(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466421
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】防眩スクリーンを備えるデータ表示眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 7/10 20060101AFI20190128BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20190128BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
G02C7/10
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-517395(P2016-517395)
(86)(22)【出願日】2014年9月23日
(65)【公表番号】特表2016-534379(P2016-534379A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】EP2014070263
(87)【国際公開番号】WO2015044143
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】1359271
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ダビッド、ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ、フルーリー
【審査官】
井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−252091(JP,A)
【文献】
特開2005−284007(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0113973(US,A1)
【文献】
特表2010−521347(JP,A)
【文献】
特開2010−211177(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0213282(US,A1)
【文献】
特開2005−172851(JP,A)
【文献】
特開平9−297284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
G02B 27/00−27/64
G02F 1/13
G02B 6/35
G02B 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのレンズ(2)を有し、ユーザーによって着用されることが意図される眼鏡(1)であって、
前記眼鏡(1)は、
前記ユーザーの視野にデータを投影させる表示手段(7)と、
前記レンズ(2)を通過して前記ユーザーに向かうように意図される入射光の強度を減衰させることが可能な可変透過率を有する防眩スクリーン(8)と、を備え、
前記表示手段(7)及び前記防眩スクリーン(8)は、前記表示手段(7)によって放出された光線の一部が、前記データを表示するために、前記防眩スクリーン(8)に入射するように位置決めされ、
前記眼鏡(1)は、前記入射光の強度に応じて前記防眩スクリーン(8)の透過率を調節するように構成され、
前記防眩スクリーン(8)の透過率は、前記防眩スクリーン(8)が光を透過させる時間と前記防眩スクリーン(8)が光を透過させない時間との比率を変更することにより調節され、
前記表示手段(7)は、前記防眩スクリーン(8)が光を透過させる時に前記表示手段(7)がデータを表示し、かつ、前記防眩スクリーン(8)が光を透過させないときに前記データを表示しないように、前記防眩スクリーン(8)と連動することを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
前記表示手段(7)と前記防眩スクリーン(8)との連動が、前記防眩スクリーン(8)の透過率(14)に応じて表示される前記データの光強度(16)を制御することを含み、
前記表示される前記データの光強度(16)は、前記入射光の量に関わらず前記ユーザーが同様のデータ知覚を得るように、前記透過率(14)に反比例して修正されることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
前記透過率は、パルス幅変調によって調節されることを特徴とする請求項1または2に記載の眼鏡。
【請求項4】
表示される前記データの光強度(16)は、パルス幅変調によって調節されることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項5】
表示される前記データの光強度(16)及び前記透過率は、互いに同調する互いに同じデューティサイクルを用いたパルス幅変調により調節されることを特徴とする請求項1または2記載の眼鏡。
【請求項6】
前記パルス幅変調は、一定の周波数及び可変デューティサイクルを用いて実行されることを特徴とする請求項3から5のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項7】
前記眼鏡(1)は、前記パルス幅変調におけるデューティサイクルを制御する手段(9)を含むことを特徴とする請求項3から6のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項8】
前記防眩スクリーン(8)は、前記レンズ(2)によって保持されることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項9】
前記防眩スクリーン(8)は、前記レンズ(2)の第二の側に設置され、前記入射光は、前記レンズを通り、前記レンズ(2)の前記第二の側から第一の側(6)に通過するように意図されることを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記防眩スクリーン(8)は、前記レンズ(2)上に設置されるマイクロ電子機械層を有することを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項11】
前記マイクロ電子機械層は、光を遮断又は透過するために作動可能であることを特徴とする請求項10に記載の眼鏡。
【請求項12】
前記表示手段(7)は、前記レンズ(2)の内部反射によって光線を案内するように透過性基板を備えることを特徴とする請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項13】
前記表示手段(7)は、前記光線を前記レンズに放出可能である光源を備えることを特徴とする請求項12に記載の眼鏡。
【請求項14】
前記表示手段(7)は、画像生成装置を備えることを特徴とする請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項15】
特に夜間において、自動車(20)の運転を支援する装置であって、請求項1から14のうちのいずれか一項に記載の眼鏡(1)を備えることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩スクリーンを有するデータ表示眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信及び情報通知の分野に関する技術を有する携帯型光学装置の分野において、着用するユーザーが見ることができるデータ又は情報を表示可能なデータ表示眼鏡が知られている。この情報は、ユーザーが通常であれば眼鏡を通して観察するであろう光景に対して、透過的に、又は非透過的に重ね合わせられる。
【0003】
かかる表示装置は、ユーザーが自身の頭の向きを変える、又は下げることを必要とせずに、ユーザーの視野内において、テキスト、画像又は映像のような情報を見ることを可能にするオプトロニック装置である。従ってユーザーは、情報にアクセスしながらも、同時に動き回り、自身の周囲を観察することができる。
【0004】
この情報は、眼鏡を通して見える物体及び場所に直接関連していても良い。画像は、例えば観察された光景に関連する光信号を加えることにより、双方向的に生成されても良い。また情報は、ユーザーの瞬間的な視覚と無関係であっても良く、例えばインターネット及び/又は電子メッセージへのアクセスを提供し、ユーザーが自由に動いたり行動したりすることが可能な視界を保ちながら、それを参照するようにしても良い。
【0005】
様々な表示技術を有する眼鏡が存在する。
【0006】
仏国特許出願公開第2976089号明細書(特許文献1)には、テンプルに設置された一つ又は二つのプロジェクタを含む眼鏡が記載されている。プロジェクタは眼鏡着用者の目の前に画像を投影するが、着用者はそれらを知覚するために、自身の目の前に媒体を必要とする。仏国特許出願公開第2941786号明細書(特許文献2)に記載されるように、眼鏡のレンズは、特に拡張現実機能を提供する眼鏡が想定される場合、媒体として用いることができる。
【0007】
更に高性能な表示システムは、米国特許第7751122号明細書(特許文献3)に開示されるように、レンズ内に光を案内する面を有するレンズを使用して、画像を表示することを可能としており、ユーザーは、形成された画像を見ることができる。
【0008】
しかしながら、現在のシステムにおける難点は、光度が高い場合の情報の視認性に関連する。具体的には、これらの条件下で、情報の強度が高い強度を持つ入射光と比較して十分高くない場合、情報のコントラストを見ることが困難又は不可能となる。その上、ユーザーが動く時、光度が規則正しく、かつ急速に変化する。
【0009】
更には、サングラスレンズを有する眼鏡について、これらのレンズは、特に有色である場合に、情報の視認性を低下させる。その上、サングラスレンズは、全てのデータ表示技術に適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2976089号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2941786号明細書
【特許文献3】米国特許第7751122号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、これらの欠点を改善することであり、いかなる状況で、どのような周辺光強度に対しても使用でき、適応できるデータ表示眼鏡を提供することである。
【0012】
このために、少なくとも一つのレンズを有し、ユーザーによって着用されることが意図される眼鏡は、ユーザーの視野にデータを投影させる表示手段と、レンズを通過して前記ユーザーに向かうように意図される入射光の強度を減衰させる可変透過率を持つ防眩スクリーンとを備える。前記表示手段及び前記防眩スクリーンは、前記表示手段によって放出された光線の一部が、前記データを表示するために、前記防眩スクリーンに突き当たるように位置決めされる。前記眼鏡は、入射光の強度に応じて防眩スクリーンの透過率を適応させるように構成される。前記表示手段は更に、防眩スクリーンが光を透過させる時に、前記表示手段がデータを表示するように、防眩スクリーンに連結される。
【0013】
従って、前記眼鏡は、全ての必要な機能を組み込む所定の媒体を使用して、高い光度においても、表示領域に表示されるデータが読み取られることを可能にする。更には、入射光の光度がいかなるものであれ、眼鏡は、眼鏡の着用者がいかなる状況においても、中程度の強度の光度を知覚するように、スクリーンの透過率を適応させる。
【0014】
加えて、表示手段がデータを表示する時に、防眩スクリーンが光を透過させる際、表示領域に表示されるデータに起因して防眩スクリーンに向かう光は、防眩スクリーンを通過する。この特徴により、この光が防眩スクリーンから反射し、それ故に、データの正確な知覚や読み取り易さがゴーストに妨げられるのを、防ぐことができる。
【0015】
防眩スクリーン及び/又は表示手段の透過率は、眼鏡に統合された、又は遠隔に置かれた制御手段を使用して、制御することも可能である。同様に、光度に関連する情報は、眼鏡に置かれた及び/又は遠隔に置かれたセンサから生じさせることも可能である。
【0016】
本発明の種々の実施態様によれば、下記構成を一緒に又は個別に用いることが可能である。
− 連結は、防眩スクリーンの透過率に応じて表示されるデータの光強度を制御することによってなされ、表示されるデータの光強度は、入射光の量がいかなるものであれ、ユーザーが同様のデータ知覚を得るために、透過率に反比例して修正される。
− 透過率は、規定のデューティサイクルを用いたパルス幅変調によって決定される。
− 表示されるデータの光強度は、規定のデューティサイクルを用いたパルス幅変調によって決定される。
− 光強度及び透過率は、同調しており、かつ同じデューティサイクルを有する。
− 変調は、一定の周波数及び可変デューティサイクルを用いて実行される。
− 眼鏡は、1以上のデューティサイクルを制御する手段を含む。
− 防眩スクリーンは、レンズによって保持される。
− 防眩スクリーンは、レンズの第二の側に設置され、入射光は、レンズを通り、レンズの第二の側から第一の側に通過するように意図される。
− 前記防眩スクリーンは、レンズ上に設置されるマイクロ電子機械層を有する。
− マイクロ電子機械層は、光を遮断又は透過するために作動可能である。
− 前記表示手段は、レンズの内部反射によって光線を案内するように透過性基板を含む。
− データ表示手段は、前記光線をレンズに放出可能である光源を備える。
− データ表示手段は、画像生成装置を備える。
【0017】
本発明は、単に参照のために与えられるものであって限定の意図はなく、添付図面を伴う以下の記載に照らすことで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるデータ表示眼鏡の斜視図を概略的に例示する。
【
図2】本発明による眼鏡の一実施態様の動作原理を概略的に例示する。
【
図3】表示データの強度を示すグラフと比較した防眩スクリーンの光透過を示すグラフを示す。
【
図4】眼鏡が使用される車両の部分断面図を概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び
図2に例示されるように、本発明による眼鏡1は、二つのレンズ2と、二つのテンプル3と、レンズ2が固定されるフレーム4とを有する。本発明の記載において、用語「レンズ」は、フレーム内に固定される物体を指し、眼鏡着用者はそれを通して自身の目の前の光景を見る。レンズ2は、例えば無機又は有機ガラス材料から作製してよく、また当業者に知られている他の材料から作製してもよい。
【0020】
眼鏡1の着用者は、レンズ2の第一の側に位置し、この着用者が観察する光景は、レンズ2の第二の側に位置する。従って、レンズ2に突き当たる入射光liは、第二の側から生じた後、レンズの外面を経由してレンズを通過し、内面を経由して眼鏡の着用者に向かって出る。
【0021】
眼鏡1は、ユーザーの視野方向にデータを表示する手段7を含む。前記表示手段は、データが表示させる光線reを放出するように構成される。
【0022】
前記データを含む画像は、好適には、前記データを表示するために十分なサイズを有するように、数メートル又は無限遠離れて設置された仮想媒体上に形成される。
【0023】
データ表示手段7は、レンズを使用して前記光線を透過させるように構成される。表示手段7は、例えば、レンズ2に放出可能な光源(例として画像生成装置)と、レンズの内部反射によって光線reを案内する透過性基板とを含む。
【0024】
眼鏡は、更に防眩スクリーン8を含む。前記表示手段7と前記防眩スクリーン8は、前記表示手段7によって放出される光線が、前記データを表示するために、前記防眩スクリーン8に突き当たるように、互いに対して位置決めされる。例えば、防眩スクリーン8は、レンズ2の第二の側、例えばレンズの外面(眼鏡に関してユーザーの反対側)に設置される。
【0025】
眩しさを低減させるために、防眩スクリーン8は、入射光強度が減衰され得る可変透過率を備える。この透過率の値に応じて、防眩スクリーン8は、入射光をより多く又はより少なく通過させる。
【0026】
透過率は、パルス幅変調によって決定される。変調は、一定の周波数で、好ましくは少なくとも100Hzで、スクリーンの透過率を規定するデューティサイクルを用いて実行される。
【0027】
防眩スクリーン8は、それ故に
− 時間t1の間、透明度が最大である、最大値と、
− 時間t2の間、透明度が最小である、最小値と
の間で周期的に変動する光透過率を有する。
【0028】
デューティサイクルαは、透過が最大である持続時間t1と、期間の持続時間Tとの比によって決定され、それ故に0から100%まで変動する。
α=t1/T
【0029】
デューティサイクルを修正することによって、透明度が最大である時間t1は、光が通過しない時間t2に対して延長又は短縮される。従って、t1を増加させるとデューティサイクルが増加し、t2を増加させるとデューティサイクルが減少する。従って、透過率の平均値は、デューティサイクルαの値によって決まる。
【0030】
眼鏡1の着用者の目の前の光景は、それ故に、デューティサイクルαに等しい僅かな時間でのみ見える。可変透過スクリーン8を通して見られる光度は、それ故に、実際の光度に対して(1−α)に等しい係数で減少する。
【0031】
更に、前記眼鏡1は、入射光の強度に応じてスクリーン8の透過率を適応させるように構成される。従って眼鏡は、ユーザーにデータを表示することに加えて、ユーザーを高い光度から保護する。それ故に、ユーザーは、光度レベルが高くても表示されるデータを読み取れる。従って、データ表示眼鏡と防眩システムを組み合わせることで、前記眼鏡の着用者が居る目の前の光景の光レベル又は眩しさのレベルと無関係に、表示される情報に対して満足できるコントラストが保たれる。
【0032】
このために、眼鏡1は、透過率を制御する手段9を含み、この手段9は、透過率の瞬間値又は平均値を制御する。例えば、所定のデューティサイクルを選択することによって、対応する透過率が規定される。
【0033】
従って、デューティサイクルは可変であり、入射光の光強度に応じて選択される。入射光の光強度を測定するために、眼鏡1は、制御手段9に測定値を送出する光度センサ(図示せず)含むことも可能である。制御手段9は、この測定値に応じてデューティサイクルの値を設定する。
【0034】
第一の実施態様において、防眩スクリーン8は、レンズ上に設置される垂直偏光層及び水平偏光層と、二つの偏光層の間に配置される液晶層とを有する。偏光層はそれぞれ、入射光を異なる方向に偏光する。液晶層内で、偏光の方向は、液晶によって修正される。液晶の配向は、光の偏光方向を決定する。従って液晶が、次の偏光層の方向と同じ方向に偏光を修正するように配向される場合、光が通過する。反対に、方向が異なる場合、光は眼鏡1の着用者まで透過しない。
【0035】
変調は、光を透過させるために、時間t1の間に次の偏光層の方向と同じ方向に液晶を配向し、その後、光を遮断するために、時間t2の間にそれを異なる方向に配向することによって実行される。
【0036】
第二の実施態様において、防眩スクリーン8は、レンズ2上に設置されたMEMS型マイクロ電子機械層(MEMSは、マイクロ電子機械システムを表す)を有する。この層は、入射光を遮断又は通過させる、電気的に作動可能なマイクロ電子素子からなる。マイクロ電子機械システムは、例えば文献米国特許第7684105号に記載されたタイプのものである。ここで変調は、マイクロ電子機械層の作動によって、時間t1の間に入射光を通過させ、時間t2の間に入射光を遮断することによって実行される。
【0037】
図2において、入射光liが、最初に防眩スクリーン8を、次にレンズ2を通過して、ユーザーの眼19に到達することがわかるであろう。防眩スクリーン8の透過率により、ユーザーの快適さのために入射光liの強度を低減することが可能となる。同時に、表示手段7は、光線reを投影し、光線は、最初にレンズ2に当たる。レンズ2上のデータの表示は、ユーザーに向かって光線ruを放出し、ユーザーにデータを知覚させる。他の光線rrは、防眩スクリーン8の方向に透過され、少なくとも部分的に反射されて、レンズ2を通してユーザーの眼19に向かう。それ故に、データの第二画像は、レンズ2上に表示され易く、通常の画像に対してシフトされ易い。
【0038】
この反射を防ぐために、防眩スクリーン8が光を透過させる時、すなわちデューティサイクルの時間t1の間、表示手段7がデータを表示する
ように、表示手段7と防眩スクリーン8は連動している。従って、防眩スクリーン8が、デューティサイクルの時間t2の間に光を透過させない時、表示手段7は、時間t2の間に光を透過しない防眩スクリーン8からの反射を制限するために、データを表示しない。
【0039】
一つの特殊な実施態様によれば、表示されるデータの光強度は、可変デューティサイクル及び一定の周波数を用いたパルス幅変調によって同様に設定される。データは、時間t1の間にのみ所定の基準強度で現れ、表示手段7は、時間t2の間には表示領域11内でデータを表示しない。データの強度は、比率αを変動させることによって制御され、それにより一定周期持続時間Tに対して表示時間t1を増減させる。この場合、制御手段9は、データの光強度のデューティサイクルも制御する。
【0040】
データの光強度と透過率を相関させるため、光強度と透過率は、同一の比率αに同調している。従って、防眩スクリーン8が光を通過させる時にデータが表示され、防眩スクリーン8が不透明である場合はデータは表示されない。しかしながら、基準強度は、比率αがいかなるものであれ、知覚される強度を同程度に保つようにしてもよい。従って、光度が低いために時間t1が増加する場合、基準強度は比例的に減少する。全く同じように、光度が高いために時間t1が減少する場合、基準強度は比例的に増加する。
【0041】
変形例として、表示データに起因し、眼鏡1の着用者の眼に到達する光の量を一定に保つために、表示手段7の表示強度を防眩スクリーン8の透過率の値と相関させることも可能である。このために、二つのグラフ15、17を重ね合わせた
図3に示すように、入射光の量によらず、ユーザーが同様なデータ知覚を得ることを目的として、表示データの光強度16は透過率14に反比例して修正される。グラフ15において、透過率14は、時間t内で0〜1の間で変動する。グラフ17において、光強度16は、時間t内で最小値Imin及び最大値Imaxの間で変動する。防眩スクリーンの透過が増加する時、データの光強度は反対に、比例的に減少する。
【0042】
換言すると、眼鏡は、眼鏡の着用者の眼がくらまされないように、スクリーンの透過率が、入射光の強度に応じて適応されること、及び状況がいかなるものであれ、これらのデータが同様な方法で知覚可能であるために、表示領域内に表示されるデータの光強度がスクリーンの透過率に応じて適応されることを同時に可能にする。
【0043】
下記の特定の用途において、眼鏡1は、自動車20の運転を支援する装置として使用される。この用途は例として記載されるが、本発明の眼鏡1の用途はこの例に限定されない。
【0044】
図4は、本発明による眼鏡21を使用した、運転を支援する本装置を示すが、この用途は、限定的であると考えられるべきでない。
【0045】
晴れた日、特に地平線上方の太陽Sの高度が低い一日の終わりに、車両20の前方の道路光景SRは、明るく照らされることがわかるであろう。このため運転者24は、眼が眩むだけでなく、この道路光景において、自身の安全にとって重要な細部(例えば付近の危険源を警告する道路標識、又は運転者が運転している場所の路面の状態)を識別できないという危険性がある。同じことは夜間の運転に関しても言え、運転者は他の車両の光によって眼が眩むことがある。
【0046】
ここで眼鏡21は、いかなる形の眩しさ、又は入射光強度の実質的な変動からも、眼鏡21を着用している運転者又は乗員を保護する役割を果たす。しかしながら、運転者24は、運転関連情報(例えば、従来ダッシュボード上に表示され、透過率の平均値が低い場合に利用できないような情報)を例えば視覚的に利用可能であるべきである。本発明により、この情報は眼鏡21に直接表示され、その際の光強度は、眼鏡21の着用者が情報を見えるように決定される。
【0047】
それ故に本発明は、この用途において、運転者に情報を提示しつつも、運転者の眼19に到達する光の量を変調するために、運転者24が適応性眼鏡21を有することを提供する。図面は明瞭化のため、単一の眼鏡レンズを示す。
【0048】
更に、本装置は、ここでは眼鏡21から遠隔に置かれる、透過率を制御する手段30を含む。前記制御手段30は、例えば車両20の車室内に配置され、眼鏡21に制御命令を通信する。
【0049】
眼鏡レンズ21の透過率を制御するために、本発明は、車両の前方の道路光景SRの光度を測定するために使用する感光センサ31を設ける。
【0050】
感光センサ31は、ここでは例えば車両20のフロントガラス26の内面に、車内バックミラー(図示せず)と同じ高さで、すなわちフロントガラス26の上部の中央に置かれる。この位置により、情報(特に、道路光景SRから発せられ、車両20外側の光度を表す情報)を集めることが可能となる。
【0051】
この感光センサ31から出力された信号SLは、この出力信号SLを眼鏡レンズ21の透過率を制御する信号SCに変換可能である回路33によって受信及び処理され、信号SCは、次には眼鏡レンズ21の透過率を制御する手段30によって受信される。
【0052】
制御手段30は、眼鏡レンズ21の透過率を制御する回路34を制御する。回路34自体は、例えば超音波、赤外線波又は電波のエミッタ38を含み、例えばBluetooth(登録商標)又はWi−Fi(登録商標)規格を満たす無線通信プロトコルを実装する。眼鏡21は、同じ遠隔制御波RCWのレシーバ40が備えられる。
【0053】
具体的には、車両20の前方の道路光景SRの光度を表す、感光センサ31によって出力された信号SLに応答して、回路33は、信号SLに応じた制御信号SCを生成する。制御信号SCは、次に制御回路34のエミッタ38によってRCW波及びレシーバ40を経由して眼鏡21へ伝達される。
【0054】
眼鏡レンズ21の透過率は、従って受信された信号SCに応じて、すなわちセンサ31によって測定された光度に応じて変調される。
【0055】
装置はまた、表示データを生成する手段36を含む。この手段36もまた、眼鏡21から離れて、車室内に置くことが可能である。前記生成手段36は、前記データを眼鏡21に通信する。
【0056】
データを生成する手段36と眼鏡21の間の通信は、同様に無線通信を経由して実行される。この無線通信は、例えば制御手段30及び眼鏡21によって(任意には、同じエミッタ38及び/又は同じレシーバ40によって)用いられるものと同じプロトコルで実装される。
【0057】
従って、生成手段36は、制御手段30によって規定された透過率に応じて決定された、所定の強度命令によってデータを伝達する。