特許第6466435号(P6466435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466435
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】導管を評価するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20190128BHJP
   A61B 5/0215 20060101ALI20190128BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20190128BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20190128BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20190128BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   A61B5/02 D
   A61B5/0215 C
   A61B5/022 500A
   A61B8/12
   A61B6/03 377
   G01N21/17 620
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-527129(P2016-527129)
(86)(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-528969(P2016-528969A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014047205
(87)【国際公開番号】WO2015010027
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】61/856,509
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】バーネット ジョー
(72)【発明者】
【氏名】アルパート ハワード デイビッド
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/028612(WO,A2)
【文献】 特開2013−116332(JP,A)
【文献】 特開2003−230556(JP,A)
【文献】 特開2009−125394(JP,A)
【文献】 特開2011−206155(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/021307(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/155040(WO,A1)
【文献】 特開2006−167287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
A61B 6/00 − 6/14
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の導管を評価するためのシステムであって、前記システムは、
前記患者の前記導管内に導入可能なサイズ及び形状を有する第1の器具と、
前記患者の前記導管内に導入可能なサイズ及び形状を有する第2の器具と、
前記第1及び第2の器具と通信する処理システムであって、
前記第2の器具が第1の位置から第2の位置まで前記患者の前記導管中を長さ方向に移動されており、前記第1の器具が前記導管に対して固定の長さ方向位置に維持されている間、前記第1及び第2の器具から圧力測定値を取得し、
前記処理システムと通信するディスプレイ上に、取得された前記圧力測定値に基づく視覚化を含む前記導管の画像を出力する、処理システムとを含
前記視覚化は、前記第1及び第2の器具から取得された、前記導管の長さに沿う前記圧力測定値の圧力比の変化量をマーキングの数によって表している、
システム。
【請求項2】
前記第1の位置は、前記導管の少なくとも1つの狭窄の遠位である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の位置は、前記導管の前記少なくとも1つの狭窄の近位であり、前記第2の器具を前記導管中で長さ方向に移動させることは引き戻しを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記画像は血管内画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記血管内画像は、血管内超音波(IVUS)画像及び光干渉断層撮影(OCT)画像のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像は血管外画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記血管外画像は、二次元血管造影画像、三次元血管造影画像、及びコンピュータ断層撮影血管造影(CTA)画像のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記視覚化は、前記第1及び第2の器具から取得された前記圧力測定値の圧力比の変化に基づく強度マップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記強度マップの第1の視覚的特性は、閾値より高い圧力比に関連付けられ、前記強度マップの第2の視覚的特性は、前記閾値より低い圧力比に関連付けられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記視覚化は、前記第1及び第2の器具から取得された前記圧力測定値の圧力比のグラフを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記グラフの近位及び遠位部分を、前記画像内に示される前記導管の対応する近位及び遠位部分と位置合わせするために、前記グラフは必要に応じてスケーリング、回転、及び反転される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記視覚化は、前記第1及び第2の器具から取得された前記圧力測定値の圧力比の数値を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記マーキングの第1の視覚的特性は、閾値より高い圧力比に関連付けられ、前記マーキングの第2の視覚的特性は、前記閾値より低い圧力比に関連付けられる、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記マーキングの前記第1の視覚的特性は第1の色であり、前記マーキングの前記第2の視覚的特性は、前記第1の色から視覚的に区別可能な第2の色である、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には導管の評価に関し、具体的には、導管内の流体の流れの妨害又は他の制限の深刻さの評価に関する。本開示の側面は、生物学的導管の評価に特に適し得る。例えば、本開示の一部の具体的実施形態は、特に人間の血管の狭窄を評価するために構成される。
【背景技術】
【0002】
虚血を引き起こす病変を含め、血管内の狭窄の深刻さを評価するための技術として現在認められている技術の1つは、冠血流予備量比(fractional flow reserve;FFR)である。FFRとは、(狭窄の近位側で取得された)近位圧力測定値に対する(狭窄の遠位側で取得された)遠位圧力測定値の比の計算結果である。FFRは、閉塞が血管内の血流を治療が必要な程度に制限するかを決定することを可能にする、狭窄の深刻さの指標を提供する。健康な血管におけるFFRの通常値は1.00であり、一方、約0.80未満の値は一般的に重大であり、治療を要すると見なされる。治療の一般的な選択肢は、血管形成術及びステント留置術を含む。
【0003】
冠血流は、近位で生じる(例えば大動脈内等の)圧力変動だけでなく、同時に、遠位で生じる微小循環内の変動の影響も受ける点で独特である。したがって、遠位冠動脈圧は純粋に血管の大動脈端部から送られた圧力の残余ではないため、単純に、狭窄前後の平均又はピーク圧力降下を測定することによって冠動脈狭窄の深刻さを正確に評価することはできない。結果として、冠動脈内のFFRを有効に計算するには、血管内の血管抵抗を低下させる必要がある。現在、冠動脈内の抵抗を低下させ及び安定化するために、アデノシン等の薬理学的充血剤(hyperemic agent)が投与されている。これらの強力な血管拡張薬は、主に心周期の収縮部分に関連する微小循環抵抗を下げることによって抵抗の急激な変動を低減し、比較的安定な最小抵抗値が得られる。
【0004】
しかし、充血剤の投与は必ずしも可能でなく又は推奨されない。第1に、充血剤投与の臨床的労力は非常に大きい可能性がある。国によっては(特に米国)、アデノシン等の充血剤は高価であり、また、静脈(IV)投与される場合、取得に時間がかかる。この点について、IV投与アデノシンは、通常、病院薬局において症例毎に調合される。アデノシンを調製してオペレーションエリアに送るには、大きな時間及び労力を要するおそれがある。これらのロジスティクスに関する障害は、FFRの使用に関する医師の決定に影響を及ぼし得る。第2に、患者によっては、ぜんそく、深刻なCOPD、低血圧、徐脈、低い心駆出率、亜急性心筋梗塞、及び/又は充血剤の投与を阻害する他の要因等、充血剤の使用に対して禁忌を有する。第3に、多くの患者は充血剤の投与を不快に感じ、これは、FFR測定結果を取得するプロセスの過程で充血剤を複数回投与しなければならない可能性があるという事実によって悪化するだけである。第4に、充血剤の投与は、さもなければ回避され得る中心静脈へのアクセス(例えば、中心静脈シース)も要し得る。最後に、全ての患者が充血剤に対して期待通りの反応を示すわけではなく、充血剤の投与前にこれらの患者を識別することは困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、導管内の妨害、特に血管内の狭窄の深刻さを評価するための改良された装置、システム、及び方法へのニーズが依然として存在する。これに関連して、充血剤の投与を必要としない、冠動脈内の狭窄の深刻さを評価するための改良された装置、システム、及び方法へのニーズが依然として存在する。また、導管の評価、特に導管の任意の狭窄又は病変の評価を可能にする導管の視覚的描写を提供するための改良された装置、システム、及び方法へのニーズが依然として存在する。さらに、導管のための1つ又は複数の利用可能な治療オプションをシミュレートする改良された装置、システム、及び方法へのニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、導管内の妨害、特に血管内の狭窄の深刻さを評価するよう構成される。一部の特定の実施形態では、本開示の装置、システム、及び方法は、導管、特に導管の任意の狭窄又は病変の評価を可能にする、導管の視覚的描写を提供するよう構成される。また、一部の実施形態では、本開示の装置、システム、及び方法は、導管に対する1つ又は複数の治療オプションをシミュレートするよう構成される。治療オプションのシミュレーションは、特定の導管に対して最も有望な治療オプションを特定するために使用され得る。
【0007】
一部の実施形態では、患者の導管を評価する方法が提供される。方法は、第2の器具が第1の位置から第2の位置まで患者の導管中を長さ方向に移動されており、第1の器具が導管内で静止したままの間、第1及び第2の器具から圧力測定値を取得するステップと、取得された圧力測定値に基づく視覚化を含む導管の画像をディスプレイ上に出力するステップとを含む。一部の実施形態では、第1の位置は導管の少なくとも1つの狭窄の遠位であり、第2の位置は導管の少なくとも1つの狭窄の近位であり、第2の器具を導管中で長さ方向に移動させることは引き戻しを含む。一部の実施形態では、画像は血管内超音波(IVUS)画像及び光干渉断層撮影(OCT)画像等の血管内画像である。一部の実施形態では、画像は二次元血管造影画像、三次元血管造影画像、及びコンピュータ断層撮影血管造影(CTA)画像等の血管外画像である。
【0008】
一部の実施形態では、視覚化は、第1及び第2の器具から取得された圧力測定値の圧力比の変化に基づく強度マップを含む。例えば、強度マップの第1の視覚的特性は、閾値より高い圧力比に関連付けられ、強度マップの第2の視覚的特性は、閾値より低い圧力比に関連付けられる。一部の実施形態では、視覚化は、第1及び第2の器具から取得された圧力測定値の圧力比のグラフを含む。一部の実施形態では、グラフの近位及び遠位部分を、画像内に示される導管の対応する近位及び遠位部分と位置合わせするために、グラフは必要に応じてスケーリング、回転、及び反転される。一部の実施形態では、視覚化は、第1及び第2の器具から取得された圧力測定値の圧力比の数値を含む。一部の実施形態では、視覚化は、第1及び第2の器具から取得された圧力測定値の圧力比を表すマーキングを含む。これに関して、マーキングの数は、圧力比の相対的変化を表し得る。かかる方法を実行するためのシステムも提供される。
【0009】
本開示の追加の側面、特徴、及び利点が、後続の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の添付図面を参照しながら、本開示の例示的実施形態を説明する。
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る狭窄を有する導管の図式的斜視図である。
図2図2は、図1の切断線2−2に沿って取られた図1の導管の一部の図式的な部分断面斜視図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る器具が挿入された図1及び図2の導管の図式的な部分断面斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係るシステムの図式的な概略図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的描写である。
図6図6は、本開示の他の実施形態を示す、図5と同様な圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的描写である。
図7図7は、本開示の他の実施形態に係る圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的描写である。
図8図8は、本開示の他の実施形態に係る圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的描写である。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る導管の血管造影画像である。
図10図10は、本開示の一実施形態に係る圧力測定値に基づく図9の導管のプロフィールの視覚的描写を提供する。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る図10のプロフィール情報に基づく図9の血管造影画像の注釈付きバージョンである。
図12図12は、本開示の他の実施形態に係る図10のプロフィール情報に基づく図9の血管造影画像の注釈付きバージョンである。
図13図13は、本開示の一実施形態に係る、図10と類似するが、治療オプションをシミュレートする図9の導管のプロフィールの視覚的描写を提供する。
図14図14は、本開示の一実施形態に係る図13の治療オプションに基づく図9の血管造影画像の注釈付きバージョンである。
図15図15は、本開示の他の実施形態に係る導管の血管造影画像である。
図16図16は、本開示の一実施形態に係る圧力測定値に基づく図15の導管のプロフィールの視覚的描写を提供する。
図17図17は、本開示の一実施形態に係る図16のプロフィール情報に基づく図15の導管の三次元モデルである。
図18図18は、本開示の他の実施形態に係る図16のプロフィール情報に基づく図15の導管の三次元モデルである。
図19図19は、本開示の一実施形態に係る、図16と類似するが、治療オプションをシミュレートする図15の導管のプロフィールの視覚的描写を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の原理の理解を助長することを目的として、以下、図示された実施形態が参照され、また、その説明のために具体的な表現が使用される。しかしながら、本開示の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。本開示が関連する分野の当業者が通常考えつくであろう開示される装置、システム、及び方法への任意の変更及びさらなる改変、並びに本開示の原理の任意のさらなる用途が完全に考慮され、本開示の範囲に含まれる。特に、一実施形態に関連して説明された特徴、部品、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関連して説明された特徴、部品、及び/又はステップと組み合わせられ得ることが完全に考慮される。しかしながら、簡潔さのため、これらの組み合わせは個別に何度も繰り返し説明されない。
【0013】
図1及び図2を参照して、本開示の一実施形態に係る狭窄を有する導管100が示されている。図1は導管100の図式的な斜視図であり、図2図1の切断線2−2に沿って取られた導管100の部分の部分的断面斜視図である。図1をより詳細に参照すると、導管100は、近位部分102及び遠位部分104を含む。導管100の長さに沿って、近位部分102と遠位部分104との間に管腔106が延在する。この点において、管腔106は導管内を流体が流れることを可能にするよう構成されている。一部の実施形態では、導管100は血管である。一部の具体的実施形態では、導管100は冠動脈である。このような場合、管腔106は、導管100内の血流を促進するよう構成される。
【0014】
図示されるように、導管100は、近位部分102と遠位部分104との間に狭窄108を含む。狭窄108は、導管100の管腔106中の流体の流れを制限する任意の障害物又は他の構造的配置を一般的に表す。本開示の実施形態は、限定はされないが、冠状、末梢(限定はされないが、下肢、頸動脈、神経血管を含む)、腎臓、及び/又は静脈を含む多様な血管への適用に適する。導管100が血管の場合、狭窄108は、限定はされないが、線維、線維脂質(線維脂肪)、壊死性コア、石灰化(濃縮カルシウム)、血液、新鮮な血栓、及び成熟した血栓等のプラーク成分を含むプラークの蓄積の結果であり得る。一般的に、狭窄の組成は評価される導管の種類に依存する。これに関して、本開示の概念は、実質的にあらゆる種類の障害物又は流量の減少をもたらす他の導管狭窄に適用可能である。
【0015】
図2についてより詳細に参照すると、導管100の管腔106は、狭窄108の近位直径110及び狭窄の遠位直径112を有する。一部の実施形態では、直径110及び112は、実質的に等しい。この点において、直径110及び112は管腔106の健康な部分、又は少なくとも狭窄108と比較してより健康な部分を表すことを意図する。したがって、管腔106のこれらのより健康な部分は、実質的に一定の円筒状プロフィールを有するよう描かれており、よって、管腔の高さ又は幅を直径として述べた。しかしながら、多くの場合、管腔106のこれらの部分も、狭窄108ほどではないがプラーク堆積物、非対称プロフィール、及び/又は他の不規則性を有し、よって円筒状プロフィールを有さないことを理解されたい。このような場合、直径110及び112は、管腔の相対的サイズ又は断面積を表すものであり、円形の断面プロフィールを示唆しないことを理解されたい。
【0016】
図2に示されるように、狭窄108は、導管100の管腔106を狭めるプラーク堆積物114を含む。場合によっては、プラーク堆積物114は均等な又は対称なプロフィールを有さず、かかる狭窄の血管造影評価を信頼できないものにする。図示の実施形態では、プラーク堆積物114は上部116及び対向する下部118を含む。この点について、下部118は上部116よりも厚く、これは、狭窄108から近位及び遠位の管腔部分と比較して、非対称かつ不均等なプロフィールをもたらす。図示されるように、プラーク堆積物114は、流体が管腔106中を流れるために利用可能な空間を減少させる。特に、管腔106の断面積がプラーク堆積物114によって減少される。上部116と下部118との間の最も狭い地点において、管腔106は、狭窄108の近位及び遠位の直径110及び112に対して減少されたサイズ又は断面積を表す高さ120を有する。プラーク堆積物114を含む狭窄108は本質的に例示的であることに留意されたい。この点について、他の場合では、狭窄108は、管腔106内の流体の流れを制限する他の形状及び/又は組成を有することを理解されたい。図1及び図2では、単一の狭窄108を有する導管100が示され、後述される実施形態の記載は主に単一の狭窄を前提としているが、本明細書に記載される装置、システム、及び方法は、複数の狭窄領域を有する導管についても同様な用途を有することを理解されたい。
【0017】
次に図3を参照して、本開示の一実施形態に係る器具130及び132が挿入された導管100が示されている。一般的に、器具130及び132は、導管内に配置されるよう寸法設定及び成形された装置、器具、又はプローブの任意の形態を取り得る。図示の実施形態では、器具130は一般的にガイドワイヤーを表し、器具132は一般的にカテーテルを表す。これに関して、器具130は器具132の中央管腔を通る。しかし、他の実施形態では、器具130及び132は他の形態を取る。これに関して、器具130及び132は一部の実施形態では同様な形態からなる。例えば、一部の実施形態では、器具130及び132はともにガイドワイヤーである。他の実施形態では、器具130及び132はともにカテーテルである。また、一方の器具がカテーテルで他方の器具がガイドワイヤーである図示の実施形態のように、一部の実施形態では器具130及び132は異なる形態からなる。また、一部の実施形態では、図3に示される実施形態のように、器具130及び132は同軸配置される。他の実施形態では、一方の器具が他方の器具のオフセンター管腔を通る。他の実施形態では、器具130及び132は並列して延在する。特定の実施形態では、少なくとも1つの器具がラピッドエクスチェンジデバイス、例えばラピッドエクスチェンジカテーテル等である。かかる実施形態では、他方の器具はバディーワイヤー、又はラピッドエクスチェンジデバイスの導入及び除去を容易化するよう構成された他のデバイスである。さらに、他の実施形態では、2つの別々の器具130及び132の代わりに単一の器具が使用される。これに関して、単一の器具は、一部の実施形態では器具130及び132の両方の機能(例えば、データ取得)の側面を備える。
【0018】
器具130は、導管100に関する診断情報を取得するよう構成される。これに関して、器具130は、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は導管に関する診断情報を取得するよう構成された他のモニタリング要素を含む。診断情報は、圧力、フロー(速度)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱、及び/又は他のイメージング技術を使用して取得された画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、器具130の遠位部分に隣接するよう配置される。これに関して、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、一部の実施形態では、器具130の遠位端134から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満に配置される。一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素のうちの少なくとも1つが器具130の遠位端に配置される。
【0019】
器具130は、導管100内の圧力をモニタリングするよう構成された少なくとも1つの要素を含む。圧力モニタリング要素は、ピエゾ抵抗式圧力センサ、ピエゾ電気式圧力センサ、静電容量式圧力センサ、電磁式圧力センサ、液柱(液注は、器具とは別個の及び/又は液注から近位の器具の部分に配置された液注センサと連絡する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態を取り得る。一部の実施形態では、圧力モニタリング要素の1つ又は複数の機能は、半導体及び/又は他の適切な製造技術を使用して製造された固体要素として実現される。適切な圧力モニタリング要素を含む市販されているガイドワイヤー製品の例は、限定はされないが、それぞれがVolcano Corporation から入手可能なPrimeWire(登録商標)PRESTIGE圧力ガイドワイヤー、PrimeWire(登録商標)圧力ガイドワイヤー、並びにComboWire(登録商標) XT圧力及びフローガイドワイヤー、並びにそれぞれがSt. Jude Medical, Inc.から入手可能なPressureWire(登録商標) Certusガイドワイヤー及びPressureWire(登録商標) Aerisガイドワイヤーを含む。一般的に、器具130は、遠位圧力読み取り値に影響を及ぼす、狭窄前後の流体の流れに顕著な影響を及ぼすことなく狭窄108を通過して配置され得るよう寸法設定される。したがって、一部の実施形態では、器具130は0.018”以下の外径を有する。一部の実施形態では、器具130は0.014”以下の外径を有する。
【0020】
器具132も導管100に関する診断情報を取得するよう構成される。一部の実施形態では、器具132は、器具130と同じ診断情報を取得するよう構成される。他の実施形態では、器具132は、器具130とは異なる診断情報を含むよう構成され、これは、追加診断情報、より少ない診断情報、及び/又は代替的な診断情報を含み得る。器具132によって取得される診断情報は、圧力、フロー(速度)、画像(超音波(例えばIVUS)、OCT、熱、及び/又は他のイメージング技術を使用して取得された画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。器具132は、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は診断情報を取得するよう構成された他のモニタリング要素を含む。これに関して、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、一部の実施形態では、器具132の遠位部分に隣接して配置される。これに関して、一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、器具132の遠位端136から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満に配置される。一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又はモニタリング要素のうちの少なくとも1つは、器具132の遠位端に配置される。
【0021】
器具130と同様に、器具132も、導管100内の圧力をモニタリングするよう構成された少なくとも1つの要素を含む。圧力モニタリング要素は、ピエゾ抵抗式圧力センサ、ピエゾ電気式圧力センサ、静電容量式圧力センサ、電磁式圧力センサ、液柱(液注は、器具とは別個の及び/又は液注から近位の器具の部分に配置された液注センサと連絡する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態を取り得る。一部の実施形態では、圧力モニタリング要素の1つ又は複数の機能は、半導体及び/又は他の適切な製造技術を使用して製造された固体要素として実現される。SiemensのAXIOM Sensis、MennenのHorizon Xvu、及びPhilipsのXper IM Physiomonitoring 5のうちの1つ又は複数との使用に適し、圧力モニタリング要素を含む現在市販されているカテーテル製品が器具132として使用され得る。
【0022】
本開示の側面によれば、器具130及び132のうちの少なくとも1つは、狭窄108の遠位の導管100内の圧力をモニタリングするよう構成され、器具130及び132のうちの少なくとも1つは、狭窄の近位の導管内圧力をモニタリングするよう構成される。これに関して、器具130、132は、導管100内の圧力をモニタリングするよう構成された少なくとも1つの要素が、デバイスの構成に基づき適宜に狭窄108の近位に及び/又は遠位に配置され得るよう寸法設定及び成形される。これに関して、図3は、狭窄108の遠位の圧力を測定するのに適した位置138を示す。これに関して、一部の実施形態では、位置138は(図2に示されるように)狭窄108の遠位端から5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満、及び/又は2.5mm未満である。また、図3は、狭窄108の近位の圧力を測定するのに適した複数の位置を示す。これに関して、位置140、142、144、146、及び148は、一部の実施形態において狭窄の近位の圧力をモニタリングするのに適した位置をそれぞれ表す。これに関して、位置140、142、144、146、及び148は、20cm以上から約5mm以下の範囲にわたり、狭窄108の近位端から異なる距離に配置されている。一般的に、近位圧力測定は、狭窄の近位端から離隔される。したがって、一部の実施形態では、近位圧力測定は、狭窄の近位端から導管の管腔の内径以上の距離において行われる。冠動脈圧測定の場合、近位圧力測定は、通常、血管の近位部分において、狭窄の近位かつ大動脈の遠位の位置で行われる。しかし、冠動脈圧測定の特定の実施形態では、近位圧力測定は大動脈内の位置で行われる。他の実施形態では、近位圧力測定は、冠動脈の起始部又は入口において行われる。
【0023】
一部の実施形態では、器具130及び132のうちの少なくとも1つは、管腔106内を移動されている間に導管100内の圧力をモニタリングするよう構成される。一部の実施形態では、器具130は、管腔106内を移動し狭窄108を通過するよう構成される。これに関して、一部の実施形態では、器具130は狭窄108の遠位に配置され、狭窄を通過して狭窄の近位の位置に至るまで近位に移動される(すなわち、引き戻される)。他の実施形態では、器具130は狭窄108の近位に配置され、狭窄を通過して狭窄の遠位の位置に至るまで遠位に動かされる。一部の実施形態では、器具130の近位又は遠位への移動は、医療従事者によって手動で制御される(例えば、外科医の手によって)。他の実施形態では、器具130の近位又は遠位への移動は、移動制御デバイス(例えば、Volcano Corporationから入手可能なTrak Back II Device等のプルバックデバイス)によって自動的に制御される。これに関して、一部の実施形態では、移動制御デバイスは、器具130の移動を選択可能な既知の速度(例えば、2.0mm/s、1.0mm/s、0.5mm/s、0.2mm/s等)で制御する。一部の実施形態では、導管中の器具130の移動は、プルバック又はプッシュスルー毎に連続的である。他の実施形態では、器具130は導管内を段階的に動かされる(すなわち、繰り返し所定距離及び/又は所定時間動かされる)。後述される視覚的描写のいくつかの側面は、器具130及び132のうちの少なくとも1つが管腔106内を移動される実施形態に特に適する。さらに、一部の特定の実施形態では、以下で論じられる視覚的描写の側面は、第2の器具が存在し又は存在せずに、単一の器具が管腔106内を移動される実施形態に特に適する。
【0024】
一部の実施形態では、一般的にドリフトと呼ばれる、器具毎の経時的な圧力測定値のばらつきに関連付けられた問題が防がれる点で、単一の器具の使用は有益である。これに関して、従来の冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve;FFR)測定におけるドリフトの主要因は、ガイドカテーテルの圧力読み取り値に対するガイドワイヤーの圧力読み取り値の相違である。これに関して、FFRはガイドワイヤーによって取得された圧力測定値のカテーテルによって取得された圧力測定値に対する比として計算されるため、この相違は最終的なFFR値に影響を及ぼす。対照的に、導管内での移動中に圧力測定値を取得するために単一の器具が使用される場合、ドリフトは無視され又は存在しない。例えば、一部の実施形態では、器具の圧力感度の変化から一切の影響を受けないために圧力測定間の期間が十分短いよう(例えば、500ms未満、100ms未満、50ms未満、10ms未満、5ms未満、又は1ms等)、単一の器具を使用して、導管内での移動中に相対的圧力変化が取得される。
【0025】
次に、図4を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム150が示されている。これに関して、図4は、システム150の図式的な概略図である。図示されるように、システム150は器具152を含む。これに関して、一部の実施形態では、器具152は、上記器具130及び132のうちの少なくとも1つとしての使用に適する。したがって、一部の実施形態では、器具152は、いくつかの実施形態において器具130及び132に関連して上記した特徴と同様な特徴を含む。当該図示の実施形態では、器具152は、遠位部分154と、遠位部分154に隣接する筐体156とを有するガイドワイヤーである。これに関して、筐体156は、器具152の遠位端から約3cm離れている。筐体156は、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は導管に関する診断情報を取得するよう構成された他のモニタリング要素を収容するよう構成される。図示の実施形態では、筐体156は、器具152が挿入された管腔内の圧力をモニタリングするよう構成された圧力センサを少なくとも収容する。筐体156から近位にシャフト158が伸びる。シャフト158の近位部分にかけてトルクデバイス160が配置され、結合される。器具152の近位端部162は、コネクタ164に結合される。コネクタ164からコネクタ168にケーブルが伸びる。一部の実施形態では、コネクタ168はインターフェイス170にプラグインされるよう構成される。これに関して、一部の実施形態では、インターフェイス170は患者インターフェイスモジュール(patient interface module;PIM)である。一部の実施形態では、ケーブル166は、無線接続によって置き換えられる。これに関して、物理的接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む様々な通信経路が器具152とインターフェイス170との間で使用可能なことを理解されたい。
【0026】
インターフェイス170は、接続174を介してコンピュータデバイス172に通信結合される。コンピュータデバイス172は、本開示に記載される処理及び解析技術を実行するのに適した任意のデバイスを一般的に表す。一部の実施形態では、コンピュータデバイス172はプロセッサ、RAM、及び記憶媒体を含む。これに関して、一部の特定の実施形態では、コンピュータデバイス172は、本明細書に記載されるデータ取得及び解析に関連するステップを実行するようプログラミングされる。したがって、データ取得、データ処理、機器制御、及び/又は本開示の他の処理又は制御側面に関連する任意のステップが、コンピュータデバイスにより、コンピュータデバイスがアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体に保存された対応する命令を使用して実行され得ることを理解されたい。一部の実施形態では、コンピュータデバイス172はコンソールデバイスである。一部の特定の実施形態では、コンピュータデバイス172は、それぞれVolcano Corporationから入手可能なs5TMImaging System又はs5iTM Imaging Systemと同様である。一部の実施形態では、コンピュータデバイス172はポータブルである(例えば、ハンドヘルド、台車上にある等)。また、一部の実施形態では、コンピュータデバイスは複数のコンピュータデバイスを含むことを理解されたい。これに関して、本開示の異なる処理及び/又は制御側面は、複数のコンピュータデバイスを使用して別々に又は所定のグループで実行され得ることを特に理解されたい。複数のコンピュータデバイス間の後述される処理及び/又は制御側面の任意の分割及び/又は組み合わせが本開示の範囲に含まれる。
【0027】
コネクタ164、ケーブル166、コネクタ168、インターフェイス170、及び接続174は合わせて、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は器具152の他のモニタリング要素と、コンピュータデバイス172との間の通信を助長する。しかし、この接続経路は本質的に例示的であり、如何なる意味でも限定的であると考えられるべきではない。これに関して、物理的接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む任意の接続経路が器具152とコンピュータデバイス172との間で使用され得る。これに関して、一部の実施形態では、接続174は無線であることが理解される。一部の実施形態では、接続174はネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、テレコミュニケーションネットワーク、及び/又は他のネットワーク)を介する通信リンクを含む。これに関して、一部の実施形態では、コンピュータデバイス172は、器具152が使用されているオペレーションエリアから遠方に配置されることが理解される。接続174がネットワーク接続を含むことは、コンピュータデバイスが近隣の部屋、近隣の建物、又は異なる国にあるかに関わらず、器具152と遠隔コンピュータデバイス172との間の通信を助長し得る。また、一部の実施形態では、器具152とコンピュータデバイス172との間の通信経路はセキュア通信であることを理解されたい。さらに、一部の実施形態では、器具152とコンピュータデバイス172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して通信されるデータは暗号化されることを理解されたい。
【0028】
また、システム150は器具175を含む。これに関して、一部の実施形態では、器具175は、上記器具130及び132のうちの少なくとも1つとしての使用に適する。したがって、一部の実施形態では、器具175は、いくつかの場合において器具130及び132に関連して上記した特徴と同様な特徴を含む。図示の実施形態では、器具175はカテーテル型デバイスである。これに関して、器具175は、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は導管に関する診断情報を取得するよう構成された器具の遠位部分に隣接する他のモニタリング要素を含む。図示の実施形態では、器具175は、器具175が挿入された管腔内の圧力をモニタリングするよう構成された圧力センサを含む。器具175は、接続177を介してインターフェイス176と通信する。一部の実施形態では、インターフェイス176は、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5等の血行動態モニタリングシステム又は他の制御デバイスである。ある特定の実施形態では、器具175は、その長さにわたり延在する液柱を含む圧力感知カテーテルである。かかる実施形態では、インターフェイス176は、カテーテルの液柱に流体結合された止血弁、止血弁に流体結合されたマニホールド、及び構成要素を流体結合するよう構成要素間に適宜延在するチューブを含む。これに関して、カテーテルの液柱は、弁、マニホールド、及びチューブを介して圧力センサと流体連絡する。一部の実施形態では、圧力センサはインターフェイス176の一部である。他の実施形態では、圧力センサは、器具175とインターフェイス176との間に配置された別個の部品である。インターフェイス176は、接続178を介してコンピュータデバイス172に通信結合される。
【0029】
器具152とコンピュータデバイス172との間の接続と同様に、インターフェイス176並びに接続177及び178は、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は器具175の他のモニタリング要素と、コンピュータデバイス172との間の接続を助長する。しかし、この通信経路は本質的に例示的であり、如何なる意味でも限定的であると考えられるべきではない。これに関して、物理的接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む任意の接続経路が器具175とコンピュータデバイス172との間で使用され得る。これに関して、一部の実施形態では、接続178は無線であることが理解される。一部の実施形態では、接続178はネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、テレコミュニケーションネットワーク、及び/又は他のネットワーク)を介する通信リンクを含む。これに関して、一部の実施形態では、コンピュータデバイス172は、器具175が使用されているオペレーションエリアから遠方に配置されることが理解される。接続178がネットワーク接続を含むことは、コンピュータデバイスが近隣の部屋、近隣の建物、又は異なる国にあるかに関わらず、器具175と遠隔コンピュータデバイス172との間の通信を助長し得る。また、一部の実施形態では、器具175とコンピュータデバイス172との間の通信経路はセキュア通信であることを理解されたい。さらに、一部の実施形態では、器具175とコンピュータデバイス172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して通信されるデータは暗号化されることを理解されたい。
【0030】
本開示の他の実施形態では、システム150の1つ又は複数の構成要素が含まれず、異なる配置/順番で実装され、及び/又は代替的なデバイス/機構によって置き換えられることを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、システム150はインターフェイス170及び/又はインターフェイス176を含まない。かかる実施形態では、コネクタ168(又は器具152若しくは器具175と通信する他の同様なコネクタ)はコンピュータデバイス172に関連付けられたポートにプラグインし得る。あるいは、器具152、175はコンピュータデバイス172と無線通信し得る。一般的に、器具152、175とコンピュータデバイス172との間の通信経路の一方又は両方は、中間ノードを有さず(すなわち、直接接続)、器具とコンピュータデバイスとの間に1つの中間ノードを有し、又は器具とコンピュータデバイスとの間に複数の中間ノードを有し得る。
【0031】
次に、図5図8を参照すると、本開示の実施形態に係る、圧力測定値に基づく導管プロフィールの様々な視覚的描写が示されている。図5をより詳細に参照すると、導管の視覚的表現180が示されている。これに関して、視覚的描写180は、点182と点184との間の導管の約112mmの区間を示す。これに関して、点182は、導管内の器具の開始位置を表し、一方、点184は、導管の管腔に沿った長さ方向の器具の移動後の導管内の器具の終了位置を表す。したがって、器具を引き戻す場合、導管内において、点182は点184の遠位に位置する。反対に、器具が導管中を押し進められる場合、点182は点184の近位に位置する。器具の移動方向によらず、器具は、点182と点184との間の導管の1つ又は複数の病変及び/又は狭窄を渡る。これに関して、図5図8の各視覚的描写は、器具が導管中を移動されるのに伴い器具から取得される圧力測定値に基づき、1つ又は複数の病変及び/又は狭窄を特定するよう構成される。
【0032】
図5を再び参照すると、視覚的表現180は、器具が導管中を移動されるのに伴い取得された圧力測定値の変化を示すヒートマップである。これに関して、一部の実施形態では、ヒートマップにおいて示される圧力測定値は、器具が導管中を移動されるのに伴う、導管内の固定位置と器具の移動位置との間の圧力差を表す。例えば、一部の実施形態では、近位圧力測定値が取得される位置の遠位の第1の位置から、第1の位置より近位の第2の位置まで(すなわち、遠位圧力測定値の固定位置のより近くに)器具が導管中を引き戻される間、導管内の固定位置において近位圧力測定値が取得される。本開示の概念の明確な理解のため、この構成を用いて本開示の実施形態の多くを説明する。しかし、概念は他の構成にも等しく適用可能であることを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、器具は、近位圧力測定位置の遠位の第1の位置からより遠位な第2の位置まで(すなわち、近位圧力測定の固定位置からさらに遠くに)導管中を押し進められる。他の実施形態では、遠位圧力測定値が導管内の固定位置で取得され、遠位圧力測定値の固定位置の近位の第1の位置から、第1の位置より近位な第2の位置まで(すなわち、遠位圧力測定値の固定位置からより遠くに)器具が導管中を引き戻される。他の実施形態では、遠位圧力測定値が導管内の固定位置において取得され、遠位圧力測定値の固定位置の近位の第1の位置から、第1の位置より近位でない第2の位置まで(すなわち、遠位圧力測定値の固定位置のより近くに)器具が導管中を押し進められる。
【0033】
一部の実施形態では、導管内の2つの圧力測定値(例えば、固定位置圧力測定値及び移動圧力測定値)の間の圧力差は、2つの圧力測定値の比(例えば、移動圧力測定値割る固定位置圧力測定値)として計算される。一部の実施形態では、圧力差は、患者の心周期毎に計算される。これに関して、計算される圧力差は、心周期にわたる平均圧力差であり得る。例えば、患者に充血剤が投与される場合、心周期にわたる平均圧力差を使用して圧力差が計算される。他の実施形態では、心周期の一部のみを使用して圧力差が計算される。圧力差は心周期の当該部分又は診断窓にわたる平均であり得る。これに関して、一部の実施形態では、診断窓は、参照によりその全体が援用される、2012年4月30日に出願された米国特許出願第13/460,296号“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL”に記載される技術の1つ又は複数を使用して選択される。本明細書で述べられるように、診断窓及び関連付けられた技術は、患者に充血剤を投与しない場合での使用に特に適する。一般的に、充血剤を使用せずに狭窄前後の圧力差を評価するための診断窓は、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、及び/又は導管性能の他の特定可能かつ/若しくは測定可能な側面のうちの1つ又は複数の特性及び/又は要素に基づき特定される。これに関して、適切な診断窓を特定するために、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、及び/又は導管性能の他の特定可能かつ/若しくは測定可能な側面のうちの1つ又は複数の特性及び/又は要素に対して様々な信号処理及び/又は計算技術が適用され得る。
【0034】
一部の実施形態では、セクション212を特定し及び圧力差を計算するための診断窓の決定及び/又は圧力差の計算は、略リアルタイム又はライブで実行される。これに関して、本開示の文脈において「リアルタイム」又は「ライブ」で圧力差を計算するとは、データ取得の10秒以内に発生する計算を含むと理解されたい。しかし、多くの場合、「リアルタイム」又は「ライブ」計算はデータ取得の1秒以内に実行されることを認識されたい。一部の実施形態では、「リアルタイム」又は「ライブ」計算は、データ取得と同時に実行される。一部の実施形態では、計算は、データ取得間のディレイ中にプロセッサによって実行される。例えば、データが5ms毎に1ms間、圧力感知デバイスから取得される場合、データ取得間の4msの間にプロセッサが計算を実行し得る。これらのタイミングは例に過ぎず、データ取得レート、処理時間、及び/又は計算に関する他のパラメータは変更可能であることを理解されたい。他の実施形態では、圧力差計算は、データ取得から10秒以上経過した後に実行される。例えば、一部の実施形態では、診断窓を特定し及び/又は圧力差を計算するために使用されるデータは、後の解析のために保存される。
【0035】
計算された圧力差を閾値又は所定値と比較することにより、医師又は他の担当医療従事者は、(必要ならば)どのような治療が処方されるべきかを決定することができる。これに関して、一部の実施形態では、閾値(例えば0.00−1.00のスケール上で0.80)より高い計算された圧力差は第1の治療モード(例えば、治療無し、薬物治療等)を示す一方、閾値未満の計算された圧力差は第2のより侵襲的な治療モード(例えば、血管形成術、ステント等)を示す。一部の実施形態では、閾値は予め定められた固定値である。他の実施形態では、閾値は特定の患者のために及び/又は患者の特定の狭窄のために選択される。これに関して、特定の患者のための閾値は、経験的データ、患者の特性、患者の病歴、医師の好み、利用可能な治療オプション、及び/又は他のパラメータのうちの1つ又は複数に基づき得る。
【0036】
これに関して、図5の視覚的表現180に示される圧力差測定値の彩色及び/又は他の視覚的区別特徴は、閾値に基づき構成される。例えば、閾値より顕著に高い値(例えば、閾値が0.00−1.00のスケール上で0.80の場合、0.90より高い値)を表すために第1の色(例えば、緑色、白色等)が使用され、閾値付近であるが閾値より高い値(例えば、閾値が0.00−1.00のスケール上で0.80の場合、0.81−0.90の値)を表すために第2の色(例えば、黄色、灰色等)が使用され、閾値以下の値(例えば、閾値が0.00−1.00のスケール上で0.80の場合、0.80以下の値)を表すために第3の色(例えば、赤色、黒色等)が使用される。閾値に対する圧力差の相対値を視覚的に表すために、任意の数の色の組み合わせ、スケーリング、カテゴリ、及び/又は他の特性が使用され得ることを理解されたい。しかしながら、簡潔さのため、出願人は本明細書において多様なバリエーションを明記しない。
【0037】
図5に示されるように、視覚的表現180のヒートマップは、より明るい又は白い色が閾値より高い値を表し、より暗い又は黒い色が閾値付近又は未満の値を表すグレイスケールを使用する。これに関して、視覚的表現180は累積又は合計圧力差に基づき、特定の点について選択されるグレイスケールの色は、導管中を移動されている当該点における器具と、静止又は固定器具との間の圧力差に基づき決定される。図示されるように、当該実施形態では、導管の遷移点又は領域186は、閾値より高い圧力差値を有する導管の部分188と、閾値より低い圧力差値を有する導管の部分190との間に位置する。これに関して、遷移点又は領域186は、視覚的表現180の色の変化によって描写される、増加した圧力差をもたらす導管の病変又は狭窄の境界を表す。結果として、視覚的表現180は、導管内の病変又は狭窄の位置の特定、及び病変又は狭窄の深刻さの評価の両方のために使用することができる。
【0038】
次に、図6を参照すると、図5の視覚的表現180と同じ圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的表現200が示されている。これに関して、視覚的表現200のヒートマップも、より明るい又は白い色が閾値より高い値を表し、より暗い又は黒い色が閾値付近又は未満の値を表すグレイスケールを使用する。視覚的表現180のヒートマップが累積又は合計圧力差に基づいていたが、視覚的表現200のヒートマップは局所的な圧力差に基づき、特定の点について選択されるグレイスケールの色は、周囲の1つ又は複数の点に対する当該点の圧力差の差に基づき決定される。これに関して、一部の実施形態では、局所的圧力差は直前の点との間の差として計算される。例えば、点Pの局所的圧力差=点Pの累積又は合計圧力差−点Pn−1の合計又は累積圧力差である。他の実施形態では、局所的圧力差は、当該点と、当該点から所定時間(例えば、10ms、5ms、2ms、又は1ms等)又は距離(例えば、10ms、5ms、2ms、又は1ms等)離れた点との間の差として計算される。局所的圧力差を使用することにより、多くの場合に病変又は狭窄の存在に関連付けられる圧力差値の顕著な変化の位置を特定することができる。
【0039】
例えば、図6に図示される実施形態において示されるように、閾値より低い局所的圧力差値を有する導管の遷移領域202は、閾値より高い圧力差値の局所的圧力差値を有する導管の部分204及び206の間に位置する。これに関して、遷移点又は領域202は、視覚的表現200の色の変化によって描写される、圧力差の顕著な変化をもたらす導管の病変又は狭窄を表す。結果として、視覚的表現200は、導管内の病変又は狭窄の位置の特定、及び病変又は狭窄の深刻さの評価の両方のために使用することができる。
【0040】
次に、図7を参照すると、図5及び図6の視覚的表現180及び200と同じ圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的表現210が示されている。これに関して、図7は、導管中を移動されている器具と、導管内の静止又は固定位置における器具との間の累積又は合計圧力差のプロット212を示す。プロット212の形状、特に閾値に対する圧力差値、プロットの勾配の変化、及び/又はこれらの組み合わせ等の特性を解析することにより、導管内の病変又は狭窄の位置の特定、及び病変又は狭窄の深刻さの評価の両方のために視覚的表現210を使用することができる。
【0041】
次に、図8を参照すると、図5図6、及び図7の各視覚的表現180、200、及び210と同じ圧力測定値に基づく導管プロフィールの視覚的表現220が示されている。これに関して、図8は、ある点と、周囲の1つ又は複数の点との間の圧力差の差に基づくプロット222を示す。これに関して、一部の実施形態では、プロット222に使用される値は、互いに隣接する点の間の差として計算される。例えば、点Pの値=点Pの累積又は合計圧力差−点Pn−1の合計又は累積圧力差である。他の実施形態では、プロット222の特定の点に使用される値は、当該点と、当該点から所定時間(例えば、10ms、5ms、2ms、又は1ms等)又は所定距離(例えば、10mm、5mm、2mm、又は1mm等)離れた他の点との間の圧力差の差として計算される。図示の実施形態では、プロット222は、互いに2mm離れた点の間の圧力差の差に基づく。これらの圧力差の相対的かつ局所的な計算値を使用して、病変又は狭窄の存在に関連付けられた圧力差値の顕著な変化の位置を特定することができる。
【0042】
プロット222は、導管内の病変又は狭窄の位置の特定、及び特定された病変又は狭窄の深刻さの評価の両方ために使用され得る。図8に示される実施形態では、プロット222の領域224は、線226によって示される閾値を満たさない。これに関して、図8において、視覚的表現220のy軸の値は、原点の1.0から、図示されるy軸の上端の0.0に進むことに留意されたい。したがって、領域224は、治療を要する程度に流体の流れに負の影響を及ぼしている導管の病変又は狭窄を表す。プロット222の解析は、導管及び/又はその病変若しくは狭窄に関する情報を提供する。例えば、プロット222は、領域224に関連付けられた病変又は狭窄の長さの指標を提供する。これに関して、病変又は狭窄の長さは、閾値226未満の値を有する導管の区間の長さによって示される。図示の実施形態では、閾値226未満の値を有する導管の区間の長さは約17mmである。プロット222によって示される病変又は狭窄の長さは、病変の組成に依存しない生理学的測定値に完全に基づく。
【0043】
また、プロット222は、導管の全体的閉塞値の指標を提供する。これに関して、一部の実施形態では、合計導管閉塞値は、プロット222下累積面積によって求められる。図示の実施形態では、プロット222下合計導管閉塞値又は面積は、約1.38である。同様に、プロット222は、さらに、導管の個々の病変又は狭窄に起因する閉塞値の指標を提供する。これに関して、特定の病変又は狭窄に起因する閉塞値は、同様に、当該病変又は狭窄に関連付けられた導管の長さにわたるプロット222下面積を求めることによって計算され得る。例えば、図示の実施形態では、領域224に関連付けられた病変又は狭窄は、約0.67のプロット222下閉塞値又は面積を有する。合計導管閉塞値、及び特定の病変又は狭窄に起因する閉塞値に基づき、合計導管閉塞値への特定の病変又は狭窄の寄与の割合を計算することができる。これに関して、導管の合計閉塞値に対する特定の病変又は閉塞に起因する閉塞値の比は、当該病変又は狭窄に起因する導管閉塞の割合を提供する。導管特性のより完全かつ/又は正確な理解を提供するために、プロット222によって示される病変若しくは狭窄及び/又は導管の特性に関する情報が、病変若しくは狭窄及び/又は導管の他の表現(例えば、IVUS(VH(virtual histology)を含む)、OCT、ICE、熱、赤外線、フロー、ドップラー血流、及び/又は他の導管データ収集法)と比較され又はともに考慮され得る。例えば、一部の実施形態では、プロット222によって示される病変若しくは狭窄及び/又は導管の特性に関する情報は、1つ又は複数の他の導管データ収集法を使用して計算又は決定された情報を確認するために使用される。
【0044】
図5図6図7、及び図8の視覚的表現180、200、210、及び220は別々に記載されたが、システムは、これらの視覚的表現の任意の組み合わせを順次、同時に、及び/又はこれらの組み合わせによって表示し得ることを理解されたい。一部の実施形態では、システムは、どの個別の視覚的表現及び/又は視覚的表現の組み合わせが表示されるのかを選択する機能をユーザーに提供する。
【0045】
次に、図9図14を参照すると、本開示の実施形態に係る導管評価の側面が示されている。これに関して、図9は、複数の病変又は狭窄を有する導管302の血管造影画像300を提供する。図示の実施形態では、4つの病変/狭窄が「A」、「B」、「C」、及び「D」によって示されている。次に、図10を参照すると、導管の少なくとも1つの狭窄の通過を含む、第1の器具の第2の器具に対する導管中の移動に伴い、図中では「iFR」とも称され得る本開示に係る診断窓を使用して計算された圧力比値を距離に対してマッピングするグラフ310が示されている。これに関して、第2の器具は少なくとも1つの狭窄の近位の位置に維持され、一方、第1の器具は少なくとも1つの狭窄の遠位の位置から少なくとも1つの狭窄の近位かつ第2の器具に隣接する位置まで、又はこの反対に移動される(すなわち、第1の器具は少なくとも1つの狭窄の近位かつ第2の器具に隣接する位置から少なくとも1つの狭窄の遠位の位置まで移動される)。図10に示される実施形態では、プロット312によって示される第1の器具の相対位置は、プロット312が左から右に向かうに従い近位から遠位に移行する。
【0046】
また、図10は、グラフ310に示される圧力比値の距離に対する変化を示す棒グラフ320を提供する。これに関して、より高いバーは当該距離にわたる圧力比値のより大きな変化を表し、これは、深刻な病変又は狭窄を示し得る。図示されるように、圧力比値が顕著に変化する領域322、324、326、及び328を特定するために、棒グラフ320に注釈が付されている。より具体的には、領域322、324、326、及び328は、それぞれ、導管302の病変/狭窄A、B、C、及びDに対応する。
【0047】
最後に、図10は、さらに、グラフ310からの圧力比値に基づく、導管302の強度マップ視覚的表現330を提供する(図5の視覚的表現180と類似する)。より具体的には、強度マップ330は、圧力比が閾値未満の領域332を特定する。図示の実施形態では、閾値圧力比値は0.90である。したがって、領域332の左側の強度マップ330の部分は、閾値より高い圧力比を示すよう彩色又は他の方法で視覚化され、一方、領域332内の強度マップの部分は、圧力比が閾値未満であることを示すよう彩色又は他の方法で視覚化される。図示の実施形態では、閾値より高い値を表すために緑色が使用され、一方、閾値付近又は未満の値を表すために赤色が使用される。
【0048】
次に、図11を参照すると、注釈を付された導管302の血管造影画像340が示されている。これに関して、導管302について取得された圧力測定値に基づき、図9の血管造影画像300に注釈が付されている。より具体的には、(図10の棒グラフ320に示される)導管の長さに沿う圧力比の変化に基づき、血管造影画像に対応する視覚的指標が加えられている。具体的には、図示の実施形態では、導管のその部分に起因する圧力比の変化量の視覚的指標をユーザーに提供するために、導管の長さに沿って、彩色された円が加えられている。一部の実施形態では、閾値未満の圧力比変化を有する導管の部分は、圧力比の変化が閾値未満であることを示すよう彩色又は他の方法で視覚化され、閾値より高い圧力比変化を有する導管の部分は、圧力比の変化が閾値より高いことを示すよう彩色又は他の方法で視覚化される。図示の実施形態では、閾値より高い値を表すために緑色の円が使用され、閾値付近又は未満の値を表すために赤色の円が使用されている。
【0049】
次に、図12を参照すると、注釈を付された導管302の血管造影画像350が示されている。これに関して、導管302について取得された圧力測定値に基づき、図9の血管造影画像300に注釈が付されている。より具体的には、(例えば、図10の棒グラフ320に示される)導管の長さに沿う圧力比の変化に基づき、血管造影画像に対応する視覚的指標が加えられている。具体的には、図示の実施形態では、導管の当該部分に起因する圧力比の変化量の視覚的指標をユーザーに提供するために、導管の長さに沿ってドットが加えられている。より具体的には、導管のある部分に隣接するドットの数が多いほど、導管の当該部分に起因する圧力変化は大きい。これに関して、一部の実施形態では、ドットの数は、図10の棒グラフ320の値と直接的に相関する。
【0050】
ユーザーが導管を評価することを助けるために、導管の血管造影画像又は他の画像(IVUS、OCT、ICE、CTA等の血管内及び血管外イメージング技術の両方を含む)に関連して、図10のグラフ310、320、及び/又は330の情報を伝達する多数の他の視覚化技術が使用され得ることを理解されたい。これに関して、本開示の例は血管造影画像に関連して提供されているが、概念は、血管内及び血管外イメージングを含む他の種類の導管イメージング技術にも等しく適用可能であることを理解されたい。しかし、簡潔さのため、本開示は例を血管造影画像に限定する。
【0051】
一部の実施形態では、病変固有の寄与及び/又は病変の累積効果が導管自体に関連して視覚化され得るよう、(図5図6、及び/又は図10に関連して記載されたような)強度マップが、血管造影画像内に示される導管302上に又は導管302に隣接してオーバーレイされる。これに関して、任意の視覚化技術について、コレジストレーション技術(参照によりその全体が援用される米国特許第7,930,014号、“VASCULAR IMAGE CO-REGISTRATION”に開示される技術等)を使用して、既知のプルバック速度/距離、既知の始点、既知の終点、及び/又はこれらの組み合わせに基づき、圧力データが導管302の対応する部分に関連付けられ得る。また、一部の実施形態では、圧力比及び/又は圧力比変化に関連する数値が血管造影画像に付される。一部の実施形態では、適宜閾値より高い又は低い値が特定されるよう、ユーザー又はシステムによって閾値が設定される(例えば、デフォルト設定)。これに関して、特定された値はユーザーに対してチャート形式で提示され、導管の血管造影画像又は他の画像に適切な位置において加えられ、及び/又はこれらの組み合わせが実行され得る。さらに、一部の実施形態では、グラフ410及び/又はグラフ420と同様なグラフが、導管の血管造影画像又は他の画像上にオーバーレイされる。これに関して、導管の血管造影画像又は他の画像上に示される導管の一般的又は平均経路と並べるために、グラフはスケーリング及び方向転換される(すなわち、位置決めされ、回転され、及び/又は反転される)。一部の実施形態では、参照によりその全体が援用される、2012年12月31日に出願された米国仮特許出願第61/747,480号、“SPATIAL CORRELATION OF INTRAVASCULAR IMAGES AND PHYSIOLOGICAL FEATURES”に開示される技術と同様な技術を使用して、診断情報及び/又はデータが導管画像と関連付けられる。
【0052】
一部の実施形態では、ユーザーは、表示画像内にどの情報が含まれ、又はどの情報が除外されるのかを選択することができる。これに関して、導管の血管造影画像又は他の画像における圧力測定データの伝達に関するこれらの視覚化技術は、個別に及び任意の組み合わせで使用され得ることに留意されたい。例えば、一部の実施形態では、ユーザーは、使用される視覚化モード及び/又はその部分を選択可能であり、システムはこれに応じて表示を出力する。また、一部の実施形態では、ユーザーは、注記を含め及び/又は1つ又は複数の測定パラメータを入力するために、表示画像に手動で注釈を付すことができる。
【0053】
次に、図13を参照すると、オリジナルの圧力比計算値のプロット312とともに、導管302に対して提案される治療オプションのシミュレートされた圧力比値を表すプロット362を含むグラフ360が示されている。これに関して、プロット362は、血管形成術、ステント留置術、及び/又は導管302の病変/狭窄Cを治療するのに適した他の介入を含み得る経皮的冠動脈形成術(PCI)に基づき導管302の病変/狭窄Cの影響を取り除くことに基づく。これに関して、図13は、さらに、同様に導管302の病変/狭窄Cの影響を取り除く圧力比値の変化を示す棒グラフ370を提供する。具体的には、棒グラフ370は図10の棒グラフ320と同様であるが、棒グラフ320の病変/狭窄Cに関連付けられた領域326が、治療されている病変/狭窄Cを表す領域372によって置き換えられている。具体的には、治療された病変/狭窄Cは、圧力比を変化させないよう示されている。最後に、図13は、さらに、病変/狭窄Cの治療に関連付けられた推定圧力比値に基づく導管302の強度マップ視覚的表現380を提供する。図示されるように、提案される病変/狭窄Cの治療は、導管302の全長にわたり、推定圧力比を閾値0.90より高くする。したがって、閾値未満の部分は存在しないため、強度マップ全体が、圧力比が閾値より高いことを示すよう彩色され、又は他の方法で視覚化される。図示の実施形態では、閾値より高い値を表すために緑色が使用される。
【0054】
図13に示される提案される治療オプションの図式的視覚化に加えて、提案される治療オプションは、導管の血管造影又は他の画像上にも視覚化され得る。例えば、図14は、病変/狭窄Cをまたぐ提案されるステント392を含むよう付記された導管302の血管造影画像である。また、上記視覚化技術の様々な組み合わせ等、導管302の圧力測定値の情報を伝達するのに使用される様々な他の視覚化技術が、シミュレートされる治療オプションの推定圧力測定値にも適用され得ることに留意されたい。
【0055】
一部の実施形態では、図10図12に示されるような治療前圧力測定情報が、対応する治療後圧力測定情報と比較される。これに関して、治療前測定情報と治療後測定情報との間の差は、治療が再疎通の所望の機能的利得(functional gain)を達成したか否かを示す。同様に、治療後圧力測定情報が、図13に示されるようなシミュレーション治療の推定圧力測定情報と比較されてもよい。これに関して、推定測定情報と実際の治療後測定情報との間の差は、シミュレーション治療の推定測定情報の正確さの指標を提供する。これに関して、一部の実施形態では、推定測定情報と実際の治療後測定値との間の差がシステムによって保存され、類似する治療オプションの将来の推定測定情報を修正するために使用される。一部の実施形態では、システムは、治療前、シミュレーション治療、及び/又は治療後測定情報の間で、圧力データ及び対応する導管位置を自動的にリンクさせ又は整合させるよう構成される。これに関して、コレジストレーション技術(参照によりその全体が援用される米国特許第7,930,014号、“VASCULAR IMAGE CO-REGISTRATION”に開示される技術等)を使用して、既知のプルバック速度/距離、既知の始点、既知の終点、及び/又はこれらの組み合わせに基づき、圧力データが導管の対応する部分に関連付けられ得ることを理解されたい。
【0056】
次に、図15図19を参照すると、本開示の実施形態に係る導管評価の側面が示されている。これに関して、図15は、複数の病変又は狭窄を有する導管402の血管造影画像400を提供する。図示の実施形態では、4つの病変/狭窄が「E」、「F」、「G」、「H」、及び「I」によって示されている。
【0057】
次に、図16を参照すると、導管の少なくとも1つの狭窄の通過を含む、第1の器具の第2の器具に対する導管中の移動に伴い、「iFR」とも称され得る本開示に係る診断窓を使用して計算された圧力比値を距離に対してマッピングするグラフ410が示されている。これに関して、第2の器具は少なくとも1つの狭窄の近位の位置に維持され、一方、第1の器具は少なくとも1つの狭窄の遠位の位置から少なくとも1つの狭窄の近位かつ第2の器具に隣接する位置まで、又はこの反対に移動される(すなわち、第1の器具は少なくとも1つの狭窄の近位かつ第2の器具に隣接する位置から少なくとも1つの狭窄の遠位の位置まで移動される)。図16に示される実施形態では、プロット412内に示される第1の器具の相対位置は、プロット412が左から右に向かうに従い近位から遠位に移行する。また、図16は、グラフ410に示される圧力比値の距離に対する変化を示す棒グラフ420を提供する。これに関して、より高いバーは当該距離にわたる圧力比値の変化がより大きいことを表し、これは、深刻な病変又は狭窄を示唆し得る。図示されるように、棒グラフ420は、圧力比値が顕著に変化する領域422、424、426、428、及び430を特定するよう注釈を付されている。より具体的には、領域422、424、426、428、及び430は、それぞれ、導管402の病変E、F、G、H、及びIに対応する。
【0058】
次に、図17を参照すると、図16の圧力測定値情報に基づく導管402の三次元モデル440が示されている。これに関して、三次元モデル440は、導管402について取得された圧力測定値に基づき彩色又は他の方法で視覚化されている。より具体的には、(図16の棒グラフ420に示される)導管の長さ沿いの圧力比の変化に基づき、三次元モデル440の対応する部分が対応するよう彩色されている。これに関して、図示の実施形態では、三次元モデル440の特定の部分の色は、導管の当該部分に起因する圧力比の変化量の視覚的指標をユーザーに提供する。一部の実施形態では、閾値未満の圧力比変化を有する導管の部分は、圧力比変化が閾値未満であることを示すよう彩色又は他の方法で視覚され、閾値より高い圧力比変化を有する導管の部分は、圧力比変化が閾値より高いことを示すよう彩色又は他の方法で視覚化され、閾値と略等しい圧力比変化を有する導管の部分は、それを示すよう彩色又は他の方法で視覚化される。図示の実施形態では、閾値より高い値を表すために青色が使用され、閾値より低い値を表すために赤色が使用され、閾値に略等しい値を表すために橙色、黄色、及び緑色が使用される(例えば、閾値よりわずかに低い値は橙色、閾値と等しい値は黄色、閾値よりわずかに高い値は緑色)。
【0059】
次に、図18を参照すると、図16の圧力測定情報に基づく導管402の三次元モデル450が示されている。これに関して、三次元モデル450は、導管402について取得された圧力測定値に基づき彩色又は他の方法で視覚化されている。より具体的には、(図16の棒グラフ420に示される)導管の長さ沿いの圧力比の変化に基づき、顕著な圧力変化を有する三次元モデル450の対応する部分が対応するよう彩色されている。言い換えれば、異なる色又は他の視覚化技術の使用により、機能的に重大な病変/狭窄を示すホットスポットが異なる色又は他の視覚化技術の使用によって強調されている。例えば、一部の実施形態では、三次元モデル450は、図6の視覚的表現と同様に彩色又は視覚化される。図18に示される実施形態では、三次元モデル450の視覚化により、2つの重大な病変/狭窄452及び454が強調されている。
【0060】
導管402の三次元モデル440及び450は、血管造影、CTスキャン、CTA、IVUS、OCT、ICE、及び/又はこれらの組み合わせ等、血管内及び血管外イメージング技術の両方を含む1つ又は複数のイメージング技術からのデータに基づき得る。一般的に、任意の三次元モデリング技術が使用され、本開示に係る対応する測定データがそれに適用される。これに関して、図17及び図18に示される具体的実施形態に加えて及び/又は代わり、他のイメージングモダリティに関して上記された視覚化技術のうちの任意のものが三次元モデルに適用され得る。これに関して、一部の実施形態では、ユーザーは、表示される三次元モデルにどの情報が含まれ、又は除外されるかを選択することができる。一部の実施形態では、三次元モデルは、対応する導管の二次元表示と隣り合わせて表示される。これに関して、ユーザーは、表示タイプ(二次元(イメージングモダリティタイプを含む)及び/又は三次元)、並びに使用される視覚化モード及び/又はその部分の両方を選択し得る。システムは、ユーザーの好み/選択、及び/又はシステムのデフォルト設定に基づき、対応する表示を出力する。
【0061】
次に、図19を参照すると、オリジナルの圧力比計算値のプロット412とともに、導管402に対して提案される治療オプションのシミュレーション圧力比値を表すプロット462を含むグラフ460が示されている。これに関して、プロット462は、血管形成術、ステント留置術、及び/又は導管402の病変/狭窄Eを治療するのに適した他の介入を含み得る経皮的冠動脈形成術(PCI)に基づき導管402の病変/狭窄Eの影響を取り除くことに基づく。これに関して、図19は、さらに、同様に導管402の病変/狭窄Eの影響を取り除く圧力比値の変化を示す棒グラフ470を提供する。具体的には、棒グラフ470は図16の棒グラフ420と類似するが、棒グラフ420の病変/狭窄Eに関連付けられた領域422が、治療されている病変/狭窄Eを表す領域472によって置き換えられている。具体的には、治療された病変/狭窄Eは、圧力比を変化させないよう示されている。最後に、図19は、さらに、病変/狭窄Eの治療に関連付けられた推定圧力比値に基づく導管402の強度マップ視覚的表現480を提供する。図示されるように、提案される病変/狭窄Eの治療は、導管402の全長にわたり、推定圧力比を閾値0.90より高くする。したがって、閾値未満の部分は存在しないため、強度マップ全体が、圧力比が閾値より高いことを示すよう彩色され、又は他の方法で視覚化される。図19に示される実施形態では、閾値より高い値を表すために緑色が使用される。
【0062】
また、当業者は、上記された装置、システム、及び方法が様々な方法で改変され得ることを認識する。したがって、当業者は、本開示が包含する実施形態は、上記された具体的な例示的実施形態に限定されないことを理解する。これに関して、例示的実施形態が図示及び記述されてきたが、本開示は、多様な改変、変換、及び置換を考慮する。上記へのかかる変更は、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は広範に、かつ、本開示と調和するように解釈されるべきである。
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