(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
故に、本開示は、ステント、特に、脈管ステントにおけるさらなる改良を対象とする。ある実施形態によると、医療用ステントは、長手軸および対向する長手方向端部を画定するステント本体を含み、初期状態から拡張された状態に拡張するように適合されている。ステント本体は、複数の長手方向セルを含む。長手方向セルは、対向する端部セルと、端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを含む。各長手方向セルは、長手軸の周りで波状パターンで延在する第1および第2の構造部材を有する。中間コネクタは、少なくとも1つの中間セルの第1および第2の構造部材を相互接続し、端部コネクタは、少なくとも1つの端部セルまたは両端部セルの第1および第2の構造部材を相互接続する。端部コネクタの数は、中間コネクタの数を上回る。実施形態では、端部セルの端部コネクタは、少なくとも1つの中間セルの中間コネクタの数の2倍である。
【0005】
いくつかの実施形態では、端部コネクタのうちの少なくとも1つは、ステント本体の初期状態にあるとき、ステント本体の長手軸に対して斜角で配列される。加えて、各端部セルは、第1および第2の端部コネクタを含んでもよい。第1の端部コネクタは、長手軸に対して正の斜角で配列され、第2の端部コネクタは、長手軸に対して負の斜角で配列されてもよい。実施形態では、中間コネクタはそれぞれ、長手軸と略平行関係に配列されてもよい。
【0006】
セルコネクタは、隣接する長手方向セルを相互接続してもよい。実施形態では、各端部セルを少なくとも1つの中間セルに相互接続するセルコネクタの数は、各中間セルの中間コネクタの数と等しい。
【0007】
いくつかの実施形態では、ステント本体は、中間セルのうちの少なくとも2つを含んでもよく、それぞれ、セルコネクタによって相互接続される。
【0008】
さらなる実施形態では、第1および第2の構造部材はそれぞれ、複数の支柱を含み、隣接する支柱は、ノードによって相互接続される。端部および中間コネクタは、それぞれ、端部セルおよび少なくとも1つの中間セルの第1および第2の構造部材の長手方向に隣接するノードを相互接続するように定寸されてもよい。少なくとも1つの中間セルの長手方向に隣接するノードのうちの少なくともいくつかは、ステント本体の拡張された状態にあるとき、相互に対して円周方向にオフセットされる。
【0009】
いくつかの実施形態では、これらノードは、第1および第2のノードタイプを含み、第1のノードタイプは、少なくとも第1の曲率半径を画定する内部曲率を有し、第2のノードタイプは、無曲率または第1の曲率半径未満の第2の曲率半径のいずれかを画定する内部曲率を有する。
【0010】
他の実施形態では、医療用ステントは、長手軸および対向する長手方向端部を画定するステント本体を含み、初期状態から拡張された状態に拡張するように適合される。ステント本体は、複数の長手方向セルを含む。長手方向セルは、対向する端部セルと、端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを含む。各長手方向セルは、長手軸の周りで波状パターンで延在する第1および第2の構造部材を有する。第1および第2の端部コネクタは、少なくとも1つの端部セルの第1および第2の構造部材を相互接続する。ステント本体の初期状態では、第1の端部コネクタは、長手軸に対して正の第1の斜角で配列され、第2の端部コネクタは、長手軸に対して負の第2の斜角で配列される。いくつかの実施形態では、第1および第2の斜角は、実質的に等しい絶対値を有する。
【0011】
実施形態では、複数の中間コネクタは、少なくとも1つの中間セルの第1および第2の構造部材を相互接続し、複数のセルコネクタは、端部セルのそれぞれを少なくとも1つの中間セルに相互接続する。中間コネクタおよびセルコネクタは、長手軸に略平行であってもよい。
【0012】
ステントを形成するプロセスもまた、開示される。プロセスは、
ステントパターンを形状記憶材料を含む管状部材に形成するステップであって、ステントパターンは、対向する端部セルと、端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを有する、長手方向セルを含み、各セルは、複数の波状支柱を有し、隣接する支柱は、ノードによって相互接続される、ステップと、
管状部材をマンドレル上に位置付けるステップであって、マンドレルは、円筒形部材を含み、管状部材の外壁から半径方向外向きに延在する一連の突起を有する、ステップと、
中心軸の周りで、管状部材の少なくとも1つの端部を回転させ、ノードの少なくともいくつかを円周方向に変位させ、それによって、その円周方向に変位された状態をとる、ステップと、
長手方向セルの個別の個々のノードをマンドレルの一連の突起上に配列し、ノードを円周方向に変位された位置に維持するステップと、
管状部材を、マンドレル上にあるとき、熱に曝し、半径方向に変位される状態にあるノードとともに、管状部材を熱硬化させるステップと、
を含む。
【0013】
ステントを製造する際に使用するためのマンドレルもまた、開示される。マンドレルは、外壁およびそれを通して中心軸を画定する、円筒形部材と、外壁から半径方向外向きに延在する一連の突起とを含む。各一連の突起は、外壁の周りで、中心軸に対して、螺旋パターンで配列され、各突起は、頂点で収束および終端する対向する側面を有する。
【0014】
本開示の実施形態は、以下の利点のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
【0015】
端部セルおよび中間セルを含む、ステント本体の構成は、例えば、対象の静脈系内に留置されると、実質的利点を提供する。端部セル内の増加した数の端部コネクタは、安定性および半径方向強度をステント本体の長手方向端部に提供する。この増加した安定性は、有利なことに、展開の間、ステントの跳開または早期「拡開」を防止する。中間セル内の相対的に減少した数の中間コネクタは、腸骨大腿静脈等の静脈部位内への埋込のために要求される必要可撓性を提供し、対象の移動に適応させる。
【0016】
他の側面、特徴、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から明白となる。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
医療用ステントであって、
長手軸および対向する長手方向端部を画定するステント本体であって、前記ステント本体は、初期状態から拡張された状態に拡張するように適合され、複数の長手方向セルを含み、前記長手方向セルは、対向する端部セルと、前記端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを含む、ステント本体と、
前記長手軸の周りで波状パターンに延在する第1および第2の構造部材を有する、各長手方向セルと、
前記少なくとも1つの中間セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する、x数の中間コネクタと、
少なくとも1つの端部セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する、少なくともx+1数の端部コネクタと、
を備える、ステント。
(項目2)
少なくとも2x数の端部コネクタが、前記少なくとも1つの端部セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する、項目1に記載のステント。
(項目3)
少なくとも2x数の端部コネクタが、各端部セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する、項目2に記載のステント。
(項目4)
前記端部コネクタのうちの少なくとも1つは、前記ステント本体内で前記初期状態にあるとき、前記ステント本体の長手軸に対して斜角で配列される、項目3に記載のステント。
(項目5)
第1および第2の端部コネクタを含み、前記第1の端部コネクタは、前記長手軸に対して正の斜角で配列され、前記第2の端部コネクタは、前記長手軸に対して負の斜角で配列される、項目4に記載のステント。
(項目6)
前記中間コネクタはそれぞれ、前記長手軸と略平行関係に配列される、項目5に記載のステント。
(項目7)
隣接する長手方向セルを相互接続するためのセルコネクタを含む、項目3に記載のステント。
(項目8)
x数のセルコネクタが、各端部セルを前記少なくとも1つの中間セルに相互接続する、項目7に記載のステント。
(項目9)
前記中間セルのうちの少なくとも2つを含み、隣接する中間セルは、x数のセルコネクタによって相互接続される、項目8に記載のステント。
(項目10)
前記第1および第2の構造部材はそれぞれ、複数の支柱を含み、隣接する支柱は、ノードによって相互接続される、項目1に記載のステント。
(項目11)
前記端部および中間コネクタは、それぞれ、前記端部セルおよび前記少なくとも1つの中間セルの前記第1および第2の構造部材の長手方向に隣接するノードを相互接続するように定寸され、前記少なくとも1つの中間セルの前記長手方向に隣接するノードのうちの少なくともいくつかは、前記ステント本体の拡張された状態にあるとき、相互に対して円周方向にオフセットされる、項目10に記載のステント。
(項目12)
隣接する長手方向セルの長手方向に隣接するノードを相互接続するように定寸されるセルコネクタを含み、隣接する長手方向セルを相互接続する前記セルコネクタの少なくともいくつかは、前記ステント本体の拡張された状態にあるとき、相互に対して円周方向にオフセットされる、項目11に記載のステント。
(項目13)
記ノードは、第1および第2のノードタイプを含み、前記第1のノードタイプは、少なくとも第1の曲率半径を画定する内部曲率を有し、前記第2のノードタイプは、無曲率または前記第1の曲率半径未満の第2の曲率半径のいずれかを画定する内部曲率を有する、項目10に記載のステント。
(項目14)
医療用ステントであって、
長手軸および対向する長手方向端部を画定するステント本体であって、前記ステント本体は、初期状態から拡張された状態に拡張するように適合され、複数の長手方向セルを含み、前記長手方向セルは、対向する端部セルと、前記端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを含む、ステント本体と、
前記長手軸の周りで波状パターンで延在する第1および第2の構造部材を有する、各長手方向セルと、
少なくとも1つの端部セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する、第1および第2の端部コネクタと、
を備え、前記ステント本体の前記初期状態では、前記第1の端部コネクタは、前記長手軸に対して正の第1の斜角で配列され、前記第2の端部コネクタは、前記長手軸に対して負の第2の斜角で配列される、ステント。
(項目15)
前記第1および第2の斜角は、実質的に等しい絶対値を有する、項目14に記載のステント。
(項目16)
前記少なくとも1つの中間セルの前記第1および第2の構造部材を相互接続する複数の中間コネクタを含む、項目14に記載のステント。
(項目17)
前記端部セルのそれぞれを前記少なくとも1つの中間セルに相互接続する複数のセルコネクタを含む、項目16に記載のステント。
(項目18)
前記中間コネクタおよび前記セルコネクタは、前記長手軸に略平行である、項目17に記載のステント。
(項目19)
ステントを形成するプロセスであって、
ステントパターンを形状記憶材料を含む管状部材に形成するステップであって、前記ステントパターンは、対向する端部セルと、前記端部セル間に配置される少なくとも1つの中間セルとを有する、長手方向セルを含み、各セルは、複数の波状支柱を有し、隣接する支柱は、ノードによって相互接続される、ステップと、
前記管状部材をマンドレル上に位置付けるステップであって、前記マンドレルは、円筒形部材を含み、前記管状部材の外壁から半径方向外向きに延在する一連の突起を有する、ステップと、
前記中心軸の周りで、前記管状部材の少なくとも1つの端部を回転させ、前記ノードの少なくともいくつかを表させ、それによって、その円周方向に変位された状態をとる、ステップと、
前記長手方向セルの個別のノードを前記一連の突起上に配列し、前記ノードを前記円周方向に変位された位置に維持するステップと、
前記管状部材を、前記マンドレル上にあるとき、熱に曝し、前記円周方向に変位された位置にある前記ノードとともに、前記管状部材を熱硬化させるステップと、
を含む、プロセス。
(項目20)
ステントを製造する際に使用するためのマンドレルであって、
外壁およびそれを通して中心軸を画定する、円筒形部材と、
前記外壁から半径方向外向きに延在する一連の突起であって、各一連の突起は、前記外壁の周りで、前記中心軸に対して、螺旋パターンで配列され、それぞれ、頂点で収束および終端する対向する側面を有する、突起と、
を備える、マンドレル。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(説明)
本開示のステントは、比較的に多量の歪みおよび移動に曝される、対象の脈管系において特定の用途を有する。例えば、ステントは、対象の臀部領域の脈管系内で使用されるために好適であって、例えば、深部静脈血栓症(DVT)と関連付けられた問題を低減することを支援する。ステントは、慢性静脈閉塞症および/またはメイ・ターナー症候群のために、下大静脈(IVC)、総腸骨、外腸骨、および総大腿静脈内に留置されてもよい。ステントは、静脈系内に特定の用途を有するが、ステントは、冠動脈、末梢動脈、および神経血管系内で使用されてもよい。ステントはまた、上部および下部胃腸管にも用途を有し得る。ステントは、前述の用途のいずれかと併用される装置またはシステムの構成要素であってもよい。
【0020】
本開示の種々の実施形態が、ここで、図面と併せて説明される。本開示をより良く説明する目的のために、図面は、正確な縮尺ではない場合があることを理解されたい。さらに、図のいくつかは、そうでなければ明白とならないであろう特徴を示す目的のために、拡大または曲解された部分を含み得る。
【0021】
最初に、
図1を参照すると、本開示のステント100が、図示される。ステント100は、ステント本体102の長さに延在する中心長手軸「k」と、対向する長手方向端部104、106とを画定する、ステント本体102を含む。ステント本体102は、複数の長手方向セルを含む。長手方向セルは、ステント本体102の個別の長手方向端部104、106に隣接する長手方向端部セル108と、端部セル108間に配置される長手方向中間セル110とを含む。一実施形態では、各長手方向端部104、106における端部セル108は、同じであって、中間セル110は、同じである。ステント本体102は、1つまたはそれを上回る中間セル110を含んでもよい。3つの中間セル110が、示される。
【0022】
図1および2を参照すると、各端部セル108は、長手軸「k」に対して長手方向かつ円周方向に延在し、波状パターンまたは配列を画定する、第1および第2の対向する構造部材112、114を含む。第1および第2の構造部材112、114は、第1および第2の構造部材112、114間に延在し、長手軸「k」に直交する対称軸「m」の周りで、略対称的に配列される。第1および第2の構造部材112、114は、相互に位相がずれてもよい(例えば、90°または180°位相がずれる)。第1および第2の構造部材112、114の対称配列は、鏡面対称であってもよく、またはそうでなくてもよい。
【0023】
図1および2を参照すると、第1および第2の構造部材112、114は、個別の個々の支柱116を含み、円周方向に隣接する支柱116は、頂点またはノード118において相互接続される。支柱116は、略直線状であってもよく、ノード118は、略弧状または円形構成であってもよい。他の構成もまた、想定される。各端部セル108内の支柱116の個別の長さは、同一または若干変動してもよい。支柱116は、支柱116の一端から他端へと幅がテーパ状であるか、または各支柱116の長さに沿って異なる幅を有してもよい(例えば、非テーパ状様式において)。各支柱116の厚さは、略同一または変動してもよい。隣接する支柱116間の間隔もまた、変動してもよい。
【0024】
端部セル108の第1および第2の構造部材112、114は、第1および第2の構造部材112、114の長手方向に隣接するノード118間に延在する、複数の構造端部コネクタ120によって接続される。実施形態では、各構造端部コネクタ120によって相互接続される長手方向に隣接するノード118は、円周方向に隣接する、例えば、第1および第2の構造部材112、114のノード118は、ステント本体102の円周に対して相互に最近接する。一実施形態では、端部コネクタ120は、第1および第2の構造部材112、114の長手方向に隣接するノード118の交互する各対の間に延在する、すなわち、1つおきの対の隣接するノード118が、端部コネクタ120によって接続される。
図3に最良に描写されるように、第1および第2の構造部材112、114を接続する第1の端部コネクタ120aは、長手軸「k」に対して第1の正の斜角「x
1」で延在してもよく、第1および第2の構造部材112、114を接続する第2の円周方向に隣接する端部コネクタ120bは、長手軸「k」に対して第2の負の斜角「x
2」で延在してもよい。斜角「x
1、x
2」の角度の絶対値は、長手軸「k」に対して約5度〜約40度の範囲であってもよい。実施形態では、第1および第2の角度「x1」、「x2」の絶対値は、実質的に同一である。代替として、値は、異なってもよい。実施形態では、第1および第2の端部コネクタ120a、120bは、各端部セル108の円周の周りで、交互様式で配列されてもよい。
【0025】
端部コネクタ120は、ステント本体102の半径方向強度を増加させ、また、ステント本体102が送達カテーテルから「跳開」する可能性を最小限にすることによって、ステント100の展開を促進する。特に、端部セル108の相対的安定性および/または強度は、部分的に、端部コネクタ120の構造、増加する数の端部コネクタ120、および各端部セル108内の交互する角度付けられた配列に起因して、端部セル108が、送達カテーテルから展開されると、ゆっくりと開放し、略漏斗形状を形成し、例えば、隣接する中間セル110全体が暴露されるまで、送達カテーテルから解放されないであろうことを確実にする。
【0026】
第1および第2の端部コネクタ120a、120bは、各端部セル108の閉鎖されたセル区画150を画定する。閉鎖されたセル区画150は、斜線領域として
図2と、
図3の隔離図とに描写される。セル区画150は、支柱116、個別の第1および第2の構造部材112、114のノード118、ならびに第1および第2の端部コネクタ120a、120bを含む。各端部セル108は、ステント本体の直径に応じて、4〜20の閉鎖されたセル区画を有してもよい。セル区画は、以下により詳細に論じられる。
【0027】
ここで、
図1と併せて、
図4を参照すると、中間セル110はまた、端部セル108の第1および第2の構造部材112、114と同様に配列される第1および第2の構造部材122、124を含む。第1および第2の構造部材122、124は、個別の個々の支柱126を含み、円周方向に隣接する支柱126は、頂点またはノード128において相互接続される。支柱126およびノード128の数および/または構成は、中間および端部セル108、110に対して同一であってもよい。
【0028】
各中間セル110の第1および第2の構造部材122、124は、第1および第2の構造部材122、124の長手方向に隣接するノード128間に延在する、複数の構造中間コネクタ130によって相互接続される。一実施形態では、中間コネクタ130は、
図1の非拡張状態にあるときステント本体102の長手軸「k」と略平行関係にある。代替では、中間コネクタ130は、長手軸「k」と斜角関係にあってもよい。実施形態では、各構造中間コネクタ130によって相互接続される長手方向に隣接するノード128は、円周方向に隣接するか、または長手方向に整列される。
【0029】
各中間セル110は、端部セル108内の端部コネクタ120の数より少ない中間コネクタ130を有する。一実施形態では、各中間セル110は、「x」数の中間コネクタ130を含み、各端部セルは、「x+1」数の端部コネクタ120を含む。実施形態では、端部セル108は、中間セル108の中間コネクタ130の数より2倍、または、「2x」の数の端部コネクタ120を含む。一実施形態では、中間コネクタ130は、中間セル110の第1および第2の構造部材122、124の各第4の対の長手方向に隣接するノード128間に延在する。実施形態では、端部セル108は、約6〜12の端部コネクタ120を含み、中間セルは、3〜6つの中間コネクタ130を含む。実施形態では、端部セル108は、6つの端部コネクタ120を含み、中間セル110は、3つの中間コネクタ130を含む。
【0030】
中間セル110の中間コネクタ130は、
図4に斜線領域として描写される、閉鎖されたセル区画160を画定する。各閉鎖されたセル区画160は、支柱126、個別の第1および第2の構造部材122、124のノード128、ならびに第1および第2の中間コネクタ130を含む。各中間セル110は、ステント本体102の直径に応じて、2〜10の閉鎖されたセル区画160を有し、いくつかの実施形態では、端部セル108と比較して半分の数の閉鎖されたセル区画を有してもよい。閉鎖された区画160は、本明細書で以下により詳細に論じられる。
【0031】
再び、
図1および2を参照すると、端部セル108は、複数のセルコネクタ132を介して、隣接する中間セル110に接続される。隣接する中間セル110はまた、複数のセルコネクタ132を介して、相互に接続される。(また、
図4参照)。実施形態では、セルコネクタ132は、中間セル110の中間コネクタ130と実質的に類似の構成であって、非拡張初期状態にあるとき、ステント本体102の長手軸「k」と略平行関係に配列されてもよい。代替では、セルコネクタ132は、長手軸「k」と斜角関係にあってもよい。
【0032】
図1と併せて、
図5を参照すると、ステント本体102は、ノード118、128に対して少なくとも2つの異なる構成を含んでもよい。第1のノードタイプ118a、128aは、端部および中間セル108、110を含む、ステント本体102全体を通して分布される。一実施形態では、第1のノードタイプ118a、128aは、曲率半径「R
1」を有する、略半円形弧状区画を含む。曲率半径「R
1」は、その点において曲線に最良に近似する、円形弧の距離として定義され、ノードの内側縁に沿って測定される。曲率半径「R
1」は、一定であってもよい。実施形態では、曲率半径「R
1」は、非一定半径または複合半径を有する。非一定または複合半径は、有利なことに、ステント本体102によって経験される歪みを分散させ、それによって、特定のノードおよび隣接する支柱の疲労寿命を改善し、その結果、ステント100の全体的疲労寿命を改善することによって、第1のノード118a、128aにかかるピーク歪みを低下させる。第1のノードタイプ118a、128aのさらなる詳細は、本発明の譲受人に譲渡された2103年3月15日出願の米国特許出願第13/834,840号および2103年3月15日出願の第13/834,713号を参照することによって明らかになり得、これらの開示のそれぞれの全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0033】
第2のノードタイプ118b、128bは、内部曲率が欠けているか、または小曲率半径を有するかのいずれかであってもよく、それぞれ、「R
2」として表され、これは、実質的に、第1のノード118a、128aの半径曲率「R
1」未満である。ステント本体102内に第2のノードタイプ118b、128bを組み込む能力は、第1のノードタイプ118a、128aによって提供されるステント本体102内の前述の歪み分散に起因する。したがって、第2のノードタイプ118b、128bは、より少ない歪みを受けるであろうことが想定される。第1および第2のノードタイプの曲率半径の特定の寸法は、ステント102の製造の間にもたらされてもよい。
【0034】
再び、
図1を参照すると、ステント本体は、本体の長手方向端部の両方のうちの一方に複数の小穴134を含んでもよい。小穴134は、端部セル108の個別のノードまたはピーク118から延在する。小穴134は、放射線不透過性材料で充填され、埋込の間およびそれに続いて、ステント本体102の可視化を促進してもよい。
【0035】
ステント100は、ニッケルチタン(例えば、ニチノール)等の任意の好適な形状記憶または超弾性材料から加工されてもよい。実施形態では、超弾性材料は、ステント本体102を、拘束された状態から解放されると、そのオーステナイト記憶状態に拡張させ、所定の展開または拡張された直径をとるように処理される。ステント100は、種々のサイズおよび長さから成ってもよい。静脈用途では、ステントは、10ミリメートル(mm)、12mm、14mm、16mm、18mm、または20mmの直径、および40mm〜150mmの長さであってもよい。他の直径および長さもまた、想定される。
【0036】
図6は、ステント100の製造のためのプロセスを図示する、フロー図である。製造200の本プロセスに従って、定義された直径を有するニチノール管が、選択される(ステップ202)。静脈用途に対して、ステント100は、動脈ステントと比較してより大きい壁厚、例えば、10、12、および14mmステントには0.018インチ、16、18、および20mmステントには0.028インチを要求し得る。管は、次いで、レーザに対して位置付けられる。本明細書に前述されるステント本体102の支柱およびセルパターンを提供するようにプログラムされる、レーザは、長手方向セル、構造部材、支柱、スロット、およびノードを含む、ステントパターンを形成するようにアクティブ化される(ステップ204)。第1のノードタイプ118a、128aを形成するとき、レーザの複数回の通過が、非均一または複合曲率半径「R
1」を生成するために要求され得る。しかしながら、第2のノードタイプ118b、128bの制約された設計に起因して、レーザの単回通過のみ、ノード118a、128aまで延在する隣接する支柱間にスロットを形成するために必要とされる。本明細書に前述されるように、第1のノードタイプ118a、128aの曲率半径「R
1」は、歪みを分散させ、それによって、ステントの疲労寿命を延長させ、第2のノードタイプ118b、128b内の定義された曲率の必要性を排除するように設計される。その結果、レーザの単回通過のみを要求する、第2のノードタイプ118b、128bのこの制約された幾何学形状は、処理の間、この領域内に提示されるバリおよび/または欠陥の数を低減させ、したがって、製造を促進し、ステント100を生産するためのサイクル時間を短縮する。
【0037】
切断された管は、次いで、形状硬化プロセスに曝され、切断された管は、マンドレル上で拡張され、次いで、加熱される(ステップ206)。複数の漸増拡張および加熱サイクルが、ステント本体102を所望の拡張された直径に形状硬化するために使用されることができる。最終拡張直径は、ステント本体の所望の展開される直径と等しくなり得ることが想定される。ステント本体102は、ステント100の長さが、拡張の間、変化しないように軸方向に抑制されてもよい。
【0038】
ステント本体102は、次いで、捻転ステップに曝され、これは、若干の螺旋捻転をステント本体102に付与するステップを伴う(ステップ208)。螺旋捻転の目的の1つは、長手方向に隣接するノードをオフセットさせ、ステント本体102が対象内に埋め込まれ、物理的応力または歪みに曝されるとき、例えば、対象の移動の間、これらのノードが相互に接触する潜在性を最小限にすることである。
【0039】
ここで
図7−9を参照すると、最終拡張プロセスは、その上にレーザ切断されたステント本体102が位置付けられる、捻転マンドレル300を含む。マンドレル300は、ステンレス鋼または剛性ポリマーから製作される、実質的に剛性円筒形部材302を含む。マンドレル300は、中心軸「t」の周りで配列され、外壁304から延在する突起308の複数の連続(series)306を有する、外壁304を含む。突起308の各々の連続306は、外壁304の周りで、かつ中心軸「t」に対して螺旋パターンで配列され、隣接する連続306は、所定の距離を空けて、相互から円周方向に離間される。実施形態では、各隣接する連続306は、同一距離だけ円周方向に離間される。各突起308は、頂点312で収束および終端する対向する側面310を有する、略角錐または三角形形状である(
図7参照)。側面310は、マンドレルの外壁に対して隆起され、例えば、側面310の変位が、頂点312により接近するように、中心軸「t」に対して所定の角度で配列される。突起308は、例えば、レーザを用いて、円筒形部材302に切断され得るか(金属材料の場合)、または射出成形の間に形成されてもよい(ポリマー材料の場合)。
【0040】
図8に最良に描写されるように、それの周りで突起308の連続306が配列される、ねじれ角「j」は、約8度〜約16度であってもよく、約12度であってもよい。ねじれ角「j」は、ステント本体102の長手方向に隣接するノードからオフセットさせるために十分である。突起308の隣接する各頂点312は、拡大された開口314である。開口314は、臨床医が、突起308の頂点312の周りで、ステント本体102のノード118、128を位置付けおよび/または誘導するのを補助し得る。隣接する開口314は、距離「g1」だけ円周方向に離間される。
【0041】
ステント本体102はまた、複数の一連のより小さい誘導開口316を含む。より小さい誘導開口316は、各突起308の基部に長手方向に隣接し、円周方向に隣接する突起308間に配置される。誘導開口316は、突起308の連続306のねじれ角「j」と実質的に同一ねじれ角の周りで配列される。誘導開口316はまた、拡大された開口314間の距離「g1」と実質的に同一である距離「g2」だけ、円周の周りで離間される。誘導開口316は、ステント本体102が、論じられるように、マンドレル300の周りで適切に位置付けられることを確認するのを補助する。
【0042】
ここで
図10−11を参照すると、いったんステント本体102が、最終拡張および捻転のために準備されると、ステント本体102は、指向性矢印「z」によって示されるように、ステント本体102を突起308の方向に前進させることによって、マンドレル300上に位置付けられる。選択された一連の接続されるノード136(接続されるノード136は、端部、中間、またはセルコネクタ120、130、132によって相互接続される任意のノードであってもよい)は、定義されたねじれ角「j」で配列される突起308の連続306と整列される。この位置付けの間、ステント本体102の長手方向端部104、106のうちの1つまたはそれを上回るものは、回転または捻転され、接続されるノードが、突起308上に配置されることを確実にする。拡大された開口314は、接続されるノードの整列を補助し得る。接続されるノード136は、次いで、突起308上に留置され、それによって、突起308は、ステント本体102の接続されるノード136および/または支柱に係合かつ掛止する。拡大された開口314は、接続されるノード136の少なくとも一部を受容し、接続されるノード136との係合を促進し得る。突起308の側面310はまた、隣接する支柱の外形に追従し、支柱に係合し、ステント本体102を突起308に対してさらに保持し得る。
図10の領域「h」は、突起308の周りで接続されるノードの位置付けを図式的に描写する。
【0043】
一実施形態では、1つおきの円周方向に隣接する接続されるノードの連続は、一連の突起308の周りで位置付けられる。この実施形態によると、より小さい誘導開口316は、これらの接続されるノード136が、一連の誘導開口316と整列し、それによって、ステント本体102が、突起308およびマンドレル300に対して適切に整列される、すなわち、これらの接続されるノード136の位置付けが、突起308、拡大された開口314、および誘導開口316のうちの少なくとも1つの位置付けの対称性に起因して、誘導開口316と略整合されるはずであることの視覚的確認を提供することを確実にするために利用される。
図11の領域「f」は、誘導開口316に隣接する接続されるノードの位置付けを図式的に描写する。
【0044】
図12は、マンドレル300上に位置付けられるステント本体102を図示する。1つの一連の接続されるノード136が、一連の突起308と係合され、次の円周方向に隣接する一連の接続されるノード136が、誘導開口316と整列され、任意の突起308に接続されないように描写される。本一連の接続されるノード136は、誘導開口316と略整合される。
【0045】
再び、
図6を参照すると、製造プロセスは、マンドレル300の周りで搭載されるステント本体102を熱処理に曝し、ステント本体102の最終拡張および捻転状態を熱硬化することによって継続される(ステップ210)。ステント本体102は、電気研磨および/またはコーティングの塗布を含む、仕上げならびに/もしくはコーティングプロセス(ステップ212)に曝されてもよい。
【0046】
ステント200の製造のための前述のプロセスは、修正されてもよい。例えば、ステップ210は、ステント管をその最終直径まで拡張させてもよく、またはそうでなくてもよいことが想定される。さらに、ステップ206は、ステップ210において生じるその最終直径までのステント管の拡張によって排除されてもよい。
【0047】
ステント100の使用について、ここで、論じられる。ステント100は、送達カテーテル上に搭載される。従来、当技術分野において公知のように、ステント100は、後退可能シースによって、送達カテーテル上で
図1の初期状態に拘束され得る。送達カテーテルは、ステント100を展開部位(例えば、脈管の狭窄領域)まで前進させるために使用されることができる。展開部位において、シースは、後退され、それによって、ステント100を解放する。いったん解放されると、ステント100は、その展開された直径または拡張された状態に自己拡張する。
【0048】
図13は、最終拡張状態におけるステント100を図示する。
図13では、ステント100は、展開され、平坦シートとして、平面図に描写される。拡張されたステント100は、端部セル108および中間セル110を含む。端部セル108はそれぞれ、複数の閉鎖されたセル区画150を含む。
図14に描写されるように、各セル区画150は、1)第1のノード118/端部コネクタ120または谷部118aから第2のノードもしくはピーク118bまで延在する、第1の支柱116aと、2)第2のピーク118bから第3のノードまたは谷部118cまで延在する、第2の支柱116bと、3)第3の谷部118cから第4のノードまたはピーク118dまで延在する、第3の支柱116cと、4)第4のピーク118dから第5のノード118e/端部コネクタ120または谷部118eまで延在する、第4の支柱116dと、5)第5の谷部118eから第6のノードまたはピーク118fまで延在する、第5の支柱116eと、6)第6のピーク118fから第7のノードまたは谷部116gまで延在する、第6の支柱116fと、7)第7の谷部118gから第8のノードまたはピーク118hまで延在する、第7の支柱116gと、8)第8のピーク118hから第1の谷部118aまで延在し、閉鎖されたセル区画150を完成する、第8の支柱116hとを含むように示される。端部セル108は、例えば、6〜12の閉鎖されたセル区画150、実施形態では、6つのセル区画150を有する、任意の数の閉鎖されたセル区画を含んでもよい。
【0049】
再び、
図13を参照すると、各中間セル110は、端部セル108の一般的パターンに追従する。パターンは、本明細書では、明確にするために、繰り返されない。しかしながら、各中間セルは、16の支柱、8つのピーク、および8つの谷部(そのうちの2つは、中間コネクタ130によって画定される)を有する、セル区画160(斜線で示される)を含む。各中間セル110は、3〜6つの閉鎖されたセル区画160を有してもよい。実施形態では、各中間セル110は、3つのセル区画160を含む。いくつかの実施形態では、中間セル110は、端部セル108のセル区画150の数と比較して、半分の数の閉鎖されたセル区画160を含む。
【0050】
図13に描写されるステント本体の拡張された状態では、長手方向に隣接する端部および中間セル108、110の長手方向に隣接するノード118、128は、略長手方向整列状態にある。しかしながら、各中間セル110内の長手方向に隣接するノード128(例えば、
図13における128a、128b)は、円周方向に変位または誤整列されてもよい。円周方向変位は、ステント本体102の円周または周縁に沿って生じる変位である。加えて、隣接する中間セル110間に延在する、円周方向に隣接するセルコネクタ132a、132b(例えば、ステント本体102の円周に対して最近接するセルコネクタ132a、132b)は、円周方向に変位される。この特徴は、マンドレルを用いた熱硬化プロセスによって提供される。中間セル110内のオフセットノード128a、128b(
図13)は、対象の血管系内にあるとき、隣接するノードの最小限の接触または「ノードノッキング」を伴って、ステント本体102の撓曲を可能にする。これは、ステント100の疲労寿命を改善する。
【0051】
端部セル108および中間セル110を含む、ステント本体102の構成は、例えば、対象の静脈系内に留置されると、実質的利点を提供する。端部セル108のコネクタ120の増加した存在または数は、安定性および半径方向強度をステント本体102の長手方向端部104、106に提供する。端部セル108のこの増加した安定性は、有利なことに、送達カテーテルからの展開の際に端部セル108の跳開または早期「拡開」を防止する。したがって、ステント100の展開の制御は、促進される。加えて、少なくとも、ステント100の端部セル108は、ステント100が、動作部位に対して再位置付けされる必要がある場合でも、送達カテーテルの管腔内により容易に再格納または帰還され得る。中間セル110内の相対的に減少した数のコネクタ130は、静脈部位内の埋込のために要求される必要可撓性を提供し、四肢、骨盤、臀部等の移動に適応させる。
【0052】
多数の他の修正も、ステント100とともに可能である。例えば、ステント100は、内側または外側スリーブ(ポリエステル布地またはePTFE等)のいずれかを用いて裏打ちされ、組織成長を促進してもよい。また、ステント100の少なくとも一部は、白金、金、タングステン、またはタンタル等の放射線不透過性コーティングでコーティングされてもよい。前述の材料に加え、ステント100は、限定ではないが、MP35N、タンタル、白金、金、Elgiloy、およびPhynoxを含む、他の材料から形成されてもよい。
【0053】
付随の図に開示される特徴のための想定される使用は、自己拡張式ステントのものに関するが、これらの特徴はまた、非自己拡張式ステント(例えば、ステンレス鋼等の材料から作製される、バルーン拡張式ステント)と併用されるときも利点を有する。
【0054】
前述から、かつ種々の図面を参照すると、当業者は、特定の修正もまた、本開示の範囲から逸脱することなく、そこになされてもよいことを理解し得る。本開示は、付随の図に示される実施形態に限定されることを意図せず、本開示は、当該分野が許容するものと同程度の広さの範囲であって、明細書も同様に読まれることが意図される。したがって、前述の説明は、限定としてではなく、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および精神内において、他の修正も想起し得る。