特許第6466095号(P6466095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466095
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   B60N2/07
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-153868(P2014-153868)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-30519(P2016-30519A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】三笠 訓寛
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−015110(JP,A)
【文献】 特開2007−069694(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/016888(WO,A1)
【文献】 特開2011−201471(JP,A)
【文献】 特開2015−205652(JP,A)
【文献】 実開平02−056729(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0029308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にローラ支持面及び該ローラ支持面の上方または下方に位置する左右一対のガタ除去部材接触面を具備する、前後方向に延びるチャンネル状をなすロアレールと、
該ロアレールの内部空間に挿入した、該ロアレールに対して前後方向に相対移動可能なアッパレールと、
上記アッパレールと一緒に上記ロアレールに対して前後方向に相対移動可能であり、左右方向の回転軸回りに回転可能として上記ローラ支持面に対して接触する複数のローラと、
上記アッパレールと一緒に前後方向に移動可能かつ該アッパレールに対して上下方向に相対移動可能であり、左右の上記ガタ除去部材接触面に対して接触可能な左右一対のガタ除去部材と、
左右の上記ガタ除去部材を挿通して支持する支持部材と、
該支持部材と直接接触しかつ該支持部材を上方又は下方に付勢することにより、上記ガタ除去部材を対応する上記ガタ除去部材接触面に接触させる、上記アッパレール又は該アッパレールに支持されるブラケットに対して取り付けられる付勢手段と、
を備え、
上記支持部材である一つの支持軸を、上記付勢手段である一つの付勢部材によって上記アッパレールに対して相対移動可能に支持することを特徴とする車両用スライドレール装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用スライドレール装置において、
上記付勢部材が、少なくとも前後二カ所を上記アッパレール又は上記ブラケットによって支持されかつ上下方向に弾性変形しながら上記支持を上方又は下方に直接押圧する、全体形状が前後方向に延びる形状である線バネ又は板バネである車両用スライドレール装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用スライドレール装置において、
上記ガタ除去部材が、上記支持に対して回転可能かつ上記ガタ除去部材接触面に対して回転しながら接触可能なガタ除去用ローラである車両用スライドレール装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用スライドレール装置において、
左右の上記ガタ除去部材接触面の上記ガタ除去用ローラが接触する部位が、互いに左右対称でかつ水平方向に対して傾斜する傾斜面である車両用スライドレール装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用スライドレール装置において、
上記支持が、左右方向に延びる中央水平部と、該中央水平部の両端部から水平方向に対して上方と下方の一方側へ傾斜しかつ上記ガタ除去用ローラを回転可能に支持する左右一対の端部傾斜部と、を有し、
さらに上記付勢部材が、左右の上記端部傾斜部の間に位置しながら上記一方側から左右の上記端部傾斜部に対して接触する弾性変形部を有する車両用スライドレール装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の車両用スライドレール装置において、
上記ガタ除去部材接触面が上記ローラ支持面の上方に位置し、
上記付勢部材が上記支持を上方に押圧し、
上記付勢部材の上面に、上記支持が前後移動を規制された状態で上方から係合する支持用凹部を凹設した車両用スライドレール装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の車両用スライドレール装置において、
上記アッパレールに対して着脱可能かつ装着することにより該アッパレールに対して固定される上記ブラケットによって、上記付勢部材の少なくとも前後二カ所を支持した車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートをスライド可能に支持する車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は車両用スライドレール装置の従来例であり、前後方向に延びるチャンネル状のロアレールと、ロアレールの内部空間に挿入したアッパレールと、アッパレールに設けた複数のローラと、を備えている。
ロアレールは、水平な底板部と、底板部の両側部から上方に延びる左右一対の側壁部と、左右の側壁部の上端から水平内向きに延びる左右一対の天井壁部と、を具備している。
【0003】
アッパレールの前後両端部には、アッパレールから前方と後方にそれぞれ突出する前後一対かつ互いに前後対称をなす支持アーム(第一ブラケット)がそれぞれ固定してある。前後の支持アームは、アッパレールよりも前方又は後方に位置しかつ上方に向かって延びるガイド突起を有している。前後の支持アームのガイド突起には、軸線が上下方向に延びる圧縮コイルバネを介してカバー体(第二ブラケット)が上下動可能に支持してある。さらに前後のカバー体には、左右方向に延びかつカバー体を左右方向に貫通する軸体(回転軸)が支持してあり、軸体の左右両端部には左右一対の副ローラ(ガタ除去用ローラ)が回転可能に装着してある。
【0004】
支持アーム、圧縮コイルバネ、及びカバー体等を介して副ローラと一体化したアッパレールをロアレールの内部空間に挿入すると、上記各ローラがロアレールの底板部の上面に対して回転可能に接触する。そのためアッパレールは各ローラを回転させることによりロアレールに対して前後方向にスライド可能である。
また底板部から上方に離間する各副ローラが、圧縮コイルバネを圧縮方向に弾性変形させながら対応する天井壁部に対して下方から接触する。このように圧縮コイルバネによって上方に移動付勢された各副ローラが各天井壁部に対して回転可能に接触するので、アッパレールは上下方向にガタつくことなくロアレールに対して前後方向にスライド可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−69694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両用スライドレール装置では、軸線が上下方向に延びる圧縮コイルバネにカバー体(第二ブラケット)を支持し、このカバー体で軸体(回転軸)を支持している。
しかしカバー体を設けると、車両用スライドレール装置の部品点数が多くなり、その結果、車両用スライドレール装置の構造が複雑になってしまう。
【0007】
本発明は、部品点数が少ない簡単な構造でありながらガタ除去部材によってアッパレールのロアレールに対する上下方向のガタつきを防止可能な車両用スライドレール装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用スライドレール装置は、内面にローラ支持面及び該ローラ支持面の上方または下方に位置する左右一対のガタ除去部材接触面を具備する、前後方向に延びるチャンネル状をなすロアレールと、該ロアレールの内部空間に挿入した、該ロアレールに対して前後方向に相対移動可能なアッパレールと、上記アッパレールと一緒に上記ロアレールに対して前後方向に相対移動可能であり、左右方向の回転軸回りに回転可能として上記ローラ支持面に対して接触する複数のローラと、上記アッパレールと一緒に前後方向に移動可能かつ該アッパレールに対して上下方向に相対移動可能であり、左右の上記ガタ除去部材接触面に対して接触可能な左右一対のガタ除去部材と、左右の上記ガタ除去部材を挿通して支持する支持部材と、該支持部材と直接接触しかつ該支持部材を上方又は下方に付勢することにより、上記ガタ除去部材を対応する上記ガタ除去部材接触面に接触させる、上記アッパレール又は該アッパレールに支持されるブラケットに対して取り付けられる付勢手段と、を備え、上記支持部材である一つの支持軸を、上記付勢手段である一つの付勢部材によって上記アッパレールに対して相対移動可能に支持することを特徴としている。
【0009】
上記付勢部材が、少なくとも前後二カ所を上記アッパレール又は上記ブラケットによって支持されかつ上下方向に弾性変形しながら上記支持を上方又は下方に直接押圧する、全体形状が前後方向に延びる形状である線バネ又は板バネであってもよい。
【0010】
上記ガタ除去部材が、上記支持に対して回転可能かつ上記ガタ除去部材接触面に対して回転しながら接触可能なガタ除去用ローラであってもよい。
この場合、左右の上記ガタ除去部材接触面の上記ガタ除去用ローラが接触する部位が、互いに左右対称でかつ水平方向に対して傾斜する傾斜面であってもよい。
さらに上記支持が、左右方向に延びる中央水平部と、該中央水平部の両端部から水平方向に対して上方と下方の一方側へ傾斜しかつ上記ガタ除去用ローラを回転可能に支持する左右一対の端部傾斜部と、を有し、さらに上記付勢部材が、左右の上記端部傾斜部の間に位置しながら上記一方側から左右の上記端部傾斜部に対して接触する弾性変形部を有してもよい。
【0011】
上記ガタ除去部材接触面が上記ローラ支持面の上方に位置し、上記付勢部材が上記支持を上方に押圧し、上記付勢部材の上面に、上記支持が前後移動を規制された状態で上方から係合する支持用凹部を凹設してもよい。
【0012】
上記アッパレールに対して着脱可能かつ装着することにより該アッパレールに対して固定される上記ブラケットによって、上記付勢部材の少なくとも前後二カ所を支持してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、付勢手段によって付勢されたガタ除去部材がロアレールのガタ除去部材接触面に対して接触するので、アッパレールのロアレールに対する上下方向のガタつきを防止可能である。
さらに付勢手段によって(ガタ除去部材を回転可能に支持する)支持部材を上方又は下方に直接押圧(直接接触しながら付勢)している。従って、車両用スライドレール装置の部品点数を少なくし、車両用スライドレール装置の構造を簡単にすることが可能である。
【0014】
請求項2の発明では付勢手段を全体形状が前後方向に延びる形状である線バネ又は板バネによって構成しているので、付勢手段によって(ガタ除去部材を回転可能に支持する)支持部材を上方又は下方に直接押圧(付勢)するのが容易である。そのため特許文献1のカバー体(第二ブラケット)に相当するブラケットを省略しても、付勢手段によって支持部材を安定した状態で支持可能である。従って、車両用スライドレール装置の部品点数を少なくし、車両用スライドレール装置の構造を簡単にすることが可能である。
【0015】
請求項3の発明のように構成すると、アッパレールのロアレールに対する上下方向のガタつきをより確実に防止できるようになる。
【0016】
請求項4の発明のように構成すると、ガタ除去用ローラが傾斜面に対して接触するので、アッパレールのロアレールに対する上下方向及び左右方向のガタつきを防止できる。
【0017】
請求項5の発明のように構成すると、支持部材のアッパレールに対する左右方向の相対移動を付勢手段によって規制できるので、左右のガタ除去部材を左右のガタ除去部材接触面に対してより確実に接触させることが可能になる。
【0018】
請求項6の発明のように構成すると、支持部材のアッパレールに対する前後方向の相対移動を規制できるので、左右のガタ除去部材を左右のガタ除去部材接触面に対してより確実に接触させることが可能である。
【0019】
請求項7の発明のように構成すると、付勢手段のアッパレールへの装着が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態の車両用スライドレール装置の側面図である。
図2】左側のレールユニットの斜視図である。
図3】右側のレールユニットの斜視図である。
図4】左側のアッパレールユニットの斜視図である。
図5】左側のレールユニットの分解斜視図である。
図6】前側ローラユニットの分解斜視図である。
図7】前側ローラユニットの斜視図である。
図8】アッパレールの下方から見た斜視図である。
図9】左側のアッパレールユニットのアッパレールの前端部を破断して示す斜視図である。
図10図1のX−X矢線に沿う断面図である。
図11図1のXI−XI矢線に沿う断面図である。
図12】ロック状態にあるときの左側のアッパレールユニットの側面図である。
図13】アンロック状態にあるときの左側のアッパレールユニットの側面図である。
図14図1のXIV−XIV矢線に沿う断面図である。
図15図1のXV−XV矢線の位置で切断したロアレールの断面図である。
図16図1のXV−XV矢線に沿うロアレール及びアッパレールの断面図である。
図17】変形例の図11に類似する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて図1から図16を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の方向は図中に記載した矢線方向を基準とする。
図示を省略した自動車(車両)の車内床面にはスライドレール装置110が設けてある。スライドレール装置110は大きな構成要素として左右一対のレールユニット112を備えており、左右のレールユニット112(アッパレールユニット125)の上面にはシート(図示略)が固定してある。
左右のレールユニット112は互いに左右対称な構造であるため、以下の説明では左側のレールユニット112の構造について詳細に説明する。右側のレールユニット112については、図3にその全体形状を図示するに止めてその構造についての詳細な説明は省略する。
【0022】
左側のレールユニット112はロアレール115とアッパレールユニット125からなるものである。
車内床面に対して固定した軽金属(例えばアルミニウム)製のロアレール115は前後方向に直線的に延び、かつ前後両端と上面(左右の天井構成部119の間)が開口したチャンネル材である。ロアレール115の横断面形状は左右対称である。ロアレール115は、車内床面に固定される固定部116と、左右の固定部116の外側縁部から上方に延びる一対の側壁部118と、左右の側壁部118の上縁部から互いに近づく方向に延びる一対の天井構成部119と、を具備している。固定部116の上面(内面)には、共に水平面からなりかつ両者の間に凹部が形成された左右一対のローラ支持面117が形成してある。左右の側壁部118の内面には斜め下方に向かって延びる浮上がり規制突条118aが突設してある。左右の天井構成部119の下面(内面)である天井面の側壁部118との接続部は、その内側端部が外側端部(側壁部118側の端部)より上方に位置する態様で水平方向に対して傾斜する傾斜面121(ガタ除去部材接触面)により構成してある(図10図11図14等を参照)。
このロアレール115は押出成形により製造したものであり、押出成形後に左右の天井構成部119に対して多数のロック孔122を前後方向に並べて穿設し、さらに左右の側壁部118の前後両端近傍に対して貫通孔118bを穿設している。そのためロアレール115の各長手方向位置における断面形状はロック孔122と貫通孔118bの有無を除いてほぼ同一である。各ロック孔122の平面形状は前後方向に長い矩形であり、各ロック孔122は天井構成部119を上下方向に貫通している。各貫通孔118bには前側ストッパピン123と後側ストッパピン124が固定状態で挿入してある。
【0023】
さらに図15図16(他図では図示略)に示すようにロアレール115の左右の天井構成部119の上面には、樹脂製(弾性材料製)の前後方向に延びる長尺状板状部材である左右一対の長尺リップ材120の外側縁部が接着剤等によって固定してある。左右の長尺リップ材120はロアレール115の全長に渡って延びており、左右の長尺リップ材120の内側縁部(対向縁部)どうしの間にはスリット(隙間)が形成してある。さらに左右の長尺リップ材120が自由状態(図15の状態)にあるとき、左右の長尺リップ材120の内側縁部は左右の天井構成部119間のスリット(隙間)と同じ左右方向位置に位置する(図15参照)。
【0024】
アッパレールユニット125は大きな構成要素としてアッパレール126、側部ブラケット144(ウェルドナット144a)、リベット145、後側支持ブラケット146、前側支持ブラケット147(ウェルドナット147a)、リベット148、ロックユニット150、ロック操作部材160、引張バネ170、前側ローラユニット175、及び後側ローラユニット195を有している。
アッパレール126は、軽金属(例えばアルミニウム)製の押出成形品である。アッパレール126は、下端部を構成する中空部127と、中空部127の上面の幅方向の中央部から上方に延びる支持壁138と、支持壁138の左右両側面から側方にそれぞれ延びる一対の水平突条142と、を備えている。中空部127は正面形状(断面形状)が略方形をなす左右一対の全長貫通孔128(ブラケット取付孔)と、左右の全長貫通孔128の間に位置しかつ支持壁138の下端部と連続する仕切壁129と、を有している。さらに中空部127の左右両側面の下端部には斜め上方に向かって突出する浮上がり時係合突条130が設けてある。中空部127の上壁及び下壁の前端近傍及び後端近傍には左右の全長貫通孔128とそれぞれ連通するローラ挿入孔132が穿設してある。上壁に設けたローラ挿入孔132と下壁に設けたローラ挿入孔132は互いに上下方向に対向している。さらに中空部127の左右両壁部及び仕切壁129のローラ挿入孔132と同じ前後方向位置には軸支持孔133が貫通孔として形成してある(図5図10参照)。また中空部127の前後のローラ挿入孔132より中空部127の長手方向の中央部側に位置する部位には、中空部127及び支持壁138の下端部を左右方向に貫通するガタ除去用ローラ挿入孔135が形成してある。さらに中空部127の長手方向の中央部近傍には、左右両側壁及び左右の上壁に跨るように設けた下側ロック片貫通孔136が前後方向に並べて三つずつ穿設してある。
支持壁138の中央近傍部には側面視略方形のロックユニット設置孔139が貫通孔として形成してある。さらにロックユニット設置孔139の底面には支持壁138の下部(ロックユニット設置孔139より下方に位置する部分)及び仕切壁129を上下方向に貫通するロックピン案内孔140が前後一対として形成してある(図5図8図14参照)。
左右の水平突条142には、中空部127の左右の下側ロック片貫通孔136とそれぞれ上下方向に対向する上側ロック片貫通孔143が前後方向に並べて三つずつ穿設してある。
アッパレール126は押出成形品であるため、押出成形直後においてはアッパレール126の各長手方向位置における断面形状は同一である。しかし押出成形後にローラ挿入孔132、軸支持孔133、ガタ除去用ローラ挿入孔135、下側ロック片貫通孔136、ロックユニット設置孔139、ロックピン案内孔140、上側ロック片貫通孔143、支持壁138に形成した(ロックユニット設置孔139とは別の)多数の円形貫通孔を穿設加工し、さらに支持壁138及び水平突条142の外形を図示形状に加工するため、アッパレール126の各長手方向位置における断面形状は同一ではない。
【0025】
アッパレール126の支持壁138の後部の左右両面には、共に高強度金属(例えば鉄)製かつ互いに左右対称をなす左右一対の側部ブラケット144が複数のリベット145を介して固定してある。左右の側部ブラケット144の後端部にはウェルドナット144aが溶接により固定してあり、ウェルドナット144aの雌ネジ孔は側部ブラケット144の後端部に形成した貫通孔と連通している。さらに左右の側部ブラケット144の上面には高強度金属(例えば鉄)製の後側支持ブラケット146が溶接により固定してある。
支持壁138の前部の左側面には、高強度金属(例えば鉄)製の前側支持ブラケット147が複数のリベット148を介して固定してある。前側支持ブラケット147の前端部にはウェルドナット147aが溶接により固定してあり、ウェルドナット147aの雌ネジ孔は前側支持ブラケット147の前端部に形成した貫通孔と連通している。また前側支持ブラケット147の後端部にはバネ係止用凹部147bが形成してある。
さらに支持壁138の左側面には、側部ブラケット144の直前に位置するストッパピン149が設けてある。ストッパピン149は支持壁138から左側に向かって水平方向に延びている。
【0026】
アッパレール126にはロックユニット150が取り付けてある。ロックユニット150は、ロック部材151と、連結部材154と、連係ピン156と、ロックピン157と、を有している。
高強度金属(例えば鉄)製のロック部材151は断面略逆U字形をなす部材であり、左右両側部に前後に並ぶ三つのロック片152を備えている。
ロック部材151の天井部の上面には高強度金属(例えば鉄)製の連結部材154が載置してある。連結部材154に設けた上方に延びる突片にはピン支持孔155が穿設してある。このピン支持孔155には左右方向に延びる円柱形状の連係ピン156の右端部が固定状態で嵌合している。さらにロック部材151の天井部に形成した前後一対の貫通孔及び連結部材154の底面に形成した前後一対の貫通孔には、上下方向に延びる前後一対の高強度金属(例えば鉄)製のロックピン157の上部が下方から嵌合してあり、各ロックピン157の上端部が連結部材154に対してかしめてある。そのためロック部材151、連結部材154、及び前後のロックピン157は互いに固定状態で一体化している。
ロック部材151、連結部材154、及びロックピン157を備えるロックユニット150は、ロック部材151の天井部及び連結部材154をロックユニット設置孔139内に位置させた状態で前後のロックピン157の下部を上方から前後のロックピン案内孔140に対して上下方向にスライド可能に挿入することにより、アッパレール126に対して上下動可能に装着してある。ロックユニット150はアッパレール126に対して図1−4、図9図12、及び図14の実線で示すロック位置と、図13の実線及び図14の仮想線で示すアンロック位置と、に移動可能である。図14等に示すように、ロックユニット150がロック位置に位置するとき左右のロック片152は左右の上側ロック片貫通孔143及び下側ロック片貫通孔136に対して挿入しており、ロックユニット150がアンロック位置に位置するとき左右のロック片152は左右の上側ロック片貫通孔143及び下側ロック片貫通孔136から上方に脱出する。
【0027】
支持壁138の左右両側面には、ロックユニット設置孔139の前後に位置する計4つのリップ持上げ部材158が接着剤等によって固定してある。
リップ持上げ部材158は樹脂製であり、その断面形状は略直角三角形である(図16等を参照)。ロックユニット設置孔139の前側に位置する左右のリップ持上げ部材158同士及びロックユニット設置孔139の後側に位置する左右のリップ持上げ部材158同士は互いに左右対称であり、さらに左側に位置する前後のリップ持上げ部材158同士及び右側に位置する前後のリップ持上げ部材158同士は互いに前後対称である。各リップ持上げ部材158の外側面には持上げ用傾斜面159が形成してある。
【0028】
支持壁138の左側面には高強度金属(例えば鉄)製のロック操作部材160が配設してある。ロック操作部材160の中央部を貫通しかつ支持壁138に固定した回転支持ピン166によって、ロック操作部材160を支持壁138に対して回転支持ピン166回りに回転可能として支持している。ロック操作部材160の後端部には被押圧片161が形成してあり、被押圧片161の直前にはストッパ当接部162が形成してある。ロック操作部材160の中央部から左方向に延びる突片にはバネ係止用凹部163が形成してあり、ロック操作部材160の前端部には連係長孔164が穿設してある。連係長孔164には連係ピン156の左端近傍部が、連係長孔164の長手方向に相対移動可能かつ連係ピン156の軸線回りに相対回転可能に係合している。即ち、ロック操作部材160は連係ピン156を介してロックユニット150(連結部材154)と連係している。
ロック操作部材160はストッパ当接部162がストッパピン149から上方に離間するロック許容位置(図1−4、図9、及び図12の位置)と、ストッパ当接部162が上方からストッパピン149に当接するロック解除位置(図13の位置)と、の間を支持壁138に対して回転可能である。そしてロック操作部材160がロック許容位置に位置するときロックユニット150はロック位置に位置し、ロック操作部材160がロック解除位置に位置するときロックユニット150はアンロック位置に位置する。
図示するようにロック操作部材160のバネ係止用凹部163と前側支持ブラケット147のバネ係止用凹部147bの間には引張バネ170(ロック方向付勢手段)の両端が係止してあり、引張バネ170からロック操作部材160と前側支持ブラケット147に対して常に引っ張り力が及んでいる。そのため引張バネ170以外の力(例えば人の手による操作力)がロック操作部材160に掛からないとき、引張バネ170の付勢力によって、ロック操作部材160がロック許容位置に位置しロックユニット150がロック位置に位置する。
またアッパレール126には平面視略U字形をなすロック操作レバー(図示略)の左側部が回転可能に支持してある(このロック操作レバーの右側部は、右側のアッパレール126に対して回転可能に支持してある)。このロック操作レバーの左側部は、ロック操作部材160の被押圧片161に対して上方から常に当接している(ロック操作レバーの右側部は、右側のアッパレール126のロック操作部材160の被押圧片161に対して上方から常に当接している)。ロック操作レバーは初期位置と解除操作位置の間を回転可能である。ロック操作レバーは外力を与えないときは初期位置に位置する。ロック操作レバーが初期位置に位置するときは、ロック操作レバーから被押圧片161に力が及ばないので、ロック操作部材160はロック許容位置に位置する。一方、ロック操作レバーが解除操作位置まで回転すると、ロック操作レバーから被押圧片161に力が及ぶので、ロック操作部材160が引張バネ170の付勢力に抗してロック解除位置まで回転する。
【0029】
アッパレール126の前部に対して着脱可能な前側ローラユニット175は大きな構成要素として、ローラ支持ブラケット176、軸支持バネ186(付勢手段)、ローラ190、ローラ支持軸191、192、及びガタ除去用ローラ193(ガタ除去部材)を具備している。
樹脂材料からなる一体成形品であるローラ支持ブラケット176(ブラケット)は平面視略U字形かつ左右対称な部材である。即ちローラ支持ブラケット176は、その前端部を構成しかつ左右方向に延びる端部構成部177と、端部構成部177の左右両端部から後方に向かって延びる左右一対の側部構成部178と、を有している。左右の側部構成部178の長手方向の中央部には、その前後に比べて上方に突出した中央突部179(ローラ支持軸対向部)が設けてあり、左右の中央突部179の上面にはその軸線が同軸をなす軸遊嵌溝180が凹設してある。左右の側部構成部178の後端面には、その軸線が同軸をなす後端係止溝181が凹設してある。また左右の側部構成部178の上面には中央突部179の直前に位置する軸挿通用凹部182が形成してある。さらに端部構成部177の左右両側面には、端部構成部177の一部をなす圧接用突部183が突設してある。また端部構成部177の上面には左右一対の前部係止溝184が設けてある。
軸支持バネ186は金属線材を図示形状に加工した、全体形状が前後方向に延びる形状である線バネである。軸支持バネ186は、その前端部を構成しかつ左右方向に延びる端部構成片187と、端部構成片187の左右両端部から後方に向かって延びる(前後方向に延びる)左右一対の側部構成片188(弾性変形部)と、左右の側部構成片188の後端部から互いに離れる方向に延びる左右一対の端部係止片189と、を有している。左右の側部構成片188の長手方向の中央部は、側部構成片188のその他の部位と比べて側方に突出した広幅部188aによって構成してあり、各広幅部188aの上面には下方に凹んだ軸支持用凹部188bが形成してある。軸支持バネ186は、左右の広幅部188aをローラ支持ブラケット176の左右の中央突部179の外側に位置させた状態で左右の側部構成片188の前端近傍部を左右の前部係止溝184に対して係合し、さらに左右の端部係止片189を左右の後端係止溝181に対して係合させることにより、ローラ支持ブラケット176に対して実質的に不動状態で取り付けてある。このようにして軸支持バネ186をローラ支持ブラケット176に取り付けると、左右の広幅部188aは上下方向に弾性変形可能となる。
【0030】
このようにして一体化したローラ支持ブラケット176及び軸支持バネ186は、アッパレール126の前方から左右の全長貫通孔128の前部に対して挿入可能である。端部構成部177の後面が仕切壁129の前端面に当接するまで左右の側部構成部178及び左右の側部構成片188を左右の全長貫通孔128に挿入すると、左右の圧接用突部183が圧縮方向に弾性変形しながら左右の全長貫通孔128の内面(側面)に圧接するので、意図的にローラ支持ブラケット176を前方に引き出さない限りローラ支持ブラケット176及び軸支持バネ186は左右の全長貫通孔128の内部に留まる(固定される)。さらにこのようにしてローラ支持ブラケット176及び軸支持バネ186を左右の全長貫通孔128に挿入すると、左右の軸遊嵌溝180がガタ除去用ローラ挿入孔135の内部に位置し(図9図10参照)かつ左右の軸挿通用凹部182の前後方向位置が前側の各軸支持孔133の前後方向位置と一致する(図10参照)。
この状態で左右一対のローラ190を中空部127の前部に形成した上下のローラ挿入孔132を通して、その下端部が下方のローラ挿入孔132から下方に突出する状態で左右の全長貫通孔128内に挿入可能である。ローラ190の外周面はローラ190の中心軸を中心とする円筒面である。左右のローラ190の中心に形成した貫通孔を前側の各軸支持孔133と同軸状態にした上で、中空部127の外側から金属製かつ直線状のローラ支持軸191を中空部127の各軸支持孔133及び左右のローラ190の中心の貫通孔に対して挿入すると、ローラ支持軸191が各軸支持孔133に対して圧入され(相対回転不能かつ軸支持孔133に対して前後方向及び上下方向に移動不能となり)左右のローラ190がローラ支持軸191回りに相対回転可能となる。さらにローラ支持軸191はローラ支持ブラケット176の左右の軸挿通用凹部182と軸支持バネ186の左右の側部構成片188の下面の間に位置し(ローラ支持軸191が軸挿通用凹部182に遊嵌し)、さらに端部構成部177と中央突部179の間に位置する(中央突部179と前後方向に対向する)。
さらに中空部127の前側のガタ除去用ローラ挿入孔135に対して側方からローラ支持軸192(支持部材)を挿入可能である。このローラ支持軸192は左右対称であり、その中央部を構成しかつ左右方向に延びる中央水平部192aと、中央水平部192aの両端部から中央水平部192aに対して傾斜しながら延びる一対の端部傾斜部192bと、を備えている。ガタ除去用ローラ挿入孔135に対してローラ支持軸192を挿入すると、水平状態の中央水平部192aの下部が左右の軸遊嵌溝180の内周面から上方に離間しかつ中央水平部192aがローラ支持軸191より上方に位置する。この状態で左右の端部傾斜部192bを斜め下方に向けると、左右の端部傾斜部192bが左右の軸支持用凹部188bに対して前後動を規制された状態で上方から係合する(図11参照)。さらにこの状態で左右の端部傾斜部192bに対して中空部127の外側から左右一対のガタ除去用ローラ193の中心に形成した貫通孔を回転可能かつ抜け止めした状態で嵌合可能である。このようにして左右のガタ除去用ローラ193を端部傾斜部192bに装着すると、左右のガタ除去用ローラ193の上端部は中空部127(ガタ除去用ローラ挿入孔135)から斜め上方に突出する(図4図11−13参照)。このガタ除去用ローラ193の外周面の断面形状は円弧形状である。軸支持バネ186の左右の側部構成片188(広幅部188a)は上下方向に弾性変形可能であり、左右の軸支持用凹部188bによってローラ支持軸192の端部傾斜部192bを下方から支持している(軸支持用凹部188bが端部傾斜部192bを上方へ直接押圧している)ので、左右のガタ除去用ローラ193はアッパレール126に対して上下方向に相対移動可能である。
ローラ支持ブラケット176、軸支持バネ186、ローラ190、ローラ支持軸191、192、及びガタ除去用ローラ193を有する前側ローラユニット175はこのようにしてアッパレール126の前部に対して装着される。なおアッパレール126の前部に対して装着した前側ローラユニット175は、左右のガタ除去用ローラ193を端部傾斜部192bから取り外した上でローラ支持軸192をガタ除去用ローラ挿入孔135から側方に引き抜き、ローラ支持軸191を中空部127の各軸支持孔133及び左右のローラ190の中心の貫通孔から引き抜いた上で左右のローラ190をローラ挿入孔132を通して中空部127の外側に引き抜いた後に、端部構成部177を手で摘みながらローラ支持ブラケット176及び軸支持バネ186を中空部127から前方に引き出すことによりアッパレール126から取り外すことが可能である。
【0031】
後側ローラユニット195は前側ローラユニット175と前後対称であり、ローラ支持ブラケット176、軸支持バネ186、ローラ190、ローラ支持軸191、192、及びガタ除去用ローラ193を具備している。この後側ローラユニット195は前側ローラユニット175と同様の要領によってアッパレール126の後部(左右の全長貫通孔128の後部)に対して着脱可能である。
このようにアッパレール126に対して側部ブラケット144(ウェルドナット144a)、リベット145、後側支持ブラケット146、前側支持ブラケット147(ウェルドナット147a)、リベット148、ロックユニット150、ロック操作部材160、引張バネ170、前側ローラユニット175、及び後側ローラユニット195を組み付けることにより左側のアッパレールユニット125が完成する。
図示するようにアッパレール126を側方から見たときに、ローラ190、ガタ除去用ローラ193、及び軸支持バネ186はその全体がアッパレール126の前端と後端の間に位置する(これらの部材がアッパレール126から前方や後方に突出しない)。
【0032】
前側ストッパピン123と後側ストッパピン124のいずれか一方を左側のロアレール115に対して取り付ける前に、左側のロアレール115の一方の開口端部(前側ストッパピン123又は後側ストッパピン124が取り外されている側の端部)から左側のロアレール115の内部空間にアッパレールユニット125を挿入し、挿入した後に前側ストッパピン123又は/及び後側ストッパピン124をロアレール115に固定することにより左側のレールユニット112が完成する。
図10及び図11に示すように、支持壁138の水平突条142より下方に位置する部分を左右の天井構成部119の間の隙間に位置させながら中空部127をロアレール115内に挿入すると、左右のローラ190が左右のローラ支持面117に対して載置され(図10参照)かつ左右の浮上がり時係合突条130が左右の浮上がり規制突条118aの直下に位置する。またローラ支持軸192の左右の端部傾斜部192bの軸線が左右の傾斜面121とそれぞれ略平行となり、左右の傾斜面121に対して左右のガタ除去用ローラ193の外周面の幅方向の中央部が、その内側端部(ローラ支持軸192の中央水平部192a側の端部)が外側端部(側壁部118側の端部)より上方に位置する態様(左右のガタ除去用ローラ193が逆「ハ」の字形をなす態様)で接触する(図10参照)。さらに左右のガタ除去用ローラ193が傾斜面121から受ける反力が端部傾斜部192bを介して軸支持バネ186の左右の軸支持用凹部188bに伝わるので、左右の広幅部188aが下向きに僅かに弾性変形する。その結果、左右の広幅部188aが上向きの弾性力を発生するので、左右のガタ除去用ローラ193の外周面の幅方向の中央部が左右の傾斜面121に対して圧接する。
また、ローラ支持軸192の左右の端部傾斜部192bに対して軸支持バネ186の左右の軸支持用凹部188bが内側から当接しているので、ローラ支持軸192のローラ支持ブラケット176(アッパレール126)に対する左右方向の相対移動が規制されている。さらに左右の軸支持用凹部188bが対応する端部傾斜部192bの前後動を規制している。そのため、左右のガタ除去用ローラ193を左右の傾斜面121に対して確実に接触させることが可能である。
【0033】
さらに図16に示すようにアッパレールユニット125の左右の水平突条142が左右の長尺リップ材120より下方に位置し、アッパレールユニット125の左右のリップ持上げ部材158(持上げ用傾斜面159)が下方から左右の長尺リップ材120を上方に持ち上げる。そのため左右の長尺リップ材120の内側部分の各持上げ用傾斜面159と対応する部分(及びロックユニット設置孔139と左右方向に対向する部分)は、その他の部位よりも上方に位置する。そのためロックユニット150(ロック部材151)がアンロック位置に位置するときに、左右の長尺リップ材120の内側縁部がロック部材151の各ロック片152の下端と水平突条142の上面の間に入り込むことがない。即ち、一旦アンロック位置まで移動させたロック部材151をロック位置に戻そうとしたときに、(ロック部材151の各ロック片152の下端と水平突条142の上面の間に入り込んだ)長尺リップ材120の内側縁部によってロック部材151のロック位置への移動が妨げられることがない。
【0034】
左右のレールユニット112のロアレール115は両者の前端位置どうし(及び後端位置どうし)の位置を一致させた状態で、その固定部116を車内床面に対して固定する。さらに互いの前後方向位置を一致させた左右のアッパレールユニット125の後側支持ブラケット146及び前側支持ブラケット147にはシート(図示略)のシートクッションの下面の左右両側部が載置してあり、シートクッションの下面側に設けた6本のボルトを(後側支持ブラケット146及び前側支持ブラケット147に形成した上記貫通孔を貫通させた上で)対応するウェルドナットウェルドナット144a、147aに螺合することにより、シート(シートクッション)を左右のアッパレールユニット125に固定している。
【0035】
ロック操作レバーが上記初期位置に位置することにより、左右のアッパレールユニット125のロック操作部材160がロック許容位置に位置すると、図12及び図14の実線で示すように、ロック部材151の各ロック片152が上側ロック片貫通孔143及び下側ロック片貫通孔136に挿入しながら対応するロック孔122に係合する。その結果、アッパレールユニット125のロアレール115に対する前後動が規制される。
このロック状態においてアッパレールユニット125を無理矢理ロアレール115に対して前後方向に移動させようとすると、各ロック片152がロック孔122の内面に衝突し、ロック孔122から力を受けた各ロック片152が上側ロック片貫通孔143及び下側ロック片貫通孔136に衝突する。しかしこのとき各ロック片152は上側ロック片貫通孔143及び下側ロック片貫通孔136によって両持ちされた状態になるので、各ロック片152が変形してロック孔122から不意に脱出することはない。即ち、ロアレール115のロック孔122とアッパレールユニット125のロックユニット150によるロック状態は極めて強固である。
【0036】
一方、ロック操作レバーを初期位置から解除操作位置へ回転させて、ロック許容位置に位置するロック操作部材160をロック解除位置側へ移動させると、ロックユニット150がアンロック位置へ移動し左右のロック片152が左右の上側ロック片貫通孔143、下側ロック片貫通孔136、及びロック孔122から上方に脱出する(図13の実線及び図14の仮想線参照)。
そのため、左右のアッパレールユニット125(シート)を左右のロアレール115に対して前方又は後方に押圧すると、各ローラ190が対応するローラ支持面117上を転動し、アッパレールユニット125がロアレール115に対して前方又は後方にスライドする。
またアッパレールユニット125がロアレール115に対して前後方向にスライドしているときに(さらにロック状態においても)アッパレールユニット125に対して上向きの外力が掛かると、アッパレール126の左右の浮上がり時係合突条130がロアレール115の左右の浮上がり規制突条118aに対して下方から衝突する。そのため、アッパレールユニット125のロアレール115に対するそれ以上の浮き上がりが規制される。
【0037】
さらに、アッパレールユニット125がロアレール115に対して前方又は後方にスライドすると、後側ローラユニット195及び前側ローラユニット175の各ガタ除去用ローラ193が天井構成部119の傾斜面121に接触しながら端部傾斜部192b回りに回転するので、左右のアッパレールユニット125のスライド動作中に後側ローラユニット195及び前側ローラユニット175が対応するロアレール115に対して左右方向及び上下方向にガタつくのが規制される。しかも、ガタ除去用ローラ193の外周面の断面形状は円弧形状であるため、ガタ除去用ローラ193の傾斜面121に対する追従性は良好である。そのため、左右のアッパレールユニット125を各ロアレール115に対して円滑にスライドさせることが可能である。
【0038】
しかも本実施形態ではアッパレールユニット125のロアレール115に対する上下方向及び左右方向のガタつきを防止するための手段を、ロアレール115とガタ除去用ローラ193を利用した簡単な構造により構成しているので、製造コストを小さくすることが可能である。
さらに全体形状が前後方向に延びる形状である線バネによって軸支持バネ186を構成しているので、軸支持バネ186によって(ガタ除去用ローラ193を回転可能に支持する)ローラ支持軸192を直接支持しながら上方に直接押圧(直接接触しながら付勢)することが容易である。そのため特許文献1のカバー体(第二ブラケット)に相当するブラケットを省略しても、軸支持バネ186によってローラ支持軸192を安定した状態で支持可能である。従って、スライドレール装置110の部品点数を少なくし、スライドレール装置110の構造を簡単にすることが可能である。
さらに(ガタ除去用ローラ193を支持する)ローラ支持軸192を上方に付勢する付勢手段である軸支持バネ186を、全体形状が前後方向に延びる形状である軸支持バネ186によって構成している。即ち、軸支持バネ186の長手方向がアッパレール126の長手方向(前後方向)と同じなので、軸支持バネ186は(自身の前後二カ所をローラ支持ブラケット176によって支持された状態で)アッパレール126の内部に取り付けるのが容易である。そのためアッパレール126を側方から見たときに、ローラ190、ガタ除去用ローラ193、及び軸支持バネ186の全体がアッパレール126の前端と後端の間に位置するように、前側ローラユニット175及び後側ローラユニット195をアッパレール126に装着することが可能である(容易である)。従って、ロアレール115の全長を長くすることなくアッパレール126のスライド可能範囲を長くすることが可能である。
また、前側ローラユニット175の端部構成部177の後面が仕切壁129の前端面に当接しかつ後側ローラユニット195の端部構成部177の前面が仕切壁129の後端面に当接し、さらにアッパレール126(軸支持孔133)に対する相対移動を規制された前後のローラ支持軸191が前後のローラ支持ブラケット176の軸挿通用凹部182に遊嵌して中央突部179と前後方向に対向するので、前後の軸支持バネ186及びローラ支持軸192のアッパレール126に対する左右方向及び前後方向の相対移動を規制できる。そのため前側ローラユニット175及び後側ローラユニット195の左右のガタ除去用ローラ193を左右の傾斜面121に対して確実に接触させることが可能になる。
【0039】
アッパレールユニット125がロアレール115に対して所望の位置までスライドした後に、解除操作位置へ移動させたロック操作レバーを初期位置へ回転復帰させると、引張バネ170の付勢力によってロック解除位置に位置していたロック操作部材160がロック許容位置側へ回転し、さらにアンロック位置に位置していたロックユニット150がロック位置に復帰する。その結果、アッパレールユニット125のロアレール115に対する前後動が規制される。
【0040】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば図17に示す態様で実施することが可能である。この変形例ではローラ支持軸192’全体が水平方向に延びる直線形状であり、ローラ支持軸192’の左右両端部にガタ除去用ローラ193’(ガタ除去部材)を回転可能に支持している。ガタ除去用ローラ193’の外周面はローラ支持軸192の軸線を中心とする円錐の一部をなしかつ傾斜面121と平行な面である。このガタ除去用ローラ193’も、左右のアッパレールユニット125がロアレール115に対してスライドしたときに、ロアレール115の左右の傾斜面121に接触しながらローラ支持軸192’回りに回転する。
そのため図17の変形例も上記実施形態と同様の作用効果を発揮可能である。
【0041】
またロアレール115の内面の下部に(上記実施形態の傾斜面121と上下対称をなす)傾斜面121を形成しかつロアレール115の内面の上部(傾斜面121より上方)にローラ支持面117を形成し、各ローラ190を上方に位置するローラ支持面117に接触させかつ各ガタ除去用ローラ193を下方に位置する傾斜面121に接触させてもよい。この場合は、ローラ支持軸192の左右の端部傾斜部192bを上方に傾けた上で軸支持バネ186の左右の(側部構成片188の下面に凹設した)軸支持用凹部188bによって左右の端部傾斜部192bを下向きに付勢する。
【0042】
さらにロアレール115の横断面形状は完全な左右対称でなくてもよく略左右対称であればよい。そのため、例えば左右の傾斜面121の傾斜角度が互いに多少異なっていてもよい。
さらにロアレール115のローラ支持面117を単一の水平部により構成し、この水平部の左側と右側(左右方向の中央部を除いた部分)に一対の「ローラ支持面」を構成してもよい。
また後側ローラユニット195や前側ローラユニット175に設けたローラとガタ除去用ローラの一方又は両方を、ロアレール115の内面に対して回転不能かつ摺動可能に接触する接触部材(シュー)によって構成してもよい。
【0043】
スライドレール装置110からローラ支持ブラケット176を省略して、軸支持バネ186の少なくとも前後二カ所をアッパレールユニット125によって支持してもよい。
軸支持バネ186の三カ所以上をローラ支持ブラケット176やアッパレールユニット125で支持してもよい。
さらに(線バネではなく)上下方向に弾性変形可能な(板厚方向が上下方向である)板バネによって、上記した軸支持バネ186と全体形状がほぼ同一の軸支持バネを構成してもよい。
また軸線が上下方向に延びるコイルバネによって、軸支持バネ186の代わりの付勢手段を構成してもよい。
また軸支持バネ186に相当する付勢手段を、上下方向の付勢力を発揮可能な軟質の樹脂材(形状は問わない)によって構成してもよい。
また浮上がり規制突条118a及び浮き上がり時係合突条130とは別の構造の浮上がり抑制手段をロアレール115とアッパレールユニット125に設けても良い。
アッパレール126の前端と後端の一方のみに全長貫通孔128と仕切壁129を形成し、他方には前側ローラユニット175や後側ローラユニット195を設けなくても良い。
【符号の説明】
【0044】
110 スライドレール装置
112 レールユニット
115 ロアレール
116 固定部
117 ローラ支持面
118 側壁部
118a 浮上がり規制突条
118b 貫通孔
119 天井構成部
120 長尺リップ材
121 傾斜面(ガタ除去部材接触面)
122 ロック孔
123 前側ストッパピン
124 後側ストッパピン
125 アッパレールユニット
126 アッパレール
127 中空部
128 全長貫通孔(ブラケット取付孔)
129 仕切壁
130 浮き上がり時係合突条
132 ローラ挿入孔
133 軸支持孔
135 ガタ除去用ローラ挿入孔
136 下側ロック片貫通孔
138 支持壁
139 ロックユニット設置孔
140 ロックピン案内孔
142 水平突条
143 上側ロック片貫通孔
144 側部ブラケット
144a ウェルドナット
145 リベット
146 後側支持ブラケット
147 前側支持ブラケット
147a ウェルドナット
147b バネ係止用凹部
148 リベット
149 ストッパピン
150 ロックユニット
151 ロック部材
152 ロック片
154 連結部材
155 ピン支持孔
156 連係ピン
157 ロックピン
158 リップ持上げ部材
159 持上げ用傾斜面
160 ロック操作部材
161 被押圧片
162 ストッパ当接部
163 バネ係止用凹部
164 連係長孔
166 回転支持ピン
170 引張バネ
175 前側ローラユニット
176 ローラ支持ブラケット(ブラケット)
177 端部構成部
178 側部構成部
179 中央突部(ローラ支持軸対向部)
180 軸遊嵌溝
181 後端係止溝
182 軸挿通用凹部
183 圧接用突部(端部構成部)
184 前部係止溝
186 軸支持バネ(付勢手段、付勢部材
187 端部構成片
188 側部構成片(弾性変形部)
188a 広幅部
188b 軸支持用凹部
189 端部係止片
190 ローラ
191 ローラ支持軸
192 192’ ローラ支持軸(支持部材、支持軸
192a 中央水平部
192b 端部傾斜部
193 193’ ガタ除去用ローラ(ガタ除去部材)
195 後側ローラユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17