【実施例】
【0048】
本明細書で提供される様々な実施形態、組成物及び方法の実施並びに利点は、次の実施例において記述される。これらの実施例は、単に例示的なものであり、如何な方法によっても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0049】
次の分析方法は、重合体組成物を特性化するために使用される。
【0050】
溶融温度(ISO 11357−3)
示差走査熱量計(DSC)で測定した。サンプル重さ6±1mgを20℃/分の速度で200±1℃に加熱し、窒素気流下で200±1℃で2分間維持させた後、20℃/分の速度で40±2℃に冷凍させ、この温度で2分間維持させてサンプルを結晶化させた。次に、サンプルは、再び20℃/分の昇温速度で最大200℃±1まで溶融させた。溶融スキャンを記録し、サーモグラムを得て、これよりピークに相応する温度を読み取る。第2の融解途中に記録された最も強い溶融ピークに対応する温度を溶融温度とした。明らかに、ただ一つのピークが検出される場合、溶融温度は、このようなピークによって提供される(すなわち、ピークに対して測定する)。
【0051】
キシレン可溶性分画
2.5gの重合体及び250cm
3のo−キシレンを冷凍機及び電磁スターラーが取り付けられたガラスフラスコ内に投入する。温度は、30分内に室温で溶媒(135℃)の沸点まで増加させる。このように得られた透明な溶液を還流下で30分さらに撹拌しながら維持させる。次に、閉じたフラスコを25℃の恒温水浴に保持してサンプルの不溶性(XI)部分の結晶化が起こる。このように形成された固体は、迅速にろ過紙でろ過する。100cm
3のろ過液を予め秤量されたアルミニウム容器に注ぎ、窒素気流下で熱板で加熱させて蒸発によって溶媒を除去した。次に、容器を真空下で80℃のオーブンに保持して乾燥させ、一定の重さを得た後に秤量する。
【0052】
このようにして、25℃においてキシレン中に可溶性及び不溶性である重合体の重量%を計算する。
【0053】
メルトフローレート
別の言及がない限り、2.16kgの荷重下で230℃でISO 1133に応じて測定する。
【0054】
[η]固有粘度
サンプルは、135℃でテトラヒドロナフタリン中に溶解した後、毛細管粘度計に注ぐ。粘度計管(ウベローデ型)は、円筒形ガラスジャケットに取り囲まれている。このような設定は、循環温度液体で温度制御を可能にする。メニスカスの下向き通路は、光電素子によって計時する。
【0055】
上部ランプの前にメニスカスの通路は、水晶オシレータを有するカウンタを開始する。メニスカスは、下部ランプを通過することによってカウンタを開始し、流出時間を記録する。これは、純粋溶媒の流動時間が同一の実験条件(同一の粘度計及び同一温度)で知られている限り、ハギンズ式を介して固有粘度値に転換する(Huggins,M.L.,J.Am.Chem.Soc.,1942,64,2716)。一つの単一重合体溶液を使用して[η]を測定する。
【0056】
I.R.分光法を通じて測定したエチレン、プロピレン、またはブテン−1含有量
重合体の加圧膜のNIR(6000〜5500cm
−1)スペクトラムは、吸光度対波数(cm
−1)に記録する。次の測定などは、エチレン含有量を計算するために使用する:
a)最大5669cm
−1でCH
2基に対する吸収帯の高さ、6000〜5500cm
−1の間に描かれるベースラインの下の領域を省略する。
b)CH
3基に対する5891cm
−1でショルダーの高さ、6000〜5500cm
−1の間に描かれるベースラインの下の領域を省略する。
【0057】
D5891/D5669の比は、NMR分光法で測定された公知組成物の共重合体を分析して校正される。
【0058】
次の測定などを利用してプロピレン含有量を計算する:
a)膜厚さの分光標準化に使用される4482〜3950cm
−1間の組み合わせ吸収帯の領域(ANIR)。
b)986〜952cm
−1範囲のプロピレン配列による吸収帯の領域(A971)、終点の間に描かれたベースラインの下の領域を省略する。
【0059】
A971/ANIRの比は、NMR分光法で測定された公知組成物の共重合体を分析して校正する。
【0060】
次の測定などを利用して1−ブテン含有量を計算する:
781〜750cm
−1範囲の1−ブテン単位からエチル分岐による吸収帯の領域(Ac4)、終点の間に描かれたベースラインの下の領域を省略する。
【0061】
Ac4/ANIRの比は、NMR分光法で測定された公知組成物の共重合体を分析して校正する。
【0062】
DMTA(動的機械熱分析)によるTg測定
20mm×5mm×1mmの成形試験片を引張応力用DMTA機械に固定する。正弦波発振周波数は、1Hzで固定する。DMTAは、−100℃(ガラス状態)から開始して130℃(軟化点)まで試験片の弾性反応を翻訳する。このようにして、弾性反応対温度をプロットすることができる。粘弾性材料に対するDMTA弾性率は、応力と変形との間の比として定義され、これは、また、複素弾性率E
*=E’+iE”とも定義される。DMTAは、2つの成分E’及びE”をこれらの共鳴によって分割することができ、また、E’(弾性成分)、E”(損失弾性率)及びE”/E’=tanδ(減衰指数)対温度をプロットすることができる。ガラス転移温度Tgは、tan=(δ)E”/E’対温度曲線の最大における温度であることと仮定される。
【0063】
屈曲弾性率*:ISO 178、成形後24時間測定する。
【0064】
引張降伏強度*:ISO 527、成形後24時間測定する。
【0065】
引張破断強度*:ISO 527、成形後24時間測定する。
【0066】
破断及び降伏伸度*:ISO 527、成形後24時間測定する。
【0067】
ノッチアイゾッド衝撃試験*:ISO 180/1A
【0068】
アイゾッド値は、成形後24時間、23℃、−20℃及び−30℃で測定する。
【0069】
注:*ISO 1873−2:1989による射出成形によって製造された試験片。
【0070】
60゜での光沢
1mmのISO D1プラークは、次のパラメータに応じて射出成形機“NB 60”(ここで、60は、締付力の60トンを意味する)で成形する。
・溶融温度=260℃、
・成形温度=40℃、
・射出速度=100mm/秒、
・保持時間=10秒、
・スクリュー回転=120rpm
【0071】
射出及び保持圧力は、金型の完全な充填を保障するために適切にセットアップして、フラッシュを回避する。
【0072】
代替的に、射出成型機“NB VE70”(ここで、70は、締付力の70トンを意味する)をまた使用することができる。
【0073】
光沢@60゜は、ASTM D 2457に応じてプラーク上で測定する。
【0074】
縦方向及び横方向熱収縮率
100×200×2.5mmのプラークは、射出成型機“SANDRETTO serie 7 190”(ここで、190は、締付力の190トンを意味する)で成形する。
【0075】
射出条件は、次の通りである:
・溶融温度=250℃;
・成形温度=40℃;
・射出時間=8秒;
・保持時間=22秒;
・スクリュー直径=55mm。
【0076】
プラークは、キャリパーを介して成形後24時間測定し、収縮率は、次の式で示す:
【0077】
【数1】
【0078】
【数2】
【0079】
ここで、200は、成形直後に測定された流れ方向に沿ったプラークの長さ(mm)であり;
【0080】
100は、成形直後に測定された流れ方向を横切ったプラークの長さ(mm)であり;
【0081】
read_valueは、関連方向のプラーク長さである。
【0082】
実施例1
エチレン重合体組成物の製造
重合に使用された固体触媒成分は、次のように製造された、内部供与体としてチタンとフタル酸ジイソブチルを含む塩化マグネシウム上に担持されたジーグラー−ナッタ触媒成分である。
【0083】
初期量の微小球状MgCl
2・2.8C
2H
5OHは、10,000代りに3,000rpmで操作することを除いては、米国特許第4,399,054号の実施例2に記載された方法によって製造した。次に、このようにして得られた付加物は、Mgのモル当たりのモルアルコール含有量が1.16になるまで窒素気流で作動する30から130℃に上昇する温度で熱脱アルコールを行った。
【0084】
窒素でパージした1000mLの四口丸底フラスコへ500mLのTiCl
4を0℃で注入した。撹拌しながら、30グラムの微小球状MgCl
2・1.16C
2H
5OH付加物(前記のように製造する)を添加した。温度は、120℃に上げて、この値に60分間維持させた。温度上昇時に、一定量のフタル酸ジイソブチルを18のMg/フタル酸ジイソブチルのモル比を有するように添加した。前記言及された60分後に、撹拌を止め、液体を吸引して27のMg/フタル酸ジイソブチルのモル比を有するように一定量のフタル酸ジイソブチルの存在下で100℃で1時間の間にTiCl
4処理を繰り返した。その後、撹拌を止め、液体を吸引してTiCl
4処理を100℃で30分間繰り返した。85℃で沈降及び吸引後、固体を60℃で無水ヘキサン(6×100ml)で6回洗浄した。
【0085】
触媒システム及び予備重合処理
重合反応器に投入する前に、予備接触ステップは、約15と同一のTEAL/DCPMS重量比で、また、TEAL/固体触媒成分重量比が5と同一の量でアルミニウムトリエチル(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)で30℃で9分間接触させて行う。
【0086】
次に、触媒システムは、第1重合反応器に投入する前に、50℃で約75分間液体プロピレン中に維持させて予備重合を行った。
【0087】
重合
重合は、生成物を第1反応器から第2反応器へ移動させるために、装置などが装着された直列の2つの気相反応器で連続的に行う。
【0088】
第1気相重合反応器内に、エチレン/プロピレン共重合体(成分A))は、連続及び一定流れ中に予備重合された触媒システム、水素(分子量調節剤として使用される)、エチレン及びプロピレンを気体状態で供給することによって製造される。
【0089】
第1反応器から出るエチレン重合体は、連続流れで排出し、未反応単量体にパージした後、連続流れ中に、第2気相反応器内に、定量的に一定流れの水素及びブテン−1を気体状態で投入する。
【0090】
第2反応器において、第2エチレン/ブテン−1共重合体(成分B))を製造する。重合条件、反応物のモル比及び得られた共重合体の組成は、表Iに示す。
【0091】
本発明による安定化されないエチレン重合体組成物を構成する第2反応器を出た重合体粒子などは、蒸気処理を行って反応性単量体及び揮発性物質を除去した後、乾燥させる。
【0092】
次に、重合体粒子などは、2軸圧出機Berstorff ZE 25(スクリューの長さ/直径比:33)の中で通常の安定化添加剤組成で混合した後、次の条件で窒素雰囲気下で押し出す:
回転速度:250rpm;
押出量:15kg/時間;
溶融温度:280〜290℃。
安定化添加剤組成物は、次の成分などで作る:
−0.1重量%のIrganox(登録商標)1010;
−0.1重量%のIrgafos(登録商標)168;
−0.04重量%のDHT−4A(ヒドロタルサイト)。
【0093】
前記Irganox(登録商標)1010は、2,2−ビス[3−[5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロポキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロパノエートである一方、Irgafos(登録商標)168は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ポスファイトである。
【0094】
パーセント量は、重合体と安定化添加剤組成物との総重量と称する。
【0095】
表IIに報告された重合体組成物に関する特性は、このように押出された重合体に対して行われた測定から得られ、これは、本明細書に開示された例示的実施形態による安定化エチレン重合体を構成する。
【0096】
安定化エチレン重合体組成物とプロピレン重合体との混合物の製造
前述のような安定化エチレン重合体組成物(以下、SEPと称する)は、下記及び表IIIに報告された比率で、異相ポリプロピレン組成物(HPP)及び後述する次の添加剤を使用して前述された条件下で押出によって混合する。このようにして得られた最終組成物の比率は、表IIIに報告される。
【0097】
添加成分など
1.HPP:16.5g/10分のMFRを有する異相ポリプロピレン組成物、これは、98%のイソタクチック指数を有するプロピレン単独重合体70重量%、(前述のように測定された、25℃でキシレン中に不溶性分画)、及び49重量%のエチレンを含有する30重量%のエチレンプロピレン共重合体に製造される;
2.タルク HTP Ultra 5C:5μm未満の粒子大きさを有する粒子約98重量%を含む微細タルク粉末;
3.0.6g/10分の総MFR(230℃/5kg荷重でISO 1133に応じて測定する)を有するカーボンブラックマスターバッチ、約45g/10分のMFRを有するカーボンブラック40重量%と、エチレン8重量%と、プロピレンの共重合体60%に製造される;
4.Irganox(登録商標)B 215(約34重量%のIrganox(登録商標)1010及び66%のIrgafos(登録商標)168に製造される);
【0098】
成分1〜4の添加量は、次の通りである(総重量に対する重量%):
成分 量
1 51.5%
2 12%
3 1.3%
4 0.2%
【0099】
実施例2
ポリエチレン組成物は、予備接触ステップでTEAL/固体触媒成分重量比が4.6と同一であることを除いて、実施例1と同一の触媒及び重合工程で製造した後、実施例1と同一の安定化添加剤組成物及び押出条件で押出する。具体的な重合条件及び得られた重合体特性は、表I及び表IIに報告される。
【0100】
安定化組成物は、実施例1と同一の量で同一の添加成分などの混合物の製造で使用される。
【0101】
このようにして得られた最終組成物の特性は、表IIIに報告される。
【0102】
比較実施例1C
比較用ポリエチレン組成物は、予備接触ステップでTEAL/固体触媒成分重量比が4と同一であることを除いて、実施例1と同一の触媒及び重合工程で製造した後、実施例1と同一の安定化添加剤組成物及び押出条件で押出する。具体的な重合条件及び得られた重合体特性は、表I及び表IIに報告される。
【0103】
前記表に示したように、成分B)は、実施例1及び2のエチレン/ブテン−1共重合体の代わりに、エチレン/プロピレン共重合体である。
【0104】
従って、前述の実施例とは異なりに、第2反応器に供給された単量体は、エチレン及びブテン−1の代わりに、エチレン及びプロピレンである。
【0105】
安定化組成物は、実施例1と同一の量で同一の添加成分などの混合物の製造で使用される。
【0106】
このようにして得られた最終組成物の特性は、表IIIに報告される。
【0107】
【表I】
【0108】
注:C2−=エチレン、C3−=プロピレン;C4−=ブテン−1;スプリット=関連反応器で製造された重合体の量。
【表II】
【0109】
注:C2−=エチレン;C3−=プロピレン;C4−=ブテン−1;
*計算された値。
【0110】
【表III】