特許第6466447号(P6466447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466447
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】粉末処理のための高温流動床
(51)【国際特許分類】
   F27B 15/10 20060101AFI20190128BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20190128BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20190128BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20190128BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20190128BHJP
   B01J 2/16 20060101ALI20190128BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALN20190128BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALN20190128BHJP
【FI】
   F27B15/10
   B22F1/02 D
   B22F1/00 C
   B01J8/24 311
   B01J2/00 B
   B01J2/16
   !B33Y10/00
   !B33Y30/00
【請求項の数】20
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-533329(P2016-533329)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-534312(P2016-534312A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2014048857
(87)【国際公開番号】WO2015023439
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】61/864,912
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】シー,イン
(72)【発明者】
【氏名】ナーディ,アーロン,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クレッカ,マイケル,エー.
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−141732(JP,U)
【文献】 特開2004−198011(JP,A)
【文献】 特開2011−149561(JP,A)
【文献】 三浦秀士、高木研一,粉末冶金の科学,日本,株式会社 内田老鶴圃,2011年11月25日,p.197-198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉と、
前記加熱炉内に配置された流動床アセンブリと、
粉末床と、
を備えたシステムであって、
前記流動床アセンブリは、
ガスを受けるための外部チャンバ入口を有する外部チャンバと、
前記外部チャンバの内側に配置された内部チャンバと、
を備え、前記内部チャンバは、
前記外部チャンバと流体連通する内部チャンバ入口と、
前記内部チャンバからガスが流出する出口と、
を備え、
前記粉末床が、前記内部チャンバ内に配置された、システム。
【請求項2】
ガスを前記外部チャンバ内へと供給するように、流動化ガス源が前記外部チャンバ入口に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流動化ガス源と前記外部チャンバ入口との間に流体的に連結された予熱器をさらに備えた、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記内部チャンバが、流動化部と、遊離部と、を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記遊離部の幅が、前記流動化部の幅と等しい、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記遊離部の幅が、前記流動化部の幅より大きい、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記内部チャンバが、ステンレス鋼からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記外部チャンバが、高温合金またはセラミック材料からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記外部チャンバと前記内部チャンバとの間に配置された温度センサーをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記内部チャンバ内に配置された温度センサーをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記内部チャンバ入口が、多孔板を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記内部チャンバの内側を前記出口と連結する管をさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記外部チャンバが、該外部チャンバから前記内部チャンバを取り外すことが可能な着脱式の蓋を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
内部チャンバに粉末粒子を導入し、
加熱炉内に配置された外部チャンバの内側に前記内部チャンバを配置し、
前記内部チャンバを取り囲むように前記外部チャンバにガスを供給し、
前記内部チャンバへと前記ガスを流入させ、
前記ガスで前記粉末粒子を流動化させ、
前記加熱炉で前記粉末粒子を熱処理することを備えた、粉末処理方法。
【請求項15】
不活性ガスを備えたガスで前記内部チャンバ周囲に前記内部チャンバを酸化から防ぐためのバリアを形成させることをさらに備えた、請求項14に記載の粉末処理方法。
【請求項16】
前記熱処理された粉末粒子を付加製造処理で用いることをさらに備えた、請求項14に記載の粉末処理方法。
【請求項17】
前記内部チャンバの遊離部を用いて前記粉末粒子を分類することをさらに備えた、請求項14に記載の粉末処理方法。
【請求項18】
前記ガスで前記粉末粒子上にコーティングを形成させることをさらに備えた、請求項14に記載の粉末処理方法。
【請求項19】
前記粉末粒子が、1100℃以上の温度で熱処理される、請求項14に記載の粉末処理方法。
【請求項20】
前記付加製造処理が、コールドスプレー堆積処理を備えた、請求項16に記載の粉末処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は付加製造の分野に関する。より詳細には、本開示は付加製造処理で用いられる粉末の、流動床などを用いた前処理に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は確立されてはいるが、発展途中の技術である。そのもっとも広い定義においては、付加製造は原料の薄い層からなるあらゆる層状の構造物または品物である。付加製造は、ワークステージへ液体、層、または微粒子原料を塗布し、その後焼結し、硬化し、溶融し、及び/または層を製造するために切断することを含みうる。所望の分野の完成部品または品物が構成されるまで数千回も処理が繰り返される。
【0003】
多くの場合、いくつかの付加製造処理に用いられる原料粉末の前処理が必要である。前処理は粉末のコーティング、脱ガス、熱処理を含む場合がある。粉末の粒子は、付加製造処理中の粒子の酸化を防ぐためにコーティングされていてもよい。例えば、特許文献1はアルミニウム粉末に銅コーティングを適用するための流動床の使用を開示する。
【0004】
脱ガスは粉末粒子から水蒸気を取り除くために用いられてもよい。粉末の表面は製造処理中、環境に曝される場合、きわめて早く酸化する可能性がある。水蒸気は酸化物に吸収され、付加製造にて形成される材料に空隙を生み出す可能性がある。製造材料から水分を取り除く方法は、完成物をより脆くさせる可能性のある水素の生成を引き起こす。前述の粉末から水蒸気を取り除く方法は、様々な脱ガスの方法を含む。例えば、特許文献2は、真空中でアルミニウム粉末を非常に高温まで熱することを用いた脱ガス方法を記述する。しかしながら、脱ガス中に非常に低い真空圧力を維持することに伴い厄介な問題が起こる可能性がある。
【0005】
さらに、ガスの高温熱処理の従来の方法は望まぬ粉末の焼結を引き起こす可能性がある。例えば、流動床は、特許文献3に記述のように、凝集を防ぐために粉末の熱処理と併せて用いられてきた。しかしながら、こういった熱処理システムは複雑かつ製造にコストのかかるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7141207号明細書
【特許文献2】米国特許第5976456号明細書
【特許文献3】米国特許第6811765号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、付加製造処理において用いられる粉末の前処理のための、シンプルで確実かつ安価なシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
付加製造に用いられるシステムが、加熱炉、流動床アセンブリ及び粉末床からなる。流動床アセンブリは加熱炉内に配置され、ガスを受けるための外部チャンバ入口を有する外部チャンバ、及び、外部チャンバの内部に配置された内部チャンバからなる。内部チャンバは、外部チャンバと流体連通する内部チャンバ入口と、内部チャンバおよび外部チャンバからガスが流出する出口と、を備える。粉末床は内部チャンバ内に配置される。
【0009】
粉末処理の方法が、内部チャンバ内へと粉末粒子を導入することと、加熱炉内に配置された外部チャンバの内部に内部チャンバを配置することと、内部チャンバを取り囲むように外部チャンバにガスを供給することと、内部チャンバ内にガスを流すことと、ガスで粉末粒子を流動化することと、加熱炉で粉末粒子を熱処理することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本開示の流動床アセンブリを包含する付加製造処理の概略構成図である。
図2図2は本開示に従う流動床アセンブリの例示的実施形態の概略断面図である。
図3図3は本開示に従う流動床アセンブリの第二実施形態の概略断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本開示の流動床アセンブリを包含する付加製造処理10の概略構成図である。処理10は、粉末供給部12を用いて粉末を供給するステップAと、処理のために流動床アセンブリ14を通じて粒子を流動させるステップBと、付加製造システム16を用いて処理された粉末と共に付加製造処理を実行するステップCと、部品18といった製造品を生産するステップDと、を含む。
【0012】
粉末供給部12からの粉末は、流動床アセンブリ14を通じて流動する。流動床アセンブリ14は、付加製造システム16を操作するために粉末粒子を最適化するよう粉末の機械的特性を変える。例えば、流動床アセンブリ14は極めて高温で粉末供給部12を熱処理してもよい。付加製造システム16は、最適化した粉末を、部品18を定義するコンピューターを利用した製図(CAD)のファイルに基づいた形状である、部品18へと選択的に凝固する。1つの実施形態では、処理10は、ガスタービンエンジンタービンまたはコンプレッサーのためのブレードといった、ガスタービンエンジンのための部品生産に用いられる。
【0013】
粉末の供給は一般的に、所望の金属、合金、複合材料の多量の粉末を得ることを含む。粉末は粒状構造といった特定の機械的特性を有し、同様に粉末サイズまたは直径の分布を有している。機械的特性を変更するために、流動床アセンブリ14内部の容器の中に多量の粉末が配置される。さらに詳細には、粉末は、粉末と相互作用するために流される流動化ガスが通じる容器の中に床を形成する。流動化ガスは粉末を撹拌するために用いられ、かつ粉末粒子を処理するために用いられてもよい。流動床アセンブリ14は、粉末粒子を熱処理するために加熱炉で加熱されてもよい。流動化ガスは、処理完了後に容器から流れ出て、処理された粉末は、流動床アセンブリ14から取り除かれた後に付加製造処理において用いられうる。容器は、加熱炉で金属粉末を適切な微細構造まで焼き戻すよう加熱される流動床アセンブリ14の一部を形成する。付加製造システム16は、部品18を形成するために付加製造処理を実行する。
【0014】
いくつかの実施形態では、付加製造システム16はコールドスプレー堆積処理を実行する。このような処理では、堆積処理前の粉末粒子の微細構造は、部品18が形成された後にも同じ状態のままであるように粉末は溶融されない。よって、付加製造処理が始まる前に、微細構造を所望の状態まで処理するのに好都合である。詳細には、コールドスプレー堆積処理は、変形しやすく付着しやすい粉末粒子を有することで恩恵を受ける。流動床アセンブリ14は、変形を手助けする所望の微細構造になるまで粉末を熱するために加熱炉に配置される。様々な実施形態では、アルゴンといった不活性ガスは、流動化ガスとして用いられてもよい。同時に、流動化ガスは接着を手助けするために粉末を洗浄化するように用いられてもよい。よって、1つの実施形態では、水素流動化ガスは、酸化物を取り除くために用いられてもよい。他の実施形態では、流動化ガスは粉末粒子上にコーティングを形成するために用いられてもよい。例えば、窒素またはホウ素コーティングは酸化の形成を防ぐために適用されてもよい。
【0015】
本開示の流動床アセンブリ14は、内部チャンバを利用し、このチャンバは、外部チャンバによって加熱炉から隔離されており、それにより、流動化ガスが内部チャンバに流入する前に、その流動化ガスにより内部チャンバの周りに緩衝領域が形成される。よって、内部チャンバは加熱炉の高温に直接曝されることなく、低価格材料から作り出すことができ、流動床アセンブリ14生産に関連する製造コストを削減する。さらに、本開示の流動床アセンブリ14は、加熱炉内部の内部チャンバ内で温度が上昇する際に金属粉末が焼結するのを防ぐ撹拌源として流動化ガスを利用する。さらに他の実施形態では、内部チャンバは、例えば、床から不必要なサイズの粒子を取り除くといった粉末の分類を手助けする形状をしていてもよい。
【0016】
図2は本開示に従う流動床アセンブリ14の例示的実施形態の概略断面図である。流動床アセンブリ14は加熱炉20内に配置され、外部チャンバ22、内部チャンバ24、蓋26、第一の入口28A、第二の入口28B、出口30、プレート32、第一温度センサー34A、第二温度センサー34B、及び管36を含む。
【0017】
加熱炉20は、当該流動床技術分野において通常用いられるあらゆる加熱炉からなる。様々な実施形態では、加熱炉20は、頂部開口を介して投入及び回収できる箱型加熱炉または管状加熱炉からなる。他の実施形態では、加熱炉20は単純に、外部チャンバ22の周囲を包むヒーターを備えてもよい。他の実施形態では、加熱炉20はオーブンを備えてもよい。1つの実施形態では、加熱炉20は、粉末38の熱処理を行うために1100℃以上の内部温度に達することができる。
【0018】
外部チャンバ22は、任意の適切な方法で加熱炉20内に取り付けられる。1つの実施形態では、外部チャンバはセラミック材料から作られる。しかしながら外部チャンバ22は、酸化せずに高熱に耐えうるあらゆる材料から作られてもよい。蓋26は、内部チャンバ24が外部チャンバ22の内側にアクセスできるように、外部チャンバ22に取り外し可能なように取り付けられる。開示の実施形態では、レトルトとしても知られる内部チャンバ24は、外部チャンバ22と内部チャンバ24の外側の全ての間に空間ができるように蓋26からぶら下がっている。1つの実施形態では、内部チャンバ24は、内部チャンバ24を出口30に繋ぐ管36からぶら下がっている。1つの実施形態では、内部チャンバ24は、300シリーズステンレス鋼といったステンレス鋼から作られる。流動床アセンブリ14は、異なる粉末または異なる温熱条件で使用するために、多数の交換可能な内部チャンバ24(図示せず)を備えてもよい。各内部チャンバは、流動床アセンブリ14の操作中に損なわれた場合に再利用することができ、及び容易にかつ安価に取り換えることができる。
【0019】
粉末38は内部チャンバ24の内部に配置され、プレート32上に載置される。内部チャンバ24の内側にアクセスし、粉末38の投入及び回収ができるよう、プレート32は内部チャンバ24から取り外し可能である。他の実施形態では、粉末38は管36を介して内部チャンバ24へと投入され、処理後にプレート32と管36を通じて高速でガスを流すことで内部チャンバ24から排出されてもよい。
【0020】
流動化ガス40は、入口28A及び28Bを通じて内部チャンバ24の内側に案内される。流動化ガス40は、任意の適切な形状の加熱炉20を通じる配管によって入口28Aと28Bに供給される。流動化ガス40は、圧縮され、プレート32を含む内部チャンバ24を取り囲む。プレート32は、流動化ガス40がプレート32を通ることのできる複数のオリフィスすなわち開口部を含む。流動化ガス40は、粉末38を通じて浸透し出口30の管36を通じて内部チャンバ24から出る。
【0021】
流動化ガス40は、粉末38処理中に複数の機能を果たす。主に、流動化ガス40は、プレート32から粉末38の粒子を離昇するための撹拌源としての役割を果たし、粉末が加熱炉20の熱によって内部チャンバ24内で焼結や凝固することから防ぐ。粉末38の各粒子の質量のため、粒子がプレート32に再度落ちる。この処理を補助するため、内部チャンバ24は、管36の近くにおける流動化ガス40の速度を低下するために、内部チャンバ24の幅、または円状であれば直径を拡大する遊離部42Aを含む。これが粒子の勢いを減衰し、重力によって粒子がプレート32に戻る。よって、流動化ガス40が内部チャンバ24を通り抜ける間、粉末38の粒子は、プレート32から管36に向かって上がりまたプレート32に降りるという連続的な循環をする。
【0022】
流動化ガス40はさらに、内部チャンバ24の外側の周りに緩衝となるものを形成する。外部チャンバ22は、対流を介して加熱炉20から加熱され、内部チャンバ24は対流を介して外部チャンバ22から加熱される。よって、内部チャンバ24は、外部チャンバ22と同じまたは近い温度に曝される。通常、内部チャンバ24は、例えば、溶解や、または損なわれるポイントまで酸化するなどといった崩壊を起こすことなくこのような熱に耐えうることのできる材質から作られることが求められる。例えば、ニッケルまたはチタン粉末の熱処理に必要な温度、例えば1100℃に耐えるよう、内部チャンバは超合金から作られる必要が同様にある。しかしながら、流動床アセンブリ14では、流動化ガス40は、内部チャンバ24の周辺から酸素を取り除く不活性ガスとして選択されてもよい。このように、内部チャンバ24は、酸化状態に曝されない。内部チャンバ24は、例えば高い融点を有するといった、構造的に十分な強度がある、加熱炉20からの温熱条件に耐え、安価に生産できる材質から作られてもよい。さらに、内部チャンバ24は、円柱管といった作成済みの素材から生産されてもよい。記述のように、内部チャンバ24はステンレス鋼から作られてもよく、流動化ガス40は、ステンレス鋼を酸化から防ぐためにアルゴンを選択することができる。
【0023】
さらに、流動化ガス40は、粉末38を処理するのに用いられてもよい。特に、流動化ガス40は、付加製造処理を手助けするために、粉末38の粒子表面を洗浄する洗浄物質として選択されてもよい。例えば、水素は粉末38の表面から酸化物を取り除くために用いられてもよい。流動化ガス40は、粉末38の粒子表面上の薄い層を適用するコーティング剤として代わりに選択されてもよい。例えば、窒素またはホウ素は、酸化の形成を防ぐために、粉末38の粒子周囲に薄い層を形成するために用いられてもよい。
【0024】
流動化ガス40は、入口28A及び28Bを通じて外部チャンバ22に入り、プレート32に向けて移動するにつれて加熱される。流動化ガス40が内部チャンバ24に入るまでに、熱処理が生じるに十分な温度へと達する。内部チャンバ24内では、流動化ガス40が粉末38を流動化し、その後、遊離部42Aを通り抜け管36へと入る。流動化ガス40は、流動床アセンブリ14を出る前に管36で冷却される。流動化ガス40が外部チャンバ22と内部チャンバ24の間を通る間に、粉末38を熱処理するのに十分な温度にまで達しないように流動床アセンブリ14が構成された場合、図3に示されるように予熱器を流動床アセンブリ14に加えてもよい。
【0025】
図3は本開示に従う流動床アセンブリ14の第二実施形態の概略断面立面図である。流動床アセンブリ14は、図2を参照して示され記述される要素に似たものを含み、そういった要素は対応して番号付けられている。しかしながら、図3では、内部チャンバ24の遊離部42Aは遊離部42Bと交換され、入口28A及び28Bは、ガス源46からガスを供給する予熱器44を備える。
【0026】
予熱器44は、ガス源46からガスを受け取る。ガス源46はさらに、図2の入口28A及び28Bにガスを供給するために用いられてもよい。予熱器44は、加熱炉20からの熱と併せて、流動化ガス40が粉末38をよく熱処理できる温度まで流動化ガス40を加熱する。例えば、外部チャンバ22が、加熱炉20からの熱と内部チャンバ24との間に断熱バリアを過剰に形成する場合、追加の加熱源が必要となる場合がある。予熱器44は、電気抵抗加熱器といった任意の適切な加熱器を備えてもよい。1つの実施形態では、予熱器44は、ガス源46と入口28A及び入口28Bを繋ぐ入口管路48の回りを包囲する電気コイルを含む。他の実施形態では、1つ以上の予熱器44は、入口28A及び/または28B、外部チャンバ22の内側または外側のいずれかに近接して配置される。温度センサー34A及び34Bは、熱処理を監視するために、ガス40及び粉末38の温度をそれぞれ判断するために用いられる。温度センサー34A及び34Bはさらに、予熱器44からの熱の必要性及び高さを判断するために用いられてもよい。
【0027】
図2を参照して記述されるように、内部チャンバ24は、内部チャンバ24を通じて流動化ガス40の流れを遅くするためのサイズである遊離部42Aを含み、粉末粒子が再度プレート32に落ちるようにする。遊離部42Bは遊離部42Aより小さいサイズであり、遊離部42Aほど流動化ガス40の流れを遅くすることはない。よって、より小さいサイズの粒子は、管36内へより小さい粒子を運ぶ上昇速度を維持する。より大きいサイズの粒子は、コールドスプレー堆積といった付加製造処理により有利となる。よって、遊離部42Bは、例えば床から不必要なサイズの粒子を取り除くといった粉末の分類を手助けするために用いられてもよい。反対に、遊離部42Aは、全てのサイズの粉末粒子が速度低下してプレート32に向かって落ちるようなサイズであってもよい。付加製造処理は概して、約10μm〜約100μmより大きい範囲のサイズを有する金属粉末を用いる。異なる付加製造処理、異なる粉末材料及び異なる要因に用いるために、異なるカテゴリーに粒子を分類することは有用である。金属粉末粒子を分類するための典型的な範囲は、10μm〜50μm、50μm〜100μm、及び100μmより大きい、である。
【0028】
例示的実施形態を参照して本発明が記述される一方で、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その要素のために様々な変化が行われ同等のものが代わりに用いられることは当該業者に理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料を本発明の内容へ適応するために、その重要な範囲から逸脱することなく、多くの修正が加えられてもよい。従って、本発明が、開示された特定の実施形態に制限されるものではないことを意味するが、しかし本発明は、添付の請求の範囲内に属する全ての実施形態を含むであろう。
図1
図2
図3