、本開示に従う、PAMG−1を検出する方法についての実施形態について記載する。
【0116】
方法の一実施形態では、PAMG−1を含有する試料を、本明細書で開示される方法に従うイムノアッセイシステムと接触させて、抗体−PAMG−1複合体を形成することにより、PAMG−1を試料中に検出する。次いで、抗体−PAMG−1複合体を検出する。この実施形態の1つの変化形では、抗体が検出可能マーカーを含み、抗体−PAMG−1複合体を検出するステップも検出可能マーカーを含む。
【0117】
方法の別の実施形態では、試料を、PAMG−1に対する高度に特異的な結合アフィニティーを有する抗体(後出で例示されるM271など)と接触させて、抗体M271−PAMG−1複合体を形成することにより、PAMG−1を試料中に検出する。次いで、複合体を、固定化された第2の抗体(例えば、M52など)と接触させる。第2の抗体は、このような抗体がPAMG−1分子に同時に結合しうるように、第1の抗体と免疫学的に顕著に異なる(例えば、異なるエピトープに結合する)。固定化抗体は、移動可能抗体−PAMG−1複合体に結合して、固定化抗体−PAMG−1−抗体複合体を形成する。PAMG−1は、このヘテロ二量体の複合体を検出することにより検出する。上記で言及した通り、PAMG−1に対する特異性が高い抗体は、PAMG−1の初期の認識に使用することが好ましい。
【0118】
上記で記載された方法は、検出可能マーカーで標識された選択対のうちの一方に対する抗体の使用を含むが、方法の変化形は、試料を、第2の固定化抗体と接触させる前に、試料を、第1の標識抗体と接触させるステップを含む。この変化形では、標識抗体は、試料中のPAMG−1に結合するように働く。方法のさらに別の実施形態は、以下のステップ:PAMG−1を含有する流体試料を、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする多孔性材料の、移動可能標識抗体領域へと添加するステップであって、抗体領域が、PAMG−1に対する高度な特異性を有する移動可能抗体を含むことから、抗体を、PAMG−1へと接合させて、抗体−PAMG−1複合体を形成する結果がもたらされるステップと;複合体を、その中に固定化された第2の抗体を含有する検査領域へと移動させるステップであって、第2の抗体が、PAMG−1に対する結合アフィニティーを有することから、第2の抗体が、標識抗体−PAMG−1複合体へと結合して、固定化された複合体を形成する結果がもたらされるステップと;検査領域内に固定化された複合体を検出するステップとを含む。
【0119】
方法のさらに別の実施形態は、標識されていない抗体を任意の表面上に固定化する、基準物質サンドイッチアッセイである。PAMG1を含有する流体試料を添加することから、固定化抗体がPAMG−1に結合して、抗体−PAMG−1複合体を形成する結果がもたらされる。標識抗体を添加する結果として、固定化抗体−PAMG−1−標識抗体からなる固定化された複合体の形成およびこの複合体の検出がもたらされる。
【0120】
上記で記載された方法に従い、抗体は、検出可能マーカーまたは標識を含むことが可能であり、抗体−PAMG−1複合体またはPAMG−1−抗体複合体を検出するステップは、検出可能マーカーまたは標識の検出を含む。使用されうる検出可能マーカーの例は、染色粒子、酵素、色素、および放射性同位体を含む。具体的な実施形態では、検出可能マーカーは、例えば、平均の大きさが約20nm〜30nmの間の、金による染色粒子である。さらに別の実施形態では、検出可能マーカーは、西洋ワサビペルオキシダーゼである。
【0121】
PAMG−1を検出するための例示的なデバイス
試料中のPAMG−1タンパク質を検出するための様々なデバイスが想定されている。本開示に従うデバイスおよび/または方法は、試料中のPAMG−1を検出することが可能であり、この場合、PAMG−1の濃度は、約1ng/ml〜50μg/ml、約2ng/ml〜50μg/ml、約3ng/ml〜50μg/ml、または約4ng/ml〜50μg/mlの間であることが好ましい。本明細書で開示される方法において使用しうるデバイスの非限定的な例は、Fuksらによる米国特許第7,709,272号において記載されている。本方法における使用のためのデバイスはまた、例えば、検査ストリップを含有するカセット(例えば、試料を配置するパッド領域、および検査領域(結果を読み取る)を伴う)も含み、任意選択で、内臓タイマーおよび/または患者の同定を指し示す部位も含む。パッドおよび検査領域については、下記でより詳細に論じる。本方法のある種の実施形態では、好ましいPAMG−1の検出閾値を、少なくとも約4ng/mlとなるように調整する。本開示の方法およびデバイスはまた、少なくとも約1ng/ml、少なくとも約2ng/ml、および少なくとも約3ng/mlのPAMG−1検出閾値も包含することを理解されたい。
【0122】
本明細書で記載されるデバイスおよび方法は、迅速かつ簡便な様式で容易に使用するように適合させ、これにより、デバイスおよび方法を、外来条件で使用することを可能とすることができる。例えば、方法は、デバイスについての既往の経験がほとんどまたは全くない患者が操作しうる、使用しやすいデバイスへと組み込むことができる。これにより、方法およびデバイスは、高度に信頼でき、かつ、操作エラーしにくいものとなる。方法はまた、試料(例えば、膣液試料)中のPAMG−1の存在について、簡単な「あり」または「なし」(または「+」もしくは「−」)の決定を可能とするようにデザインすることもできる。
【0123】
PAMG−1を検出するための、例示的で非限定的なデバイスを、図1および2に例示する。例示を目的として述べると、この記載は、後出で例示されるモノクローナル抗体を指す。しかし、これらの特異的モノクローナル抗体を使用することは必要でない。当業者は、例えば、上記で記載したものなど、例えば、PAMG−1特異的抗体の対の選択の手順を再現することができる。
【0124】
図1および2において示される通り、本明細書で開示される方法を実施するのに使用しうる例示的なデバイスは、順次に相互接続された複数のエレメントからなるストリップ様本体を有する。より具体的には、デバイスの部分12は、M271抗体が、例えば、染色粒子SP(図には示さない)で標識される、M271抗体領域10を含有するパッドを含む。パッド12は、多孔性であり、多様な粒子および試料物質の移動を可能とする、ファイバーガラス繊維または他の任意の材料から作製することができる。染色粒子は、平均の大きさが20〜30nmの範囲である金粒子を含みうる。M271抗体領域はまた、同じ染色粒子で標識されたマウスIgG免疫グロブリンも含有する。パッド12に、標識M271抗体および標識されたマウスIgGの溶液を含浸させることにより、標識M271抗体およびマウスIgG免疫グロブリンを、パッド12のバンド部分10へと導入する。M271抗体およびマウスIgG免疫グロブリンの溶液は、ドローイングペンまたは微小液滴形成デバイスを使用して、ニトロセルロース膜22に導入することができる。パッド12の長手方向の一方の端部には、検査領域14および対照領域16を含有するニトロセルロース膜22が接続されている。検査領域14および対照領域16のどちらも、デバイスに対して横方向に、その幅全体にわたり配置されている。検査領域14とは、ニトロセルロース膜22のバンド部分である。検査領域14は、ニトロセルロース膜22へと接合させたM52抗体を含有する。対照領域16は、ニトロセルロース膜22へと接合させた抗マウス抗免疫グロブリン抗体を含有する。対照領域16は、ストリップ22の幅全体にわたる。濾紙膜24は、パッド12へと接続されたニトロセルロース膜22の端部と反対側のニトロセルロース膜22の端部へと接続する。濾紙膜24は、ニトロセルロースストリップ22の長手方向の端部へと接続する。デバイスの表面は、特殊保護フィルム28および30、例えば、ストリップデバイスのために特別にデザインされた薄型の粘着テープでコーティングする。矢印18は、パッド12の試料適用端部を示すために、フィルム28の表面上に描く。パッド12、ニトロセルロース膜22、および濾紙ストリップ24を、接着性非可撓性プラスチック基部26へと接合させる。
【0125】
本節で記載される実施形態では、デバイスは、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする多孔性試料適用マトリックスから形成されたM271抗体パッド領域10を含む。M271抗体領域10は、PAMG−1に高度に特異的に結合することが可能なM271抗体を含む。PAMG−1を含有する流体試料を、M271抗体領域へと導入することから、M271抗体を、PAMG1へと接合させて、抗体M271−PAMG−1複合体を形成する結果がもたらされる。デバイスはまた、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする多孔性材料から形成された、M271抗体領域10と流体連絡された検査領域14も含む。検査領域14は、PAMG−1へと結合することもまた可能な、検査領域14内に固定化されたM52抗体を含む。M271抗体とM52抗体とが、PAMG−1に同時に結合しうるように、M52抗体は、M271抗体と免疫学的に顕著に異なる。流体試料を、M271抗体領域10へと導入することから、抗体M271−PAMG−1複合体が、検査領域14へと移動する結果がもたらされ、ここで、抗体M271−PAMG−1複合体は、M52抗体に結合し、M52抗体により検査領域内に固定化される。デバイスは、検査領域14内に固定化されたM52抗体の存在に基づき、試料中のPAMG−1を検出する。結果として、PAMG−1だけが、抗体M271−PAMG−1−M52抗体複合体を形成し、これが、検査領域14内に固定化される。したがって、検査領域14内に固定化されたM52抗体の存在は、試料中のPAMG−1の存在を示す。
【0126】
膣分泌物中のPAMG−1を検出するためのデバイスについてのこの実施形態では、M271抗体を、検出可能マーカーへと接合させ、これを使用して、検査領域14内に固定化されたPAMG−1を検出する。使用されうる検出可能マーカーの例は、染色粒子、酵素、色素、蛍光色素、および放射性同位体を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、検出可能マーカーは、平均の大きさが約20〜30nmの間の金粒子である。一実施形態では、M271抗体は、凍結乾燥状態にある標識抗体である。
【0127】
M271抗体パッド領域内のM271抗体を検出可能マーカーで標識する実施形態の変化形では、デバイスは、M52抗体を含有する検査領域をさらに含む。パッド領域と検査領域とは、流体連絡されている。
【0128】
図1および2で例示されるデバイスでもまた具体化される、デバイスのさらに別の実施形態では、デバイスは、近位端部および遠位端部を伴うストリップ様本体を有する。ストリップ様本体のM271抗体領域10は、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする材料から作製する。ストリップ様本体のM271抗体領域10は、PAMG−1に対する高度に特異的な結合アフィニティーを有するM271抗体を含み、PAMG−1を含有する流体試料を、M271抗体パッド領域へと導入することから、M271抗体を、PAMG−1へと接合させて、抗体M271−PAMG−1複合体を形成する結果がもたらされる。
【0129】
ストリップ様本体はまた、M271抗体領域10に対して近位であり、M271抗体領域10と流体連絡された検査領域14も含む。検査領域14は、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする材料から形成する。検査領域14は、PAMG−1に対する結合アフィニティーを有する、検査領域14内に固定化されたM52抗体を含み、流体試料を、M271抗体領域10へと導入することから、抗体M271−PAMG−1複合体が、検査領域14へと移動する結果がもたらされ、ここで、抗体M271−PAMG−1複合体は、M52抗体に結合し、M52抗体により検査領域内に固定化される。検査領域はまた、検査領域14内に固定化されたM42抗体およびM52抗体も含みうる。デバイスは、検査領域14内の標識抗体M271−PAMG−1複合体の固定化に基づき、試料中のPAMG−1を検出する。検査領域内に固定化されたPAMG−1特異的抗体の多様な組合せ(例えば、M42およびM52)の使用は、ストリップデバイスの感度閾値(検出閾値)を調整する1つの方途を例示する(Fuksらによる米国特許第7,709,272号を参照されたい)。しかし、当業者は、検出閾値を調整する他の方法(例えば、PAMG−1特異的抗体の対のうちの固定化されて移動不可能な抗体の結合アフィニティーを変化させる方法、および/または手順、例えば、本明細書で開示される検査手順のステップの手順タイミングを調整する方法)も可能であることを察知するであろう。
【0130】
対照領域:デバイスは、基準物質対照領域16(図1および2)を含みうる。この対照領域は、デバイスの適正な作動を確認するように働く。しかしまた、任意の代替的な対照領域デザインも、本明細書で開示される方法における使用のためのデバイスと共に使用することができる。
【0131】
例えば、1つの対照領域を伴うデバイスは、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする材料から形成されたM271抗体領域10を含むことが可能であり、M271抗体領域10は、その中に固定化されておらず、PAMG−1に対する高度な特異性を有する標識M271抗体を含み、PAMG−1を含有する流体試料を、M271抗体パッド領域へと導入することから、M271抗体を、PAMG−1へと結合させて、抗体M271−PAMG−1複合体を形成する結果がもたらされる。デバイスはまた、それを通る抗体およびタンパク質の移動を可能とする材料から形成されたM271抗体領域10と流体連絡された検査領域14も含みうる。検査領域14はまた、PAMG−1に対する結合アフィニティーを有する、検査領域14内に固定化されたM52抗体も含む。M271抗体とM52抗体とが、PAMG−1に同時に結合しうるように、M52抗体は、M271抗体と免疫学的に顕著に異なる。流体試料を、M271抗体領域10へと導入することから、抗体M271−PAMG−1複合体が、検査領域14へと移動する結果がもたらされ、ここで、抗体M271−PAMG−1複合体は、M52抗体に結合し、M52抗体により検査領域14内に固定化される。デバイスは、検査領域14内の標識M271抗体の固定化に基づき、試料中のPAMG−1を検出する。低濃度のPAMG−1が試料中に存在する場合、少なくとも一部の標識M271抗体は、M271抗体領域10から、検査領域14を通って、対照領域16へと移動する。抗マウス抗免疫グロブリン抗体を対照領域16内に固定化する。抗免疫グロブリン抗体は、標識M271抗体に結合し、これにより対照領域が染色される。高濃度のPAMG−1が、試料中に存在する場合、対照領域16に接近しうる標識M271抗体は低量に限られ、対照領域の着色は、人間の肉眼に目視可能となるには弱すぎる。このような可能性を防止するため、標識されたマウスIgG免疫グロブリンを、M271抗体領域10へと添加した。この免疫グロブリンは、PAMG−1に結合せず、M52抗体検査領域14を通って、対照領域16へと自由に移動し、ここで、抗マウス抗グロブリン抗体が結合し、これにより対照領域16が染色される。対照領域は、試料の中のPAMG−1濃度に関わらず、デバイスの適正な機能を確認する。
【0132】
デバイスのさらに別の構成要素は、検査領域の材料と、緊密に多孔接続された多孔性材料でありうる。デバイスのこの部分は、液体、タンパク質、および抗体を、それを通して移動させる一助となるポンプとして働く。マウス抗体およびIgG免疫グロブリンを標識化するために使用されうる検出可能マーカーの例は、染色粒子、酵素、色素、および放射性同位体を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、検出可能マーカーは、蛍光色素である。さらに別の実施形態では、検出可能マーカーは、染色粒子である。一実施形態では、抗体を標識するM271抗体および標識されたマウス免疫グロブリンIgGは、凍結乾燥状態にある。
【0133】
上記で記載されたデバイスの多様な領域で使用される材料は、それを通る抗体およびタンパク質の移動を許容する材料の任意の組合せでありうる。適切な材料の例は、ファイバーガラス、多孔性プラスチック、ニトロセルロース、および濾紙を含むがこれらに限定されない。
【0134】
本明細書で開示される方法における使用のためのデバイスの部分は、少なくとも所定の検出閾値(例えば、4ng/ml)の濃度で存在する場合に試料中のPAMG−1を検出しうるという条件で、任意の機能的組合せ(例えば、側方流デバイスでは、カセットなど)で配置することができる。
【0135】
本方法における使用のためのデバイスは任意選択で、デバイスの少なくとも一部を覆う保護フィルムを含みうる。保護フィルムは、透明な場合もあり、透明でない場合もあり、必要な商標、非公式の標章/記号または矢印をその表面上に有しうる。
【0136】
試料の回収
本明細書で開示される方法では、患者から膣液試料を回収することが必要である。試料を回収し、試料を溶液(検査のための)へと移すのに使用されるデバイスもしくはツールまたは他の手段は、試料が回収される限りにおいて、本開示に従い変化させることができる。膣液試料(例えば、PAMG−1を含有する膣液試料)を回収するためのデバイスの非限定的な例は、例えば、膣スワブ(例えば、膣フロックスワブ)を含む。
【0137】
膣液試料を回収する他の手段の非限定的な例は、例えば、ビデ方法または膣洗浄を含む。シリンジもまた、膣液試料を回収するのに使用することができる。
【0138】
具体的な試料回収デバイスおよび/または試料回収法は、変化させることができ、当技術分野で公知である、膣液試料の回収に成功する限りにおいて、任意の適切なデバイスまたは方法を使用することができる。試料回収デバイスまたは試料回収手段は、試料中の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の標的解析物(例えば、PAMG−1)をもたらすことが好ましい。例えば、本明細書の実施例で使用される膣フロックスワブは、回収し、溶液へと移した後で、約80〜90%のPAMG−1をもたらす。
【0139】
ある種の実施形態では、膣液試料を回収するのに使用されるデバイスまたは手段は、膣液試料の1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の希釈をもたらす。ある種の実施形態では、膣液試料を回収するのに使用されるデバイスまたは手段は、膣液試料の1:1〜1:10、1:2〜1:9、1:2〜1:8、1:2〜1:7、1:2〜1:6、1:2〜1:5、1:2〜1:4、1:2〜1:3、1:3〜1:10、1:3〜1:9、1:3〜1:8、1:3〜1:7、1:3〜1:6、1:4〜1:7、または1:5〜1:6の範囲の希釈をもたらす。
【0140】
具体的な実施形態では、膣スワブは、膣液試料の約1:4の希釈をもたらす。別の実施形態では、膣フロックスワブは、膣液試料の約1:4の希釈をもたらす。
【0141】
キット
本開示はまた、キットも提示する。一態様では、本明細書で開示されるキットは、例えば、所定の検出閾値を上回るレベル(例えば、0.5ng/ml、1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、または4ng/ml)で存在する場合に、膣液試料中のPAMG−1の存在を検出するための、本明細書で開示されるデバイス(例えば、側方流デバイス)を含む。別の態様では、本明細書で開示されるキットは、所定の閾値を上回るレベル(例えば、0.5ng/ml、1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、または4ng/ml)で存在する場合に、膣液試料中のPAMG−1の存在を検出するためのデバイス(例えば、米国特許第7,709,272号において記載されているデバイスと同様のデバイスなどの側方流デバイスなどであるがこれらに限定されない);および膣液試料を回収するための手段(例えば、本明細書で記載される膣スワブ(例えば、膣フロックスワブ)などであるがこれらに限定されない膣スワブ、シリンジ、ビデキット、または試料を回収するのに適する他のデバイス)を含む。ある種の態様では、膣液試料を回収するための手段を、膣液試料を希釈する(例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、または、例えば、1:1〜1:10、1:2〜1:9、1:2〜1:8、1:2〜1:7、1:2〜1:6、1:2〜1:5、1:2〜1:4、1:2〜1:3、1:3〜1:10、1:3〜1:9、1:3〜1:8、1:3〜1:7、1:3〜1:6、1:4〜1:7、もしくは1:5〜1:6などの範囲で)のに任意選択で使用することができる。キットはまた、膣液試料(例えば、解析物、例えば、PAMG−1を含有する)を移すための溶媒、例えば、0.9%のNaCl、0.01%のTriton X100、0.05%のNaNを含有する溶液も含みうる。溶媒は、溶媒のアプリケーターとしてもまた使用されうるバイアル内に含有される場合があり、膣液試料を側方流デバイスへと直接適用することができる。キットはまた、検査ストリップ(例えば、試料を配置するパッド領域、および検査領域(ここで結果を読み取る)を伴う)を含有するカセットも含む場合があり、任意選択で、内臓タイマーおよび/または患者の同定を指し示す部位も含みうる。本明細書で開示されるキットは、1または複数のバイアル(例えば、プラスチックバイアル)および/または使用のための指示書をさらに含みうる。例えば、使用のための指示書は、検査の結果に基づき、TTDを診断するための指図を含みうる。キットはまた、乾燥剤も含みうる。キットはまた、タイマー、例えば、検査デバイス内蔵型タイマー、または別個のユニットとしてのタイマーも含みうる。使用のための指示書は、加えて、または代替的に、胎膜の自発的な破裂(ROM)(例えば、早期の前期ROM)の危険性および/または早期分娩の危険性を診断するための指示書を含有しうる。キットは、図1および2に例示されたデバイスを含みうる。
【0142】
試料の回収および検査手順
一般に、本明細書で開示される方法およびキットを使用して、早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴を示す患者から検体(膣液試料)を回収することができる。検体は、ディジタル検査または潤滑剤の前であり、任意の消毒液もしくは医薬の使用の前であるか、またはそれらを除去した6時間後で回収することが好ましい。検体は、それほど著明でない血液混合物の存在下で回収することもできる。本明細書で開示される方法は、回収デバイス(例えば、スワブ)上に微量の血液を伴ってもなお、実施することができる。検体はまた、尿、精液、または膣感染が存在する場合も回収することができ、在胎週齢20〜36週6日の患者から回収することができる。さらに、膣鏡検査は要求されない。
【0143】
本開示に従う、妊婦から膣液試料を回収し、PAMG−1の存在について試料をアッセイするための以下の方法(例えば、TTDを予測し、かつ/または患者の早期陣痛および/もしくは自然ROMの危険性を決定するための)を使用することができる。しかし、当業者は、異なる方法および/または検査デバイスを使用して、本明細書で開示される結果と同じ結果を達成することができ、これらもまた、本開示により包含されることを察知するであろう。
【0144】
試料の回収
本方法に従う検査の一例では、膣スワブにより回収された頸膣排出物試料を、以下の通りに溶媒へと抽出する:
溶媒(例えば、0.9%のNaCl、0.01%のTriton X100、0.05%のNaNを含有する)バイアルの上部を把持し、十分に振とうして、バイアル内の全ての液体が、底部に下降したことを確認する。溶媒バイアルを開栓し、垂直位置に置く。膣表面から試料を回収するために、膣スワブを使用することもでき(例えば、滅菌フロックスワブ)、上記で開示された、膣液試料を回収する他の適切な回収デバイスまたは手段を使用することもできる。膣スワブでは、スワブチップが、それを膣へと挿入する前に、何ものにも接触しないようにする。スワブスティックの中ほどを保持し、患者を仰向けに寝かせながら、指が、深さ約2〜3インチ(5〜7cm)以下の皮膚に接触するまで、スワブのスワブチップを、膣へと注意深く挿入する。約30秒間(他の長さの時間、例えば、約10、20、40、50、60、90、120秒間、3分間、4分間、5分間など)後に、スワブを膣から引き出す。スワブチップを、バイアル内に入れ、スワブを、溶媒(例えば、0.55mlの溶媒)中で、約30秒間(他の長さの時間、例えば、約10、20、40、50、60、90、120秒間、3分間、4分間、5分間など)にわたり回転させることによりすすぐ。スワブを除去し、廃棄する。当業者は、膣液試料を回収するのに、他のデバイスおよび/または手段または方法を使用する場合、試料を回収し溶媒へと移す上記の手順に要する時間は変化する場合があることを察知するであろう。他のこのようなデバイスおよび手順および手順の時間もまた、本方法に包含される。
【0145】
検査手順(PAMG−1の検出)
患者から得られた膣液試料を溶液へと移した(例えば、スワブを溶媒中ですすぐことにより)後で、例えば、本明細書で開示されるPAMG−1検査デバイス、例えば、側方流デバイスを、溶媒と接触させる。一実施形態では、試料は、吸収剤パッドから、金粒子へとコンジュゲートさせた抗PAMG−1モノクローナル抗体を含有する反応性エリアを流過して、ニトロセルロース膜へと流動する。抗原−抗体複合体は、検査領域へと流動し、ここで、第2の抗PAMG−1抗体により固定化される。このイベントは、検査線の出現をもたらす。結合しなかった抗原−抗体複合体は、引き続き検査ストリップに沿って流動し、第2の抗体により固定化される。これは、内部対照線の出現をもたらす。一実施形態では、検査ストリップを、溶媒を伴うバイアルへと、約5分間(本明細書では、試料を検査するのに使用される具体的な検査条件および具体的な方法またはデバイスに応じて、他の長さの時間、例えば、約1、2、3、4、6、7、8、9、10分間もまた想定される)にわたり浸漬する。検査ストリップは、2本のストライプがバイアル内ではっきりと目視可能となったらすぐに(約5分間)取り出すことができる。次いで、結果を読み取ることができる(例えば、検査物を、清浄で、乾燥した、平坦な表面上に置くことにより)。一実施形態では、2本の線の存在は、陽性検査結果(PAMG−1が検出された)を指し示し、1本の線の存在は、陰性結果を指し示す。当業者は、上記の手順ステップおよび時間は、例示的なものであるに過ぎず、限定的なものではないことを察知するであろう。
【0146】
上記で論じた通り、それらが、所定の検出閾値(例えば、少なくとも約4ng/ml、少なくとも約3ng/ml、少なくとも約2ng/ml、または少なくとも約1ng/ml)で存在する場合に、膣液試料中のPAMG−1の検出を結果としてもたらす限りにおいて、この手順の変化形もまた、本開示に包含されることを理解されたい。したがって、例えば、溶媒の種類および容量、試料を回収するためのデバイスまたは手段、ならびにPAMG−1検出デバイスは、変化させることができ、本明細書の例として開示されるものと全く異なる場合がある。上記のインキュベーション時間、例えば、30秒間にわたる、スワブによる試料回収、30秒間にわたる、溶媒中でのスワブのすすぎは、使用される具体的な手順および検査デバイスに応じて変化しうる。膣液試料回収の部位は、変化する場合があり、当業者が決定しうる。非限定的な例として述べると、膣液試料回収の例示的な部位は、例えば、頸管口、頸管、後膣円蓋、膣管からの回収を含む。試料の回収は、ブラインド回収(すなわち、膣鏡を使用せずに膣から回収する)でありうる。
【0147】
本開示に従い、従来の分子生物学法、微生物学法、組換えDNA法、免疫学法、細胞生物学法、および当技術分野内の他の関連する技法を援用することができる。例えば、とりわけ、Sambrookら、(2001)「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor、N.Y.; Sambrookら、(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual、2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor、N.Y.; Ausubelら編、(2005)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Bonifacinoら編、(2005)Current Protocols in Cell Biology、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Coliganら編、(2005)Current Protocols in Immunology、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Coicoら編、(2005)Current Protocols in Microbiology、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Coliganら編、(2005)Current Protocols in Protein Science、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Ennaら編、(2005)Current Protocols in Pharmacology、John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken、N.J.; Hamesら編、(1999)Protein Expression: A Practical Approach、Oxford University Press: Oxford; Freshney(2000)Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique、4版、Wiley-Lissを参照されたい。上記で列挙したCurrent Protocolsは、毎年複数回にわたり改定されている。
【0148】
以下の例は、本開示を例示することを意図するものであり、本開示を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0149】
PAMG−1検出キット(TTD検査)
PAMG−1を、4ng/mlの検出閾値で検出するためのキットを調製した。キットは、Fuksらによる米国特許第7,709,272号において詳細に記載されている、頸膣分泌物中に存在するPAMG−1を検出するモノクローナル抗体を援用する診断デバイスを含んだ。診断デバイスを、図1および2に例示する。診断デバイス自体で、試料中に少なくとも1ng/mlの濃度で存在する場合にPAMG−1を検出しうる。キットはまた、以下の規格:プラスチックシャフトの長さ:170.0mm±1mm;プラスチックチップの直径:4.6mm±0.1mm;スティックのハンドル部分の直径:4.4mm±0.2mm;ファイバーチップの長さ:22mm±3mm;フロックチップの直径:7.00mm±1.5mm;全長:171mm±2mmを伴う膣フロックスワブも含んだ。キットは、試料回収および検査手順のための指示書もさらに含んだ。試料回収および検査手順は、膣内で30秒間にわたるスワブの飽和ステップ(滅菌膣鏡検査は要求されなかった)と;膣から取り出されたばかりのスワブを、溶媒が充填されたバイアル内で活発に回転させる、30秒間にわたる活発な洗浄ステップと;スワブを取り出した時点から5分間にわたる待機時間を置き、2本の検査線が速やかに現れない場合は、検査ストリップを挿入するステップとを含んだ。検査手順中において、試料中に存在するPAMG−1は、標識粒子とコンジュゲートさせたモノクローナル抗体へと順次結合し、次いで、不溶性の担体上に固定化されたモノクローナル抗体へと結合した。in vivo感度であるPAMG−1の検出閾値は、下記に記載される具体的な試料回収手順およびTTD検査手順を使用して、4ng/mlへと調整した。
試料回収手順およびTTD検査手順:
1.溶媒(0.9%のNaCl、0.01%のTriton X100、0.05%のNaNを含有する)バイアルの上部を把持し、十分に振とうして、バイアル内の全ての液体が、底部に下降したことを確認する。溶媒バイアルを開栓し、垂直位置に置く。
2.膣から試料を回収するために、TTDキットと共に備えられる滅菌フロックスワブを使用する。パッケージ上の指示書に従い、滅菌フロックスワブをそのパッケージから取り出す。スワブチップが、それを膣へと挿入する前に、何ものにも接触しないようにする。スワブスティックの中ほどを保持し、患者を仰向けに寝かせながら、指が、深さ2〜3インチ(5〜7cm)以下の皮膚に接触するまで、スワブのスワブチップを、膣へと注意深く挿入する。30秒後に、スワブを膣から引き出す。
3.スワブチップを、バイアル内に入れ、スワブを、溶媒中で、30秒間にわたり回転させることによりすすぐ。スワブを除去し、廃棄する。
4.ホイルパウチを切込みで破って開封し、PAMG−1検査ストリップを取り出す。
5.検査ストリップの白色端部(矢印でマークされている)を、溶媒を伴うバイアルへと、5分間以下にわたり浸漬する。
6.2本のストライプがバイアル内ではっきりと目視可能となったら、検査ストリップを取り出す(5分間きっかりを過ぎないで)。検査物を、清浄で、乾燥した、平坦な表面上に置くことにより、結果を読み取る。
7.検査ストリップをバイアルへと浸漬してから10分間が経過した後結果を読み取ったり、解釈したりしない。
8.2本の線の存在は、陽性検査結果を指し示し(PAMG−1について陽性)、1本の線の存在は、陰性検査結果(PAMG−1について陰性)を指し示す。
【実施例2】
【0150】
分娩までの時間(TTD)の予測についての臨床試験
上記の実施例1で記載されたPAMG−1検出キット(下記では、TTD検査キットと称する)を使用する、前望的観察のための臨床試験を、PTLの徴候および症状を示し、かつ、胎膜が臨床的に無傷である、在胎週齢20週0日〜36週6日の間にある妊婦の頸膣分泌物中のPAMG−1の検出に基づきTTDを予測するためのTTD検査キットの有効性を評価するために行った。
【0151】
研究デザイン:
以下の研究デザインを使用する。
1.評価は、以下の在胎週齢範囲:
a.<22週間
b.22〜34週6日
c.35〜36週6日
により層別化する。
【0152】
PAMG−1を検出するためのTTDキットを、同じ患者集団内の分娩までの時間の評価において利用可能な他の方法であって、
a.経膣超音波法による子宮頸管長の測定値(<30mm)
b.子宮頸管拡張>1cm
c.収縮頻度≧1時間当たり8回
を含む方法と比較する。
【0153】
2.データ解析
TTD検査の結果と、子宮頸管長と、以下の転帰:
a.分娩<37週間の妊娠
b.新生児集中治療室(NICU)への収容
c.組織学による絨毛羊膜炎
d.臍帯炎
e.呼吸器逼迫症候群
f.動脈管開存症
g.新生児敗血症
h.出生時体重
i.周産期死亡
との間の関連を決定する。
【0154】
3.対象の選択および中止
以下の組入れ基準および除外基準を使用した。
組入れ基準:≦3cmの子宮頸管拡張を伴い、自己報告された早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴(下記で概括される)を示す、妊娠20週0日〜36週6日の間の女性に、試験への参加を募った。
a.疼痛を伴うかまたは伴わない子宮収縮
b.間欠的な下腹部疼痛
c.鈍い背部痛
d.骨盤の圧迫感
e.妊娠中期または妊娠後期における出血
f.下痢を伴うかまたは伴わない、月経様痙攣痛または腸の痙攣痛
g.滅菌膣鏡検査により観察される、頸管口からの漏出の非存在
除外基準:登録時の臨床検査において、以下のうちの1つを有することが見出される対象は、不適格とみなし、解析に組み入れない。
a.症状の愁訴を伴い、定期的にスケジュールされた産婦人科治療のために来院していること(すなわち、症状は、患者の考えでは、病院の陣痛分娩室または救急治療室で施される査定など、患者の状態のスケジュール外での救急の査定を正当化するのに十分な程度には強くなかった)
b.頸膣検体の回収または子宮頸管長の測定の前に、切迫早期分娩を処置するための子宮収縮抑制薬を施されていること
c.子宮頸管拡張>3センチメートル
d.前置胎盤が疑われること
e.妊娠<20週0日または妊娠≧37週
f.頸管口からの流体の漏出の視覚化により指し示される、胎膜の明らかな破裂(ROM)
g.頸管縫縮術が施されていること
h.特発性切迫早期分娩と関連しない症状(例えば、外傷)
i.検体回収の前のディジタル検査
j.子宮収縮抑制研究への登録
k.重篤な膣出血
l.<18歳であり、かつ、独立同意未成年者でないこと
【0155】
陣痛の進行を増強する陣痛の増大を経つつある全ての患者、または活動期陣痛(10分以下ごとに生じ、40秒間を超えて続き、子宮頸部展退が80パーセントを超え、2cm(または3cm)の拡張を伴う、規則的な収縮と定義される)を診断される前に帝王切開分娩を受けている患者は解析に組み入れない。
【0156】
4.エンドポイント
以下の来院から分娩までの時間:
a.≦48時間
b.≦7日間
c.≦14日間
について、TTD検査の感度(SN)、特異度(SP)、陽性的中率(PPV)、および陰性的中率(NPV)、経膣超音波法による子宮頸管長の測定値(<30mm)、子宮頸管拡張>1cm、および収縮頻度≧1時間当たり8回を決定する。
【0157】
5.研究手順
以下の研究手順に従った。
a.PTLの徴候および症状を示す患者であって、過去24時間以内の性交を報告しておらず、妊娠20週0日〜36週6日の間であった患者が、説明同意文書に署名する。
b.製造元の推奨に従い、滅菌膣鏡検査の挿入の前に、TTD検査のための検体を回収する(上記の実施例1で記載された通りに)。
c.製造元の推奨に従い、主治医の定期的な臨床査定の結果に対して盲検化された別個の治験責任医師による後日の検査のために、試料に適切にラベル付けし、これを特別に指定された場所に保存する。
d.上記で指し示された試料を回収した後、主治医が患者の身体検査を遂行し、上記に示した組入れ基準および除外基準に基づき、患者を臨床試験に組み入れるのか、臨床試験から除外するのかを決定する。
e.主治医が所見を記録する。
f.経膣超音波法による子宮頸管長測定(TVU)を実施し、結果を記録する。
g.患者分娩データ(例えば、時刻、状態など)を記録する。
h.実施例1で記載したTTD検査を使用して、回収された試料を検査する。
【0158】
6.統計学的解析
主要転帰を査定するために、マン−ホイットニーU検定、カプラン−マイヤー生存解析、およびコックス回帰分析を使用する。TTD検査のPPV、NPV、SN、およびSPを計算する(検査される全ての時点について)。95%の信頼区間(CI:confidence interval)は、クロッパー−ピアソン手順を使用して計算する。
【0159】
7.早期陣痛が確認された患者の施設による診断および管理
「ACOG Practice Bulletin on the Management of Preterm Labor」(2003)に従い、PTLと診断された患者は、下記:
a.子宮収縮抑制治療
b.抗生剤
c.仰臥安静
d.コルチコステロイド
のうちの1または複数で処置することができる。上記で列挙した診断選択肢および処置選択肢の上記の可能な組合せのうちのいずれについても、本研究の主要転帰尺度(来院から分娩までの時間である)に対して影響を及ぼすことを指し示す、裏付けとなる証拠は見られない。
【0160】
結果:
進行中の臨床試験について(現在のデータに基づき)予測される結果を、下記の表3にまとめる。
【0161】
【表2】
【0162】
完了した臨床試験の最終結果
臨床試験では、疼痛を伴うかまたは伴わない子宮収縮、間欠的な下腹部疼痛、および骨盤の圧迫感を含む、自己報告された早期陣痛を示唆する徴候、症状、または愁訴を示す、妊娠20週0日〜36週6日の間の単胎妊娠を伴う101例の女性を、研究期間にわたり査定した。募集された患者は、膣鏡検査により決定される通り、胎膜が臨床的に無傷であり、子宮頸管拡張が最小限(≦3cm)であった。上記の実施例1で記載された、TTD検査試料の回収を含む完全な臨床検査は、主治医が行った。来院時に記録されたパラメータは、子宮頸管長、子宮頸管拡張、収縮頻度、膜の状態、子宮頸部展退、患者の既往歴、およびTTD検査キットによる検査結果を含んだ。滅菌膣鏡検査時に、頸管口から漏出することが認められる流体と診断された、胎膜の明らかな破裂を伴う患者は、研究に登録しなかった。中央値年齢は、28歳(範囲:18〜43歳)であり、来院時における中央値の在胎週齢は、31.4週(範囲:22.4〜36.5週)であった。多胎妊娠は、試験に組み入れなかった。
【0163】
上記の実施例1で記載した通りに、TTD検査試料を回収し、TTD検査手順を実施した。結果は、2本の線が目視可能となるか、または検査ストリップの試料バイアルへの挿入から5分間が経過した後で解釈した。結果は、2本の線の存在(PAMG−1について陽性)または1本の線の存在(PAMG−1について陰性)により報告した。主治医は、患者の治療についての決定を下すときに、TTD検査結果について知らされなかった。自発的早期分娩までの時間(7日間以内および14日間以内)の予測における、TTD検査キットの感度(SN)、特異度(SP)、陽性的中率(PPV)、および陰性的中率(NPV)を、試験の終了時に計算した。クロッパー−ピアソン手順を使用して、95%の信頼区間を計算した。
【0164】
20例の患者が、来院から7日間以内に分娩し、さらなる5例は、来院から14日間以内に分娩した。TTD検査は、患者のうちの23%(101例中23例)において陽性であり、この集団における検査から分娩までの時間の中央値は、TTD検査陰性群の32.12日間と比較して、3.86日間であった。下記の表3では、7日間以内および14日間以内それぞれの分娩についてのTTD検査結果をまとめる。
【0165】
【表3】
【0166】
来院から7日間以内および14日間以内の自発的早期分娩を確認するTTD検査についてのNPV、PPV、SN、およびSPを、下記の表4にまとめる。
【0167】
【表4】
【0168】
48時間以内(≦2日間)の分娩についての、TTD検査の最終的なNPV結果、PPV結果、SN結果、およびSP結果は、上記の表2に示した予測結果と同じであった。
【0169】
また、TTD検査陽性の発生率も、異なる在胎週齢範囲ごとに分析した。結果を下記の表5にまとめる。
【0170】
【表5】
【0171】
表2〜5に示されるデータを含む本実施例により、TTD検査は、2、7、または14日間以内のTTDを診断するための方法を、高度なSN、SP、NPV、およびPPVでもたらすことが裏付けられた。TTD検査を使用して、切迫早期陣痛を伴う患者における、2、7、および14日間以内の自発的早期分娩を除外しうることが裏付けられた。早期陣痛、無傷胎膜、および最小限の子宮頸管拡張(≦3cm)の症状を示す患者におけるTTD検査陽性は、自発的早期分娩が7日間以内に高い精度で生じることを指し示した。さらに、陰性結果は、14日間以内の自発的早期分娩は、可能性が極めて小さいことを指し示した。本実施例はまた、TTD検査が、高度なPPV、NPV、SN、およびSPを示すことも裏付けている。
【0172】
本開示の多数の実施形態について記載してきた。しかしながら、本明細書で開示される方法の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、多様な改変を施しうることが理解されるであろう。全ての値は概数であり、記載のために提示されていることもさらに理解されたい。したがって、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0173】
10 M271抗体領域、バンド部分、M271抗体パッド領域
12 パッド
14 検査領域
16 対照領域、基準物質対照領域
18 矢印
22 ニトロセルロース膜、ストリップ、ニトロセルロースストリップ
24 濾紙膜、濾紙ストリップ
26 接着性非可撓性プラスチック基部
28 矢印付きの部分的に透明な保護フィルム、特殊保護フィルム、フィルム
30 不透明な保護フィルム、特殊保護フィルム
図1
図2