特許第6466400号(P6466400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6466400角度付内視鏡と共に用いるための統合されたプリズムを備える観察用トロカール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466400
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】角度付内視鏡と共に用いるための統合されたプリズムを備える観察用トロカール
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20190128BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   A61B1/00 T
   A61B1/00 730
   A61B17/34
【請求項の数】23
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-503177(P2016-503177)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-521142(P2016-521142A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】US2014029642
(87)【国際公開番号】WO2014145008
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/791,935
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ジェレミア・ディー
(72)【発明者】
【氏名】タルバート・ジョシュア・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クロール・ペリー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】デントン・マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・ジェイ・マイケル
【審査官】 森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−512959(JP,A)
【文献】 米国特許第05385572(US,A)
【文献】 米国特許第06508759(US,B1)
【文献】 国際公開第2008/079373(WO,A1)
【文献】 国際公開第94/010898(WO,A1)
【文献】 特開平09−075354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
A61B 13/00−18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡システムであって、
光を収集し集束するために構成された集光素子を備える内視鏡と、
窓を備え、前記内視鏡に動作可能に接続するように構成されたトロカールと、
前記窓を通して受光した光を前記集光素子に向けて進行方向に曲げるように構成された光屈折素子と、を含み、
前記集光素子が前記内視鏡の軸に横方向に延在している平面に対して角度を付けて配設されている、内視鏡システム。
【請求項2】
前記角度が前記内視鏡の軸に横方向に延在している前記平面に対して約30度である、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記窓が前記トロカールの遠位端部に位置する透明又は半透明の尖った先端を備える、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記進行方向が前記集光素子に対して実質的に垂直となるように、前記光屈折素子が角度を付けて配設されている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記光屈折素子がプリズムを備える、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記光屈折素子が前記トロカールに取り付けられている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔に取り外し可能に取り付けられている、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔と統合されている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記光屈折素子が前記内視鏡に取り外し可能に取り付けられている、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
トロカールであって、
遠位端部から近位端部まで軸に沿って延在している閉塞具を含み、前記閉塞具は、前記閉塞具によって画定された管腔を介して内視鏡に動作可能に接続するように構成され、前記閉塞具は、前記遠位端部又はその近傍における窓と、
前記窓を通して受光した光を前記内視鏡に関連する集光素子に向けて進行方向に曲げるよう構成された光屈折素子、又は、
前記光屈折素子が、前記集光素子に向かって前記光を曲げるため前記閉塞具の中に設置されること、若しくは前記集光素子に向かって前記光を曲げるため前記閉塞具に取り付けられること、の一方又は両方を可能とするように構成された保持機能、のうちの少なくとも1つと、を備え、
前記内視鏡が角度付内視鏡であり、
前記集光素子が前記内視鏡の軸に横方向に延在している平面に対して角度を付けて配設されている、トロカール。
【請求項11】
前記角度が前記内視鏡の軸に横方向に延在している前記平面に対して約30度である、請求項1に記載のトロカール。
【請求項12】
前記光屈折素子がプリズムを備える、請求項10に記載のトロカール。
【請求項13】
保持機能が、機械的構造、粘着剤、及び/又は前記管腔の中の領域のうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載のトロカール。
【請求項14】
前記窓が前記トロカールの遠位端部に位置する透明又は半透明の尖った先端を備える、請求項10に記載のトロカール。
【請求項15】
前記進行方向が前記集光素子に対して実質的に垂直となるように、前記光屈折素子が角度を付けて配設されている、請求項10に記載のトロカール。
【請求項16】
前記光屈折素子が前記トロカールに取り付けられている、請求項10に記載のトロカール。
【請求項17】
前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔に取り外し可能に取り付けられている、請求項10に記載のトロカール。
【請求項18】
前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔と統合されている、請求項10に記載のトロカール。
【請求項19】
前記光屈折素子が前記内視鏡に取り外し可能に取り付けられている、請求項10に記載のトロカール。
【請求項20】
方法であって、
トロカールを角度付内視鏡と動作可能に接続するように構成することと、
前記トロカールを、
光を前記内視鏡と関連する集光素子に向かって曲げるための光屈折素子、又は
前記光屈折素子が、前記集光素子に向かって前記光を曲げるよう前記トロカールの中に設置されること、若しくは前記集光素子に向かって前記光を曲げるよう前記トロカールに取り付けられること、の一方又は両方を可能とするよう構成された保持機能、のうちの少なくとも1つを備えて構成することと、を含み、
前記集光素子が前記内視鏡の軸に横方向に延在している平面に対して角度を付けて配設されている、方法。
【請求項21】
前記光屈折素子がプリズムを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記保持機能が、機械的構造、粘着剤、及び/又は前記トロカールによって画定される管腔中の領域のうちの少なくとも1つを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記集光素子に向かって前記光を曲げるため、前記集光素子に対して実質的に垂直である進行方向に前記光を曲げることを含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術の進歩は、医療用撮像能力に関して多くの改良につながっている。最も有益な進歩を享受している分野は、内視鏡外科的処置の分野である。これらの処置は、内視鏡と呼ばれる撮像装置を患者の中の小径ポートに挿入することによって、患者の外科術部位を含んでいる体内部分を検査(及び時には治療)可能とするため、従来の外科的処置よりも低侵襲となり得る。
【0002】
典型的に、内視鏡処置を開始するため、トロカールが患者内の外科的関心領域へ小径ポート、又は通路を作成するために最初に利用される。特に、トロカールは最初に幅狭い内視鏡管、又はカニューレの中に挿入される。トロカールは次に、外科術部位に達するため、まず遠位部分で患者の組織を穿孔するのに用いられる。トロカールの遠位部分は典型的に比較的鋭利先端(すなわち、挿入先端)で終端し、組織を穿孔し、かつ外科術部位に達するのを容易にする。一旦、外科術部位に達すると、トロカールは次に、ポートとしてカニューレを残して除去され得る。
【0003】
トロカールが患者の内部組織を穿孔するために使用される際、器官又は血管が誤って破裂し得るリスクがある。これは、特に、処置の初期ポートが作成される際、トロカールの患者への最初の挿入が、別のポートを通る内視鏡を用いて患者の体内から観察できないためである。
【0004】
第1の挿入リスクの軽減を助けるために、トロカールの先端が挿入され(すなわち、患者を穿孔し)、かつ外科術部位へ患者の組織を通過する際に観察することができる観察用トロカールが開発されている。これを達成するために、観察用トロカールは典型的に、それらの遠位部分又はその近傍における窓及び内視鏡の挿入を可能とする中空部分を備えて構成される。内視鏡は、その後、先端の挿入及び患者の組織の通過を窓を介して観察するために用いることができる。
【0005】
先端を観察するための十分な視野を供給するために、角度付内視鏡よりも角度の付いていない(0度)内視鏡が、初期ポートを作成するために典型的に使用される。しかしながら角度付内視鏡は、多くの内視鏡処置の他の大部分で良く使用され、かつ好適である。特に内視鏡が制限使用、部分的使い捨て(re-posable)、又は一回使用/使い捨て内視鏡であるときに、かかる処置に角度の付いていない内視鏡を使用することは不便でコストがかかり、かつ非効率となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の非限定及び非網羅の実施態様は、以下の図面を参照して記述されており、別段の定めがない限り様々な図の全体を通じて同じ部分に同じ参照番号を付す。本開示の利点は、以下の説明及び添付の図面に関してより理解されるであろう。
図1A】少なくとも1つの実施態様に従い、かつ本開示の教示及び原理に従ってなされた例示的な内視鏡システムを示す図である。
図1B】少なくとも1つの実施態様に従い、かつ本開示の教示及び原理に従ってなされた例示的な内視鏡システムを示す図である。
図1C】少なくとも1つの実施態様に従い、かつ本開示の教示及び原理に従ってなされた例示的な内視鏡システムを示す図である。
図2】少なくとも1つの実施態様に従い、かつ本開示の教示及び原理に従ってなされた接続する角度付内視鏡装置と観察用トロカールの例を示す図である。
図3】少なくとも1つの実施態様に従い、かつ本開示の教示及び原理に従ってなされた、例示的な接続する角度付内視鏡装置と観察用トロカールの遠位部分の拡大詳細図である。
図4】本開示の教示及び原理に従う少なくとも1つの実施態様に従った例示的な方法を示す図である。
図5A】本開示の教示及び原理に従って3次元画像を生成するための複数の画素アレイを有しているモノリシックセンサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図である。いるモノリシックセンサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図である。
図5B】本開示の教示及び原理に従って3次元画像を生成するための複数の画素アレイを有しているモノリシックセンサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図である。いるモノリシックセンサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図である。
図6A】複数の基板の上に組み付けられた撮像センサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図であって、画素アレイを形成している複数の画素列が第1の基板上に配置されており、かつ複数の回路列が第2の基板上に配置されており、かつ回路の列に関連し又は対応している画素の列の間に電気的接続及び連通を示している図である。
図6B】複数の基板の上に組み付けられた撮像センサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図であって、画素アレイを形成している複数の画素列が第1の基板上に配置されており、かつ複数の回路列が第2の基板上に配置されており、かつ回路の列に関連し又は対応している画素の列の間に電気的接続及び連通を示している図である。
図7A】3次元画像を生成するための複数の画素アレイを有している撮像センサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図であって、複数の画素アレイ及び撮像センサが複数の基板上に組み付けられている図である。
図7B】3次元画像を生成するための複数の画素アレイを有している撮像センサの実施態様のそれぞれ斜視図及び側面図であって、複数の画素アレイ及び撮像センサが複数の基板上に組み付けられている図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、内視鏡外科的処置の初期ポートを含んでいる、患者にポートを作成するために便利、効果的及び低コストな方法で角度付内視鏡を観察用トロカールと共に使用可能とする内視鏡光屈折撮像のための方法、装置、及びシステムに及んでいる。本開示の以下の説明では、それに関する部分を形成する添付の図面を参照し、かつその中で、本開示が実現され得る特定の実施態様を実例として示す。他の実施態様が利用されることができ、かつ構造上の変更が本開示の範囲を逸脱することなく実行されてもよいことが理解されよう。
【0008】
本明細書及び添付の請求項で用いられる場合、単数形「a」「an」及び「the」は、明白に他の意味に解すべき場合を除き、複数の参照を包含することに留意が必要である。
【0009】
本明細書で使用する場合、用語「備える(comprising)」「含む(including)」「含有する(containing)」「特徴付けられる(characterized by)」、及びそれらの文法上等価は、追加の、列挙されていない要素又は方法ステップを排除しない、包含的又は制限のない用語である。
【0010】
内視鏡外科的処置の初期ポートを含む、患者にポートを作成するための、便利、効果的、及び低コストの方法で角度付内視鏡が観察用トロカールと共に使用可能である内視鏡光屈折撮像技術を説明する。
【0011】
少なくともある実施態様において、内視鏡システムの観察用トロカール及び/又は角度付内視鏡は、例えばガラス及び/又はプラスチックプリズムなどの光屈折素子で構成することができる。光屈折素子は、トロカールの窓を通ってトロカールに入る光を屈折(すなわち、曲げる)ために観察用トロカールの中で、及び/又は共に利用することができる。特に、光屈折素子は、内視鏡のオフセット角度に実質的に垂直な平面に沿うようにするため、入射光の進行方向を変えることができる。結果として、内視鏡の視野は、観察用トロカールの窓の視野と実質的に整列され得る。
【0012】
少なくともある実施態様において、観察用トロカールは、観察用トロカールによって画定された管腔と統合されているプリスム、又は管腔に取り外し可能に取り付けられているプリズムで構成することができる。代替的又は追加的に、角度付内視鏡は、内視鏡の上に統合されているプリズム、又は内視鏡に取り外し可能に取り付けられているプリズムで構成することができる。
【0013】
少なくともある実施態様では、角度付内視鏡は、内視鏡の遠位端部若しくは先端において及び/又はその近傍に配設されている撮像センサで構成することができる。撮像センサは、例えばデジタル電荷結合素子(CCD)及び/又は能動画素センサの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイであり得る。
【0014】
上述のように、内視鏡外科的処置は、内視鏡を患者の小径ポートに挿入することによって患者の体内部分(すなわち、組織)を検査(例えば、観察、精査、及び/又は診断)することが可能なため、従来の外科的処置よりも低侵襲的となり得る。
【0015】
例えば、外科医は、患者の腹腔又は骨盤腔の内部に達するため、ポートを介した腹腔鏡として既知の内視鏡の種類を挿入することによって患者を検査及び/又は治療できる。他の例では、外科医は、膝関節など患者の関節の内部に達するため、ポートを介した関節鏡として既知の内視鏡の他の種類を挿入することによって患者を検査及び/又は治療してもよい。
【0016】
内視鏡は、光学画像を受けとって、かつそれらをディスプレイにレンダリングされ得る電子画像に変換するため、典型的に内視鏡の遠位端部及び/又はその近傍に位置する集光素子(例えば、対物レンズ(複数を含む))及び撮像システムを備える細長い物体である。内視鏡の集光素子の視野は、内視鏡の視野として本明細書では言及されてもよい。内視鏡を介してその遠位端部から近位端部まで通じる仮想線は、概して内視鏡の軸を画定できる。
【0017】
当業者には評価及び理解されるように、角度の付いていない内視鏡の集光素子は軸に対して実質的に垂直に配設され、その結果、内視鏡の視野は内視鏡の軸に対して横方向に延びている平面(すなわち、横断面)に対して実質的にオフセットされていない。したがって、遠位端部(すなわち、先端)は横断面に対して角度を画定することなく、かつこのように鈍さを現す。
【0018】
一方、角度付内視鏡の集光素子は、その軸に対して実質的に垂直に配設されない。その代わりに、集光素子及び遠位端部は、横断面に対して角度を画定する。この角度は、内視鏡のオフセット角度として参照可能となることができ、変化可能であって、かつ約12〜約90度であってもよい。しかしながら、約30度(すなわち、30度の内視鏡)及び45度(すなわち、45度の内視鏡)の内視鏡オフセット角度は、多くの内視鏡処置のために一般に使用されている。結果として、角度付内視鏡の視野は横断面に対して実質的にオフセットであり、かつ遠位端はこのように角度を有するか、又は鋭くなる。
【0019】
大部分の内視鏡は、内視鏡の撮像装置の画像センサ又はセンサが、内視鏡の近位端部又はその近傍に位置するように設計される。例えば、画像センサは、典型的に内視鏡の近位端部及び/又はその近傍において、内視鏡のハンドピースユニットの中に位置する。かかる構成において、光は内視鏡の遠位端部において集光素子を通って入り、かつ画像センサに向かって内視鏡の軸に沿って伝播できる。この画像センサは、光によって表された光学画像(複数を含む)を、その次にディスプレイに画像をレンダリングするのに使用され得る電子信号に変換するように構成できる。結果として、内視鏡は、光を画像センサへ伝播するための正確に結合された光伝播構成部品の複合セットで構成される必要がある。
【0020】
内視鏡のコストは典型的にその光学系によって左右されるため、光伝播構成部品は内視鏡のコスト(例えば、製造コスト)を著しく増加する場合がある。更に、光伝播構成部品は、相対的に軽微な衝撃がこれらの構成部品を容易に損傷することがあり、あるいは相対的整列を狂わせることもあるため、内視鏡の脆弱性を増す場合がある。この脆弱性は、画質を維持するために、頻繁に高額な修理サイクルを必要とする。したがって、内視鏡の中の光伝播構成部品を除去するか、若しくは減少することが、少なくとも内視鏡のコスト及び脆弱性を減少させるという理由のために有利となる。
【0021】
そのために、光伝播構成部品をほとんど、あるいは全く伴わずに内視鏡を構成可能とし、それによって内視鏡のコスト及び脆弱性を従来の内視鏡に比較して著しく減少させる、内視鏡撮像技術を本明細書で説明する。例えば、ある実施態様では、内視鏡は、内視鏡の近位端部において及び/又はその近傍よりも、又はハンドピースの中よりも、内視鏡の遠位端部又は先端において及び/又はその近傍に位置する画像センサで構成され得る。結果として、画像センサは内視鏡の集光素子に比較的に近接して配置することができ、これによって内視鏡の中の光伝播構成部品の必要を減少するか、あるいは排除する。
【0022】
典型的には、内視鏡外科的処置を開始するために、患者内の関心部位(例えば、外科術部位)へのポートを作成するためトロカールが最初に利用される。これを達成するため、トロカールは、患者の組織を穿孔し、かつ関心部位に達するためにトロカールの遠位部分あるいはその近傍に比較的鋭利先端で構成された閉塞具を含むことができる。閉塞具は、組織の穿孔のために使用される前に、患者の体外で、幅狭い内視鏡管に最初に挿入され得る。トロカールは(カニューレの内側の閉塞具と共に)、次に患者に(最初に遠位部分を)挿入することができる。一旦、関心部位に達すると、トロカールは次に、ポートとしてカニューレを残して除去され得る。
【0023】
内視鏡処置の間にトロカールが患者の内部組織を穿孔するのに使用される際、生体器官あるいは血管が誤って破裂し、処置が複雑化するリスクがある。患者内からトロカールの挿入を観察するためにポートを介して挿入された内視鏡を利用する機能は、このリスクを著しく軽減できる。しかしながら、これは処置の初期ポートが作成される際には不可能であり、したがって、初期ポートのための穿孔は後続する穿孔よりも一層危険性が高くなる。
【0024】
この初期穿孔リスクの軽減を助けるために、観察用トロカール(例えば、光学トロカール)が開発されている。観察用トロカールは、典型的に透明又は半透明な窓を備えて構成され、トロカールの先端(例えば、閉塞具の先端)が挿入され(すなわち、患者を穿孔し)、かつ患者の組織を介して通過する際に観察可能となる。観察用トロカールの窓は、通常、トロカールの遠位端部及び/又はその近傍に置かれる。観察用トロカールはまた、典型的に中空部分、あるいは管腔を備えて構成されており、内視鏡は、先端の挿入及び通過を観察するためにトロカールの中に挿入され得る。
【0025】
一例として、ある観察用トロカールは、透明又は半透明な閉塞具先端及びトロカールの長さ(近位端部から遠位端部まで)に沿う管腔を備えて構成される。内視鏡は、このようにトロカールの中に挿入(例えば、滑入)させることができ、内視鏡の集光素子は窓及び/又はその近傍(例えば、隣接)にある。窓の視野及び内視鏡の視野の中の患者の組織及び/又は他の物体からの光線は、窓を通って入り、集光素子によって集光され集束され、かつ内視鏡の撮像システム及びディスプレイを介して観察することができる。
【0026】
角度の付いていない内視鏡は典型的に、初期ポートを作成するための角度付内視鏡が好ましい。これは、観察用トロカールの中に置かれる際、角度の付いていない内視鏡の視野が典型的に観察用トロカールの窓の視野と実質的に整列するためである。結果として、内視鏡の集光素子から隠れるトロカールの窓がほとんどなく、かつトロカールの窓に入る大部分あるいは全ての光は内視鏡の集光素子に到達し得る。
【0027】
一方、角度付内視鏡が典型的な観察用トロカールの中に置かれる際、内視鏡の視野は観察用トロカールの窓の視野と典型的には実質的に整列しない。これは、角度付内視鏡のオフセット角度のためである。概して、オフセット角度が大きい程、視野と窓の位置がずれる度合いが大きい。この理由のために、全てではないがほとんどの観察用トロカールが、角度付内視鏡よりも角度の付いていない内視鏡用に構成されていることは驚くべきことではない。
【0028】
しかしながら、一般に角度付内視鏡は、初期ポートの作成以外の大部分の種類の内視鏡処置のために用いられ、かつ好まれている。しかしながら、両方の種類の内視鏡、すなわち角度付及び角度の付いていない内視鏡を取得し利用することは、特に角度の付いていない内視鏡が初期ポートを作成するためだけに必要とされている場合もあり、コストが高く、不便であり、かつ無駄となることがある。したがって、全ての内視鏡外科的処置のために1つの角度付内視鏡を使用可能とすることが、より一層便利で効果的、かつ低コストとなる。
【0029】
そのため、内視鏡光屈折撮像技術が本明細書で記載される。これらの技術を利用することによって、観察用トロカール及び/又は角度の付いていない内視鏡は、患者に、処置の初期ポートを含む、ポートを作成する際、共に使用されるように構成することができる。例えば、ある実施態様では、光屈折素子(例えば、プリズム)は、観察用トロカールの中で、及び/又はそれと共に利用することができ、トロカールの中にその窓を介して通る光を屈折する(すなわち、曲げる)。特に、光屈折素子は、内視鏡のオフセット角度に実質的に垂直な平面に沿うようにするため、入射光の進行方向を変えることができる。結果として、内視鏡の視野はトロカールの窓の視野と実質的に整列させることができる。
【0030】
つまり、光屈折素子は、入射光を内視鏡の視野と窓の視野が近似あるいは同じとなるような角度に曲げることによって、集光素子に達する光量を増加するために利用し得る。例えば、30度の内視鏡が観察用トロカールの中に挿入される場合、プリズムは、入射光を内視鏡の集光素子に向かって約30度の角度に曲げるのに使用することができる。
【0031】
本開示の読者の理解を容易にするために、図1A図1Cは、本明細書に記載された技術に従って実現することができる例示的な内視鏡システム100を示す。示された内視鏡システム100は、例の実施態様であって、かつ限定するものと解釈するものではない。特に、図1A図1Cの内視鏡システム100は、様々なシステム及び構成部品を含んでいるコンテキストで説明されるが、内視鏡システム100にこれらシステムあるいは構成部品のいずれか1つ又は複数の実施態様を制限するものとして解釈しない。代わりに、記載されたシステム及び構成部品のいずれかが、内視鏡システム100にかかわらず、単独あるいはいずれかの組み合わせで実装され得ることが評価され理解されることとなる。
【0032】
図1A図1Cを参照すると、内視鏡システム100は角度付内視鏡システム102を含んでもよい。角度付内視鏡システム102は、内視鏡装置(すなわち、内視鏡)104、内視鏡筐体106(例えば、ハンドピース及び/又はカメラヘッド)、制御ユニット108、光源110、ディスプレイ112、及び撮像装置114(例えば、カメラ、センサなど)を含んでもよい。なお、この例では、議論を容易にするために、内視鏡装置104、内視鏡筐体106、制御ユニット108、光源110、ディスプレイ112、及び撮像装置114は、互いに対してそれぞれ個別に示されている。しかしながら、限定するものとして解釈されるべきでなく、またこれらの構成部品の1つ又は複数が適切な方法で統合及び/又は接続され得ることが評価され理解されるものである。
【0033】
例えば、図1A及び図1Bでは、内視鏡装置104及び内視鏡筐体106は取り外した状態で示される。しかしながら、これらの構成部品は、図1Cの例に示すように、内視鏡外科的処置を実行するための角度付内視鏡ユニットを形成するために互いに動作可能に接続され(例えば、結合され)てもよい。
【0034】
別の例として、図1A及び図1Cの実施態様では、制御ユニット108及び光源110は分離しているものとして示される。その一方で、図1Bの実施態様では、制御ユニット108及び光源110は、同じユニット111の部分となるものとして示される。いずれの実施態様においても、光源110は、照射に用いるために、又はそうでない場合は患者の組織の観察を容易にするのに用いるために、必要な際に1つ又は複数の光ファイバーあるいは他の光透過機能を介して内視鏡装置104に光を提供するように構成されることができる。しかしながら、ある実施態様(図1Bに最も良く示される)では、これらの構成部品はユニット111の中に統合され(例えば、同じ筐体の中など)又は他の場合では動作可能に接続されてもよい。
【0035】
更に他の例のように、図1Cの撮像装置114は、内視鏡筐体106及び内視鏡装置104の両方の中に配置された構成部品を備えて構成されているものとして示される。しかしながら、ある他の実施態様では、撮像装置114は他の方法で構成されてもよい。例えば、少なくとも1つの実施態様では、撮像装置114の全ての構造は内視鏡筐体106の中に含有されるか、あるいは配置されてもよく(図1Aに最も良く示される)、あるいは他には撮像装置114のいくつか又は全ては、制御ユニット108あるいは内視鏡装置104を含んでもよく、あるいは含んでいなくてもよい1つ又は複数の他の構成部品の中で、内視鏡筐体106に対して遠隔的あるいは外部に配置されてもよい。
【0036】
図1Bに示される例では、撮像装置114は、内視鏡装置104の遠位端部(すなわち、先端)及び/又はその近傍に有利に配設された(すなわち、配置された)画像センサ116を含む。画像センサ116は、デジタル電荷結合素子(CCD)及び/又は能動画素センサの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイなどの、任意の適切な種類の装置及び/又は関連する回路となり得る。
【0037】
少なくとも1つの実施態様では、ユーザが内視鏡装置104の角度を回転し、あるいは変更する際、画像センサ116が内視鏡装置の先端で方向を変え、かつ様々なディスプレイ不具合が生じるのを回避し、あるいは軽減するために、ある機械的及びソフトウェア安定化技術が使用されてもよい。
【0038】
動作的に、画像センサ116は、内視鏡装置104の遠位端部及び/又はその近傍に位置する集光素子118(例えば、レンズ)によって収集され、かつ集束された光を受けるように構成され得る。画像センサ116は、また受光した光によって表される光学画像を、ディスプレイ112にレンダリングされ得る電子画像に変換するように構成されることもできる。
【0039】
なお、この例では、集光素子118は、内視鏡装置104の軸119に対して実質的に垂直に配設されていない。代わりに、集光素子118は、軸119に対して横方向に延在している平面(すなわち、横断面)に対して約30度の角度で配設されている。したがって、内視鏡装置104のオフセット角度は約30度であって、内視鏡装置104を角度付内視鏡とする。このオフセット角度の結果として、内視鏡装置104の視野は横断面に対して実質的にオフセットとなり、内視鏡装置104の遠位端部に角度を付ける、あるいは鋭い外形を生じる。
【0040】
続いて、動作中、電子画像がディスプレイ112上でレンダリングするのを容易にするために、制御ユニット108は、撮像装置114及び/又は、内視鏡筐体106及び/又は内視鏡装置104の中の1つか他の構成部品に電子的及び/又は通信可能に連結できる。制御ユニット108は、接続120によって表されるように、この方法で物理(例えば、有線)及び/又は無線(例えば、ブルートゥース、赤外線など)接続を介して連結され得る。更に、制御ユニット108は、接続122によって表されるように、ディスプレイ112に電子的及び/又は通信可能に連結され得る。ディスプレイ112は、撮像装置114から受けたレンダリングされた電子画像を表示するように適切に構成された任意の種類の表示装置であってもよい。
【0041】
撮像装置114の構成部品を含むことに加えて、内視鏡筐体106はまた、接続120を介する内視鏡筐体106と制御ユニット108との間の通信を促進するように構成され得る送受信機124(例えば、無線送受信機)などの他の構成部品を含んでもよい。内視鏡筐体106を制御ユニット108から(例えば、無線伝送を介して)分離及び通信可能に連結する機能は、使用された内視鏡及び/又は内視鏡筐体を、内視鏡及び/又は筐体の滅菌及びリニューアルのために簡単に交換するように供給されてもよい。これらの構成部品を分離及び通信可能に連結する能力は、また内視鏡装置の使用の間、内視鏡筐体106の移動性を大きくすることができる。
【0042】
内視鏡システム102に加えて、内視鏡システム100は、また観察用トロカールシステム128を含んでもよく、それは、トロカールシステム128の遠位端部(すなわち、先端)を、患者の中に挿入し、かつ患者の組織を通過させる時に観察可能とすることによって、内視鏡外科的処置の間、穿孔リスクを軽減するために構成されている特に、この例では、観察用トロカールシステム128は閉塞具130及びカニューレ134を含むことができる。閉塞具130は、閉塞具筐体132を含むことができ、それはこの例では、閉塞具130の取り扱いを容易にするように成形されている。
【0043】
閉塞具130はまた、閉塞具130の軸131に沿って、閉塞具の近位端部(閉塞具筐体の近位端部で)から、透明あるいは半透明窓138によって形成された閉塞具の遠位端部(すなわち、トロカールシステム128の遠位端部)で相対的に鋭い先端あるいはその近傍におけるポイントまで延在している内部閉塞具管腔136を画定できる。
【0044】
この例では、閉塞具筐体132は、閉塞具管腔136を窓138あるいはその近傍から閉塞具筐体132を介して筐体の閉塞具の近位端部の開口部133まで、有効に延在可能とする中空部分(例えば、トロカール筐体管腔)を含む。
【0045】
当業者によって評価され理解されるように、角度付内視鏡システム102及び観察用トロカールシステム128は、内視鏡外科的処置を開始するために互いに動作可能に接続される(例えば、結合される)ように構成され得る。例えば、内視鏡装置104は、内視鏡装置104を(遠位端部を最初に)閉塞具筐体132の中の開口部133を介して、また内視鏡装置104の遠位端部が窓138の近位端部あるいはその近傍のポイントに達するまで、閉塞具管腔136に沿って最初に挿入することにより、閉塞具130と結合(例えば、滑入、及び除去)されてもよい。
【0046】
一旦、角度付内視鏡システム102及び観察用トロカールシステム128が動作可能に接続されると、図2に示すように、集光素子118及び撮像装置114は(画像センサ116を含んで)、窓138によって形成された先端を患者の組織の中に挿入される際に調べるために使用できる。特に、記載された技術に従って、かつ図2及び図3に示されるように、角度付内視鏡システム102及び観察用トロカールシステム128が動作可能に接続されると、光屈折素子140は、窓138を通って入った入射光302を曲げるために閉塞具の中で利用されることができる。光屈折素子140は、特定の方向に光を屈折可能な任意の適切な種類の装置又は材料となり得る。例えば、少なくとも1つの実施態様では、光屈折素子140はガラス及び/又はプラスチック製のプリズムであって、入射光302を集光素子118に向かって屈曲させることができる。光屈折素子140は本明細書に記載するように光を屈折する能力を有している任意の適切な材料から作製されてもよいことが理解されよう。
【0047】
特に、光屈折素子140は、閉塞具管腔136の中の光屈折領域142の中に配置され、かつ角度を付けて配設されることができ、その結果、入射光302は集光素子118に向かう方向に30度の角度で光屈折素子140によって屈曲され、集光素子118は横断面に対して約30度の角度で配設される。
【0048】
図3に示すように、入射光302は光屈折素子140によって屈曲されることができ、その結果、光の進行方向は、集光素子118に実質的に垂直である平面に沿って集光素子118に向かうように変更される。結果として、内視鏡装置104の視野は窓138の視野と実質的に整列させることができ、内視鏡装置104が、便利、効果的、及びコスト効率の良い方法で観察用トロカールシステム128において使用されるのを可能とする。
【0049】
ある実施態様では、光屈折素子140は閉塞具管腔136の内壁及び/又は内視鏡装置104上に統合されることができ、素子の場所及び/又は位置が固定される。代替的又は追加的に、光屈折素子は、閉塞具管腔136の中に設置されること、及び/又は閉塞具管腔136及び/又は内視鏡装置104に取り付けられる(すなわち、一時的又は永久的)ことができる。
【0050】
例えば、少なくとも1つの実施態様では、保持機能及び構造は、光屈折素子140を、特に閉塞具130の中又は上の場所及び/又は位置に設置し、及び/又は取り付けるのに利用され得る。保持機能及び構造は、光屈折素子140を取り外し可能に取り付け(例えば、一時的)又は永久的に取り付けられるのを可能とするように構成されてもよい。例えば、保持機構及び構造は、機械的構造、管腔又は閉塞具130の中/上の他の場所に構造的に統合された形状、粘着性化学物質、及び/又は光屈折素子140を閉塞具130内に設置し、及び/又は閉塞具130に取り付けることを可能とする領域(例えば、光屈折領域142)であってもよい。
【0051】
更に、少なくとも1つの実施態様では、保持機能及び/又は保持構造は、光屈折素子140が閉塞具136に対して固定されたままであるように構成されてもよい。そのような実施態様では、観察用トロカールシステムと結合する際、内視鏡装置104は、光屈折素子140及び集光素子118を実質的に回転式に整列させ、したがって互いに隣接するようになるための適切な方向に達するために閉塞具130に関して軸131(及び軸119)の周囲を回転させる必要がある。
【0052】
代わりに、少なくとも1つの実施態様では、保持機能は、光屈折素子140が閉塞具管腔136内を移動できるように構成されてもよい。そのような実施態様では、内視鏡装置104は、光屈折素子142及び集光素子118を実質的に回転式に整列させ、かつしたがって互いに隣接するようにするために、軸131の周囲を回転させる必要がなくてもよい。代わりに、光屈折素子140はアライメントが達成されるまで、軸131の周囲を回転させてもよい。
【0053】
保持機能及び/又は保持構造はまた、光屈折素子140が、軸131及び/又は内視鏡装置104に横方向に延在している平面に対して、1つ又は複数の所望する角度に手動及び/又は自動的に配設されるように構成され得る。例えば、保持機能及び構造は、光屈折素子の配設が1つの所望する角度から別の所望する角度へ変更されるのを許可するように構成されてもよい。
【0054】
保持機能及び/又は光屈折素子140は、任意の適切な方法で供給され得る。例えば、保持機能及び/又は光屈折素子140は、単独で及び/又は、例えば観察用トロカールシステム128、内視鏡装置、及び/又は内視鏡システム100などの、1つ若しくは他の構成部品と共に(例えば、商業的に包装されて)提供されてもよい。
【0055】
最後に、当業者にとって評価され理解されるように、閉塞具130及びトロカール筐体132は、患者の中に挿入される前に、カニューレ134に動作可能に接続されてもよい。このように、一旦、患者内の関心部位に到達すると、閉塞具130及び/又はトロカール筐体132は、患者の中へのポートとしてカニューレを残して除去することができる。少なくとも1つの実施態様において、閉塞具130は、閉塞具筐体132の遠位端部がカニューレの筐体146の近位端部と接触するまで、カニューレ134の中の開口部144を通って、次にカニューレ134の内側をカニューレ管腔147に沿って閉塞具130を最初に挿入することにより、カニューレ134に滑入され、かつカニューレ134から除去されるように構成され得る。
【0056】
本明細書に記載された内視鏡光屈折撮像技術の理解においてユーザを助けるために、観察用トロカール及び/又は角度付内視鏡が内視鏡処置のために共に使用されるように構成する例示的な方法を以下に記載する。
【0057】
図4に示された方法400に関して、ブロック402で、観察用トロカール及び角度付内視鏡は内視鏡ポートを設置するために動作可能に接続されるように構成され得る。少なくとも1つの実施態様では、内視鏡システム100の観察用トロカールシステム128及び角度付内視鏡システム102が利用され得る。
【0058】
ブロック404で、観察用トロカール又は角度付内視鏡は、受光した光を屈折するため、ガラス及び/又はプラスチックプリズムのような光屈折素子(例えば、光屈折素子140)と共に構成され得る。上記で説明したように、この光は観察用トロカールの遠位端部に配設された窓(例えば、窓138)を介して受光され得る。少なくとも1つの実施態様では、観察用トロカールは、トロカールの遠位端部又はその近傍に、観察用トロカールによって画定された管腔と統合されているか、又は管腔に取り外し可能に取り付けられているプリズムを備えて構成され得る。代替的又は追加的に、角度付内視鏡は、内視鏡の上に統合されているプリズム、又は内視鏡に取り外し可能に取り付けられているプリズムで構成することができる。
【0059】
代替的又は追加的に、ブロック406で、観察用トロカールは保持機能を備えて構成されてもよい。上記で説明したように、この保持機能及び構造は、光屈折素子が観察用トロカールの中に設置されること、及び/又は取り付けられることができる任意の機能となり得る。
【0060】
本開示が、CMOS画像センサ又はCCD画像センサにかかわりなく、本開示の範囲を逸脱することなく、画像センサと共に使用されてもよいことが理解されよう。更に、画像センサは、内視鏡の先端、撮像装置又はカメラのハンドピース、制御ユニットが挙げられるが、これらに限定されることのないシステム全体内の任意の場所、若しくは本開示の範囲を逸脱することなくシステム内の任意の他の場所に配置することができる。
【0061】
本開示によって利用されてもよい画像センサの実装は以下に挙げられるが、これらに限定されることなく、本開示によって利用されてもよい様々な種類のセンサのあくまでも例示である。
【0062】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、図は、本開示の教示及び原理に従って3次元画像を生成するための複数の画素アレイを有しているモノシリックセンサ500の斜視図及び側面図をそれぞれ示している。かかる実装は、2つの画素アレイ502及び504が使用の間、オフセットとなることができる3次元画像キャプチャのために望ましい。別の実施態様では、第1の画素アレイ502及び第2の画素アレイ504は、電磁放射の所定範囲の波長の受容専用であってもよく、第1の画素アレイ502は、第2の画素アレイ504と異なる範囲の波長の電磁放射線用となる。
【0063】
図6A及び図6Bは、複数の基板上に組み付けられた撮像センサ600の実装の斜視図及び側面図をそれぞれ示している。図示のように、画素アレイを形成している複数の画素列604は第1の基板602上に配置し、かつ複数の回路列608は第2の基板606の上に配置する。画素の1つの列とその関連するか又は対応している回路の列の間の電気接続及び連通もまた図中に示される。1つの実施態様では、単一のモノリシック基板/チップの上にその画素アレイ及び支援回路を備えて製造される画像センサは、支援回路の全て又は大部分から分離する画素アレイを有してもよい。本開示は、3次元スタッキング技術を用いて共に積み重ねられる、少なくとも2つの基板/チップを使用してもよい。2つの基板/チップの第1の602は、画像CMOSプロセスを用いて処理されてもよい。第1の基板/チップ602は、独占的に画素アレイ、又は制限された回路で包囲された画素アレイのいずれかを含んでもよい。第2の又は後続の基板/チップ606は、任意のプロセスを用いて処理でき、かつ画像CMOSプロセスからなる必要がない。第2の基板/チップ606は、基板/チップの上の非常に限られたスペース及び領域の中に多様かつ複数の機能を統合するために高密度デジタルプロセス、又は例えば正確なアナログ機能を統合するために混合モード若しくはアナログプロセス、又は無線機能を実行するためにRFプロセス、又はMEMS(微小電気機械システム)装置を統合するためにMEMSであってもよいが、これらに限定されない。画像CMOS基板/チップ602は、任意の3次元技術を用いて第2の又は後続の基板/チップ606に積み重ねられてもよい。第2の基板/チップ606は、周辺回路として(モノリシック基板/チップの上に実装された場合に)第1の画像CMOSチップ602の中に実装されたであろうほとんど、又は大部分の回路を支持してもよく、それ故に画素アレイサイズを一定に維持する一方で全体のシステム領域は増大し、かつ可能な限り最大限に最適化される。2つの基板/チップの間の電気接続は、ワイヤボンド、バンプ及び/又はTSV(シリコン貫通電極)であり得る、相互接続603及び605を介して実行されてもよい。
【0064】
図7A及び図7Bは、3次元画像を生成するために複数の画素アレイを有している撮像センサ700の斜視図及び側面図をそれぞれ示している。3次元画像センサは、複数の基板の上に組み付けられてもよく、かつ複数の画素アレイ及び他の関連回路を含むこともでき、第1の画素アレイを形成している複数の画素列704a及び第2の画素アレイを形成している複数の画素列704bは、それぞれの基板702a及び702bの上にそれぞれ配置され、かつ複数の回路列708a及び708bは分離基板706の上に配置される。関連又は対応している回路の列への画素の列の間の電気接続及び連通も図に示される。
【0065】
本開示の教示及び原理は、本開示の範囲を逸脱することなく、再使用可能装置プラットフォーム、制限使用装置プラットフォーム、部分的使い捨て使用装置プラットフォーム、又は一回使用/使い捨て装置プラットフォームに使用されてもよいことが理解されよう。再使用可能装置プラットフォームでは、エンドユーザが装置の洗浄滅菌を担うことが理解されよう。制限使用装置プラットフォームでは、装置は動作不能となる前にある所定の回数が使用され得る。典型的な新規の装置は、追加使用の前にエンドユーザに洗浄滅菌を要求することで追加使用に無菌を実現する。部分的使い捨て使用装置プラットフォームでは、第三者が、新しいユニットよりも低コストで追加使用のために一回使用装置である装置を再処理(例えば、洗浄、包装及び滅菌)してもよい。一回使用/使い捨て装置プラットフォームでは、装置は手術室に無菌を提供し、かつ廃棄される前に一回のみ使用される。
【0066】
更に、本開示の教示及び原理は、電磁エネルギーの任意又は全ての波長を含んでもよく、赤外線(IR)、紫外線(UV)、及びX線などの可視及び非可視スペクトルが挙げられる。
【0067】
上述の説明は、説明と解説を目的として提示されている。それは全てを網羅している訳ではなく、開示されるそのままの形態に本開示を限定するものでもない。多くの修正及び変更が上記教示の考慮において可能である。更に前述の別の実施態様のいずれか又は全ては、本開示の更なる複合型実施態様の形成を所望するいかなる組み合わせにおいて使用できることに留意すべきである。
【0068】
更に、本開示の特定実施態様が記載され図示されているが、本開示は記載され図示されるように特定の形状又は部分の配置に限定するものではない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲、本明細書及び異なる出願に提出されるいかなる将来の請求、及びそれらの同等に定義されるものである。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 内視鏡システムであって、
光を収集し集束するために構成された集光素子を備える内視鏡と、
窓を備え、前記内視鏡に動作可能に接続するように構成されたトロカールと、
前記窓を通して受光した光を前記集光素子に向けて進行方向に曲げるように構成された光屈折素子と、を含む、内視鏡システム。
(2) 前記集光素子が前記内視鏡の軸に横方向に延在している平面に対して角度を付けて配設されている、実施態様1に記載の内視鏡システム。
(3) 前記角度が前記内視鏡の軸に横方向に延在している前記平面に対して約30度である、実施態様2に記載の内視鏡システム。
(4) 前記窓が前記トロカールの遠位端部に位置する透明又は半透明の尖った先端を備える、実施態様1に記載の内視鏡システム。
(5) 前記進行方向が前記集光素子に対して実質的に垂直となるように、前記光屈折素子が角度を付けて配設されている、実施態様1に記載の内視鏡システム。
【0070】
(6) 前記光屈折素子がプリズムを備える、実施態様1に記載の内視鏡システム。
(7) 前記光屈折素子が前記トロカールに取り付けられている、実施態様1に記載の内視鏡システム。
(8) 前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔に取り外し可能に取り付けられている、実施態様7に記載の内視鏡システム。
(9) 前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔と統合されている、実施態様1に記載の内視鏡システム。
(10) 前記光屈折素子が前記内視鏡に取り外し可能に取り付けられている、実施態様1に記載の内視鏡システム。
【0071】
(11) トロカールであって、
遠位端部から近位端部まで軸に沿って延在している閉塞具を含み、前記閉塞具は、前記閉塞具によって画定された管腔を介して内視鏡に動作可能に接続するように構成され、前記閉塞具は、前記遠位端部又はその近傍における窓と、
前記内視鏡に関連する集光素子に向かって前記窓を通して受光した光を曲げるよう構成された光屈折素子、又は、
前記光屈折素子が、前記集光素子に向かって前記光を曲げるため前記閉塞具の中に設置されること、若しくは前記集光素子に向かって前記光を曲げるため前記閉塞具に取り付けられること、の一方又は両方を可能とするように構成された保持機能、のうちの少なくとも1つと、を備える、トロカール。
(12) 前記内視鏡が角度付内視鏡を備える、実施態様11に記載のトロカール。
(13) 前記集光素子が前記内視鏡の軸に横方向に延在している平面に対して角度を付けて配設されている、実施態様12に記載のトロカール。
(14) 前記角度が前記内視鏡の軸に横方向に延在している前記平面に対して約30度である、実施態様13に記載のトロカール。
(15) 前記光屈折素子がプリズムを備える、実施態様11に記載のトロカール。
【0072】
(16) 保持機能が、機械的構造、粘着剤、及び/又は前記管腔の中の領域のうちの少なくとも1つを備える、実施態様11に記載のトロカール。
(17) 前記窓が前記トロカールの遠位端部に位置する透明又は半透明の尖った先端を備える、実施態様11に記載のトロカール。
(18) 前記進行方向が前記集光素子に対して実質的に垂直となるように、前記光屈折素子が角度を付けて配設されている、実施態様11に記載のトロカール。
(19) 前記光屈折素子が前記トロカールに取り付けられている、実施態様11に記載のトロカール。
(20) 前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔に取り外し可能に取り付けられている、実施態様11に記載のトロカール。
【0073】
(21) 前記光屈折素子が前記トロカールによって画定された管腔と統合されている、実施態様11に記載のトロカール。
(22) 前記光屈折素子が前記内視鏡に取り外し可能に取り付けられている、実施態様11に記載のトロカール。
(23) 方法であって、
トロカールを角度付内視鏡と動作可能に接続するように構成することと、
前記トロカールを、
光を前記角度付内視鏡と関連する集光素子に向かって曲げるための光屈折素子、又は
前記光屈折素子が、前記集光素子に向かって前記光を曲げるよう前記トロカールの中に設置されること、若しくは前記集光素子に向かって前記光を曲げるよう前記トロカールに取り付けられること、の一方又は両方を可能とするよう構成された保持機能、のうちの少なくとも1つを備えて構成することと、を含む、方法。
(24) 前記光屈折素子がプリズムを備える、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記保持機能が、機械的構造、粘着剤、及び/又は前記トロカールによって画定される管腔中の領域のうちの少なくとも1つを備える、実施態様23に記載の方法。
【0074】
(26) 前記集光素子に向かって前記光を曲げるため、前記集光素子に対して実質的に垂直である進行方向に前記光を曲げることを含む、実施態様23に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B