(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466463
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】技術試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 15/14 20060101AFI20190128BHJP
G01M 15/02 20060101ALI20190128BHJP
F02K 9/96 20060101ALI20190128BHJP
F02K 9/56 20060101ALI20190128BHJP
F02K 9/46 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
G01M15/14
G01M15/02
F02K9/96
F02K9/56
F02K9/46
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-551060(P2016-551060)
(86)(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公表番号】特表2017-500588(P2017-500588A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】FR2014052767
(87)【国際公開番号】WO2015067878
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】1360839
(32)【優先日】2013年11月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル・ゴニデック,セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ライヒシュテット,セバスチャン
【審査官】
本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−308712(JP,A)
【文献】
特開2009−014390(JP,A)
【文献】
特開2008−256405(JP,A)
【文献】
特開平03−019755(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02751410(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/00−15/14
F02K 9/46;9/56;9/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を試験するための技術試験方法であって、前記技術試験方法は、
少なくとも1つの動作段階中に、装置を試験するために、少なくとも1つの動作設定値で装置および/またはテストベンチを制御するステップと、
動作段階中にセンサによって装置の一組の物理的パラメータを集めるステップと
を含み、
前記動作段階は、動作段階中に集められる一組の物理的パラメータと関連する基準が満たされる場合、および物理的パラメータの前記組と関連する信頼度が少なくとも所定の閾値に達する場合に、最大持続時間よりも前に終了される、技術試験方法。
【請求項2】
前記動作段階は、前記基準が満たされる場合、および前記信頼度が少なくとも所定の最小持続時間の間に少なくとも所定の前記閾値に達する場合に、最大持続時間より前に終了される、請求項1に記載の技術試験方法。
【請求項3】
物理的パラメータの前記組が、それぞれの信頼度と各々に関連する複数の物理的パラメータを含み、全体として物理的パラメータの組と関連する信頼度が、前記複数の物理的パラメータと関連する信頼度の関数である、請求項1または2に記載の技術試験方法。
【請求項4】
前記関数が、前記複数のうちの2つの物理的パラメータと関連する信頼度を乗算する積を含む、請求項3に記載の技術試験方法。
【請求項5】
前記関数が、同じ2つの信頼度の和から前記複数の2つの物理的パラメータと関連する信頼度を乗算する積を減ずること含む、請求項3または4に記載の技術試験方法。
【請求項6】
前記信頼度のうちの少なくとも1つが、予め決められる、請求項3から5のいずれか一項に記載の技術試験方法。
【請求項7】
物理的パラメータと関連する少なくとも1つの信頼度が、関連する物理的パラメータに対応する信号のノイズレベルの関数として計算される、請求項3から6のいずれか一項に記載の技術試験方法。
【請求項8】
物理的パラメータと関連する少なくとも1つの信頼度が、関連する物理的パラメータに対応する信号の非対称不確定性係数の関数として計算される、請求項3から7のいずれか一項に記載の技術試験方法。
【請求項9】
物理的パラメータと関連する少なくとも1つの信頼度が、関連する物理的パラメータの値と所定の閾値との間の差の関数として計算される、請求項3から8のいずれか一項に記載の技術試験方法。
【請求項10】
前記信頼度の各々が、0から1の範囲にある値を有する、請求項3から9のいずれか一項に記載の技術試験方法。
【請求項11】
複数の異なる動作段階のシーケンス中に、各々の動作段階について少なくとも1つの動作設定値で、装置および/またはテストベンチを制御するステップを含む、請求項1から10のいずれかに記載の技術試験方法。
【請求項12】
前記シーケンスの動作段階の順序が、各動作段階に割り当てられる少なくとも1つの優先度、および複数の動作段階に対応する少なくとも1つの動作設定値の値に基づいて確立される、請求項11に記載の技術試験方法。
【請求項13】
装置が、エンジンである、請求項1から12のいずれかに記載の技術試験方法。
【請求項14】
前記エンジンが、液体推進剤ロケットエンジン(1)である、請求項13に記載の技術試験方法。
【請求項15】
前記液体推進剤ロケットエンジン(1)が、ターボポンプ供給システムを含む、請求項14に記載の技術試験方法。
【請求項16】
少なくとも1つの動作設定値を装置に、および/または前記装置を試験するためのテストベンチ(2)に送信するための少なくとも1つのデータ出力を有する電子制御ユニット(3)であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法の使用の際に装置の技術試験を制御するように構成される、電子制御ユニット(3)。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の技術試験方法を実施するようにコンピュータシステムによって実行可能な一組の命令を含む、データ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を試験するための技術試験方法に関し、装置用の、および/または装置を試験するためのテストベンチ用の少なくとも1つの動作設定値の安定した値に対応する少なくとも1つの動作段階において装置を動作させることを含む。
【背景技術】
【0002】
技術試験の分野においては、装置が使用中である間に遭遇することになる複数の異なる稼働率で装置を試験するのが一般的な方法であり、これは、できるだけ完全に装置の全動作範囲を特徴付けるためである。通常、試験中に、これは、複数の動作段階を含むシーケンスに従うことによって行われ、各動作段階は、この段階の持続時間にわたって得られる装置の動作パラメータについて情報の品質を保証するために十分であると考えられる所定の持続時間の間、維持される。
【0003】
それにもかかわらず、所定の持続時間の動作段階のこの種のシーケンスの実行は、かなりの全持続時間を示す試験をもたらす。残念なことに、また経済的な理由のため、試験の全持続時間を制限することが望ましい。加えて、各動作段階の個々の持続時間を調整することにより、多数の動作設定値の値を試験することができることになり、それによって、より完全に特徴付けようとする試験を受ける装置の動作範囲が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に説明される技術試験方法は、それらの欠点を改善しようとしている。特に、この開示は、試験の有効性を維持しながら、技術試験の全持続時間を低減し、かつ/または供試の装置の動作段階のシーケンスの段階の数を増加することができる技術試験方法を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの実装形態においては、この目的は、装置用の、および/または装置を試験するためのテストベンチ用の少なくとも1つの動作設定値の安定した値に対応する、少なくとも1つの動作段階を含む、技術試験中に、前記動作段階が、動作段階中に集められる一組の物理的パラメータと関連する基準が満たされる場合、および物理的パラメータの前記組と関連する信頼度が少なくとも所定の閾値に達する場合に、最大持続時間閾値よりも前に終了される、という事実によって達成される。この第2の条件により、基準が動作段階を終了するのに適切である十分に信頼できる状況と、基準が信頼できない状況との間を区別することができ、したがって、これは、たとえ基準が満たされても、動作段階が短くされ得るようにならないであろう。特に、最大持続時間閾値よりも前に前記動作段階を終了するための追加の基準は、動作段階の早期中断を引き起こすパラメータの前記組の物理的パラメータの多少の過渡的な変動を回避するために、前記基準が満たされること、および、前記信頼度が少なくとも多少の所定の最小閾値の間、少なくとも前記所定の閾値に達していることであってもよい。
【0006】
この文脈においては、用語「物理的パラメータの組」とは、広く理解されるべきであり、したがって、単一の物理的パラメータを含むことができる。それにもかかわらず、物理的パラメータの前記組は、それぞれの信頼度と各々に関連する複数の物理的パラメータを含むことができ、全体として物理的パラメータの組と関連する信頼度は、前記複数の物理的パラメータと関連する信頼度の関数である。したがって、物理的パラメータの各々の信頼性は、複数の物理的パラメータと関連し、かつ次の動作段階への移行を是認する信頼度を計算する際に物理的パラメータの重要性に応じて重み付けされ得る。例示として、前記関数は、前記複数のうちの2つの物理的パラメータと関連する信頼度を乗算する積を含むことができ、かつ/または同じ2つの信頼度の和から前記複数のうちの2つの物理的パラメータと関連する信頼度を乗算する積を減ずること含むことができる。ファジー論理においては、2つの真理値の積は、確率的t−ノルム演算子(probabilistic t−norm operator)に対応するが、同じ2つの真理値の和からの2つの真理値の積を減ずることは、確率的t−コノルム演算子(probabilistic t−conorm operator)に対応する。
【0007】
各物理的パラメータに対応する信頼度をその物理的パラメータの信頼性についての利用可能な情報と合致させるために、信頼度は、特に、ノイズレベルの関数として、かつ/または移動時間ウィンドウ中の関連する物理的パラメータに対応する信号の非対称不確定性係数、および/または関連する物理的パラメータの値と所定の閾値との間の差、の関数として予め決められ、または計算され得る。
【0008】
信頼度を処理するファジー論理の原理を適用することができるために、前記信頼度の各々は、0から1までの範囲にある値を有することができる。
【0009】
複数の異なる稼働率で装置を試験することができるように、本方法は、複数の異なる動作段階のシーケンスを含むことができ、各々は、試験を受ける装置用の、および/または装置を試験するためのテストベンチ用の少なくとも1つの動作設定値の安定した値に対応する。前記シーケンスの動作段階の順序が、各動作段階に割り当てられる少なくとも1つの優先度、および複数の動作段階に対応する少なくとも1つの動作設定値の値に基づいて確立され得る。動作段階の順序は、予め定義された基準に基づいて、技術試験を受ける装置がどのように応答するかに応じて変更され得る。
【0010】
技術試験を受ける装置は、特に、エンジン、特に、液体推進剤ロケットエンジン、およびより詳細には、ターボポンプ供給システムを有する液体推進剤ロケットエンジンであってもよい。
【0011】
また、本発明は、少なくとも1つの動作設定値を装置に、および/または前記装置を試験するためのテストベンチに送信するための少なくとも1つのデータ出力を有する電子制御ユニットを提供し、本ユニットは、上記の方法の使用の際に装置の技術試験を制御するように構成される。この構成は、電子制御ユニットの少なくとも1つの電子回路の物理構成であってもよく、または、これは、ソフトウェア、すなわち、技術試験方法を実行するためのコンピュータシステムによって実行可能な一組の命令によってプログラム可能な電子制御ユニットで実施され得る。この種の一組の命令は、データ媒体に含まれ得る。用語「データ媒体」とは、コンピュータシステムによって読み取られることができる任意のデータ記憶装置を示す。この種のデータ媒体は、特に、磁気ディスクもしくはテープなどの磁気データ記憶装置、または光ディスクなどの光データ記憶装置、または揮発性もしくは不揮発性電子メモリなどの電子データ記憶装置であってもよい。
【0012】
本発明は、非限定的な実施例として示された実装形態の次の詳細な説明を読むと、十分に理解されることができ、その利点がよりよく明らかになる。説明は、添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の電子制御ユニットを含むテストベンチの上でターボポンプによって給油される液体推進剤ロケットエンジンを示す図である。
【
図2】本発明の一実装形態の技術試験方法の6つの主要な機能を示す線図である。
【
図3A】移動時間ウィンドウの信号のノイズの分散の関数として信号に起因する信頼のレベルを示すグラフである。
【
図3B】移動時間ウィンドウのその非対称不確定性係数の関数として信号に起因する信頼のレベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ターボポンプによって給油される液体推進剤ロケットエンジン1を示しており、エンジンは、複数の動作の段階のシーケンスを含むプロファイルを用いて試験を行うために電子制御ユニット3に接続される、テストベンチ2に取り付けられる。
【0015】
示された実施形態においては、ロケットエンジン1は、「膨張サイクル」型のロケットエンジンであり、そこで、ターボポンプ4および5は、ロケットエンジン1の推進チャンバ7の壁に隣接する再生式熱交換器6を通過した後に推進剤のうちの1つによって作動される。供給弁8および9は、推進剤を含むタンク10および11と、対応するターボポンプ4および5との間に挿入され、バイパス弁12および13により、これらのターボポンプ4および5は熱交換器6によって加熱された推進剤によって少なくとも一部が迂回され得るようになる。それにもかかわらず、本発明は、この種のロケットエンジンを試験することに決して限定されず、他のタイプのエンジンおよび実に他のタイプの装置に等しく良好に適用され得る。
【0016】
示された実施形態においては、ロケットエンジン1の動作は、供給弁8および9ならびにバイパス弁12および13によって制御され得る。これらの弁の各々は、これを行うために動作設定値を受信するように電子制御ユニット3に接続される。また、テストベンチ2は、たとえば、推進チャンバ7内の温度および圧力センサ14および15、ならびにロケットエンジン1の支持体内の推力および振動センサ16および17などの、センサを有する。また、これらのセンサ14、15、16、17は、ロケットエンジン1の動作パラメータをそれに送信するために電子制御ユニット3に接続される。動作パラメータXのこの組は、第1のパラメータA、第2のパラメータB、などを含むことができる。
【0017】
テストベンチ2においては、ロケットエンジン1は、これらの動作段階の各々の間に集められるロケットエンジン1の動作パラメータXを評価するために動作段階PF
nのシーケンスを含む技術試験を受けることになる。このシーケンスの各動作段階PF
nは、ロケットエンジン1の動作の一組の安定した設定値に対応し、ロケットエンジン1の通常の使用に適切な動作点を再現しようと努める。
【0018】
各動作段階は、この種の試験中にロケットエンジン1の動作パラメータXを表す値を集めるのに十分な持続時間から成る必要がある。同時に、動作段階の、およびしたがって試験の過度の持続時間は、特にコストの点から欠点を示す。したがって、段階の持続時間について妥協点を見出すことが必要である。
【0019】
図2は、
図1に示されるシステムで実行され得る技術試験方法の6つの主要なステップを示している。本方法の第1の機能F1においては、各動作段階PF
nについてのデータを含むテーブルが、電子制御ユニット3のメモリ(データ記憶装置またはランダムアクセスメモリ(RAM))に記憶される。各動作段階PF
nについて、このテーブルは、特に、動作段階PF
nの識別子、段階PF
nに割り当てられる優先度を与える第1のパラメータpara
1,nと、ロケットエンジン1および/またはテストベンチ2の動作設定値、およびあるいはまたの監視閾値と、段階についての最大持続時間t
max,n、およびあるいはまた最小持続時間t
min,nと、各基準が動作段階中に集められる一組の物理的動作パラメータXと関連する、少なくとも1つのエンドオブステージ(end−of−stage)基準と、各エンドオブステージ基準と関連する各組の動作パラメータXと関連する信頼度と、前記基準に適用されるべき論理および/または数学的演算子、物理的パラメータ、および/または信頼度と、を含むことができる。例示として、各段階PF
nに割り当てられる優先度を与えるパラメータpara
1,nは、値1、2、および3から選択される値を有することができ、値1は、最高の優先度に対応し、値3は、最低の優先度に対応する。例示として、エンドオブステージ基準は、移動時間ウィンドウ中にサンプリングされる前記動作パラメータXの安定性に関する基準であってもよい。
【0020】
第2の機能F2においては、電子制御ユニット3は、各段階に与えられる優先度に続いて第1の機能F1に確立されるテーブルから動作段階を順序付けるが、同時にまた、連続する段階の間の動作設定値の近接性を考慮に入れる。ある特定の状況においては、2つ以上の動作段階が、それらが以前に課せられた順序で実行されることを保証するために関連し得る。この第2の機能F2は、技術試験の開始において実行され、次いで、残る段階のシーケンスを更新するために各動作段階PF
nの終わりよりも前に繰り返される。この実装形態においては、電子制御ユニットはまた、タンク10および11において利用可能な燃料が使い果たされるまで、残存している時間を考慮に入れることができる。
【0021】
したがって、例示として、各動作段階PF
nは、前記第1のパラメータpara
1,nと関連することができ、第2のパラメータpara
2,nは、現在の段階のその近くと関連し、第3のパラメータpara
3,nは、それに割り当てられる最大持続時間t
max,nと、この動作段階PF
nと関連し、タンク10、11において依然として利用可能な推進剤の量と関連する割合で維持され得る最大動作持続時間t
cap,nとの間の差に対応する。
【0022】
この実施例においては、この分類のために選択されるべく残存している各段階の第2のパラメータpara
2,nの値は次の式を使用して計算されてもよく、例として、
【0023】
【数1】
を用いて計算されることができ、ここに、p
nおよびRM
nは、それぞれ、この動作段階PF
n中、燃焼圧および推進剤混合比であり、p
cおよびRM
cは、それぞれ推進チャンバ7内の現在の圧力および推進剤混合比であるが、これに対してα
1[ALPHA_1]およびα
2[ALPHA_2]は、段階を特徴付けるこれらの物理的パラメータを重み付けするための係数である。
【0024】
第3のパラメータpara
3,nの値は、この稼働率に、および残存している推進剤容量に対応する最大動作持続時間t
cap,nからそれに割り当てられる最大持続時間t
max,nの値を減ずることによって残存している各動作段階PF
nに、ついて計算され得る。
【0025】
残存している各動作段階PF
nのうちの少なくとも1つについて、第3のパラメータpara
3,nの値が負であり、したがって、問題の段階が推進剤を使い果たすことなくそれに割り当てられる最大持続時間t
max,nについて維持され得ないことが示される場合は、この場合、この条件を満たす残存している段階(複数の段階)は、次の式、すなわち、
K
n=β
1.para
1,n+β
2.para
2,n
を用いて第1のパラメータpara
1,nの、および第2のパラメータpara
2,nの重み付けされた和K
nの増加する順序で選択され、分類されることができ、ここに、β
1[BETA_1]およびβ
2[BETA_2]は、それぞれ前記第1および第2のパラメータpara
1,nおよびpara
2,nを重み付けするための係数である。
【0026】
対照的に、残存している段階のいずれもこの条件を満たさない場合は、この場合、残存している段階のすべてが、次の式、すなわち、
K’
n=β
1.para
1,n+β
2.para
2,n+β
3.para
3,n
を用いて、第1のパラメータpara
1,nの、および第2のパラメータpara
2,nの値ばかりでなく、第3のパラメータpara
3,nの値についても重み付けされた和K’
nの順序を増加することにより選択され、分類されることができ、ここに、β
3[BETA_3]は、前記第3のパラメータpara
3,nのための重み付けされた係数である。
【0027】
第3の機能F3においては、電子制御ユニット3は、第2の機能F2によって確立された直近の分類で第1の位置(すなわち、重み付けされた和K
nまたはK’
n最小値を提示する)における動作段階PF
nのテーブルに記憶されたデータに基づいて、対応する監視閾値と共に、ロケットエンジン1に、および/またはテストベンチ2に送信するための設定値を生成する。その後は、第4の機能F4においては、これらの設定値は、ロケットエンジン1および/またはテストベンチ2の動作を制御するために電子制御ユニット3によって使用される。
【0028】
第4の機能F4と同時に、電子制御ユニット3は、特に、センサ14から17によって、現在の動作段階PF
nと関連する物理的パラメータXを集め、処理する第5の機能F5を実行する。これらの物理的パラメータの値は、パラメータに、および解析されることになるその周波数範囲に応じて高周波数または低周波数のサンプリングによって集められ得る。たとえば、25ヘルツ(Hz)よりも低い範囲で解析されるべき信号については、毎秒およそ100ポイント(pt/s)の低周波サンプリングを使用することができるが、実質的に25Hzよりも高くてもよく、5000Hzにさえ達し得る範囲にわたって解析される必要がある信号については、およそ25000pt/sの高周波数のサンプリングを使用することができる。
【0029】
この第5の機能F5においては、0から1の範囲の信頼度CL
xが、特に、センサの推定された信頼度の、および/または各信号の処理に使用されるアルゴリズムの関数として、1つまたは複数の物理的パラメータXに対応する各信号と関連し得る。これらの信頼度CL
xの各々の値は、予め決められることができ、または、これは、関連する物理的パラメータに対応する信号のノイズレベルおよび/またはバイアスレベルの関数として、および/または信号と所定の閾値との間の差の関数としてリアルタイムで計算され得る。したがって、例示として、信号のノイズのレベルの関数として低周波数でサンプリングされる各信号に前記信頼度CL
xを割り当てることができるが、ノイズは、移動時間ウィンドウの信号の分散σ[SIGMA]によって、および移動時間ウィンドウの信号の非対称不確定性係数γ
1[GAMMA_1]の関数として高周波数でサンプリングされる各信号に前記信頼度CL
xを割り当てるように測定される。
【0030】
信号の分散σ[SIGMA]および信号に割り当てられる信頼度CL
xは、たとえば、
図3Aに示される関係に合わせることができる。この実施例においては、高い信頼度CL
xは、その分散σ[SIGMA]が大きすぎる場合は信号に割り当てられず、ノイズの高いレベルを示し、またはこれに反して、これが小さすぎる場合は、信号が極めて一定(デッド信号)であることを示す。
【0031】
信号の非対称不確定性係数γ
1[GAMMA_1]および信号に割り当てられる信頼度CL
xは、一方、たとえば、
図3Bに示される関数に合わせることができる。この実施例においては、高い信頼度CL
xは、その非対称不確定性係数γ
1[GAMMA_1]の絶対値が高すぎる場合は、この信号に割り当てられない。
【0032】
また、信頼度CL
setを一組の物理的パラメータXに関連させることができ、この信頼度CL
setは、組の物理的パラメータXと個々に関連する信頼度CL
xの値に基づいて電子制御ユニット3によって計算される。この計算は、特に、組の物理的パラメータXと個々に関連する信頼度CL
xの値にファジー論理演算子を使用することによって行われ得る。使用され得る演算子の中に、特に確率的演算子、および特に、確率的t−ノルムおよびt−コノルム演算子がある。一番目は、演算の2つの項の積に対応するが、二番目は、演算の2つの項の和から演算の2つの項の積を減ずることに対応する。
【0033】
したがって、例示として、t−ノルム演算子を使用することによって、単一のエンドオブステージ基準に寄与する物理的パラメータA、B、およびCにそれぞれ対応する3つの信号の信頼度CL
A、CL
B、CL
Cは、物理的パラメータのこの組と、およびしたがって対応するエンドオブステージ基準と関連する信頼度CL
setを得るように乗算される。
【0034】
最後に、第6の機能F6においては、電子制御ユニット3は、少なくとも1つのエンドオブステージ基準が満たされるかどうか、およびこの基準と関連する少なくとも1つの信頼度が最小閾値に達しているかどうかを検証する。少なくとも1つの基準が満たされ、信頼度が最小閾値に達している場合は、おそらくは少なくともある最小の時間の長さについて、現在の段階は終了されることができ、電子制御ユニット3は、終了されている段階を除去した後にテーブルが再配置される第2の機能F2に戻ることができ、その後に、第3の機能F3が、次の段階に対応する動作設定値を生成する。また、現在の段階を終了することは、動作段階が余りにも早く終了されないように、その段階について最小持続時間に依存することができる。
【0035】
対照的に、少なくとも1つのエンドオブステージ基準が満たされない場合、かつ/またはこの基準と関連する少なくとも1つの信頼度がその最小閾値に達していない場合は、段階は、所定の最大持続時間に達するまで続けられ得る。
【0036】
本発明は、特定の実装形態を参照して説明されているが、さまざまな改変および変更が、特許請求の範囲によって定義されるように本発明の一般領域の範囲を超えることなくこれらの実装形態に対して行われ得る。加えて、説明されたさまざまな実装形態の個々の特徴は、追加の実装形態に組み合わされ得る。したがって、説明および図面は、限定的ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。