(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466066
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20190128BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20190128BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/06
H05B33/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-20005(P2014-20005)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-149137(P2015-149137A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雄司
(72)【発明者】
【氏名】片野 快裕
(72)【発明者】
【氏名】奥山 賢一
【審査官】
辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−196466(JP,A)
【文献】
特開2002−198186(JP,A)
【文献】
特開2006−066248(JP,A)
【文献】
特開平05−036476(JP,A)
【文献】
特開2006−330185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H01L 51/50
H05B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成され、電極を有する発光素子と、
前記発光素子に対向し、かつ、前記発光素子を封止する封止部材と、
前記基板のうち前記封止部材の外部となる領域に位置し、前記電極に接続する端子と、
を備え、
前記封止部材は、前記基板に対向し、かつ前記発光素子を囲む接続部を備え、
前記接続部と前記基板の間には接着剤が形成されており、
前記接続部は、
第1の方向に並んでおり、前記端子を挟んでいる2つの第1領域と、
前記端子を避けつつ前記2つの第1領域を接続する第2領域と、
を備え、
前記第1の方向に延在する第1座標軸を設定した場合において、前記第1領域及び前記第2領域は、いずれも前記第1座標軸上の座標が前記発光素子と重なる領域を有しており、
前記第1座標軸に直交する第2座標軸を設定した場合、前記第2領域の一部は、前記第2座標軸上の座標が前記第1領域よりも前記発光素子の近くに位置している発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第1の方向に互いに並んで前記基板に配置された複数の前記端子を備え、
前記複数の端子のそれぞれの間に前記第1領域が位置しており、
前記複数の端子のそれぞれに対して前記第2領域が設けられている発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記端子は導電層により形成されており、
前記基板の端面と、前記端子の端面は同一面を形成している発光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記接着剤は、前記第1の方向において前記第2領域の横にはみ出している発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記端子に接続しているボンディングワイヤを備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、有機EL素子を光源として利用した発光装置の開発が進んでいる。有機EL素子は、発光層として有機層を用いているため、封止構造が必要である。一般的には、有機EL素子は、ガラスや金属などで形成された封止部材を用いて封止されている。そして、有機EL素子に接続する端子は、この封止部材の外部に配置されている。
【0003】
例えば特許文献1には、封止部材のうち有機EL基板に対向する面に凹部を形成し、封止部材の縁を、接着剤を用いて有機EL基板に固定することが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、封止部材と基板の間をシール材を用いて封止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−127909号公報
【特許文献2】特開2007−250508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
封止部材の縁を、接着剤を用いて基板に固定する場合、接着剤となる樹脂層が封止部材の縁からはみ出すことがある。この場合、はみ出した接着剤が端子や発光部と重なり、発光装置の品質を低下させる可能性が出てくる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、封止部材と基板の間に位置する接着剤がはみ出した場合において、このはみ出した接着剤が端子や発光部と重ならないようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板と、
前記基板に形成され、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極
に挟まれた有機層を有する発光素子と、
前記基板に対向し前記発光素子を封止する封止部材と、
前記基板のうち前記封止部材の外
側の領域に位置し、前記第1電極又は前記第2電極に接続する端子と、
を備え、
前記封止部材は、前記発光素子を囲む接続部を備え、
前記接続部と前記基板の間に接着剤
を有し、
前記接続部は、
第1の方向に並
び前記端子を挟
む2つの第1領域
及び
前記端子を避け前記2つの第1領域を繋ぐ第2領域を備える発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】発光装置を製造するときの基板の平面図である。
【
図7】発光装置を製造するときの封止部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る発光装置10の平面図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
図3は、
図1のB−B断面図である。
図4は、
図1のC−C断面図である。
図5は
図1のD−D断面図である。
【0012】
本実施形態に係る発光装置10は、基板100、発光素子102、封止部材140、及び端子112,132を備えている。発光素子102は基板100に形成されており、第1電極110、第2電極130、及び有機層120を備えている。有機層120は、第1電極110と第2電極130の間に位置している。封止部材140は、発光素子102を封止している。端子112,132は基板100のうち封止部材140の外部となる領域に位置している。端子112,132は第1電極110もしくは第2電極130と電気的に接続している。封止部材140は、さらに接続部142を有している。接続部142は、基板100に対向し、かつ発光素子102を囲んでいる。基板100と接続部142の間には、接着剤150が形成されている。接着剤150は例えばUV硬化型エポキシ樹脂もしくは光硬化型アクリル樹脂などの光硬化型樹脂、又は溶接ガラスなどの接着層であり、接続部142を基板100に固定している。そして接続部142は、2つの第1領域144及び第2領域146を有している。2つの第1領域144は、第1の方向(たとえば図中x方向)に並んでおり、端子132(又は端子112)を挟んでいる。第2領域146は、端子132(又は端子112)を避けつつ2つの第1領域144を繋いでいる。以下、詳細に説明する。
【0013】
基板100は、たとえばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。基板100は、可撓性を有していてもよい。この場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。この場合においても、基板100は無機材料及び有機材料のいずれで形成されていてもよい。基板100は、例えば矩形などの多角形である。
【0014】
発光素子102は、第1電極110と第2電極130の間に有機層120を挟んだ構成を有している。第1電極110及び第2電極130のうち少なくとも一方は透光性の電極になっている。また、残りの電極は、例えばAl、Mg、Au、Ag、Pt、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層によって形成されている。透光性の電極の材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の無機材料、またはポリチオフェン誘導体などの導電性高分子、又は銀もしくは炭素からなるナノワイヤを利用した網目状電極である。例えば、ボトムエミッション型の発光素子102であって、基板100の上に第1電極110、有機層120、及び第2電極130をこの順に積層した構成を有している場合、第1電極110は透光性の電極になっており、第2電極130は、Alなど光を反射する電極になっている。また、トップエミッション型の発光素子102であって、基板100の上に第1電極110、有機層120、及び第2電極130をこの順に積層した構成を有している場合、第1電極110はAlなど光を反射する電極になっており、第2電極130は透光性の電極になっている。また、両方の電極(第1電極110、第2電極130)を透光性の電極として、透光型の発光装置としても良い(デュアルエミッション型)。
【0015】
有機層120は、例えば、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層をこの順に積層させた構成を有している。正孔輸送層と第1電極110の間に正孔注入層が形成されていてもよい。また、電子輸送層と第2電極130の間に電子注入層が形成されていてもよい。有機層120の層は、塗布法によって形成されても蒸着法によって形成されてもよく、一部を塗布法、残りを蒸着法で形成しても良い。なお、有機層120は蒸着材料を用いて蒸着法で形成してもよく、また、塗布材料を用いて、インクジェット法、印刷法、スプレー法で形成してもよい。
【0016】
基板100のうち発光素子102が形成されている面には、端子112,132が形成されている。端子112は第1電極110に接続しており、端子132は第2電極130に接続している。詳細には、第1電極110の一部の上には、有機層120が形成されておらず、端子112となっている。また端子132は、第1電極110と同一の層を有している。なお、基板100には、絶縁層160が形成されている。絶縁層160は、発光素子102を絶縁区画している。絶縁層160は、有機層120及び第2電極130より前に形成されている。絶縁層160は、ポリイミドや酸化珪素、窒化珪素などの材料で形成されている。
【0017】
本図に示す例において、基板100は矩形である。そして、互いに対向する2辺のそれぞれに沿って端子112が形成されており、残りの2辺のそれぞれに沿って端子132が形成されている。
【0018】
なお、第1電極110のうち端子112となる部分の上には、第1電極110よりも低抵抗な材料の層(例えば金属層)が形成されていてもよい。この場合、端子132の上にも、第1電極110よりも低抵抗な材料の層が形成されている。
【0019】
封止部材140は、例えばガラスや金属などによって形成されており、発光素子102に対向する部分に凹部141を有している。言い換えると、封止部材140は、基板100に対向する面において、縁を除いた全域を基板100とは逆側に窪ませた形状を有している。そして封止部材140の縁が、接続部142になっている。接続部142は、上記したように、第1領域144及び第2領域146を有している。
【0020】
本図に示す例では、発光装置10は、基板100の一つの辺のそれぞれに端子112を有している。端子112は、同一の方向に並んで配置されている。そして、端子112(又は端子132)の間のそれぞれに封止部材140の第1領域144が位置しており、また、端子112のそれぞれに対して第2領域146が設けられている。第1領域144が並んでいる方向(第1の方向)に直交する方向(第2の方向)において、第2領域146の一部は第1領域144よりも発光素子102の近くに位置している。なお、発光装置10は、端子132も有している。本図に示す例において、端子132は、基板100のうち端子112とは異なる辺に沿って配置されている。端子132はひとつの辺につき複数配置されているが、1つの辺につき1つ配置されていても良い。封止部材140の接続部142は、端子132の近くにおいても、第1領域144及び第2領域146を有している。
【0021】
接着剤150の平面レイアウトも、接続部142と同様の平面レイアウトを有している。このため、隣り合う第2領域146の間には、接着剤150は形成されない。そして、接着剤150のうち接続部142からはみ出した部分の一部は、隣り合う第2領域146の間(すなわち第2領域146の横)の領域104にはみ出す。
【0022】
また、本図に示す例では、端子112,132は、導電層によって形成されている。そして、端子112,132の端面は、基板100の端面と同一面を形成している。これは、後述する発光装置10の製造方法に起因したものである。そして、封止部材140の第1領域144は、基板100の縁とほぼ重なっている。これに対して封止部材140の第2領域146は、基板100の縁から離れている。基板100の縁と第2領域146の間には、端子112又は端子132が位置している。言い換えると、端子112,132は封止部材140の外に位置している。そして端子112,132には、発光素子102を回路基板に接続するための導電部材、例えばボンディングワイヤ200が接続されている。
【0023】
次に、
図6及び
図7を用いて、発光装置10の製造方法について説明する。まず、基板100を準備する。この状態において、
図6に示すように、複数の基板100は互いにつながった状態になっている。次いで、複数の基板100のそれぞれの上に、第1電極110及び端子112,132を形成する。第1電極110及び端子112,132は、例えばスパッタリング法を用いて形成される。この段階において、端子112及び端子132は、隣り合う基板100の境界に跨って形成される。
【0024】
次いで、第1電極110と端子132の間に絶縁層160を形成する。次いで、第1電極110上に有機層120を形成する。次いで、第2電極130を形成する。第2電極130は、例えばスパッタリング法を用いて形成される。
【0025】
また、封止部材140を準備する。この段階において、
図7に示すように、封止部材140も複数互いに連続した形状を有している。上記したように、封止部材140は、発光素子102と重なる位置に凹部141を有している。本図に示すように複数の封止部材140が互いにつながった状態では、複数の凹部141が、マトリクス状に配置されている。そしてこれら複数の凹部141の間に位置する部分が、接続部142となっている。接続部142は、隣りあう封止部材140の境界と重なる位置に、複数の開口147を有している。開口147は、端子112,132と重なっている。そして、接続部142のうち開口147の横に位置する部分が第2領域146となっており、開口147の間に位置する部分が第1領域144となっている。なお、接続部142のうち開口147が形成されている部分は、接続部142のうち第1領域144となる部分よりも太くなっている。
【0026】
次いで、互いにつながった状態の複数の基板100の上、及び、互いにつながった状態の封止部材140の接続部142の少なくとも一方に、接着剤150を形成する。接着剤150は、予めシート状に形成されたものを用いてもよいし、スクリーン印刷法などの印刷法によって形成されても良いし、インクジェットなどの塗布法を用いて形成されても良い。特に、接着剤150は、樹脂状のものを使った場合に、はみ出す領域が広くなり、本願発明の効果が大きい。
【0027】
その後、封止部材140を基板100に取り付ける。この際、接着剤150が接続部142と重なる領域からはみ出す。ここで、第2領域146の隣に位置する領域104には、接続部142が配置されるとはみ出しが大きくなり、狭額縁の効果が悪くなる。従って、接着剤150のうち食み出した部分の一部は、領域104に溜まる。従って、接着剤150が端子112,132や発光素子102と重なることを抑制できる。
【0028】
その後、封止部材140及び基板100を、例えばダイシングブレードを用いて複数の発光装置10に分割する。このため、発光装置10において、封止部材140の端面、端子112,端子132の端面、及び基板100の端面は、同一面を形成している。このようにして、複数の発光装置10は形成される。このため、複数の封止部材140を予め分割しておく場合と比較して、発光装置10の製造効率は高くなる。また、複数の基板100を予め分割しておく場合と比較しても、発光装置10の製造効率は高くなる。
【0029】
以上、本実施形態によれば、第2領域146の隣に位置する領域104には、接続部142が配置されない。従って、基板100に封止部材140を取り付ける際に接着剤150の一部が接続部142から食み出しても、接着剤150のうち食み出した部分の一部は、領域104に溜まる。従って、接着剤150が端子112,132や発光素子102と重なることを抑制できる。
【0030】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
10 発光装置
100 基板
102 発光素子
110 第1電極
112 端子
120 有機層
130 第2電極
132 端子
140 封止部材
142 接続部
144 第1領域
146 第2領域
150 接着剤
200 ボンディングワイヤ