(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料土及び必要に応じて添加される土質改良材としての添加材を内部に投入して破砕混合するための円筒状の容器と、前記容器に前記原料土を投入するための投入口と、前記容器内で前記原料土が破砕混合処理されて製造された改良土を取り出すための取出口と、
前記円筒状の容器の中心に設けられた鉛直方向の回転軸と、
前記回転軸に1段または複数段に取り付けられ、前記回転軸の回転により容器内で遠心回転し、前記原料土を破砕混合する複数の帯状衝撃付加部材と、
を備えた回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システムであって、
前記改良土の目標品質に関する情報を入力するための改良土情報入力手段と、
前記原料土に関する情報を入力するための原料土情報入力手段と、
前記改良土の目標品質の実現に適した回転式破砕混合装置の設定条件と前記原料土に関する情報との関係に関するデータまたは関係式を記憶させた設定記憶手段と、
前記改良土情報入力手段に入力された情報と、前記原料土情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記設定記憶手段に記憶された既存のデータまたは関係式を用いて、前記回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定する設定条件決定手段と、
を備え、
前記改良土の目標品質に関する情報には、改良土の用途に関する情報、改良土の強度に関する情報、改良土の粒度に関する情報、改良土の含水比に関する情報、及び改良土の性状に関する情報を含み、
前記原料土に関する情報には、原料土の種類に関する情報、原料土の粒度に関する情報、原料土の含水比に関する情報、及び原料土の性状に関する情報を含み、
前記回転式破砕混合装置の設定条件には、前記回転軸の回転数、前記帯状衝撃付加部材の形態または仕様、前記帯状衝撃付加部材の位置及び本数、前記回転式破砕混合装置の処理量または稼働時間に関する条件を含む、
ことを特徴とする回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システム。
請求項1記載の回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システムにおいて、さらに前記設定条件決定手段によって決定された前記回転式破砕混合装置の設定条件を表示する表示手段を備えていることを特徴とする回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システム。
請求項1記載の回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システムにおいて、さらに前記回転式破砕混合装置から排出された改良土の測定品質の情報を入力するための改良土測定品質情報入力手段と、入力された改良土の測定品質の情報と前記改良土の目標品質とを対比して前記回転式破砕混合装置の設定条件を補正するフィードバック手段を備えていることを特徴とする回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システム。
原料土及び必要に応じて添加される土質改良材としての添加材を内部に投入して破砕混合するための円筒状の容器と、前記容器に前記原料土を投入するための投入口と、前記容器内で前記原料土が破砕混合処理されて製造された改良土を取り出すための取出口と、
前記円筒状の容器の中心に設けられた鉛直方向の回転軸と、
前記回転軸に1段または複数段に取り付けられ、前記回転軸の回転により容器内で遠心回転し、前記原料土及び添加材を破砕混合する複数の帯状衝撃付加部材と、
を備えた回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造方法であって、
前記回転式破砕混合装置には、
前記改良土の目標品質に関する情報を入力するための改良土情報入力手段と、
前記原料土に閧する情報を入力するための原料土情報入力手段と、
前記改良土の目標品質の実現に適した回転式破砕混合装置の設定条件と前記原料土に関する情報との関係に関する既存のデータまたは関係式を記憶させた設定記憶手段と、
前記改良土情報入力手段に入力された情報と、前記原料土情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記設定記憶手段に記憶された既存のデータまたは関係式を用いて、前記回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定する設定条件決定手段と、
を備えた製造管理システムが設けられており、
前記改良土情報入力手段によって、前記改良土の用途に関する情報、改良土の強度に関する情報、改良土の粒度に関する情報、改良土の含水比に関する情報、及び改良土の性状に関する情報を入力するステップと、
前記原料土情報入力手段によって、前記原料土の種類に関する情報、原料土の粒度に関する情報、原料土の含水比に関する情報、及び原料土の性状に関する情報を入力するステップと、
前記改良土情報入力手段及び前記原料土情報入力手段によって入力した情報に基づいて、前記設定記憶手段に記憶されたデータまたは関係式を用いて、前記回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定するステップと、
前記設定条件決定手段によって決定された回転式破砕混合装置の設定条件に基づいて前記回転式破砕混合装置を稼働させるステップと、
を備えることを特徴とする回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回転式破砕混合工法において、改良を目的とする材料(地盤材料、土質材料)は、土を対象としているため、深度や位置、天候などにより土の性状は変化する。そのため、2〜3種の土や岩を混合、あるいは破砕混合して粒度調整する場合や、土に添加材を混合する場合、プラントの規模や能力に対して処理量が過大であったり、インパクト部材の本数や回転数が大きい場合、プラントに大きな負荷がかかり不具合が生じる恐れがある。
【0008】
一方、プラントの規模や能力に対して処理量が過小であったり、インパクト部材の本数や回転数が小さい場合、プラントに負荷がかからないが、材料が破砕不足であったり混合が不十分であったりと、改良土の品質が低下して、目標品質が得られないなど、改良土による施工に支障が生じる恐れがある。
【0009】
本発明は、回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造における上述のような課題の解決を図ったもので、使用材料の性状に応じて、プラント仕様(処理量、インパクト部材の本数、回転数など)を最適化して、高品質で安定した改良土を製造し、適用箇所に安定した改良土を供給することができる回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は原料となる建設発生土等の地盤材料から改良土を製造するための回転式破砕混合装置を用い、改良土の用途や製造時の使用材料の性状や量に応じて、処理量、インパクト部材の本数、回転数等、プラントの仕様を最適化して、高品質で安定した改良土を製造できるようにするための製造管理システム及び製造方法に関するものである。
【0011】
回転式破砕混合装置自体の基本形態は、背景技術の項で説明した公知のものであり、原料土及び必要に応じて添加される土質改良材としての添加材を内部に投入して破砕混合するための円筒状の容器と、前記容器に前記原料土を投入するための投入口と、前記容器内で前記原料土が破砕混合処理されて製造された改良土を取り出すための取出口と、前記円筒状の容器の中心に設けられた鉛直方向の回転軸と、前記回転軸に1段または複数段に取り付けられ、前記回転軸の回転により容器内で遠心回転し、前記原料土を破砕混合する複数のインパクト部材(帯状衝撃付加部材)とを備えた回転式破砕混合装置を用いる。
【0012】
本発明の製造管理システムはこのような回転式破砕混合装置を、改良土の用途や製造時の使用材料の性状や量に応じて、効率的に運用するためのシステムであり、以下のa〜dの手段を備えている。
a.前記改良土の目標品質に関する情報を入力するための改良土情報入力手段
b.前記原料土に関する情報を入力するための原料土情報入力手段
c.前記改良土の目標品質の実現に適した回転式破砕混合装置の設定条件(運転条件を含む)と前記原料土に関する情報との関係に関するデータ(既存の実績に基づくデータを含む)または関係式を記憶させた設定記憶手段
d.前記改良土情報入力手段に入力された情報と、前記原料土情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記設定記憶手段に記憶されたデータまたは関係式を用いて、回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定する設定条件決定手段
【0013】
本発明において、前記改良土の目標品質に関する情報には、改良土の用途または強度に関する情報、改良土の粒度に関する情報、改良土の含水比に関する情報、及び改良土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を含むものとする。
【0014】
また、前記原料土に関する情報には、原料土の種類に関する情報、原料土の粒度に関する情報、原料土の含水比に関する情報、及び原料土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を含むものとする。
【0015】
前記回転式破砕混合装置の設定条件には、前記回転軸の回転数、前記インパクト部材の形態または仕様、前記インパクト部材の位置または本数、前記回転式破砕混合装置の処理量(例えば、処理総量、1時間当たりあるいは1日当たりの製造土量など)または稼働時間に関する条件のうちの少なくとも2以上を含むものとする。
【0016】
上述のような構成を有する本発明の製造管理システムにおいては、既往の施工実績などをもとに、改良目標に応じた使用材料(地盤材料、土質材料)と添加材、そして最適な改良品質が得られるプラント仕様の組み合わせをデータベース化して、プラントシステムに組み込むことで、プラントの仕様を最適化して、高品質で安定した改良土を製造することができる。
【0017】
なお、改良土の製造プラントには、回転式破砕混合装置だけではなく、原料土の搬送設備や添加材の供給設備、改良土の搬出設備などが含まれ、さらに原料土や、添加材、改良土の保管設備などが設けられる場合もあり、これらの稼働、運転条件なども含めて総合的に管理するシステムとすることもできる。
【0018】
また、本発明の製造管理システムおいて、さらに設定条件決定手段によって決定された回転式破砕混合装置の設定条件や運転条件、他の設備の稼働、運転状況などを表示するディスプレイなどの表示手段を設ければ、プラント設備の管理状況を視覚化することができる。
【0019】
また、本発明の製造管理システムによって製造された改良土が目標品質を満たしていることの確認として、回転式破砕混合装置から排出された改良土の品質を測定し、測定された品質の情報を入力するための改良土測定品質情報入力手段及び入力された改良土の測定品質の情報と改良土の目標品質とを対比して回転式破砕混合装置の設定条件を補正するフィードバック手段を設けることで、目標品質を満たしていない場合の修正や、過剰な品質となっている場合の修正を行うことができる。
【0020】
また、原料土についても、天候や採取位置の変化、その他の影響により製造中に原料土の性状が変化することがあるため、適時、原料土の含水比や強度、改良土の品質を測定して、それらのデータもリアルタイムでプラントシステムに反映させ、データベースに蓄積してシステムの精度を高め、改良品質と生産性の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の回転式破砕混合装置を用いた改良土の製造方法は、上述した製造管理システムを用いた改良土の製造手順を与えるものであり、前記改良土情報入力手段によって、前記改良土の用途または強度に関する情報、改良土の粒度に関する情報、改良土の含水比に関する情報、及び改良土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を入力するステップと、前記原料土情報入力手段によって、前記原料土の種類に関する情報、原料土の粒度に関する情報、原料土の含水比に関する情報、及び原料土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を入力するステップと、前記改良土情報入力手段及び前記原料土情報入力手段によって入力した情報に基づいて、前記設定記憶手段に記憶されたデータまたは関係式を用いて、前記回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定するステップと、
前記設定条件決定手段によって決定された回転式破砕混合装置の設定条件に基づいて前記回転式破砕混合装置を稼働させるステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造管理システムにおいては、既往の施工実績などをもとに、改良目標に応じた使用材料と添加材、そして最適な改良品質が得られるプラント仕様の組み合わせをデータベース化して、プラントシステムに組み込むことで、プラントの仕様を最適化して、高品質で安定した改良土を製造することができる。
【0023】
さらに、製造中も原料土の含水比や強度、及び改良土の品質を測定して、それらのデータもリアルタイムでプラントシステムに反映させることで、システムの精度を高め、改良品質と生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明で用いる回転式破砕混合装置による改良土の製造の機構を概略的に示した斜視図である。
図2、
図3は回転式破砕混合装置の機構の一例をそれぞれ鉛直断面図、水平断面図として示したものである。
【0026】
回転式破砕混合装置1の本体部分は、原料土R1、R2、R3及び必要に応じて添加される添加材を内部に投入して破砕混合するための円筒状の容器2と、容器2に原料土R1、R2、R3を投入するための投入口3と、容器2内で原料土R1、R2、R3が破砕混合処理されて製造された改良土Tを取り出すための取出口4と、円筒状2の容器の中心に設けられた鉛直方向の回転軸5と、回転軸5に1段または複数段に取り付けられ、回転軸5の回転により容器2内で遠心回転し、原料土R1、R2、R3を破砕混合する複数のインパクト部材(帯状衝撃付加部材)6を備えている。
【0027】
図1では、例えば建設発生土である原料土R1が粘土及びシルト、原料土R2が砂質土、原料土R3が軟岩及び礫であると想定し、これらの原料土R1、R2、R3を投入口3から容器2内に投入し、回転軸5の回転によりインパクト部材6を高速回転させ、投入された原料土R1、R2、R3を破砕、あるいは解砕すると共に均一に混合して行く。
【0028】
なお、実際には現場の状況、改良土の用途、目標品質等に応じて、原料土が現場発生土などの1種類あるいは2種類で、必要に応じ石灰やセメント系固化材などの土質改良材としての添加材を加えるといったことが行われる。
【0029】
容器2内では、高速回転するインパクト部材6の打撃力により、軟岩や礫を細かく砕きながら、粘土やシルトなどの粘性質の材料を解きほぐし、複数種の原料土R1、R2、R3を細かく均一に混合し、高品質の改良土Tを得ることができる。
【0030】
改良土Tはその用途に応じて、含水比や、強度、粘性、流動性などの性状が目標品質となるように、原料土R1、R2、R3の選択、組み合わせ(配合量など)、破砕混合の程度などを調整するが、必要に応じて容器2内に石灰やセメント系固化材などの添加材を加えて破砕混合することで用途に応じた目標品質が得られるようにする。
【0031】
添加材は、原料土R1、R2、R3とともに投入口3から投入するか、あるいは別途、添加材用の注入口を設けて投入する。
【0032】
図2に示すように、容器2は支持フレーム7で支持され、容器2の上部に原料土等を投入するために投入口3が設けられ、容器2の下部に改良土が排出される取出口4が設けられている。なお、投入口3及び取出口4の内面には、それぞれ土砂の付着を防止するための高分子板3a、4aが取り付けられている。
【0033】
回転軸5は容器2内の中心部に垂直に配置される上下一対の軸受8a、8bにより回転自在に支持される。上部の軸受8aは容器2の上部に架設されたスポークまたはステー(図示省略)などにより、容器2内の上部中心部に保持されている。下部の軸受8bについても、容器2の下部に配置されたスポークまたはステーなどにより、容器2の下部中心部に保持されている。
【0034】
図2、
図3に図示した例では、容器2が上部筒体2a、下部筒体2b、中間筒体2cの3つの部分に分かれており、中間筒体回転用モーター15により中間筒体2cが回転軸5と逆向きに回転するようになっている。図中、16a、16bは、中間筒体2cの外周に設けられたフランジ2dを支持するための中間筒体回転支持ベアリングである。
【0035】
中間筒体2cの内面には、縦に延びる帯状のスクレーパ9が複数本(図では4本)取り付けられており、中間筒体2cが回転軸5と逆向きに回転することで、容器2内面に付着する土砂をかき取ることができるようになっている。
【0036】
図2、
図3の実施形態におけるインパクト部材6は、金属製のチェーン6aの先端に鋼製の厚板6bを取り付けたもので、回転軸5の周囲に複数段(図では3段)、放射状に取り付けている。このインパクト部材6は、原料土の種類や性状、処理量、添加材の種類、量、改良土の目標品質などに応じて、取り付ける本数を調整することができる。
【0037】
インパクト部材6の取り付けについては、チェーン6aの基端部側にあるチェーン環を回転軸5の外周に設けた上下一対のフランジ21a、21b間に介在させ、フランジ21a、21bのロック孔とチェーン環とを上下に一致させた後、これらの孔にロックピン22を差し込むことで行われる。
【0038】
インパクト部材6は、回転式破砕混合装置1が停止した状態では下方に垂れ下がった状態にあり、容器2の外側に取り付けたモーター11を駆動することで、原動プーリ12、ベルト13、従動プーリ14を介して回転軸5が高速回転し、それに伴う遠心回転により
図2、
図3に示すように水平面内で高速回転する。
【0039】
図2において、符号35は、回転式破砕混合装置1で製造され、取出口4から排出された改良土を搬出するための排出コンベア35である。
【0040】
図4はインパクト部材6の他の形態例を示したものである。
図4(A)のインパクト部材6は金属製のチェーン6aを主体にして構成されているものである。
図4(B)のインパクト部材6は金属製のブレード6cを主体にして構成されているものである。
図4(C)のインパクト部材6は可撓性のある金属製のワイヤ6dからなるものである。
図4(D)のインパクト部材6は多角形の金属製のワッシャ6eをボルト・ナットで集結した構造のものからなる。
【0041】
このほか金属製ロッド、金属製ブレード、金属製チェーン、金属製ワイヤなどの先端に球形、キューブ形、円柱形など適当形状のハンマを取り付けたハンマ型インパクト部材などを使用することもできる。
【0042】
図5は本発明の回転式破砕混合装置を用いて、原料土Rに対し、添加材Aを加えて改良土Tを製造する工程の一例を示したものである。
【0043】
製造工程の流れは、バックホウ31で原料土Rを土砂ホッパ32に投入し、土砂フィーダ33で定量供給し、計量コンベア(原料土の重量を計量するベルトスケール)34を経て、投入コンベア35から回転式破砕混合装置1に投入し、回転式破砕混合装置1で製造された改良土Tを排出コンベア36で取り出す流れとなる。
【0044】
この例では、現場に添加材貯蔵サイロ37が設置され、計量コンベア34で計量され、投入コンベア35で運ばれている原料土に添加材を添加材フィーダ38から定量供給し、原料土Rと添加材Aが回転式破砕混合装置1に同時に投入される場合である。
【0045】
製造管理システムは、以下のような構成とすることができる。
【0046】
a.改良土情報入力手段
改良土の目標品質に関する情報を入力するための手段であり、具体的には現場または制御室などに設置したコンピュータあるいはモバイル端末などにインストールした管理ソフトに対し、改良土の目標品質を入力することになる。
【0047】
改良土の目標品質に関する情報としては、改良土の用途または強度に関する情報、改良土の粒度に関する情報、改良土の含水比に関する情報、及び改良土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を含むものとする。
【0048】
改良土の用途としては、例えば工作物の埋戻し、建築物の埋戻し、土木構造物の裏込め、河川築堤用盛土、道路用盛土、土地造成用盛土、鉄道盛土、空港盛土、水面埋立等がある。
【0049】
また、現地発生土が重金属やVOC(揮発性有機化合物)などの有害物質で汚染されている場合の無害化処理なども含まれる。その場合は、改良土の製造において、不溶化あるいは浄化のための添加材を混合する。
【0050】
改良土の強度は用途とも関連するが、強度に関する情報としては、目的に応じてコーン指数(kN/m
2)、一軸圧縮試験による一軸圧縮強さ(kN/m
2)、三軸圧縮試験による粘着力(kN/m
2)及び内部摩擦角(φ°)、圧密試験、その他従来から行われている各種試験方法による強度に関連する情報を用いることができる。
【0051】
改良土の粒度に関する情報としては、改良土における粒度分布、細粒分含有率(%)、最大粒径(mm)などがあるが、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
改良土の含水比(w%)は、土の状態の判断指標として用いられ、概略的な土の種類と含水比の関係としては、例えば腐植土は100〜1300%、沖積粘土は50〜90%、洪積土は30〜50%、砂は8〜15%、礫は2〜5%程度とされている。
【0053】
改良土の性状に関する情報としては、例えば土のコンシステンシーの指標としての液性限界・塑性限界試験などの情報や、透水試験による透水係数などがある。
【0054】
b.原料土情報入力手段
前記原料土に関する情報を入力するための手段であり、改良土の目標品質に関する情報と同様、現場または制御室などに設置したコンピュータあるいはモバイル端末などにインストールした管理ソフトに対し、原料土の情報を入力することになる。
【0055】
原料土に関する情報には、原料土の種類に関する情報、原料土の粒度に関する情報、原料土の含水比に関する情報、及び原料土の性状に関する情報のうちの少なくとも2以上を含むものとする。原料土は1種類に限らず、複数種用いられる場合には、それぞれの原料土の情報を入力する。
【0056】
原料土の種類は、原料土として用いられる現場発生土の種類であり、土の粒度組成や、液性限界、塑性限界に基づいて分類されるが、さらに天然材料や人工材料、混じり物の有無なども考慮される。
【0057】
原料土の粒度、含水比、性状等は、改良土について説明したものと同様であるが、原料土として現場発生土などを用いる場合、含水比やコンシステンシーといった土の性状は、晴天あるいは雨天が続くなど天候に大きく左右されるため、改良土の製造管理において重要である。
【0058】
なお、原料土の種類と、原料土の粒度組成や、液性限界、塑性限界は関連する概念であるが、大まかな分類としての原料土の種類をとらえ、さらに具体的な数値で表される粒度、含水比、性状等の情報をもとに、改良土の目標品質や処理量などに応じて、回転式破砕混合装置の運転条件、必要に応じて添加される添加材の配合などが決定される。
【0059】
c.設定記憶手段
具体的には管理ソフトがインストールされたコンピュータあるいはモバイル端末のハードディスク、あるいはCD、DVD、USBフラッシュメモリーなどの外部記憶装置を記憶媒体として用い、改良土の目標品質の実現に適した回転式破砕混合装置の設定条件あるいは運転条件と原料土に関する情報との関係に関するデータまたは関係式を記憶させたものである。
【0060】
設定記憶手段に蓄積されるデータや関係式は、過去の改良土製造の実績から得られたデータや理論値、実験値などをもとに、原料土との関係において改良土の目標品質を達成する上で、最適と考えられる設定を記憶させるものであり、製造実績の積み重ねにより、随時更新することができる。
【0061】
また、現場において工事が進行する際に、実際に得られた改良土の品質に関する情報をもとに、フィードバックあるいは更新して行くこともできる。
【0062】
回転式破砕混合装置の設定条件というのは、例えば回転軸(インパクト部材)の回転数、インパクト部材の形態または仕様、インパクト部材の位置または本数、回転式破砕混合装置の処理量(例えば処理総量、1時間当たりあるいは1日当たりの製造土量など)、稼働時間に関する条件などである。
【0063】
なお、改良土の製造プラントには、回転式破砕混合装置だけではなく、原料土の搬送設備や添加材の供給設備、改良土の搬出設備などが含まれ、さらに原料土や、添加材、改良土の保管設備などが設けられる場合もあり、これらの稼働、運転条件なども含めて総合的に管理するシステムとすることもできる。
【0064】
d.設定条件決定手段
具体的にはインストールされた管理ソフトにより、コンピュータあるいはモバイル端末の演算機能、比較機能などを利用し、改良土情報入力手段に入力された情報と、原料土情報入力手段に入力された情報に基づいて、設定記憶手段に記憶されたデータまたは関係式を用いて、回転式破砕混合装置の設定条件あるいは運転条件を決定する。
【0065】
基本的には、改良土の目標品質や原料土の情報を入力することにより、自動的に設定条件あるいは運転条件が決定される。設定条件に従い、インパクト部材の位置や本数を調整し、回転式破砕混合装置及び周辺設備の運転制御に関する指示を与える。
【0066】
表1は改良土の目標品質、原料土の情報、設定条件の関係を例として簡略化して示したものである。項目は説明と紙面の都合上、代表的な項目のみを示したもので、実際には項目が多いほど、より効率のよい制御を行うことができる。
【0068】
また、本発明の製造管理システムおいて、さらに設定条件決定手段によって決定された回転式破砕混合装置の設定条件や運転条件、他の設備の稼働、運転状況などを表示するモニター(ディスプレイ)などの表示手段を設ければ、プラント設備の管理状況を視覚化することができる。
【0069】
図6は本発明の製造管理システムにおけるモニター上の運転管理画面の一例を示した図であり、回転式破砕混合装置を含む改良土製造プラント全体の運転状況を管理システムの画面上で目視できるようにしたものである。
【0070】
画面の左上の部分は、プラントの運転時間や原料土や改良土の配合、含水比などを表示している。画面の右上の部分は、原料土等の供給量と改良土の製造量をグラフで表示できるようにしたものである(図では具体的なグラフの線は省略している)。画面の下の部分は、模式化して表示したプラントの各位置の状況を数値で表示するようにしたものである。
図6で引出し線と符号で示される画面上の文字は以下の通りである。
【0071】
51:プラント運転画面
52:戻る(X)
53:計量(M)
54:環境設定(C)
55:計量開始(F1)
56:動作モード設定(F5)
57:データ収集画面(F6)
58:終了
59:日運転時間
60:累積運転時間
【0072】
61:項目
62:配合比(%)
63:含水比(%)
64:砂礫土
65:粘性土
66:未使用
67:添加剤
68:加水1
69:加水2
70:改良土
【0073】
71:供給量及び製造量
72:改良土
73:砂礫土
74:粘性土
75:未使用
76:添加剤
77:加水1
78:加水2
【0074】
81:改良土
82:砂礫土
83:粘性土
84:未使用
85:添加剤
86:加水1
87:加水2
88:ツイスター1(回転式破砕混合装置の製品名)
【0075】
91:計量停止中
92:含水比測定なし
93:乾燥重量配合比制御
【0076】
さらに、本発明の製造管理システムによって製造された改良土が目標品質を満たしていることの確認として、回転式破砕混合装置から排出された改良土の品質を測定し、測定された品質の情報を入力するための改良土測定品質情報入力手段及び入力された改良土の測定品質の情報と改良土の目標品質とを対比して回転式破砕混合装置の設定条件を補正するフィードバック手段を設けることで、目標品質を満たしていない場合の修正や、過剰な品質となっている場合の修正を行うことができる。
【0077】
また、原料土についても、天候や採取位置の変化、その他の影響により製造中に原料土の性状が変化することがあるため、適時、原料土の含水比やコーン指数、改良土の品質を測定して、それらのデータもリアルタイムでプラントシステムに反映させ、データベースに蓄積してシステムの精度を高め、改良品質と生産性の向上を図ることができる。
【0078】
図7は本発明における改良土の製造工程をフローチャートで簡略化して示したもので、概略的には以下の手順で改良土の製造が行われる。
【0079】
(1) 改良土情報入力(101)
改良土の目標品質に関する情報として、前述した改良土の用途、強度、粒度、含水比、その他の性状などに関するデータをコンピュータあるいはモバイル端末などから入力する。
【0080】
(2) 原料土情報入力(102)
原料土に関する情報として、前述した原料土の種類、粒度、含水比、その他の性状などに関するデータをコンピュータあるいはモバイル端末などから入力する。
【0081】
(3) 装置設定条件記憶データ(103)
前述のように、過去の改良土製造の実績から得られたデータや理論値、実験値などをもとに、原料土との関係において改良土の目標品質を達成する上で、最適と考えられる設定を記憶させるものであり、製造実績の積み重ねにより、随時更新することができる。
【0082】
(4) 装置設定条件比較・演算(104)
上の(1)、(2)のステップで入力された情報と、(3)のステップの実績記憶手段に記憶されたデータまたは関係式を用いて、比較または演算を行い回転式破砕混合装置や周辺設備の設定条件をコンピュータの比較・演算機能を用いて決定する。
【0083】
(5) 装置設定条件表示(105)
(4)のステップで決定された回転式破砕混合装置や周辺設備の設定条件をコンピュータ等のモニター画面上に表示し、オペレータあるいは管理者が視覚的に把握できるようにする。
【0084】
(6) 装置運転(106)
(4)のステップで決定された回転式破砕混合装置や周辺設備の設定条件をもとに、プラントを稼働させる。
【0085】
(7) 運転状況測定(107)
運転状況については、回転式破砕混合装置の各所に設置されるセンサあるいはモニタリング装置などからのデータを直接管理システムに送ることで、運転状況をリアルタイムで把握することができる。
周辺設備についても土砂の搬送に計量コンベアなどを用いることで、リアルタイムで情報を得ることができる。
【0086】
(8) 運転状況表示(108)
回転式破砕混合装置及びプラント全体の運転状況をコンピュータ等のモニター画面上に表示する。
例えば、前述した
図6のように、運転状況を管理システムの画面上で目視できるようにしたものを用いることができる。
なお、(5)のステップの装置設定条件表示は、画面の切り替えによって、同じモニター上に表示することができる。
【0087】
(9) 改良土の品質測定(109)
製造された改良土について、目標品質に関する情報として用いた強度、粒度、含水比、その他の性状に関する試験を行い、製造された改良土が目標品質を達成しているかどうかを確認する。
【0088】
(10) 目標品質との比較(110)
(9)のステップで測定された改良土の品質が目標品質を満たしている場合は、(12)のステップに行き、運転を継続することができる。
(9)のステップで測定された改良土の品質が目標品質を満たしていない場合は、(11)のステップに行く。
【0089】
(11) 装置設定条件の補正(111)
(10)のステップで、改良土の品質が目標品質を満たしていないと判定された場合は、目標品質との差から設定条件の補正を行うための条件を求め、(4)のステップに戻す。
【0090】
(12) 運転継続(112)
(10)のステップで、改良土の品質が目標品質を満たしていると判定された場合は、プラントの運転を継続することができ、所定の処理量が達成されれば、運転を終了する。
【0091】
なお、以上のフローは、説明上、ステップを簡略化したものであり、実際にはさらに細かい制御を行うことができる。
本発明の製造管理システムは回転式破砕混合装置を、改良土の用途や製造時の使用材料の性状や量に応じて、効率的に運用するためのシステムである。本システムは改良土の目標品質に関する情報を入力するための改良土情報入力手段101と、原料土に関する情報を入力するための原料土情報入力手段102と、改良土の目標品質の実現に適した回転式破砕混合装置の設定条件及び運転条件と原料土に関する情報との関係に関するデータまたは関係式を記憶させた設定記憶手段103と、改良土情報入力手段101に入力された情報と原料土情報入力手段に入力された情報102に基づいて設定記憶手段103に記憶されたデータまたは関係式を用い、回転式破砕混合装置の設定条件を比較または演算して決定する設定条件決定手段104とを備えている。