特許第6466021号(P6466021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6466021
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】口腔清掃具
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/04 20060101AFI20190128BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   A61C15/04 503
   A61C15/04 501
   A61C17/00 T
【請求項の数】2
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-216461(P2018-216461)
(22)【出願日】2018年11月19日
(62)【分割の表示】特願2017-95690(P2017-95690)の分割
【原出願日】2017年5月12日
【審査請求日】2018年11月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】松永 哲至
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3167632(JP,U)
【文献】 特開2015−119948(JP,A)
【文献】 実開平05−018513(JP,U)
【文献】 特開2010−042193(JP,A)
【文献】 特開2008−188275(JP,A)
【文献】 特開2002−336278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/04
A61C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維によって織られた網目を有するメッシュシートと、
前記メッシュシートを保持する保持部材とを備え、
前記保持部材が把持されて前記メッシュシートが口腔内に誘導され、
前記メッシュシートが前記口腔内の汚れを清掃する口腔清掃具において、
前記網目は、製織された経糸と緯糸とが交絡することによって形成される立体構造を有し、前記メッシュシートのシート厚方向に貫通するとともに面全体に分布する複数の開孔を有し、かつ、前記メッシュシートの表側と裏側との両方を向いて露出し、
前記保持部材は前記メッシュシートを支持するコ字状部を備え、
前記メッシュシートは、前記コ字状部の各辺に固定されて支持されることを特徴とする口腔清掃具。
【請求項2】
合成繊維によって織られた網目を有するメッシュシートと、
前記メッシュシートを保持する保持部材とを備え、
前記保持部材が把持されて前記メッシュシートが口腔内に誘導され、
前記メッシュシートが前記口腔内の汚れを清掃する口腔清掃具において、
前記メッシュシートは、前記保持部材の厚さ方向の中央に配置され、
前記網目は、前記メッシュシートのシート厚方向に貫通するとともに面全体に分布する複数の開孔を有し、かつ、前記メッシュシートの表側と裏側との両方を向いて露出し、
前記保持部材は前記メッシュシートを支持する環状部を備え、
前記メッシュシートは、前記環状部の全周に固定されて支持されることを特徴とする口腔清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔清掃具に関し、詳細にはメッシュシートを備える口腔清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートがある。
【0003】
従来のメッシュシートには、ポリエステルを材料とする長繊維を経糸及び緯糸に用い、これらを製織して得られる織物であり、紛体や液体から所定の粒径以上の粒子を濾過分離するために用いられるものがある(特許文献1)。
【0004】
すなわち、これらのメッシュシートは、不織布や紙のフィルター材料と異なり、経糸と緯糸とによって囲まれた開孔の大きさを製織段階で設計することが可能であり、濾過分離する粒子の粒径等の濾過性能をコントロールすることができる。そのため、合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートは濾過材料として有用である。濾過材料としての用途は、例えばティーバッグの基材としての用途を含む。
【0005】
また、従来の合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートには、スクリーン印刷用のスクリーンマスクとして用いられるものがある。すなわち、開孔を通過させるインキを対象物に転写して印刷するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3139823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者は、上で述べた合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートの新たな用途の一つとして、口腔内の清掃のために用いることの可能性に着目した。
【0008】
本発明はこのような課題の下、合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートを備えた口腔清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートと、前記メッシュシートを保持する保持部材とを備え、前記保持部材が把持されて前記メッシュシートが口腔内に誘導され、前記メッシュシートは、前記口腔内の汚れを清掃することを特徴とする口腔清掃具を提供するものである。
【0010】
すなわち、本発明のメッシュシートでは、縦横の合成繊維により網目が形成される。この網目は、縦横の合成繊維が前記メッシュシートの面との直交方向に重なることにより、前記直交方向の厚みを有する立体構造を形成している。
【0011】
前記メッシュシートは、保持部材によって保持されるとともに、前記保持部材が使用者によって把持されて口腔内に誘導される。そのため、この口腔清掃具の使用者は、前記保持部材の操作によって口腔内の歯や歯茎、舌、口蓋、内頬のような部位を前記メッシュシートによって擦ることができる。
【0012】
ところで、こうした口腔内の部位には、食後の食べかすや歯垢などの汚れが付着しがちであり、また、口腔内の老廃物、カビなどの汚れが表出しがちであることが知られている。そこで本発明の口腔清掃具は、上記のような立体構造を有するメッシュシートが口腔内の部位を擦ることにより、これらの汚れを清掃することを可能とする。
【0013】
また、前記メッシュシートの網目が縦横の合成繊維により形成されるため、使用者は、表面に流水や洗浄水を注ぐことによって前記網目の表面に堆積する汚れを洗い流し、前記口腔清掃具を洗浄することができる。このような清掃と洗浄とを繰り返すことにより、前記口腔清掃具を複数回使用することができる。
【0014】
さらに、本発明の口腔清掃具は、表面張力によって前記メッシュシートの網目に口腔清掃用の洗浄液を含んだ前記メッシュシートを前記口腔内に誘導させることができる。
【0015】
本発明の前記網目は、製織された経糸と緯糸とが交絡することによって形成される立体構造を有し、前記メッシュシートのシート厚方向に貫通するとともに面全体に分布する複数の開孔を有し、かつ、前記メッシュシートの表側と裏側との両方を向いて露出し、前記保持部材は前記メッシュシートを支持するコ字状部を備え、前記メッシュシートは、前記コ字状部の各辺に固定されて支持されていてもよい。
【0016】
すなわち、前記口腔清掃具は、前記メッシュシートが前記コ字状部の各辺に固定されて支持されることにより、前記メッシュシートに力が加わるときでも、当初の形状を一定範囲に維持することができる。
【0017】
具体的には、前記口腔清掃具が口腔内の部位を擦る際、前記メッシュシートには、当該部位との摩擦によって前記メッシュシートの面方向に力が加わるとともに、当該部位の凹凸に倣って変形することにより、前記メッシュシートの厚み方向に力が加わる。これらの力により前記メッシュシートはある程度の弾性変形、または、弾性変形及び塑性変形を起こすものの、前記保持部材により三方で固定されて支持されることによって、大きな型崩れを生じることがない。
【0018】
また、前記のような保持部材によって保持されながら口腔内の部位を清掃することにより、前記メッシュシートは弾性変形を起こして面方向に伸縮し、例えば歯の表面の凹凸に倣って変形して、凹部を含む歯の表面全体を擦ることができる。
【0019】
さらに、前記メッシュシートは、例えば歯の表面の凹凸に倣って変形し、かつ、前記三方以外の一方の端縁が前記保持部材によって固定されずに前記メッシュシートの面方向に露出する。そのため、複雑に入り組んだ隣り合う歯どうしの隙間にも進入して、こうした歯間を擦ることができる。
【0020】
しかも、前記メッシュシートは前記三方から支持されることにより、表裏の何れの面をも支持する必要がない。そのため両面に流水や洗浄水を注ぐことができ、使用後の洗浄を容易に行うことができる。
【0021】
本発明の前記メッシュシートは、前記保持部材の厚さ方向の中央に配置され、前記網目は、前記メッシュシートのシート厚方向に貫通するとともに面全体に分布する複数の開孔を有し、かつ、前記メッシュシートの表側と裏側との両方を向いて露出し、前記保持部材は前記メッシュシートを支持する環状部を備え、前記メッシュシートは、前記環状部の全周に固定されて支持されていてもよい。
【0022】
すなわち、前記口腔清掃具は、上で述べたコ字状部を備える口腔清掃具と同様に、前記メッシュシートに力が加わるときでも当初の形状を一定範囲に維持することができ、かつ、使用後の洗浄を容易に行うことができる。
【0023】
また、前記口腔清掃具は環状の前記保持部材の全周が前記メッシュシートを支持するため、口腔内の部位との摩擦により前記メッシュシートが面方向に引っ張られるのに対し、前記保持部材により上下左右の四方向から前記メッシュシートを支持することができる。そして、舌や内頬のような口腔内の平坦な表面に前記メッシュシートの面を当て、この表面を前記四方向に擦ることが容易である。
【0024】
しかも、前記メッシュシートは前記保持部材により前記四方向で固定されて支持されるため、網目を形成する縦方向の合成繊維の両端と横方向の合成繊維の両端とが前記保持部材に固定される。その結果、前記メッシュシートが大きな型崩れを起こす虞はより小さい。また、前記メッシュシートに加わる力が四方向に分散されるため、前記保持部材が変形する虞も小さい。
【0025】
本発明の前記保持部材は前記メッシュシートを貼付される支持部を備え、前記メッシュシートは、前記支持部に貼付されて支持されていてもよい。
【0026】
すなわち、前記口腔清掃具は、前記メッシュシートが前記支持部に貼付されているため、使用者が操作して前記支持部を押し付けることにより、貼付される側と反対側の前記メッシュシートの面全体を、舌のような口腔内の平坦な表面に当てることが容易である。そのため、前記口腔清掃具によって舌を擦ることにより、舌の表面に付着する、または、舌の表面に表出する汚れを容易に清掃することが可能である。
【0027】
また、前記メッシュシートは前記支持部に貼付されるため、摩擦等による力が加わるときでも当初の形状を一定範囲に維持することができる。
【0028】
本発明の前記保持部材は前記メッシュシートを支持する直線状の軸部を備え、前記メッシュシートはプリーツ状に成形されるとともに、該プリーツ状に成形された状態で、前記プリーツの折り曲げ部の一部が前記軸部に固定されて支持されてもよい。
【0029】
すなわち、前記口腔清掃具は、前記メッシュシートがプリーツ状に折り曲げられるため広い面積の前記メッシュシートを前記軸部により保持することができる。そのため使用者は、口腔内に前記広い面積のメッシュシートを誘導することができ、口腔内の部位を一回擦る度に点在する複数の汚れや拡がって付着する汚れを清掃することが可能である。例えば歯茎や口蓋、内頬のような広範囲の部位を効率的に清掃することができる。また、より多量の口腔清掃用の洗浄液を前記メッシュシートに含ませることができる。
【0030】
本発明の前記保持部材はワイヤを螺旋状に捩じって成形される細長の螺旋部を備え、前記メッシュシートは、前記螺旋部において前記ワイヤに挟み込まれて支持されていてもよい。
【0031】
すなわち、前記口腔清掃具は前記メッシュシートが前記螺旋部に沿って保持されるとともに、ワイヤを捩じって成形された前記螺旋部が容易に曲がるように構成されている。そのため使用者は、例えば歯と歯との間の隙間に前記螺旋部と共に前記メッシュシートを挿入することができ、こうした隙間の汚れを容易に清掃することができる。
【0032】
本発明の前記保持部材は、内側に手指を挿入可能なサック状のサック部を備え、前記メッシュシートは前記サック部の外側表面に貼付されて支持されていてもよい。
【0033】
すなわち、前記口腔清掃具は、使用者が前記サック部の内側に挿入した手指によって、サック部ごと口腔内の清掃を必要とする部位を探り当て、その手指を操作することによって前記メッシュシートで当該部位を清掃することができる。そのため、前記サック部を介して前記口腔内の部位の触感が手指に伝わるため、使用者は清掃を必要とする部位を容易に探り当てることができるとともに、清掃のために加える手指の力を容易に調整することができる。
【0034】
また、介助者や幼児の保護者のように他人の口腔内を清掃する場合に、前記介助者等のような前記口腔清掃具の使用者は、当該他人の口腔内に加える手指の力を、触感に合わせて容易に調整することができる。
【0035】
また、前記メッシュシートは前記サック部に貼付されるため、摩擦等による力が加わるときでも当初の形状を一定範囲に維持することができる。
【0036】
本発明の前記メッシュシートは、合成繊維によって織られた網目を有していてもよい。
【0037】
すなわち、前記メッシュシートは合成繊維の経糸と緯糸とが織られることにより形成される網目を有している。前記経糸と前記緯糸とが交絡するため、前記メッシュシートと前記口腔内の部位との摩擦によって前記メッシュシートの面方向に力が加わるときでも、一方が他方の前記面方向の長い移動を制止することにより前記網目は崩れにくい。これにより、前記口腔清掃具は、前記部位を何度も擦るときでも前記網目の構造を容易に維持することができ、清掃効果を保つことができる。
【0038】
また、前記メッシュシートの何れの面においても、前記経糸と前記緯糸とが交互に手前側に露出する。そのため、前記メッシュシートは、例えば口腔内の部位を経糸方向に擦るとき、前記緯糸の側面が前記部位の汚れをかき取ることができる。また、例えば口腔内の部位を緯糸方向に擦るとき、前記経糸の側面が前記部位の汚れをかき取ることができる。これらのように、前記口腔清掃具は、前記メッシュシートが擦る方向にかかわらず、容易に汚れを清掃することができる。
【発明の効果】
【0039】
このように本発明では、合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートを備え、このメッシュシートを新たな用途のために用いることのできる口腔清掃具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】(a)本発明の第1の実施形態を示す口腔清掃具の平面図である。(b)本発明の第1の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示すメッシュシートの説明図である。
図3】本発明の第1の実施形態を示すメッシュシートの説明図である。
図4】本発明の第1の実施形態の変形例を示すメッシュシートの説明図である。
図5】(a)本発明の第1の実施形態における清掃前の第1の歯型の写真である。(b)本発明の第1の実施形態における清掃後の第1の歯型の写真である。
図6】本発明の第1の実施形態を示す口腔清掃具の写真である。
図7】(a)本発明の第1の実施形態における清掃前のメッシュシートの写真である。(b)(c)本発明の第1の実施形態における清掃後のメッシュシートの写真である。
図8】本発明の第2の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。
図9】(a)本発明の第3の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。(b)本発明の第3の実施形態を示す口腔清掃具の底面図である。
図10】本発明の第4の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。
図11】本発明の第4の実施形態を示す口腔清掃具の断面図である。
図12】本発明の第5の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。
図13】本発明の第5の実施形態を示すメッシュシートの説明図である。
図14】本発明の第5の実施形態を示すメッシュシートの説明図である。
図15】本発明の第6の実施形態を示す口腔清掃具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の第1の実施形態を、図1図7を用いて説明する。図1(a)(b)において1は口腔清掃具であって、この口腔清掃具1が図1(b)及び図2に示す合成繊維2v,2hによって織られた網目3を有するメッシュシート4と、メッシュシート4を保持する保持部材5とを備える。
【0042】
口腔清掃具1は、使用者が保持部材5を手指によって把持した状態で、メッシュシート4を図示しない使用者の口腔M内に誘導する。
【0043】
合成繊維2v,2hはポリエチレンテレフタレート(PET)を原料とし、図1(b)の拡大図及び図2が示すようにメッシュシート4の製織方向Vに長いモノフィラメントの経糸2vと、製織方向Vと直交する織幅方向Hに長いモノフィラメントの緯糸2hとを含む。経糸2v及び緯糸2hは、それぞれの横断面が円形断面であり、各経糸2vと各横糸2hとが互いに同径である。
【0044】
合成繊維2v,2hの原料は、ポリエチレンテレフタレートに限らず、紡糸してメッシュシート4への製織が可能であり、かつ、口腔M内において健康被害を与えることのない合成樹脂であればよく、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル系樹脂、ナイロンをはじめとするポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑樹脂でもよい。ポリエステル系樹脂にはポリ乳酸が含まれる。
【0045】
経糸2vと緯糸2hとは、メッシュシート4の面と直交するシート厚方向Tから視てそれぞれ同一ピッチPv,Phに配置される。また、複数本の経糸2vと複数本の緯糸2hが互いに90度を成すように交絡して平織に織られる。
【0046】
網目3は、メッシュシート4を構成する面方向の一単位で、一つの網目3が、メッシュシート4の面方向において隣り合う一対の経糸2v,2vと、同じく隣り合う一対の緯糸2h,2hと、これら一対の経糸2v,2vと一対の緯糸2h,2hとに囲まれた開孔3hとによって構成される。従って、メッシュシート4全体においては、複数の網目3が製織方向V及び織幅方向Hに連続している。
【0047】
また網目3においては、経糸2vと緯糸2hとがシート厚方向Tに重なるため、一つの網目3aについて、シート厚方向Tの立体構造が形成される。
【0048】
すなわち、各経糸2v及び各緯糸2hは、方向がそれぞれ製織方向V及び織幅方向Hに対してシート厚方向T寄りに傾斜する。そのため、図2に示すような網目3aを表す長方形の仮想線の左上角に位置する第1のコーナー6aにおいて緯糸2hが手前側を左右に通過するとともに経糸2vが奥側を上下に通過する。また、右上角に位置する第2のコーナー6bにおいては経糸2vが手前側を上下に通過するとともに緯糸2hが奥側を左右に通過する。同じように右下角に位置する第3のコーナー6c及び左下角に位置する第4のコーナー6dにおいては、それぞれ第1のコーナー6a及び第2のコーナー6bと同様に経糸2v及び緯糸2hが通過する。
【0049】
このように、網目3は経糸2vと緯糸2hとが交絡することによる立体構造を有する。そして、メッシュシート4にはこのような網目3が連続して配置されている。よってメッシュシート4は、面全体において立体構造を有する。
【0050】
また、各網目3において経糸2vと緯糸2hとがそれぞれ同一ピッチPv,Phに配置され、かつ、各経糸2v及び各横糸2hが同径である。そのためメッシュシート4の立体構造は、一つの網目3aと同一又は反転した立体構造が面全体において繰り返されたものとなっている。
【0051】
さらに、各網目3は経糸2vと緯糸2hとに取り囲まれ、メッシュシート4をシート厚方向Tに貫通する開孔3hを有する。そのためメッシュシート4は、面全体において均一に開孔3hが分布する多孔構造を有する。
【0052】
メッシュシート4は図1(a)が表す平面図のように、コ字状に形成された保持部材5の頭部5abcにおいて保持部材5の厚さ方向の中央に配置され、かつ、図1(b)が表す正面図のように、頭部5abcの先端部5a、背部5b及び基端部5cによってコ字状の三辺に囲まれる位置に配置される。またメッシュシート4は、製織方向Vが図1(b)の上下方向と一致するように保持部材5に対して配置される。
【0053】
保持部材5はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂の成形品であり、頭部5abcと、頭部5abcの基端部5cから保持部材5の長手方向に直線状に延びる把持部5dとを有する。頭部5abcにおいては、メッシュシート4を図1(a)の上下から、図1(b)に示すコ字状に挟んで保持する。保持部材5はメッシュシート4の少なくとも一端と他端とを固定する。また、使用者は把持部5dを手指で掴んで、口腔清掃具1全体を操作する。
【0054】
保持部材5は、メッシュシート4と共にインサート成形によって成形される。例えば、成形後に露出するメッシュシート4のサイズに、前記コ字状の三辺に対応する挟み代を加えたサイズのメッシュシート材を予め射出成型の金型内に挿入し、このメッシュシート4の周りに樹脂を注入して一体に成形する。また、例えば、帯状のメッシュシート材と共に成形した後に、前記帯状のメッシュシート材から保持部材5の外縁に沿って切り離してもよい。
【0055】
これらのように、成形後に前記挟み代が保持部材5の内部に挟み込まれて、メッシュシート4が保持部材5に固定される。このとき、メッシュシート4の原料と、保持部材5の原料とが同じ種類の熱可塑性樹脂であるとよく、その場合は容易に一体化する。
【0056】
インサート成形により、メッシュシート4は先端部5a、背部5b及び基端部5cに固定される。すなわち、メッシュシート4は、図1(b)に示すように先端部5aとの境界である第1の直線部4a、背部5bとの境界である曲線部4b及び基端部5cとの境界である第2の直線部4cにおいて保持部材5に固定されて支持される。メッシュシート4の第1の直線部4aと、曲線部4bと、第2の直線部4cとは、連続して、保持部材5との一本の境界線部4abcを成す。
【0057】
すなわち、メッシュシート4は、口腔M内の部位との摩擦等により、その面方向又はシート厚方向Tの力を受けるときでも、三方向の境界線部4abcが保持部材により固定されて支持される。そのため、メッシュシート4はある程度の弾性変形、または、弾性変形及び塑性変形を起こすものの、大きな型崩れを生じることがない。
【0058】
その一方で、メッシュシート4の曲線部4bの対辺である第3の直線部4eは、保持部材5によって固定されない。そのため、例えば口腔M内の歯と歯との間にメッシュシート4を挿入するとき、使用者は第3の直線部4eからメッシュシート4を進入させることができる。
【0059】
頭部5abcは、使用者の唇から口腔M内に挿入できる程度に小さく、かつ、使用者の口腔M内においてメッシュシート4を上下左右に動かせる程度に小さい。把持部5dは、使用者が手指で把持できる程度の太さを有する。
【0060】
これらの構成により、使用者は手指で把持部5dをつかみ、メッシュシート4を口腔M内に挿入することができる。また、挿入後に使用者は、保持部材5をメッシュシート4の面方向に動かすことにより、メッシュシート4を口腔M内の歯、歯茎、歯間、舌、口蓋、内頬などの各部位に当てた状態で、それぞれの部位の表面をメッシュシート4の何れかの面又は両面によって擦ることができる。
【0061】
図3を用いて、歯、歯茎などの口腔M内の部位の表面をメッシュシート4によって擦ることにより、これらの各部位の表面に付着した食後の食べかすや歯垢などの汚れS(図示しない)を、どのように清掃することができるかを説明する。
【0062】
メッシュシート4は面全体において経糸2vと緯糸2hとが交絡することによる立体構造を有するため、これらの経糸2v及び緯糸2hによって汚れSをかき取ることができ、かつ、かき取った汚れSを経糸2vの表面、緯糸2hの表面、または、経糸2vの表面および緯糸2hの表面に堆積させることができる。
【0063】
図3が示すように、一つの網目3a内においてメッシュシート4は、第1のコーナー6aでシート厚方向Tの手前側を左右に通過する第1の緯糸2h(i)は、下向きに面する側面7acが図の手前側に露出する。また、第2のコーナー6bでシート厚方向Tの手前側を上下に通過する第2の経糸2v(ii)は、左向きに面する側面7abが図の手前側に露出する。同様に、第3のコーナー6c及び第4のコーナー6dでシート厚方向Tの手前側をそれぞれ左右及び上下に通過する第2の緯糸2h(ii)及び第1の経糸2v(i)は、それぞれ上向きに面する側面7bc及び右向きに面する側面7cdが図の手前側に露出する。
【0064】
各経糸2v(i),2v(ii)が同一ピッチPvに配置され、各緯糸2h(i),2h(ii)が同一ピッチPhに配置され、かつ、経糸2v(i),2v(ii)と緯糸2h(i),2h(ii)とが直交するため、網目3aは、第1〜4のコーナー6a,6b,6c,6dを頂点とする長方形に構成される。
【0065】
各側面7ab,7bc,7cd,7acは、使用者がメッシュシート4によって口腔M内の各部位を擦ることによって、付着する汚れSを、メッシュシート4の面方向にかき取ることができる。また、かき取った汚れSは各側面7ab,7bc,7cd,7acの表面に堆積する。
【0066】
なお、メッシュシート4をシート厚方向Tの奥側から見た場合についても同様である。
【0067】
汚れSが各側面7ab,7bc,7cd,7acの表面に堆積した後に、使用者は、口腔M内の部位を擦った側のメッシュシート4の表面に流水、洗浄水等を注ぐとともに、漱ぐことによって、汚れSを網目3から除去し、口腔清掃具1を洗浄することができる。すなわち、汚れSをかき取った各側面7ab,7bc,7cd,7acは手前側に露出するため、同じ側からの流水、洗浄水等によって汚れSを洗い流すことが可能である。
【0068】
なお、汚れSが開孔3h内に堆積して目詰まりを起こす場合でも、使用者は、メッシュシート4の表面から流水、洗浄水等を注ぐことによって、開孔3h内の汚れSを洗い流し、網目3から除去することができる。
【0069】
以上のように、網目3aの各側面7ab,7bc,7cd,7acにより汚れSがかき取られるとともに、各側面7ab,7bc,7cd,7acの表面に汚れSが堆積することにより、メッシュシート4は汚れSを清掃することができる。すなわち、使用者は合成繊維2v,2hによって織られた網目3を有するメッシュシート4と、メッシュシート4を保持する保持部材5とを備える口腔清掃具1を準備し、保持部材5を把持してメッシュシート4を口腔M内に誘導して、メッシュシート4により口腔M内の汚れSを清掃することができる。また使用者は、メッシュシート4の表面に流水、洗浄水等を注ぐことによって、網目3から汚れSを除去し、使用後の口腔清掃具1を洗浄することができる。
【0070】
さらに使用者は、洗浄した口腔清掃具1によって再度口腔M内の汚れSを清掃することができる。このように使用者は、汚れSの清掃と汚れSの除去とを繰り返すことにより口腔清掃具1を複数回使用することができる。
【0071】
なお、図1(b)においてメッシュシート4が、その製織方向Vと保持部材5の上下方向とが一致するように配置されている。しかし、メッシュシート4の配置方向はこの方向に限られない。すなわち、メッシュシート4はその織幅方向Hが前記短手方向と一致するように配置されていてもよく、また、製織方向Vが前記長手方向に対して30度、45度、60度のような角度を成して配置されていてもよい。
【0072】
経糸2vと緯糸2hとが同径でなくとも、各経糸2vどうしが同径であり、かつ、各経糸2hどうしが同径であれば、経糸2vと緯糸2hとの直径は異なっていてもよい。
【0073】
また、経糸2v、緯糸2h、または、経糸2v及び緯糸2hの横断面は、円形断面である必要はなく、異形断面、角形断面等であってもよい。
【0074】
さらに、経糸2vと緯糸2hとによる織物組織は、平織以外の綾織、朱子織などでもよい。メッシュシート4は、合成繊維2v,2hによって形成された網目3を有すれば、他の構成であってもよい。
【0075】
図4は、本実施形態におけるメッシュシート4の変形例を示している。図4は、山中産業株式会社製メッシュフィルター「ティーロードシャープ」(「ティーロード」は登録商標)の品番4817のものの顕微鏡写真である。図4において8a,8b,8c,8dは網目3aの第1〜4のコーナー6a,6b,6c,6dに位置する熱溶着点であって、各熱溶着点8a,8b,8c,8dにおいて網目3aを構成する経糸2v(i),2v(ii)と緯糸2h(i),2h(ii)とが、メッシュシート4のシート厚方向Tに重なり合うものどうし互いに熱溶着されている。他の構成は、図1図3に示した実施形態における構成と共通する。
【0076】
このように、経糸2vと緯糸2hとが熱溶着されているため、メッシュシート4が口腔M内の部位の表面を擦る際に、網目3によって、メッシュシート4の面方向の摩擦力が偏って生じるときでも、隣り合う各経糸2vどうしの間隔のばらつきや、同じく各緯糸2hどうしの間隔のばらつきとが生じることは少ない。
【0077】
すなわち、一部の網目3aと口腔M内の部位との間の摩擦が大きいとき、前記一部の網目3aにはメッシュシート4の面方向の大きな力が加わる。この場合でも、経糸2v(i),2v(ii)と緯糸2h(i),2h(ii)とが各熱溶着点8a,8b,8c,8dにおいて固着されているため、特定の網目3aだけが他の網目3よりも極端に拡がることはない。
【0078】
そのため、本変形例においては、メッシュシート4の面方向の位置によって、口腔M内の部位との間で生じる摩擦の大きさに差が生じるときでも、各網目3の大きさのばらつきを一定の範囲内に抑えることにより、メッシュシート4全体の汚れSの清掃効果の度合いを均一に保つことが容易となる。
【0079】
また、本変形例においては、各経糸2vと各緯糸2hとが、メッシュシート4のシート厚方向Tに互いに熱溶着されているため、一回の使用によって経糸2vまたは緯糸2hが偏った位置にずれてしまうことが少ない。そのため、二回目以降の使用に際しても経糸2vと緯糸2hとの位置が最初の位置に保たれ易く、廃棄までに可能な使用回数を増やすことが容易となる。
【0080】
なお、本例の緯糸2hの一部には、モノフィラメントだけでなく、複数の単繊維を撚り合わせたマルチフィラメントが含まれていてもよい。ただし、一部の緯糸2hがマルチフィラメントのときは、これらと経糸2vとを交絡させるだけで、これらと経糸2vとを熱溶着することはしない。
【0081】
このように、繊維本数の密度が高いマルチフィラメントを緯糸2hの一部に含むことにより、使用者は、メッシュシート4によって口腔M内の部位を製織方向Vに擦るとき、汚れSをより効率良くかき取ることができる。
【0082】
図5(a)(b)の写真は、図6の写真に示す口腔清掃具1を用いて、第1の歯型T1の歯間部に塗った疑似プラークSaを清掃する前後の写真である。図5(a)が第1の歯型T1に汚れSを模した疑似プラークSaが塗られた状態を示し、図5(b)が第1の歯型T1を図6の写真に示す口腔清掃具1によって擦った後の状態を示す。
【0083】
実際の使用形態においては、第1の歯型T1の隣りには、隙間Gを挟んで、図示しない第2の歯型T2が配置されることが多い。このようなとき使用者は、保持部材5の把持部5dを把持して、図1(b)に示すメッシュシート4の第3の直線部4eを、第1の歯型T1と第2の歯型T2との歯先の側から隙間Gに当てる。そして、保持部材5を押し下げる操作により、メッシュシート4を歯元に向けて隙間Gに進入させる。
【0084】
その上で使用者は、メッシュシート4を、第3の直線部4eが歯先側と歯元側との間を上下動するように動かすことにより、第1の歯型T1の隙間G側の面をメッシュシート4の一方の面で擦ることができる。また、第2の歯型T2が配置されているときは、第2の歯型T2の隙間G側の面をメッシュシート4の他方の面で擦ることができる。
【0085】
このとき、メッシュシート4の前記一方の面は、口腔清掃具1が歯元側に向けて動かされる場合に、図3に示す第1の緯糸2h(i)の側面7ac又は第2の緯糸2h(ii)の側面7bcのうち、歯元側を向いた一方の側面7ac,7bcによって第1の歯型T1を擦る。逆に、歯先側に向けて動かされる場合に、歯先側を向いた他方の側面7bc,7acによって第1の歯型T1を擦る。
【0086】
また、使用者は、メッシュシート4を舌側と唇側との間を前後動するように動かすことにより、第1の歯型T1の隙間G側の面をメッシュシート4の前記一方の面で擦ることができ、かつ、第2の歯型T2の隙間G側の面をメッシュシート4の前記他方の面で擦ることができる。
【0087】
このとき、メッシュシート4の前記一方の面は、口腔清掃具1が舌側に向けて動かされる場合に、図3に示す第1の経糸2v(i)の側面7cd又は第2の経糸2v(ii)の側面7abのうち、舌側を向いた一方の側面7cd,7abによって第1の歯型T1を擦る。逆に、唇側に向けて動かされる場合に、唇側を向いた他方の側面7ab,7cdによって第1の歯型T1を擦る。
【0088】
図7(a)は、メッシュシート4が、第1の歯型T1を擦る前の写真である。また、図7(b)は第1の歯型T1に対してメッシュシート4を図の上向きに動かして擦った後の写真である。さらに、図7(c)は同じくメッシュシート4を図の右向きに動かして擦った後の写真である。図7(b)(c)において黒ずんだ色で表されるように、汚れSを模した疑似プラークSaが堆積している状態が示されている。
【0089】
図7(a)(b)(c)のメッシュシート4は、モノフィラメントの経糸2vとモノフィラメントの緯糸2hとがシート厚方向Tに互いに熱溶着されたものである。また、緯糸2h,2h(mu)には、マルチフィラメントの緯糸2h(mu)が含まれている。
【0090】
これらのように、使用者はメッシュシート4を歯先側と歯元側との間を上下動させ、舌側と唇側との間を前後動させ、または、歯先側と歯元側との間及び舌側と唇側との間の両方を同時に往復動させることにより、第1の歯型T1を擦ることができる。
【0091】
第1の歯型Tは、隙間G側の面を含む周面に凹凸を有する。これに対し、メッシュシート4は境界線部4abcにおいて保持部材5に固定されて支持される。そのため、メッシュシート4は弾性変形を起こして面方向に伸縮し、これらの凹凸に倣うため、凹部を含む第1の歯型T1の周面を擦ることができる。これにより、口腔清掃具1は第1の凹部を含む歯型T1の周面に付着する汚れSを模した疑似プラークSaを清掃することができる。
【0092】
以上のように使用者は、図5(b)が示す清掃後の写真のように、メッシュシート4を備える口腔清掃具1によって第1の歯型1に付着した汚れSを模した疑似プラークSaを清掃することができる。
【0093】
図8は、本発明の第2の実施形態を例示している。図8において11は口腔清掃具であって、この口腔清掃具11が合成繊維12v,12hによって織られた網目13を有するメッシュシート14と、メッシュシート14を保持する保持部材15とを備える。
【0094】
メッシュシート14は図8が表す正面図のように、楕円環形状に形成された保持部材15の頭部枠15aの径方向内側に配置される。すなわち、メッシュシート14は表裏の両面がともに保持部材15によって覆われずに、網目13が図8の手前側と奥側との両方を向いて露出している。
【0095】
メッシュシート材は、インサート成形により保持部材15と一体化され、頭部枠15aの内周よりも径内側が露出することにより、周囲を頭部枠15aとの境界線部14aに囲まれる楕円形状のメッシュシート14を形成する。またメッシュシート14は、製織方向Vが図8の上下方向と一致するように保持部材15に対して配置される。
【0096】
メッシュシート14の網目13を形成する合成繊維12v,12hは、複数の経糸12vと複数の緯糸12hとを含む。また、メッシュシート14は、保持部材15との境界線部14aがメッシュシート14の全周におよぶため、全ての経糸12vの両端及び全ての緯糸12hの両端が、頭部枠15aに固定される。
【0097】
保持部材15は、頭部枠15aと、頭部枠15aの一端から頭部枠15aの長軸方向に直線状に延びる把持部15bとを有する。使用者は把持部15bを手指で掴んで口腔清掃具11全体を操作する。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0098】
このように、メッシュシート14は、製織方向Vにおける両側と、織幅方向Hにおける両側との両方から支持される。そのため、メッシュシート14は、舌や内頬のような口腔M内の部位との摩擦により面方向に引っ張られるのに対し、保持部材15が、正面視における上下左右の四方向からメッシュシート14を支持するため、力が分散し、いずれかの方向に変形する虞が小さい。また、保持部材15が変形する虞も小さい。
【0099】
また、保持部材15の頭部枠15aが楕円環形状であり、かつ、メッシュシート14が前記四方向から支持されるため、使用者は、口腔M内においてメッシュシート14を任意の面方向に動かして、舌や内頬のような部位の平坦な表面を容易に清掃することができる。
【0100】
さらに、メッシュシート14の表裏の両面が露出するため、使用者は、これらの表面及び裏面の両方から流水、洗浄水等を注ぐとともに漱ぐことによって汚れSを網目13から除去し、容易に口腔清掃具11を洗浄することができる。
【0101】
なお、メッシュシート14及び保持部材15は、それぞれ保持部材14の長手方向の長軸を有する楕円形状及び楕円環形状以外に、使用者が口腔M内において前記任意の面方向に容易に動かすことができれば、円環状及び円環形状、前記長手方向と異なる方向に長軸を有する楕円形状及び楕円環形状等の形状などに形成されていてもよい。
【0102】
図9(a)(b)は、本発明の第3の実施形態を例示している。図9(a)(b)において21は口腔清掃具であって、この口腔清掃具21が合成繊維2v,2hによって織られた網目23を有するメッシュシート24と、メッシュシート24を保持する保持部材25とを備える。メッシュシート24の網目23を形成する合成繊維22v,22hは、複数の経糸22vと複数の緯糸22hとを含む。
【0103】
メッシュシート24は図9(a)が表す正面図のように、左右に長い保持部材25の頭部25aに下側から熱溶着により貼付されて支持される。このとき、図9(a)においてメッシュシート24は表面24fが下側を向き、裏面24bが上側を向くように配置される。すなわち、メッシュシート24は、裏面24bが保持部材25の頭部25aに熱溶着により固定される。
【0104】
またメッシュシート24は、製織方向Vが図9(b)の上下方向と一致するように保持部材25に対して配置される。
【0105】
メッシュシート24の網目23において、裏面24b側に経糸22vと緯糸22hとの両方が露出する。そのため、メッシュシート24は、経糸22vと緯糸22hとの両方が保持部材25の頭部25aの下側面に熱溶着されることにより、頭部25aに貼付される。
【0106】
保持部材25は、頭部25aと、頭部25aと連続する首部25bと、首部25bと連続するとともに、左右に長い把持部25cとを有する。首部25bは、メッシュシート24の面方向が、正面視において把持部25cの長手方向に対して下向きにθaの角度を成すように、把持部25cの長手方向に対して下向きに傾斜する。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0107】
使用者は、保持部材25の把持部25cを把持して、メッシュシート24を、その表面24fが舌などの表面に当たるように口腔M内に誘導する。そして使用者は、メッシュシート24が舌の奥側と先端側とを前後動する、使用者の右側と左側とを左右動する、または、斜め方向に移動するように操作し、表面24fによって舌の表面を擦る。
【0108】
このとき使用者は、保持部材25の頭部25aが、メッシュシート24をその裏面24bから表面24f側へと押すように操作することによって、表面24fの全体を舌のような口腔M内の平坦な表面に当てることが可能である。
【0109】
また、口腔清掃具21が舌の奥側に向けて動かされるとき、メッシュシート24の表面24fは、図3に示す第1の経糸2v(i)の側面7cd又は第2の経糸2v(ii)の側面7abのうち、奥側を向いた一方の側面7cd,7abによって舌の表面を擦る。逆に、先端側に向けて動かされる場合に、先端側を向いた他方の側面7ab,7cdによって舌の表面を擦る。
【0110】
口腔清掃具21が使用者の左側に向けて動かされるとき、メッシュシート24の表面24fは、図3に示す第1の緯糸2h(i)の側面7ac又は第2の緯糸2h(ii)の側面7bcのうち、左側を向いた一方の側面7ac,7bcによって舌の表面を擦る。逆に、右側に向けて動かされる場合に、右側を向いた他方の側面7bc,7acによって舌の表面を擦る。
【0111】
これらにより、使用者は口腔清掃具21を前後動させる場合と、左右動させる場合との両方の場合に効率よく舌を清掃することができる。
【0112】
さらに、口腔清掃具21は、一本一本の表面積が小さい経糸22vと緯糸22hとから構成される網目23が舌の表面を擦るため、舌の表面には、面方向に均一な圧力を加えることができる。そのため、口腔清掃具21によっては、舌の表面を傷つける虞が小さい。
【0113】
メッシュシート24は、交絡する経糸22vと緯糸22hとの両方が保持部材25に熱溶着されるため、摩擦等による力が加わるときでも、保持部材25に対して頭部25aの下側面の面方向に変位する可能性が小さい。これにより、口腔清掃具21は、使用後においても網目23が変形する虞が小さく、当初の形状を容易に維持することができる。
【0114】
なお、メッシュシート24は熱溶着により保持部材25に貼付される以外に、接着剤により貼付されていてもよい。
【0115】
図10及び図11は、本発明の第4の実施形態を例示している。図10において31は口腔清掃具であって、この口腔清掃具31が合成繊維32v,32hによって織られた網目33を有するメッシュシート34と、メッシュシート34を保持する保持部材35とを備える。
【0116】
口腔清掃具31は、図10の左右に延びる中心軸Cを有する。図11は、図10に示すA−A線断面を表わす、口腔清掃具31のA−A線断面図である。メッシュシート34は、図11が示すように、一枚のシート体が山折りの折り返し部34aと、谷折りの折り返し部34bとを交互に繰り返すように折り曲げられ、各折り返し部34a,34bの稜線方向が中心軸Cの軸方向と一致するとともに、各山折りの折り返し部34aが各谷折りの折り返し部34bよりも径方向の外側に位置するような筒形のプリーツ状に成形されて形成される。
【0117】
メッシュシート34は、図11に示されるように中心軸Cを中心とする放射線状に配置される。山折りの折り返し部34aと谷折りの折り返し部34bとは、それぞれ8箇所あり、8箇所の山折りの折り返し部34aが等間隔に配置されるとともに、いずれも中心軸Cからr1の距離に配置され、かつ、8箇所の谷折りの折り返し部34bが等間隔に配置されるとともに、いずれも中心軸Cからr2の距離に配置される。
【0118】
またメッシュシート34は、前記A−A線断面視において中心軸Cを中心とする時計回り方向CLを向く領域34cと、同じく中心軸Cを中心とする反時計回り方向UCを向く領域34dとの両方に網目33を有する。
【0119】
保持部材35は、図10が示すように中心軸Cに沿って、メッシュシート34が固定される直線状の軸部35aと、軸部35aと同じく直線状に連なる把持部35bとを有する。保持部材35は、軸部35aが略正8角形の横断面を有し、把持部35bが正方形の横断面を有する。
【0120】
軸部35aは、図11が示すように16本の線状部材35cの束によって構成される。すなわち、各線状部材35cは中心軸Cを中心とする略正8角形を描くように配置されるとともに、把持部35bの端面から図10の左向きに突出する。
【0121】
メッシュシート34は、谷折りの折り返し部34bが、線状部材35cの時計回り方向CL側及び反時計回り方向UC側のうちの一方から、中心軸C側を廻って、時計回り方向CL側及び反時計回り方向UC側のうちの他方まで巻き付く。またメッシュシート34は、襞状に山折りの折り返し部34aを形成しつつ、時計回り方向CL又は反時計回り方向UCに1本おきの線状部材35cに次々と巻き付いて、中心軸C周りを一周するうちに8箇所の山折りの折り返し部34a及び8箇所の谷折りの折り返し部34bを形成する。
【0122】
このときメッシュシート34は、隣り合う線状部材35cどうしに挟まれて固定されることにより、保持部材35に保持される。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0123】
使用者は、保持部材35の把持部35bを手指でつかんで口腔清掃具31を操作することにより、メッシュシート34を口腔M内に誘導して口腔M内の汚れSを清掃する。
【0124】
このときメッシュシート34が8面の時計回り方向CLを向く領域34cと、8面の反時計回り方向UCを向く領域34dとの両方に網目33を有するため、口腔清掃具31は、清掃のための広い有効面積のメッシュシート34を備えることができる。
【0125】
そのため、例えば歯茎や口蓋、内頬のような口腔M内の広範囲の部位を清掃するときでも、使用者は、これらの部位内に点在する複数の汚れSや拡がって付着する汚れSなどを、口腔清掃具31によって効率的に清掃することができる。
【0126】
しかも、それぞれの時計回り方向CLを向く領域34cの裏面と、同じく中心軸Cを中心とする反時計回り方向UCを向く領域34dの裏面との間に隙間を有するため、使用者は、各領域34c,34dの表裏から流水、洗浄水等を注ぐとともに漱ぐことによって汚れSを網目33から除去し、容易に口腔清掃具31を洗浄することができる。
【0127】
さらに使用者は、例えば洗浄後の口腔清掃具31にメッシュシート34に、口腔清掃用の洗浄液を噴霧、塗布、どぶ漬けなどの方法により含ませた上で口腔M内の各部位を清掃することができる。このとき、口腔清掃用の洗浄液は、メッシュシート34の網目33内において保持されて、メッシュシート34と共に口腔M内に誘導される。口腔M内への誘導後に、プリーツ形状が押しつぶされるなどの変形によって、口腔清掃用の洗浄液は網目33から流れ出ることにより、口腔M内の各部位の清掃効果を高めるなどの作用を及ぼす。
【0128】
本実施形態の口腔清掃具31は、広い有効面積のメッシュシート34を備えるため、より多量の口腔清掃用の洗浄液を網目33内において保持することができる。
【0129】
なお、メッシュシート34の山折りの折り返し部34aの数と谷折りの折り返し部34bの数とはそれぞれ8箇所に限られず、使用者が口腔M内の汚れSを十分に清掃することができるのであればそれぞれ3箇所から20箇所の範囲であってもよい。各山折りの折り返し部34aは、中心軸Cからの距離が全てr1でなくともよく、プリーツ状に配置されるのであれば、中心軸Cからの距離が山折りの折り返し部34aごとに異なっていてもよい。また同様に、各谷折りの折り返し部34bは、中心軸Cからの距離が全てr2でなくともよく、谷折りの折り返し部34bごとに異なっていてもよい。
【0130】
また、メッシュシート34は線状部材35cに1本おきに巻き付くだけでなく、2本以上のピッチで巻き付いてもよい。さらに、隣り合う線状部材35cどうしに挟まれて固定されるものに限られず、保持部材35にしっかりと保持されるのであれば、例えば、線状部材35cに代わって、複数のスリットによってオレンジ断面状に分割された柱体の軸部を有し、メッシュシート34は、谷折りの折り返し部34bがこうした軸部の分割スリットに挟まれることにより固定されてもよい。
【0131】
また、メッシュシート34は一枚のシート体を折り曲げて得るものに限られず、複数枚の例えば短冊状のシート片を繋ぎ合わせて構成されていてもよい。
【0132】
メッシュシート34の洗浄は、流水や洗浄水による洗浄に限られず、超音波による洗浄や、超音波と流水等とを組み合わせた洗浄であってもよい。
【0133】
図12〜14は、本発明の第5の実施形態を例示している。図12において41は口腔清掃具であって、この口腔清掃具41が、図13に示す合成繊維42v,42hによって織られた網目43を有するメッシュシート44と、図12に示すメッシュシート44を保持する保持部材45とを備える。保持部材45は、ワイヤ部45aと把持部45bとを有する。
【0134】
メッシュシート44は、製織後に図13に示すような等脚台形に成形されるとともに、両方の脚の側から、上底及び下底と平行な複数本の切れ込み9が中心線Cmに向けて施されている。切れ込み9は、等脚台形の脚の傾斜に従って下底に近いものほど長い。またメッシュシート44は、中心線Cmに近い部分が、図13の上下方向における中央で左右方向に延びるように配置されたワイヤ部45aに仮留めされる。
【0135】
ワイヤ部45aは、1本の直線状の金属製ワイヤから構成される。この金属製ワイヤは、両端が前記等脚台形の下底側で重なるように、中央が前記等脚台形の上底側で180°折り返されて配置される。また、この折り返された金属製ワイヤは、メッシュシート44をシート厚方向Tに挟んでいる。
【0136】
メッシュシート44は、織幅方向Hが中心線Cmの方向と一致するように配置されている。
【0137】
そして、ワイヤ部45aが中心線Cmを中心軸にして複数回捩じられることにより、メッシュシート44は、中心線Cmに近い部分がワイヤ部45aに挟み込まれながら、図14のようなスクリュー形状に成形される。その結果、メッシュシート44はワイヤ部45aに固定される。このとき、ワイヤ部45aは、複数回捩じられることにより細長の螺旋形状を形成する。
【0138】
また、スクリュー形状のメッシュシート44は、予め切れ込み9が施されているために、切れ込み9の最深部よりも径方向の外側部分がワイヤ部45aに挟み込まれることなく、径外方向に突出する羽根部44aを形成することとなる。また、切れ込み9が下底に近いものほど長いため、羽根部44aは、図14の右側のものほど径方向に長い。その結果、メッシュシート44は、図14の仮想線が示すような、全体に円錐台に近い形状に成形される。
【0139】
把持部45bは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂の成形品であり、図12においてワイヤ部45aの右側に連なる。把持部45bは、ワイヤ部45aと共にインサート成形によって成形される。すなわち、ワイヤ部45aの右側の先端部分の周りに樹脂を注入して、射出成型の金型内において前記先端部分と一体に成形される。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0140】
使用者は、保持部材45の把持部45bを手指で掴んで口腔清掃具41を操作することにより、ワイヤ部45aの周囲に固定されたメッシュシート44を口腔M内に誘導し、口腔M内の汚れSを清掃する。
【0141】
このとき使用者は、ワイヤ部45aを予め手指で曲げておき、口腔清掃具41を、例えば歯間のような部位に挿入し易い形状に変形させることができる。これにより使用者にとって、口腔清掃具41を、歯と歯との間の入り組んだ隙間へ挿入することや、口腔M内の内側から外側に向けて歯間に挿入することが可能であり、かつ、挿入した状態でメッシュシート44の中心軸Cm方向に往復動させることが可能である。
【0142】
また例えば、歯と歯との間の隙間が狭いときでも、メッシュシート44が上で述べたような円錐台に近い形状に成形されるため、使用者は、口腔清掃具41を挿入するときの狙いが付けやすく、上記円錐台に近い形状の頂部側から容易に挿入することができる。
【0143】
メッシュシート44は、複数の網目43を有し、経糸42vと緯糸42hとの両方が各網目43を形成している。そのため、例えば歯と歯との間の隙間を中心軸Cm方向に往復動するとき、メッシュシート44は、図3に示す経糸2vの側面7ab,7cdと、緯糸2hの側面7bc,7acとの両方が歯の表面の汚れSをかき取ることができる。そのため口腔清掃具41は、汚れSに対してメッシュシート44が擦る方向にかかわらず、効率よく歯の表面を清掃することができる。
【0144】
なお、ワイヤ部45aに挟み込むメッシュシート44は、枚数が1枚に限られず、ワイヤ部45aと共に捩じることができれば、2枚以上であってもよい。また、等脚台形に限られず、ワイヤ45aに挟み込まれた後に歯と歯ととの間の隙間に挿入することのできる形状に成形できる形状であれば、長方形や、中心線Cm方向の二辺が中心線Cmから離れる向きに湾曲するように変形した樽状の四辺形などでもよい。
【0145】
さらに、メッシュシート44とワイヤ部45aとは、共に捩じられる前に仮留めされるのではなく、捩じられる前から接着剤などによって固定されていてもよい。
【0146】
ワイヤ部45aと把持部45bとは、インサート成形により一体化されるだけでなく、把持部45bに予め開けておいた孔にワイヤ部45aの一部を挿入することにより組み立ててもよく、また、把持部45bを予め二分割しておき、前記一部を挟むようにして組み立ててもよい。
【0147】
ワイヤ部45aは金属製のワイヤである必要はなく、捩じってメッシュシート44を挟み込むことができれば、樹脂のような他の材質のワイヤでもよい。例えば、三井化学株式会社製のプラスチック線材である「テクノロート」(登録商標)をワイヤ部45aに用いることができる。この「テクノロート」は、塑性変形性と、変形後の形状保持性とに優れることにより、メッシュシート44を挟み込んで捩じることができ、かつ、捩じりに対する戻り量が小さく、メッシュシート44を固定することができる。しかも、歯や歯茎を傷つける虞が小さいためワイヤ部45aに適する。
【0148】
図15は、本発明の第6の実施形態を例示する。図15において51は口腔清掃具であって、この口腔清掃具51が合成繊維52v,52hによって織られた網目53を有するメッシュシート54と、メッシュシート54を保持する保持部材55とを備える。
【0149】
保持部材55は、ゴムのような伸縮性を有する材料により、図15の右向きに開口する薄手の指サック状に形成されたサック部55aを有する。使用者は、この開口55bからサック部55aの内側へ1本の手指Fを挿入して口腔清掃具51を装着することができる。また、口腔清掃具51を装着した手指Fを口腔M内に進入させるとともに、手指Fを動かして、サック部55aが口腔M内の部位を触るように操作することができる。
【0150】
メッシュシート54は、図示しない裏面54bがサック部55aの外側表面に接着剤によって接着されることにより、保持部材55に貼付されて支持される。メッシュシート54は、手指Fへの装着時に、開口55bから挿入された手指Fの少なくとも第1関節から先の手指先端部Faを覆うような位置に配置される。またメッシュシート54は、製織方向Vが図15の上下方向と一致するように保持部材55に対して配置される。
【0151】
メッシュシート54の網目53においては、表面54a側と裏面54b側との両方に経糸52vと緯糸52hとが露出する。すなわち、メッシュシート54は、裏面54bにおいて経糸52vと緯糸2hとの両方がサック部55aの外側表面に接着されることにより保持部材55に貼付される。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0152】
使用者はサック部55aを手指Fに嵌め、サック部55aの袋体を介して、手指先端部Faによってメッシュシート54の一部又は全部を袋体の裏面55cからサック部55aの外向きに押すことができる。そして、メッシュシート54の表面54aによって口腔M内の歯、歯茎、口蓋、内頬などの部位を擦ることにより、これらの清掃を行うことができる。
【0153】
このとき、手指先端部Faが薄手のサック部55aを介して口腔M内の部位に触れるため、使用者の手指Fには触感が伝わりやすい。そのため、使用者は清掃を必要とする部位を容易に探り当てることができるとともに、清掃のために手指Fに加える力を容易に調整することができる。
【0154】
また、メッシュシート54は、交絡する経糸52vと緯糸52hとの両方が保持部材55に接着されるため、摩擦等による力が加わるときでも、保持部材55に対して網目53が変形する可能性が小さい。そのため、口腔清掃具51は、使用者が口腔M内の部位を繰り返し擦るときでも、合成繊維52v,52hがほつれるなどといった形状の変化の虞が小さく、当初の清掃効果を維持することができる。
【0155】
なお、使用者がサック部55aの内側へ挿入する手指Fの本数は1本に限られることがなく、サック部55aの袋体を介して、手指先端部Faによってメッシュシート54の一部又は全部を袋体の裏面55cからサック部55aの外向きに押すことができる範囲であれば、2本以上でもよい。
【0156】
サック部55aの材料は、ゴムに限られることがなく、伸縮性を有する材料であれば、例えば熱可塑性エラストマーのような合成樹脂などでもよい。また、メッシュシート54を貼付する方法は、接着剤による接着に限られず、例えば合成樹脂製のサック部55aとの熱溶着などでもよい。
【0157】
さらに、メッシュシート54は手指先端部Faによって押される位置に配置されるだけでなく、例えばサック部55aの全周を囲むように配置されてもよい。
【0158】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0159】
例えば、メッシュシート4,14,24,34,44,54を保持部材5,15,25,35,45,55に対して配置する方向は、各実施形態について記載した方向に限られず、製織方向Vと織幅方向Hとが逆であってもよく、また、斜めであってもよい。
【0160】
また、メッシュシート4,14,24,34,44,54の網目3,13,23,33,43,53を形成する経糸2v,12v,22v,32v,42v,52vと、緯糸2h,12h,22h,32h,42h,52hとが交差する角度は、網目3,13,23,33,43,53が立体構造を成すことのできる角度であれば、90度以外の角度であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、口腔内の汚れを清掃する口腔清掃具に利用できる。
【符号の説明】
【0162】
1,11,21,31,41,51 口腔清掃具
2v,12v,22v,32v,42v,52v 経糸(合成繊維)
2h,12h,22h,32h,42h,52h 緯糸(合成繊維)
3,13,23,33,43,53 網目
4,14,24,34,44,54 メッシュシート
5,15,25,35,45,55 保持部材
6a 第1のコーナー
6b 第2のコーナー
6c 第3のコーナー
6d 第4のコーナー
7ab,7bc,7cd,7ac 側面
8a,8b,8c,8d 熱溶着点
9 切れ込み
【要約】
【課題】
合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートを備え、このメッシュシートを新たな用途のために用いることのできる口腔清掃具を提供する。
【解決手段】
合成繊維によって形成された網目を有するメッシュシートと、前記メッシュシートを保持する保持部材とを備え、前記保持部材が把持されて前記メッシュシートが口腔内に誘導され、前記メッシュシートが、前記口腔内の汚れを清掃することを特徴とする。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15