特許第6465984号(P6465984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465984
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】逆充填炭素及び温度ドロップインセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/205 20190101AFI20190128BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   G01N33/20 B
   G01N1/10 S
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-538430(P2017-538430)
(86)(22)【出願日】2015年12月23日
(65)【公表番号】特表2018-506714(P2018-506714A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2015081114
(87)【国際公開番号】WO2016116247
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年9月7日
(31)【優先権主張番号】62/105,882
(32)【優先日】2015年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/942,180
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598083577
【氏名又は名称】ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイ・ターナー
(72)【発明者】
【氏名】ハリー・ジー・クラウス・ジュニア
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/039629(WO,A1)
【文献】 特開昭55−147348(JP,A)
【文献】 米国特許第9958427(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/20
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯のサンプルの熱分析によって相変化を決定するためのドロップインプローブであって、
浸漬端部である第1端部と、端部面を有する反対側の第2端部とを含む測定ヘッドと、 前記測定ヘッド内に配置されたサンプルチャンバーとを備え、前記測定ヘッドの前記第2端部の端部面には前記サンプルチャンバーと連通する開口部が形成され、前記開口部にはいかなる制限もなく、前記サンプルチャンバーは、壁部内に囲まれた第1熱電対接合部を有する第1熱電対を備え、前記壁は均一な内部形状を有し、
前記開口部と前記第1熱電対接合部との間に延在する長さHに対する前記サンプルチャンバーの内径Dの比D/Hが0.1〜1.2の間である、ドロップインプローブ。
【請求項2】
前記比D/Hが0.3である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項3】
前記サンプルチャンバーが前記溶湯のサンプルで満たされているときに、前記サンプルチャンバーの前記壁部の質量に対する前記サンプルチャンバー内に収容された金属の質量の比が0.25〜1.25の間である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項4】
前記測定ヘッドの前記浸漬端部に第2熱電対接合部を有する第2熱電対をさらに備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項5】
前記測定ヘッドの第2端部から出る延長管と、前記延長管を通って延在しかつそこから出口開口部に出る信号ケーブルとをさらに備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項6】
前記延長管が金属、プラスチック、ゴム、紙材料及び織物材料よりなる群から選択される材料から作製されている、請求項5に記載のドロップインプローブ。
【請求項7】
前記サンプルチャンバーが空である状態での前記測定ヘッドの現場密度が5g/cm3よりも大きい、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項8】
前記サンプルチャンバーが前記溶湯で満たされている状態での測定ヘッドの現場密度が6.5g/cm3未満である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項9】
前記浸漬端部に取り付けられたキャップをさらに備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項10】
前記開口部を覆うキャップをさらに備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項11】
前記キャップがアルミニウム製である、請求項10に記載のドロップインプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴熱電対と逆充填均一形状凝固チャンバーとを備えるドロップインセンサに関する。凝固チャンバーは、充填開口部に制限がなく、凝固チャンバー充填開口部から凝固チャンバー熱電対測定接合部まで最小寸法を有する。本発明に係るドロップインセンサは、溶湯の液相線温度を迅速かつ正確に測定することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
製鋼プロセス中に、酸素は鋼中に溶解した炭素と結合して炭素を除去すると同時に、燃焼プロセスから熱を与える。炭素含有量並びに溶湯温度が分かっている場合、炉オペレータは追加の精錬度を決定したり、プロセスを終了したりすることができる。したがって、液体金属の温度と炭素含有量の両方に関する利用可能な情報を有することが有利である。
【0003】
米国特許第3,559,452号には、転炉プロセス中における溶鋼中の炭素決定の有用性及び用語が記載されている。米国特許第5,577,841号に開示されているような使い捨て浸漬センサを使用することが一般的に行われており、このセンサを金属支持ランスに取り付け、オペレータが温度及び熱分析情報を得るために手動で操作する。多くの場合、溶湯と使い捨て浸水測定センサとを接触させ、それによって金属の温度及び炭素含有量を決定するために、鋼製処理容器の内部への容易なアクセスが厳しく制限される。
【0004】
米国特許第4,141,249号に記載されているような、転炉法での使用に適した大型機械補助ランスは、これらの補助ランスに取り付けるように特別に設計された米国特許出願公開第2013/0098173号に記載されているような多機能センサプローブを沈めるように構成されている。しかしながら、補助ランスを有する既存の転炉を変更するためには大きな資本費用が必要である。いったん設置されると、典型的な製鋼所の産業環境においてこの設備の継続的なメンテナンスは困難であり、それにより測定当たりのコストが増加する。これらの費用は全て、低コストの鉄鋼生産の障害となる。
【0005】
補助ランスの大規模な設備投資を避けるために、ドロップイン又は投げ込み式の装置が開発されている。このような測定装置は、溶湯表面よりかなり上のアクセスポートから容器に落とされる。これらの装置は、達成される処理度に関するデータを提供する遠隔計器に熱電対出力を中継する信号ケーブルを辿り、それによってオペレータが必要な追加処理の範囲を判断することを可能にする。このような温度測定又は熱分析用の装置は、米国特許第3,357,598号及び米国特許第3,463,005号に記載されている。
【0006】
従来のドロップイン装置から一貫して信頼性のある溶湯センサ情報を得る際の難点の1つは、落下したセンサが液状鋼に入り、所望の測定値を得るのに十分な時間にわたって浸漬したままであることを確保することである。具体的には、精錬プロセス中に、多量のスラグが溶鋼上に浮き、落下した装置がスラグ層を通って溶湯中に入るのを妨げる。一般に、液体本体の上の高さから落下した物体は、その終端速度がゼロに近づくまで液体表面の下に沈められ続け、その浮力は浸漬力に対抗し、その本体は浮遊に向かって軌道を反転させる。より具体的には、溶鋼の変位容積が、そこに沈められるように設計されたドロップインセンサの部分の重量よりも著しく大きい場合には、このセンサは沈むのではなく浮遊する。溶鋼中に沈められた物体に作用する浮力が上方向に作用することによって、液状鋼上に部分的に又は完全に浮上する位置となる。
【0007】
熱電対又は熱捕獲チャンバーへの開口部が溶鋼との最適な接触のために方向付けられていない場合には、これらのセンサのランダムな落下が誤差を生じることがあることが従来から認識されている。米国特許第3,574,598号に開示されているような側方延出熱電対又は米国特許第3,463,005号に開示されているような側方開口熱捕獲チャンバーの両方は金属から離間して面し、溶湯接触が制限されるため誤差を受けることがあり、浮遊の結果として部分的にしか充填されず又は全く充填されない。
【0008】
この問題を克服するために、これらの装置の改良は、典型的には、装置がスラグを通って鋼に降下するのを助けるように液状スラグ及び液状鋼の嵩密度に関連する装置の嵩密度に依存すると共に、所望の浸漬方向に対して所定の方向付けを与える。ここで、嵩密度は、沈められた装置内のセンサ部品と任意の空隙及びその沈められた長さに応じた信号ケーブルを含めた全密度を意味するために使用される。米国特許第9,116,054号に示されている各構成の複数の断面は、好ましい方向付けを達成するために等級付けがされている。すなわち、測定ヘッドの高密度部分が測定要素の浸漬を確実にするために必要な7g/cm3より大きい見掛け密度を有する限りにおいて、全嵩密度は7g/cm3未満であることができる。液状鋼は固体鋼程度に高密度である約90%であるため、この方向付けを与えるためには、感知要素の前方に巨大な空き部分が必要である。したがって、測定要素は、センサの前面から離れた位置に配置される。しかしながら、前面にある感知要素は、測定されるべき鋼に最も長く曝されるのに好ましい正確な位置である。
【0009】
依然として、向きが正しいとき、すなわち温度センサを金属中に入れかつ液体金属で満たされた熱捕獲チャンバーと共に配置するときに、正確かつ信頼できる測定値が得られない可能性がある。米国特許第5,033,320号には、正確な熱捕獲情報を得るために必要な冷却チャンバーの質量と凝固速度との関係が記載されている。浴温度は比較的短時間で検出できるが、放出された融解潜熱と冷却マスの熱抽出との間で凝固金属が安定な熱平衡に達し、それによって液相線プラトーを得るためにはさらに長い時間が必要である。安定な液相線プラトーの温度の検出から、炭素含有量の正確な推定を行うことができる。
【0010】
ドロップインセンサが解放された時から、巻取信号ケーブルは常に燃焼している。高い浴温度のために経験するような長期間の液相線プラトーを得る前に、巻取信号ケーブルの破損が故障状態にまで進行して所望の測定値を得ることができない可能性がある。これは当該技術にとって新たなことではない。米国特許第3,374,122号に記載されているように、従来の装置では、測定ヘッドから出る信号ケーブルの一部を耐火材料又は厚紙のチューブで取り囲むことにより信号ケーブルの破壊を遅延させるために様々な隔離及び保護戦略が採用されてきた。
【0011】
米国特許第4,881,824号には、測定ヘッドが浸漬端部から離間して面する端部に調整可能な低密度チューブフロートを有し、信号ケーブルがこのチューブを通って案内されるときに、このような構成は、所望の測定値を得るために十分な信号ケーブルの保護を与えることが示唆される。同時に、低密度材料はカウンターバランスとしての役割も果たし、測定ヘッドを方向付けし、下向きの位置で安定化させる。フロートは測定装置をセンサ素子の下方位置に向けるべきであるが、これは単密度流体においてのみ当てはまる。スラグが典型的には約3g/cm3の密度を有し、鋼が典型的にはほぼ7g/cm3の密度を有する典型的な製鋼容器では、フロートを備えた装置は全嵩密度がスラグの嵩密度よりもさらに大きい液状鋼の嵩密度よりも極めて小さい。任意の追加の浮力材料は第1の低密度液体層内にセンサを向けることができるが、大量のフロートが低密度測定ヘッドを第2の高密度液体の下に沈めさせることはない。
【0012】
いくつかの従来のドロップイン装置としては、中国特許第201041556号の装置(図2に示される)のような後充填式凝固チャンバー(すなわち、熱捕獲サンプルチャンバーへの開口部が浸漬端部に対向する)が挙げられる。チャンバー2’は樹脂砂で構成され、軸方向に配置される。しかしながら、チャンバー2’はその内壁に接する溶湯を収容し、その外壁は溶融浴に直接さらされるため、チャンバー2’は、入口11’に入った金属を冷却するのには非効率的な熱容量を有する。サンプルチャンバー2’の完全な断熱がなければ、溶湯浴はヒートポンプとして作用し、それによりチャンバー2’内の凝固用マスの液相を加熱し、溶湯過熱が増加したときに数及び大きさが増加する液相線測定誤差を生じる場合がある。従来の意味では、過熱は、サンプリング時の溶湯の温度とその凝固中に検出された熱捕獲温度との差によって決定される。したがって、図2の装置に示されるように、サンプルチャンバー2’の大部分が主測定ヘッド1’の外側に存在し、かつ、溶湯浴と熱的に連通しているときに、溶湯浴からの直接的な加熱を受け、それによってサンプルチャンバー2’材料の冷却能力を低下させる。また、信号ケーブル6の出口は、金属リング5’によって測定ヘッド1に固定されているがその横方向の動きは制限されておらず、それによってサンプルチャンバー2’は所定の向きで破壊されることがある。
【0013】
いくつかの従来のドロップインプローブでは、凝固又はサンプルチャンバーの流入/流入開口部は、典型的には、チャンバー内容物の凝固の開始前に入口開口部を冷却する冷却マスによって制限されかつ取り囲まれるため、高温の周囲液体金属からの熱フラックスの可能性が、冷却を遅らせる、又は最悪の場合でも二相凝固マスの残留液体を再加熱することから切り離される。
【0014】
ドロップイン測定プローブのさらなる改善により、予想される多くの故障モードが排除された。しかしながら、これらの技術の多くは、所望の測定時間が転炉プロセスの終了時に生じる場合にはドロップイン装置にしか適していない。これは、プロセスの終了前、すなわち吹き込みプロセス中に温度及び炭素含有量を測定することが最も望ましいため不利益である。現時点では、このプロセスの調節は、インブロー温度及び炭素含有量の知識に基づいて行うことができる。中間の測定時間、すなわち吹き込み中には、信頼できる測定値を得るために適切な深さで金属に浸透して通過するドロップインセンサの困難さを段階的に増大させる多数の条件が存在する。前述した数種の装置を除いて、従来の装置の大部分は、ドロップインセンサを使用して「インブロー」測定を得ることの困難さに対処する改善が不足している。
【0015】
脱炭の終了に向けて、スラグに移動する酸化鉄の量が増加し、それによって粘性が低下し、抗力が小さくなり、乳化された気体の放出のためスラグの体積が減少し、そして吹き込みの終了時の液体のレベリングが可能になる。これらのメリットは全て、インブローで落下したセンサには利用できない。センサが通過しなければならない大量のスラグ及びより粘稠なスラグは、熱電対の鋼への露出を遅らせ、凝固チャンバーの開口を遅らせる傾向がある。以前に使用されていたフロートは、測定ヘッドがスラグを通過するのを妨げる可能性がある。スラグを通過する際の遅れは、スラグのセンサの金属部品への凍結を促進し、それによって見掛けの容積を増加させ、嵩密度を減少させる。所望の浸漬位置の保持が非常に損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3,559,452号明細書
【特許文献2】米国特許第5,577,841号明細書
【特許文献3】米国特許第4,141,249号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0098173号明細書
【特許文献5】米国特許第3,357,598号明細書
【特許文献6】米国特許第3,463,005号明細書
【特許文献7】米国特許第3,574,598号明細書
【特許文献8】米国特許第9,116,054号明細書
【特許文献9】米国特許第5,033,320号明細書
【特許文献10】米国特許第3,374,122号明細書
【特許文献11】米国特許第4,881,824号明細書
【特許文献12】中国特許第201041556号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、インブロー測定を与えるために吹き込みプロセスの終了時及び終了前に製鋼容器に使用するためのコスト効率の高いドロップインセンサを提供することである。詳細には、従来の装置の欠点を修正し、ドロップインセンサの有用性を「インブロー」測定に拡張するために、本発明は、加重下降体が臨界継続時間にわたってスラグ金属境界面の下にとどまるのに十分な浸漬運動量で液相に入り込む動力学的ポテンシャルに基づく設計を採用する。本発明の一実施形態に係る測定ヘッドは、液体金属への最初の降下中に凝固チャンバーを急速に充填することによって達成される現場密度を有する。好ましくは、急速充填は初期ボイドを除去し、それによって測定ヘッドに浮上するための通常の浮上時間を遅らせる。いったん液相チャンバーが満たされると、測定ヘッドが浮上している間であっても液相線停滞プラトーが発生すると共に、浮上前に必要な温度測定値を得るのに必要な時間間隔を与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態では、本発明は、溶湯のサンプルの熱分析によって相変化を決定するためのドロップインプローブに関する。ドロップインプローブは、浸漬端部である第1端部と、端部面を有する反対側の第2端部とを含む測定ヘッド、及び該測定ヘッド内に配置されたサンプルチャンバーを備える。該測定ヘッドの該第2端部の端部面にはサンプルチャンバーと連通する開口部が形成される。開口部にはいかなる制限もない。サンプルチャンバーは、壁部内に囲まれた第1熱電対接合部を有する第1熱電対を備える。壁部は均一な内部形状を有する。開口部と第1熱電対接合部との間に延在する長さHに対するサンプルチャンバーの内径Dの比D/Hは0.1〜1.2の間である。
【0019】
好ましい実施形態は、以下に説明される従属請求項によって構成される。比D/Hは0.3であることが有利である。さらに、サンプルチャンバーが溶湯のサンプルで満たされているときに、サンプルチャンバーの壁部の質量に対するサンプルチャンバー内に収容された金属の質量の比は0.25〜1.25の間であるのが好ましい。一実施形態では、ドロップインプローブは、測定ヘッドの浸漬端部に第2熱電対接合部を有する第2熱電対をさらに備えることができる。ドロップインプローブは、好ましくは、測定ヘッドの第2端部から出る延長管と、該延長管を通って延在しかつそこから出口開口部に出る信号ケーブルとを備えることが好ましい。延長管は、金属、プラスチック、ゴム、紙材料及び織物材料よりなる群から選択される材料から作製されることが有利である。本発明のさらなる実施形態では、サンプルチャンバーが空である状態での測定ヘッドの現場密度が5g/cm3よりも大きい場合、又はサンプルチャンバーが溶湯で満たされている状態での測定ヘッドの現場密度が6.5g/cm3未満である場合に有利である。ドロップインプローブは、浸漬端部に取り付けられたキャップをさらに備えることができる。ドロップインプローブは開口部を覆うキャップを備えることができる。キャップはアルミニウム製とすることができる。
【0020】
前述の概要並びに本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばさらによく理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、図面には今のところ好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、図示された正確な配置及び手段には限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの正面図である。
図2図2は、従来の測定ヘッドの断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの正面図であり、選択部品は省略されている。
図4図4は、バックフィル材料を含む、図3に示す測定ヘッドの正面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの凝固チャンバーの正面図である。
図6-1】図6−1は、測定ヘッドの嵩密度を本発明の一実施形態に従ってどのように計算するのかを示す。
図6-2】図6−2は、測定ヘッドの現場密度を本発明の一実施形態に従ってどのように計算するのかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、溶鋼浴から得られた試料の熱分析によって相変化を決定するためのドロップインプローブ10に関する。使用時に、ドロップインプローブ10は、金属学的溶融容器の上の所定の高さに配置され、該所定の高さから金属学的溶融容器に落ちるように解放される。ドロップインプローブ10、特にドロップインプローブ10の測定ヘッド12は、溶湯の上にあるスラグ層を通過して入り込んだ後に溶湯(例えば、溶鋼)に押し込まれる。ドロップインプローブ10は信号ケーブル3に接続され、それによって測定信号を図示しない適切な計器に導くことができる。使用時には、信号ケーブル3は計器に取り付けられたままである。
【0023】
一実施形態では、図1及び図3に示すように、本発明は、測定装置、特に第1構成要素1a、第2構成要素1b及び第3構成要素1cからなる合金ハウジング40を備える測定ヘッド12を有するドロップインプローブ10に関する。第1及び第3構成要素1a及び1cは、捕捉構成要素1bに強制的に嵌合する。測定ヘッド12は、好ましくは、浸漬端部である第1端部12aと、端面又は端部表面24を有する反対側の第2端部12bとを備える。浸漬面又は端部12aには、好ましくは重合体(より好ましくはStyrofoam(登録商標))製のクッションキャップ6が取り付けられることが好ましい。
【0024】
測定ヘッド12は、第1構成要素1aを通過し、測定ヘッド12の浸漬端12aとは反対側の端部面24から出る延長管4をさらに備える。信号ケーブル3は延長管4を通って案内され、そこから出口開口4aに出る。延長管4は、信号ケーブル3をスラグ又は溶鋼による早期の損傷から保護する。延長チューブ4は、鋼などの金属や、プラスチック、ゴム、紙材料又は織物材料から作製できる。好ましくは、延長管4は金属製である。延長管4は剛性又は可撓性であってもよい。
【0025】
図1及び3に示されるように、測定ヘッド12内には、凝固チャンバー25(本明細書ではサンプルチャンバーともいう)を含めて、凝固チャンバーアセンブリ(本明細書ではサンプルチャンバーアセンブリともいう)31が組み立てられる。サンプルチャンバー25は熱捕獲サンプルチャンバーである(すなわち、サンプルチャンバー25は測定ヘッド12のマスから熱的に隔離されている)。サンプルチャンバー25は、好ましくは測定ヘッド12の浸漬端部12aの反対側に配置される。凝固チャンバーアセンブリ31はチャンバー壁部26を備える。チャンバー壁部26は好ましくは管状である。チャンバー壁部26は、好ましくはサンプルチャンバー25を冷却する。このように、チャンバー壁部26は冷却用の塊(マス)である。サンプルチャンバー25は、好ましくは、サンプルチャンバー25の長さLに沿って寸法が変化しない均一な形状を有する。
【0026】
また、凝固チャンバーアセンブリ31は、サンプルチャンバー25に含まれる凝固金属の液相線温度を測定するように配置された第1熱電対アセンブリ23と、第1熱電対アセンブリ23を支持する第1熱電対アセンブリハウジング27とを備える。特に、第1熱電対素子23の第1熱電対接合部9がサンプルの凝固温度を測定するために第1熱電対アセンブリハウジング27からサンプルチャンバー25に突出する。第1熱電対アセンブリハウジング27は、好ましくは熱活性化鋳物樹脂砂から作製される。
【0027】
好ましくは、サンプルチャンバー25内には脱酸素材料29が配置される。一実施形態では、脱酸素材料29はアルミニウムであり、より好ましくはアルミニウム箔である。一実施形態では、脱酸素材料29は0.5gのアルミニウム箔である。
【0028】
測定ヘッド12、特にサンプルチャンバーアセンブリ31は、サンプルチャンバー25を充填するための溶湯を受け取るように構成された開口部33をさらに備える。すなわち、溶湯浴中に浸漬されると、溶湯は開口部33を介してサンプルチャンバー25に入る。開口部33は、好ましくは、浸漬端部12aとは反対側の測定ヘッド12の第2端部12bに配置される。開口部33は、測定ヘッド12の第2端部12bの端部面24に開口部として形成されている。したがって、サンプルチャンバー25は、後充填(逆充填とも呼ばれる)熱捕獲サンプルチャンバーである。サンプルチャンバー25は、好ましくは、均一な直径Dを有する。好ましくは、チャンバー壁部26は、開口部33からサンプルチャンバー25の底壁部まで延びる均一な内径Dを有する。
【0029】
開口部33は、好ましくは大きくかつ制限されていない開口部である。特に、予想外なことに、従来の装置における制限によって引き起こされる充填遅延が排除されると同時に、サンプルチャンバー開口部33とサンプルチャンバー熱電対測定接合部9との間の距離Hを、サンプルチャンバー25の直径Dに対する所定の比として維持することによって溶湯浴との熱交換を回避する利点及び高い液相線測定精度を達成することができることが分かった。より詳細には、サンプルチャンバー開口部33とサンプルチャンバー熱電対測定接合部9との間の距離Hは、サンプルチャンバー開口部33の直径Dに対する所定の比として維持される。一実施形態では、サンプルチャンバー25の直径Dに対するサンプルチャンバー熱電対接合部9上のサンプルチャンバー25の長さ(本明細書では高さともいう)Hの比D/Hは、図5に示されるように、好ましくは0.1〜1.2であり、より好ましくは0.3である。比D/Hを使用し、サンプルチャンバーの熱電対アセンブリ23の領域で抽出された熱が周囲の液体金属の再加熱よりも高くなるようにサンプルチャンバー壁部26の金属マスを選択することで、予想外にもサンプルチャンバー25に含まれる溶融の質量に対する冷却マス26の比が0.25〜1.25との間に維持することが好ましいことが分かったが、この比は教示されたものよりはるかに小さい(例えば、米国特許第5,033,320号)。一実施形態では、サンプルチャンバー25の直径Dは、好ましくは約19mmである。
【0030】
所定の比D/Hの係数とサンプルチャンバー壁部26の適切な冷却マスとを組み合わせて、本発明のドロップインプローブ10は、後充填凝固チャンバー25を使用して0.1%〜1.0%の浴炭素レベルにおいて正確な浴炭素及び対応する液相線測定を可能にする。また、本発明のドロップインプローブ10は、後充填凝固チャンバー25を使用して、40℃〜170℃の浴過熱レベルも可能にする。
【0031】
測定ヘッド12の一方の端部上には、より具体的には浸漬端部12aとは反対側の第2端部12bに近接して、溶湯浴温度を測定するために配置された第2熱電対接合部8を有する追加又は第2熱電対アセンブリ22がある。特に、第2熱電対接合部8は、測定ヘッド12のハウジング40から突出し、浸漬端部12aとは反対側の端部面24から離れるように突出する。第2熱電対接合部8は、好ましくは、測定ヘッド12の浸漬端部12aとは反対の方向又は逆方向に端部面24から少なくとも12.7mm延在する。第1構成要素1aは、第1及び第2熱電対アセンブリ23,22の両方を部分的に取り囲む。
【0032】
導電体又はリード線を含む信号ケーブル3は、測定ヘッド12から計器まで延びて第1熱電対素子23の出力及び第2熱電対素子22の出力を計器に中継する。その後、この計器は、浴温度及び凝固温度、結果として溶湯の炭素含有量を表示することができる。信号ケーブル3の導体は、単一対導体であってもよく、共通導体を有してもよい。信号ケーブル3、出力部、受信コネクタ及び計器は、当該技術分野において知られている。
【0033】
ドロップインプローブ10は、第1保護キャップ5aと、第2保護キャップ5bと、保護板紙管7とをさらに備え、これらの全て(クッションキャップ6と共に)は、測定ヘッド12の合金ハウジング40の外部にある。第1保護キャップ5aは、第2浴熱電対アセンブリ22の突出する第2熱電対接合部9を覆う。第1保護キャップ5aは、好ましくは金属製、より好ましくは鋼製である。第2保護キャップ5bは、サンプルチャンバー充填開口部33を覆う。第2保護キャップ5bは、好ましくは金属製であり、より好ましくはアルミニウム製である。
【0034】
図4に示すように、測定ヘッド12の合金ハウジング40の非占有容積は、好ましくは、バックフィル固定材料28で充填される。バックフィル固定材料28は、好ましくは熱活性化鋳物樹脂砂製である。
【0035】
測定ヘッド12が溶湯に落下すると、測定ヘッド12の落下重量の運動量によって、測定ヘッド12、特に端面24が溶湯浴の表面(及びスラグ)の下に浸漬される。このように、本発明のドロップインプローブ10は、溶湯浴の上の所定の高さから落とされる測定ヘッド12によって達成される自然力を利用する。浸漬すると、第1及び第2保護キャップ5a,5b及びクッションキャップ6が溶融し又はそうでなければ消費され、それによって第2浴熱電対要素8がその温度測定のため及び溶湯が開口部33を介してサンプルチャンバー25に入りかつそれを満たすのを可能にするために溶湯にさらされる。
【0036】
最初の浸漬から浮上までの時間の間に、本発明の測定ヘッド12は、溶湯のサンプルチャンバー25への完全な流入のために必要でかつ液相線測定及び浴温度の正確な測定値を得るのに必要な深さを達成する。より具体的には、サンプルチャンバー25の開口部33にいかなる種類の制限もないことで、サンプルチャンバー25への溶湯の無制限の流れが生じる。浮力による測定ヘッド12の浮上前に、溶湯によるチャンバー25の急速な充填及び凝固の開始が達成される。
【0037】
したがって、一態様では、本発明は、制限されていない大きな開口部33を有し、サンプルチャンバー25の長さLに沿ってサイズが変化しない熱捕獲サンプルチャンバー25を備えるドロップインプローブ10に関する。熱捕獲サンプルチャンバー25の均一な形状は、溶湯流入に対する制限を最小にする。また、熱捕獲サンプルチャンバー25の均一な形状は、閉じ込められた空気ポケットの発生も最小にする。また、熱捕獲サンプルチャンバー25の均一な形状は、わずかな静水圧が存在する状況でサンプルチャンバー25が溶湯で満たされることも可能にする。熱捕獲サンプルチャンバー25の均一な形状の特徴は、特に、プローブの向き又は浸漬深さに対して直接的な制御がないドロップインプローブ用途において有利である。このように、大きなチャンバー開口部33及び熱捕獲サンプルチャンバー25の均一な形状は、熱捕獲サンプルチャンバー25を溶鋼で迅速に充填することを可能にし、液相線及び浴炭素測定値を迅速に、好ましくは6秒以内に得るために鋼サンプルを迅速に凝固させることを可能にする。測定の開始は、好ましくは、測定ヘッド12が溶湯に入る時間とする。
【0038】
サンプルチャンバー25が満たされると、チャンバー25の最初の空の容積は、浮力のある中性金属(例えば鋼)によって置換され、この時点から、測定ヘッド12の現場密度がその上昇率を支配する。必要な現場密度を迅速に達成することは、信号ケーブル3が破壊される前に液相線測定値を得るために最も重要なことである。したがって、上記のように、サンプルチャンバー25への液体溶湯の迅速かつ均一な流れを確実にするために、チャンバー開口部33での制限を解除することが好ましい。一実施形態では、排気経路全体に沿って1個以上のガス除去開口部を設けることができる。
【0039】
測定ヘッド12(すなわち、延長管4を含めるが信号ケーブル3を含めない測定ヘッド12を構成する全ての構成要素)の総嵩密度は、好ましくは7g/cm3未満、より好ましくは全断面における動的嵩密度は7g/cm3未満である。サンプルチャンバー25は、好ましくは、サンプルチャンバー25が空の状態の測定ヘッド12の現場密度が好ましくは5g/cm3よりも大きくなるように、溶湯浴の影響からサンプルチャンバーを切り離す入口制限部及び冷却マスによって制限されていない。サンプルチャンバー25の充填時に、測定ヘッド12の現場密度は、表1の実施例1に示されるように、好ましくは6.5g/cm3未満である。サンプルチャンバー25の迅速な充填は、開放された内部容積を急速に減少させる。追加された密度により、浮力の急速な低下及び測定ヘッド12の浮遊までの時間の延長が得られる。
【0040】
特に、図6−1及び6−2並びに表1は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッド12の一構成についてのバルク密度及び現場密度を算出するために使用される方法を示す。図6−1は、バルク密度の初期計算に使用される実施例1及び2の測定ヘッド12の容積を示す。灰色の部分は、サンプルチャンバー25が溶湯で満たされる前に測定ヘッド12によって移動される溶湯の容量を表す。実施例1では、移動容量は688cm3である。充填されていないサンプルチャンバー25は関連する重量を有していない(すなわち充填されていない)ため、測定ヘッド12の開始嵩密度(すなわち、落とされるときの)は5.8g/cm3である。図6−2は、動的現場密度の算出のために使用される測定ヘッド12の容積を示す。灰色の部分は、溶湯で満たされたサンプルチャンバー25を有する測定ヘッド12によって移動される溶湯の容量を表す。実施例1では、充填された測定ヘッド12の重量は4201gであり、ここで、移動した容量に基づけば、現場密度は6.1g/cm3である。
【0041】
【表1】
【0042】
本発明のドロップインプローブ10は、製鋼転炉でのインブロー条件下で正確な浴温度及び浴炭素測定を可能にする。本発明のドロップインプローブ10はトライアルを受けており、トップブロー(LD、BOP、BOF)転炉とボトムブロー(Q−BOP、OBM)転炉の両方での吹き込み中に測定値を生じることが分かっている。本発明の制限されていない均一な形状の熱捕獲チャンバー25の設計により、プローブの向きと浸漬深さとが制御されていない環境でプローブ10を充填することが可能となる。熱捕獲チャンバー25の設計の追加の利点は、チャンバー25内における金属サンプルの急速充填及び凝固であり、結果として、信号ケーブル3の寿命よりかなり短い好ましくは6秒未満での液相線及び浴炭素の測定値が得られる。
【0043】
当業者であれば、本発明の上位概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更を加えることができることが分かるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内の変更をカバーするものであることが理解される。
【符号の説明】
【0044】
3 信号ケーブル
4 延長管
6 クッションキャップ
8 第2熱電対接合部
9 第1熱電対接合部
10 ドロップインプローブ
12 測定ヘッド
22 第2熱電対アセンブリ
23 第1熱電対アセンブリ
24 端部面
25 凝固チャンバー
26 チャンバー壁部
27 第1熱電対アセンブリハウジング
31 凝固チャンバーアセンブリ
33 開口部
40 合金ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】