(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記紙葉類投入口から前記シャッタを退避させて当該紙葉類投入口を開くよう前記シャッタの制御を行う、請求項4または5記載の紙葉類投入装置。
前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記結束部材に係る情報を出力する、請求項1または3記載の紙葉類投入装置。
前記制御部による、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されているか否かの判別の基準を設定するための判別基準設定部を更に備えた、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の紙葉類投入装置。
前記撮像部は前記載置部の前記載置部材の下方に配置されており、当該撮像部は、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部を撮像して前記画像データを取得するようになっている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の紙葉類投入装置。
前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記紙葉類繰出機構により前記載置部に載置された紙葉類を繰り出さないよう当該紙葉類繰出機構の制御を行う、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の紙葉類投入装置。
前記制御部は、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて算出される、前記載置部に載置された紙葉類の厚さまたは枚数に係る情報を出力する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の紙葉類投入装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の紙幣入出金装置では、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙幣が結束されている状態で紙幣投入口に投入されたときに、このような結束部材を検知することができず、結束部材で結束されている紙幣を紙幣収容部に設けられた紙幣繰出機構により機体内に繰り出そうとしたときに不具合が生じるという問題があった。具体的には、特許文献1に開示されるような紙幣入出金装置では、紙幣収容部の内部を撮像できる位置にカメラを移動させたときに、当該紙幣収容部に複数の紙幣が立位状態で収容された場合に、紙幣の短手側の側縁部がカメラにより撮像されるようになっている。しかしながら、このような紙幣入出金装置では、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙幣が結束されている状態で紙幣投入口に投入されたときに、当該カメラにより紙幣収容部の内部を撮像した場合でも、得られる画像に結束部材が明確に写らないため、紙幣収容部に収容された紙幣が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙葉類が結束されている状態で載置部に載置されたときに、撮像部により得られる画像に結束部材が明確に写るようになり、このことにより撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができる紙葉類投入装置
および紙葉類処理
機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類投入装置は、紙葉類を紙葉類処理機の機体内に投入するための紙葉類投入装置であって、複数の紙葉類が
複数の載置部材上で立位状態で載置される載置部
であって、各前記載置部材は所定の間隔を開けて平行に延びるよう配置され、各前記載置部材は前記載置部に載置される紙葉類の厚さ方向に延びる棒状のものであり、各前記載置部材の間には空間が形成されている載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、
各前記載置部材に対して前記載置部に載置される紙葉類とは反対側に設けられ、各前記載置部材の間に形成される前記空間を介して前記載置部に載置された紙葉類における
各前記載置部材
に対向する側縁部の
全体を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の紙葉類投入装置は、紙葉類を紙葉類処理機の機体内に投入するための紙葉類投入装置であって、複数の紙葉類が載置部材上で立位状態で載置される載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部または前記載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記結束部材の種類に係る情報を出力することを特徴とする。
また、本発明の紙葉類投入装置は、紙葉類を紙葉類処理機の機体内に投入するための紙葉類投入装置であって、複数の紙葉類が載置部材上で立位状態で載置される載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部または前記載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う制御部と、前記載置部に光を照射する光源と、を備え、前記光源は、前記載置部に立位状態で載置される紙葉類の幅方向に沿って並ぶよう設けられた複数の光源部分からなり、複数の前記光源部分から異なる方向で前記載置部に光を照射することにより、前記撮像部により取得される前記画像データに前記結束部材の影を形成することができるようになっていることを特徴とする。
【0007】
このような紙葉類投入装置によれば、撮像部は、載置部に載置された紙葉類における載置部材側の側縁部または載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得するようになっており、制御部は、撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになっている。このように、撮像部は、載置部に載置された紙葉類における載置部材側の側縁部または載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得するため、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙葉類が結束されている状態で載置部に載置されたときに、撮像部により得られる画像に結束部材が明確に写るようになり、このことにより撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになる。
【0008】
本発明の紙葉類投入装置は、前記載置部に紙葉類を投入するための紙葉類投入口の開閉を行うシャッタと、前記載置部に光を照射する光源と、を更に備え、前記制御部は、前記シャッタにより前記紙葉類投入口が閉じられるとともに前記光源により前記載置部に光が照射された状態で前記撮像部により前記載置部に載置された紙葉類を撮像するよう当該撮像部の制御を行うようになっていてもよい。
また、本発明の紙葉類投入装置は、前記載置部に紙葉類を投入するための紙葉類投入口の開閉を行うシャッタを更に備え、前記制御部は、前記シャッタにより前記紙葉類投入口が閉じられるとともに前記光源により前記載置部に光が照射された状態で前記撮像部により前記載置部に載置された紙葉類を撮像するよう当該撮像部の制御を行うようになっていてもよい。
また、本発明の紙葉類投入装置においては、前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記紙葉類投入口から前記シャッタを退避させて当該紙葉類投入口を開くよう前記シャッタの制御を行うようになっていてもよい。
また、本発明の紙葉類投入装置においては、前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記結束部材に係る情報を出力するようになっていてもよい。
【0009】
本発明の紙葉類投入装置は、前記制御部による、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されているか否かの判別の基準を設定するための判別基準設定部を更に備えていてもよい。
【0010】
本発明の紙葉類投入装置においては、前記制御部は、前記撮像部により取得された前記画像データを出力するようになっていてもよい。
【0011】
この場合、前記制御部により出力される前記画像データにおける前記結束部材が存在する箇所に目印が付けられるようになっていてもよい。
【0012】
本発明の紙葉類投入装置においては、前記撮像部は前記載置部の前記載置部材の下方に配置されており、当該撮像部は、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部を撮像して前記画像データを取得するようになっていてもよい。
【0013】
本発明の紙葉類投入装置においては、前記載置部材は複数の棒状部材からなり、各前記棒状部材の間には空間が形成されていてもよい。
【0014】
この場合、前記載置部の下方には、前記空間を通って当該載置部から落下した異物を収容する異物受け部が設けられており、前記撮像部は前記異物受け部に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の紙葉類投入装置においては、前記制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記紙葉類繰出機構により前記載置部に載置された紙葉類を繰り出さないよう当該紙葉類繰出機構の制御を行うようになっていてもよい。
【0019】
本発明の紙葉類投入装置においては、前記制御部は、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて算出される、前記載置部に載置された紙葉類の厚さまたは枚数に係る情報を出力するようになっていてもよい。
【0020】
本発明の紙葉類投入装置は、前記撮像部により取得された前記画像データを記憶する記憶部を更に備えていてもよい。
【0021】
本発明の紙葉類処理機は、紙葉類の処理を行う紙葉類処理機であって、複数の紙葉類が
複数の載置部材上で立位状態で載置される載置部
であって、各前記載置部材は所定の間隔を開けて平行に延びるよう配置され、各前記載置部材は前記載置部に載置される紙葉類の厚さ方向に延びる棒状のものであり、各前記載置部材の間には空間が形成されている載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、
各前記載置部材に対して前記載置部に載置される紙葉類とは反対側に設けられ、各前記載置部材の間に形成される前記空間を介して前記載置部に載置された紙葉類における
各前記載置部材
に対向する側縁部の
全体を撮像して画像データを取得する撮像部と、を有する紙葉類投入装置と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う本体制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の紙葉類処理機は、紙葉類の処理を行う紙葉類処理機であって、複数の紙葉類が載置部材上で立位状態で載置される載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部または前記載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得する撮像部と、を有する紙葉類投入装置と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う本体制御部と、を備え、前記本体制御部は、前記載置部に載置された複数の紙葉類が前記結束部材により結束されていると判別したときに前記結束部材の種類に係る情報を出力することを特徴とする。
また、本発明の紙葉類処理機は、紙葉類の処理を行う紙葉類処理機であって、複数の紙葉類が載置部材上で立位状態で載置される載置部と、前記載置部に載置された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出機構と、前記載置部に載置された紙葉類における前記載置部材側の側縁部または前記載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得する撮像部と、を有する紙葉類投入装置と、前記載置部に光を照射する光源と、前記撮像部により取得された前記画像データに基づいて前記載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行う本体制御部と、を備え、前記光源は、前記載置部に立位状態で載置される紙葉類の幅方向に沿って並ぶよう設けられた複数の光源部分からなり、複数の前記光源部分から異なる方向で前記載置部に光を照射することにより、前記撮像部により取得される前記画像データに前記結束部材の影を形成することができるようになっている、ことを特徴とする。
【0022】
このような紙葉類処理機によれば、撮像部は、載置部に載置された紙葉類における載置部材側の側縁部または載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得するようになっており、本体制御部は、撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになっている。このように、撮像部は、載置部に載置された紙葉類における載置部材側の側縁部または載置部材とは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得するため、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙葉類が結束されている状態で載置部に載置されたときに、撮像部により得られる画像に結束部材が明確に写るようになり、このことにより撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の紙葉類投入装置
および紙葉類処理
機によれば、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙葉類が結束されている状態で載置部に載置されたときに、撮像部により得られる画像に結束部材が明確に写るようになり、このことにより撮像部により取得された画像データに基づいて載置部に載置された複数の紙葉類が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図16は、本実施の形態による紙幣処理機の構成を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による紙幣処理機の概略的な構成を示す概略構成図である。また、
図2乃至
図5は、
図1に示す紙幣処理機における入出金部の構成を示す構成図であって、紙幣の入金処理を行う際の動作を示す図である。また、
図6乃至
図9は、
図1に示す紙幣処理機における入出金部の構成を示す構成図であって、紙幣の出金処理を行う際の動作を示す図である。また、
図10は、
図1に示す紙幣処理機における入出金部を上方から見たときの載置部の構成を示す上面図である。また、
図11は、
図1に示す紙幣処理機における入出金部の構成を示す斜視図であり、
図12は、
図11に示す入出金部における載置部の載置部材および各載置部材の下方に設けられたカメラの設置場所を示す斜視図であり、
図13は、
図11に示す入出金部における光源およびカメラの位置関係を示す図である。また、
図14は、
図1に示す紙幣処理機の機能ブロック図である。また、
図15(a)〜(c)は、
図1に示す紙幣処理機の入出金部に設けられたカメラにより撮像された画像データであり、
図16は、
図1に示す紙幣処理機における制御部により出力される画像データであって、結束部材が存在する箇所に目印が付けられた画像データである。
【0028】
まず、本実施の形態に係る紙幣処理機10の全体構成について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機10は、上部筐体12および下部筐体14を備えている。上部筐体12には、当該上部筐体12の外部から内部に紙幣を投入したり上部筐体12の内部から外部に紙幣を投出したりするための入出金部20が設けられている。入出金部20の構成の詳細については後述する。また、上部筐体12の内部において、紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部40が入出金部20に接続されている。搬送部40には識別部42が設けられており、当該搬送部40により搬送される紙幣は識別部42によりその金種、真偽、正損等の識別が行われるようになっている。また、この際に、識別部42は紙幣の記番号を取得することができるようになっている。また搬送部40には斜行矯正部44が設けられており、入出金部20から搬送部40に繰り出された紙幣が斜行状態で搬送されているときには斜行矯正部44によりその斜行状態が矯正されるようになっている。また、搬送部40にはテープ巻取方式の一時保留部46が接続されている。一時保留部46は、正逆両方向に回転可能なドラムを有しており、このドラムに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部40から一時保留部46に送られた紙幣は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラムにより巻き取られて収納されるようになっている。また、ドラムを逆転させると、巻き取られた紙幣が1枚ずつ繰り出されて、搬送部40に送られるようになっている。また、搬送部40には位置合わせ部48が設けられており、この位置合わせ部48により、搬送部40により搬送される紙幣が搬送路の幅方向における所定の位置(例えば、中央位置)となるよう位置合わせが行われるようになっている。また、搬送部40には偽券用収納部49が接続されており、識別部42により偽券であると識別された紙幣は搬送部40により偽券用収納部49に送られて当該偽券用収納部49に収納されるようになっている。
【0029】
また、下部筐体14はいわゆる金庫となっており、管理者等の、特定の権限を有する者のみがこの下部筐体14の扉を開けて内部にアクセスすることができるようになっている。また、下部筐体14の内部には、紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部41が設けられており、この搬送部41は上部筐体12内に設けられた搬送部40と接続されている。このことにより、上部筐体12内と下部筐体14内との間で紙幣の受け渡しを行うことができるようになっている。また、下部筐体14内には複数の紙幣収納繰出カセット50が並列に設けられており、各紙幣収納繰出カセット50はそれぞれ搬送部41に接続されている。各紙幣収納繰出カセット50は搬送部41から送られた紙幣を例えば金種別に収納するようになっている。また、各紙幣収納繰出カセット50には、収納された紙幣を1枚ずつ搬送部41に繰り出す紙幣繰出機構(図示せず)が設けられている。また、下部筐体14内には複数の紙幣収納カセット52が並列に設けられており、各紙幣収納カセット52はそれぞれ搬送部41に接続されている。各紙幣収納カセット52は搬送部41から送られた紙幣を収納するようになっている。また、各紙幣収納カセット52には、対応する金種の紙幣収納繰出カセット50が満杯であるため当該紙幣収納繰出カセット50に収納できないようなオーバーフロー紙幣、識別部42により偽券であると識別された紙幣、各紙幣収納繰出カセット50に金種が割り当てられていない紙幣、出金に利用できない損券、出金処理時において入出金部20に送られた後に操作者(顧客)が取り忘れた紙幣(取り忘れ紙幣)等が収納されるようになっている。また、上述した様々な種類の紙幣をどの紙幣収納カセット52に収納するかを任意で設定することができるようになっている。
【0030】
次に、このような紙幣処理機10において入金処理や出金処理等の様々な処理を行う際の動作について説明する。
【0031】
紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際には、操作者はタッチパネル等の操作表示部80(後述)によって入金指令を入力することにより入出金部20のシャッタ28(後述)を開く。その後、入出金部20に紙幣を投入すると、入出金部20のシャッタ28が閉じられた後に、この入出金部20に設けられた紙幣繰出機構24(後述)により紙幣が1枚ずつ搬送部40に繰り出される。搬送部40に繰り出された紙幣は斜行矯正部44によりその斜行状態が矯正された後、識別部42により金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部42により偽券であると識別された紙幣は搬送部40により偽券用収納部49に送られてこの偽券用収納部49に収納される。また、識別部42により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部40により一時保留部46に送られ、この一時保留部46で一時的に保留される。また、識別部42により正常な紙幣ではないと識別されたリジェクト紙幣が搬送部40により入出金部20に戻されるようになっていてもよい。そして、入出金部20に投入された紙幣が全て上部筐体12の内部に繰り出されて一時保留部46や偽券用収納部49等に送られた後、操作者が操作表示部80(後述)によって入金確定の指令を入力すると、一時保留部46に一時的に保留されていた紙幣は搬送部40、41により各紙幣収納繰出カセット50に金種別に収納される。
【0032】
また、紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行う際には、各紙幣収納繰出カセット50に収納されている紙幣が当該紙幣収納繰出カセット50に設けられた紙幣繰出機構により1枚ずつ搬送部41に繰り出され、搬送部41から搬送部40に受け渡された後に識別部42により金種、真偽、正損等の識別が行われる。そして、識別部42により正常な紙幣であると識別された紙幣は、位置合わせ部48により搬送路の幅方向における所定の位置(例えば、中央位置)となるよう位置合わせが行われた後、入出金部20に送られてこの入出金部20に集積される。一方、識別部42により正常な紙幣ではないと識別された紙幣は一時保留部46に送られ、この一時保留部46で一時的に保留される。そして、所定の金額の紙幣が各紙幣収納繰出カセット50から入出金部20に送られると、入出金部20のシャッタ28が開かれることにより、操作者は入出金部20から紙幣を上部筐体12の外部に取り出し可能となる。また、一時保留部46で一時的に保留される紙幣は当該一時保留部46から繰り出され、この繰り出された紙幣は搬送部40および搬送部41により紙幣収納繰出カセット50または紙幣収納カセット52に送られる。なお、入出金部20のシャッタ28が開かれた後、所定の時間が経過しても当該入出金部20から紙幣が取り出されなかったときには、入出金部20から紙幣繰出機構26(後述)により紙幣が1枚ずつ搬送部40に繰り出され、識別部42を通過することにより当該紙幣の金種が確認された後に一時保留部46に一時的に保留され、その後、一時的に保留された紙幣が一時保留部46から繰り出され、この繰り出された紙幣は搬送部40および搬送部41により紙幣収納繰出カセット50または紙幣収納カセット52に送られる。また、入出金部20のシャッタ28が開かれた後、所定の時間が経過しても当該入出金部20から紙幣が取り出されなかったときに、入出金部20から紙幣繰出機構26(後述)により紙幣が1枚ずつ搬送部40に繰り出され、位置合わせ部48を通過した後に識別部42を通過することにより当該紙幣の金種が確認され、その後、この紙幣が搬送部40および搬送部41により紙幣収納繰出カセット50または紙幣収納カセット52に送られるようになっていてもよい。
【0033】
次に、このような紙幣処理機10に設けられた入出金部20の構成の詳細について
図2乃至
図13を用いて説明する。なお、
図2乃至
図9において入出金部20にある紙幣を参照符号Pで示している。本発明では、以下に示すような入出金部20により、紙幣を紙幣処理機10の機体内に投入するための紙幣投入装置が構成されている。
【0034】
図2等に示すように、入出金部20には、複数の紙幣が立位状態で載置される載置部22が設けられている。
図10は、入出金部20を上方から見たときの載置部22の構成を示す上面図である。
図10に示すように、載置部22は左右一対の側壁21の間に形成されており、この載置部22の底面23には平行に延びる複数の棒状の載置部材(リブ)23aが設けられている。そして、載置部22において紙幣の束は複数の載置部材23aをまたがるようこれらの載置部材23aの上で立位状態で載置されるようになっている。また、各載置部材23aの間には、硬貨やクリップ等の、紙幣以外の異物を落下させるのに十分な大きさを有する空間23bが形成されている。ここで、各載置部材23aの断面形状は山形状となっており、この山形状の断面の頂部のみが紙幣の束の下端縁と接するようになっている。各載置部材23aの断面形状がこのような山形状となっていることにより、紙幣の束の下端縁と各載置部材23aとの間の接触面積が小さくなり、後述する押さえ部材34により紙幣の束が後述する紙幣繰出機構24に向かって押圧される際に各載置部材23aが紙幣の移動の妨げにならないようになっている。また、
図2等に示すように、載置部22の下方には、各空間23bを通って載置部22から落下した異物を受ける異物受け部25が設けられている。
【0035】
また、載置部22における一方の側部には、当該載置部22に立位状態で載置された紙幣を上部筐体12の内部に繰り出すための紙幣繰出機構24が設けられている。紙幣繰出機構24は、載置部22に載置されている紙幣のうち
図2等における最も左下側にある紙幣を下方に蹴り出すキッカローラ24aと、キッカローラ24aにより下方に蹴り出された紙幣を上部筐体12の内部に繰り出して搬送部40に送るフィードローラ24bと、フィードローラ24bと当接するよう設けられ、当該フィードローラ24bとの間でゲート部(ニップ部)を形成する対向ローラ24cとを有している。ここで、キッカローラ24aにより複数枚の紙幣が下方に蹴り出された場合でも、フィードローラ24bと対向ローラ24cとの間に形成されたゲート部により紙幣が1枚ずつに分離されるようになっている。
【0036】
また、載置部22における他方の側部にも、当該載置部22に立位状態で載置された紙幣を上部筐体12の内部に繰り出すための紙幣繰出機構26が設けられている。ここで、紙幣繰出機構26は、紙幣の出金処理が行われる際に搬送部40から載置部22に送られた紙幣を再び上部筐体12の内部に繰り出すときに用いられるようになっている。紙幣繰出機構24と同様に、紙幣繰出機構26は、載置部22に載置されている紙幣のうち
図2等における最も右上側にある紙幣を下方に蹴り出すキッカローラ26aと、キッカローラ26aにより下方に蹴り出された紙幣を上部筐体12の内部に繰り出して搬送部40に送るフィードローラ26bと、フィードローラ26bと当接するよう設けられ、当該フィードローラ26bとの間でゲート部(ニップ部)を形成する対向ローラ26cとを有している。ここで、キッカローラ26aにより複数枚の紙幣が下方に蹴り出された場合でも、フィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部により紙幣が1枚ずつに分離されるようになっている。また、紙幣の出金処理において搬送部40から載置部22に紙幣を送る際に、搬送部40から送られた紙幣はフィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通って載置部22に立位状態で載置されるようになっている。
【0037】
また、入出金部20には、載置部22の開閉を行うシャッタ28が設けられている。このシャッタ28は、
図2に示すような、載置部22を開いて操作者が当該載置部22内に手を入れることができるような開放位置と、
図3に示すような、載置部22を閉じて操作者が当該載置部22内に手を入れることができないような閉止位置との間で移動するようになっている。
【0038】
また、紙幣繰出機構24のキッカローラ24aの近傍には、載置部22における紙幣繰出機構24側の側面を構成するガイド部30が設けられている。ガイド部30は、載置部22の底面23に沿って、紙幣繰出機構24に向かう方向および紙幣繰出機構24から遠ざかる方向に移動自在となっている。
【0039】
また、入出金部20には、載置部22に載置された紙幣の束を紙幣繰出機構24に向かって押圧する押さえ部材34が設けられている。この押さえ部材34は、載置部22の底面23に沿って、紙幣繰出機構24に向かう方向および紙幣繰出機構24から遠ざかる方向に移動自在となっている。そして、載置部22に紙幣が載置されている状態で、押さえ部材34が紙幣繰出機構24に向かう方向に移動したときに、載置部22に載置されている紙幣の束が押さえ部材34により紙幣繰出機構24に向かって押圧され、載置部22に載置されている紙幣のうち
図2等における最も左下側にある紙幣が紙幣繰出機構24により上部筐体12の内部に繰り出されるようになっている。
【0040】
また、入出金部20には、載置部22を複数の領域に区分けするための第1の仕切り部材36および第2の仕切り部材38が設けられている。これらの第1の仕切り部材36および第2の仕切り部材38は、それぞれ、載置部22の底面23に沿って、紙幣繰出機構24に向かう方向および紙幣繰出機構24から遠ざかる方向に移動自在となっている。そして、ガイド部30と押さえ部材34との間には、紙幣の入金処理が行われる際に操作者により紙幣が投入される入金領域が形成されるようになっており、また、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間には、紙幣の出金処理が行われる際に搬送部40からフィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通って紙幣が送られる出金領域が形成されるようになっている。また、前述した押さえ部材34は、ガイド部30と第1の仕切り部材36との間に位置するようになっている。
【0041】
また、本実施の形態の紙幣処理機10では、入出金部20において載置部22の各載置部材23aの下方には、入出金部20の内部を広角で撮像するカメラ60が設置されている。
図2乃至
図9、
図11および
図12等に示すように、カメラ60は異物受け部25の底面上に設置されており、当該カメラ60は、載置部22の各載置部材23a上に載置された紙幣の束における載置部材23a側の側縁部(下縁部)を撮像して画像データを取得するようになっている。また、異物受け部25内においてカメラ60の上方には光源62が設けられており、当該光源62は載置部22に光を照射するようになっている。このような光源62が設けられていることにより、シャッタ28によって載置部22が閉じられた場合でも、光源62によって載置部22に光が照射されることにより、カメラ60は載置部22の各載置部材23a上に載置された紙幣の束における載置部材23a側の側縁部を撮像することができるようになる。
【0042】
図13に示すように、光源62は、載置部22の各載置部材23a上に立位状態で載置される紙幣の幅方向(
図13における左右方向)に沿って並ぶよう配置される複数のLED(光源部分)62a〜62kから構成されている。より詳細に説明すると、載置部22は、各載置部材23aにより複数のエリアに分割されるようになっており(具体的には、4つの載置部材23aによりエリア1〜エリア5の5つのエリアに分割されるようになっており)、各エリア内および隣り合うエリアの境界にそれぞれLED62a〜62kが配置されるようになっている。なお、光源62の下方に設置されるカメラ60は、複数のエリアのうち中央にあるエリア(具体的には、エリア3)に配置されるようになっている。
【0043】
また、
図14に示すように、本実施の形態の紙幣処理機10には、当該紙幣処理機10の各構成要素の制御を行う本体制御部70が設けられている。本体制御部70には入出金部20、搬送部40、識別部42、斜行矯正部44、一時保留部46、位置合わせ部48、紙幣収納繰出カセット50がそれぞれ接続されている。ここで、識別部42による紙幣の識別結果は本体制御部70に送られるようになっている。また、本体制御部70は、入出金部20、搬送部40、斜行矯正部44、一時保留部46、位置合わせ部48、紙幣収納繰出カセット50の各々に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。また、
図14に示すように、本体制御部70には操作表示部80、記憶部82、印字部84、通信部86がそれぞれ接続されている。操作表示部80は紙幣処理機10の上部筐体12の前面または上面に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣処理機10における紙幣の処理状況や在高等に係る情報を表示するとともに、操作者が操作表示部80により様々な指令を入力可能なように構成されている。また、記憶部82は、紙幣処理機10における紙幣の処理状況や在高等に係る情報を記憶するようになっている。また、印字部84は、紙幣処理機10における紙幣の処理状況や在高等に係る情報をレシート等に印字するプリンタ等からなる。また、通信部86は、紙幣処理機10の外部に設けられた上位装置等の外部装置と信号の送受信を行うようになっている。
【0044】
また、
図14に示すように、入出金部20には当該入出金部20の各構成要素を制御する入出金部制御部72が設けられている。入出金部制御部72には紙幣繰出機構24、紙幣繰出機構26、シャッタ28、ガイド部30、押さえ部材34、第1の仕切り部材36、第2の仕切り部材38、カメラ60、光源62がそれぞれ接続されている。ここで、カメラ60により撮像された画像データは入出金部制御部72に送られるようになっている。また、入出金部制御部72は、紙幣繰出機構24、紙幣繰出機構26、シャッタ28、ガイド部30、押さえ部材34、第1の仕切り部材36、第2の仕切り部材38、カメラ60、光源62の各々の指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0045】
また、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになっている。入出金部制御部72によるこのような判別方法の詳細については後述する。また、入出金部制御部72は、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されていると判別したときにこの結束部材に係る情報を出力するようになっている。入出金部制御部72により出力された情報は本体制御部70に送られ、当該本体制御部70は、結束部材に係る情報を操作表示部80に表示させたり、記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたり、あるいは通信部86により上位装置等の外部装置に送信したりするようになっている。ここで、結束部材に係る情報とは、載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かという情報や、結束部材により結束されている場合には結束部材の種類に係る情報(具体的には、結束部材が輪ゴムや帯封紙等のうちどの種類の材料のものであるかという情報)のことをいう。
【0046】
また、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データも出力するようになっている。入出金部制御部72により出力された画像データは本体制御部70に送られ、当該本体制御部70は、画像データを操作表示部80に表示させたり、記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたり、あるいは通信部86により上位装置等の外部装置に送信したりするようになっている。
【0047】
また、
図14に示すように、入出金部制御部72には、判別基準設定部74および記憶部76がそれぞれ接続されている。判別基準設定部74は、入出金部制御部72による、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されているか否かの判別の基準を設定するようになっている。このような判別基準設定部74による判別の基準の設定方法については後述する。また、記憶部76には、カメラ60により撮像された画像データが記憶されるようになっている。また、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されていると入出金部制御部72が判別したときに、この結束部材に係る情報が記憶部76に記憶されるようになっていてもよい。
【0048】
なお、本実施の形態の紙幣処理機10では、入出金部20に入出金部制御部72が設置されておらず、上述した入出金部制御部72の機能を本体制御部70が果たすようになっていてもよい。この場合には、カメラ60により取得された画像データは本体制御部70に直接送られるようになり、本体制御部70は、カメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになる。
【0049】
次に、本実施の形態の紙幣処理機10における入出金部20の動作について説明する。
【0050】
まず、紙幣の入金処理を行う際の入出金部20の動作について
図2乃至
図5を用いて説明する。紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行うにあたり、操作者が操作表示部80によって入金指令を入力すると
図2に示すように入出金部20のシャッタ28が開かれる。そして、操作者が載置部22に紙幣の束を立位状態で投入すると、
図3の矢印に示すように紙幣投入出口がシャッタ28により閉じられる。その後、
図4の矢印に示すように押さえ部材34が載置部22の底面23に沿って紙幣繰出機構24側に向かって移動することにより、載置部22に投入された紙幣の束は押さえ部材34とガイド部30との間で挟まれるようになる。そして、
図5に示すように、紙幣の束を挟んだ状態でガイド部30および押さえ部材34が一体的に紙幣繰出機構24側に向かって移動する。そして、載置部22にある紙幣の束を押さえ部材34が紙幣繰出機構24のキッカローラ24a側に向かって押圧しながら当該キッカローラ24aが
図5における時計回りの方向に回転することにより、載置部22に載置されている紙幣のうち
図5における最も左下側にある紙幣がキッカローラ24aにより1枚ずつ下方に蹴り出され、蹴り出された紙幣はフィードローラ24bにより上部筐体12の内部に1枚ずつ繰り出されるようになる。
【0051】
また、紙幣の入金処理において、識別部42により正常な紙幣ではないと識別された紙幣がリジェクト紙幣として入出金部20に戻される場合には、搬送部40から入出金部20に搬送された紙幣は紙幣繰出機構26におけるフィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通って載置部22に送られる。この際に、フィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通過した紙幣は、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に形成された出金領域に送られ、この出金領域に立位状態で集積されるようになる。その後、ガイド部30と押さえ部材34との間にある紙幣が全て上部筐体12の内部に繰り出され、第1の仕切り部材36や第2の仕切り部材38が
図8に示すような紙幣の取り出し位置に移動するとシャッタ28が開き、操作者は載置部22における第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に集積されたリジェクト紙幣を上部筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
【0052】
次に、紙幣の出金処理を行う際の入出金部20の動作について
図6乃至
図9を用いて説明する。紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行うにあたり、操作者が操作表示部80によって出金指令を入力すると
図6に示すようにガイド部30および押さえ部材34が紙幣繰出機構24側に移動する。その後、搬送部40から入出金部20に搬送された紙幣は紙幣繰出機構26におけるフィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通って載置部22に送られる。この際に、フィードローラ26bと対向ローラ26cとの間に形成されたゲート部を通過した紙幣は、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に形成された出金領域に送られ、この出金領域に立位状態で集積されるようになる。
【0053】
その後、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に形成された出金領域に所定の金額の紙幣が立位状態で集積されると、
図7に示すように、第1の仕切り部材36および第2の仕切り部材38はそれぞれ紙幣繰出機構24側に向かって移動する。そして、第1の仕切り部材36がガイド部30の表面に接触すると、第1の仕切り部材36および第2の仕切り部材38は
図7に示す位置で停止する。その後、
図8に示すように、第2の仕切り部材38は紙幣繰出機構26側に向かって移動する。このことにより、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に形成される出金領域が大きくなる。そして、第2の仕切り部材38が
図8に示す位置で停止すると、
図9に示すようにシャッタ28が開き、操作者は載置部22における第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間に集積された出金紙幣を上部筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
【0054】
前述のように、入出金部20のシャッタ28が開かれた後、所定の時間が経過しても当該入出金部20から紙幣が取り出されなかったときには、入出金部20から紙幣繰出機構26により紙幣が1枚ずつ搬送部40に繰り出され、繰り出された紙幣は搬送部40および搬送部41により紙幣収納繰出カセット50または紙幣収納カセット52に送られる。この際に、第1の仕切り部材36および第2の仕切り部材38はそれぞれ載置部22の底面23に沿って
図6に示す位置まで紙幣繰出機構26側に移動し、第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間の出金領域にある紙幣は第1の仕切り部材36により紙幣繰出機構26のキッカローラ26aに当接するよう
図6における右上方向に押圧される。そして、キッカローラ26aが
図6における反時計回りの方向に回転することにより、載置部22に載置されている紙幣のうち
図6における最も右上側にある紙幣がキッカローラ26aにより1枚ずつ下方に蹴り出され、蹴り出された紙幣はフィードローラ26bにより上部筐体12の内部に1枚ずつ繰り出されるようになる。このようにして、載置部22に載置されている紙幣が上部筐体12の内部に繰り出され、繰り出された紙幣は搬送部40および搬送部41により紙幣収納繰出カセット50や紙幣収納カセット52に収納されるようになる。
【0055】
本実施の形態の紙幣処理機10では、紙幣の入金処理を行う際に、
図4に示すように載置部22に載置された紙幣の束が押さえ部材34とガイド部30との間で挟まれたときに、カメラ60により載置部22に載置された紙幣の束における載置部材23a側の側縁部(下縁部)が撮像され、このことにより紙幣の束の側縁部を含む画像データが得られるようになる。また、この際にシャッタ28により載置部22は閉じられているが、光源62によって載置部22に光が照射されることにより、カメラ60は紙幣の束の側縁部を含む画像データを取得することができるようになる。
【0056】
なお、本実施の形態では、
図4に示すように載置部22に載置された紙幣の束が押さえ部材34とガイド部30との間で挟まれたときにカメラ60により紙幣の束の撮像が行われる代わりに、
図3に示すように、操作者によって載置部22に紙幣の束が投入された後に紙幣投入出口がシャッタ28により閉じられたときにカメラ60により紙幣の束の撮像が行われるようになっていてもよい。また、
図3に示すような状態および
図4の示すような状態のうちどちらの状態でカメラ60により紙幣の束の撮像を行うかを選択することができるようになっていてもよい。具体的には、操作者が操作表示部80において
図3に示すような状態および
図4の示すような状態のうちどちらの状態でカメラ60により紙幣の束の撮像を行うかを入力することにより、入出金部制御部72は、押さえ部材34等の位置が操作表示部80に入力された状態となったときに、カメラ60により紙幣の束の撮像を行わせるようになっていてもよい。また、
図3に示すような状態および
図4の示すような状態のうちどちらの状態でカメラ60により紙幣の束の撮像を行うかの設定を、外部装置から通信部86を介して行うことができるようになっていてもよい。また、
図3に示すような状態および
図4の示すような状態の両方でカメラ60により紙幣の束の撮像を行うようになっていてもよい。この場合には、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された異なる状態での複数の画像データの各々を用いることにより、載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになる。
【0057】
図15(a)〜(c)は、カメラ60により取得された画像データの様々な例である。ここで、カメラ60と紙幣の束との間には載置部22の底面23を構成する複数の載置部材23aが存在することから、
図15(a)〜(c)の参照符号Aに示すように、カメラ60により取得される画像データには各載置部材23aが写り込むようになる。なお、
図15に示す各画像データのうち、(a)は、載置部22に載置されている紙幣の束が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されていないときにカメラ60により取得された画像データであり、(b)は、載置部22に載置されている紙幣の束が輪ゴムにより結束されているときにカメラ60により取得された画像データであり(画像データに写り込んだ輪ゴムを参照符号Bで示す)、(c)は、載置部22に載置されている紙幣の束が帯封紙により結束されているときにカメラ60により取得された画像データである(画像データに写り込んだ帯封紙を参照符号Cで示す)。
【0058】
図15(b)や
図15(c)に示すように、カメラ60により取得された画像データにおいて、紙幣を結束している輪ゴムや帯封紙等の結束部材は画像上の紙幣の厚み方向(
図15における上下方向)に対して略平行となる直線状の形状として現れる特徴があり、入出金部制御部72は、この特徴を利用して撮像した画像を解析することで輪ゴムや帯封紙等の結束部材を検知するようになっている。ここで、載置部22の物理的な構造上、カメラ60により取得された画像データにはこの載置部22の底面23に設けられた各載置部材23aが必ず写り込んでしまうため(
図15(a)〜(c)における参照符号Aを参照)、各載置部材23aの写り込む部分は結束部材の検知対象外の領域とすることによって、各載置部材23aの写り込みを結束部材として誤検知しないようにしている。
【0059】
なお、新札に係る紙幣の束が載置部22に投入された場合には、カメラ60によりこのような紙幣の束における載置部材23a側の側縁部が撮像されたときに、当該側縁部における紙幣の絵柄の色の変わり目により、結束部材により結束されていないにもかかわらず、画像データにおいて紙幣の厚み方向に対して略平行となる線が写り込んでしまい、結束部材の誤検知が行われてしまう場合がある。このようなトラブルの発生を防止するために、入出金部制御部72は以下の判別方法により載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになっている。
【0060】
紙幣の束が輪ゴムにより結束されている場合には、紙幣の束を結束する輪ゴムは立体物であるため、入出金部制御部72は、このような立体物の検知を行うようになっている。具体的には、前述したように、光源62は、載置部22の各載置部材23a上に立位状態で載置される紙幣の幅方向(
図13における左右方向)に沿って並ぶよう配置される複数のLED62a〜62kから構成されているため、各LED62a〜62kにより異なる方向から載置部22に光を照射することにより複数の画像を撮像する。具体的には、まず、各LED62a〜62kを全て点灯させた状態でカメラ60により載置部22の撮像を行うことにより、画像データ上で紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状が現れるエリアが、
図13におけるエリア1〜エリア5のうちどのエリアであるかを検知する。次に、エリア1〜エリア5のうち画像データ上で紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状が現れたエリアについて、光源62において載置部22の幅方向(各載置部材23aが延びる方向に直交する方向)における、画像データ上での紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状よりも左側に位置するLEDのみを点灯させ、このような状態でカメラ60により撮像を行う。その後、上記エリアについて、光源62において載置部22の幅方向における、画像データ上での紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状よりも右側に位置するLEDのみを点灯させ、このような状態でカメラ60により撮像を行う。このようにして、異なる方向から載置部22に光が照射された2枚の画像データがカメラ60により取得される。このような2枚の画像データには、それぞれ輪ゴム等の立体物の影が形成されるようになるが、異なる方向で載置部22に光を照射しているため、影が形成される位置が2枚の画像データの間で異なるようになる。そして、入出金部制御部72は、このような異なる方向から載置部22に光が照射された2枚の画像の差異(具体的には、輪ゴム等の立体物の影)を評価し、2枚の画像の差異が大きい場合には輪ゴム等の立体物が存在すると判定し、一方、差異が小さい場合には立体物が存在しないと判定する。
【0061】
また、紙幣の束を結束する帯封紙は、その表面が無地または単一色で均一となっているため、載置部22に載置されている紙幣の束が帯封紙により結束されているときにカメラ60により取得された画像データでは、紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状を境界とした一方の領域では画像が均一となり他方の領域では画像が均一ではなくなる。具体的には、画像データにおける紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状を境界とした2つの領域で輝度値が異なるようになる。入出金部制御部72は、このような2つの領域での輝度値の差異を検知することにより、載置部22に載置された紙幣の束が帯封紙により結束されていると判別するようになる。
【0062】
なお、上述した判別方法における判別の基準(具体的には、例えば異なる方向から光が照射された2枚の画像データの差異の閾値や、画像データにおける紙幣の厚み方向に対して略平行となる直線状の形状を境界とした2つの領域での輝度値の差異の閾値)は、判別基準設定部74により設定されるようになっている。具体的には、操作者が操作表示部80により、例えばメンテナンス画面で上述した判別方法における判別の基準を入力したり、通信部86を介して上位装置から紙幣処理機10に判別の基準に係る情報が送信されたりすることにより、判別基準設定部74において判別の基準が設定されるようになる。
【0063】
また、本実施の形態では、
図17に示すように、入出金部20の各側壁21、ガイド部30および押さえ部材34における、カメラ60により撮像されるべき部分(
図17において斜線で示す箇所)、すなわち入出金部20の各側壁21、ガイド部30および押さえ部材34の各々の底面には、白色またはグレー色のマーキングが施されるようになっている。そして、カメラ60により載置部22が撮像されたときに、取得される画像データにはこれらのマーキングも写り込むようになっている。この場合、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行う際に、カメラ60により取得された画像データのうち、これらのマーキングされた領域の内部の画像データのみを用いて判別を行うようになっている。すなわち、
図17の参照符号Pに示すように、紙幣の入金処理を行う際に載置部22に載置された紙幣はガイド部30と押さえ部材34との間に挟まれるようになるため、マーキングされた領域の内部の画像データにも載置部22に載置された紙幣が写り込むようになる。このことにより、紙幣の束が結束部材により結束されている場合は結束部材もマーキングされた領域の内部の画像データに写り込むようになる。このように、カメラ60により取得された画像データにおいて画像処理対象となる範囲をマーキングにより限定することにより、入出金部制御部72はより迅速に紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになり、また、このような判別における誤検知率を低減することができるようになる。
【0064】
また、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データにおける、ガイド部30および押さえ部材34の底面に形成されたマーキングが写り込んだ部分間の距離を検知することにより、入金処理を行う際に載置部22に投入された紙幣の束の厚さやこの厚さに基づく枚数等を算出することができるようになる。入出金部制御部72により出力された入金紙幣の厚さまたは枚数に係る情報は本体制御部70に送られ、当該本体制御部70は、入金紙幣の厚さまたは枚数に係る情報を操作表示部80に表示させたり、記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたり、あるいは通信部86により上位装置等の外部装置に送信したりする。このようにして、操作者は、カメラ60により取得された画像データに基づいて入金紙幣に係る情報(具体的には、入金紙幣の厚さまたは枚数)を取得することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、入出金部20の各側壁21、ガイド部30および押さえ部材34における、カメラ60により撮像されるべき部分にマーキングを施し、マーキングされた領域の内部の画像データのみを用いて入出金部制御部72が判別を行うような方法の代わりに、以下に示すような判別方法が用いられるようになっていてもよい。具体的には、カメラ60により取得される画像データのうち載置部22に載置された紙幣は比較的明るい色で表示されるため、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行う際に、カメラ60により取得された画像データのうち、このような比較的明るい色で表示される箇所の画像データのみを用いて判別を行うようになっていてもよい。この場合には、比較的明るい色で表示される箇所の画像データには載置部22に載置された紙幣が写り込むようになるため、紙幣の束が結束部材により結束されている場合は結束部材も上記の領域の画像データに写り込むようになる。このように、カメラ60により取得された画像データにおいて画像処理対象となる範囲を限定することにより、入出金部制御部72はより迅速に紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになり、また、このような判別における誤検知率を低減することができるようになる。
【0066】
また、更に別の態様として、入出金部20には、ガイド部30および押さえ部材34の位置をそれぞれ検知するエンコーダ、インタラプタ等の位置検知器が設けられており、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行う際に、カメラ60により取得された画像データのうち、このような位置検知器により検知された位置に係るガイド部30および押さえ部材34の間の領域の画像データのみを用いて判別を行うようになっていてもよい。上述したように、紙幣の入金処理を行う際に載置部22に載置された紙幣はガイド部30と押さえ部材34との間に挟まれるようになるため、ガイド部30および押さえ部材34の間の領域の画像データにも載置部22に載置された紙幣が写り込むようになるため、紙幣の束が結束部材により結束されている場合は結束部材もガイド部30および押さえ部材34の間の領域の画像データに写り込むようになる。このように、カメラ60により取得された画像データにおいて画像処理対象となる範囲を限定することにより、入出金部制御部72はより迅速に紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになり、また、このような判別における誤検知率を低減することができるようになる。
【0067】
また、本実施の形態では、前述したように、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されていると判別したときに結束部材に係る情報を出力するようになっている。具体的には、入出金部制御部72は結束部材に係る情報を本体制御部70に送り、この本体制御部70は、操作者に対して、載置部22に載置された紙幣の束を一旦取り出し、結束している結束部材を外した上で載置部22に再投入することを促すメッセージを操作表示部80に表示させる。また、本体制御部70は、このようなメッセージを操作表示部80に表示させる代わりに、あるいは操作表示部80に表示させることに加えて、結束部材に係る情報を通信部86により上位装置等の外部装置に送信し、この外部装置に上記のメッセージを表示させるようにしてもよい。また、この際に、入出金部制御部72はシャッタ28を制御して載置部22を閉じる位置からシャッタ28を退避させて紙幣投入出口を開くことにより(
図2参照)、載置部22内を外部からアクセス可能なようにする。また、本体制御部70は、結束部材に係る情報を記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたりしてもよい。
【0068】
また、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されていると判別したときに、当該載置部22に載置された紙幣の束がこの載置部22から取り出されて結束している結束部材が外された上で載置部22に再投入されるまで、紙幣繰出機構24により載置部22に載置された紙幣を繰り出さないよう当該紙幣繰出機構24の制御を行うようになっている。このことにより、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されているにもかかわらず、紙幣繰出機構24のキッカローラ24aが回転することにより当該キッカローラ24aに面する紙幣が擦れてしまうことを防止することができる。一方、入出金部制御部72は、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されていないと判別したときには、載置部22に載置された紙幣の入金処理を継続するために紙幣繰出機構24による紙幣の繰り出し動作を開始するよう当該紙幣繰出機構24の制御を行う。
【0069】
また、前述したように、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された、
図15(a)〜(c)に示すような画像データも出力するようになっている。入出金部制御部72により出力された画像データは本体制御部70に送られ、当該本体制御部70は、画像データを操作表示部80に表示したり、記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたり、あるいは通信部86により上位装置等の外部装置に送信したりするようになっている。この際に、載置部22に載置された紙幣の束が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されていると入出金部制御部72により判別された場合には、当該入出金部制御部72は、
図16に示すようにこの入出金部制御部72により出力される画像データにおける結束部材が存在する箇所に目印(
図16における参照符号Dを参照)を付けるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態の紙幣処理機10では、紙幣の出金処理を行う際にも、搬送部40から載置部22に送られた紙幣の束が第1の仕切り部材36と第2の仕切り部材38との間で挟まれている状態で、カメラ60により載置部22に載置された紙幣の束における載置部材23a側の側縁部が撮像され、このことにより紙幣の束の側縁部を含む画像データが得られるようになっていてもよい。この際にシャッタ28により載置部22は閉じられているが、光源62によって載置部22に光が照射されることにより、カメラ60は紙幣の束の側縁部を含む画像データを取得することができるようになる。そして、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データに基づいて、載置部22に載置された出金紙幣の厚さやこの出金紙幣の厚さに基づく枚数を算出し、この算出された出金紙幣の厚さまたは枚数に係る情報を出力する。入出金部制御部72により出力された出金紙幣の厚さまたは枚数に係る情報は本体制御部70に送られ、当該本体制御部70は、出金紙幣の厚さまたは枚数に係る情報を操作表示部80に表示させたり、記憶部82に記憶させたり、印字部84によりレシート等に印字させたり、あるいは通信部86により上位装置等の外部装置に送信したりする。このようにして、操作者は、カメラ60により取得された画像データに基づいて出金紙幣に係る情報(具体的には、出金紙幣の厚さまたは枚数)を取得することができる。
【0071】
また、本実施の形態の紙幣処理機10では、紙幣の入金処理を行う際に載置部22に載置された紙幣が紙幣繰出機構24により上部筐体12の内部に全て繰り出された後、
図18に示すように押さえ部材34は紙幣繰出機構24の近傍の位置(すなわち、紙幣繰出位置)から遠ざかるように移動して(すなわち、
図18の矢印に示すように右上方向に移動して)第1の仕切り部材36の近傍の定位置に戻るが、この際にカメラ60を露光状態のまま維持することにより押さえ部材34が移動する間における1枚の画像を取得するようになっていてもよい。前述したように、押さえ部材34の底面には、白色またはグレー色のマーキングが施されるようになっているため、カメラ60を露光状態で維持したまま押さえ部材34が移動すると、カメラ60により取得される画像データには、この押さえ部材34の底面のマーキングが連続的に写り込むようになり、画像データにおいて押さえ部材34の底面の移動範囲は白色等の明るい色で表示されるようになる。このため、カメラ60のレンズにゴミや埃等が付着していた場合には、このようなゴミや埃等が画像データにおける上述した白色等の明るい色の上に鮮明に写るようになり、操作者はカメラ60により取得された画像データを見ることにより当該カメラ60のレンズが汚れていることを認識することができるようになる。また、載置部22の底面23に設けられた各載置部材23aのうち一部の載置部材23aが破損した場合でも、このような載置部材23aにおける破損部分が画像データにおける上述した白色等の明るい色の上に鮮明に写るようになり、操作者はカメラ60により取得された画像データを見ることにより載置部材23aが破損していることを認識することができるようになる。
【0072】
また、本実施の形態では、紙幣処理機10がどの国の紙幣を扱うかにより、当該紙幣のサイズ(具体的には、紙幣の長手寸法)に基づいて入出金部20における側壁21間の寸法が異なるようになる。このため、両側の左右一対の側壁21の間に、処理する紙幣の国に対応するガイド部材を取り付け、当該ガイド部材の底面に付けられたマークをカメラ60により撮像することにより、正しいガイド部材が取り付けられているか否かを判定するようになっている。より詳細には、ガイド部材の底面(具体的には、ガイド部材におけるカメラ60に対向する側の面)には、白色のライン状のマークが複数付けられている。この際に、マークの個数がガイド部材の種類によって異なるようになっている。または、マークの色によってガイド部材の種類が異なるようになっていてもよい。そして、載置部22に紙幣が載置されていない状態でカメラ60により画像を取得する。この画像にはガイド部材に付けられた白色のライン状のマークも写り込むようになる。入出金部制御部72または本体制御部70は、カメラ60により取得される画像データに写り込んだ白色のライン状のマークの強度を検出し、このマークの強度が予め設定された閾値を超えるようなピークの個数を検出することにより、ガイド部材の種類を判定する。このようにして、カメラ60により取得される画像データに基づいて正しいガイド部材が取り付けられているか否かが判断され、ガイド部材が適切なものではない場合には通信部86により外部装置にエラー通知が行われる。
【0073】
また、本実施の形態の紙幣処理機10では、載置部22に載置された紙幣の束が結束部材により結束されていることが入出金部制御部72により判別されたときに、この紙幣の束を操作者に返却する場合には、操作表示部80には
図20に示すような画面が表示される。具体的には、取引に係る情報(取引番号、取引時刻、取引種別)や顧客情報(顧客番号、口座番号等)、異物(結束部材)の種類や紙幣の束の枚数、厚み等の情報が操作表示部80に表示されるとともにカメラ60により取得された画像データが操作表示部80に表示される。また、操作表示部80の表示画面において、結束部材の位置が矢印で示されるか、または該当部分がマークで囲まれて示されるとともに、「異物を取り除いて、再度投入して下さい」というメッセージが表示される。なお、操作表示部80において画像と共に表示される情報は任意に設定可能となっている。また、入金処理の最中に返却指示を行って返却された紙幣を受け取った操作者が、入金した時の紙幣の枚数が異なっているとクレームする場合があるが、このような場合でも、入出金部20の載置部22に紙幣を載置したときの画像、ガイド部30と押さえ部材34との間で紙幣を圧縮したときの画像、および入出金部20に投入された紙幣の推定枚数等の情報を操作表示部80に表示して操作者に示すことによって、このようなトラブルの発生を防止することができる。なお、このような操作表示部80の表示によるトラブルの発生防止方法は、紙幣の出金処理時に取り忘れ紙幣を紙幣処理機10の機体内に取り込む際にも用いることができる。
【0074】
また、本体制御部70は、カメラ60により取得された画像データと取引情報とを関連付けて記憶部82に記憶させるようになっている。記憶部82に記憶される画像データや取引情報について
図21を用いて説明する。
図21に示すように、記憶部82には、取引に係る情報(取引番号、取引時刻、取引種別)や顧客情報(顧客番号、口座番号等)、紙幣の合計金額や金種毎の紙幣の枚数(金種内訳)が記憶部82に記憶されるとともにカメラ60により取得された画像データが記憶部82に記憶される。また、識別部42は紙幣の金種とともにOCRにより記番号も取得することができるようになっており、記憶部82には紙幣情報として紙幣の金種情報および記番号情報が記憶される。なお、記番号情報は、識別部42でOCRを行った紙幣の記番号そのものではなく、紙幣における記番号部分のイメージや紙幣イメージの縮小版であってもよい。また、上述した紙幣の入金処理時、出金処理時、取り忘れ紙幣の取り込み時等において、操作者(顧客)から紙幣の枚数が間違っている等のクレームがあった場合には、操作表示部80にこのことを表示して操作者に確認させるようにしてもよい。
【0075】
以上のように上記の構成からなる本実施の形態の紙幣処理機10によれば、撮像部としてのカメラ60は、載置部22に載置された紙幣における載置部材23a側の側縁部を撮像して画像データを取得するようになっており、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された紙幣の束が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになっている。このように、撮像部としてのカメラ60は、載置部22に載置された紙幣における載置部材23a側の側縁部を撮像して画像データを取得するため、帯封紙や輪ゴム等の結束部材で複数の紙幣が結束されている状態で載置部22に載置されたときに、
図15(b)や
図15(c)に示すようにカメラ60により得られる画像に結束部材が明確に写るようになり、このことによりカメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになる。
【0076】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、入出金部制御部72は、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されていると判別したときにこの結束部材に係る情報を出力するようになっている。なお、前述したように、結束部材に係る情報とは、載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かという情報や、結束部材により結束されている場合には結束部材の種類に係る情報(具体的には、結束部材が輪ゴムや帯封紙等のうちどの種類の材料のものであるかという情報)のことをいう。
【0077】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、入出金部制御部72には判別基準設定部74が接続されており、この判別基準設定部74により、入出金部制御部72による、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されているか否かの判別の基準が設定されるようになっている。
【0078】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データを出力するようになっている。この際に、
図16に示すように、入出金部制御部72により出力される画像データにおける結束部材が存在する箇所に目印が付けられるようになっていてもよい。
【0079】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、載置部材23aは複数の棒状部材からなり、各棒状部材の間には空間23bが形成されている。また、載置部22の下方には、空間23bを通って当該載置部22から落下した異物を収容する異物受け部25が設けられており、カメラ60は異物受け部25に配置されている。
【0080】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、入出金部制御部72は、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されていると判別したときに紙幣繰出機構24により載置部22に載置された紙幣を繰り出さないよう当該紙幣繰出機構24の制御を行うようになっている。
【0081】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、載置部22に紙幣を投入するための紙幣投入出口の開閉を行うシャッタ28と、載置部22に光を照射する光源62とがそれぞれ設けられており、入出金部制御部72は、シャッタ28により紙幣投入出口が閉じられるとともに光源62により載置部22に光が照射された状態でカメラ60により載置部22に載置された紙幣を撮像するよう当該カメラ60の制御を行うようになっている。また、入出金部制御部72は、載置部22に載置された複数の紙幣が結束部材により結束されていると判別したときに紙幣投入出口からシャッタ28を退避させて当該紙幣投入出口を開くようシャッタ28の制御を行うようになっている。また、光源62は、載置部22に立位状態で載置される紙幣の幅方向に沿って並ぶよう設けられた複数のLED62a〜62kからなり、複数のLED62a〜62kから異なる方向で載置部22に光を照射することにより、カメラ60により取得される画像データに結束部材(具体的には、例えば輪ゴム)の影を形成することができるようになっている。
【0082】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データに基づいて算出される、載置部22に載置された紙幣の厚さまたは枚数に係る情報を出力するようになっている。このことにより、紙幣の入金処理や出金処理を行う際に、操作者は、カメラ60により取得された画像データに基づいて入金紙幣や出金紙幣に係る情報(具体的には、入金紙幣や出金紙幣の厚さまたは枚数)を取得することができるようになる。
【0083】
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、前述したように、カメラ60により取得された画像データは入出金部20に設けられた記憶部76や本体制御部70に接続された記憶部82等に記憶されるようになっている。なお、本実施の形態による紙幣処理機10はこのような態様に限定されることはなく、カメラ60により取得された画像データは紙幣の束が結束部材により結束されているか否かの判別に用いられるものの、記憶部76や記憶部82に記憶されることなく破棄されるようになっていてもよい。
【0084】
また、前述したように、本実施の形態の紙幣処理機10では、入出金部20に入出金部制御部72が設置されておらず、上述した入出金部制御部72の機能を本体制御部70が果たすようになっていてもよい。この場合には、カメラ60により取得された画像データは本体制御部70に直接送られるようになり、本体制御部70は、カメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された複数の紙幣が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うようになる。
【0085】
なお、本実施の形態による紙幣処理機10は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0086】
例えば、紙幣処理機10の上記説明では、載置部22の載置部材23aの下方にカメラ60が設置された例について述べたが、カメラ60の設置場所はこのような例に限定されることはない。カメラ60の設置場所として、載置部22に載置された紙幣における載置部材23a側の側縁部または載置部材23aとは反対側の側縁部を撮像して画像データを取得することができるような位置であれば、載置部22の載置部材23aの下方の位置以外の位置としてもよい。具体的には、紙幣投入出口を閉じた状態にあるシャッタ28の下面の近傍の位置(すなわち、シャッタ28と載置部材23aとの間の位置)にカメラ60を設置し、載置部22に載置された紙幣における載置部材23aとは反対側の側縁部をカメラ60により撮像して画像データを取得するようになっていてもよい。この場合でも、入出金部制御部72は、カメラ60により取得された画像データに基づいて載置部22に載置された紙幣の束が輪ゴムや帯封紙等の結束部材により結束されているか否かの判別を行うことができるようになる。
【0087】
また、載置部22の撮像を行うカメラ60が入出金部20の内部に設けられている場合には、現金盗難の手口である偽のシャッタが入出金部20の紙幣投入出口に取り付けられているか否かを以下に示す方法により判別することができるようになる。
【0088】
ここで、入出金部20の紙幣投入出口に偽のシャッタを取り付けるような現金盗難の手口について以下に述べる。紙幣処理機10において現金盗難を行おうとする者は、まず、
図19に示すように偽のシャッタ29を入出金部20の紙幣投入出口に取り付ける。この場合には、次の操作者が紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行った場合に、本来であればシャッタ28が開いて載置部22内の出金紙幣にアクセス可能となるところ偽のシャッタ29が紙幣投入出口に取り付けられていることにより載置部22内の出金紙幣にアクセスすることができないため、この操作者は紙幣処理機10で故障が発生したと判断して通報のため紙幣処理機10から離れて係員のいる場所に向かうようになる。そして、操作者が紙幣処理機10から離れている間に、現金盗難を行おうとする者は偽のシャッタ29を取り外して載置部22内の出金紙幣を持ち去る。
【0089】
このような現金盗難の手口に対して、載置部22の撮像を行うカメラ60が入出金部20の内部に設けられている場合には、出金処理が行われた後にシャッタ28が紙幣投入出口を開く前にカメラ60は入出金部20の内部の撮像を行って画像データを取得する。その後、シャッタ28が紙幣投入出口を開いた後にカメラ60は入出金部20の内部の撮像を再び行って画像データを取得する。そして、入出金部制御部72は、シャッタ28を開く前後での2つの画像データの比較を行い、両者の画像データの差異が予め設定された閾値よりも大きい場合には、偽のシャッタ29は設けられておらず紙幣処理機10は正常であると判断する。この場合には、載置部22からの出金紙幣の抜き取りが確認された後、一連の出金処理が完了する。一方、入出金部制御部72がシャッタ28を開く前後での2つの画像データの比較を行ったときに、両者の画像データの差異が予め設定された閾値よりも小さい場合には(具体的には両者の画像データがほぼ同じであった場合には)、入出金部制御部72は、シャッタ28を開いたにもかからず載置部22内はシャッタ28を開く前と同様に暗くなっていると判断する。この場合には、入出金部制御部72は、偽のシャッタ29が紙幣投入出口に取り付けられている可能性があると判断し、本体制御部70を介して操作表示部80に警告表示を行わせるようにする。また、この場合には、入出金部制御部72は入出金部20の紙幣投入出口をシャッタ28により再び閉じるようにする。このようにして、偽のシャッタ29が紙幣投入出口に取り付けられてしまった場合でも、搬送部40から載置部22に送られた出金紙幣が、現金盗難を行おうとする者により持ち去られてしまうことを防止することができるようになる。
【0090】
また、本発明では、紙幣を紙幣処理機10の機体内に投入するための紙幣投入装置は、上部筐体12の外部から内部に紙幣を投入したり上部筐体12の内部から外部に紙幣を投出したりするよう構成された入出金部20に限定されることはない。本発明に係る紙幣投入装置として、上部筐体12の外部から内部に紙幣を投入する動作のみを行う入金部が用いられてもよい。
【0091】
また、本発明の紙葉類処理機は、紙幣の入金処理や出金処理等の処理を行う紙幣処理機に限定されることはない。本発明の紙葉類処理機として、紙幣以外の例えば小切手や商品券等の紙葉類の入金処理や出金処理等の処理を行うものが用いられてもよい。また、この場合には、本発明の紙葉類投入装置として、紙幣以外の例えば小切手や商品券等の紙葉類を紙葉類処理機の機体内に投入するものが用いられてもよい。