(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0020】
本明細書ではLTEシステム及びLTE−Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、上述した定義に該当するいかなる通信システムにも適用可能である。また、本明細書は、FDD方式を基準にして本発明の実施例について説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、H−FDD方式又はTDD方式にも容易に変形されて適用されてもよい。
【0021】
また、本明細書では、基地局をRRH(remote radio head)、eNB、TP(transmission point)、RP(reception point)、中継機(relay)などを含む包括的な名称として使うことができる。
【0022】
図2は、3GPP無線接続網規格に基づく端末とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のコントロールプレーン及びユーザプレーンの構造を示す図である。コントロールプレーンとは、端末(UE)とネットワークとが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路のことを意味する。ユーザプレーンとは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路のことを意味する。
【0023】
第1層である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位の媒体接続制御(Medium Access Control)層とは送信チャネル(Transport Channel)を介して接続されている。該送信チャネルを通じて媒体接続制御層と物理層との間にデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間には物理チャネルを通じてデータが移動する。該物理チャネルは、時間及び周波数を無線リソースとして活用する。具体的には、物理チャネルは、下りリンクにおいてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクにおいてSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0024】
第2層の媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)層は、論理チャネル(Logical Channel)を通じて、上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼できるデータ送信を支援する。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックとしてもよい。第2層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、帯域幅の狭い無線インターフェースでIPv4やIPv6のようなIPパケットを効率的に送信するために、余分の制御情報を減らすヘッダー圧縮(Header Compression)機能を果たす。
【0025】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、コントロールプレーンにのみ定義される。RRC層は、無線ベアラー(Radio Bearer)の設定(Configuration)、再設定(Re−configuration)及び解除(Release)に関連して、論理チャネル、送信チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラー(RB)とは、端末とネットワーク間のデータ伝達のために第2層により提供されるサービスのことを意味する。そのために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とはRRCメッセージを互いに交換する。端末のRRC層とネットワークのRRC層間にRRC接続(RRC Connected)がある場合に、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合は、RRC休止状態(Idle Mode)にあるようになる。RRC層の上位にあるNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理(Session Management)と移動性管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0026】
ネットワークから端末にデータを送信する下り送信チャネルとしては、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)、ページングメッセージを送信するPCH(Paging Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する下りSCH(Shared Channel)などがある。下りマルチキャスト又は放送サービスのトラフィック又は制御メッセージは、下りSCHを通じて送信されてもよく、別の下りMCH(Multicast Channel)を通じて送信されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上り送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する上りSCH(Shared Channel)がある。送信チャネルの上位に存在し、送信チャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)としては、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、MTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【0027】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般の信号送信方法を説明するための図である。
【0028】
端末は、電源が入ったり、新しくセルに進入したりした場合に、基地局と同期を取る等の初期セル探索(Initial cell search)作業を行う(S301)。そのために、端末は、基地局からプライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)及びセカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得すればよい。その後、端末は、基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信し、セル内放送情報を取得できる。一方、端末は、初期セル探索段階で、下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信し、下りリンクチャネル状態を確認できる。
【0029】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)、及び該PDCCHに載せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得できる(S302)。
【0030】
一方、基地局に最初に接続したり信号送信のための無線リソースがない場合には、端末は、基地局にランダムアクセス手順(Random Access Procedure;RACH)を行ってよい(S303乃至S306)。そのために、端末は、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)を通じて特定シーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを通じて、プリアンブルに対する応答メッセージを受信すればよい(S304及びS306)。競合ベースのRACHについては、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)をさらに行ってもよい。
【0031】
上述の手順を行った端末は、その後、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)、及び物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)送信(S308)を行えばよい。特に、端末はPDCCHを通じて下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割り当て情報のような制御情報を含んでおり、その使用目的によってフォーマットが異なっている。
【0032】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に送信する又は端末が基地局から受信する制御情報としては、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、これらのCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHを通じて送信してもよい。
【0033】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0034】
図4を参照すると、無線フレーム(radio frame)は10ms(327200×T
s)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレーム(subframe)で構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロット(slot)で構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×T
s)の長さを有する。ここで、T
sはサンプリング時間を表し、T
s=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
-8(約33ns)で表示される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データの送信される単位時間であるTTI(Transmission Time Interval)は一つ以上のサブフレーム単位に定めることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更されてもよい。
【0035】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0036】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレーム設定によって先頭の1乃至3個のOFDMシンボルは制御領域として用いられ、残り13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として用いられる。同図で、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する基準信号(Reference Signal(RS)又はPilot Signal)を表す。RSは、制御領域及びデータ領域を問わず、サブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられ、トラフィックチャネルもデータ領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などがある。
【0037】
PCFICHは物理制御フォーマット指示子チャネルで、毎サブフレームごとにPDCCHに用いられるOFDMシンボルの個数を端末に知らせる。PCFICHは、最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4個のREG(Resource Element Group)で構成され、それぞれのREGはセルID(Cell IDentity)に基づいて制御領域内に分散される。一つのREGは4個のRE(Resource Element)で構成される。REは、1副搬送波×1 OFDMシンボルと定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3又は2〜4の値を指示し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調される。
【0038】
PHICHは、物理HARQ(Hybrid−Automatic Repeat and request)指示子チャネルで、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを運ぶために用いられる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを表す。PHICHは、1個のREGで構成され、セル特定(cell−specific)にスクランブル(scrambling)される。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSK(Binary phase shift keying)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散因子(Spreading Factor;SF)=2又は4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は、拡散コードの個数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域においてダイバーシチ利得を得るために3回反復(repetition)される。
【0039】
PDCCHは物理下りリンク制御チャネルで、サブフレームにおける先頭のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数で、PCFICHによって指示される。PDCCHは一つ以上のCCEで構成される。PDCCHは、送信チャネルであるPCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)のリソース割り当てに関する情報、上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末又は端末グループに知らせる。PCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)はPDSCHを通じて送信される。したがって、基地局と端末は一般に、特定の制御情報又は特定のサービスデータ以外は、PDSCHを通じてデータをそれぞれ送信及び受信する。
【0040】
PDSCHのデータがいずれの端末(一つ又は複数の端末)に送信されるものか、これら端末がどのようにPDSCHデータを受信してデコードしなければならないかに関する情報などは、PDCCHに含まれて送信される。例えば、特定PDCCHが「A」というRNTI(Radio Network Temporary Identity)でCRCマスクされており、「B」という無線リソース(例、周波数位置)及び「C」というDCIフォーマット、すなわち、伝送形式情報(例、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が、特定サブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自身が持っているRNTI情報を用いて検索領域でPDCCHをモニター、すなわち、ブラインドデコードし、「A」のRNTIを持っている一つ以上の端末があると、これらの端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」と「C」によって指示されるPDSCHを受信する。
【0041】
図6は、LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0042】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)が割り当てられる領域と、ユーザデータを運ぶPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)が割り当てられる領域とに区別される。サブフレームにおいて中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両側部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、下りリンクチャネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator)、MIMOのためのRI(Rank Indicator)、上りリンクリソース割り当て要求であるSR(Scheduling Request)などがある。一つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各スロットで互いに異なる周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックはスロット境界で周波数ホッピング(frequency hopping)する。特に、
図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられるとしている。
【0043】
以下、MIMOシステムについて説明する。MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)は、複数個の送信アンテナと複数個の受信アンテナを使用する方法で、この方法によりデータの送受信効率を向上させることができる。すなわち、無線通信システムの送信端あるいは受信端で複数個のアンテナを使用することによって容量を増大させ、性能を向上させることができる。以下、本文献ではMIMOを「多重アンテナ」と呼ぶこともできる。
【0044】
多重アンテナ技術では、一つの全体メッセージを受信するに単一のアンテナ経路に依存せず、複数のアンテナに受信されたデータ断片(fragment)をまとめて併合することによってデータを完成する。多重アンテナ技術を用いると、特定のサイズのセル領域内でデータ伝送速度を向上させたり、又は特定のデータ伝送速度を保障しながらシステムカバレッジ(coverage)を増加させることができる。また、この技術は、移動通信端末と中継機などに幅広く使用可能である。多重アンテナ技術によれば、単一のアンテナを使用した従来技術による移動通信における伝送量の限界を克服することが可能になる。
【0045】
一般的な多重アンテナ(MIMO)通信システムの構成図が、
図7に示されている。送信端では送信アンテナがN
T個設けられており、受信端では受信アンテナがN
R個設けられている。このように送信端及び受信端の両方とも複数個のアンテナを使用する場合は、送信端又は受信端のいずれか一方のみ複数個のアンテナを使用する場合に比べて、理論的なチャネル伝送容量がより増加する。チャネル伝送容量の増加はアンテナの数に比例する。これにより、伝送レートが向上し、周波数効率が向上する。1個のアンテナを使用する場合の最大伝送レートをR
oとすれば、多重アンテナを使用する場合の伝送レートは、理論的に、下記の数式1のように、最大伝送レートR
oにレート増加率R
iを掛けた分だけ増加可能となる。ここで、R
iは、N
TとN
Rのうちの小さい値を表す。
【0047】
例えば、4個の送信アンテナと4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムでは、単一アンテナシステムに比べて理論上、4倍の伝送レートを取得できる。このような多重アンテナシステムの理論的容量増加が90年代半ばに証明されて以来、これを実質的なデータ伝送率の向上へと導くための種々の技術が現在まで活発に研究されている。それらのいくつかの技術は既に3世代移動通信と次世代無線LANなどの様々な無線通信の標準に反映されている。
【0048】
現在までの多重アンテナ関連研究動向をみると、様々なチャネル環境及び多重接続環境における多重アンテナ通信容量計算などと関連した情報理論側面の研究、多重アンテナシステムの無線チャネル測定及び模型導出の研究、及び伝送信頼度の向上及び伝送率の向上のための時空間信号処理技術の研究などを含め、様々な観点で活発に研究が進行されている。
【0049】
多重アンテナシステムにおける通信方法をより具体的な方法で説明するべく、それを数学的にモデリングすると、次のように示すことができる。
図7に示すように、N
T個の送信アンテナとN
R個の受信アンテナが存在するとする。まず、送信信号について説明すると、N
T個の送信アンテナがある場合に、送信可能な最大情報はN
T個であるから、送信情報を下記の数式2のようなベクトルで表現できる。
【0057】
一般に、チャネル行列のランクの物理的な意味は、与えられたチャネルで互いに異なった情報を送信できる最大数を意味する。したがって、チャネル行列のランク(rank)は、互いに独立した(independent)行(row)又は列(column)の個数のうち、最小個数と定義され、よって、行列のランクは、行(row)又は列(column)の個数より大きくなることはない。数式的に例を挙げると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は、数式6のように制限される。
【0059】
また、多重アンテナ技術を用いて送る互いに異なった情報のそれぞれを「送信ストリーム(Stream)」、又は簡単に「ストリーム」と定義するものとする。このような「ストリーム」は、「レイヤー(Layer)」と呼ぶこともできる。そのため、送信ストリームの個数は当然ながら、互いに異なった情報を送信できる最大数であるチャネルのランクより大きくなることがない。したがって、チャネル行列Hは、下記の数式7のように表すことができる。
【0061】
ここで、「# of streams」は、ストリームの数を表す。一方、ここで、1個のストリームは1個以上のアンテナから送信可能であるということに留意されたい。
【0062】
1個以上のストリームを複数のアンテナに対応させる様々な方法が存在する。この方法を、多重アンテナ技術の種類によって次のように説明できる。1個のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間ダイバーシチ方式といえ、複数のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間マルチプレクシング方式といえる。勿論、これらの中間方式である、空間ダイバーシチと空間マルチプレクシングとの混合(Hybrid)した形態も可能である。
【0063】
一方、次世代移動通信システムの標準であるLTE−Aシステムでは、データ伝送率の向上のために、既存の標準では支援していなかったCoMP(Coordinated Multi Point)送信方式を支援することが予想される。ここで、CoMP送信方式とは、陰影地域にある端末及び基地局(セル又はセクター)間の通信性能を向上させるために2個以上の基地局或いはセルが互いに協調して端末と通信するための送信方式のことをいう。
【0064】
CoMP送信方式は、データ共有を用いた協調的MIMO形態のジョイントプロセシング(CoMP−Joint Processing、CoMP−JP)及び協調スケジューリング/ビームフォーミング(CoMP−Coordinated Scheduling/beamforming、CoMP−CS/CB)方式に区別することができる。
【0065】
下りリンクの場合、ジョイントプロセシング(CoMP−JP)方式において、端末は、CoMP送信方式を行う各基地局からデータを瞬間的に同時に受信することができ、各基地局から受信した信号を結合して受信性能を向上させることができる(Joint Transmission;JT)。また、CoMP送信方式を行う基地局のいずれか一つが特定時点に端末にデータを送信する方法も考慮することができる(DPS;Dynamic Point Selection)。
【0066】
これと異なり、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)では、端末はビームフォーミングを通じてデータを瞬間的に一つの基地局、すなわち、サービング基地局から受信することができる。
【0067】
上りリンクの場合、ジョイントプロセシング(CoMP−JP)方式において、各基地局は端末からPUSCH信号を同時に受信することができる(Joint Reception;JR)。これと異なり、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)では一つの基地局のみがPUSCHを受信するが、このとき、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式を用いるという決定は、協調セル(或いは、基地局)によって決定される。
【0068】
以下では、チャネル状態情報(channel state information;CSI)報告について説明する。現在、LTE標準では、チャネル情報無しで運用される開ループ(open−loop)MIMOとチャネル情報に基づいて運用される閉ループ(closed−loop)MIMOという2種類の送信方式が存在する。特に、閉ループMIMOでは、MIMOアンテナの多重化利得(multiplexing gain)を得るために、基地局及び端末のそれぞれはチャネル状態情報に基づいてビームフォーミングを行うことができる。基地局は、チャネル状態情報を端末から得るために、端末に参照信号を送信し、これに基づいて測定したチャネル状態情報をPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)又はPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を介してフィードバックするように命令する。
【0069】
CSIは、RI(Rank Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、CQI(Channel Quality Indication)の3つの情報に大別される。まず、RIは、上述したように、チャネルのランク情報を示し、端末が同一の周波数−時間リソースを用いて受信できるストリームの個数を意味する。また、RIは、チャネルのロングタームフェーディング(long term fading)によって決定されるため、一般に、PMI、CQI値に比べてより長い周期で基地局にフィードバックされる。
【0070】
次に、PMIは、チャネルの空間特性を反映した値であり、SINRなどのメトリック(metric)を基準に、端末が好む基地局のプリコーディング行列インデックスを示す。最後に、CQIは、チャネルの強度を示す値であり、通常、基地局がPMIを用いた時に得られる受信SINRを意味する。
【0071】
LTE−A標準のようなより進展した通信システムでは、MU−MIMO(multi−user MIMO)を用いた追加の多重ユーザダイバーシチ(multi−user diversity)を得ることが追加されている。MU−MIMOでは、アンテナドメインで多重化される端末間の干渉が存在するため、CSIの正確性は、CSIを報告した端末だけでなく、多重化される他の端末の干渉にも大きな影響を及ぼしうる。このため、MU−MIMOではSU−MIMOに比べてより正確なCSI報告が要求される。
【0072】
そこで、LTE−A標準では、最終のPMIを、ロングターム(long term)及び/又は広帯域(wideband)PMIであるW1と、ショートターム(short term)及び/又はサブバンド(sub−band)PMIであるW2といった2種類に分けて設計することと決定された。
【0073】
上記のW1及びW2情報から一つの最終PMIを構成する構造的コードブック変換(hierarchical codebook transformation)方式の例示として、下記の式8のように、チャネルのロングターム共分散行列(long−term covariance matrix)を用いることができる。
【0075】
上記の式1で、W2は、ショートタームPMIであり、ショートタームチャネル情報を反映するために構成されたコードブックのコードワードを意味し、Wは、最終コードブックのコードワードを意味し、norm(A)は、行列Aの各列のノーム(norm)が1に正規化(normalization)された行列を意味する。
【0076】
既存のW1とW2の具体的な構造は、次の数式9のとおりである。
【0078】
数式9で、コードワードの構造は、交差偏波アンテナ(cross polarized antenna)を利用し、アンテナ間の間隔がちゅう密な場合、例えば、通常、隣接アンテナ間の距離が信号波長の半分以下である場合、発生するチャネルの相関関係(correlation)特性を反映して設計した構造である。交差偏波アンテナの場合、アンテナを水平アンテナグループ(horizontal antenna group)と垂直アンテナグループ(vertical antenna group)とに区分できるが、各アンテナグループはULA(uniform linear array)アンテナの特性を有し、両アンテナグループは共存(co−located)する。
【0079】
このため、各グループのアンテナ間の相関関係は同一の線形位相増加(linear phase increment)特性を有し、アンテナグループ間の相関関係は、位相回転(phase rotation)された特性を有する。結局、コードブックはチャネルを量子化(quantization)した値であるから、チャネルの特性をそのまま反映してコードブックを設計することが必要である。説明の便宜のために、上述した構造としたランク1コードワードを、下記の数式10のように例示することができる。
【0081】
上記の式10で、コードワードは、送信アンテナの個数N
T×1のベクトルで表現され、上位ベクトルX
i(k)と下位ベクトルα
jX
i(k)で構造化されており、それぞれは、水平アンテナグループと垂直アンテナグループの相関関係特性を示す。X
i(k)は、各アンテナグループのアンテナ間相関関係特性を反映して線形位相増加特性を有するベクトルで表現することが有利であり、代表の例としてDFT行列を用いることができる。
【0082】
LTE−A標準のようなより進展した通信システムでは、MU−MIMO(multi−user MIMO)を用いた追加の多重ユーザダイバーシチ(multi−user diversity)を得ることが追加されている。MU−MIMOでは、アンテナドメインで多重化される端末間の干渉が存在するため、CSIの正確性は、CSIを報告した端末だけでなく、多重化される他の端末の干渉にも大きな影響を及ぼしうる。このため、MU−MIMOではSU−MIMOに比べてより正確なCSI報告が要求される。
【0083】
また、CoMP JTの場合、複数の基地局が特定端末に同一のデータを協調送信することから、理論的に、アンテナが地理的に分散されているMIMOシステムと見なすことができる。すなわち、JTでMU−MIMOをする場合にも、単一セル−MU−MIMOと同様に、協調スケジューリングされる端末間の干渉を避けるために、高い正確性のチャネル状態情報が要求される。CoMP CBの場合にも同様、隣接セルがサービングセルに与える干渉を回避するには、精巧なチャネル状態情報が要求される。一般に、チャネル状態情報フィードバックの正確度を上げるためには、端末の追加的なチャネル状態情報フィードバック報告が必要であり、これはPUCCH又はPUSCHを介して基地局に送信される。
【0084】
以下、下りリンクデータチャネルの送信モードに関して説明する。現在、3GPP LTE標準文書、具体的に、3GPP TS 36.213文書では、下記の表1のように下りリンクデータチャネル送信モードに関して定義している。また、下記の送信モードは、上位層シグナリング、すなわち、RRCシグナリングによって端末に設定される。
【0086】
表1を参照すると、現在、3GPP LTE標準文書では、送信モードとこれに対応するDCIフォーマット、すなわち、送信モードベースのDCIフォーマットを示している。また、それぞれの送信モードにかかわらずに適用可能なモード、すなわち、フォールバック(Fall−back)モードのためのDCIフォーマット1Aが定義されている。送信モードに関する動作例として、表1で、端末は、PDCCHをブラインドデコーディングした結果、DCIフォーマット1Bが検出されると、単一レイヤを用いた閉ループ空間多重化技法でPDSCHが送信されたと仮定してPDSCHをデコーティングする。
【0087】
また、上記の表1で、送信モード10は、上述したCoMP送信方式の下りリンクデータチャネル送信モードを意味する。例えば、端末がPDCCHをブラインドデコーディングした結果、DCIフォーマット2Dが検出されると、アンテナポート7乃至14、すなわち、DM−RSに基づいて多重レイヤ送信技法でPDSCHが送信されるという仮定の下にPDSCHをデコーティングする。又は、DM−RSアンテナポート7又は8に基づいて単一アンテナ送信技法でPDSCHが送信されるという仮定の下にPDSCHをデコーティングする。
【0088】
一方、PDCCHをブラインドデコーディングした結果、DCIフォーマット1Aが検出されると、当該サブフレームがMBSFNサブフレームであるか否かによって送信モードが異なる。例えば、当該サブフレームが非−MBSFNサブフレームであれば、PDSCHはアンテナポート0のCRSに基づく単一アンテナ送信又はCRSベース送信ダイバーシチ技法で送信されたという仮定の下にデコーティングする。また、当該サブフレームがMBSFNサブフレームであれば、PDSCHはアンテナポート7のDM−RSに基づく単一アンテナ送信がなされたという仮定の下にデコーティングすることができる。
【0089】
以下では、参照信号についてより詳しく説明する。
【0090】
一般に、チャネル測定のためにデータと共に送信側と受信側の両方で既に知っている参照信号が送信側から受信側に送信される。このような参照信号は、チャネル測定に加え、変調技法を知らせて復調過程が行われるようにする役割を果たす。参照信号は、基地局と特定端末のための専用参照信号(dedicated RS;DRS)、すなわち、端末特定参照信号と、セル内の全端末のためのセル特定参照信号である共通参照信号(common RS又はCell specific RS;CRS)とに区別される。また、共通参照信号は、端末でCQI/PMI/RIを測定して基地局に報告するための参照信号を含み、これをCSI−RS(Channel State Information−RS)と称する。
【0091】
図8及び
図9は、4個のアンテナを用いた下りリンク送信を支援するLTEシステムにおける参照信号の構造を示す図である。特に、
図8は一般(normal)CP(Cyclic Prefix)の場合を示し、
図9は拡張(extended)CPの場合を示す。
【0092】
図8及び
図9を参照すると、格子に記載された0乃至3は、アンテナポート0乃至3のそれぞれに対応してチャネル測定とデータ復調のために送信されるセル特定参照信号であるCRS(Common Reference Signal)を意味し、セル特定参照信号のCRSは、データ情報領域の他、制御情報領域全般にわたっても端末に送信されている。
【0093】
また、格子に記載された「D」は、端末特定RSである下りリンクDM−RS(Demodulation−RS)を意味し、DM−RSは、データ領域、すなわち、PDSCHを通じて単一アンテナポート送信を支援する。端末特定RSであるDM−RS存在の有無は上位層を通じて端末にシグナリングされる。
図8及び
図9は、アンテナポート5に対応するDM−RSを例示しており、3GPP標準文書36.211ではアンテナポート7乃至14、すなわち、総8個のアンテナポートに対するDM−RSも定義している。
【0094】
図10は、現在3GPP標準文書で定義している下りリンクDM−RS割り当て例を示す図である。
【0095】
図10を参照すると、DM−RSグループ1にはアンテナポート{7、8、11、13}に該当するDM−RSがアンテナポート別シーケンスを用いてマップされ、DM−RSグループ2にはアンテナポート{9、10、12、14}に該当するDM−RSが同様、アンテナポート別シーケンスを用いてマップされる。
【0096】
一方、上述したCSI−RSは、CRSとは別にPDSCHに対するチャネル測定を目的に提案されたし、CRSとは違い、CSI−RSは、多重セル環境でセル間干渉(inter−cell interference;ICI)を減らすために、最大32通りの異なったリソース設定(configuration)が定義されてもよい。
【0097】
CSI−RS(リソース)設定は、アンテナポートの個数によってそれぞれ異なり、隣接セル間には、できるだけ異なった(リソース)設定と定義されたCSI−RSが送信されるように構成される。CSI−RSは、CRSとは違い、最大8個のアンテナポートまで支援し、3GPP標準文書では、アンテナポート15乃至22までの総8個のアンテナポートをCSI−RSのためのアンテナポートとして割り当てる。下記の表2及び表3は、3GPP標準文書で定義しているCSI−RS設定を示すものであり、特に、表2は、一般(Normal CP)である場合を、表3は、拡張CP(Extended CP)である場合を示している。
【0100】
表2及び表3で、(k‘、l’)は、REインデックスを表し、k‘は、副搬送波インデックスを、l’は、OFDMシンボルインデックスを表す。
図11は、現在3GPP標準文書で定義されたCSI−RS設定のうち、一般CPの場合におけるCSI−RS設定#0を例示する。
【0101】
また、CSI−RSサブフレーム設定を定義することができ、これは、サブフレーム単位で表現される周期(T
CSI−RS)とサブフレームオフセット(Δ
CSI−RS)で構成される。下記の表4は、3GPP標準文書で定義しているCSI−RSサブフレーム設定を示すものである。
【0103】
一方、現在、ZP(zero−power)CSI−RSに関する情報はRRC層信号によって設定される。特に、ZP CSI−RSリソース設定は、zeroTxPowerSubframeConfigと16ビットサイズのビットマップであるzeroTxPowerResourceConfigListで構成される。このうち、zeroTxPowerSubframeConfigは、表4に該当する値によって当該ZP CSI−RSが送信される周期及びサブフレームオフセットを知らせる。また、zeroTxPowerResourceConfigListは、ZP CSI−RS設定を知らせる情報であり、上記ビットマップのそれぞれの要素は、上記の表2又は表3でCSI−RSのためのアンテナポートが4個である列(Column)に含まれた設定を示す。このようなZP CSI−RS以外の一般的なCSI−RSは、NZP(Non zero−power)CSI−RSと呼ぶ。
【0104】
一方、上述したCoMP技法の適用時に、端末に複数のCSI−RS設定がRRC層信号によって設定されてもよい。それぞれのCSI−RS設定は、下記の表5のように定義される。表5を参照すると、各CSI−RS設定別にQCL(Quasi Co−Location)仮定が可能なCRSに関する情報が含まれていることがわかる。
【0106】
以下、アンテナポート間QCL(Quasi Co−Location)について説明する。
【0107】
アンテナポート間QCLされているということは、端末が一つのアンテナポートから受信する信号(或いは、当該アンテナポートに対応する無線チャネル)の広範囲特性(large−scale properties)が、他のアンテナポートから受信する信号(或いは、当該アンテナポートに対応する無線チャネル)の広範囲特性と全て又は一部が同一だと仮定し得るということを意味する。ここで、広範囲特性は、周波数オフセットに関連したドップラー拡散(Doppler spread)、ドップラーシフト(Doppler shift)、タイミングオフセットに関連した平均遅延(average delay)、遅延拡散(delay spread)などを含み、さらに平均利得(average gain)も含むことができる。
【0108】
上の定義によれば、端末はQCLされていないアンテナポート、すなわち、NQCL(Non Quasi co−Located)されたアンテナポート間には広範囲特性が同一であると仮定することができない。この場合、端末はアンテナポート別に周波数オフセット及びタイミングオフセットなどを取得するためのトラッキング(tracking)手順を独立して行わなければならない。
【0109】
一方、QCLされているアンテナポート間については端末が次のような動作を行うことができるという利点がある。
【0110】
1)端末が特定アンテナポートに対応する無線チャネルに対する電力−遅延プロファイル(power−delay profile)、遅延拡散、ドップラースペクトル(Doppler spectrum)及びドップラー拡散推定の結果を、他のアンテナポートに対応する無線チャネルに対するチャネル推定時に用いられるウィナーフィルター(Wiener filter)パラメータなどに同一に適用することができる。
【0111】
2)また、端末は、特定アンテナポートに対する時間同期及び周波数同期を取った後、同一の同期を他のアンテナポートに対しても適用することができる。
【0112】
3)最後に、平均利得に関しても、端末は、QCLされているアンテナポートのそれぞれに対するRSRP(Reference Signal Received Power)測定値を平均値として計算することができる。
【0113】
例えば、端末がPDCCH(或いは、E−PDCCH)を介してDM−RSベース下りリンクデータチャネルスケジューリング情報、例えば、DCIフォーマット2Cを受信すると、端末は、当該スケジューリング情報で示すDM−RSシーケンスを用いてPDSCHに対するチャネル推定を行った後、データ復調を行う場合であると仮定する。
【0114】
このような場合、端末が下りリンクデータチャネル復調をするためのDM−RSアンテナポートがサービングセルのCRSアンテナポートとQCLされていると、端末は、当該DM−RSアンテナポートを用いたチャネル推定時に、自身のCRSアンテナポートから推定した無線チャネルの広範囲特性(large−scale properties)をそのまま適用し、DM−RSベース下りリンクデータチャネル受信性能を向上させることができる。
【0115】
同様に、端末が下りリンクデータチャネル復調をするためのDM−RSアンテナポートがサービングセルのCSI−RSアンテナポートとQCLされていると、端末は、当該DM−RSアンテナポートを用いたチャネル推定時に、サービングセルのCSI−RSアンテナポートから推定した無線チャネルの広範囲特性をそのまま適用し、DM−RSベース下りリンクデータチャネル受信性能を向上させることができる。
【0116】
一方、LTEシステムでは、CoMPモードである送信モード10で下りリンク信号を送信する際、基地局が上位層信号を用いてQCLタイプA及びQCLタイプBのうちの一つを端末に設定するように定義している。
【0117】
ここで、QCLタイプAは、CRS、DM−RS及びCSI−RSのアンテナポートが、平均利得以外の広範囲特性がQCLされていると仮定するものであり、同一のノード(point)で物理チャネル及び信号が送信されているということを意味する。一方、QCLタイプBは、DPS、JTなどのCoMP送信が可能なように、端末当たり最大4個までのQCLモードを上位層メッセージを用いて設定し、それらのうちどのQCLモードで下りリンク信号を受信しなければならないかを動的にDCI(downlink control information)を用いて設定するように定義されている。
【0118】
QCLタイプBが設定された場合のDPS送信に関して、より具体的に説明する。
【0119】
まず、N
1個のアンテナポートで構成されたノード#1は、CSI−RSリソース(resource)#1を送信し、N
2個のアンテナポートで構成されたノード#2は、CSI−RSリソース(resource)#2を送信すると仮定する。この場合、CSI−RSリソース#1をQCLモードパラメータセット#1に含め、CSI−RSリソース#2をQCLモードパラメータセット#2に含める。さらに、基地局はノード#1及びノード#2の共通カバレッジ内に存在する端末に、上位層信号によってパラメータセット#1及びパラメータセット#2を設定する。
【0120】
その後、基地局が当該端末にノード#1を介してデータ(すなわち、PDSCH)送信時にDCIを用いてパラメータセット#1を設定し、ノード#2を介してデータ送信時にパラメータセット#2を設定する方式でDPSを行うことができる。端末にとっては、DCIによってパラメータセット#1が設定されると、CSI−RSリソース#1とDM−RSがQCLされていると仮定し、パラメータセット#2が設定されると、CSI−RSリソース#2とDM−RSがQCLされていると仮定することができる。
【0121】
以下、能動アンテナシステム(Active Antenna System;AAS)及び3次元ビームフォーミングについて説明する。
【0122】
既存のセルラーシステムにおいて、基地局は、機械的ティルティング(mechanical tilting)或いは電気的ティルティング(electrical tilting)を用いてセル間干渉を減らし、セル内端末のスループット、例えばSINR(Signal to Interference plus Noise ratio)を向上させる方案を用いてきた。図面を参照してより詳しく説明する。
【0123】
図12は、アンテナティルティング方式を説明するための図である。特に、
図12の(a)には、アンテナティルティングが適用されていないアンテナ構造を示し、
図12の(b)には、機械的ティルティングが適用されたアンテナ構造を示し、
図12の(c)には、機械的ティルティングと電気的ティルティングの両方が適用されたアンテナ構造を示す。
【0124】
図12の(a)と
図12の(b)とを比較すると、機械的ティルティングの場合、
図12の(b)のように、初期設置時にビーム方向が固定されてしまうという短所がある。さらに、電気的ティルティングの場合、
図12の(c)のように、内部位相遷移(phase shift)モジュールを用いてティルティング角(tilting angle)を変更することができるが、事実上、セル固定的ティルティングから、非常に制約的な垂直ビームフォーミングしかできないという短所がある。
【0125】
図13は、既存のアンテナシステムと能動アンテナシステム(Active Antenna System;AAS)とを比較する図である。特に、
図13の(a)には既存のアンテナシステムを示し、
図13の(b)には能動アンテナシステムを示す。
【0126】
図13を参照すると、能動アンテナシステムは、既存のアンテナシステムと違い、複数のアンテナモジュールのそれぞれが電力増幅器をはじめとしてRFモジュール、すなわち、能動(active)素子を備えており、アンテナモジュールのそれぞれに対して電力及び位相を調節できるという特徴を有する。
【0127】
一般に考慮してきたMIMOアンテナ構造は、ULA(uniform linear array)のように、線形的な、すなわち、1次元アレイのアンテナを考慮した。このような1次元アレイ構造では、ビームフォーミングで生成可能なビームが2次元平面内に存在する。これは、既存の基地局の受動アンテナシステム(Passive Antenna System;PAS)ベースのMIMO構造にも適用される。PASベースの基地局にも垂直アンテナ及び水平アンテナが存在するが、垂直アンテナは一つのRFモジュールに拘束されているため、垂直方向にビームフォーミングが不可能であり、上述した機械的ティルティングしか適用することができない。
【0128】
しかし、基地局のアンテナ構造が能動アンテナシステムへと進化しながら、垂直方向のアンテにも独立したRFモジュールが具現されることとなり、これによって、水平方向だけでなく垂直方向にもビームフォーミングが可能になった。これを垂直ビームフォーミング又はエレベーションビームフォーミング(elevation beamforming)と呼ぶ。
【0129】
垂直ビームフォーミングによれば、生成可能なビームを、垂直及び水平方向へと3次元空間に表現することができ、これを3次元ビームフォーミングと呼ぶこともできる。すなわち、3次元ビームフォーミングは、1次元アレイのアンテナ構造から平面形態の2次元アレイのアンテナ構造に進化することから可能になったものである。ここで、3次元ビームフォーミングは、アンテナアレイが必らしも平面(planar)形状である必要はなく、リング(ring)形状の3次元形態のアレイ構造でも可能である。3次元ビームフォーミングの特徴は、既存の1次元アレイのアンテナ構造ではなく様々な形態のアンテナ配置によってMIMOプロセスが3次元空間上でなされるということにある。
【0130】
図14は、能動アンテナシステムに基づいて端末特定ビームを形成した例を示す図である。
図14を参照すると、3次元ビームフォーミングによって、端末が基地局の左右に動く場合だけでなく、前後に動く場合にもビームフォーミングが可能であり、端末特定ビーム形成に、より高い自由度が提供されることがわかる。
【0131】
なお、能動アンテナベースの2次元アレイのアンテナ構造を用いた送信環境としては、室外基地局から室外端末に送信する環境だけでなく、室外基地局が室内端末に送信する環境(O2I、Outdoor to Indoor)、及び室内基地局が室内端末に送信する環境(Indoor hotspot)などを考慮することができる。
【0132】
図15は、能動アンテナシステムベースの3次元ビーム送信シナリオを示す図である。
【0133】
図15を参照すると、セル内に様々な複数の建物が存在する実際セル環境を仮定すると、基地局は、端末特定水平ビーム操向だけでなく、建物の高さによる様々な端末の高さを考慮した垂直ビーム操向能力まで考慮しなければならない。このようなセル環境を考慮する場合、既存の無線チャネル環境とは多く異なるチャネル特性、例えば、高さの差による陰影/経路損失変化、フェーディング特性変化などを反映する必要がある。
【0134】
言い換えると、3次元ビームフォーミングは、既存に線形的な1次元アレイのアンテナ構造に基づいて水平方向にのみなされた水平ビームフォーミングが進化したものであり、平面配列(planar array)などの多次元アレイのアンテナ構造又は大規模アンテナ(massive antenna)アレイに基づいてエレベーションビームフォーミング或いは垂直ビームフォーミングまで拡張及び結合された形態のMIMOプロセシング技法を意味する。
【0135】
上記の大規模アンテナアレイは、次の特性の一つ以上を有することができる。すなわち、i)2次元平面又は3次元空間に位置し、ii)論理的又は物理的アンテナが8個以上であり(ここで論理的アンテナは、アンテナポートと表現してもよい。)、iii )それぞれのアンテナがAASで構成される。ただし、上記の大規模アンテナアレイの定義はこれに制限されない。
【0136】
<第1実施例>
既存のMIMOシステムでは閉ループ(closed−loop)MIMO送信のために基地局の全体アンテナアレイに対するPMIフィードバックがなされている。これは、PMIコードブック形態で表現される全体基地局アンテナが生成できる複数のビーム方向のうち、端末が最も好むビーム方向をフィードバックすることと見なすことができる。
【0137】
下記の表6は、4行4列形態の16個アンテナで送信するビームと、8行8列形態の64個アンテナで送信するビームの形態を比較するものである。表6を参照すると、基地局アンテナ数が増加するほど、基地局の生成するビーム幅が減少しがらビームの形態が鋭くなり、結果としてビーム利得が大きくなることがわかる。閉ループMIMO送信の際、ビームが鋭くなると、チャネルの小さい変化にも、端末が測定した時点におけるPMIと実際に基地局が送信する時点におけるPMIとが不一致し、性能の低下が非常に大きくなる。すなわち、フィードバックに対する性能敏感度が非常に大きくなりうる。
【0139】
そこで、本発明では、複数の送信アンテナを有するシステムにおいて、基地局が端末間チャネル状況に応じて適応的にビーム形態(例えば、ビーム幅、ビーム利得、ビーム方向など)を制御する方法及びこれを支援するための端末のフィードバック方法を提案する。
【0140】
まず、基地局が端末に信号を送信する際、各端末のチャネル状況に適した有効送信アンテナポート集合を適応的に選択して適用することを提案する。
【0141】
有効送信アンテナポート集合とは、基地局の全体送信アンテナポート集合の任意の部分集合であって、端末にデータ送信を行うアンテナ集合を意味し、端末とのチャネル状況に応じて、データ送信に用いられるアンテナを全体アンテナの一部に限定することができる。
【0142】
図16は、本発明の第1実施例によって、全体アンテナポートから有効アンテナポート集合を選択した例を示す図である。
【0143】
図16を参照すると、8tx ULA(uniform linear array)の場合は、ビームが相対的に鋭いため、動きが少なく、周辺環境も静的であり、LoS(line of sight)が確保される環境では、相当な利得を得ることができるが、端末の動きが激しいか、端末の周辺にチャネルの動的変化を起こす要因が多い場合には、フィードバックオーバーヘッドは非常に大きいのに対し、パケット誤りによる再送信が起こる確率が高くなる。この場合、たとえ再送信が起こらないとしても、NLoS(Non line of sight)環境ではビームフォーミング利得そのものが非常に小さくなりうる。
【0144】
従来ではこのような環境下にある端末には開ループ(open−loop)MIMO技術を適用した。しかし、開ループMIMO技術はビーム利得が得られない技術であることから、アンテナ数が増加するほど、閉ループMIMOに比べて性能の低下は大きくなるという短所がある。そこで、本発明では、基地局にとって端末のチャネル環境が一定レベルのビームフォーミング利得を得難いと予想される場合、
図16のように、ビーム利得が減ってもビーム幅を広める形にビームを形成して送信する方法を提案する。すなわち、
図16は、ビーム幅を広めるために、有効アンテナポートの数及び有効アンテナアレイ(array)のサイズを減らす例である。
【0145】
有効アンテナポート、すなわち、有効アンテナアレイは必ずしも、
図16のように、隣接したアンテナポートで構成されるものではない。
【0146】
図17は、本発明の第1実施例によって、全体アンテナポートから有効アンテナポート集合を選択した他の例を示す図である。端末がNLoS環境であるとともに基地局と隣接していてSINRに優れていることから、ランク(rank)2以上の空間多重化(spatial multiplexing)が可能な状況を仮定すると、フィードバックオーバーヘッド対比性能を考慮して、
図17に示すように、全体有効アンテナアレイのサイズは多く減らさず、有効アンテナの個数のみを減らして送信することができる。
【0147】
類似の実施例として、隣接する2つのアンテナを束ねて一つの論理アンテナにマップする場合、全体有効アンテナアレイのサイズは略同一に維持したまま、有効アンテナの個数(或いは、論理アンテナの個数)を半分に減らすことができる。
【0148】
2次元アンテナアレイに本発明を適用する場合、全体アンテナに対して有効アンテナポート集合を一度で決定することもできるが、垂直領域及び水平領域のそれぞれに対して有効アンテナの数及び/又は有効アンテナアレイのサイズを制御することもできる。すなわち、垂直領域の有効アンテナポート集合と水平領域の有効アンテナポート集合をそれぞれ決定することができる。ただし、本発明の有効送信アンテナポート集合が適用される物理信号/チャネルの範囲は、LTEシステムにおけるDM−RS(UE−specific RS)、PDSCHのような端末特定信号/チャネルに限定することができる。
【0149】
本発明によれば、端末特定ビームの形成においてチャネル誤りが深刻になりうると予想される環境にある端末、或いはデータ再送信が必要な端末(fall−back mode)に、ビームのシャープネス(sharpness)を減らして送信することによって、パケット誤りの確率を下げることができ、且つチャネル誤りが深刻になりうると予想される環境にある端末やSINRがよくない端末に対してフィードバックオーバーヘッドを減らしたりフィードバック精度を上げたりすることができる。
【0150】
一方、本発明によれば、端末のチャネル状況を3つ以上のカテゴリーに分けて送信モードを決定することができる。例えば、有効アンテナポート集合、すなわち、部分的アンテナアレイ(partial antenna array)を用いた送信モードを、下記のように定義することができる。
【0151】
- Category 1 (Low mobility, LoS, Static environment) −>Dedicated beamforming with entire antennas
- Category 2 (Mid mobility, weak LoS, Non-static environment)−>Dedicated beamforming with a subset of antennas
- Category 3 (High mobility, NLoS, Dynamic environment)−>open-loop beamforming
【0152】
一方、部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミング時に、基地局と端末のチャネルの特性、例えば、端末の移動性(speed、rotation、accelerationなど)、チャネルのドップラー程度(Doppler spread、Max Doppler valueなど)、端末周辺のスキャッタリング環境(スキャッタの数及び分布、スキャッタの移動性など)、チャネル行列の特性パラメータ(rank、eigen value、condition numberなど)、LoS/NLoS因子(LoS利得対NLoS利得、NLoSクラスタの数など)、及びSINRのうち少なくとも一つによって有効送信アンテナポート集合を決定することができる。これらの情報の一部は、基地局カバレッジ内で端末位置によって無線環境データベースから取得したり、基地局が上りリンク信号を用いて直接測定することもでき、一部の情報は、端末が提供することもできる。
【0153】
又は、部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミング時に、端末は基地局に、端末の移動性(speed、rotation、accelerationなど)、チャネルのドップラー程度(Doppler spread、Max Doppler valueなど)、端末周辺のスキャッタリング環境(スキャッタの数及び分布、スキャッタの移動性など)、チャネル行列の特性パラメータ(rank、eigen value、condition numberなど)、LoS/NLoS因子(LoS利得対NLoS利得、NLoSクラスタの数など)、及びSINRのうち一つ以上の情報を提供することができる。そのために、端末は、位置センサー、加速センサーなどの様々なセンサーにおける情報を用いてフィードバック情報を構成することができる。
【0154】
以下、端末のフィードバック情報に基づいて部分的アンテナアレイを用いるビームフォーミング方法について説明する。
【0155】
まず、端末は基地局に、自身の好む有効送信アンテナポート集合をフィードバックすることができる。これは、端末が全体基地局送信アンテナポートの中からいずれの送信アンテナポートを有効アンテナポート集合として選択するかを判断し、その情報をフィードバックすることである。同様に、端末は、端末移動性、ドップラー程度、周辺環境のスキャッタリング環境、LoSであるか否か、SINRなどのうち取得可能な情報を用いて最適の有効アンテナ集合を選択する。
【0156】
端末のフィードバック情報は、次のように様々に構成することができる。
【0157】
a)有効送信アンテナポート集合情報は、アンテナポートインデックスの集合(或いは、アンテナポート集合のインデックス)、パイロットパターンインデックス及びアンテナポートの個数のうち一つ以上の情報で構成することができる。
【0158】
例えば、有効送信アンテナポート集合情報がアンテナポート数とアンテナポート集合インデックスで構成され、基地局アンテナが合計8個である場合、端末は、2tx、4tx、8txのうち好むアンテナ数を選択し、当該アンテナ数に該当するインデックスを下記の表7から選択し、当該インデックスと併せてフィードバックする。
【0160】
<第2実施例>
本発明の第2実施例では、部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミング技法を、3Dビームフォーミング技法において垂直ビームフォーミングと水平ビームフォーミングにそれぞれ適用する場合を考慮する。3Dビームフォーミング技法ではアンテナ数が多くなるとパイロット及びフィードバックオーバーヘッドが増加する問題があり、また、単一パイロットパターンを用いて全ての基地局アンテナから送信するパイロットをカバーすることは困難であるという問題点もある。これらの問題点を解決するために、基地局が端末に複数のパイロットパターンを用いてパイロットを送信することができる。
【0161】
図18及び
図19には、複数のパイロットパターンを用いてパイロットを送信する例を示す。特に、
図18は、水平方向にパイロットパターンを設定した例であり、水平方向にアンテナをグルーピングし、各グループ別に一つのCSI−RSリソースを割り当てている。この場合、それぞれのパイロットパターン(すなわち、CSI−RSリソース)に該当するプリコーダは、水平ビームフォーミングを行うプリコーダに該当し、各パイロットパターンを連結するプリコーダ、具体的には各パイロットパターンの位相及びサイズの差を示す係数の集合は、垂直ビームフォーミングを行うプリコーダに該当する。もちろん、垂直方向にアンテナをグルーピングしてパイロットパターンを割り当てる方法も可能である。
【0162】
図19は、垂直方向のプリコーダを各パイロットパターンの位相及びサイズの差を示す係数の集合ではなく別のパイロットパターンで構成したものであり、結果的に、水平方向及び垂直方向の両方でパイロットパターンを設定した例である。
【0163】
この場合、水平方向及び垂直方向のそれぞれに対して独立した部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミングを行うために下記を提案する。
【0164】
A)端末は、複数のQCL(quasi−co−located)パイロットパターンを受信した後、(1)好むQCLパイロットパターンに含めるアンテナポート数及び/又はインデックス、及び(2)好むQCLパイロットパターンを連結する係数の個数及び/又はインデックスを、基地局にフィードバックする。ここで、複数のQCLパイロットパターンは、同一の送信ポイントから送信されるパイロットパターンの集合を意味し、同一の数のアンテナポートを含む特徴をさらに有してもよい。このパイロットパターンは、LTEシステムにおいてNZP(non−zero−power)CSI−RSリソース或いはCSI−RSプロセス(process)であってもよい。
【0165】
上記の情報(1)、すなわち、好むQCLパイロットパターンに含めるアンテナポート数及び/又はインデックスは、それぞれのQCLパイロットパターンに対して独立した情報であってもよいが、全体QCLパイロットパターンに対して共通に適用可能な一つの代表値で表現されてもよい。
【0166】
上記の情報(2)、すなわち、好むQCLパイロットパターンを連結する係数の個数及び/又はインデックスにおいて、QCLパイロットパターンを連結する係数とは、パイロットパターンの特定アンテナポート間の位相差及び/又はサイズ差を示す係数値であり、端末は、該当の係数値を集めて基地局にフィードバックすることができる。
【0167】
例えば、
図18で、端末が各CSI−RSリソースの一番目のアンテナポート間のサイズ及び位相の差を計算して基地局にフィードバックすることができる。この値は、基地局では垂直ビームフォーミングのために用いられてもよく、全体垂直アンテナアレイを活用するためには、上記係数値(以下、連結係数)として全体QCLパイロットパターンの総数(N)個が必要である。ただし、特定パイロットパターンを基準に差値を測定してもよいため、基準となるパイロットパターンに関する情報は必要でなくてもよく、N−1個の係数値が要求されてもよい。例えば、2つのパイロットパターンが送信される場合、一番目のパイロットパターンに対する二番目のパイロットパターンの連結係数のみが要求されても構わない。より具体的に説明する。
【0168】
図20には、本発明の第2実施例によって部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミングを行う例を示す。特に、
図20は、4×4=16個のアンテナポートが送信される二次元アンテナアレイ環境を仮定する。
【0169】
図20を参照すると、基地局は端末に4個のQCL CSI−RSリソース、すなわち、CSI−RSリソース1〜4を設定及び送信する。このとき、端末は、水平方向に2個のアンテナポートに該当するビーム幅を好み、垂直方向には3個のアンテナポートに該当するビーム幅を好むと、端末は次の情報をフィードバックすることができる。ただし、合計N−1個の連結係数をフィードバックするシステムを仮定する。
【0170】
- Preferred number of antenna ports for each QCL CSI-RS resource =2
- Preferred number of linking coefficients =2
【0171】
上の例では、各情報においてアンテナポートの個数情報と連結係数の個数情報のみを表現したが、好むアンテナサブアレイが特定部分に偏らないようにアンテナインデックス情報が併せてフィードバックされてもよい。例えば、CSI−RSパターンに含まれたアンテナポート#0〜#3のうちアンテナポート#2及び#3を好むと、次のようにアンテナポートインデックスの集合の形態で表現したり、好むアンテナポート開始インデックスをアンテナポート数と併せてフィードバックする方法を用いることができる。
【0172】
− 選好アンテナポートインデックス集合:{#2,#3}
− 選好アンテナポート開始インデックス(#2)+アンテナポート数(2)
もちろん、上記のインデックス情報は連結係数に対しても同様に適用可能である。
【0173】
提案した情報に加えて、端末は、上記フィードバック情報に基づいて、好むPMIのようなプリコーダ情報及び連結係数情報をフィードバックすることができる。すなわち、各CSI−RSリソースに対して、4tx PMIコードブックではなく2tx PMIコードブックから選択したPMIを送信し、4個のうち3個のCSI−RSリソースを連結する連結係数だけをフィードバックしてもよい。CQI、RIなどを含むその他CSIフィードバック情報も、上記フィードバック情報に基づいて計算されてもよい。このとき、提案した情報と上記CSIフィードバックの伝達周期は互いに異なってもよい。
【0174】
図19のように水平方向及び垂直方向の両方でパイロットパターンが適用されると、端末は、それぞれのパイロットパターンに対する好むアンテナポート数及びインデックス情報をフィードバックし、水平方向及び垂直方向に対して独立した部分的アンテナアレイを用いたビームフォーミングを行うことができる。
【0175】
本発明で提案するフィードバック情報を広帯域システムにおいて適用する場合には、特定周波数領域(例えば、subband、sub−carrier、resource blockなど)に区分し、各周波数領域に対して別個のフィードバック情報集合をフィードバックすることができる。或いは、端末が選択したり又は基地局が指定した特定周波数領域に対してのみフィードバック情報が送信されてもよい。この周波数領域は、周波数連続的な一つ以上の領域で構成されてもよく、周波数不連続的な領域で構成されてもよい。
【0176】
<第3実施例>
一方、部分的アンテナアレイベースのビームフォーミングは、端末の移動性(mobility)などを含むチャネル環境及び特性に応じて最適のビーム幅を有するビームを形成することを一目的とする。ビーム幅を決定する最も決定的要素が有効アンテナアレイのサイズであることを勘案すれば、結局として、端末のチャネル状況に応じて有効アンテナアレイのサイズを適応的に形成する技術であるといえる。
【0177】
端末は、ドップラー、LoSなどを含むチャネルの統計的特性或いは端末内センサーなどを用いて測定した移動速度などから、自身に適した有効アンテナアレイのサイズを決定することができる。したがって、端末にとって有効アンテナアレイのサイズが重要な要素であるが、部分的アンテナアレイの具体的位置は重要な要素でなくてもよい。
【0178】
例えば、アンテナが4個存在するとき、好むビーム幅が、2個の隣接アンテナが生成するビーム幅と一致すると仮定する。このとき、基地局は該当の端末にデータを送信する際に、アンテナ集合{0,1}、{1,2}、{2,3}のいずれの集合を用いても、端末の性能には大きく影響しない確率が高い。このため、端末にとっては、好むアンテナポート数或いは有効アンテナアレイのサイズが重要な要素である。
【0179】
一方、基地局にとっては複数の端末にCDMA/FDMA/TDMA/SDMAのいずれかの形態でもデータを同時に送信しなければならず、基地局アンテナ別送信電力をバランスさせる必要がある。すなわち、各ユーザに信号を送信するアンテナ集合を互いに重ならないように極力分散させなければならない。
【0180】
例えば、4個のアンテナが存在するとき、ユーザAが好む有効アンテナアレイのサイズが2、ユーザBが好む有効アンテナアレイのサイズも2であるとき、基地局がユーザAにアンテナ集合{0,1}、ユーザBにアンテナ集合{2,3}を用いてデータを送信することが、アンテナ別送信電力のバランスからは最も効率的である。
【0181】
本発明の第3実施例では、このようなアンテナ別電力バランスのために、基地局が端末にアンテナポートシャフリング(shuffling)情報を提供することを提案する。端末は、上記シャフリング情報を用いて、アンテナポート数或いは有効アンテナアレイのサイズ情報のフィードバック又はCSI(channel status information)のフィードバックのうち少なくとも一つの動作を行うことができる。このCSIフィードバック過程は、PMI、CQI、RIフィードバックのような暗黙的(implicit)フィードバック情報の他、共分散行列(covariance matrix)、チャネル係数(channel coefficient)、MIMOチャネル行列(channel matrix)のような明示的(explicit)フィードバック情報も含むことができる。
【0182】
上記のアンテナポートシャフリング情報は、端末がいかなるアンテナ集合を基準にアンテナ数を決定するか或いはCSIフィードバックを行うかを知らせる情報であり、端末別に異なる情報がシグナルされてもよい。
【0183】
また、本発明において基地局は、端末別に異なる順序でアンテナポートをマッピングするようにし、異なるアンテナ集合でそれぞれの端末を支援することが好ましい。例えば、アンテナ{0,1,2,3}がある場合、端末Aには{0,1,2,3}、端末Bには{2,3,1,0}の順にアンテナをマッピングするようにシャフリング情報をそれぞれ指定すると、端末Aと端末Bがそれぞれ2個のアンテナを用いた送信を所望する場合、基地局は端末Aに当然にアンテナ{0,1}を割り当て、端末Bにアンテナ{2,3}を割り当てることとなる。
【0184】
したがって、提案するアンテナポートシャフリング情報は、1)アンテナポートインデックス遷移値(Antenna port index shifting value)、2)リバースアンテナポートインデックス(Reverse Antenna port index)ON/OFF、3)アンテナポートインデックスパーミュテーション値(Antenna port index permutation value)のような情報又はこれら情報の組合せで構成することができる。これについてより詳しく説明する。
【0185】
1)アンテナポートインデックス遷移値(Antenna port index shifting value)
基地局がセル内の端末に4tx CSI−RS(アンテナポートインデックス15,16,17,18)を送信すると仮定すれば、基地局は、セル内端末のそれぞれに対してアンテナポートインデックス遷移値を0〜3の整数のいずれか一つに設定する。各端末は、該当の値だけアンテナポートインデックスを循環遷移(cyclic shift)させる。例えば、アンテナポートインデックス遷移値が2であれば、{17,18,15,16}の順に再配列し、この順序を基準に、アンテナポートの数或いはアンテナポート間隔のサイズを決定する。より具体的に、アンテナポートインデックス遷移値が2の場合、端末に割り当てられるアンテナポートの個数が1個乃至3個に対応するポートインデックスは次のようにマッピングされてもよい。
【0186】
- 1tx case=port {17} only
- 2tx case=port {17, 18}
- 3tx case=port {17, 18, 15}
【0187】
上の例で、3tx caseのようにアンテナポートインデックスが隣接しない場合を防止するために、アンテナポートインデックス遷移値の適用時に、循環遷移ではなく他の方法を適用することもできる。例えば、遷移値を一応適用した後、最大アンテナポートインデックスに到達した場合、結合されたアンテナポートインデックス集合において最も近いインデックスから順次に含むように規則を設定することができる。すなわち、アンテナポートインデックス遷移値が2のとき、端末に割り当てられるアンテナポートの個数が1個乃至3個に対応するポートインデックスは、次のようにマッピングされてもよい。
【0188】
- 1tx case=port {17} only
- 2tx case=port {17, 18}
- 3tx case=port {17, 18, 16}
【0189】
特に、3tx caseの場合、インデックス集合{17,18}と最も近いインデックスは16であるから、アンテナポートインデックス16が上記結合されたアンテナポート集合に含まれたことがわかる。
【0190】
これをアルゴリズムで表現すると、次の表8のとおりである。
【0192】
表8で、I_iniは、最小アンテナポートインデックスであり、上記の例ではアンテナポートインデックス15に該当し、I_maxは、最大アンテナポートインデックスであり、アンテナポートインデックス18に対応し得る。そして、Sは、アンテナポートインデックス遷移値であり、上記の例では2の値を有する。表8のアルゴリズムの結果として、Pi(集合に含まれるi番目のアンテナポートのインデックス)が導出される。
【0193】
2. リバースアンテナポートインデックス(Reverse Antenna port index)ON/OFF
上記のアンテナポートインデックス遷移値が端末別にアンテナポートインデックスの開始地点を知らせた場合には、リバースアンテナポートインデックスON/OFF情報は、アンテナポートインデックスを読む方向を指示する。例えば、リバースアンテナポートインデックスがONの状態であれば、アンテナポートインデックスを逆に読む。
【0194】
例えば、4tx CSI−RSでリバースアンテナポートインデックスがONの状態である端末は、アンテナポートインデックスを後から{18,17,16,15}と読む。この情報は単独で用いられてもよいが、アンテナポートインデックス遷移値と共に用いられて、アンテナポートインデックスの開始時点と方向を同時に指定することもできる。
【0195】
3. アンテナポートインデックスパーミュテーション値(Antenna port index permutation value)
アンテナポートインデックスパーミュテーション値は、アンテナポートインデックスを再配列(re−ordering)する時に使用するパーミュテーション情報を直接知らせるための情報である。例えば、適用可能なパーミュテーション規則を複数個定義し、該当のパーミュテーション規則を示すインデックスをシグナリングしたり、インデックスパーミュテーションをone−line notation、two−line notation、或いはcyclic notationの形態で表現してシグナリングすることができる。或いは、パーミュテーション行列の形態で表現し、パーミュテーション行列インデックスをシグナリングに使用することもできる。
【0196】
上記の例では、アンテナシャフリング情報を用いてアンテナ数を決定する例を挙げたが、アンテナシャフリング情報は、アンテナ数を決定した後にCSIフィードバックを行う過程でも活用可能である。例えば、端末が4tx CSI−RS受信のとき、アンテナシャフリング情報によって2tx PMIを決定する際に、アンテナポート{15,16}ではなくアンテナポート{17,18}を基準に2tx PMIコードブックからPMIを選択するように規定することもできる。
【0197】
アンテナシャフリング情報は、基地局が端末にシグナリングできるが、ネットワークで規定した所定の規則によってアンテナシャフリングを行うようにすることができる。例えば、端末の識別子によって、使用するアンテナシャフリング規則が決定されるようにすることができる。又は、各端末別にランダムにアンテナシャフリング規則を選択するようにしてもよい。
【0198】
以下、アンテナシャフリングが適用された場合、基地局−端末間のシグナリングに関する例を示す。
【0199】
A)基地局が端末にアンテナシャフリング情報及びパイロット信号を送信し、端末は基地局に、好むアンテナポート数と好むアンテナポート数に基づくCSIをフィードバックする。
【0200】
B)又は、基地局は端末にパイロット信号を送信し、端末は基地局に、好むアンテナポートの個数をフィードバックする。その後、基地局は端末に、好むアンテナポートの個数に基づくアンテナシャフリング情報をシグナリングし、端末は基地局に、好むアンテナポート数及びシャフリング情報に基づくCSIをフィードバックする。
【0201】
C)又は、基地局は端末に、第1アンテナシャフリング情報及びパイロット信号を送信し、これを受信した端末は基地局に、好むアンテナポートの個数を送信する。基地局は端末に、上記の好むアンテナポートの個数に基づく第2アンテナシャフリング情報をシグナリングし、端末はこれに基づいてCSIを算出して基地局にフィードバックする。
【0202】
次のD)及びE)は、基地局が端末別に適用するアンテナ数を判断して指定する例である。
【0203】
D)基地局は端末に、パイロット信号を送信するとともに、当該端末に適用されるアンテナポートの個数及びアンテナシャフリング情報をシグナリングする。もちろん、端末はこれを用いてCSIを算出して基地局にフィードバックする。
【0204】
E)又は、端末は基地局に、自身の移動性及びチャネルの統計的情報(例えば、LoS、Dopplerなど)を伝達し、これを受信した基地局は端末にパイロット信号を送信するとともに、当該端末に適用されるアンテナポートの個数及びアンテナシャフリング情報をシグナリングする。もちろん、端末はこれを用いてCSIを算出して基地局にフィードバックする。
【0205】
一方、本発明を3Dビームフォーミング環境に適用する場合、2次元アンテナアレイの垂直方向と水平方向に対してそれぞれアンテナシャフリング情報が提供されてもよい。また、垂直方向或いは水平方向のいずれか一方向に複数のパイロットパターンが設定される場合、上記アンテナシャフリング情報は、パイロットパターン内のアンテナポートシャフリング情報及び連結係数の計算/報告のためのパイロットパターンシャフリング情報の形態で構成されてもよい。ここで、連結係数とは、設定された複数のパイロットパターンの特定アンテナポート間の位相差及び/又はサイズ差を示す係数値を意味する。
【0206】
すなわち、複数のQCLパイロットパターンが端末に割り当てられる場合、アンテナポートシャフリング情報は、パイロットパターンに属したアンテナポートのシャフリング情報及び/又はパイロットパターンのシャフリング情報を含むことができる。
【0207】
ここで、複数のQCLパイロットパターンは、同一の送信ポイントから送信されるパイロットパターンの集合を意味し、同一の個数のアンテナポートを含む特徴をさらに有してもよい。また、パイロットパターンは、LTEシステムにおいてNZP CSI−RSリソース或いはCSI−RSプロセスであってもよい。
【0208】
また、アンテナポートのシャフリング情報は、パイロットパターン別に独立した情報であってもよく、全てのQCLパイロットパターンに対して共通に適用される一つの情報であってもよい。垂直方向及び水平方向の両方に対してパイロットパターンが設定される場合には、アンテナシャフリング情報は、パイロットパターン内のアンテナポートシャフリング情報だけで表現されてもよい。
【0209】
<第4実施例>
図21は、MIMOシステムの一般的なプリコーディング構造を示す図である。
【0210】
図21を参照すると、M個の空間データストリーム(或いは、レイヤ)は、MIMOプリコーダによってNt個の送信アンテナポート或いはNt個の論理送信アンテナにマップされる。ここで、Mは、送信ランク(transmission rank)を表す。もちろん、論理アンテナは実際に物理アンテナと一対一でマップされなくてもよい。例えば、基地局のように大規模アンテナアレイ設置が可能な場合、複数の物理アンテナが一つの論理アンテナにマップされてもよい。一般に、このような論理アンテナ−物理アンテナ間のマッピング関係は、通信規格標準化の対象ではない。受信機においても同様に、論理受信アンテナと物理受信アンテナ間のマッピング関係が設定された後、MIMO受信機を通過する。広帯域システムでは、MIMOプリコーダ/受信機の前又は後に、副搬送波マッパー/デマッパー(subcarrier mapper/demapper)のような周波数変調(frequency modulation)関連ブロック又はモジュールが追加されてもよい。
【0211】
LTEシステムで支援するパイロット信号は、MIMOプリコーディングを適用するか否かによって、プリコーディングパイロット(precoded pilot)と非−プリコーディングパイロット(non−precoded pilot)とに大別できる。非−プリコーディングパイロットは主にチャネル測定用に用いられるものであり、下りリンクではCRS、CSI−RSが、上りリンクではSRSがその範ちゅうに属する。プリコーディングパイロットは、パイロット信号もMIMOプリコーダを通過して送信され、主に、受信機の送信ストリーム復調(demodulation)の用途に用いられる。下りリンクでは端末特定RS、EPDCCH DM−RSが、上りリンクではDM−RSが、プリコーディングパイロットに該当する。
【0212】
各パイロット信号は、その種類によって異なる論理アンテナ−物理アンテナマッパーを用いることができる。例えば、CSI−RSに対しては最大8までのNtが支援されるが、同様に下りリンクパイロットであるCRSに対しては最大4までのNtが支援される。
【0213】
プリコーディングパイロットが用いられる場合、受信機は、各M個のレイヤで送信される信号が各Nr個の受信論理アンテナに受信された信号を測定し、NrxMのMIMOチャネル行列を推定することができる。一方、非−プリコーディングパイロットが用いられる場合には、受信機は、各Nt個の送信論理アンテナからNr個の受信論理アンテナに受信される信号を測定し、NrxNtのMIMOチャネル行列を推定することができる。広帯域システムにおいて一部の周波数リソースでパイロットが送信されると、当該周波数リソース領域に対するNrxM或いはNrxNtのMIMOチャネル行列を推定することができる。
【0214】
チャネル推定用パイロット信号から受信機が測定したNrxNtチャネル行列に関する情報は、送信機にフィードバックされ、送信機がデータ送信時に使用するMIMOプリコーダを決定する上で用いることができる。このようなフィードバック情報として、選好レイヤ数(M)に対する情報であるRI、選好NtxMのMIMOプリコーダ情報であるPMI、NrxNtチャネルの統計的特性情報である共分散行列(covariance matrix)などを挙げることができる。
【0215】
図22は、MIMOシステムにおいて本発明の第4実施例に係るプリコーディング構造を示す図である。
【0216】
図22のプリコーディング構造は、受信機の立場で示したものであり、送信機の立場では、多重ユーザ(multi−user)MIMO送信を考慮して、複数の受信機にそれぞれのMIMOプリコーダを通して送信する構造に拡張して示すことができる。
【0217】
一方、上述した大規模(Massive)MIMOに代表される次世代アンテナシステムのように、送信アンテナ数が多くなることから送信論理アンテナ数(Nt)が既存よりも遥かに多くなると、受信機が推定すべきチャネルもそれだけ多くなり、チャネル推定が複雑となる。このような複雑度は、受信アンテナ数(Nr)まで増加する場合には一層深刻になりうる。また、送信論理アンテナ数(Nt)とチャネル推定用パイロットの数は比例するので、同一レベルのチャネル推定性能を維持するにはパイロットオーバーヘッドを増加させなければならない。しかも、一般に、フィードバックのオーバーヘッド及び/又は精密度は、送信論理アンテナ数の増加によって幾何級数的に増加する。結果として、送信論理アンテナ数の増加によって、パイロットオーバーヘッドの増加、フィードバックオーバーヘッドの増加/フィードバック正確度の減少、チャネル推定複雑度/誤り増加などといった問題が発生しうる。
【0218】
本発明では、送信論理アンテナ数の増加によるパイロット/フィードバックオーバーヘッド及び複雑度の増加といった問題を解決するために、M個のレイヤをNt’個の第2論理アンテナにマップする第1MIMOプリコーダと、Nt’個の第2論理アンテナをNt(ただし、Nt’≦Nt)個の第1論理アンテナにマップする第2MIMOプリコーダを構成することを提案する。第2論理アンテナの構成は、送信機と受信機間のチャネル特性に応じて適応的に決定される。
【0219】
第2MIMOプリコーダは、第1論理アンテナを、同一の数又は少ない数の第2論理アンテナにマップする役割を担う。第2MIMOプリコーダの一実施例として、Nt’=2、Nt=4の場合、次の式11のようなNtxNt’行列を第2MIMOプリコーダとして用いることができる。
【0221】
この実施例で、ρ
1、ρ
2は、電力スケーリング因子(power scaling factor)を表し、その値は、第2MIMOプリコーダによる電力減少/増加/維持によって決定することができる。
【0222】
上述したように、論理アンテナ数は、送信機の立場ではチャネル測定用パイロットの数、受信機の立場ではCSIフィードバック構成のための有効MIMOチャネルのサイズを決定する。既存のシステムにおいてこのような論理アンテナは、非−プリコーディングパイロット送信及びこれに基づくCSIフィードバックとして単純化している。すなわち、論理アンテナ数=送信機送信パイロット数=受信機のCSIフィードバック構成時に基準となる有効MIMOチャネルにおける送信アンテナ数といった関係が成立する。
【0223】
本提案では新しい論理アンテナ、すなわち、第2論理アンテナを定義する。提案する論理アンテナは、送信機の立場では送信パイロットオーバーヘッドを減らすために用いることができ、受信機の立場ではCSIフィードバック構成時に基準となる有効MIMOチャネルの次元(dimension)を減らしてフィードバックオーバーヘッドを低減したり、フィードバック精密度を上げるために用いることができる。このとき、第2論理アンテナは、第2非−プリコーディングパイロットが導入されるか否かによって送信機の送信パイロット数とは一致しなくてもよく、減少した次元ベースのCSIフィードバックが導入されるか否かによって、受信機のCSIフィードバック構成時に基準となる有効MIMOチャネルにおける送信アンテナ数と一致しなくてもよい。すなわち、提案する論理アンテナは、送信機の送信パイロットと受信機のフィードバックチャネル構成のいずれか一方にのみ影響を与えてもよい。
【0224】
本発明の特長は、送信機、受信機、或いはネットワークの状態に応じて、適用される論理アンテナ数を適応的に変えることができるという点である。一般に、第1非−プリコーディングパイロットは受信機によらずに決定される。下りリンクを考慮すると、第1非−プリコーディングパイロットは当該送信機(すなわち、基地局)カバレッジ内の全受信機(すなわち、端末)が受信する。例えば、LTEシステムにおいて第1非−プリコーディングパイロットに該当するCRS或いはCSI−RSは、当該基地局のカバレッジにおける端末が共通に受信し、CSIフィードバックの他、セル選択、ハンドオーバーなどにも活用される信号である。上りリンクにおける第1非−プリコーディングパイロットの構成も送信機(端末)の特性によって決定されるため、第1論理送信アンテナの数は受信機によって適応的に変えることが難しい。
【0225】
しかし、本発明によれば、第2MIMOプリコーダを受信機或いは受信機の状態に応じて適応的に適用して第2論理送信アンテナの構成を変えることができる。第2論理送信アンテナは、受信機のフィードバック構成或いは送信機のパイロット構成に影響を与え、フィードバックオーバーヘッド/正確度を向上させたり、パイロットオーバーヘッドを減らすことができる。
【0226】
まず、フィードバックオーバーヘッドの減少及び/又は正確度の向上のために、受信機が第2論理アンテナを基準に構成されたNrxNt’有効MIMOチャネルに基づいてCSIフィードバック情報を構成することを提案する。
【0227】
上記CSIフィードバックは、PMI、RIのような暗黙的(implicit)情報に加えて、チャネル係数(channel coefficient)、共分散行列(covariance matrix)のような明示的(explicit)情報も含むことができる。具体的に、暗黙的情報の場合、既存ではNtxMのMIMOプリコーダに関する情報をフィードバックしたとすれば、提案する構造ではNt’xMのMIMOプリコーダに関する情報をフィードバックする。また、明示的情報の場合、既存にはNrxNtチャネルに関する情報をフィードバックしたとすれば、提案する方法ではNrxNt’チャネルに関する情報をフィードバックする。
【0228】
その結果、本発明によれば、送信機の総送信論理アンテナ数よりも小さい数の論理アンテナを基準にフィードバック情報を構成することができる。どれくらいそしてどのように、より小さい数の論理アンテナを形成するかは、第2MIMOプリコーダによって決定される。第2MIMOプリコーダの構成は、送信機が独自に決定することもできるが、受信機が送信機の第2MIMOプリコーダの決定に用いられる情報を提供することもできる。したがって、次の1)及び2)を提案する。
【0229】
1)受信機は、第1非−プリコーディングパイロットの受信を通じて、第2MIMOプリコーダを決定する上で必要な情報を送信機にフィードバックすることができる。フィードバックする情報は、次のa)乃至d)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0230】
a)好む第2論理送信アンテナ数(Nt’)
b)好む第2MIMOプリコーダ構成情報
c)第1論理送信アンテナベースのCSIフィードバック情報
d)チャネル特性情報(ドップラー特性、受信機移動速度など)
【0231】
上のa)乃至d)の情報のうち、c)第1論理送信アンテナベースのCSIフィードバック情報が適用されると、第2論理送信アンテナベースのCSIフィードバック量を考慮して全体フィードバック量を最適化することができる。例えば、既存のシステムでは5msecごとに100ビットサイズの第1論理アンテナベースフィードバックを行ったとすれば、1msec当たり20ビットのフィードバックが行われたといえる。これに対し、本発明では、20msecごとに20ビットサイズの第1論理アンテナベースのCSIフィードバックを行い、追加的に5msecごとに50ビットサイズの第2論理アンテナベースのCSIフィードバックを行うようにすることによって、フィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。すなわち、1msec当たり11ビットのフィードバックが行われる。上記のc)の他、a)、b)及びd)に対しても、類似の方式でフィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。
【0232】
また、受信機が第2論理アンテナベースのチャネルを測定して報告するためには、大きく2つの方法を考慮することができる。その第一は、適用される第2MIMOプリコーダ情報を受信機に直接知らせる方法である。例えば、第2MIMOプリコーダに対するいくつかの候補を構成し、候補インデックスの形態で受信機に知らせる方式を考慮することができる。受信機は前記第2MIMOプリコーダ情報を受信した後、第1論理アンテナに基づいて生成された第1非−プリコーディングパイロットを測定し、第2論理アンテナベースのNrxNt’有効MIMOチャネルを測定することができる。例えば、合計100個の第1論理アンテナ(port #0〜#99)が送信されるシステムにおいて、受信機に、アンテナポート#10〜#19のみを選択するアンテナ選択タイプ(antenna selection type)の第2MIMOプリコーダが用いられる旨を知らせると、受信機は、当該10個の第2論理アンテナ集合(アンテナポート#10〜#19に相当)に該当する有効MIMOチャネルを受信してCSIフィードバック情報を構成することができる。
【0233】
ただし、上の方式は、受信機のフィードバックオーバーヘッド/正確度の向上のために適用できる方法であるが、パイロットオーバーヘッドを減らすことはできない。そこで、第二の方法として、送信機が第2論理アンテナごとに区別される新しいパイロット信号(すなわち、第2非−プリコーディングパイロット)を送信する方法を考慮することもできる。この場合、受信機は、第2非−プリコーディングパイロットを受信して第2論理アンテナベースNrxNt’有効MIMOチャネルを直ちに測定することができる。特に、フィードバックオーバーヘッド/正確度の向上にかかわらずパイロットオーバーヘッドを減少できる一つの方法としても活用可能である。
【0234】
2)送信機は、各第2論理アンテナに区別されるパイロット信号(すなわち、第2非−プリコーディングパイロット)を送信することができる。
【0235】
第2非−プリコーディングパイロットとは、
図19に示すように、第1MIMOプリコーダを通過しないが、第2MIMOプリコーダは通過して送信されるパイロット信号を意味する。第2非−プリコーディングパイロットが第1非−プリコーディングパイロットと併せて送信される場合、第1非−プリコーディングパイロットは、ハンドオーバー、セル選択/再選択のようなL2測定の用途又は第2MIMOプリコーダ決定の用途に用いることができる。また、この場合、第2非−プリコーディングパイロットは、PMI、RI、共分散行列、チャネル係数などのようなCSI測定/フィードバックの用途に用いることができる。そして、第1非−プリコーディングパイロットは、用途によって異なる種類のパイロットが送信されてもよい。例えば、L2測定の用途に、CRS或いはLTE Rel−12NCT(new carrier type)で議論されている縮小したCRS(reduced CRS)が用いられ、第2MIMOプリコーダ決定の用途に、CSI−RSが用いられてもよい。
【0236】
第2非−プリコーディングパイロットが導入されると、パイロットオーバーヘッドを減らすことができる。例えば、合計100個の非−プリコーディングパイロット(例えば、CSI−RS)を5msecごとに送信するシステムのパイロットオーバーヘッドは、1msec当たり20パイロットリソースであるといえる。このシステムにおいて第1プリコーディングパイロットの送信周期を20msecと増やし、提案する第2プリコーディングパイロットを5msecごとに送信するが、第2論理アンテナ数は第2MIMOプリコーダによって20個に減ると仮定すれば、全体パイロットオーバーヘッドは1msec当たり9パイロットリソースとなり、2倍以上も減る。
【0237】
また、第2プリコーディングパイロットは、送信機と受信機間のチャネル状況によって決定されるため、第2プリコーディングパイロットの送信周期や周波数側の送信密度のようなパイロットオーバーヘッドを該当の受信機のチャネル状況に応じて最適化できるという長所がある。
【0238】
本発明で提案する構造を用いて第2MIMOプリコーダを端末の移動性或いはドップラー特性に応じて送信アンテナ数を適応的に設定すると、端末は、当該アンテナ数に合わせてフィードバックを行うことができる。例えば、
図16のように第1論理アンテナ数が8個である環境で、端末が低−移動性の特性を有する場合、第2論理アンテナ数を8個で構成し、中−移動性の特性を有する場合、第2論理アンテナ数を4個で構成し、高−移動性の特性を有する場合、第2論理アンテナ数を1個で構成するような形態で第2MIMOプリコーダを適応的に変化させることができる。
【0239】
3Dビームフォーミング環境でこのような適応的部分アレイビームフォーミング(Adaptive Partial Array Beamforming)を適用すると、アンテナアレイの垂直方向と水平方向に送信されるパイロットに対して独立して次数(dimension)を制御することができる。また、垂直方向と水平方向に対して受信機がフィードバックする情報も、独立して次数(dimension)を制御することができる。
【0240】
一方、大規模アンテナアレイシステム(Massive antenna system)において、基地局のアンテナ数は端末のアンテナ数よりも遥かに増加する可能性が高い。この場合、提案した構造を応用すると、サブ−アレイ(sub−array)ベースの多重ユーザビームフォーミング(multi−user beamforming)が容易に支援される。
【0241】
図23は、本発明の第4実施例に係る、サブ−アレイベース多重ユーザビームフォーミングを支援する通信システムを例示する図である。
【0242】
図23を参照すると、基地局のアンテナが100個であり、当該基地局の範囲内に5個の端末が存在するとすれば、基地局は、100個のアンテナを20個ずつ分割して5個の端末をそれぞれ支援することができる。このとき、1つのアンテナが支援する端末が2つ以上となる形態、すなわち、端末とアンテナ間のマッピング関係において複数の端末が一つのアンテナにマップされる場合、各端末当たり20個以上のアンテナが支援されることも可能であるが、便宜上、これを排除して説明する。
【0243】
この場合、各端末は20個の第2論理アンテナを基準にフィードバックを構成し、フィードバックオーバーヘッド/正確度を向上させることができる。第2非−プリコーディングパイロットのオーバーヘッドはユーザ当たり20個ずつであり、基地局の立場では同様に合計100個のパイロットリソースが必要であると見なすことができるが、各端末の状況に応じて第2非−プリコーディングパイロットの送信周期や周波数側の密度を独立して制御することができ、実際のパイロットオーバーヘッド/正確度を既存システムに比べて格段に向上させることができる。
【0244】
図24は、本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【0245】
図24を参照すると、通信装置2400は、プロセッサ2410、メモリ2420、RFモジュール2430、ディスプレイモジュール2440、及びユーザインターフェースモジュール2450を備えている。
【0246】
通信装置2400は説明の便宜のために示されたもので、一部のモジュールは省略されてもよい。また、通信装置2400は必要なモジュールをさらに備えてもよい。また、通信装置2400において一部のモジュールはより細分化したモジュールに区分されてもよい。プロセッサ2410は、図面を参照して例示した本発明の実施例に係る動作を実行するように構成される。具体的に、プロセッサ2410の詳細な動作は、
図1乃至
図23に記載された内容を参照すればよい。
【0247】
メモリ2420は、プロセッサ2410に接続し、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムコード、データなどを格納する。RFモジュール2430は、プロセッサ2410に接続し、基底帯域信号を無線信号に変換したり、無線信号を基底帯域信号に変換する機能を果たす。そのために、RFモジュール2430は、アナログ変換、増幅、フィルタリング及び周波数アップ変換又はこれらの逆過程を行う。ディスプレイモジュール2440は、プロセッサ2410に接続し、様々な情報をディスプレイする。ディスプレイモジュール2440は、特に制限されるものではなく、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diode)のような周知の要素を用いることができる。ユーザインターフェースモジュール2450は、プロセッサ2410に接続し、キーパッド、タッチスクリーンなどのような周知のユーザインターフェースの組合せで構成可能である。
【0248】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもでき、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替わってもよい。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりできるということは明らかである。
【0249】
本文書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードによって行われ得ることは明らかである。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語にしてもよい。
【0250】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現では、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0251】
ファームウェアやソフトウェアによる具現では、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動可能である。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
〔実施例〕
【0252】
様々な実施例が、上述の発明を実行するための形態に説明されている。