特許第6466477号(P6466477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466477
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】フェニルインダン光開始剤の製法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/64 20060101AFI20190128BHJP
   C07C 49/83 20060101ALI20190128BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190128BHJP
【FI】
   C07C45/64
   C07C49/83 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-572386(P2016-572386)
(86)(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公表番号】特表2017-517540(P2017-517540A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】EP2015062664
(87)【国際公開番号】WO2015189124
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年4月2日
(31)【優先権主張番号】VA2014A000018
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516358093
【氏名又は名称】アイジーエム レシンス イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ ノルチーニ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ カシラギ
(72)【発明者】
【氏名】エンゾ メネグッツォ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ フロリディ
(72)【発明者】
【氏名】ジューゼッペ リ バッシ
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−519899(JP,A)
【文献】 米国特許第04987159(US,A)
【文献】 特表2006−525284(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102503509(CN,A)
【文献】 米国特許第03102135(US,A)
【文献】 特開平11−180903(JP,A)
【文献】 特表2017−517545(JP,A)
【文献】 PETROPOULOS, J. C. et al.,Journal of the American Chemical Society ,1958年,Vol. 80,pp. 1938-1941
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(二量体の異性体5)の製法であって、該方法は、下記の工程:
i.下記のスキームに従って、クメンを、式Ia(ここで、XはCl又はBrであり及びXはCl又はBrである)の化合物にてアシル化して、式IIaの化合物を得て、該式IIaの化合物をハロゲン化して、式IIIa(ここで、X及びXは、独立して、Cl又はBrである)の化合物を得るか、又はクメンを、式Ib(ここで、XはCl又はBrである)の化合物にてアシル化して、式IIbの化合物を得て、該式IIbの化合物をハロゲン化して、式IIIb(ここで、Xは、Cl又はBrである)の化合物を得る工程;
【化1】
ii.下記のスキームに従って、式IIIa又はIIIbの化合物を、酸触媒を使用して環化して、式IV(ここで、XはCl又はBrである)の化合物を得る工程;
【化2】
iii.式IVの化合物を加水分解して、式V
【化3】
の化合物(二量体の異性体5)を得る工程
を含んでなることを特徴とする二量体の異性体5の製法。
【請求項2】
式Iaの化合物が、塩化α−クロロイソブチリル又は臭化α−ブロモイソブチリルである請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項3】
式Ibの化合物が塩化イソブチリルである請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項4】
工程iにおいて、クメン1モル当たり、式Ia又はIbの化合物1.50〜1.10モル及びルイス酸1.5〜0.1モルを使用する請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項5】
工程iiにおいて、酸触媒が、酸型のスルホン基を有するイオン交換樹脂又は無機酸である請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項6】
工程iiiにおいて、式IVの化合物を、アルカリ金属アルコキシドとの反応及び続く酸水溶液による加水分解反応によって加水分解する請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項7】
アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメチラートである請求項6に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項8】
工程iiiにおいて、式IVの化合物を、アルカリ金属水酸化物による反応によって加水分解する請求項1に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項9】
アルカリ金属水酸化物が、30%NaOHメタノール溶液又は水溶液である請求項8に記載の二量体の異性体5の製法。
【請求項10】
式Vの化合物を、工程iiiの完了後、結晶化によって、固状かつ純粋な形で得る請求項1〜9のいずれかに記載の二量体の異性体5の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルインダン光開始剤の位置異性体(5−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン;二量体の異性体5)を固状かつ純粋な形で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合における位置異性光開始剤の使用は、単量体の光開始剤と比較して、いくつかの利点(例えば、光開始剤の移動性が低い及びその光分解に由来する揮発性化合物の量が低減される)を有する。これらの特性は、最終製品の汚染の危険を低減するため、光開始剤の工業的用途にとって重要である。
【0003】
公知のオリゴマーの光開始剤の中でも、式A
【化1】
(ここで、nは0以上の数である)のα−メチルスチレンオリゴマーのα−ヒドロキシカルボニル誘導体が、当分野において最も評価されている。
【0004】
これらの光開始剤は、米国特許第4,987,159号に記載されており、主として、二量体及び三量体の異性体の混合物によって構成される。室温において、これらの二量体及び三量体の異性体の混合物は、高度に粘性の生成物であり、通常、容易な取り扱いのためにプレ加熱を必要とする。
【0005】
その結果、粉末状のα−メチルスチレンオリゴマーのα−ヒドロキシカルボニル誘導体の固状混合物が開発され、現在、高評価された光重合性アクリル系用の光開始剤となっている。
【0006】
その組成及び合成は、ヨーロッパ特許第1389177号に報告されている。
【0007】
ヨーロッパ特許第1389177号のα−メチルスチレンオリゴマーのα−ヒドロキシカルボニル誘導体の固状混合物は、約90〜98%の2つの二量体の異性体:5−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピプ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(二量体の異性体5)及び6−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(二量体の異性体6)を含有する。
【0008】
二量体の異性体5は、式V
【化2】
の化合物である。
【0009】
二量体の異性体6は、式VI
【化3】
の化合物である。
【0010】
ヨーロッパ特許第1389177号の方法は、α−メチルスチレンオリゴマーのα−ヒドロキシカルボニル誘導体の高粘着性の混合物(その合成は、例えば、米国特許第4,987,159号に記載されている)の制御された環化を介して、これらの固状混合物を提供する。
【0011】
いずれの二量体の異性体も光開始剤として活性であるが、ヨーロッパ特許第1389177号にも報告されているように、二量体の異性体5は、二量体の異性体6よりも、光重合においてより反応性である。
【0012】
ヨーロッパ特許第1389177号の制御された環化の利点の1つは、二量体の異性体5を豊富に含有するα−メチルスチレンオリゴマーのα−ヒドロキシカルボニル誘導体の固状混合物を提供することである。
【0013】
二量体の異性体V及びVIの結晶性混合物の製法も、ヨーロッパ特許第1620382号に記載されている。この方法は、原料物質として1,1,3−トリメチル−1−フェニルインダンを使用するものであり、中間体の1つの分離を介する単独の二量体の異性体Vの調製に適している。
【0014】
ヨーロッパ特許第1389177号の方法及びヨーロッパ特許第1620382号の方法は、いずれも、α−メチルスチレンオリゴマー又は二量体のアシル化によって、α−メチルスチレン二量体のα−ヒドロキシカルボニル誘導体を調製する。アシル化が5位及び6位の両方で生ずるため、常に、5−及び6−異性体の混合物が得られ、豊富に含有する形又は単離された形での二量体の異性体5の調製は、反応性の劣る二量体の異性体6の排出又は別個の使用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
結果として、高価でかつ不便な精製工程が不要であり、生成物を固状かつ純粋な形で提供する二量体の異性体5の短時間の、効率的かつ異性体6フリーの合成法を立案することは極めて望ましい。
【0016】
発明者らは、クメンの4位におけるハロゲン化イソブチリルによるアシル化、続く、得られた生成物のベンジルのハロゲン化及び二量化(環化)を含んでなる方法によって目的が達成されるとの知見を得て、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の主な目的は、5−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(二量体の異性体5)の製法にあり、該方法は、下記の工程を含んでなる:
【0018】
i.下記のスキームに従って、クメンを、式Ia(ここで、XはCl又はBrであり及びXはCl又はBrである)の化合物にてアシル化して、式IIaの化合物を得て、該式IIaの化合物をハロゲン化して、式IIIa(ここで、X及びXは、独立して、Cl又はBrである)の化合物を得る;又はクメンを、式Ib(ここで、XはCl又はBrである)の化合物にてアシル化して、式IIbの化合物を得て、該式IIbの化合物をハロゲン化して、式IIIb(ここで、Xは、Cl又はBrである)の化合物を得る。
【化4】
【0019】
ii.下記のスキームに従って、式IIIa又はIIIbの化合物を、酸触媒を使用して環化して、式IV(ここで、XはCl又はBrである)の化合物を得る。
【化5】
【0020】
iii.式IVの化合物を加水分解して、式V
【化6】
の化合物(二量体の異性体5)を得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
クメンの式Ia又はIbの化合物によるアシル化は、フリーデル・クラフツ型アシル化反応である。特定の物質(クメン)は、アシル化を高度に位置選択性とし、ほぼ絶対的にパラ位置換されたクメン誘導体を提供する(HNMRによって測定して、選択率は約98%である)。
【0022】
従って、化合物IIIa及びIIIbは、いくつかの工程において、非常に高い選択率でクメンから容易に得られる。
【0023】
式Ia及びIbの化合物は、市販のハロゲン化アシルである。好適な式Iaの化合物は塩化α−クロロイソブチリル及び臭化α−ブロモイソブチリルであり、好適な式Ibの化合物は塩化イソブチリルである。
【0024】
工程iにおいて、好ましくは、クメン及びハロゲン化アシルを混合し、溶媒の不在下、又は有機溶媒中に溶解させて、反応させる。アシル化条件において不活性の各種の溶媒が使用される。使用できる溶媒の例は、ジクロロメタン、クロロベンゼン、塩化エチレン、1,2−ジクロロベンゼン、ニトロメタン、テトラクロロエタンであり;好適な溶媒は、ジクロロメタン及びクロロベンゼンである。
【0025】
工程iでは、クメン1モル当たりハロゲン化アシル1.50〜1.10モル、好ましくは、1.10〜1.05モルを使用する。
【0026】
工程iのアシル化は、代表的には、クメン1モル当たり1.5〜0.1モルのルイス酸(例えば、AlCl、FeCl、TiCl、BF又はSnCl、好ましくは、AlCl)を添加することによって、好ましくは、温度−20〜+20℃、より好ましくは、−10〜10℃において行われる。反応の仕上げは、当分野における通常通り、反応混合物を水で加水分解し、可及的に溶媒に溶解した得られた生成物を分離することによって行われる。
【0027】
アシル化では、定量的収率が達成される。
【0028】
式IIaの化合物のハロゲン化は、米国特許出願公開第2007/0161814号に記載されているように、太陽光ランプ又はUVランプを使用する照明による、又は触媒量の過酸化ジベンゾイル又は2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)の存在下における式IIaの化合物とN−ブロモスクシンイミドとの反応によって、又はフリーラジカル条件(照明又は触媒量の過酸化ジベンゾイル又はAIBNの存在)下における塩化スルフリル、塩素又は臭素との、又は次亜塩素酸t−ブチルとの反応によって行われるベンジルのハロゲン化である。ハロゲン化は、もしあれば、工程iのアシル化で使用された同じハロゲン化溶媒中で、又は他の相溶性の溶媒、例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン又は他のハロゲン化溶媒中で行われる。
【0029】
或いは、工程iにおいて、アシル化が式Ibの化合物を使用して行われる場合には、得られる式IIbの化合物のハロゲン化は、ヨーロッパ特許第161463号においてステージ(C)について報告されているように、塩素又は臭素、又は塩化スルフリルを使用することによって、ベンジル位及びα−ケト位(エノールハロゲン化)の両方において1工程で行われる。
【0030】
工程iiでは、式IIIa又はIIIbの化合物を、酸触媒を使用して環化(二量化)し、式IV(ここで、XはCl又はBrである)の化合物を得る。
【0031】
酸触媒は、無機又は有機の強酸、例えば、スルホン酸又はホスホン酸、又はルイス酸である。好適な酸触媒は、酸性白土、酸型のスルホン基を有するイオン交換樹脂、C〜C18アリールスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸である。さらに好ましくは、酸触媒は、酸型のスルホン基を有するイオン交換樹脂又は無機酸である。反応は、溶媒中又は溶媒を使用することなく、温度40〜140℃において行われる。
【0032】
工程iiiでは、式IVの化合物を加水分解する。例えば、ヨーロッパ特許第0161463号(ステージ(D)及びステージ(E))及び米国特許第4,987,159号(実施例4)に報告されているように、式IVの化合物を、アルカリ金属アルコキシド、好ましくは、メタノール中のナトリウムメチラートと反応させ、及び酸水溶液にて加水分解して、式Vの化合物(二量体の異性体5)を得るか、或いは、式IVの化合物を、アルカリ金属水酸化物にて、例えば、国際公開第2004/099111号(実施例1.3)に記載されたように、30%NaOHメタノール溶液にて、又は30%NaOH水溶液にて、直接、加水分解して、式Vの化合物を生成することができる。
【0033】
式Vの化合物は、例えば、ヨーロッパ特許第1389177号において報告されているように、トルエン、i−プロパノール、酢酸エチル又は他の溶媒からの結晶化によって、固状かつ純粋な形で得られる。
【実施例1】
【0034】
2−クロロ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(式IIaの化合物)の合成
クメン(20.0g、0.165モル)及び塩化α−クロロ−i−ブチリル(24.7g、0.173モル)の塩化メチレン(250g)溶液を、窒素雰囲気下、5℃において撹拌した。溶液に、同じ温度において、塩化アルミニウム(24.2g、0.182モル)を少量ずつ90分間で添加した。さらに1時間撹拌した後、撹拌しながら、溶液を氷水に注いだ。有機相を水で洗浄し、塩化メチレンを真空下で留去して、透明なオイル38.0gを得た。収量:定量的。
H1NMR (CDCl3, δ ppm): 1.26(d, 6H), 1.85(s, 6H), 2.95(m, 1H), 7.29(d, 2H), 8.13(d, 2H)
【実施例2】
【0035】
2−クロロ−1−(4−(2−クロロプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(式IIIaの化合物)の合成
2−クロロ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(10.0g、0.045モル)を、クロロベンゼン(73g)に溶解し、室温において、撹拌下、窒素によって脱酸素化した。ついで、溶液を−10℃に冷却し、次亜塩素酸t−ブチル(7.24g、0.067モル;Organic Syntheses,Coll.Vol.5,184(1973)に記載のようにして調製)を一度に添加して、黄色の溶液を得た。溶液が脱色し、温度が20℃に上昇するまで、撹拌した溶液に、300W Osram Ultra Vitaluxランプにて照明した。室温に冷却した後、溶媒を真空下で留去して、透明なオイル11gを得た。収量:定量的。
H1NMR (CDCl3, δ ppm): 1.86(s, 6H), 1.95(s, 6H), 7.15(d, 2H), 8.13(d, 2H)
【実施例3】
【0036】
5−(2−クロロ−2−メチル−1−オキソ−プロピ−1−イル)−3−(4−(2−クロロ−2−メチル−1−オキソ−プロピ−1−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(式IVの化合物)の合成
2−クロロ−1−(4−(2−クロロプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(8.30g、0.032モル)を、触媒アンバーリスト15 1.50gの存在下、撹拌しながら、135℃で加熱した。5時間後、反応が完了した(TLC SiO、トルエン)。冷却後、固状物を塩化メチレンに溶解し、触媒を濾去した。溶媒を減圧留去した後、オイル5.89g(収率82.5%)を得た。該オイルは、静置後、固化した。サンプルをトルエン中で結晶化して、白色の固体を得た(融点:139〜140℃)。収量:定量的。
H1NMR (CDCl3, δ ppm): 1.03(s, 3H), 1.38(s, 3H), 1.73(s, 3H), 1.86(m, 12H), 2.26(d, 1H), 2.47(d, 1H), 7.25(m, 3H), 7.92(s, 1H), 8.07(d, 2H), 8.18(d, 1H)
【実施例4】
【0037】
5−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル]−3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル)−1−オキソ−プロピ−1−イル−フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(二量体の異性体5;式Vの化合物)の合成
5−(2−クロロ−2−メチル−1−オキソ−プロピ−1−イル)−3−(4−(2−クロロ−2−メチル−1−オキソ−プロピ−1−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン(5.2g、0.011モル)を、塩化メチレン(30g)に溶解し、30%NaOH水溶液(7.30g、0.055モル)を添加した。臭化テトラブチルアンモニウム(0.10g)の存在下において、混合物を加熱還流した。8時間後、反応が完了した(TLC SiO、トルエン:酢酸エチル8:2)。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒の蒸発後、化合物4.5gをオイルとして得た。該オイルは、静置後、固化した。サンプルをトルエン中で結晶化して、白色の粉末を得た(融点:117〜118℃)。収量:定量的。
H1NMR (CDCl3, δ ppm): 1.04(s, 3H), 1.37(s, 3H), 1.61(m, 12H), 1.73(s, 3H), 2.25(d, 1H), 2.46(d, 1H), 3.90-4.10(bs, 2OH), 7.25(m, 3H), 7.80(s, 1H), 7.92(d, 2H), 8.00(d, 1H)