特許第6465981号(P6465981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465981
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】硬化性ポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/05 20060101AFI20190128BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20190128BHJP
   C08K 5/3475 20060101ALI20190128BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20190128BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   C08L83/05
   C08L83/07
   C08K5/3475
   G02B1/04
   G02B3/08
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-535079(P2017-535079)
(86)(22)【出願日】2015年12月29日
(65)【公表番号】特表2018-501380(P2018-501380A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】CN2015099352
(87)【国際公開番号】WO2016107533
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年8月28日
(31)【優先権主張番号】201410849466.9
(32)【優先日】2014年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516190747
【氏名又は名称】エルケム・シリコーンズ・シャンハイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ELKEM SILICONES SHANGHAI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リヤ・ジャ
(72)【発明者】
【氏名】チョンピャオ・マン
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−215434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/05
C08K 5/3475
C08L 83/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜()を含むポリシロキサン組成物:
(A)1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサンA1を0〜99.9重量%と、1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサン樹脂A2を0.1〜100重量%含むアルケニルポリシロキサン成分、ここで、該重量%はポリシロキサンA1及びポリシロキサン樹脂A2の総重量に基づき、
該ポリシロキサン樹脂A2は、次の単位:
式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q。
(式中、R’はアルケニル基であり、Rは、1〜20個の炭素原子を有する、アルケニル基以外の1価炭化水素基である。)
からなる式MMViQのオルガノポリシロキサン樹脂であり
(B)次のものを含む水素含有ポリシロキサン成分:
1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1又は1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2若しくは両者の混合物を含む水素含有ポリシロキサン成分、
ただし、該水素含有ポリシロキサン成分は合計で少なくとも2個のSi−H原子を含むものとし;
(C)少なくとも1種のヒドロシリル化触媒;及び
(D)次式Z:
【化1】
(式中、
Y1は−H、−Cl、−Brであり;
Y2は−H、C1〜C12アルキル、−Cl、C1〜C12アルコキシ、C7〜C9フェニルアルキル、−Cn2n−COOX(ここで、nは0〜4であり、XはC1〜C20アルキルである。)又はシロキサン置換C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、C7〜C9フェニルアルキル、−Cn2n−COOXであり;
Y3は−H、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、フェニル、−Cl、(C1〜C8アルキル)フェニル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C9アルコキシアシル、カルボキシエチル、C7〜C9フェニルアルキル、又はシロキサン置換C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、フェニル、(C1〜C8アルキル)フェニル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C9アルコキシアシル、カルボキシエチル、C7〜C9フェニルアルキルである。)
のベンゾトリアゾール化合物から選択される1種以上を含む紫外線吸収剤成分D
【請求項2】
前記ポリシロキサン樹脂A2中の前記アルケニル基の含有量が該ポリシロキサン樹脂A2の100gに対して0.001モル以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン樹脂A2が200〜100,000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン樹脂A2が200〜50,000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項3に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項5】
前記ポリシロキサン樹脂A2が500〜30,000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項3に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項6】
前記ポリシロキサンA1が次の単位を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリシロキサン組成物:
(i)式(I−1)のシロキサン単位:
【化2】
(式中、
xはC2〜12ルケニルを表し、
Zは同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表し
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bの合計は1、2又は3である。)及び
(ii)任意に式(I−2)の他のシロキサン単位:
【化3】
(式中、
Zは上記の意味を有し、cは0、1、2又は3である。)。
【請求項7】
前記成分A及びBの全含有量は、全成分の50重量%超を占めることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のポリシロキサン組成物。
【請求項8】
Y1がHを表し;
Y2がC3〜C12アルキル、C7〜C9フェニルアルキル、−Cn2n−COOX(ここで、nは1〜3を表し、及び/又はXはC1〜C12アルキルを表す)又はシロキサン置換C1〜C12アルキルを表し;及び/又は
Y3がC1〜C4アルコキシ、フェニル、−Cl又はC1〜C12アルキル、シロキサン置換C1〜C12アルキルを表す
ことを特徴とする、請求項に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項9】
前記紫外線吸収剤成分Dが2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(ジ(トリメチルシロキシ)メチルシリルイソブチル)−5’−ヘキシル)ベンゾトリアゾール及び3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチルよりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項10】
前記ベンゾトリアゾール化合物が3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチルであることを特徴とする、請求項に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項11】
学素子であって、該光学素子が請求項1〜10のいずれかに記載のポリシロキサン組成物を含むことを特徴とする光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシロキサン組成物及びその製造方法、並びに該ポリシロキサン組成物から製造される素子、特に光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体技術及び関連する研究の急速な発展に伴い、多くの光学要素及び構成要素が重合体材料を含む又は重合体材料から構成されている。従来の無機材料と比較して、重合体材料は、従来の無機材料からの優れた性能を維持しながら、軽量化、低コスト化、単純なプロセス、良好な機械的特性などの一連の利点を有する。
【0003】
光学重合体材料は、光学接着、レンズ又は光学シート及び基材の製造、並びに以下の構成要素のために使用できる:光学フィルム、光学フィルタ、CCD光学系、写真機材、光通信及び光導波、光ファイバー、光センサー、ホログラム光学素子、干渉計、オプトカプラ、マイクロレンズ、レンチキュラレンズ、プリズムレンズ、フレネルレンズなどの光学レンズ。
【0004】
光学要素及び構成要素の製造のために現在利用可能な重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、シクロオレフィン重合体、ポリシロキサンなどが挙げられる。なかでも、ポリシロキサンは、高温及び低温耐性、耐候性、耐UV性、耐老化性等の優れた特性のため広く注目されており、かつ、様々な光学シート、基材又は光学接着剤などに作製されている。
【0005】
フレネルレンズなどの光学素子の製造に使用できるポリメタクリル酸メチル及びポリ塩化ビニルなどの重合体材料が中国特許出願公開第101675089A号及び中国特許出願公開第102863709A号に記載されている。このような材料は高い光透過率及び良好な加工性を特徴とするが、過冷、過熱、紫外線その他の放射線環境での老化及び変形を生じやすく、それによりレンズの性能安定性が低下し、又はさらに使用できなくなる。
【0006】
耐候性、高温及び低温耐性、耐黄変性などの一連の優れた特性のため、シリコーン材料は他の材料よりも明らかに優れている。したがって、シリコーン材料は光学素子の製造に適用されている。例えば、中国特許出願公開第102918093A号は、従来のポリアクリル酸メチル等の代わりにポリシロキサン系光学材料及びその製造方法を提供し、ポリアクリル酸メチルが原因の耐老化性の悪化等の問題を回避している。この方法は、未硬化ポリシロキサン組成物を電子ビームに暴露することによってシリコーン材料を架橋することを含む。しかしながら、この方法は特別な装置を必要とするため、コストが比較的高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願公開第101675089号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第102863709号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第102918093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、室温又はそれよりも僅かに高い温度で急速に硬化することができる改良されたポリシロキサン組成物を提供すること、及び/又は所定の領域(例えば、UV光波)内の光波を吸収することができ、かつ、関連するデバイスをUV損傷から保護するために非常に重要な優れた耐老化性を有するポリシロキサン組成物を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示内容
本発明は、高い透明性、良好な流動性及び良好な加工性を特徴とし、かつ、室温又はそれよりも僅かに高い温度で迅速に硬化させることができる付加硬化性ポリシロキサン組成物を提供する。また、本発明のポリシロキサン組成物は、後述するように、所定の紫外線吸収剤、特に好ましい紫外線吸収剤を添加することにより、長期間の老化条件下であっても優れた紫外線吸収効果を維持することができ、それによって関連装置の長期間の保護を与えることもできる。
【0010】
このようにして得られた光学素子は、高い光透過率と優れた耐紫外線老化性とを有する。本発明に係るポリシロキサン組成物は、光学接着剤、光学シート又は基材の製造に使用することができ、かつ、様々な光学構造やシステム、特にフレネルレンズなどの光学レンズの製造に使用することができる。
【0011】
本発明のポリシロキサン組成物は、次の成分(A)〜(C)を含む:
(A)1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサンA1を0〜99.9重量%と、1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサン樹脂A2を0.1〜100重量%含む又は実質的にそれらからなるアルケニルポリシロキサン成分、ここで、該重量%はポリシロキサンA1及びポリシロキサン樹脂A2の総重量に基づき、
該ポリシロキサン樹脂A2は、式:R3SiO1/2のシロキサン単位M、式R2SiO2/2のシロキサン単位D、式RSiO3/2のシロキサン単位T及び式SiO4/2のシロキサン単位Q(式中、Rは1〜20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。)よりなる群から選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位を含み又は該少なくとも2種の異なるシロキサン単位から実質的になり、
該シロキサン単位の少なくとも1つはシロキサン単位T又はQであり、該シロキサン単位M、D及びTの少なくとも1つはアルケニル基を含み;
(B)次のものを含む又は次のものから実質的になる水素含有ポリシロキサン成分:
1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1又は1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2若しくは両者の混合物を含む又はこれらから実質的になる水素含有ポリシロキサン成分、ただし、該水素含有ポリシロキサン成分は合計で少なくとも2個のSi−H原子を含むものとし;
(C)有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒。
【0012】
特に、本発明は、上記ポリシロキサン樹脂A2の少なくとも1種がアルケニル基を有する少なくとも1個のシロキサン単位M(MVi単位)を含むポリシロキサン樹脂である、上記ポリシロキサン組成物に関する。
【0013】
特に、本発明は、上記組成物が(D)下記の1種以上のUV吸収剤、好ましくは式(Z)のベンゾトリアゾール化合物を含む紫外線吸収剤成分Dをさらに含む、上記ポリシロキサン組成物に関する。
【0014】
成分(A)
本発明のポリシロキサン組成物において、成分(A)は、ポリシロキサンA1とポリシロキサン樹脂A2との総重量に基づいて、1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサンA1を0〜99.9重量%及び1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサン樹脂A2を0.1〜100重量%含む。成分(A)において、アルケニル基は、ポリシロキサンA1の主鎖の任意の位置にあることができ、例えば、分子鎖の末端若しくは中間又は両末端及び中間にあることができる。
【0015】
ポリシロキサンA1は次の単位を含む:
(i)式(I−1)のシロキサン単位:
【化1】
(式中、
xはC2〜12、好ましくはC2〜6アルケニル、最も好ましくはビニル又はアリルを表し、
Zは同一でも異なっていてもよく、1〜30個、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表し、好ましくは少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいアルキル基を含めてC1〜8アルキル基から選択され、また、好ましくは、アリール基、特にC6〜20アリール基から選択され、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bの合計は1、2又は3である。)及び
(ii)任意に式(I−2)の他のシロキサン単位:
【化2】
(式中、
Zは上記の意味を有し、cは0、1、2又は3である。)。
【0016】
好ましい実施形態では、Zは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、フェニル、キシリル及びトリルなどよりなる群から選択できる。好ましくは、Z基の少なくとも60モル%がメチルである。
【0017】
ポリシロキサンA1は、50mPa.sに少なくとも等しい粘度、好ましくは200,000mPa.s未満の粘度を有することができる。本発明では、全ての粘度データは、特記しない限り、動的粘度値に関するものであり、例えば、Brookfield装置を用いて20℃で既知の方法で測定できる。
【0018】
ポリシロキサンA1は、式(I−1)の単位のみから形成されてもよく、又は式(I−2)の単位をさらに含んでいてもよい。ポリシロキサンA1は、直鎖状、分岐状又は環状構造である。
【0019】
式(I−1)のシロキサン単位の例としては、ビニルジメチルシロキシ、ビニルフェニルメチルシロキシ、ビニルメチルシロキシ及びビニルシロキサン単位が挙げられる。式(I−2)のシロキサン単位の例としては、SiO4/2単位、ジメチルシロキシ単位、メチルフェニルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位、メチルシロキシ単位及びフェニルシロキシ単位が挙げられる。
【0020】
ポリシロキサンA1としては、直鎖状又は環状の化合物、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチルビニルシリル末端基を含む)、(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサン共重合体(トリメチルシリル末端基を含む)、(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサン共重合体(ジメチルビニルシリル末端基を含む)及び環状メチルビニルポリシロキサンが挙げられる。
【0021】
成分(A)は、ポリシロキサン樹脂A2を、ポリシロキサンA1及びポリシロキサン樹脂A2の総重量に対して、0.1〜100重量%、例えば5〜70重量%、又は10〜40重量%の量でさらに含む。
【0022】
本発明において、アルケニルポリシロキサン樹脂A2は次の単位を含む:
式:R3SiO1/2のシロキサン単位M、式R2SiO2/2のシロキサン単位D、式RSiO3/2のシロキサン単位T及び式SiO4/2のシロキサン単位Qよりなる群から選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位(式中、Rは1〜20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表す。)が、ただし、
これらのシロキサン単位の少なくとも1つはシロキサン単位T又はQであり、シロキサン単位M、DおよびTの少なくとも1つはアルケニル基を含むものとする。
【0023】
本発明者は、ポリシロキサン樹脂A2中のアルケニル基の全て又は実質的に全てがシロキサン単位M(MVi単位)に結合している場合に、本発明のポリシロキサン組成物が他の方法で結合するアルケニル基を有するポリシロキサン樹脂を含有するものよりも迅速に室温又はそれよりも高い温度で硬化することができることを見出した。
【0024】
アルケニル基を有するシロキサン単位M(MVi単位)を含むポリシロキサン樹脂として、次のものよりなる群から選択されるポリシロキサン樹脂を使用することができる(以下、単位T、Q又はDを言及するときには、上付き文字「Vi」を有する単位はアルケニル基を含む単位を表す):
・次の単位から本質的になる式MViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
・次の単位から本質的になる式MMViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
・次の単位から本質的になる式MViViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
(a)式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi
(b)式R’SiO3/2の3価シロキサン単位TVi、及び
(c)式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
・次の単位から本質的になる式MViTQのオルガノポリシロキサン樹脂:
式RSiO3/2の3価シロキサン単位T、
式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、並びに
・次の単位から本質的になる式MViDQのオルガノポリシロキサン樹脂:
式R2SiO2/2の2価シロキサン単位D、
式R’R2SiO1/2の1価シロキサン単位MVi、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
上記式において、
Rは、1〜20個の炭素原子を有する1価炭化水素基、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、
R’はアルケニル基、好ましくは2〜12個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、特にビニル又はアリル、最も好ましくはビニルを表す。
【0025】
上記のものはポリシロキサン樹脂A2のいくつかの例に過ぎない。単位M、T、D及びQによって構成される他の樹脂も、本発明におけるポリシロキサン樹脂A2としての使用に適していることは当業者に明らかであろう。
【0026】
ポリシロキサン樹脂A2中のアルケニル基の全てがM(MVi単位)と結合することが好ましいが、例えば、アルケニル基を有するシロキサン単位M(MVi単位)を含むポリシロキサン樹脂は、式MViQ、式MMViQ、式MViTQ及び式MViDQのオルガノポリシロキサン樹脂、特に好ましくは式MMViQのオルガノポリシロキサン樹脂から選択できる。しかし、実際の製造時の要件や硬化速度の要件によっては、D又はTに少量のアルケニル基が結合することも許容されるが、ただし、単位Mに結合したアルケニル基の含有量は、ポリシロキサン樹脂A2中の全アルケニル含有量の50%超、好ましくは60%超、より好ましくは80%超、最も好ましくは90%超を占めるものとする。
【0027】
本発明の有利な実施形態では、ポリシロキサン樹脂A2中のアルケニル基の含有量は、ポリシロキサン樹脂A2の100gに対して0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上、例えば0.03〜0.2モル又は0.06〜0.1モルである。
【0028】
ポリシロキサン樹脂A2は、上記MVi単位を有するポリシロキサン樹脂の他に、例えば、次の群から選択される1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂を含んでいてもよい:
・次の単位から本質的になる式MTViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
(a)式R’SiO3/2の3価シロキサン単位TVi
(b)式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
(c)式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
・次の単位から本質的になる式MDViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
(a)式RR’SiO2/2の2価シロキサン単位DVi
(b)式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
(c)式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、並びに
・次の単位から本質的になる式MDDViQのオルガノポリシロキサン樹脂:
(a)式RR’SiO2/2の2価シロキサン単位DVi
(b)式R2SiO1/2の2価シロキサン単位D、
(c)式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
(d)式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
上記式中、
Rは、1〜20個の炭素原子を有する1価炭化水素基、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、
R’はアルケニル基、好ましくは2〜12個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、特にビニル又はアリル、最も好ましくはビニルを表す。
【0029】
上記のように、上記構造を有する他のポリシロキサン樹脂を使用することができるが、ポリシロキサン樹脂A2全体において、単位Mに結合したアルケニル基の含有量は、ポリシロキサン樹脂A2中の全アルケニル含有量の50%超、好ましくは60%超、より好ましくは80%超、最も好ましくは90%超を占めることが必要である。
【0030】
本発明において、組成物、特にポリシロキサン樹脂又は成分(A)及び(B)を参照するときに、「実質的に〜からなる/を含む」という用語は、関連する樹脂又は組合せが、該組成物の総重量に基づいて、列挙した成分の50重量%超、例えば少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又はさらに100重量%を含むことを意味する。
【0031】
有利には、ポリシロキサン樹脂A2は、200〜100,000、好ましくは200〜50,000、より好ましくは500〜30,000の範囲の重量平均分子量を有する。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレンを基準にして求めることができる。
【0032】
成分(B)
本発明のポリシロキサン組成物中の成分(B)は、1分子当たり同一又は異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1、又は1分子当たり同一又は異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2、又は両者の混合物を含むが、ただし、該水素含有ポリシロキサン成分は合計で少なくとも2個のSi−H原子を含むものとする。
【0033】
このように、成分(B)としては、1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも2個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1、又は1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも2種の水素含有ポリシロキサンB1の混合物を使用することができる。
【0034】
Si−H基を有するオルガノポリシロキサンは、他の成分、特に成分(A)と架橋すること、すなわち、成分中のSi−H基と他の成分中のアルケニル基とを反応させて硬化生成物を形成することができる。1分子当たりに少なくとも1個又は2個の水素原子が同一又は異なるケイ素原子に結合した水素含有ポリシロキサンB1について、各分子が2個又は3個以上のSi−H基を有することが好ましい。
【0035】
好ましい実施形態では、水素含有ポリシロキサンB1は次の単位を含む:
(i)式(II−1)のシロキサン単位:
【化3】
(式中、
Lは、同一又は異なっていてよく、1価の炭化水素基を表し、好ましくは、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を含めてC1〜8アルキル基から選択され、好ましくはアリール基、C6〜20アリール基から選択され、
dは1又は2であり、eは0、1又は2であり、d+eの合計は1、2又は3である。)、及び
(ii)任意に、一般式(II−2)の少なくとも1個の他の単位:
【化4】
(式中、
Lは上記の意味を有し、gは0、1、2又は3である。)。
【0036】
より好ましい実施形態では、Lは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、フェニル、キシリル及びトリルなどよりなる群から選択できる。水素含有ポリシロキサンB1は、少なくとも10mPa.s、好ましくは20〜1000mPa.sの動粘度を有する。
【0037】
水素含有ポリシロキサンB1は、式(II−1)の単位のみから形成されてもよく、又は式(II−2)の単位をさらに含んでいてもよい。水素含有ポリシロキサンB1は、直鎖状、分岐状、環状構造を有していてもよい。
【0038】
式(II−1)の単位の例としては、H(CH32SiO1/2、HCH3SiO2/2及びH(C65)SiO2/2が挙げられる。
【0039】
式(II−2)の単位の例は、式(I−2)の単位について上に示したものと同じものとすることができる。
【0040】
水素含有ポリシロキサンB1の例としては、直鎖状又は環状の化合物、例えばジメチルポリシロキサン(水素化ジメチルシリル末端基を含む)、(ジメチル)(ヒドロメチル)ポリシロキサン単位を有する共重合体(トリメチルシリル末端基を含む)、(ジメチル)(ヒドロメチル)ポリシロキサン単位を有する共重合体(水素化ジメチルシリル末端基を含む)、トリメチルシリル末端基を有する水素化メチルポリシロキサン及び環状水素化メチルポリシロキサンが挙げられる。
【0041】
場合によっては、水素含有ポリシロキサンB1は、水素化ジメチルシリル末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、少なくとも3個のヒドロシリル基を含有するオルガノポリシロキサンとの混合物であってもよい。
【0042】
成分(B)の別の選択肢として、1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも2個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2、又は1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2の混合物を使用することも可能である。
【0043】
水素含有ポリシロキサン樹脂B2は次の単位を含む:
式:R3SiO1/2のシロキサン単位M、式R2SiO2/2のシロキサン単位D、式RSiO3/2のシロキサン単位T及び式SiO4/2のシロキサン単位Qよりなる群から選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表す。)、ただし、
これらのシロキサン単位の少なくとも1つはシロキサン単位T又はQであり、シロキサン単位M、D及びTの少なくとも1つはSi−H基を含むものとする。
【0044】
したがって、好ましい実施形態によれば、水素含有ポリシロキサン樹脂B2は次のものよりなる群から選択できる:
・次の単位から本質的になる式M’Qの水素含有ポリシロキサン樹脂:
(a)式R2(H)SiO1/2の1価シロキサン単位、及び
(b)式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、並びに
・次の単位から本質的になる式MD’Qの水素含有ポリシロキサン樹脂:
式(R)(H)SiO2/2の2価シロキサン単位D’、
式R3SiO1/2の1価シロキサン単位M、及び
式SiO4/2の4価シロキサン単位Q、
上記式中、Rは1〜20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。
【0045】
さらに、成分(B)のさらなる選択肢として、1分子当たり同一又は異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1と、1分子当たり同一又は異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2との混合物を使用することが可能である。この場合、ポリシロキサンB1及びポリシロキサン樹脂B2は、広範囲にわたる任意の割合で混合でき、その割合は、硬度及びSi−H基とアルケニル基との比率などの所望の生成物の特性によって変更できる。
【0046】
実際には1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサン成分A及び1分子当たり同一又は異なるケイ素原子に結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン成分Bを一般的に使用するが、ポリシロキサン鎖中にアルケニル基とSi−H基の両方を同時に有する重合体を使用できることも理論的には除外されない。この場合、これらのものは、一般にポリシロキサン中のアルケニル基又はSi−H基のモル比が50モル%を超えるかどうかに応じて、それぞれ、アルケニルポリシロキサン成分(A)(アルケニル基が多数存在する)と水素含有ポリシロキサン成分(B)(Si−H基が多数存在する)に分類される。
【0047】
成分A及びBの比は、一般に、ビニル基に対するSi−H基のモル比に従って決定される。ビニル基に対するSi−H基のモル比は、一般に0.5〜10、好ましくは0.8〜6、より好ましくは1.2〜4である。
【0048】
成分A及びBの全含有量は、一般に、全成分の50重量%超、好ましくは60重量%超、より好ましくは80重量%超を占める。
【0049】
成分(C)
本発明に係るポリシロキサン組成物は、成分(C)として有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒をさらに含む。本発明のポリシロキサン組成物において、アルケニルポリシロキサン成分(A)及び水素含有ポリシロキサン成分(B)は、通常、触媒の存在下でのヒドロシリル化によって硬化される。
【0050】
このような反応に有用なヒドロシリル化触媒は、通常、少なくとも1種の白金族金属を含む触媒であり、白金族金属を含む硬化触媒は、それ自体公知の少なくとも一種の白金族金属又はその化合物からなる。白金系金属としても知られる「白金族金属」という用語には、白金に加えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムも含まれる。白金及びロジウムの化合物を使用することが好ましい。例えば、米国特許第3,159,601号、米国特許第3,159,602号、米国特許第3,220,972号、欧州特許出願公開第0057459号、欧州特許出願公開第0188978号及び欧州特許出願公開第0190530号に記載された白金の錯体及び有機生成物、及び特に、例えば米国特許第3,419,593号、米国特許第3,715,334号、米国特許第3,377,432号及び米国特許第3,814,730号に記載された白金とビニルオルガノシロキサンとの錯体を使用することができる。これらの特許文献は、その全体が参照により本明細書で援用される。
【0051】
本発明に係る少なくとも1種のヒドロシリル化触媒は、触媒有効量で組成物中に存在する。触媒有効量は当業者に公知であり、反応物の量及び種類に従って容易に決定できる。一般に、本発明における触媒の量(金属重量で表す)は、成分(A)の重量に基づいて、例えば、0.1〜1,000ppm、好ましくは0.5〜400ppm、より好ましくは1〜50ppmの範囲とすることができる。一般に、好ましい触媒は白金である。
【0052】
紫外線吸収剤成分D
好ましい実施形態として、本発明に係るポリシロキサン組成物は、紫外線吸収剤成分Dをさらに含む。
【0053】
当該技術分野において一般的に使用されている紫外線吸収剤の例としては、中国特許出願公開第101277676A号、米国特許出願公開第20130344013A1号、中国特許出願公開第102510861A号に開示されているサリシレート類、ベンゾフェノン類、シアノアクリレート類、トリアジン類、ベンゾトリアゾール類、桂皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体等が挙げられる。
【0054】
例えば、本発明に好適なベンゾフェノンUV吸収剤は、ベンゾフェノン、ジフェニルエタノン又はジフェニルエタンジオンとすることができ、そのうちジフェニルエタンジオンUV吸収剤が好ましい。
【0055】
例えば、本発明に好適なジフェニルエタンジオンUV吸収剤は、好ましくは、ジフェニルエタンジオン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエタンジオン、1−(4−エチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4−エトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、1−(4−プロピルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、特に好ましくは1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンよりなる群から選択される1種以上とすることができる。
【0056】
例えば、本発明に好適なシアノアクリレート系紫外線吸収剤は、好ましくは、2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−アクリル酸3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸ヘキシルエチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸メチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸イソオクチルよりなる群から選択される1種以上とすることができる。特に好ましいのは、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸イソオクチルである。
【0057】
例えば、本発明に好適なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、好ましくは、2−(2’H−ベンゾトリアゾール−2’−イル)−4,6−ビス(t−ペンチル )フェノールN−オキシド、2−(2’H−ベンゾトリアゾール−2’−イル)−4−メチル−6−(2’−プロペニル)フェノール、2−(2’H−ベンゾトリアゾール−2’−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブトキシプロペニル及びドロメトリゾールトリシロキサンよりなる群から選択される1種以上とすることができる。
【0058】
しかし、シリコーン材料などの重合体光学材料を屋外や複雑な環境で使用すると、経年変化の影響を受けることになる。例えば、太陽光発電システムでは、光電変換効率を向上させるために比較的長期間にわたって面積の比較的小さな太陽電池システムに多くの太陽光を収束させる必要がある。このような屋外での長時間の使用では、日光中の紫外線がコンデンサシステムの部品を破壊し続け、老化しやすくなり、性能が低下し、耐用年数が短くなる場合がある。
【0059】
本発明者は、驚くべきことに、特定の紫外線吸収剤を使用すると、硬化後の組成物の初期使用時だけでなく、長期間の経年変化の場合、例えば150℃で24時間の高温加速老化試験条件下での老化後においても良好な光透過率及び紫外線吸収効果を得ることができることを見出した。
【0060】
本発明に係る特定の紫外線吸収剤成分Dは、以下に示す式Zのベンゾトリアゾール化合物から選択される少なくとも1種を含む。これらの化合物は、ポリシロキサン組成物中で使用した場合に、UV吸収効果の点で上記改善をもたらすことができる。
【0061】
【化5】
式中、
Y1は−H、−Cl、−Brであり;
Y2は−H、C1〜C12アルキル、−Cl、C1〜C12アルコキシ、C7〜C9フェニルアルキル、−Cn2n−COOX(ここで、nは0〜4であり、XはC1〜C20アルキルである。)又はシロキサン置換C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、C7〜C9フェニルアルキル及び−Cn2n−COOXであり;
Y3は、−H、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、フェニル、−Cl、(C1〜C8アルキル)フェニル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C9アルコキシアシル、カルボキシエチル、C7〜C9フェニルアルキル、又はシロキサン置換C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、フェニル、(C1〜C8アルキル)フェニル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C9アルコキシアシル、カルボキシエチル、C7〜C9フェニルアルキルである。
【0062】
好ましくは、Y1はHを表す。
【0063】
好ましくは、Y2はC3〜C12アルキル、C7〜C9フェニルアルキル、−Cn2n−COOX(ここで、nは1〜3を表し、及び/又はXはC1〜C12アルキルを表す)又はシロキサン置換C1〜C12アルキルを表す。より好ましくは、Y2はC3〜C12アルキル、シロキサン置換C1〜C12アルキル又は−Cn2n−COOX(ここで、nは1〜3を表し、及び/又はXはC3〜C12アルキルを表す。)を表す。
【0064】
好ましくは、Y3は、C1〜C4アルコキシ、フェニル、−Cl又はC1〜C12アルキル、シロキサン置換C1〜C12アルキル、より好ましくはC1〜C8アルキル及びシロキサン置換C1〜C12アルキルを表す。
【0065】
好ましいベンゾトリアゾール化合物は、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(ジ(トリメチルシロキシ)メチルシリルイソブチル)−5’−ヘキシル)ベンゾトリアゾール及び3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチルよりなる群から選択できる。これらの中では、3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチルが最も好ましい。
【0066】
したがって、特定の実施形態によれば、本発明は、次の成分(A)〜(D)を含むポリシロキサン組成物に関するものでもある:
(A)1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサンA1を0〜99.9重量%及び1分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を有する少なくとも1種のポリシロキサン樹脂A2を0.1〜100重量%含む又は実質的にこれらのものからなるアルケニルポリシロキサン成分、ここで、上記重量%はポリシロキサンA1とポリシロキサン樹脂A2との総重量に基づき、
該ポリシロキサン樹脂A2は次のものを含む又は次のものから実質的になり:
式R3SiO1/2のシロキサン単位M、式R2SiO2/2のシロキサン単位D、式RSiO3/2のシロキサン単位T及び式SiO4/2のシロキサン単位Qよりなる群から選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位(式中、Rは1〜20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個炭素原子を有する1価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。)、
これらのシロキサン単位の少なくとも1つはシロキサン単位T又はQであり、シロキサン単位M、D及びTの少なくとも1つはアルケニル基を含み;
(B)1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサンB1又は1分子当たり同一若しくは異なるケイ素原子に結合した少なくとも1個のSi−H原子を有する少なくとも1種の水素含有ポリシロキサン樹脂B2若しくは両者の混合物を含む又はこれから実質的になる水素含有ポリシロキサン成分、
ただし、該水素含有ポリシロキサン成分は合計で少なくとも2個のSi−H原子を含むものとし;
(C)有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒;及び
(D)上記式Zのベンゾトリアゾール化合物から選択される紫外線吸収剤成分D。
【0067】
これらのうち、3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチルが最も好ましい。
【0068】
UV吸収剤の含有量は、組成物の全成分を基準にして0.001〜15重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%である。
【0069】
UV吸収剤が添加されると、UV吸収剤に通常含まれる基の比較的強い極性及びポリシロキサン系の比較的弱い極性のため、両者の間の相溶性が比較的低くなり、ポリシロキサン系の透明性が低下する原因となる場合がある。したがって、好適な有機可溶化剤を適宜導入して、UV吸収剤とポリシロキサン組成物との相溶性を高め、透明性を維持しかつ他の特性を変化させないことを前提としてポリシロキサン組成物のUV吸収能を改善することによって、本発明の目的を達成することができる。
【0070】
好ましい有機可溶化剤は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、アルデヒド、含窒素化合物、複素環式化合物よりなる群から選択される1種以上であり、例えば脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素とすることができる。
【0071】
脂肪族炭化水素は、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ブタン、n−ヘプタン、ペンタン、イソドデカンなどよりなる群から選択される1種以上であり、好ましくはイソドデカンとすることができるが、これらに限定されない。
【0072】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、n−プロピルベンゼン、4−エチルトルエン、C12〜15アルコールベンゾエートよりなる群から選択される1種以上であり、好ましくはC12〜15アルコールベンゾエートとすることができるが、これらに限定されない。
【0073】
溶媒の量は、一般に、組成物中の全成分の30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは2%以下である。
【0074】
分子構造がポリシロキサン組成物とは全く異なる相溶性を有する場合のある様々なUV吸収剤のため、任意の実施形態においては有機可溶化剤を添加する必要はない。さらに、UV吸収剤の添加は、所定の条件下において撹拌速度の増加又は撹拌時間の延長などのいくつかの方法によって組成物の透明性にいかなる影響も及ぼすことなく実施できる。
【0075】
本発明に係るポリシロキサン組成物は、上記の成分に加えて、反応抑制剤Eをさらに含むことができる。ヒドロシリル化は白金触媒によって触媒される場合が多く、反応速度は速い。製造、輸送、貯蔵又は配合時間に関する組成物に対する要件をさらに満たすために、少量のヒドロシリル化防止剤が通常添加される。
【0076】
ここで、アルキノール系硬化防止剤、ポリビニル系硬化防止剤又はこれらの混合物を使用することができる。これらの防止剤は、例えば次の特許文献に記載されている:欧州特許出願公開第0794217A1号、米国特許出願公開第20140004359号、中国特許出願公開第102277128A号、中国特許出願公開第103554924A号及び中国特許出願公開第103655212A号。また、これらの特許文献は、その全体が参照により本明細書で援用される。
【0077】
アルキノール系防止剤の例は、3−ブチン−2−オール、1−ペンチン−3−オール、1−ヘキシン−3−オール、1−ヘプチン−3−オール、5−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロペンタノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1−エチニル−1−シクロヘプタノール、3−エチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール、3−イソブチル−5−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3,4,4−トリメチル−1−ペンチン−3−オール、3−エチル−5−メチル−1−ヘプチン−3−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロオクタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘプチン−3−オール、3−メチル−1−オクチン−3−オール、3−メチル−1−ノニル−3−オール、3−メチル−1−デシン−3−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オールであることができる。
【0078】
ポリビニル系防止剤の例は、テトラメチルジビニルシラン、ポリビニルシリコーンオイル、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、好ましくはテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンとすることができる。
【0079】
本発明の付加硬化性ポリシロキサン組成物は、該組成物自体が防止剤を添加することなく製造、輸送、貯蔵又は使用時の配合時間に関する要件を満たすことができる場合には、重合禁止剤をそれに添加しなくてもよい。
【0080】
他の成分
本発明のポリシロキサン組成物は、上記成分(A)〜(C)の他に、1種以上の他の成分、例えば、帯電防止剤、放射線遮蔽剤、ラジカル抑制剤、接着改質剤、難燃剤、界面活性剤、貯蔵安定性改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、粘度上昇剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤及び他の添加剤を含むことができるが、ただし、該組成物が光学接着剤又は光学素子の製造に使用することができず、また光学系に使用することができないほどにそれらの量がポリシロキサン組成物の硬化速度、透過率及び機械的特性に影響を与えないことを条件とする。
【0081】
本発明に係るポリシロキサン組成物は、(A)〜(D)又は(A)〜(E)などの様々な成分と任意の他の添加剤とを所定の割合で均一に混合することによって得ることができる。このように得られた組成物はヒドロシリル化反応を経て硬化ポリシロキサン組成物となる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1図1は、例1〜4の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
図2図2は、例5、7〜8の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
図3図3は、例6の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
図4図4は、例9の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
図5図5は、例10の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
図6図6は、例11の硬化ポリシロキサン組成物の透過率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明を以下の実施例を参照してさらに説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。さらに、本発明の明細書におけるパーセンテージ及び部/比率は、特に明記しない限り、全て重量に基づく。
【実施例】
【0084】
例1
32部の樹脂11342(ブルースターシリコーンズ社製、ここで、621V3500:621V60000:MMViQ=40:20:40(重量比)であり、621V3500及び621V60000は、それぞれ粘度が約3500mPa.s及び約60,000mPa.sで、ビニル含有量が0.007モル/100g及び0.003モル/100gで、総ビニル含有量が約0.041モル/100gの両末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンである)、41重量部の621V3500、27重量部の621V10000(ブルースターシリコーンズ社製、粘度約10,000mPa.s、ビニル含有量0.005mol/100gのビニル末端ポリジメチルシロキサン)、0.03重量部のH50614(ブルースターシリコーンズ社製、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン)及び白金含有率2.8ppmの白金錯体触媒(ヒューレットパッカードテクノロジー社製、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)を高速撹拌機において2000rpmで3回、それぞれ20秒間混合した。
【0085】
この混合物を完全に混合した後、5重量部の水素含有ポリシロキサン樹脂10339(ブルースターシリコーンズ社製、Si(O(CH32SiH)4、CAS:68988−57−8)を添加した。この混合物を高速撹拌機において2000rpmで3回、それぞれ20秒間にわたって混合した。
【0086】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。
【0087】
例2
76重量部の樹脂11342と、24重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、白金含有量2.9ppmの白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒間にわたって高速撹拌機で混合した。
【0088】
この混合物を十分に混合した後、9重量部の水素含有ポリシロキサン626V25H7(ブルースターシリコーンズ社製、分子鎖の両末端及び中央に水素結合を有し、Si−H含有量が0.69モル/100gの水素含有ポリジメチルシロキサン)を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0089】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。
【0090】
例3
53重量部の樹脂11342と、9重量部の樹脂10340(ブルースターシリコーンズ社製、621V3500:MDViQ=75:25(重量比)、総ビニル含有量0.021モル/100g)と、38重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量の白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0091】
この混合物を完全に混合した後、6.6重量部の樹脂10339及び5.4重量部の620H2(ブルースターシリコーンズ社製、Si−H含有量0.19モル/100gの水素末端ポリジメチルシロキサン)を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0092】
上記混合物を硬度が安定するまで45℃で硬化させて硬化ポリシロキサン組成物を得た。
【0093】
例4
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量を有する白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒間高速撹拌機で混合した。
【0094】
混合物を完全に混合した後、6.5重量部の樹脂10339及び5.4重量部の620H2を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0095】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。
【0096】
例5
32重量部の樹脂11342と、41重量部の621V3500と、27重量部の621V10000と、0.03重量部のH50614と、2.8ppmの白金含有量を有する白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0097】
この混合物を完全に混合した後、5重量部の樹脂10339と、CibaTINUVIN384−2(UV吸収剤、主成分:3−(2’H−ベンゾトリアゾール)−5−(1’,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸オクチル、BASF製)と、溶媒PAESTER 9145SD(主成分:C12〜15アルコールベンゾエート、バイダプレシジョンケミカル社製)との混合物0.55重量部(UV吸収剤に対する溶媒の比率は1:4であった)とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0098】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、透過率を測定した。
【0099】
関連物質は次の構造を有する:
【化6】
Ciba TINUVIN 384−2
【化7】
PAESTER 9145SD
【0100】
例6
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量を有する白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒間高速撹拌機で混合した。
【0101】
混合物を完全に混合した後、6.5重量部の樹脂10339及び5.4重量部の620H2、並びに紫外線吸収剤Ciba TINUVIN400(CAS:153519−44−9、その組成及び関連する化合物の構造を以下に示す)と溶媒PAESTER 9145SDとの混合物(UV吸収剤に対する溶媒の比率は334:1であった)18.10重量部を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0102】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。
【0103】
関連化合物は以下の構造を有する:
【化8】
Ciba TINUVIN 400:2−[4−[2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ] −2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−[4−[2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンとの混合物。
【0104】
例7
53重量部の樹脂11342と、9重量部の樹脂10340と、38重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、白金含有量が3.0ppmの白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0105】
混合物を完全に混合した後、6.6重量部の樹脂10339と、5.4重量部の620H2と、0.46重量部のCiba TINUVIN384−2とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0106】
上記混合物を硬度が安定するまで45℃で硬化させて硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、その透過率を測定した。
【0107】
例8
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量を有する白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒間高速撹拌機で混合した。
【0108】
この混合物を完全に混合した後、6.5重量部の樹脂10339と、5.4重量部の620H2と、0.47重量部の紫外線吸収剤Ciba TINUVIN384−2とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0109】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、透過率を測定した。
【0110】
例9
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.1ppmの白金含有量の白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0111】
この混合物を完全に混合した後、6.5重量部の樹脂10339と、5.4重量部の620H2と、0.62重量部の紫外線吸収剤Ciba TINUVIN 384−2とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0112】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、透過率を測定した。
【0113】
例10
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.1ppmの白金含有量の白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0114】
この混合物を完全に混合した後、6.6重量部の樹脂10339及び5.4重量部の620H2、並びに紫外線吸収剤PARSOL GUARD(DSM社製、主成分:1−(4−t−ブチルフェニル)3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン及び2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸イソオクチル)と溶媒の異性体ドデカンとの混合物(紫外線吸収剤に対する溶媒の比率は1:1であった)1.3重量部を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0115】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、透過率を測定した。
【0116】
関連化合物は以下の構造を有する:
【化9】
1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン
【化10】
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸イソオクチル
【化11】
異性体ドデカン。
【0117】
例11
56重量部の樹脂11342と、44重量部の621V3500と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量を有する白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒間高速撹拌機で混合した。
【0118】
この混合物を完全に混合した後、6.5重量部の樹脂10339及び5.4重量部の620H2並びに0.47重量部のUV吸収剤Ciba TINUVIN292HP(CAS:41556−26−7、関連化合物の構造を以下に示す)を添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0119】
上記混合物を45℃で1時間にわたって硬化させて、硬化ポリシロキサン組成物を得た。硬化後のサンプルを150℃で24時間保存した後、透過率を測定した。
【0120】
関連化合物は以下の構造を有する:
【化12】
Ciba TINUVIN292HP:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバケート。
【0121】
例12
88.9重量部の樹脂10340と、11.1重量部の621V60000と、0.03重量部のH50614と、3.0ppmの白金含有量の白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0122】
この混合物を完全に混合した後、4.9重量部の樹脂10339と、4重量部の620H2とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0123】
上記混合物を45℃で硬化させた。
【0124】
例13
88.9重量部の樹脂10340と、11.1重量部の621V60000と、3.0ppmの白金含有量の白金錯体触媒とを2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0125】
この混合物を完全に混合した後、4.9重量部の樹脂10339と、4重量部の620H2とを添加した。この混合物を2000rpmで3回、それぞれ20秒にわたって高速撹拌機で混合した。
【0126】
上記混合物を45℃で硬化させた。
【0127】
性能評価
得られた組成物を以下の方法で評価し、その結果を表1及び図1〜5に示した。
【0128】
外観:組成物を45℃の低温で45分間にわたって硬化させてシリコーン材料を得た。その外観を目視検査により評価した。
【0129】
透過率:得られたポリシロキサン組成物を45℃で硬化させて、厚さ1mmの無色透明の試料片を得、UV−2600 UV分光光度計を用いて450nmでのその透過率を測定した。
【0130】
紫外線吸収性能:透過率の測定と同様のサンプル調製及び試験方法を使用することによって関連する透過曲線を得た。結果を図1〜6に示した。
【0131】
硬度:ASTM D2240に従って硬度を測定した。
【0132】
粘度:ASTM D445に従って粘度を測定した。
【0133】
引張強度:ASTM D412に従って引張強度を測定した。硬化条件:45℃で1時間。
【0134】
引張伸び:ASTM D412に従って引張り伸びを測定した。硬化条件:45℃で1時間。
【0135】
引裂強度:ASTM D624Aに従って引裂強度を測定した。硬化条件:45℃で1時間。
【0136】
【表1】
#:適切な溶媒を添加して紫外線吸収剤の溶解を促進させなければならない。しかし、溶媒が過剰になるとオイルの沈殿が生じる一方で、溶媒が少ないと生成物の透明性が損なわれる。
*:45℃で1時間にわたって硬化させた後の流動状態、45℃で3時間にわたって硬化させた後のゲル状態において硬化せず。
n.m.は測定しなかったことを示す。
【0137】
表1及び図1〜6の結果から分かるように、本発明の例1〜5及び7〜10に係るポリシロキサン組成物は、MMViQ単位を含有する樹脂を含まない例12及び13に係るポリシロキサン組成物と比較して、45℃でより速い硬化速度を有し、かつ、それらの機械的特性及び光学的特性に影響を与えることなくより完全に硬化した。重合禁止剤H50614を例1〜5及び7〜10並びに例12では使用したが、例13では使用しなかった。重合禁止剤成分は、本発明の硬化条件下ではポリシロキサン組成物の硬化に影響を及ぼす又は該硬化を抑制することができると一般に考えられるが、表1の結果並びに例1〜5及び7〜10と例13との比較から、例1〜5及び7〜10の硬化速度は、H50614を添加しなくても例13よりもはるかに高いことが分かる。
【0138】
さらに、図1〜6から、UV吸収剤Ciba TINUVIN384−2を含有する硬化組成物は、長期間の老化の場合、例えば150℃で24時間の高温加速老化試験条件での老化後であっても、比較的良好な透過率及び紫外線吸収効果を依然として保持していることが分かる。一方、紫外線吸収剤Ciba TINUVIN384−2を使用した場合には、有機可溶化剤の使用を省略することができた。
【0139】
さらに、式(Z)に従うUV吸収剤Ciba TINUVIN384−2を含むポリシロキサン組成物は、透明性及び紫外線吸収効果の点でトリアジンを含む組成物(例6)及び立体障害アミンを含む組成物(例11)よりも明らかに優れていた。トリアジン系紫外線吸収剤とポリシロキサン樹脂との相溶性はあまり良くなく、相溶性を向上させるためには多量の溶媒が必要となるため、硬化したサンプルから溶媒が析出して透過率が極めて低下してしまう場合があった(図3に示す)。また、図6に示すように、立体障害アミン系紫外線吸収剤は紫外線を完全には吸収することができず、老化処理後も透過率及び紫外線吸収効果は向上しなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6