特許第6465962号(P6465962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6465962少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システムおよびこのような車両接続システムのための挟持部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465962
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システムおよびこのような車両接続システムのための挟持部材
(51)【国際特許分類】
   B61G 5/10 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   B61G5/10
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-515213(P2017-515213)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-533136(P2017-533136A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015069596
(87)【国際公開番号】WO2016041759
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】102014218944.6
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513180370
【氏名又は名称】レオニ カーベル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】マルクス リトハンメル
(72)【発明者】
【氏名】コニー スンドバリ
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102006034303(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19705895(DE,A1)
【文献】 国際公開第2013/057794(WO,A1)
【文献】 特開2012−144230(JP,A)
【文献】 特表2010−519100(JP,A)
【文献】 特開2004−067072(JP,A)
【文献】 特開平08−108848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 5/06− 5/10
B61G 7/14
F16L 3/00− 3/26
H02G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ケーブル(6)のための少なくとも1つの貫通案内部(20a、20b)を有する挟持部材(10)を備えている、少なくとも1本の供給ケーブル(6)を案内するための車両接続システム(2)において、
前記貫通案内部(20a、20b)が縦軸線(L)に沿って入口(22a)と出口(22b)との間に延在し、かつ縦断面プロファイルを有し、この縦断面プロファイルが内側と外側の縦断面輪郭(24a、24b)を有し、この縦断面輪郭(24a、24b)の少なくとも1つが少なくとも部分的に湾曲し、
前記縦断面輪郭(24a、24b)の少なくとも一方が少なくとも部分的に、前記供給ケーブル(6)の曲率半径と同じ曲率半径(R1、R2)を有することを特徴とする車両接続システム(2)。
【請求項2】
前記供給ケーブル(6)はらせん状であることを特徴とする請求項1に記載の車両接続システム(2)。
【請求項3】
少なくとも1本の前記供給ケーブル(6)のために、異なる縦断面プロファイを有する2つの貫通案内部(20a、20b)、すなわち第1貫通案内部(20a)と第2貫通案内部(20b)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両接続システム(2)。
【請求項4】
前記縦断面輪郭(24a、24b)の少なくとも一方が少なくとも部分的に、前記供給ケーブル(6)の予め設定された最小曲率半径と同じ曲率半径(R5、R5‘)を有するかあるいは予め設定された最小曲率半径を有する前記供給ケーブル(6)の延在を可能にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項5】
前記両縦断面輪郭(24a、24b)が第1部分で同じ方向に湾曲し、そして第2部分で反対方向に湾曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項6】
前記貫通案内部(20a、20b)が前記供給ケーブル(6)を固定保持するために保持部分(26)を備え、この保持部分(26)が前記供給ケーブル(6)の直径(D1)とほぼ同じ直径(D2)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項7】
前記保持部分(26)が曲がった円筒のように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両接続システム(2)。
【請求項8】
前記保持部分(26)が前記貫通案内部(20a、20b)の長さ(L2)の少なくとも4分の1にわたっておよび最大でも半分にわたって延在していることを特徴とする請求項6または7に記載の車両接続システム(2)。
【請求項9】
前記出口(22b)に、漏斗のように形成された出口部分(28)が接続し、前記貫通案内部(20a、20b)が前記出口部分(28)に、前記出口(22b)の方へ拡大する直径(D2)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項10】
前記貫通案内部(20a、20b)が前記出口部分(28)に、その全体にわたって円形の横断面を有することを特徴とする請求項9に記載の車両接続システム(2)。
【請求項11】
供給ケーブル(6)のための少なくとも1つの貫通案内部(20a、20b)を有する挟持部材(10)を備えている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の、少なくとも1本の供給ケーブル(6)を案内するための車両接続システム(2)において、
前記供給ケーブル(6)がケーブル縦方向(K)にらせん状に延在し、前記挟持部材(10)がケーブル縦方向(K)に向いた外面(34)を有し、この外面が前記ケーブル縦方向(K)に対して傾斜して延在する、前記供給ケーブル(6)用の少なくとも1つの接触面(36)を有することを特徴とする車両接続システム(2)。
【請求項12】
前記接触面(36)が前記ケーブル縦方向(K)に対して少なくとも65°、最大で85°の角度(W)で傾斜していることを特徴とする請求項11に記載の車両接続システム(2)。
【請求項13】
前記挟持部材(10)が高さ(H)を有し、前記接触面(36)が前記高さ(H)の少なくとも15%、最大で50%にわたって延在していることを特徴とする請求項11または12に記載の車両接続システム(2)。
【請求項14】
前記外面(34)が反対方向に傾斜した2つの接触面(36)を有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項15】
供給ケーブル(6)のための少なくとも1つの貫通案内部(20a、20b)を備えている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)のための挟持部材において、
前記貫通案内部(20a、20b)が縦軸線(L)に沿って入口(22a)と出口(22b)との間に延在し、かつ縦断面プロファイルを有し、この縦断面プロファイルが内側と外側の縦断面輪郭(24a、24b)を有し、前記縦断面輪郭(24a、24b)の少なくとも1つが少なくとも部分的に湾曲しているかあるいは前記供給ケーブル(6)がケーブル縦方向(K)にらせん状に延在し、前記挟持部材(10)がケーブル縦方向(K)に向いた外面(34)を有し、この外面が前記ケーブル縦方向(K)に対して傾斜して延在する、前記供給ケーブル(6)用の少なくとも1つの接触面(36)を有することを特徴とする挟持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ケーブルのための少なくとも1つの貫通案内部を有する挟持部材を備えている、少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システムに関する。本発明はさらに、特にこのような車両接続システムのための挟持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両接続システムは例えば独国特許出願公開第102006034303A1号明細書に記載されている。
【0003】
特に鉄道分野において、列車の2台の車両の間で供給ケーブルを案内するためにいわゆる車両接続システムが使用される。この車両接続システムは一方の車両から他方の車両へ供給ケーブルを案内する。この場合、供給ケーブルは例えば、特にキロボルト範囲の送電のためのケーブルあるいはデータケーブルまたは信号ケーブルである。供給ケーブルはその端部を介してそれぞれ適当な接続個所に電気的に接続されている。その際、車両接続システムを用いて複数の供給ケーブルを案内することも可能である。
【0004】
車両接続システムはさらに、両車両の相対運動を可能にするような可撓性の連結部である。その際、供給ケーブルの接続個所の不利な機械的応力を回避するために、特に挟持部材が機械的固定保持のために使用される。この挟持部材はある数の貫通案内部を備え、この貫通案内部内で供給ケーブルが挟持され、貫通案内部は発生し得る力の作用を受け止める。この場合、しかし、供給ケーブルが応力を受けて挟持部材のエッジに押し付けられ、これによって点状の負荷を受け、特に繰り返して発生すると供給ケーブルのシースの摩耗または供給ケーブルの損傷を生じることになり得る。
【0005】
中国特許第201423930号明細書は例えば、挟持部材によって2本のらせんケーブルを保持する車両接続システムを開示している。この挟持部材はらせんケーブルを挟持するほぼ直方体状の2個のジョーを備えている。その際、らせんケーブルは、ジョーの間に隙間が形成されるように、両ジョーの間で押しつぶされる。
【0006】
独国特許出願公開第102006034303A1号明細書には、車両接続システムにおいて供給ケーブルを案内するための装置が例示的に記載されている。この装置では、複数の供給ケーブルが挟持パッド内でケーブル貫通案内部によって個別的に案内されている。挟持パッドは合成樹脂射出成形部品として形成され、それによってできるだけ最適な挟持作用を達成するために、それぞれのケーブル貫通案内部の直径を、供給ケーブルの直径に合わせることが簡単に可能である。さらに供給ケーブルの横方向の曲げ運動を許容するために、挟持パッドは発展形態では円錐形のケーブル貫通案内部を備えている。
【0007】
独国特許出願公開第19614427A1号明細書には結合コネクタが記載されている。この結合コネクタの場合、らせんケーブルは端側が支持ディスクに接続されている。そのために、ケーブル端部がケーブル端子によって支持ディスクに固定保持されているので、ケーブルの端側のそれぞれの巻線が支持ディスクに接触する。これにより、ケーブルが支持ディスクにさらに電気的に接続されている。支持ディスクは縦方向に対して垂直に、すなわちケーブルの巻線に対してほぼ平行に向いており、ケーブル端部は各支持ディスクに平らに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006034303A1号明細書
【特許文献2】中国特許第201423930号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19614427A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底をなす課題は、供給ケーブルの特に点状の機械的負荷が防止されるかまたは少なくとも低減されるように、車両接続システムにおいて供給ケーブルを案内するための改良された装置を提供することである。さらに、このような装置に適した挟持部材を提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は本発明に従い、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。有利な実施形態、発展形態および変形は従属請求項の対象である。
【0011】
車両接続システムは、例えば列車の2台の車両の間で少なくとも1本の供給ケーブルを案内するように形成されている。車両接続システムは供給ケーブル用の少なくとも1つの貫通案内部を有する挟持部材を備えている。貫通案内部は縦軸線に沿って入口と出口との間で延在している。貫通案内部はさらに縦断面プロファイルを有し、この縦断面プロファイルは内側と外側の縦断面輪郭を有し、この縦断面輪郭の少なくとも1つが少なくとも部分的に湾曲している。
【0012】
本発明によって得られる効果は特に、運転中または供給ケーブルの運動時に、点状の機械的負荷が回避されるかまたは少なくとも低減されることにある。特に少なくとも部分的に湾曲した貫通案内部の縦断面輪郭によって、これに適した供給ケーブルの曲げ運動が可能になり、同時に供給ケーブルが挟持部材内で固定保持される。供給ケーブルが特に縦軸線に対して垂直に運動する際に、湾曲した縦断面輪郭によって、挟持部材との供給ケーブルの接触面が有利に増大するので、機械的負荷がより大きな面に分配される。それによって、供給ケーブルに関する面積あたりの押圧力が低減され、従って供給ケーブルの摩耗、特にそのシースの摩耗が小さくなる。
【0013】
独国特許第19614427号明細書では、ケーブル端子が同時に供給ケーブルを電気的に接触させる働きをする。それに対して、本発明の重要な効果は、電気的および機械的接続が分断され、互いに空間的に分離されることにある。挟持部材は専ら供給ケーブルを機械的に保持する働きをし、電気的な接続は別個の接続個所で行われ、挟持部材では行われない。それによって特に、複数の供給ケーブルの場合に、この供給ケーブルを異なる接続個所で接続し、挟持部材によって一緒に省スペース的に保持することができる。
【0014】
供給ケーブルの保持個所と接続個所を空間的に分離することによってさらに、車両接続システムのそれぞれの部品および材料を要求に応じて合目的に選択することができる。すなわち、特に挟持部材を、その目的、すなわち供給ケーブルの機械的保持に関して最適に設計することができる。この場合、電気的特性は問題ではないので有利である。挟持部材は特に機械的に丈夫な合成樹脂、例えば低コストの射出成形品で作ることが好ましい。この合成樹脂は特別な電気的要求を満足する必要はない。なぜなら、挟持部材が供給ケーブルに電気的に接続されていないからである。供給ケーブルは絶縁材料からなるケーブルシースを備えている。この絶縁材料は貫通案内部内で挟持部材に接触する。例えばきわめて良好なまたは具体的に定められる静止摩擦を保証するために、ケーブルシースの材料を考慮して挟持部材の材料を選択すると合目的である。
【0015】
供給ケーブルは特に送電のためのケーブルであり、それによって高電圧ケーブルまたは強電流ケーブルとして設計されている。特に、供給ケーブルはらせんケーブルまたは屋根ケーブルとして形成され、このケーブルはケーブル縦軸線回りにらせん状に延在する、すなわちケーブル縦軸線回りに巻線を形成して延在する。変形では、供給ケーブルはらせん状に形成されないで、例えば真っ直ぐにまたは曲げられて形成されている。供給ケーブルは一端が適切な電気的接続部に接続され、例えば供給ケーブルの端部に固定されたケーブルシューを用いて接続され、先ず最初に入口に入り、貫通案内部を通過し、そして出口を経て再び挟持部材から出る。入口と出口は一般的にそれぞれ開口部と呼ばれる。
【0016】
貫通案内部は内壁を有し、この内壁の延在具合が縦軸線の方向において特別に適合されているので、供給ケーブルの改善された案内と保持が達成される。これにより、縦断面プロファイルが、縦断面内に、すなわち貫通案内部の縦軸線に対して平行な縦断平面内に生じる。この縦断面プロファイルは2つの縦断面輪郭によって特徴づけられる。その際、縦軸線は縦断平面内で少なくとも一部が湾曲して延在し、特に両縦断面輪郭の中心線である。貫通案内部が縦断平面に関して鏡像対称であるので、縦断平面は特に対称平面である。
【0017】
縦断面内で、縦断面輪郭が貫通案内部の内室を画成している。その際、縦断面輪郭は必ずしも同じように形成する必要はない、すなわち必ずしも同じ延在具合を有する必要はない。貫通案内部はさらに、挟持部材の中心に関してずらして配置されるように、挟持部材内に挿置されている。この中心の近くに延在する縦断面輪郭が内側の縦断面輪郭であり、さらに外側にある縦断面輪郭が外側の縦断面輪郭である。
【0018】
貫通案内部の内室は入口と出口を除いて、挟持部材によって特に完全に取り囲まれている。換言すると、貫通案内部は挟持部材内に管状にまたはホース状に形成され、貫通する壁部を有する。それによって、供給ケーブルは挟持部材によって完全に取り囲まれているので、縦方向に対して横向きのすべての方向において均一に最適に保持される。
【0019】
縦断面プロファイルの両縦断面輪郭の少なくとも一方は少なくとも部分的に湾曲して形成されている。すなわち、この縦断面輪郭は縦断平面内で少なくとも部分的に曲げられて延在している。それによって、一方では、らせんケーブルを貫通案内部によってきわめて適切に案内することができる。その代わりにまたはそれに追加して、他方では、運転中に供給ケーブルの適切な運動空間が提供される。特に貫通案内部内での供給ケーブルの点状の機械的負荷を回避するために、少なくとも1つの縦断面輪郭、特に両縦断面輪郭が全くエッジのないように形成されている。その際、ここでおよび以下において、エッジのないとは、湾曲した部分が少なくとも1mm、好ましくは2mmの曲率半径を有することであると理解される。縦断面輪郭は場合によっては真っ直ぐな部分を有するかもしれない。この場合、真っ直ぐな部分から湾曲した部分への移行部は同様に丸められて形成されている。挟持部材を形成する際好ましくは、供給ケーブルが接触するかもしれない範囲にはエッジが形成されていない。
【0020】
特に、開口部における供給ケーブルの点状の負荷を回避するために、開口部は好ましくはそれぞれ丸められたエッジを備えている。その際、丸められたエッジは特に縦断面輪郭の部分ではない。丸められたエッジのための適切な曲率半径は少なくとも1mm、最大でも50mm、好ましくは最大で10mmである。曲率半径が約2mmであると有利である。
【0021】
少なくとも1本の供給ケーブルのために好ましくは、異なる縦断面プロファイルを有する2つの貫通案内部、すなわち第1と第2の貫通案内部が形成されている。これにより、挟持部材の保持作用がさらに改善される。第1と第2の貫通案内部の異なる形成に基づいてさらに、供給ケーブルの異なる部分と挟持部材の異なる範囲への、機械的負荷のきわめて適切な分配が実現される。供給ケーブルが両貫通案内部を順々に通過する。この場合、供給ケーブルはその都度その端部から見て先ず最初にそれぞれの入口から各貫通案内部に入り、そして付随する出口から再び出る。
【0022】
有利な実施形態では、少なくとも1つの縦断面輪郭の少なくとも一部が、供給ケーブルの曲率半径に一致する曲率半径を有する。換言すると、縦断面輪郭の曲率半径は部分的に供給ケーブルの曲率半径に適合している。供給ケーブルの太さ、すなわち定められた供給ケーブルの直径に基づいて、供給ケーブルは特に内側と外側の曲率半径を有する。内側の縦断面輪郭の場合、その曲率半径が部分的に内側の曲率半径に一致し、外側の縦断面輪郭の曲率半径が外側の曲率半径に一致する。それによって、らせんケーブル、一般的には曲がった供給ケーブルを案内するために非常に適している貫通案内部、すなわち特に適切に成形された貫通案内部が形成される。
【0023】
その際、供給ケーブルの曲率半径とは特に、供給ケーブルが機械的に負荷されていない状態で有する曲率半径、すなわち供給ケーブルが機械的な力作用を受けていない時点および特に供給ケーブルの製作時に形成された曲がりを有する時点で、供給ケーブルが有する曲率半径であると理解される。縦断面輪郭は、湾曲した内側縦断面輪郭の場合には凸形に形成され、供給ケーブルの巻線の内側に、すなわちケーブル縦軸線寄りの側に接触する。湾曲した外側縦断面輪郭の場合には、縦断面輪郭は同様に凸形に形成され、巻線の外側に接触する。
【0024】
その代わりにまたはそれに追加して、適当な変形では、少なくとも1つの縦断面輪郭が少なくとも部分的に次のような曲率半径を有する。すなわち、供給ケーブルの予め定められた最小曲率半径に一致するかまたは最小曲率半径での供給ケーブルの延在を可能にする曲率半径を有する。これにより、供給ケーブルのために、きわめて適切な運動自由空間が提供される。その際、最小曲率半径は供給ケーブルの設計に従って予め定められた最小曲率半径に一致する。運転中供給ケーブルが運動する際、縦断面輪郭により、一方では最小曲率半径が少なくとも貫通案内部内で保持され、他方ではこの場合供給ケーブルが貫通案内部の内壁に最適に接触し、力の作用が大きな面積で分布する。
【0025】
最小曲率半径での供給ケーブルの湾曲を可能にするために、実施形態では、縦断面輪郭の対応する部分における曲率半径が、機械的に負荷されていない状態での供給ケーブルの曲率半径と比べて小さくなっている。これと類似の作用は、縦断面輪郭のより大きな曲率半径によっても達成可能である。これは、代替的な実施形態において、この曲率半径が、供給ケーブルの曲率半径の中心に対して、特にケーブル縦軸線から半径方向にずれていることにより達成可能である。その際特に、縦断面輪郭は負荷されない供給ケーブルと同じ曲率半径を有することができるが、ずれに基づいて適切な自由空間が貫通案内部内に形成される。この自由空間は、運転中の負荷時に、供給ケーブルのより強い曲がり、すなわち曲率半径の縮小を可能にする。
【0026】
有利な実施形態では、両縦断面輪郭が第1部分において同じ方向に湾曲し、第2部分において反対方向に湾曲している。これによって形成された貫通案内部は特に、その中を湾曲して延在する供給ケーブル、例えばらせんケーブルに適している。第1部分では、供給ケーブルは特に保持され、第2部分では反対向きの湾曲に基づいて供給ケーブルのための広がる運動自由空間が形成されている。換言すると、一方の縦断面輪郭はS字状に形成され、他方の縦断面輪郭はほぼC字状に形成され、それによって一方では第1部分が同じように延在する縦断面輪郭によって形成され、第2部分が互いに離れる縦断面輪郭によって形成されている。特にらせんケーブルの場合には、内側の縦断面輪郭がC字状に形成され、外側の縦断面輪郭がS字状に形成されていると合目的である。
【0027】
貫通案内部内で供給ケーブルを固定保持するために、貫通案内部が保持部分を有し、この保持部分において、供給ケーブルの直径にほぼ一致する直径を有すると有利である。換言すると、保持部分に沿った貫通案内部の内法幅は、供給ケーブルの外形寸法に適合している。ほぼとは特に、保持部分の直径が最大で供給ケーブルの直径に一致する、すなわち少なくとも確動するということであり、かつ供給ケーブルの直径よりも最大で10%小さいことであると理解される。保持部分の直径が供給ケーブルの直径よりも5〜8%だけ小さいと有利である。それによって、供給ケーブルが貫通案内部の内壁との摩擦によって固定保持されて押しつぶされないような適切な挟持作用が生じる。それによって、供給ケーブルのシース内を案内される導体の滑りまたはスリップが可能である。供給ケーブルは例えば約21.5mmの直径を有し、保持部分は約20.4mmの直径を有する。保持部分は特に上記の第1部分に相当する。
【0028】
有利な実施形態では、保持部分が曲がった円筒のように形成されている。円筒状の形成により、供給ケーブルは保持部分内で確動保持され、押しつぶされないので有利である。この押しつぶしは従来知られている挟持部材の場合には特に頻繁に起こる。この挟持部材はボルトによって互いに押圧された2つの半割り部材によって形成され、この半割り部材内に供給ケーブルが挿入されて押しつぶされる。この場合さらに、供給ケーブルの固定保持のために必要で、場合によっては挟持部材の摩耗を生じる挟持力を発生しなければならないのではなく、半割り部材の相互の連結だけを達成すればよいように、半割り部材の画成したボルト止めをすることができる。この画成したボルト止めに基づいて、特に両半割り部材の間における隙間の形成が回避される。もしそうしないと、この隙間は場合によっては供給ケーブルの不所望な側方運動を可能にする。すなわち、半割り部材は互いに接触し、貫通案内部だけが半割り部材の間に中空室を形成する。従って、半割り部材は隙間のないように互いに連結されている。
【0029】
貫通案内部が供給ケーブルの直径に設計されていることにより、供給ケーブルは確動保持される。ケーブルの機械的負荷の際、特に曲げの際に、固定保持する摩擦作用が発生する。これは特に、供給ケーブル内の導体または素線がシースと相対的に動くことができるという利点がある。さらに、ねじれがケーブル全体に分配される、すなわち挟持部材内に装着された供給ケーブルの部分にも分配される。換言すると、機械的負荷が供給ケーブル全体にわたって分配されるので有利である。
【0030】
合目的な発展形態では、保持部分が貫通案内部の長さの少なくとも4分の1にわたっておよび最大でも半分にわたって、好ましくは約3分の1にわたって延在している。その際、貫通案内部の長さとは特に、入口と出口との間の縦軸線の長さであると理解される。相応して選択された長さは、貫通案内部内での供給ケーブルのきわめて適切な保持を可能にし、同時に貫通案内部の残りの長さで運動自由空間を提供することができる。
【0031】
保持部分の代わりにまたは保持部分に追加して、漏斗のように形成された出口部分が出口に接続していると合目的である。そのために、貫通案内部は出口部分に、出口の方へ増大する直径を有する。これにより、運転中供給ケーブルのためにきわめて適した運動自由空間が形成される。この運動自由空間は特に、漏斗によって形成された内壁によって画成されている。その際、画成は好ましくは、縦断面輪郭の曲率半径が供給ケーブルの最小曲率半径に一致するように行われる。出口部分は特に上記の第2部分に一致している。
【0032】
合目的な発展形態では、貫通案内部が出口部分の全体にわたって円形横断面を有する。この横断面は貫通案内部の縦軸線に対して横方向に、すなわち特に垂直に延在している。換言すると、出口部分は縦軸線に関して回転対称に形成されている。これにより、縦軸線に対して垂直なすべての方向において、適切な曲げ自由空間が形成される。直径は特に、出口部分における両縦断面輪郭の間隔に一致している。
【0033】
特に2つの貫通案内部を用いてらせんケーブルを保持する場合、第1貫通案内部は完全に曲がった円筒として形成されている。この円筒は両開口部の間で延在している。特に、第1貫通案内部は全体が保持部分として形成されている。それに対して、第2貫通案内部は好ましくは漏斗と曲がった円筒の組合せとして形成されている。この場合、円筒は特に保持部分を形成し、貫通案内部は全体がトランペットの形をしている。第1貫通案内部の縦断面輪郭はそれぞれC字状であり、同じ方向に湾曲している。供給ケーブルは接続部から出発して、先ず最初に円筒状の第1貫通案内部を通過し、続いてトランペット状の第2貫通案内部を通過する。この形成により、第1貫通案内部内で主として供給ケーブルの固定保持が行われ、一方、第2貫通案内部では部分的にのみ保持が行われ、その他は漏斗状出口部分によって、供給ケーブルのためのコントロールされた運動自由空間が提供される。
【0034】
課題はさらに、請求項11の特徴を有する車両接続システムによって解決される。有利な実施形態、発展形態および変形は従属請求項の対象である。装置のきわめて有利な実施形態は特に上記の変形との組合せによって生じる。
【0035】
車両接続システムは特に、上記の実施形態の1つに対応して形成され、供給ケーブルのための少なくとも1つの貫通案内部を有する挟持部材を備えている。その際、ここでは供給ケーブルは巻かれ、特にらせん状に巻かれ、ケーブル縦方向に延在している。巻かれるとは特に、供給ケーブルが挟持部材の傍らを通過する少なくとも1つの巻線を有することであると理解される。挟持部材はさらに、ケーブル縦方向に向いた外面を有し、この外面は端面とも呼ばれ、ケーブル縦方向に対して傾斜して延在する、すなわちケーブル縦方向に対して斜めに向いた、供給ケーブル用の少なくとも1つの接触面を有する。特に供給ケーブルがらせん状であるかまたは巻かれている場合には、運転中に供給ケーブルの部分が挟持部材に押し付けられることがある。特に直方体状に形成された挟持部材の場合には、供給ケーブルがエッジ、特に外側エッジに接触し、不利な点状の負荷が供給ケーブルに加えられる。外面がそれに押しつけられる供給ケーブルのために接触面の範囲に、エッジの代わりに載置面または接触面を提供するように、外面全体が接触面によって形成されている。接触面を画成する他のエッジが丸められて形成されていると合目的である。その際、同時に外面を画成する外側エッジと呼ばれるエッジと、外面上に延在し特に接触面への移行部であるエッジは、内側エッジである。エッジは好ましくは少なくとも1mmおよび最大でも50mmの曲率半径を有する。この場合、特に、外側エッジは開口部の上記のエッジと同様に形成され、内側エッジよりも小さな曲率半径を有すると合目的である。
【0036】
きわめて適切な接触面を形成するために、接触面は好ましくは予め定めた角度で傾斜している。この角度は供給ケーブルの巻線の勾配にほぼ一致している。特に送電のための供給ケーブルの場合、適切な接触面を形成するために、接触面はケーブル縦方向に対して少なくとも65°、最大で85°の角度で傾斜している。
【0037】
さらに、挟持部材は特に貫通案内部の縦軸線の方向にかつケーブル縦方向に対して垂直に高さを有する。合目的な実施形態では、接触面は高さの少なくとも15%、最大で50%にわたって延在している。これにより、適当な大きさの接触面が形成される。
【0038】
好ましくは、外面が反対方向に傾斜した2つの接触面を有する。これにより、供給ケーブルの巻線を外面の両側で接触面に接触させることができる。さらに、2つの接触面を有する構造は、複数の供給ケーブルを案内する際に、異なる2本の供給ケーブルが挟持部材の異なる側から出るので有利である。この場合、両側でエッジによって点状の負荷を発生し得る。しかし、これは2つの接触面を有する構造によって有利に回避される。
【0039】
課題はさらに、請求項15の特徴を有する挟持部材によって解決される。車両接続システムに関連して説明した発展形態および利点は、挟持部材にも同様にあてはまる。
【0040】
この挟持部材は鉄道分野で使用されると有利である。基本的には、通常相対的に動く2個のユニットの間で供給ケーブルを案内する場合にも、この挟持部材を使用することができる。例えば、相対的に動く2個の部品が供給ケーブルによって互いに連結されているロボットシステムまたはその他の製造機械において使用することができる。
【0041】
次に、本発明の実施形態を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】車両接続システムを示す。
図2】挟持部材を固定した支持部材を示す。
図3】挟持部材の半割り部材の一方だけを備えた図2の構造体を示す。
図4A図3に示した半割り部材の縦断面図である。
図4B図3に示した半割り部材の縦断面図である。
図5】代替的な半割り部材の縦断面図である。
図6】他の代替的な半割り部材の縦断面図である。
図7】代替的な挟持部材の斜視図である。
図8】供給ケーブルを保持した図7の挟持部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、少なくとも1本の供給ケーブル6、ここでは特に2本の供給ケーブル6を案内するための車両接続システム2の実施形態の斜視図である。図示した変形では、車両接続システム2は2個の支持部材8を備え、この支持部材にはそれぞれ1個の挟持部材10が固定されている。挟持部材10は特に供給ケーブル6を保持する働きをし、ボルト連結部によってそれぞれの支持部材8にボルト止めされている。挟持部材10はここでは金属で作られ、支持部材8は金属板で作られている。各支持部材8にはさらに、電気的な接続レール12が固定され、この接続レールには供給ケーブル6の端部がそれぞれ接続個所14で導電的に連結されている。ここで図示していない列車の車両に各支持部材8を機械的に連結するために、各支持部材8はそれぞれ絶縁体16に取付けられ、この絶縁体はさらにそれぞれ底板18を介して車両に固定可能である。
【0044】
図1に示した供給ケーブル6はらせんケーブルとして形成され、屋根ケーブルとも呼ばれ、そして共通のケーブル縦軸線Kの回りにらせん状に延在している。その際、供給ケーブル6はここでは互いに同心的に配置されている、すなわち一方の供給ケーブル6が他方の供給ケーブル6内に配置されている。さらに、供給ケーブル6は回転方向が逆になっている。
【0045】
図2には、図1の車両接続システム2の一部、すなわち挟持部材10を固定した一方の支持部材8が示してある。挟持部材は特に2つの半割り部材10a、10bからなっている。その際、支持部材8から離れた半割り部材10aは前側半割り部材10aと呼ばれ、支持部材8に直接接触している半割り部材10bは後側半割り部材10bと呼ばれる。
【0046】
支持部材8は図2においてアングル部材としての働きをし、それによって挟持部材10の組立て方向と、ここには示していない絶縁体16の組立て方向が互いに、設定された角度、ここでは90°をなしている。
【0047】
ここで図示した実施形態では、両供給ケーブル6の各々のために、それぞれ2つの貫通案内部20a、20bが挟持部材10に穿設されている。特に、ケーブル縦軸線Kに関して内側にある貫通案内部20a、20bは内側にある供給ケーブル6を保持する働きをし、外側にある貫通案内部20a、20bは外側にある供給ケーブル6を保持する働きをする。貫通案内部20a、20bには開口部22を経てアクセス可能である。この開口部は挟持部材10の上面とここでは見えない下面に形成されている。供給ケーブル6が動くときの供給ケーブルの点状の負荷を軽減するために、ここでは開口部22はそれぞれ丸められたエッジを備え、このエッジの曲率半径はここでは約2mmである。
【0048】
図3には、図2に示した構造体が前側の半割り部材10aを省略して示してある。ここでは貫通案内部20a、20bとその内壁が明示されている。半割り部材10a、10bによって形成された分離面は同時に、貫通案内部20a、20bの縦断面Eである。図3において、縦断面Eは対の矢印によって示してある。貫通案内部20a、20bは少なくとも一部が湾曲した縦軸線Lに沿って延在している。この縦軸線はそれぞれ縦断面E内に延在している。これに応じて、貫通案内部20a、20bは曲がったまたは湾曲した延在線に追随している。縦断面Eはさらに、各貫通案内部20a、20bがこの縦断面に関して鏡像対称であるという特徴がある。従って、図示していない前側の半割り部材10aは相応して、貫通案内部20a、20bを形成するための鏡像的な凹部を有する。
【0049】
図4A図4Bはそれぞれ挟持部材10bの正面図である、すなわち挟持部材10の縦断面図である。この場合、切断面は図3の縦断面Eに一致している。従って、貫通案内部20a、20bは縦断面が示され、それぞれ2つの縦断面輪郭24a、24bを有する。この縦断面輪郭は共に縦断面プロファイルを形成する。挟持部材10に関して内側にあるそれぞれ縦断面輪郭24aを内側縦断面輪郭24aと呼び、それぞれの貫通案内部20a、20bの外側にあるそれぞれ縦断面輪郭24bを外側縦断面輪郭24bと呼ぶ。
【0050】
ここでは図示していない外側供給ケーブル6の延在具合が図4Aにおいて破線で示してある。供給ケーブル6は同様に図示していない接続個所14から、先ず最初に第1貫通案内部20aを下から上へ通過し、そして半巻きした後で上側から第2貫通案内部20bに入る。供給ケーブルは続いて挟持部材10の下側から第2貫通案内部を出る。従って、挟持部材10の下面に設けられた第1貫通案内部20aの開口部22を入口22aと呼び、同様に挟持部材10の上面にある第2貫通案内部20bの開口部22を入口と呼ぶ。それに類似して、供給ケーブル6が出る貫通案内部20a、20bの開口部22を出口22bと呼ぶ。
【0051】
図4Bには貫通案内部20a、20bのそれぞれの延在具合と、この貫通案内部の縦断面輪郭24a、24bが明瞭に示してある。左側に示した第1貫通案内部20aは曲がった円筒のように形成されている。縦断面輪郭24a、24bは同じ方向に湾曲し、それぞれほぼC字状に延在している。それに対して、右側に示した第2貫通案内部20bはトランペットのように形成されている。この場合、入口22aには、曲がった円筒のように形成された保持部分26が接続している。この保持部分にはさらに、漏斗状の出口部分28が続いている。その際、貫通案内部20bは長さL2を有し、保持部分26はここでは図示した実施形態では入口22aから、貫通案内部20bの長さL2の約3分の1にわたって延在している。それに対して、貫通案内部20aはここでは全体が保持部分26として形成されている。
【0052】
第1貫通案内部20aの縦断面輪郭24a、24bはそれぞれC字状に形成され、同じ方向に湾曲している。それによって、貫通案内部20aは曲がった円筒に一致している。その際、外側または内側の縦断面輪郭24a、24bのそれぞれの曲率半径R1、R2はこの縦断面輪郭に沿って一定である。さらに、両曲率半径R1、R2は中心M1を有する同心円の半径でもある。この中心はここで図示した変形では同時に挟持部材10の中心M1でもある。従って、貫通案内部20aの縦断面プロファイルはリングの一部である。この形成は特に巻かれた供給ケーブル6の延在具合に一致し、供給ケーブルを固定保持するために役立つ。従って、半径R1、R2によって画成したリングはここでは特に、図示していない供給ケーブル6の輪郭をも示す。半径R1、R2は供給ケーブルの外側または内側の曲率半径である。第1貫通案内部20aの縦軸線Lは供給ケーブル6の仮想のまたは中間の曲率半径で湾曲している。
【0053】
第2貫通案内部の縦断面輪郭24a、24bは、入口22aに接続する保持部分26において、先ず最初は曲率半径R1、R2によって設定された円弧に沿って延在している。従って、保持部分26は曲がった円筒のように形成されている。貫通案内部20bのその先の部分において、保持部分26は出口部分28に接続している。この出口部分では、両縦断面輪郭24a、24bは反対方向に湾曲している。ここで図示した実施形態では、縦断面輪郭24a、24bは同じ曲率半径R5、R5‘を有する。この曲率半径はここで図示していない変形では、両縦断面輪郭24a、24bに関して異なっている。半径R5によって画成した円の中心M2は半径R1、R2、R3、R4によって定められた同心円の中心M1と一致しておらず、ずらして配置されている。半径R5‘の適当な中心M2‘は、第2貫通案内部20bの縦軸線Lの真っ直ぐな部分に関して、中心M2に対して鏡像対称である。これにより、縦断面輪郭24a、24bは出口部分28において供給ケーブル6に対して後退している。それによって、貫通案内部20b内で適当な運動自由空間が形成されている。特に半径R2によって、供給ケーブル6の最小曲率半径が設定されており、供給ケーブルは貫通案内部20bの縦断面輪郭24aに接触するときに同じ最小曲率半径となる。ここで図示していない代替例では、半径R5が半径R2よりも小さく、中心M2が中心M1に対して図4Bで垂直方向にずれていないで、水平方向にのみまたは付加的に水平方向にずれていることにより、類似の作用が達成される。
【0054】
特に中心M2のずれに基づいて、半径R2は、供給ケーブル6の最小曲率半径よりも小さな値を必ずしも有する必要はない。この場合、貫通案内部20bが両縦断面輪郭24a、24bの延在形状に基づいて出口部分28で、出口22bの方へ拡大しそれによって供給ケーブル6の直径D2よりも大きくなっている直径D1を有するだけで十分である。それによって、貫通案内部20bの内側の縦断面輪郭24aは全体が凸形に形成され、ほぼC字状の延在形状を有し、一方外側の縦断面輪郭24bはほぼS字状の延在形状を有する。
【0055】
図5図6はそれぞれ、挟持部材10の後側の半割り部材10bの代替的な実施形態を示す。ここでそれぞれ図示していない前側の半割り部材10aはこの後側の半割り部材に対して補完的に形成されている。図5に示した変形は、3本の供給ケーブル6を保持するように設計されている。それに応じて、挟持部材10は3対の貫通案内部20a、20bを有する。図6は1対の貫通案内部20a、20bによって供給ケーブル6を1本だけ案内するための挟持部材10の変形を示す。
【0056】
図7には、特にらせんケーブルとして形成されたここで図示していない供給ケーブル6を保持するための挟持部材10が斜視図で示してある。図8は、保持された供給ケーブル6と共に図7の挟持部材10を示す側面図である。供給ケーブル6の巻線32が傍らを適切に通過するようにするために、挟持部材10の前側半割り部材10aの外面34は2つの接触面36を備えている。図8に明瞭に示すように、この接触面36はそれぞれ、ケーブル縦軸線Kに対して角度Wをなしている。この角度はここで図示した実施形態では約85°である。さらに、前側の半割り部材10aの傍らを通過する供給ケーブル6の巻線32がねじれ角Sをなしていることが明らかである。このねじれ角は、接触面36の傾斜角度Wにほぼ一致している。ケーブル縦軸線Kに沿った供給ケーブル6の圧縮の際あるいは場合によっては曲げの際にも、巻線32は外面34の方へ押圧される。ここで図示した実施形態では、下側の接触面36が供給ケーブル6のために適度に大きな載置部を形成し、点状の負荷が回避される。さらに、ここでも、接触面36は丸められたエッジ38、40によって形成されている。図7図8に示した変形では、外側のエッジ38、すなわち上側と下側のエッジの曲率半径は、約2mmの曲率半径で形成され、内側のエッジ40は約50mmの曲率半径で形成されている。
【符号の説明】
【0057】
2 車両接続システム
6 供給ケーブル
8 支持部材
10 挟持部材
10a 前側の半割り部材
10b 後側の半割り部材
12 接続レール
14 接続個所
16 絶縁体
18 底板
20a 第1の貫通案内部
20b 第2の貫通案内部
22 開口部
22a 入口
22b 出口
24a 外側の縦断面輪郭
24b 内側の縦断面輪郭
26 保持部分
28 出口部分
32 巻線
34 外面
36 接触面
38 外側エッジ
40 内側エッジ
K ケーブル縦軸線
L 縦軸線
L2 長さ
M1、M2、M2‘ 中心
R1、R2、R3、R4、R5、R5‘ 半径
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8