(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
粘度
本発明の組成物は、油中水型エマルションであって、1カ月室温(20〜25℃)で静止させた後の粘度が、300mPa.s〜600mPa.s、好ましくは320mPa.s〜400mPa.sの範囲の値を有する、油中水型エマルションである。
粘度がこの範囲よりも低い又は高い場合、エマルションは経時的安定性が不十分である。
上記で示したように、粘度の測定は、製品を1カ月室温(20〜25℃)で保管後、一定の温度20℃で維持される部屋で24時間保管した後に行う。
使用される粘度計は、Lamy社のRheomat 200である。
測定原理は、一定速度で回転する浸漬要素(動体又は測定体)を使用して、流体の抵抗に打ち勝つために必要とされるペアを決定することに基づく。
可動部は、測定が常に10duから90du(偏差単位の整数(integer of deviation units))の間となるように選択される。本発明の枠組みでは、動体2(1(より流動性)から5(より粘性)の範囲で動く)が一般に使用される。
製品は、選択された動体に適合したバケット内に投入され、サーモスタット制御水槽を使用して、温度25℃で維持される。
機器は、次の通りプログラムされる。
モード:手動
測定システム:75(使用される動体にかかわらず、固定のパラメータであり、Lamy社によってプログラムされている)
回転速度:200rpm
10分間の動体の回転後に読み取りを行う。
【0012】
オルガノ修飾クレイ
本発明の組成物は、エマルションの油性外相中に分散した少なくとも1種のオルガノ修飾クレイを含有する。
本発明の枠組みでは、用語「オルガノ修飾クレイ」は、少なくとも1種の有機基によって化学的に修飾されたクレイを示す。
本発明の組成物は、オルガノ修飾クレイ、又はクレイの性質及び/若しくは化学的修飾の性質に関して異なる複数のオルガノ修飾クレイの混合物を含有してもよい。
クレイは、それ自体既に周知の生成物であり、これは例えば、著作物「Mineralogie des argiles、S. Caillere、S. Henin、M. Rautureau、第2版、1982年、Masson」に記載されており、その教示は、参照として本明細書に含まれる。
本発明の組成物で使用できるクレイの例として、カオリナイトファミリーのクレイ、例えばカオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトファミリーのクレイ、ドンバッサイト、アンチゴライト、ベルチェリン、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、バーミキュライト、タルク、スチブンサイト、場合により修飾されているヘクトライト(スメクタイト)、サポナイト、クロライト、セピオライトを挙げることができる。
本発明の組成物中に存在するクレイは、天然又は合成であってもよい。天然クレイは、大部分が特定の鉱物、一般にアルミニウムのケイ酸塩で構成される堆積岩である。したがって、カオリンは天然クレイである。
本発明によれば、好ましくは、C10〜C22塩化アンモニウムによって修飾されたヘクトライトであるオルガノ修飾クレイが使用され、このオルガノ修飾クレイは、組成物中に導入される前に、粉末状の形態、又は活性剤の使用により揮発性若しくは不揮発性油中に予め分散(pre-dispersion)した形態を有し得る。
粉末の形態のオルガノ修飾クレイの例として、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライト、例えば商品名Bentone 38 VCGでELEMENTIS社により市販されているもの、及びステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドによって修飾されたヘクトライト、例えば商品名Bentone 27 VCGでELEMENTIS社により市販されているものを挙げることができる。
予め分散した形態のオルガノ修飾クレイの例として、下記のELEMENTIS社の参照名を挙げることができる。
- ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトであって、シクロペンタシロキサン中に分散し、エタノールによって活性化されたもの、例えば商品名Bentone Gel VS 5 V HVで市販されているもの、
- ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトであって、イソドデカン中に分散し、プロピレンカルボネートによって活性化されたもの、例えば商品名Bentone Gel ISD Vで市販されているもの、及び
- ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトであって、イソヘキサデカン中に分散し、プロピレンカルボネートによって活性化されたもの、例えば商品名Bentone Gel IHD Vで市販されているもの。
【0013】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、オルガノ修飾クレイとして、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトであって、イソドデカン中に分散し、プロピレンカルボネートによって活性化されたヘクトライトを含む。
【0014】
オルガノ修飾クレイは、組成物の総質量に対して、組成物中0.5質量%〜1.0質量%、好ましくは0.55質量%〜0.8質量%、更により好ましくは0.6質量%〜0.7質量%の範囲の含有率で存在する。
【0015】
シリコーン樹脂で被覆されたシリコーンエラストマー粉末
本発明の組成物は、シリコーン樹脂で被覆された少なくとも1種のシリコーンエラストマー粉末を含む。したがって、本発明の組成物は、シリコーン樹脂で被覆されたシリコーンエラストマー粉末、又はシリコーン樹脂で被覆された複数の異なるシリコーンエラストマー粉末の混合物を含み得る。
【0016】
一実施形態によれば、シリコーンエラストマー粉末は球状である。
「シリコーンエラストマー」及び「オルガノポリシロキサンエラストマー」は、互換的に記述される。
オルガノポリシロキサンエラストマーは架橋されており、特に白金触媒の存在下で、少なくとも1つのケイ素結合水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素結合エチレン性不飽和基を有するジオルガノポリシロキサンとの付加架橋反応によって、又は特に有機スズの存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと、少なくとも1つのケイ素結合水素を含有するジオルガノポリシロキサンとの脱水素縮合架橋反応によって、又はヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノポリシランとの縮合架橋反応によって、又は特に有機過酸化物触媒の存在下で、オルガノポリシロキサンの熱架橋によって、又はγ線、紫外線、電子線等の高エネルギー照射によるオルガノポリシロキサンの架橋によって得ることができる。
好ましくは、エラストマー架橋オルガノポリシロキサンは、特に白金触媒(C2)の存在下で、少なくとも2つのケイ素結合水素を含有するジオルガノポリシロキサン(A2)と、少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するジオルガノポリシロキサン(B2)との付加架橋反応によって得ることができ、これは、例えば出願EP0295886に記載されている。
特に、オルガノポリシロキサンは、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端メチルヒドロゲノポリシロキサンとを、白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。
【0017】
化合物(A2)は、エラストマーオルガノポリシロキサンの形成のためのベースとなる試薬であり、架橋は、触媒(C2)の存在下で化合物(A2)と化合物(B2)の付加反応によって行われる。
化合物(A2)は、有利には、少なくとも2つの低級アルケニル基(例えばC2〜C4)を有するジオルガノポリシロキサンであり、低級アルケニル基は、ビニル、アリル、及びプロペニル基から選択することができる。これらの低級アルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子のどの位置にあってもよいが、好ましくは、オルガノポリシロキサン分子の末端に位置する。オルガノポリシロキサン(A2)は、分枝鎖、直鎖、環式又は網状構造を有することができるが、直鎖構造が好ましい。化合物(A2)は、液体状態からガム状態の範囲の粘度を有することができる。好ましくは、化合物(A2)は、25℃で、粘度が少なくとも100センチストークスである。
オルガノポリシロキサン(A2)は、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーから選択され得る。
化合物(B2)は、特に、少なくとも2つのケイ素結合水素原子を各分子内に有するオルガノポリシロキサンであるので、化合物(A2)の架橋剤である。
有利には、化合物(A2)の1分子当たりのエチレン基の数と、化合物(B2)の1分子当たりのケイ素結合水素原子の数との総和は、少なくとも4である。
化合物(B2)は、任意の分子構造、特に直鎖、分枝鎖、環式構造であってもよい。
化合物(B2)は、特に化合物(A)と混和性であるように、25℃での粘度が1〜50,000センチストークスの範囲であってもよい。
化合物(B2)は、化合物(B2)のケイ素結合水素原子の総量と、化合物(A2)の全てのエチレン性不飽和基の総量との間の分子比が、1/1〜20/1の範囲内であるような量で添加されることが有利である。
化合物(B2)は、トリメチルシロキシ末端メチルヒドロゲノポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環式コポリマーから選択することができる。
化合物(C2)は、架橋反応の触媒であり、特に塩化白金酸、塩化白金酸-オレフィン酸錯体(chloroplatinic-olefin acid complexes)、塩化白金酸-アルケニルシロキサン酸錯体(chloroplatinic-alkenylsiloxane acid complexes)、塩化白金酸-ジケトン酸錯体(chloroplatinic-dicetone acid complexes)、白金黒(black platinum)及び担持白金(supported platinum)である。
触媒(C2)は、好ましくは、清浄(clean)な白金族金属として、化合物(A2)及び(B2)の総量1000質量部に対して、0.1〜1000質量部、より良好には1〜100質量部添加される。
他の有機基が、上記のオルガノポリシロキサン(A2)及び(B2)において、ケイ素結合していてもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル等のアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル等の置換アルキル基;フェニル、トリル、キシリル等のアルキル基;フェニルエチル等の置換アリール基;及びエポキシ基、エステルカルボキシレート基、メルカプト基等の一価の置換炭化水素基がケイ素結合していてもよい。
【0018】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、フェニル基を含まない(「非フェニル化」と称される)少なくとも1種のエラストマーオルガノポリシロキサン粉末を含む。
組成物は、フェニルを含む(「フェニル化」と称される)別のエラストマーオルガノポリシロキサン粉末を更に含んでもよく、非フェニル化エラストマーオルガノポリシロキサン粉末/フェニル化エラストマーオルガノポリシロキサン粉末の比率は、好ましくは1よりも大きい。
【0019】
有利には、エラストマーオルガノポリシロキサン粉末は、非乳化性である。
用語「非乳化性」は、ポリオキシアルキレン又はポリグリセロール化パターン等の親水性鎖を全く含有しないオルガノポリシロキサンエラストマーを定義する。
【0020】
シリコーンエラストマー粒子は、好ましくは球状であり、平均径が0.1μm〜500μm、好ましくは3μm〜200μm、更により良好には10μm〜20μmであってもよい。
本発明によれば、粒子の平均径は、粒子分析器によって測定され、得られる値は体積に基づいており、球状粒子として算出される。
粒子は、JIS-A硬度が80以下(特に5〜80の範囲)、好ましくは65以下(特に5〜65の範囲)であってもよい。JIS-A硬度は、日本工業標準調査会により確立されたJIS K 6301(1995)法により測定される。
本発明のシリコーン樹脂で被覆されたシリコーンエラストマー粉末は、特に、出願JP61-194009、EP0242219、EP0295886、及びEP0765656に記載されている。
【0021】
エラストマーオルガノポリシロキサン粉末は、シリコーン樹脂で被覆されている。
好ましい実施形態によれば、シリコーン樹脂は、例えば、特許US5538793に記載されるシルセスキオキサン樹脂であってもよい。
【0022】
シリコーン樹脂で被覆されたこのようなシリコーンエラストマー粉末は、特に、商品名KSP 100、KSP 101、KSP 102、KSP 103、KSP 104、及びKSP 105で、信越化学工業株式会社によって販売されており、INCI名「ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー」を有する。
【0023】
シリコーン樹脂で被覆されたシリコーンエラストマー粉末は、組成物の総質量に対して、前記組成物中5質量%〜12質量%、好ましくは6質量%〜10質量%、更により好ましくは7質量%〜9質量%の範囲の含有率で存在する。
【0024】
シリコーン界面活性剤
本発明の組成物は、上記で定義されたような一般式(I)の主鎖の2つの末端(α-ωとして置換)に親水鎖を含有する化学構造によって特徴付けられる、少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含有する。
また、組成物は、上記で定義された式(I)の複数のシリコーン界面活性剤の混合物を含んでもよい。
【0025】
本出願の枠組みでは、シリコーン界面活性剤又はα-ω置換オキシアルキレンシリコーンは、互換的に記述される。
【0026】
好ましくは、本発明に従って使用されるα-ω置換オキシアルキレンシリコーンは、上記で記述される一般式(I)(式中、
- R
2基の全てはメチル基であり、
- pは、2〜4の範囲であり、
- xは、3〜100の範囲であり、
- mは、50〜200の範囲である)を有する。
【0027】
より好ましくは、R基の平均分子量は800〜2,600の範囲である。
好ましくは、C
2H
4O(x)単位のC
3H
6O(y)単位に対する質量比は、100:10〜20:80の範囲である。有利には、この比は、約42/58である。
更に好ましくは、R
1はメチル基である。
【0028】
更により好ましくは、本発明によるエマルションは、次式のα-ωオキシアルキレンシリコーン
【0030】
(式中、
- m=100であり、
- R=(CH
2)
3-O-(C
2H
4O)
x-(C
3H
6O)
y-CH
3であり、
xは3〜100の範囲であり、yは1〜50の範囲であり、C
2H
4Oの数のC
3H
6Oの数に対する質量比が、約42/58であり、Rの平均分子量が、800〜1000の範囲である)を含む。
【0031】
本発明に従って乳化剤として使用できるα-ω置換オキシアルキレンシリコーンを全部又は一部に含有し得る既製の製品の中でも、特に商品名「Abil EM 97」及び「Abil EM 97 S」でEvonik Goldschmidt社によって販売されているもの、又は「KF 6009」、「X22-4350」、「X22-4349」若しくは「KF 6008」で信越化学工業株式会社によって販売されているものを挙げることができる。
【0032】
シリコーン界面活性剤は、組成物の総質量に対して、組成物中1.4質量%〜3.0質量%の活性材料、好ましくは1.5質量%〜2.5質量%、更により好ましくは1.6質量%〜2.2質量%の範囲の含有率で存在する。
【0033】
水性相
本発明の組成物は、水性相も含み、この水性相は、少なくとも水を、組成物の総質量に対して、15質量%〜25質量%、好ましくは17質量%〜20質量%の範囲の含有率で含む。
また、本発明に適した水は、天然の湧水であっても、又はフローラルウォーターであってもよい。特に、本発明に適した水は、フローラルウォーター、例えばコーンフラワーウォーター、並びに/又はミネラルウォーター、例えばVITTELの水、LUCASの水、若しくはLA ROCHE POSAYの水及び/若しくは湧水であってよい。
【0034】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、水に混和性の少なくとも1種の有機溶媒を更に含んでもよい。
水に混和性のこの有機溶媒、特に溶媒は、下記から選択することができる。
- 1〜8個の炭素原子、特に、2〜5個の炭素原子を有するモノ-アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、
- 2〜8個の炭素原子を含むグリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール及びカプリリルグリコール、
- ポリエチレングリコール、
- 2〜8個の炭素原子を有する多価アルコール、例えばグリセロール、並びに
- 後者の混合物。
【0035】
水に混和性のこの有機化合物は、好ましくは、C2〜8のグリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール及びカプリリルグリコール、ポリエチレングリコール、並びにC2〜8の多価アルコール、例えばグリセロールから選択される。
【0036】
また、水性相は、活性剤、着色剤、塩、例えば塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウム、ゲル化剤、保存剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含有してもよい。また、水性相は、化粧料で一般に使用される任意の他の水溶性添加剤を含んでもよい。
【0037】
一実施形態によれば、水性相は、組成物の総質量に対して、23質量%〜43質量%、好ましくは27質量%〜35質量%に相当する。
【0038】
エタノール
また、本発明の組成物は、水性相中にエタノールを、組成物の総質量に対して、8質量%〜18質量%、好ましくは10質量%〜15質量%の範囲の含有率で含む。
【0039】
油性相
本発明による組成物の油性相(又は脂肪相)は、少なくとも1種の油を含む。油は、単一の油からなっていても、複数の油の混合物からなっていてもよい。用語「油」は、室温(20〜25℃)及び大気圧で液体形態にある任意の脂肪物質(fatty substance)を意味すると意図される。これらの油は、動物、植物、鉱物又は合成由来のものであってもよい。
【0040】
一実施形態によれば、油性相は、組成物の総質量に対して、21質量%〜70質量%、好ましくは40質量%〜60質量%に相当する。
【0041】
一実施形態によれば、油は、炭化水素油、シリコーン油、フッ素化油、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明によれば、用語「炭化水素油」は、主に水素原子及び炭素原子を含む油を示す。
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を示す。
用語「フッ素化油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を示す。
油は、任意選択で、酸素、窒素、硫黄、及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル又は酸基の形態で含んでいてもよい。
一実施形態によれば、本発明による組成物の油性相は、少なくとも1種の揮発性油及び/又は少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0042】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、前記組成物の総質量に対して、21質量%〜70質量%、好ましくは40質量%〜60質量%の油を含む。
【0043】
揮発性油
一実施形態によれば、本発明による組成物の油性相は、少なくとも1種の揮発性油を含む。本発明による組成物の油性相は、複数の揮発性油の混合物を含んでいてもよい。
用語「揮発性油」は、室温及び大気圧で、皮膚と接触して1時間未満で蒸発しやすい油を示す。揮発性油は、特に室温及び大気圧でゼロでない蒸気圧を有する、特に蒸気圧が0.13Pa〜40,000Pa(10
-3〜300mmHgで)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的には1.3Pa〜1,300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲である、室温で液体である美容用の揮発性油である。
更に、揮発性油は、一般に、大気圧で測定される沸点が150℃〜260℃の範囲、好ましくは170℃〜250℃の範囲である。
揮発性油は、炭化水素、シリコーン、又はフッ素化油であってもよい。
揮発性炭化水素油としては、C8〜C16分枝状アルカン、例えばイソアルカン(イソパラフィンとも称される)、イソドデカン、イソヘキサデカン、並びにC9〜C17直鎖状アルカン、例えばドデカン(C12)及びテトラデカン(C14)であって、それぞれ参照名PARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97でSasol社によって市販されているものを挙げることができる。
揮発性炭化水素油の中では、イソドデカンが好ましい。
【0044】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性炭化水素油を含む。好ましくは、組成物は、少なくとも1種のC8〜C16分枝状アルカン、好ましくはイソドデカンを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜25質量%の揮発性炭化水素油を含む。
【0045】
揮発性シリコーン油としては、2〜7個のケイ素原子を有する直鎖状又は環式のシリコーン油を挙げることができ、これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を任意選択で含む。
例としては、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサンを挙げることができる。
揮発性シリコーン油の中では、ドデカメチルペンタシロキサンが好ましい。
【0046】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油を含む。好ましくは、組成物は、少なくともドデカメチルペンタシロキサン及び/又はシクロヘキサシロキサンを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜69質量%、好ましくは20質量%〜35質量%の揮発性シリコーン油を含む。
【0047】
不揮発性油
一実施形態によれば、本発明による組成物の油性相は、少なくとも1種の不揮発性油を含む。本発明による組成物の油性相は、複数の不揮発性油の混合物を含んでいてもよい。
用語「不揮発性油」は、室温及び大気圧で皮膚又はケラチン繊維に残留する油を示す。より詳細には、不揮発性油の蒸発速度は、厳密に0.01mg/cm
2/分未満である。
この蒸発速度を測定するためには、直径7cmであり、温度25℃に管理され、湿度測定で50%相対湿度に管理されたほぼ0.3m
3の大きいチャンバに配置されたスケールに置かれた晶析装置に、試験される15gの油又は油混合物を導入する。液体を放置して、撹拌せずに、前記油又は前記混合物を含む晶析装置の真上に配置され、ブレードが、晶析装置の基部に対して20cmの距離で、晶析装置に向けられたファン(PAPST-MOTOREN社、参照名8550N、2700rpmで回転)を用いて換気することにより自然に蒸発させた。晶析装置に残っている油の質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位面積(cm
2)当たり、及び単位時間(分)当たりの蒸発した油mgで表される。
不揮発性油は、特に、不揮発性炭化水素、フッ素化及び/又はシリコーン油から選択され得る。
【0048】
不揮発性炭化水素油の中で、天然油又は天然由来の油、例えばパラフィン油又はワセリン、植物油、例えばアルガン油、クロフサスグリ油、ヒマワリ油、アンズ油、スウィートアーモンド油、ホホバ油及びマカダミア油を挙げることができる。
また、合成油、例えばエステル、例えばイソデシルネオペンタノエート、イソノニルイソノナノエート及びオクチルドデシルネオペンタノエート、エーテル、例えばジカプリルエーテル、又はアルコール、例えばヘキシルデカノール若しくはオクチルドデカノールも挙げることができる。
【0049】
不揮発性シリコーン油の中でも、ポリジメチルシロキサン、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、又はアルキルジメチコン、例えばセチルジメチコンを挙げることができる。
【0050】
不揮発性フッ素化油の中でも、フッ素化シリコーン及びペルフルオロポリエーテルを挙げることができる。
【0051】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含む。好ましくは、組成物は、少なくともドデカメチルペンタシロキサン及び/又はシクロヘキサシロキサンを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%の不揮発性シリコーン油を含む。
【0052】
一実施形態によれば、油性相は、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油、不揮発性シリコーン油、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0053】
顔料
本発明による組成物は、少なくとも1種の顔料、特に鉱物顔料を更に含んでもよい。
したがって、組成物は、単一の鉱物顔料、又は複数の鉱物顔料の混合物を含んでいてもよい。
【0054】
一実施形態によれば、鉱物顔料は、金属酸化物顔料、複合顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、鉱物顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、第二鉄青、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
好ましい実施形態によれば、鉱物顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、本発明による組成物は、酸化チタン及び酸化鉄の混合物を含む。
【0056】
本発明によれば、本発明の組成物は、複合顔料、すなわち1つ又は複数の鉱物顔料と、1つ又は複数の鉱物又は有機フィラーとの会合で構成される顔料も含んでもよい。
一実施形態によれば、複合顔料は、シリカ又はアルミナで被覆された酸化鉄又は酸化チタン、有機化合物、例えばセルロースで被覆された酸化鉄又は酸化チタン、シリカビーズを酸化鉄又は酸化チタンで被覆することにより生じる顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
好ましくは、顔料の含有率は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から20質量%の間、好ましくは5.0質量%から15.0質量%の間である。
【0058】
好ましい実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、親油性化合物で被覆された顔料粒子を含み、これらの粒子は、同一であっても異なっていてもよい。したがって、本発明による組成物は、異なる種類の顔料粒子の混合物を含むことができる。
顔料の粒径は、厳密に100nmより大きい。
本発明によれば、粒子の「径(size)」という用語は、そのD50を示す。体積基準のD50又はメジアン径は、粒子の体積に対して50%がD50未満の径を有するように定義された粒径に相当する。
体積基準メジアン径は、Malvern社のMasterSizerというレーザー粒度分布計を使用した光回折によって評価することができ、評価中の前記粒子は、液体媒体、例えばオクチルドデシルネオペンタノエート中に分散される。
一実施形態によれば、本発明による顔料粒子の径は、100nm〜25μm、好ましくは200nm〜10μmの範囲である。
顔料は疎水被覆され、エマルションの油性相中、すなわち外相中にある。
【0059】
好ましくは、組成物は、少なくとも1種の親油性化合物で被覆された無機顔料を少なくとも含み、特に、少なくとも1種の親油性化合物で被覆された、酸化チタン及び酸化鉄を少なくとも含む。
【0060】
本発明によれば、本発明による顔料の被覆は、一般的に、顔料の完全な、又は部分的な表面処理を示し、この表面処理は、表面剤が前記顔料に吸収、吸着、又はグラフト化されることによる。
本発明による顔料粒子の被覆は、部分的であっても完全であってもよい。本発明の範囲内において、用語「部分的に被覆されている」は、顔料が、少なくとも1つの被覆層を用いて、前記顔料の表面が50%〜99.9%の割合で被覆されていることを示す。
本発明によれば、顔料の被覆は、1つ又は複数の親油性化合物、及び任意選択で1つ又は複数の非親油性化合物も含んでいてよい。
【0061】
表面処理されている顔料は、当業者に周知の化学的、電子的、機械化学的、又は機械的表面処理技術を使用して調製できる。市販品も使用できる。
表面剤は、溶媒蒸発、化学反応、又は共有結合の生成によって、顔料に吸収、吸着、又はグラフト化され得る。
代替の一実施形態によれば、表面処理は、固体粒子被覆からなる。
被覆は、被覆された顔料の総質量の0.1質量%〜20質量%、特に、0.5質量%〜5質量%に相当し得る。
被覆は、例えば、固体粒子の表面に液体表面剤を吸着させることにより実施できるが、これは、メイクアップ又はトリートメント組成物のその他の原料に粒子を組み込む前に、任意選択で加熱しながら、粒子及び前記表面剤を撹拌しながら単に混合するだけで実施できる。
被覆は、例えば、表面剤と固体顔料粒子の表面との化学反応、及び表面剤と粒子との間における共有結合の生成によって実施できる。この方法は、具体的には、特許US4,578,266に記載されている。
化学的表面処理は、揮発性溶媒で表面剤を希釈する工程、この混合物に顔料を分散させる工程、次いで、表面剤が顔料の表面に付着するように、揮発性溶媒を徐々に蒸発させる工程からなっていてもよい。
【0062】
親油性又は疎水性処理剤
本発明の特定の一実施形態によれば、顔料は、本発明に従って、シリコーン表面剤、フッ素化表面剤、フルオロシリコーン表面剤、金属石鹸、N-アシル化アミノ酸及びその塩、レシチン及びその誘導体、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、イソステアリルセバセート、植物又は動物性天然ワックス、極性合成ワックス、脂肪エステル、リン脂質、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の親油性化合物で被覆されてもよい。
【0063】
シリコーン表面剤
特定の一実施形態によれば、顔料は、シリコーン化合物で完全に又は部分的に表面処理されていてもよい。
シリコーン表面剤は、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン-アクリレートコポリマー、シリコーン樹脂、及びそれらの混合物から選択され得る。
オルガノポリシロキサンという用語は、交互にケイ素原子及び酸素原子を含み、かつケイ素原子と結合した有機基を含む構造を有する化合物を示す。
シリコーン化合物で処理されている顔料の例として、以下の処理をされた顔料を挙げることができる。
- トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばAS表面処理(LCW社)及びOTS表面処理(大東化成工業株式会社)、
- メチコン処理、例えばSI表面処理(LCW社)、
- ジメチコン処理、例えばCovasil 3.05(LCW社)又はSA(三好化成株式会社)又はSI01(大東化成工業株式会社)表面処理、
- ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばCovasil 4.05表面処理(LCW社)、並びに
- アクリレートコポリマー/ジメチコン処理、例えばASC表面処理(大東化成工業株式会社)。
【0064】
フッ素化表面剤
顔料は、フッ素化化合物で完全に、又は部分的に表面処理されていてよい。
フッ素化表面剤は、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロポリエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロアルキルシラザン、ヘキサフルオロプロピレンポリオキシド、又はペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサンから選択され得る。
フッ素化化合物で処理されている市販顔料の例として、以下の処理をした顔料を挙げることができる。
- ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えば、FHC表面処理(LCW社)、及び
- ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、PF表面処理(大東化成工業株式会社)。
【0065】
フルオロシリコーン表面剤
顔料は、フルオロシリコーン化合物で完全に、又は部分的に表面処理されていてよい。
フルオロシリコーン化合物は、ペルフルオロアルキルジメチコン、ペルフルオロアルキルシラン、及びペルフルオロアルキルトリアルコキシシランから選択され得る。
フルオロシリコーン化合物で処理されている市販顔料の例として、以下の処理を施された顔料を挙げることができる。
- アクリレートコポリマー/ジメチコン及びペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、FSA表面処理(大東化成工業株式会社)、
- ポリメチル水素シロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、FS01表面処理(大東化成工業株式会社)、
- オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、FOTS表面処理(大東化成工業株式会社)、並びに
- ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン処理、例えば、FHS表面処理(大東化成工業株式会社)。
【0066】
他の親油性表面剤
疎水性処理剤は、金属石鹸、例えば、ジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタメートのアルミニウム塩から選択されてもよい。
金属石鹸として、具体的には、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、特に12〜18個の炭素原子を有する脂肪酸の金属石鹸を挙げることができる。
金属石鹸の金属は、具体的には、亜鉛又はマグネシウムであってよい。金属石鹸として、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物を使用してよい。
脂肪酸は、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸から選択され得る。
疎水性処理剤は、8〜22個の炭素原子を有するアシル基、例えば、2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はココイル基を含み得るN-アシル化アミノ酸又はその塩から選択されてもよい。
アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであってもよい。
これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム、又はカリウム塩であってよい。
【0067】
このように、特に好ましい一実施形態によれば、N-アシル化アミノ酸誘導体は、具体的にはグルタミン酸誘導体及び/又はその塩のいずれか、より具体的には、ステアロイルグルタメート、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムであってよい。
好ましい一実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムで処理することにより得られる顔料粒子を含む。特に、化粧用組成物は、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムで被覆された酸化鉄及び/又は酸化チタンを含み得る。
【0068】
また、疎水性処理剤は、以下のものから選択されてもよい。
- レシチン及びその誘導体、
- イソプロピルトリイソステアリルチタネート、
- イソステアリルセバセート、
- 植物若しくは動物性天然ワックス、又は極性合成ワックス、
- 脂肪エステル、特にホホバエステルを有するもの、
- リン脂質、並びに
- それらの混合物。
【0069】
上で定義した化合物で処理されている市販顔料の例として、例えば以下の処理を施された顔料を挙げることができる。
- ラウロイルリジン処理、例えば、LL表面処理(LCW社)、
- ラウロイルリジンジメチコン処理、例えば、LL/SI表面処理(LCW社)、
- ミリスチン酸マグネシウム処理、例えば、MM表面処理(LCW社)、
- ステアリン酸マグネシウム処理、例えば、MST表面処理(大東化成工業株式会社)、
- 水添レシチン処理、例えば、HLC表面処理(LCW社)、
- ジミリスチン酸アルミニウム処理、例えば、MI表面処理(三好化成株式会社)、
- イソステアリルセバセート処理、例えばHS表面処理(三好化成株式会社)、
- ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば、NAI表面処理(三好化成株式会社)、
- ジラウラミドグルタミドリジンナトリウム処理、例えば、ASL表面処理(大東化成工業株式会社)、
- ジメチコン/ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば、SA/NAI表面処理(三好化成株式会社)、
- 水添ステアリルオリーブエステル処理、例えば、MiyoNAT表面処理(三好化成株式会社)、
- ラウロイルリジン/トリステアリン酸アルミニウム処理、例えば、LL-StAl表面処理(大東化成工業株式会社)、
- イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えば、ITT表面処理(大東化成工業株式会社)、又は
- ペルフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えば、PF+ITT表面処理(大東化成工業株式会社)。
【0070】
少なくとも1種の親油性化合物を用いて、本発明に従って被覆された顔料は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜20質量%、好ましくは5質量%〜15質量%の範囲の濃度で本発明による組成物に存在し得る。
【0071】
添加剤
本発明による化粧用組成物は、検討中の分野で通常使用されている任意の添加剤、例えばアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、親水性又は親油性ゲル化剤、ガム、樹脂、分散剤、皮膜形成ポリマー、有機又は鉱物フィラー、着色剤、例えば真珠光沢粒子、水溶性及び油溶性着色剤、抗酸化剤、精油、保存剤、塩、香料、中和剤、防腐剤、抗UV保護剤、美容用剤(cosmetic agent)、例えばビタミン、水和剤、例えばグリセロール、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤、並びにそれらの混合物から選択される添加剤を更に含んでもよい。
当業者であれば、本発明による組成物のために求められる美容品特性及び安定特性が添加剤によって悪影響を及ぼされないように、この組成物中に存在する添加剤の種類及び量を、定法の手段によって調節することができる。
【0072】
一実施形態によれば、本発明による組成物の油性相は、少なくとも1種の親油性ケミカルフィルターを更に含む。
親油性ケミカルフィルターの例として、例えば、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、エチルヘキシルメトキシシンナメート、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びドロメトリゾールトリシロキサンを挙げることができる。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、エチルヘキシルメトキシシンナメートを親油性ケミカルフィルターとして含む。
一実施形態によれば、親油性ケミカルフィルターの含有率は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜15質量%、好ましくは1.0質量%〜10質量%の範囲である。
【0073】
化粧用組成物
本発明は、生理学的に許容される媒体中に、上記で定義されたような組成物を含む化粧用組成物にも関する。
用語「生理学的に許容される媒体」は、本発明の組成物を皮膚又は唇に塗布するのに特に適した媒体を示すと意図される。
生理学的に許容される媒体は、一般的に、組成物が塗布されるべき支持体の性質に適しており、更に組成物が包装される手段にも適している。
【0074】
応用
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚を被覆するための非治療的美容方法であって、前記ケラチン物質、特に皮膚に、上記で定義された化粧用組成物の少なくとも1層を塗布する工程を含む非治療的美容方法にも関する。
また、本発明は、皮膚の非治療的美容ケア及び/又はメイクアップであって、皮膚に、上記で定義された化粧用組成物の少なくとも1層を塗布する工程を含む非治療的美容ケア及び/又はメイクアップにも関する。
【0075】
本発明による化粧用組成物は、顔又は体のトリートメント製品であっても、メイクアップ製品であってもよい。特に、化粧用組成物は、ファンデーションの形態であってもよい。
【0076】
したがって、これらの本発明の組成物は、特に皮膚に塗布されることが意図される。
【0077】
本出願の全体にわたって、用語「を含む(comprising)」又は「を含む(including)」は、別段の規定がなければ、「少なくとも1つの〜を含む(comprising)」又は「少なくとも1つの〜を含む(including)」を意味する。
上の説明の全体にわたって、別段の規定がなければ、用語「xからyの間」は、両端を含む範囲を指し、すなわちx値及びy値は、範囲の中に含まれる。
【実施例】
【0078】
(例1〜3)安定性に対する界面活性剤の性質の影響
ファンデーション1〜3の例により、式(I)の本発明のシリコーン界面活性剤が、2つの他の異なる構造のシリコーン界面活性剤よりも優れることを示すことができる。
【0079】
【表1】
【0080】
手順
相A1の構成成分を秤量して主ビーカーに入れ、Moritzミキサー(600〜700rpm)を使用して、均質化するまで15分間、室温で撹拌する。
顔料とシクロヘキサシロキサンとの混合物を三本ロール練り機で3回磨砕することによって、相A2を別個に調製する。
次いで、この相A2を主ビーカーに加えると共に、Moritzミキサー(700〜800rpm)を使用して、室温で30分間撹拌する。
次いで、相B1を、Moritz(1000〜1200rpm)で10分間撹拌しながら加え、相B2を、5分間撹拌を維持して加える。
最後に、相Cを、Moritz(1500〜1600rpm)で10分間撹拌することにより導入する。
【0081】
安定性
2カ月間4、25、37及び45℃で保管した後、製品の安定性を視覚的に評価する。
上記の説明で記載した方法に従って、粘度を測定する。
【0082】
【表2】
【0083】
したがって、本発明によるシリコーン界面活性剤により、特に安定性に関して、満足な特性を有する化粧用組成物を得ることができることが認められた。しかし、比較例2及び比較例3で得られる結果を考慮すると、このような特性は、他のシリコーン界面活性剤の使用では得られない。
【0084】
(例4及び例5)安定性に対する構成成分の割合の影響
ファンデーションの例4(比較)により、活性材料中における本発明の界面活性剤の割合が、本発明による範囲の下限値(1.4%)よりも低い場合、安定性が不十分であることを示すことができる。
ファンデーションの例5(比較)により、オルガノ修飾クレイの割合が、本発明による範囲の上限値(1.0%)よりも高く、水の割合が、本発明による範囲の下限値(15%)よりも低い場合、安定性が不十分であることを示すことができる。
【0085】
【表3】
【0086】
例4及び例5の組成物は、例1及び例2に記載の作業手順に従って調製した。
【0087】
粘度及び安定性
上記の説明で記載した方法に従って、粘度を測定する。
【0088】
【表4】
【0089】
得られた結果により、例4及び例5の組成物が安定ではなく、したがって満足な特性を有しないことを示すことができた。
【0090】
(例6)安定性に対する粘度の影響
ファンデーションの例6(比較)により、粘度が、本発明による範囲の下限値(300mPa.s)よりも低い場合、安定性が不十分であることを示すことができる。
【0091】
【表5】
【0092】
例6の組成物は、例1及び例2に記載の作業手順に従って調製した。
【0093】
粘度及び安定性
上記の説明で記載した方法に従って、粘度を測定する。
【0094】
【表6】
【0095】
(例7〜9)本発明による組成物
例7〜9により、異なる百分率の成分の会合を通じて、本発明を例示することができる。
【0096】
【表7】
【0097】
例7〜9の組成物は、例1及び例2に記載の作業手順に従って調製した。
【0098】
粘度及び安定性
上記の説明で記載した方法に従って、粘度を測定する。
【0099】
【表8】
【0100】
これらの結果により、本発明による組成物が安定であり、満足な特性を有することを実証することができた。