特許第6465985号(P6465985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465985
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】逆充填炭素及び温度ドロップインセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/205 20190101AFI20190128BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   G01N33/20 E
   G01N33/20 B
   G01N1/10 S
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-538441(P2017-538441)
(86)(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公表番号】特表2018-508764(P2018-508764A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2015080912
(87)【国際公開番号】WO2016116240
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年9月7日
(31)【優先権主張番号】62/105,889
(32)【優先日】2015年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/971,363
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598083577
【氏名又は名称】ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドリス・バイェンス
(72)【発明者】
【氏名】グイード・ヤコブス・ネイェンス
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/039629(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0082183(US,A1)
【文献】 欧州特許第3247999(EP,B1)
【文献】 米国特許第9958405(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/20
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯のサンプルの熱分析によって相変化を測定するためのドロップインプローブであって、前記ドロップインプローブは
浸漬端部である第1端部と端部面を有する反対側の第2端部とを含む測定ヘッドであって、前記測定ヘッドの本体は、第1本体半部と前記第1本体半部と分割線に沿って嵌合するように構成された第2本体半部とから形成された測定ヘッドと、
前記測定ヘッド内に配置されたサンプルチャンバーであって、前記測定ヘッドの冷却マスから熱的に隔離され、金属壁内に囲まれた第1熱接合部を有する第1熱電対を有し、前記金属壁の厚さが2.5mm以下である、サンプルチャンバーと、
直径Dinletの入口開口部を備える入口管であって、前記測定ヘッドの前記第2端部の前記端部面から少なくともDinlet/2の距離で離間している入口管と
を備え、
前記サンプルチャンバーが前記溶湯のサンプルで充填されたときに、前記サンプルチャンバーの前記金属壁の質量に対する前記サンプルチャンバー内に収容された金属の質量の比が2.6より大きくかつ6未満である、ドロップインプローブ。
【請求項2】
前記第1及び第2本体半部の嵌合構成において、前記浸漬端部での各本体半部の横軸は、前記測定ヘッドの前記分割線から離れて角度を付けられている、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項3】
前記入口開口部の前記Dinletが15mm以下である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項4】
前記測定ヘッドの前記浸漬端部に第2熱接合部を有する第2熱電対を更に備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項5】
前記測定ヘッドの第2端部から出る延長管と、前記延長管を通って延在しかつそこから出口開口部に出る信号ケーブルとを更に備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項6】
前記延長管が金属、プラスチック、ゴム、紙材料及び織物よりなる群から選択される材料から作製されている、請求項5に記載のドロップインプローブ。
【請求項7】
前記第1及び第2本体半部のうちの一方が少なくとも1つの窪みを含み、前記第1及び第2本体半部の他方が前記少なくとも1つの窪み内に嵌合するように構成された少なくとも1つの隆起リッジを含む、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項8】
前記第1及び第2本体半部が鋳鉄製である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項9】
前記浸漬端部に取り付けられたキャップを更に備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項10】
前記キャップが高密度ポリマー製である、請求項9に記載のドロップインプローブ。
【請求項11】
前記サンプルチャンバーは、樹脂砂、耐火性セメント及びセラミックからなる群から選択された材料から構成された床及び天井を備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項12】
前記入口管が石英製である、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項13】
前記入口管内に配置された脱酸素剤を更に備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項14】
前記脱酸素剤がアルミニウムである、請求項13に記載のドロップインプローブ。
【請求項15】
前記入口開口部を覆うキャップを更に備える、請求項1に記載のドロップインプローブ。
【請求項16】
前記キャップが鋼製である、請求項15に記載のドロップインプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前向浴熱電対と逆充填凝固チャンバーとを有するドロップインセンサ測定ヘッドに関する。本発明に係るドロップインセンサは、溶湯の浴及び液相線の温度を迅速かつ正確に測定することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
製鋼プロセス中に、酸素は鋼中に溶解した炭素と結合して炭素を除去すると同時に、燃焼プロセスから熱を与える。炭素含有量並びに溶湯温度が分かっている場合、炉オペレータは追加の精錬度を決定したり、プロセスを終了したりすることができる。したがって、液体金属の温度と炭素含有量の両方に関する利用可能な情報を有することが有利である。
【0003】
米国特許第3,559,452号には、転炉プロセス中における溶鋼中の炭素決定の有用性及び用語が記載されている。米国特許第5,577,841号に開示されているような使い捨て浸漬センサを使用することが一般的に行われており、このセンサを金属支持ランスに取り付け、オペレータが温度及び熱分析情報を得るために手動で操作する。多くの場合、溶湯と使い捨て浸漬測定センサとを接触させ、それによって金属の温度及び炭素含有量を決定するために、鋼製処理容器の内部への容易なアクセスが厳しく制限される。
【0004】
米国特許第4,141,249号に記載されているような、転炉プロセスでの使用に適した大型機械補助ランスは、これらの補助ランスに取り付けるように特別に設計された米国特許出願公開第2013/0098173号に記載されているような多機能センサプローブを沈めるように構成されている。しかしながら、補助ランスを有する既存の転炉を変更するためには大きな資本費用が必要である。いったん設置されると、典型的な製鋼所の産業環境においてこの設備の継続的なメンテナンスは困難であり、それにより測定当たりのコストが増加する。これらの費用は全て、低コストの鉄鋼生産の障害となる。
【0005】
補助ランスの大規模な設備投資を避けるために、ドロップイン又は投げ込み式の装置が開発されている。このような測定装置は、溶湯表面よりかなり上のアクセスポートから容器に落とされる。これらの装置は、達成される処理度に関するデータを提供する遠隔計器に熱電対出力を中継する信号ケーブルを辿り、それによってオペレータが必要な追加処理の範囲を判断することを可能にする。このような温度測定又は熱分析用の装置は、米国特許第3,357,598号及び米国特許第3,463,005号に記載されている。
【0006】
従来のドロップイン装置から一貫して信頼性のある溶湯センサ情報を得る際の難点の1つは、落下したセンサが液状鋼に入り、所望の測定値を得るのに十分な時間にわたって浸漬したままであることを確保することである。具体的には、精錬プロセス中に、多量のスラグが溶鋼上に浮き、落下した装置がスラグ層を通って溶湯中に入るのを妨げる。溶鋼の変位容積が、そこに沈められるように設計されたドロップインセンサの部分の重量よりも著しく大きい場合には、このセンサは沈むのではなく浮遊する。溶鋼中に沈められた物体に作用する浮力が上方向に作用することによって、液状鋼上に部分的に又は完全に浮上する位置となる。
【0007】
熱電対又は熱捕獲チャンバーへの開口部が溶鋼との最適な接触のために方向付けられていない場合には、これらのセンサのランダムな落下が誤差を生じることがあることが従来から認識されている。米国特許第3,574,598号に開示されているような側方延出熱電対又は米国特許第3,463,005号に開示されているような側方開口熱捕獲チャンバーの両方は金属から離間して面し、溶湯接触が制限されるため誤差を受けることがあり、浮遊の結果として部分的にしか充填されず又は全く充填されない。
【0008】
中国特許第201041556号では、熱捕獲チャンバーへの開口部は浸漬端部の反対側に配置される。チャンバーは樹脂砂で構成され、軸方向に配置されるように特定されている。チャンバーはその内壁上に凝固チャンバーの液体金属を有し、その外壁は溶融浴に直接さらされるため、チャンバーは、入口に入った金属を冷却するのには非効率的な熱容量を有することになる。凝固チャンバーの完全な断熱がなければ、溶湯浴はヒートポンプとして作用し、それによりチャンバー内の凝固用マスの液相を加熱し、液相線測定誤差が生じる場合がある。これらの誤差は、溶湯過熱が増加するにつれて数及び大きさにおいて増加する。従来の意味では、過熱は、サンプリング時の溶湯の温度とその凝固中に検出された温度との差によって決定される。チャンバーの一部分が主測定ヘッドの外側に存在し、かつ、溶湯浴と熱的に連通しているときに、溶湯のプールからの直接的な加熱を受け、それによってチャンバー材料の冷却能力を大幅に低下させる。また、ケーブルの出口は、金属リングによって金属ヘッドに固定されているがその横方向の動きは制限されておらず、それによって樹脂砂製の凝固チャンバーは所定の向きで破壊されることがある。
【0009】
この問題を克服するために、これらの装置の改良は、典型的には、装置がスラグを通って鋼に降下するのを助けるように液状スラグ及び液状鋼の嵩密度に関連する装置の嵩密度に依存すると共に、所望の浸漬方向に対して所定の方向付けを与える。ここで、嵩密度は、沈められた全装置内のセンサ部品と任意の空隙及びその沈められた長さに応じた信号ケーブルを含めた全密度を意味するために使用される。米国特許第9,116,054号に示されている各構成の複数の断面は、好ましい方向付けを達成するために等級付けがされている。すなわち、測定ヘッドの高密度部分が測定要素の浸漬を確実にするために必要な7g/cm3より大きい見掛け密度を有する限りにおいて、全嵩密度は7g/cm3未満であることができる。液体鋼は固体鋼程度に高密度である約90%であるため、この方向付けを与えるためには、感知要素の前方に巨大な空き部分が必要である。したがって、測定要素は、センサの前面から離れた位置に配置される。しかしながら、前面にある感知要素は、測定されるべき鋼に最も長く曝されるのに好ましい正確な位置である。
【0010】
依然として、向きが正しいとき、すなわち温度センサを金属中に入れかつ液体金属で満たされた熱捕獲チャンバーと共に配置するときに、正確かつ信頼できる測定値が得られない可能性がある。米国特許第5,033,320号には、正確な熱捕獲情報を得るために必要な冷却チャンバーの質量と凝固速度との関係が記載されている。浴温度は比較的短時間で検出できるが、放出された融解潜熱と冷却マスの熱抽出との間で凝固金属が安定な熱平衡に達し、それによって液相線プラトーを得るためにはさらに長い時間が必要である。ドロップインセンサが解放された時から、巻取信号ケーブルは常に燃焼している。高い浴温度のために経験するような長期間の液相線プラトーを得る前に、巻取信号ケーブルの破損が故障状態にまで進行して所望の測定値を得ることができない可能性がある。これは当該技術にとって新たなことではない。米国特許第3,374,122号に記載されているように、従来の装置では、測定ヘッドから出る信号ケーブルの一部を耐火材料又は厚紙のチューブで取り囲むことにより信号ケーブルの破壊を遅延させるために様々な隔離及び保護戦略が採用されてきた。
【0011】
この遅延は一時的であるが、米国特許第4,881,824号には、測定ヘッドが浸漬端部から離間して面する端部に調整可能な厚紙のチューブフロートを有し、信号ケーブルがこのチューブを通って案内され、このような構成は、所望の測定値を得るために十分な信号ケーブルの保護を与えることが示唆される。同時に、低密度材料はカウンターバランスとしての役割も果たし、測定ヘッドを方向付けし、下向きの位置で安定化させる。具体的には、米国特許第4,881,824号の温度及びサンプリング装置は、凝固チャンバーを有していないが、「延長」を示す。米国特許第4,881,824号の明細書から、低密度フロートは、センサで適切な浸漬深さが得られ、そしてフロートがプローブをほぼ直立位置に維持してリード線を損傷させる可能性のある溶湯の表面に接触することを防止することを確実にするようにパイプの長さに沿って調節可能である。フロートはパイプの転倒を防止する。フロートが溶融物又はスラグに遭遇するとすぐに、パイプを「正しい状態に戻す」傾向がある。浸漬中には、ヒュージブルリンクが溶融してポッドを解放し、ポッドはワイヤで表面まで浮き上がり、サンプルモールドの回収が可能になる。
【0012】
しかしながら、実際には、スラグ容積は、加熱ごとに、かつ、製鋼プロセス中に変化し、それによって調節可能なフロートを有する利点又は理由が失われる。この延長は、測定ヘッドの通気を目的とするものではない。別のホースはサンプラー用のベントであり、測定ヘッドから分離するように設計されている。米国特許第4,881,824号の図面(明細書には寸法がない)の簡単な比較から、金属部品がフロートよりも厚いことが示される。フロートが重量のないものであっても、その組合せは、値が明細書において過小評価されているスラグの密度より小さくない。金属部品は、比較すると測定ヘッドよりも容積が大きい。
【0013】
フロートは、測定装置を感知要素の下方位置に向けると共に巻取信号ケーブルの保護を与えるべきであるが、これは単密度流体においてのみ当てはまる。中間プロセス工程でスラグに約15%の酸化鉄を含む典型的な製鋼容器では、その密度は約3g/cm3であるのに対し、鋼は典型的にはほぼ7g/cm3の密度を有する。フロートを備えた装置は、前方嵩密度がスラグの嵩密度よりもさらに大きい液状鋼の嵩密度よりもさらに小さい。反対側の浸漬端部に取り付けられた浮力材料は第1の低密度液体層内にセンサを向けるべきであるが、大量のフロートが低密度測定ヘッド自体を第2の高密度液体の下に沈めることはない。
【0014】
落下したセンサの落下運動量は、測定要素を鋼の中に配置し、炭素チャンバーを充填するために最も重要であることが分かっている。一旦炭素チャンバーが満たされると、浴温度を決定するのに適した時間にわたってセンサの浮遊を遅らせるために、この現場密度、すなわち充填された凝固チャンバーを含む測定ヘッドの密度に依存しなければならない。適切に充填された凝固チャンバーは、液体金属中に部分的に浸漬されていても、正確な液相線測定を行うことができる。
【0015】
ドロップイン測定プローブのさらなる改良により、予想される多くの故障モードが排除されてきた。しかしながら、これらの技術の多くは、転炉プロセスの終了時に使用されるドロップイン装置にのみ適している。この教示は誤解を招く。温度及び炭素含有量の測定は、プロセスの終了後、すなわち吹き込みプロセス中が最も望ましい。プロセスの調節を行うことができるのはこの時点である。中間の測定時、すなわち吹き込み中には、信頼できる測定値を得るために適切な深さで金属に浸透して通過するドロップインセンサの困難さを段階的に増大させる多数の条件が存在する。前述した数少ない装置を除いて、従来の装置の大部分は、「インブロー」測定のためにドロップインセンサを使用することの困難さに対処する改善が不足している。
【0016】
脱炭の終了に向けて、スラグに移動する酸化鉄の量が増加し、それによって粘性が低下し、抗力が小さくなり、乳化された気体の放出及び吹き込みの終了時の液体のレベリングのためスラグの体積が減少する。これらのメリットは、全て、インブローで落下したセンサには利用できない。センサが通過しなければならない大量のスラグ及びより粘稠なスラグは、熱電対の鋼への露出を遅らせ、凝固チャンバーの開口を遅らせる傾向がある。以前に使用されていたフロートは、測定ヘッドがスラグを通過するのを妨げる可能性がある。スラグを通過する際の遅れは、スラグのセンサの金属部品への凍結を促進し、それによって見掛けの容積を増加させ、嵩密度を減少させる。このことと、吹き込みの間に大幅に増加する金属表面の乱れとは、平衡フロートの有無にかかわらず、直立の安定性を低下させる。所望の浸漬位置の保持が大いに損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,559,452号明細書
【特許文献2】米国特許第5,577,841号明細書
【特許文献3】米国特許第4,141,249号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0098173号明細書
【特許文献5】米国特許第3,357,598号明細書
【特許文献6】米国特許第3,463,005号明細書
【特許文献7】米国特許第3,574,598号明細書
【特許文献8】米国特許第3,463,005号明細書
【特許文献9】中国特許第201041556号明細書
【特許文献10】米国特許第9,116,054号明細書
【特許文献11】米国特許第5,033,320号明細書
【特許文献12】米国特許第3,374,122号明細書
【特許文献13】米国特許第4,881,824号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、浴温度及び熱捕獲温度を提供するために、吹き込みプロセス中及びその終了前に製鋼容器に使用するためのコスト効率の高いドロップインセンサを提供することである。詳細には、従来の装置の欠点を修正し、ドロップインセンサの有用性を「インブロー」測定にまで拡張するために、本発明は、全測定ヘッド密度を最大にするための簡単な構成を利用する。本発明に係る測定ヘッドはまた、溶融浴と測定ヘッドのマスとの両方から熱的に隔離された凝固チャンバーを備え、それによって冷却質量とサンプル質量との比が改善し、かくして安定な液相線プラトーを達成するための時間短縮が促進される。測定ヘッドの全ての外側表面は落下運動量を最大にするように設計され、全ての内部空間は一度浸漬された測定ヘッドの浮遊傾向を最小限に抑えるために最大化される。本発明の測定ヘッドはまた、フロートを利用しない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一実施形態では、本発明は、溶湯のサンプルの熱分析によって相変化を決定するためのドロップインプローブであって、測定ヘッドと該測定ヘッド内に配置されたサンプルチャンバーと該サンプルチャンバーへの入口開口部を有する入口管とを備えるものに関する。測定ヘッドは、浸漬端部である第1端部と端部面を有する反対側の第2端部とを含む。測定ヘッドの本体は、第1本体半部と、該第1本体半部と分割線に沿って嵌合するように構成される第2本体半部とから形成される。サンプルチャンバーは測定ヘッドの冷却マスから熱的に隔離され、金属壁内に囲まれた第1熱接合部を有する第1熱電対を有する。金属壁の厚さは2.5mm以下である。入口開口部は直径Dinletを有し、測定ヘッドの第2端部の端部面から少なくともDinlet/2の距離で離間されている。サンプルチャンバーが溶湯のサンプルで充填されたときに、サンプルチャンバーの金属壁の質量に対するサンプルチャンバー内に収容された金属の質量の比は2.6より大きくかつ6未満である。
【0020】
好ましい実施形態は、以下に説明される従属請求項によって構成される。第1及び第2本体半部の嵌合構成において、浸漬端部における各本体半部の横軸は、測定ヘッドの分割線から離れて角度を付けられていることが有利である。入口開口部のDinletは15mm以下であるのが好ましい。更に、ドロップインプローブは測定ヘッドの浸漬端部に第2熱接合部を有する第2熱電対を更に備えてもよい。ドロップインプローブは、測定ヘッドの第2端部から出る延長管と、延長管を通って延在しかつそこから出口開口部に出る信号ケーブルとを更に備えることも有利である。延長管は金属、プラスチック、ゴム、紙材料及び織物材料よりなる群から選択される材料から作製されることができる。好ましいドロップインプローブでは、第1及び第2本体半部のうちの一方が少なくとも1つの窪みを含み、第1及び第2本体半部の他方が少なくとも1つの窪み内に嵌合するように構成された少なくとも1つの隆起リッジを含む。更に、第1及び第2本体半部は鋳鉄製であることができる。ドロップインプローブは、浸漬端部に取り付けられたキャップを更に備えてもよい。キャップは高密度ポリマー製である。好ましくは、サンプルチャンバーは、樹脂砂、耐火性セメント及びセラミックからなる群から選択された材料で構成された床及び天井を備える。入口管は石英製であることができる。ドロップインプローブは、入口管内に配置された脱酸素剤を更に備える場合に有利である。脱酸素剤はアルミニウムであることが好ましい。更に、ドロップインプローブは入口開口部を覆うキャップを更に備えることが好ましい。当該キャップは鋼製であることができる。
【0021】
前述の概要並びに本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばさらによく理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、図面には今のところ好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、図示された正確な配置及び手段には限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの半分の正面図である。
図2図2は、図1に示す測定ヘッドの半分の側面図である。
図2A図2Aは、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの正面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る測定装置の適用を示す全体概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る測定ヘッドの凝固チャンバーアセンブリの正面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る測定ヘッドの半分の正面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る測定ヘッドの半分の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、溶鋼浴から得られたサンプルの熱分析によって相変化を測定するためのドロップインプローブ3に関する。使用時に、図3に示すように、落下装置2は溶鋼5を含む転炉1の数メートル上方に配置される。落下装置2は、その中にドロップインプローブ3を格納し、適切な時間にプローブ3を分配することができるホッパー型装置である。使用時に、ドロップインプローブ3は格納場所から自動的に解放され、ガイド4を通って転炉1のような金属溶融用容器に落下する。ドロップインプローブ3、特にドロップインプローブ3の測定ヘッド10は、溶鋼5の上方に位置するスラグ層6を通過して貫通した後に溶鋼5に押し込まれる。図3を参照すると、酸素が吹き込みランス7を介して溶鋼5に吹き込まれることが好ましい。ドロップインプローブ3は信号ケーブル8に接続され、それによって測定信号を図示しない適切な計器に導くことができる。使用時には、信号ケーブル8は分配装置2及び機器に取り付けられたままである。
【0024】
一実施形態では、図1に示すように、本発明は、少なくとも2つの部分又は嵌合半部11と延長管9とを備える測定ヘッド10を有する測定装置、特にドロップインプローブ3に関する。特に、測定ヘッド10の本体は、第1本体半部11と、該第1本体半部と分割線46に沿って嵌合するように構成された第2本体半部11とを含む(図2参照)。測定ヘッド10の嵌合又は組み立て構成では、第1及び第2半部11は、それらの横軸が測定ヘッド10の分割線46及び延長管9から離れて角度を付けられるように接合される。このように、組み立て構成では、測定ヘッド10の外側表面42は、測定ヘッド10の分割線46から測定ヘッド10の外側表面42まで抜き勾配(好ましくは約5°、特に5°)が存在するように、分割線46に対してテーパ形状を有する。特に、測定ヘッド10の第1端部(すなわち、浸漬端部)10aでは、外側表面42は、測定ヘッド10の水平面Pに対して約5°、特には5°の角度が付けられている(図2A参照)。2つの半部の互いの位置は、第1及び第2半部の一方に設けられた少なくとも1つの隆起したリッジ12を使用することによって固定され、該第1及び第2半部の一方は、該第1及び第2半部11の他方の反対側に形成された少なくとも1つの対応する窪みに嵌合する。単純な接着剤で2つの半部11を共に結合することが好ましいが、その代わりに又はそれに加えて、クランプ、ネジ、リングなどの他の固定機構を使用できることが理解されるであろう。好ましくは、2つの半部11は鋳鉄製である。
【0025】
測定ヘッド10は、好ましくは、浸漬端部である第1端部10aと、端面15(本明細書では端部表面ともいう)を有する反対側の第2端部10bとを備える。浸漬端部10aにはクッションキャップ16が取り付けられることが好ましい。このクッションキャップ16は、好ましくは高密度ポリマー製である。浸漬端部10aの反対側の端面15では測定ヘッドから延長管9が出ている。信号ケーブル8は延長管9を通って案内され、そこから出口開口部9aに出る。延長管9は、信号ケーブル8をスラグ6又は溶鋼5による早期の損傷から保護する。信号ケーブル8は、好ましくは、少なくとも1つの圧力クランプ13によって組み立て測定ヘッド10内で保持される。延長管9は、鋼などの金属や、プラスチック、ゴム、紙材料又は織物材料から作製できる。好ましくは、延長管9は金属製である。延長管9は剛性又は可撓性であってもよい。
【0026】
図1及び4に示されるように、測定ヘッド10内には、凝固チャンバーアセンブリ(本明細書ではサンプルチャンバーアセンブリともいう)19が組み立てられる。サンプルチャンバーアセンブリ19は、好ましくは凝固チャンバー20(本明細書ではサンプルチャンバーともいう)を含む。サンプルチャンバー20は熱捕獲サンプルチャンバーである(すなわち、サンプルチャンバー20が測定ヘッド10のマスから熱的に隔離されている)。サンプルチャンバー20は、好ましくは測定ヘッド10の浸漬端部10aに対向して配置される。サンプルチャンバー20を測定ヘッド10の冷却マスから熱的に隔離するために、サンプルチャンバー20は別個の金属チャンバー壁26を備える。チャンバー壁部は、より好ましくは管状金属壁26である。好ましくは、チャンバー壁26は、測定ヘッド10から独立しており、溶湯サンプルの凝固温度を測定するように配置された第1熱電対23を囲む。特に、第1熱電対素子23の第1熱接合部23aは、サンプルチャンバー20の内部に突出し、サンプルチャンバー20の金属壁26内に封入される。好ましくは、壁26の最大厚さは2.5mmである。
【0027】
サンプルチャンバー20は、床24を有することが好ましい。サンプルチャンバー20はまた、天井25を有することが好ましい。また、サンプルチャンバー20は、床24の下に位置するチャンバー熱素子ハウジング21を有することが好ましい。また、サンプルチャンバー20は、床24上に配置されたワッシャ44を有することが好ましい。チャンバー熱電素子ハウジング21及びワッシャ44は、第1熱電対素子23を支持する。床24、天井25、及び/又はチャンバー熱素子ハウジング21は、樹脂砂、耐火セメント、セラミック又は当該技術分野で知られている同様の材料のような低密度材料で構成されていることが好ましい。
【0028】
測定ヘッド10は、好ましくは、入口管27を更に含む。より好ましくは、入口管27はサンプルチャンバーアセンブリ19の構成要素である。入口管27は、好ましくは、サンプルチャンバー20の天井25の表面から延び、サンプルチャンバー20の天井25の表面によって支持される。好ましくは、入口管27は、サンプルチャンバー20の内部と連通している。入口管27の遠位端は入口開口部30として形成され、そこを通って溶湯が入口管27及びサンプルチャンバー20に入り、そこに受け入れられることができる。入口管27は、好ましくは石英製である。入口管27には、入口開口部30を覆う入口キャップ29が設けられていることが好ましい。入口キャップ29は、好ましくは鋼製である。
【0029】
入口管27はまた、好ましくは測定ヘッド10から熱的に隔離されている。好ましくは、入口開口部30は、測定ヘッド10の第2端部10bの端面15から離間している。より好ましくは、測定ヘッド10の第2端部10bの端面15と入口開口部28との間の距離Dは、少なくともDinlet/2であり、ここで、Dinletは入口開口部30の直径を表す。一実施形態では、入口開口部30と測定ヘッド10との間の最小分離距離Dが7.5mm以下となるように、入口直径Dinletは15mm以下であることが好ましい。このような入口開口部30と測定ヘッド10との間の距離は、サンプルチャンバー20に入る前の溶湯の冷却を回避する。一実施形態では、脱酸素剤28が入口管27内に配置される。脱酸素剤28はアルミニウム脱酸剤であることが好ましいが、当該技術分野で知られている他の脱酸剤を使用してもよい。
【0030】
サンプルチャンバー20の内部容積は、チャンバー20内に収容される容積として画定される。より詳細には、サンプルチャンバー20の容積は、チャンバー20のチャンバー壁26、床24及び天井25によって画定される。従って、チャンバー20に収容される金属の質量は、チャンバー20の容積にチャンバー20を満たす金属の密度を乗じることによって計算することができる。この計算のために、熱電対素子23自体が占有する容積を、サンプルチャンバー20の容積の計算から差し引くことが好ましい。好ましくは、サンプルチャンバー20が溶湯サンプルで充填されるときに、質量比は、サンプルチャンバー20に収容される金属の質量とチャンバー20の金属壁26の質量との比として定義される。好ましくは、質量比は2.6より大きくかつ6未満である(例えば、6>Msample/Mwall>2.6)。
【0031】
測定ヘッド10の一方の端部上には、より具体的には浸漬端部10aには、浴温度を測定するように配置され、鋼製のキャップ39によって覆われた第2熱接合部33aを有する追加の又は第2熱電対33がある。導電体又はリード線を含む信号ケーブル8は、測定ヘッド10から計器まで延びて第1凝固熱電対素子23の出力(すなわちリード線22a及び22bに沿って)と第2熱電対素子33の出力(すなわちリード線32a及び32bに沿って)を中継する。その後、この計器は、浴温度及び凝固温度、結果として溶湯の炭素含有量を表示することができる。信号ケーブル8の電導体は、単一対電導体であってもよく、含有共通導電体を有してもよい。信号ケーブル8、出力部、受信コネクタ及び計器は、当該技術分野において知られている。
【0032】
測定ヘッド10が溶湯中に浸漬される間に、保護キャップ29、16、39が溶融され、それによって熱電対素子33が溶湯に曝され、入口開口部30が入口管27から凝固チャンバー20に至るまで曝される。熱捕獲温度を、凝固チャンバー20内に収容された液浴から採取された凝固金属マスから入手し、液体金属の炭素含有量を計算するために使用する。凝固チャンバー20への入口開口部30は浸漬方向(浸漬端10a)に対向して配置される一方で、浴熱電対33は浸漬方向(すなわち浸漬端部10a)に面する。結果が得られた後、信号ケーブル8が分配装置2から解放され、ドロップインプローブ装置3全体が液体金属によって消費される。
【0033】
本発明の別の態様は、浴熱電対33のハウジングと凝固チャンバー20の両方が、横軸方向に沿って分離される2つの部分の測定ヘッド10内に配置され、それによって、これら2つの部分11が嵌合する際に、接着剤を必要とせずに内部構成要素の全てが所定位置で固定されることによって、装置3を組み立てるための安価な方法を得るものである。具体的には、凝固チャンバー20、凝固熱電対素子23、チャンバー壁26、天井25、床24及び入口管27を含む凝固チャンバーアセンブリ19は、図1に示すように好ましくは接着剤なしで測定ヘッド10内に配置される。好ましくは、構成されたときに、サンプルチャンバーアセンブリ19の全ての構成要素は、凝固チャンバーアセンブリ19の構成要素と測定ヘッド10の壁との間の最小の空きスペース(すなわち、空隙)を有する2つの部分の測定ヘッド10内に配置されることができると共に、サンプルチャンバー20と測定ヘッド10の残りの部分との分離により測定ヘッド10の冷却マスからのサンプルチャンバー20を熱的に隔離するのを確実にする。従って、従来の装置で利用されているように、空隙を占有し、見掛け密度を最大にするための裏充填材又は空間占有材は不要であるため、組立の経済性を大幅に改善する。
【0034】
本発明の別の態様では、凝固チャンバー20は、チャンバー20の床24を形成する熱電対素子23と、別個の金属チャンバー壁26と、金属流入部材(すなわち、入口管27)を支持する天井構成要素25とから最適に組み立てられる。チャンバー壁26の質量は、その壁厚を部分的に又は均一に変化させることによって選択することができる。このように、チャンバー壁26の冷却能力とチャンバー20の容積の両方を調整して、鉄鋼業界で遭遇する異なる化学等級の鋼の製造に用いられる異なるブローイング実施物を収容することができると共に、冷却能力と採取された金属の質量との目標質量比をも維持することができる。測定ヘッド10の目標質量比及び熱的隔離を維持することにより、広範囲の過熱度で最小限の時間内に得られる安定した長時間の熱捕獲温度のために精度が向上する。ここで、測定ヘッドの再構成又は複数の構成なしに凝固チャンバー20の最適化が可能であり、それにより構成の経済性が向上する。
【0035】
図5に示す別の実施形態では、ドロップインセンサ200は、2つの部分の嵌合金属ハウジング211(他方の嵌合半部は図示せず)を備える。各嵌合半部211は、嵌合した一対の半部11のそれぞれの側から取り除かれた輪郭219を有しており、それによって浴熱電対233用のリザーバ215を形成する。測定熱素子からのリード線が信号ケーブル208に電気的に接続されている。信号ケーブル208は、出口開口部209aで延長管209を出る。ケーブルクランプ213は、延長管209のフレア端に当接し、これは、次に、嵌合又は組み立て測定ヘッド210のキャビティ内で保持される。
【0036】
リザーバ215は、好ましくは金属キャップ218によって覆われている。凝固チャンバー216は、入口部分227によって形成された側部開口部231から充填される。入口部分227は、好ましくは樹脂砂から作製される。入口部分227は、好ましくは、脱酸素剤228を含む。入口部分227は、好ましくは、鋼製キャップ229によって閉じられている。鋼製キャップ229は、小さな紙のディスク(図示せず)によって覆われても覆われなくてもよい。入口開口部231の最も外側部分と測定ヘッド210の隣接する金属部分との最短距離は、入口開口部231の直径の1/2より大きいことが好ましい。測定ヘッド210には、サンプルチャンバー216と、別の熱電対素子223を支持するチャンバーハウジング221とを含めてチャンバー熱素子アセンブリ240が配置されている。チャンバーハウジング221、サンプルチャンバー216の天井224、及びサンプルチャンバー216の床225は、好ましくは、樹脂砂、耐火セメント、セラミック又は当該技術分野で知られている同様の材料のような低密度材料から構成される。リード線222a及び222bを有する熱電対素子223は、略円筒形の鋼製のチャンバー壁226の開口部からサンプルチャンバー216内に延びる熱接合部223aを有する。
【0037】
凝固チャンバー216の内部容積は、チャンバー216のチャンバー壁226と床225と天井224との間の、チャンバー216内に収容される容積として画定される。チャンバー216に収容される金属の質量は、チャンバー216の容積にチャンバー216を満たす金属の密度を乗じ、延在する熱電対素子223及びハウジング221によって変位される容積を控除することによって計算することができる。採取された金属の容積とチャンバー壁226の質量との質量比は、2.6より大きくかつ6未満(すなわち、6>Msample/Mwall>2.6)であることが好ましい。
【0038】
サンプルチャンバー216、熱電対素子226、チャンバー壁226、天井224、床225及び入口構成要素227を備える凝固チャンバーアセンブリ220は、測定ヘッド210内に接着剤なしで配置される。構成されたときに、全ての構成要素は、凝固チャンバーアセンブリ220の構成要素と測定ヘッド210の壁との間の最小の空きスペース(すなわち、空隙)を有する2つの部分の測定ヘッド210内に配置されることができると共に、測定ヘッド210の冷却マスからのサンプルチャンバー216の熱的隔離を確実にすることができる。従って、従来の装置で利用されているように、空隙を占有し、見掛け密度を最大にする裏充填材又は空間占有材は不要であるため、組立の経済性を大幅に改善する。
【0039】
図4に示す本発明の別の実施形態では、測定ヘッド300は、長手方向に共に嵌合する2つの金属構成要素311及び353と、固定プレート352とを備える。2つの金属構成要素311、353は、好ましくは鋳鉄製であるが、その代わりに鋳鉄と鋼から又はその組み合わせで作製されてもよい。円形の固定プレート352は、円筒形の構成要素353内に圧入され、従って熱素子アセンブリ330用のキャビティを形成する。円筒形の構成要素353内に固定プレート352を固定するために、接着剤、固定具などといった他の装着機構を使用することができることが分かるであろう。円形の固定プレート352は、好ましくは金属製である。プレート352には延長管309が固定されている。延長管309は、好ましくは鋼製である。信号ケーブル308が延長管309を通って延び、そこから最も外側の出口309aに出る。信号ケーブル308は、熱素子リード線332a、332b、322a、322bからの出力を遠隔計器に中継し、ケーブルクランプ313によって円筒形の構成要素353内に保持される。熱素子333は、測定ヘッド310の浸漬端部310aの反対側の測定ヘッド310の端部の端面315上に配置される。熱素子333は、好ましくは鋼製キャップ339によって覆われている。熱素子333は、熱素子アセンブリ330によって支持されることが好ましい。熱素子333は、好ましくは、材料351によって埋め込まれている。埋め込み材料351は、好ましくは樹脂砂であるが、セメント系材料であってもよい。
【0040】
凝固チャンバー331を含む凝固チャンバーアセンブリ320が測定ヘッド部分311内に配置される。熱素子323、特に熱電対素子323の熱接合部323aは、チャンバー331内に延びチャンバーハウジング321及び天井部材324によって支持される。天井324の反対側は、床部材325である。チャンバーハウジング321、天井324及び床325は、好ましくは、樹脂砂、セラミック、耐火性セメント又は当該技術分野で知られている同様の材料のような低密度材料から作製される。略円筒形のチャンバー壁326は測定ヘッド311内に接着され、小さな間隙によって測定ヘッド311から分離される。入口構成要素327は、測定ヘッド311の浅いキャビティ319からチャンバー壁の開口部まで延びている。入口構成要素327は、好ましくは、石英製である。キャビティ319の基部から入口構成要素327の最も外側の遠位末端(すなわち、入口開口部327a)までの最短距離は、好ましくは、入口開口部の直径の少なくとも半分である(すなわち、直径inlet/2)。入口開口部327aは、好ましくは鋼製キャップ329によって閉じられている。入口構成要素327は、好ましくは、脱酸素剤328を含む。脱酸素剤328は、好ましくはアルミニウムである。入口キャップ329は、小さな紙のディスク(図示せず)によって覆われていても覆われていなくてもよい。
【0041】
凝固チャンバー331の内部容積は、チャンバー331のチャンバー壁326と床325と天井324との間の、チャンバー331内に収容される容積として画定される。チャンバー331に収容される金属の質量は、チャンバー331の容積にチャンバー331を満たす金属の密度を乗じ、延在する熱電対素子323によって変位される容積を控除することによって計算することができる。採取された金属の容積とチャンバー壁326の質量との質量比は、2.6より大きくかつ6未満(すなわち、6>Msample/Mwall>2.6)であることが好ましい。
【0042】
本発明は、製鋼転炉でのインブロー条件下で正確な浴温度及び正確な浴炭素の測定を可能にする。本発明に係る熱捕獲チャンバーの設計の更なる利点は、サンプルチャンバー20、216、331内における金属サンプルの急速充填及び凝固であり、それによって、好ましくは、信号ケーブル8、208、308の寿命よりかなり短い6秒未満での液相線及び浴炭素の測定値が得られる。
【0043】
当業者であれば、本発明の上位概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更を加えることができることが分かるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内の変更をカバーするものであることが理解される。
【符号の説明】
【0044】
3 ドロップインプローブ
8 信号ケーブル
9 延長管
10 測定ヘッド
23 第1熱電対
20 凝固チャンバー
24 床
25 天井
26 チャンバー壁部
27 入口管
30 入口開口部
33 第2熱電対
39 キャップ
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6