(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
膨張黒鉛が、DIN 51938に従い篩分析により決定され、1mm以下のD(0.5)により規定された粒径分布、およびDIN 51705に従い決定された0.1g/cm3以上のバルク密度を有する少なくとも1種の膨張黒鉛を含む、請求項1に記載の組成物。
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーが、(190°Cおよび2.16kgで)ASTM D1238に従い決定された、少なくとも2.5g/10分のメルトフロー指数を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【0014】
成分A
ポリカーボネートを成分Aとして使用する。
【0015】
本発明による「ポリカーボネート」とは、ホモポリマーカーボネートおよびコポリカーボネートの両方ならびにポリエステルカーボネートを指す。
【0016】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートを含む、熱可塑性ポリカーボネートの平均モル重量M
w(CH
2Cl
2において、25°Cで、100mlのCH
2Cl
2あたり0.5gの濃度の相対する粘度を測定することにより決定する)は、20000g/mol〜32000g/mol、好ましくは23000g/mol〜31000g/mol、より具体的には24000g/mol〜31000g/molである。
【0017】
本発明による好適なポリカーボネート中の炭酸塩基(carbonate group)の一部分、最大80mol%、好ましくは20mol%〜50mol%が、芳香族ジカルボン酸エステル基によって置換されたものであってもよい。炭酸基だけでなく分子鎖に取り込まれた芳香族ジカルボン酸基を含むこの種のポリカーボネートは、芳香族ポリエステルカーボネートと称される。本発明の内容において、芳香族ポリエステルカーボネートは、熱可塑性芳香族ポリカーボネートの一般名の範囲内に含まれる。
【0018】
ポリカーボネートは、ジフェノール、炭酸誘導体、および場合により連鎖停止剤、および場合により分岐剤から既知の様式で生成され、ここでポリエステルカーボネートの調製は、特に芳香族ジカルボン酸エステルの構造単位が、芳香族ポリカーボネート内のカーボネートの構造単位を置換するよう意図される程度に従って、炭酸誘導体の一部分を芳香族ジカルボン酸またはジカルボン酸の誘導体で置換することを伴う。
【0019】
ポリカーボネート生成のために好適なジヒドロキシアリール化合物は、式(2)のジヒドロキシアリール化合物である:
【化2】
[式中、Zは6〜30個の炭素原子を有し、1つ以上の芳香族環を含み、かつ置換を有し、また脂肪族または脂環式部分、アルキルアリール部分、またはヘテロ原子を架橋材として含むことが可能な、芳香族基である]。
【0020】
式(2)中のZは、好ましくは式3の基である:
【化3】
[式中、
R
6およびR
7は、互いに独立してH、C
1〜C
18−アルキル、C
1〜C
18−アルコキシ、ClまたはBrなどのハロゲン、またはそれぞれ置換していてもよいアリールまたはアラルキルであり、好ましくはHまたはC
1-〜C
12-アルキル、より好ましくはHまたはC
1〜C
8−アルキルおよび非常に好ましくはHまたはメチルであり、ならびに、
Xは、単結合、−SO
2−、−CO−、−O−、−S−、C
1〜C
6−アルキレン、C
2〜C
5−アルキリデン、C
1〜C
6−アルキル、好ましくはメチルまたはエチルにより置換されていてもよい、C
5〜C
6-シクロアルキリデンまたはさらなるヘテロ原子を含む芳香族環と縮合されてもよいC
6〜C
12−アリーレンである]。
【0021】
Xは、単結合、C
1〜C
5−アルキレン、C
2〜C
5−アルキリデン、C
5〜C
6−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO
2−または式(3a)または(3b)の基であることが好ましい。
【化4】
[式中、
R
8およびR
9は、各X
1に対して個別に選択可能であり、かつ互いに独立して、水素またはC
1〜C
6-アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルであり、ならびに、
X
1は、炭素であり、ならびに、
nは、4〜7、好ましくは4または5の整数であり、ただし少なくとも1個のX
1上で、R
8およびR
9原子が同時にアルキルである]。
【0022】
ジヒドロキシアリール化合物(ジフェノール)の例としては、以下のジヒドロキシベンゼン類、ジヒドロキシビフェニル類、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)アリール類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、1,1’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類ならびにこれらの環アルキル化化合物および環式ハロゲン化化合物である。
【0023】
本発明に従い使用されるポリカーボネートの生成に好適なジフェノールの例としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類ならびにこれらの環アルキル化化合物および環式ハロゲン化化合物が含まれる。
【0024】
好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0025】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0026】
これらおよびさらに好適なジフェノールは、例えば米国特許第2999835 A号、第3148172 A号、第 2991273 A号、第3271367 A号、第4982014 A号および第2999846 A号、独国特許公開明細書第1570703 A号、第2063050 A号、第2036052 A号、第2211956 A号および第3832396 A号、仏国特許明細書第1561518 A1号、H. Schnell monograph “Chemistry and Physics of Polycarbonates”、Interscience Publishers, New York 1964, p. 28ff.; p.102ff.、およびD.G. Legrand, J.T. Bendler, “Handbook of Polycarbonate Science and Technology”, Marcel Dekker New York 2000, p. 72ffにおいて記載されている。
【0027】
ホモポリカーボネートの場合、1種のジフェノールのみを使用し、コポリカーボネートの場合、2種以上のジフェノールを使用する。使用するジフェノールおよび合成に添加する他の全ての助剤および化学物質は、それら自体の合成、取り扱いおよび保管に由来する不純物により汚染されていてもよい。しかし、非常に純度の高い原料で作業をすることが望ましい。
【0028】
分子量の調整に必要とされる単官能性の連鎖停止剤、例えばフェノールまたはアルキルフェノール、具体的にはフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、これらのクロロ炭酸エステルまたはモノカルボン酸塩の塩化アシル、および/またはこれら連鎖停止剤の混合物などは、ホスゲンまたはクロロ炭酸塩末端基が反応混合物中依然として存在している限り、または連鎖停止剤としての塩化アシルまたはクロロ炭酸エステルの場合、形成されているポリマー内で十分なフェノール末端基が利用可能である限り、ビスフェノレート(複数可)とともに、または合成中の任意の時点においてのいずれかで供給される。好ましくは、しかし、連鎖停止剤(複数可)は、触媒がまだ添加されていないが既にホスゲンが一切存在していない位置または時点で、ホスゲン化の後に、または触媒の前に、触媒と一緒にまたは平行して測定添加される。
【0029】
同様に、使用される任意の分岐剤または分岐剤の混合物は合成物に添加されるが、通常連鎖停止剤の前である。トリスフェノール、クアテルフェノールまたはトリカルボン酸塩またはテトラカルボン酸塩の塩化アシルまたはポリフェノールまたは塩化アシルの他の混合物を使用することは通常である。
【0030】
分岐剤として使用でき、かつ3個以上のフェノール性ヒドロキシ基を有する幾つかの化合物は、例として、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタ−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ (4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタンが挙げられる。
【0031】
他の三官能性化合物の幾つかは、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル酸および3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0032】
好ましい分岐剤は、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0033】
使用される分岐剤の量は、それぞれの場合に順に使用されたジフェノールのモルに基づいて、0.05mol%〜2mol%である。
【0034】
分岐剤は、ジフェノールと連鎖停止剤と水性アルカリ性層中に初期に導入してもよく、またはホスゲン化の前に有機溶剤の溶液に添加してもよい。
【0035】
ポリカーボネートの生成のためのこれら全ての手段は、当業者によく知られている。
【0036】
ポリエステルカーボネートの生成に好適な芳香族ジカルボン酸の例として、オルト−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパンおよびトリメチル−3−フェニルインダン−4,5’−ジカルボン酸が挙げられる。
【0037】
芳香族ジカルボン酸の中でも、特に好ましく使用されるのは、テレフタル酸および/またはイソフタル酸である。
【0038】
ジカルボン酸の誘導体は、ジカルボン酸ジハライドおよびジカルボン酸ジアルキルエステル、特にジカルボン酸二塩化物およびジカルボン酸ジメチルエステルである。
【0039】
芳香族ジカルボン酸エステル基の炭酸塩基への置換は、実質的に化学量論的および定量的に起こり、よって反応体のモル比もまた、完成したポリエステルカーボネート中で見出される。芳香族ジカルボン酸エステル基の組み込みは、ランダムにまたはブロックのいずれかで発生してもよい。
【0040】
ポリエステルカーボネートを含む、本発明に従い使用するポリカーボネートの製造の好ましい形態は、公知の界面過程および公知のメルトエステル交換過程(例:国際公開第 2004/063249 A1号、国際公開第2001/05866 A1号、国際公開第2000/105867号、米国特許第5,340,905 A号、米国特許第5,097,002 A号、米国特許出願第5,717,057 A号を参照のこと)である。
【0041】
第一の場合において、酸誘導体は、好ましくはホスゲンであり、そしてジカルボン酸二塩化物であってもよく、後者の場合、好ましくはジフェニルカーボネートであり、そしてジカルボン酸ジエステルであってもよい。ポリカーボネート製造およびポリエステルカーボネート生成のための触媒、溶媒、後処理、反応条件等は、両者において広く説明され、かつ公知である。
【0042】
ポリカーボネート、ポリエステルカーボネートおよびポリエステルは公知の様式で後処理することができ、かつ、例えば押出成型または射出成形の手法により任意の所望の類の成形品に加工することができる。
【0043】
成分B
膨張黒鉛を成分Bとして使用する。
【0044】
膨張黒鉛において、黒鉛の個別の底面は、特殊処理により引き裂かれ、結果として、好ましくは200〜400個の因子の、黒鉛の容積の増加をもたらす。膨張黒鉛の生成を記載した明細書は、米国特許第1,137,373 A号、米国特許第1,191,383 A号および米国特許第3,404,061 Aを含む。
【0045】
組成物において、黒鉛は、線維、棒、ビーズ、中空球体、小板、粉末形態、それぞれの場合において凝集形態および集塊形態の両方において、好ましくは小板の形態で使用する。
【0046】
本発明の小板型構造は、平らな形状を有する粒子を指す。従って、粒子の高さは、粒子の幅または長さと比較して通常非常に小さい。この種の平らな粒子は、言い換えると、構造を形成するために凝集または集塊を経ていてもよい。
【0047】
小板型初期粒子の高さは500nmより小さく、好ましくは200nmより小さく、および、より好ましくは100nmより小さい。初期粒子の小さなサイズの結果として、粒子の形を折り曲がった、曲がった、波状のまたは、さもなければ変形されてもよい。
【0048】
粒子の長さ寸法は、例えば電子顕微鏡法などの、標準的方法で決定されてもよい。
【0049】
熱可塑性組成物において良好な熱伝導性を得て、かつ、同時に高い加工領域を確実にするため、本発明の熱可塑性組成物において、黒鉛を、15.0〜60.0重量%、好ましくは20.0〜45.0重量%、より好ましくは20.0〜35.0重量%、非常に好ましくは30.0〜35重量%の量で使用する。
【0050】
本発明の好ましい態様は、ASTM D3037に従い、窒素吸収の手段によりBET表面領域として決定される、比較的高い特定の表面領域を有する黒鉛である。熱可塑性組成物の使用に好ましいのは、5m
2/g以上、より好ましくは10m
2/g以上、および非常に好ましくは18m
2/g以上のBET表面領域を有する黒鉛である。
【0051】
DIN 51938に従い篩分析で決定された、黒鉛のD(0.5)は、1.2mm未満である。
【0052】
黒鉛は、好ましくは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.2mm、より好ましくは少なくとも1.4mm、さらにより好ましくは少なくとも1.5mmのD(0.9)により特徴付けられた粒径分布を有する。
【0053】
同様に好ましくは、黒鉛は、少なくとも400μm、好ましくは少なくとも600μm、より好ましくは少なくとも750μm、さらにより好ましくは少なくとも850μmのD(0.5)により特徴付けられた粒径分布を有する。
【0054】
好ましくは、黒鉛は、少なくとも100μm、好ましくは少なくとも150μm、より好ましくは少なくとも200μm、さらにより好ましくは少なくとも250μmのD(0.1)により特徴付けられた粒径分布を有する。
【0055】
特徴的数字のD(0.1)、D(0.5)およびD(0.9)は、DIN 51938に従った篩分析により決定される。
【0056】
使用した黒鉛は、キシレンを使用して決定された、2.0g/cm
3〜2.4g/cm
3、好ましくは2.1g/cm
3〜2.3g/cm
3、およびより好ましくは2.2g/cm
3〜2.27g/cm
3の範囲の密度を有する。
【0057】
800℃で20時間のDIN 51903に従い決定された、本発明により使用される黒鉛の炭素含有量は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上である。
【0058】
110℃で8時間のDIN 38414に従い決定された、本発明の方法に従い使用される黒鉛の含残留水分は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2%以下である。
【0059】
本発明により使用される黒鉛の加工前の熱伝導性は、底面に平行で250〜400W/(m*K)の間および底面に垂直で6〜8W/(m*K)の間である。
【0060】
本発明により使用される黒鉛の加工前の電気抵抗は、底面に平行で約0.001Ω*cmおよび底面に垂直で0.1Ω*cmより小さい。
【0061】
DIN 51705により決定された、黒鉛のバルク密度は、通常、50g/l〜250g/lの間、好ましくは65g/l〜220g/lの間、より好ましくは100g/l〜200g/lの間である。
【0062】
熱可塑性組成物に使用される黒鉛は、好ましくは200ppmより少ない硫黄含有量を有する。
【0063】
好ましくは、さらに、熱可塑性組成物に使用される黒鉛は、100ppmより少ない溶出塩素イオン含有量を有する。
【0064】
同様に好ましくは、熱可塑性組成物に使用される黒鉛は、50ppmより少ない硝酸エステルおよび亜硝酸塩の含有量を有する。
【0065】
使用に特に好ましいのは、前記の全ての限定した値、即ち、硫黄含有量、塩素イオン含有量、硝酸エステル含有量および亜硝酸塩含有量を示す黒鉛である。
【0066】
商業的に入手可能な黒鉛は、SGKカーボン社(SGL Carbon GmbH)のEcophit(商標) GFG 5、Ecophit(商標) GFG 50、Ecophit(商標) GFG 200、Ecophit(商標) GFG 350、 Ecophit(商標) GFG 500、Ecophit(商標) GFG 900、Ecophit(商標) GFG 1200、ティムカル社(TIMCAL Ltd.)のTIMREX(商標) BNB90、TIMREX(商標) KS5-44、TIMREX(商標) KS6、 TIMREX(商標) KS150、TIMREX(商標)SFG44、TIMREX(商標) SFG150、TIMREX(商標) C-THERM(商標) 001 およびTIMREX(商標) C-THERM(商標)011、グラフィトクロップミュル社(Graphit Kropfmuehl AG)の SC 20 O、SC 4000 O/SMおよび SC 8000 O/SM、H.C.カーボン社(H.C. Carbon GmbH)のMechano-Cond 1、Mechano-Lube 2およびMechano-Lube 4G 、ノードマンラスマン社(Nordmann Rassmann GmbH)の Nord-Min 251およびNord-Min 560Tならびにアズベリーカーボンズ(Asbury Carbons) のASBURY A99、Asbury 230UおよびAsbury 3806を含む。
【0067】
成分C
本発明の意味における成分Cは、モノマー性およびオリゴマー性のリン酸エステル類およびホスホン酸エステル類からなる群から選択される、即ち、1種または多種のこれらの群から選択される、2種以上の成分の混合物を成分Cとして採用してもよい。
【0068】
本発明により使用される、モノマー性およびオリゴマー性のリン酸エステル類およびホスホン酸エステル類は、一般式(V)のリン化合物である:
【化5】
[式中、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、互いに独立してC
1〜C
8−アルキルであり、それぞれの場合において、ハロゲン化されていてもよく、およびそれぞれの場合において分岐状または非分岐状であり、および/またはC
5〜C
6−シクロアルキル、C
6〜C
20−アリールまたはC
7〜C
12−アラルキルであり、それぞれの場合において分岐状または非分岐状アルキルおよび/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素により置換されていてもよく、
nは、それぞれの発生において独立して0または1であり、
qは、0〜30の整数であり、および
Xは、6〜30個のC原子を有する単環式または多環式芳香族基または2〜30個のC原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族基であり、それぞれの場合における基が、置換または非置換、架橋または非架橋であってもよい]。
【0069】
好ましくは、R
1、R
2、R
3およびR
4は、互いに独立して分岐状または非分岐状C
1〜C
4−アルキル、フェニル、ナフチル、またはC
1〜C
4−アルキル−置換フェニルである。芳香族基R
1、R
2、R
3および/またはR
4の場合、同様にハロゲン基および/またはアルキル基により置換されていてもよく、好ましくは、分岐状または非分岐状の塩素、臭素および/またはC
1〜C
4−アルキルである。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルおよびそれらの対応の臭素化および塩素化誘導体である。
【0070】
式(V)中のXは、好ましくはジフェノールから由来する。
式(V)中のnは、好ましくは1である。
【0071】
qは、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜10であり、かつ、混合物が0.8〜5.0の平均値を含む場合、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.05〜2.00および非常に好ましくは1.08〜1.60である。
【0072】
一般式(V)の好ましいリン化合物は、式Iの化合物である:
【化6】
[式中、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれの場合において互いに独立して直鎖状または分岐状C
1〜C
8−アルキルおよび/またはC
5〜C
6−シクロアルキル、C
6〜C
10−アリールまたはC
7〜C
12−アラルキルであり、それぞれ直鎖状または分岐状アルキルにより置換されていてもよく、
nは、独立してそれぞれの発生において0または1であり、
qは、独立してそれぞれの発生において0、1、2、3または4であり、
Nは、1〜30の数であり、
R
5およびR
6は、互いに独立して直鎖状または分岐状C
1〜C
4−アルキル、好ましくはメチルおよび、
Yは、C
1〜C
7−アルキリデン、直鎖状または分岐状C
1〜C
7−アルキレン、C
5〜C
12−シクロアルキレン、C
5〜C
12−シクロアルキリデン、−O−、−S−、−SO−、SO
2またはCO−である]。
【0073】
式V中のXは、より好ましくは、
【化7】
であるか、またはこれらの塩素化および/または臭素化誘導体である。好ましくは、(隣接酸素原子と)Xは、ヒドロキノン、ビスフェノールAまたはジフェニルフェノールに由来する。同様に、好ましくは、Xは、レゾシノールから由来する。特に好ましくは、Xは、ビスフェノールAに由来する。
【0074】
式(V)のリン化合物は、特に、トリブチルリン酸塩、トリフェニルリン酸塩、トリセシルリン酸塩、ジフェニルクレシルリン酸塩、ジフェニルオクチルリン酸塩、ジフェニル2−エチルクレシルリン酸塩、トリ(イソプロピルフェニル)リン酸塩、レゾシノール−架橋オリゴリン酸塩およびビスフェノールA−架橋オリゴリン酸塩である。ビスフェノールAに由来する式(V)のオリゴマーリン酸塩エステル類の使用が特に好ましい。
【0075】
成分Cとして非常に好ましいのは、式(Va)のビスフェノールA系オリゴリン酸塩である。
【化8】
【0076】
特に好ましくは、さらに、qが1.0〜1.2の間である、式(Va)に類似のオリゴリン酸塩である。
【0077】
成分Cのリン化合物は公知であり、(例:EP 0 363 608 A1、EP 0 640 655 A2を参照のこと)または、類似の様式で公知の方法により調製することができる(例:Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, Vol. 18, p. 301 ff., 1979、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Vol. 12/1, p. 43; Beilstein Vol. 6, p. 177を参照のこと)。
【0078】
qの報告値がqの平均値でありながら、同一の構造および異なる鎖長の混合物を使用することは好ましい。qの平均値は、アセトニトリルおよび水の混合物(50:50)中で40℃で高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)の手段により、リン化合物混合物の組成(分子量分布)を確定し、かつこれをqの平均値を計算するのに使用することで決定される。
【0079】
本発明の組成物は、4.5〜10重量%、好ましくは6.0〜10.0重量%、より好ましくは6.0〜9.0重量%の成分Cを含む。
【0080】
あるいは、本発明の特に好ましい組成物は、5.0〜7.0重量%の成分Cを含む。
【0081】
成分D
本発明の意味における成分Dは、式(VI)のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーである。
【化9】
[R
1は、メチルまたは水素であり、
R
2は、水素またはC
1〜C
12−アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ヘキシル、イソアミルまたはtert−アミルであり、
xおよびyは、それぞれ独立した重合度(整数)であり、ならびに、
nは、1以上の整数である]。
【0082】
重合度xとyとの比率は、好ましくは、x:y=1:300〜90:10の範囲内である。
【0083】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーまたはマルチブロックコポリマーであってもよく、またはこれらの構造の混合物を含んでもよい。一実施形態において使用されるのは、分岐状または非分岐状エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、より好ましくは直鎖状エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0084】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーのメルトフロー指数(MFR)(190℃、2.16kgの負荷下、ASTM D1238で測定された)は、好ましくは、2.5〜40.0g/(10分)の範囲内、より好ましくは3.0〜10.0g/(10分)の範囲内、非常に好ましくは、3.0〜8.0g/(10分)の範囲内である。
【0085】
本発明の組成物に好ましく使用されるのは、Elvaloy(商標)1820 AC(デュポン社) (DuPont)である。これは、190℃、2.16kgの負荷下、ASTM D1238で測定された20%のメチルアクリレート含有量および8g/(10分)のメルトフロー指数を有する、エチレン/メチルアクリレートコポリマーである。
【0086】
本発明の組成物は、0.01〜5重量%、好ましくは2〜4.5重量%、非常に好ましくは3〜4重量%の成分Dを含む。
【0087】
成分E
ポリカーボネート組成物は、成分C以外の難燃剤、フィラー、熱安定剤、帯電防止剤、着色剤および顔料、離型剤、UV吸収剤およびIR吸収剤などの、記載した熱可塑性プラスチックの慣習的な量の慣習的添加剤と混合してもよい。
【0088】
本発明の組成物は、好ましくは、成分Cを除いて、さらなる難燃剤を含まない。本発明の組成物は、好ましくは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなどの、フッ素含有滴下防止剤を含まない。
【0089】
さらなる添加剤の量は、組成物全体に対して、好ましくは、5重量%まで、より好ましくは、0.01〜3重量%である。
【0090】
好適な添加剤は、例えば、“Additives for Plastics Handbook”, John Murphy, Elsevier, Oxford 1999および“Plastics Additives Handbook”, Hans Zweifel, Hanser, Munich 2001に記載されている。
【0091】
好適な酸化防止剤または熱安定剤の例として、アルキル化モノフェノール類、アルキルチオメチルフェノール類、ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、トコフェロール類、水酸化チオジフェニルエーテル類、アルキリデンビスフェノール類、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート類、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アシルアミノフェノール類、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル類、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル類、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類、好適なチオ相乗剤(thiosynergist)、二次抗酸化剤、亜リン酸エステル類、および亜ホスホン酸エステル類、ベンゾフラノン類、ならびにインドリノン類が挙げられる。
【0092】
通常有機基が、置換されていてもよい芳香族基の全体または部分を構成する、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンまたは2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル2−ブチル−2−エチルプロパン−1、3−ジイルリン酸塩、ホスホン酸塩およびホスファンなどの有機亜リン酸塩が特に好ましい。
【0093】
特に好適な添加剤の例として、IRGANOX(商標)1076
(オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、CAS番号2082−79−3)および、トリフェニルホスフィン(TPP)が挙げられる。
【0094】
好適な離型剤の例として、一価〜六価アルコール類の、より好ましくはグリセロール、ペンタエリスリトールまたはゲルベアルコール類のエステルまたは部分エステルが挙げられる。
【0095】
一価アルコールは、例えば、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールおよびゲルベアルコール類である。二価アルコールは、例えば、グリコールであり、三価アルコールは、例えばグリセロールであり、四価アルコールは、例えば、ペンタエリスリトールおよびメソエリスリトールであり、五価アルコールは、例えば、アラビトール、リビトールおよびキシリトールであり、六価アルコールは、例えば、マンニトール、グルシトール(ソルビトール)およびズルシトールである。
【0096】
エステルは、好ましくは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルまたはそれらの混合物、特に、飽和脂肪族C
10〜C
36モノカルボン酸および場合によりヒドロキシモノカルボン酸と、好ましくは、飽和脂肪族C
14〜C
32モノカルボン酸および場合によりヒドロキシモノカルボン酸との統計的混合物である。
【0097】
市販の脂肪酸エステル類、特にペンタエリスリトールの脂肪酸エステルおよびグリセロールの脂肪酸エステルは、調製工程の結果として、60%未満の多様な部分エステルを含んでもよい。
【0098】
10〜36個のC原子を有する飽和脂肪族モノカルボン酸の例として、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびモンタン酸が挙げられる。
【0099】
好適なIR吸収剤は、例えば欧州特許出願第1 559 743 A1号、欧州特許出願第1 865 027 A1号、ドイツ国特許出願第10022037 A1号、ドイツ国特許出願第10006208 A1号およびイタリア国特許出願RM2010A000225号、第RM2010A000227号および第RM2010A000228号に記載されている。引用文献に記載されたIR吸収剤のうち、ホウ化物およびタングステン酸塩に基づくIR吸収剤、特にタングステン酸塩セシウムまたは亜鉛をドープしたタングステン酸塩セシウムが好ましく、ならびにITOおよびATOに基づく吸収剤も好ましく、ならびにそれらの組合せも好ましい。
【0100】
ベンゾトリアゾールのクラスからの好適なUV吸収剤の例として、Tinuvin(商標)171 (2−[2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(CAS番号125304−04−3))、Tinuvin(商標)234 (2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(CAS番号70321−86−7))、Tinuvin(商標)328 (2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(CAS番号25973−55−1))が挙げられる。
【0101】
オキサルアニリド類のクラスからの好適なUV吸収剤の例として、クラリアン社(Clariant)のSanduvor(商標)3206 (N−(2−エトキシフェニル)エタンジアミド (CAS番号82493−14−9))またはN−(2−エトキシフェニル)−N’−(4−ドデシルフェニル)オキサミド(CAS番号79102−63−9)が挙げられる。
【0102】
ヒドロキシベンゾフェノン類のクラスからの好適なUV吸収剤の例として、BASF SE社(BASF SE)のChimasorb(商標)81 (2−ベンゾイル−5−オクチルオキシフェノル(CAS番号1843−05−6))、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(CAS番号131−56−6)、2−ヒドロキシ−4−(n−オクチルオキシ)ベンゾフェノン(CAS番号1843−05−6)、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン(CAS番号2985−59−3)が挙げられる。
【0103】
トリアジン類のクラスからの好適なUV吸収剤の例として、Tinuvin(商標)405( BASF SE 社(BASF SE))としても知られる、2−[2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピロキシ]フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS番号137658−79−8)およびTinuvin(商標)1577 (BASF SE社 (BASF SE) )として入手可能な、 2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(ヘキソロキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン(CAS番号147315−50−2)が挙げられる。化合物−[2−ヒドロキシ−4−[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジンは、CAS番号204848−45−3を有し、Tinuvin(商標)479の名称のもと、BASF SE 社(BASF SE)より入手可能である。化合物−[2−ヒドロキシ−4−[(2−エチルヘキシル)オキシ]フェニル]−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジンは、CAS番号204583−39−1を有し、CGX-UVA006 またはTinuvin(商標)1600の名称のもと、BASF SE 社(BASF SE)より入手可能である。
【0104】
UV吸収剤は、全組成に対して、一般的に0.01〜5重量%、好ましくは、0.01〜2重量%、より好ましくは、0.01〜0.05重量%の量で使用する。
【0105】
ポリカーボネート組成物は、慣習的な量の有機または無機のフィラーと混合してもよい。本目的において原則検討されたのは全て、微細に粉砕した有機または無機の材料である。材料は、例えば、特徴において粒子、フレークのようなまたは繊維の形態であってもよい。例として、チョーク、石英粉末、二酸化チタン、タルク、珪灰石、雲母層鉱物/粘土層鉱物、モンモリロナイトなどのシリケート、アルミノシリケート、特にイオン交換による変性した有機物親和性形態を含む、カオリン、ゼオライト、バーミキュライトならびに酸化アルミニウム、シリカ、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムをこの時点で言及してもよい。異なる無機材料の混合物を採用してもよい。
【0106】
好ましい無機フィラーは、周期表の、第1〜第5主族、第1〜第8遷移族、好ましくは第2〜第5主族、より好ましくは第3〜第5主族、および/または第4〜第8遷移族からの、1種以上の金属と酸素、硫黄、ホウ素、リン、炭素、窒素、水素および/またはケイ素の要素からの極めて微細に分割された(ナノスケール)無機化合物である。
【0107】
好ましい化合物の例として、酸化物、水酸化物、水和/塩基性酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、炭酸塩、炭化物、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩および水酸化物が挙げられる。
【0108】
使用できる着色料または顔料の例として、有機または無機顔料あるいは有機染料等が挙げられる。
【0109】
本発明の意味における着色料または顔料は、カドミウムレッドまたはカドミウムイエローなどの含硫黄顔料、プルシアンブルーなどのシアン化鉄系顔料、チタニウム二酸化物、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化クロム、チタニウムイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタニウムコバルト系グリーン、コバルトブルー、銅クロム系黒および銅−鉄系黒などの酸化顔料あるいはクロムイエローなどのクロム系顔料、銅フタロシアニンブルーまたは銅フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン−由来染料、濃縮多環染料ならびにアゾ−系のもの(例:ニッケルアゾイエロー)などの顔料、硫化−インディゴ染料、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン−由来、ジオキセタン系、イソインドリノン系およびキノフタロン−由来の、誘導体、アントラキノン系複素環式系である。
【0110】
市販品の特定の例としては、MACROLEX(商標)Blue RR、MACROLEX(商標)Violet 3R、 MACROLEX(商標)Violet B (ランクセス社(Lanxess AG)ドイツ)、Sumiplast(商標)Violet RR、 Sumiplast(商標)Violet B、Sumiplast(商標)Blue OR (住友化学株式会社)、Diaresin(商標)Violet D、Diaresin(商標)Blue G、Diaresin(商標)Blue N (三菱化学株式会社)、Heliogen(商標)BlueまたはHeliogen(商標)Green (BASF社(BASF AG)、ドイツ)が挙げられる。
【0111】
これらの中でも好ましいのは、シアニン誘導体、キノリン誘導体、アントラキノン誘導体およびフタロシアニン誘導体である。
【0112】
本発明の一つの好ましい組成物は、下記を含み、成分A)〜E)が合計100重量%となる:
A)20.0〜77.0重量%のポリカーボネート、
B)DIN 51938に従った篩分析により測定された黒鉛のD(0.5)が1.2mm未満の、15.0〜60.0重量%の膨張黒鉛、
C)5.0〜7.0重量%の式の少なくとも1種のリン化合物:
【化10】
[式中、qは、好ましくは1.0〜1.2の間、および好ましくは1.1である]、
D)3.0〜4.0重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、
E)場合により、熱安定剤、成分C)以外の難燃剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、離型剤、UV吸収剤、IR吸収剤および/またはフィラーの群から選択される少なくとも1種のさらなるポリマー添加剤であって、該フィラーは、チョーク、石英粉末、二酸化チタン、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、酸化アルミニウム、シリカ、水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムの群から選択される。
【0113】
一つの好ましい実施形態によると、本発明の組成物は下記を含み、成分A)〜E)が合計100重量%となる:
A)52.0〜72.0重量%、より好ましくは52.0〜71.0重量%のポリカーボネート、
B)DIN 51938に従った篩分析により測定された黒鉛のD(0.5)が1.2mm未満の、20.0〜35.0重量%の膨張黒鉛、
C)5.0〜10.0重量%、より好ましくは5.0〜7.0重量%の式の1種のリン化合物:
【化11】
D)2.0〜4.0重量%、より好ましくは3.0〜4.0重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、
E)場合により、熱安定剤、成分(C)以外の難燃剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、離型剤、UV吸収剤、IR吸収剤および/またはフィラーの群から選択される少なくとも1種のさらなるポリマー添加剤であって、該フィラーは、チョーク、石英粉末、二酸化チタン、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、酸化アルミニウム、シリカ、水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムの群から選択される。
【0114】
本実施形態において特に好ましいのは、ASTMD1238(190°Cおよび2.16kgで)により決定された、成分Dのメルトフロー指数が、少なくとも2.5g/10分である。
【0115】
別の特に好ましい本発明の組成物は、下記を含み、成分A)〜E)が合計100重量%となり、かつ該組成物が、フッ素含有滴下防止剤を含まない組成物である:
A)52.0〜60.0重量%のポリカーボネート、
B)DIN 51938に従った篩分析により測定された黒鉛のD(0.5)が1.2mm未満の、30.0〜35.0重量%の膨張黒鉛、
C)5.0〜10.0重量%、より好ましくは5.0〜7.0重量%の式の1種のリン化合物:
【化12】
D)3.0〜4.0重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、
E)場合により、熱安定剤、成分(C)以外の難燃剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、離型剤、UV吸収剤、IR吸収剤および/またはフィラーの群から選択される少なくとも1種のさらなるポリマー添加剤であって、該フィラーは、チョーク、石英粉末、二酸化チタン、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、酸化アルミニウム、シリカ、水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムの群から選択される。
【0116】
上記成分を含む本発明のポリマー組成物は、個別の成分を組み合せること、混合することおよび均質化することによる周知の組み込み方法により製造され、せん断力への曝露とともに溶融物中で均質化が起こることが特に好ましい。組合せおよび混合を、粉末プレミックスを使用して、溶融物中での均質化前に行ってもよい。
【0117】
顆粒から、または本発明の添加物を有する顆粒と粉末とから作製されるプレミックスを使用することも可能である。
【0118】
好適な溶剤中で混合成分の溶液から製造されるプレミックスを使用してもよく、材料は場合により溶液中で均質化され、かつ溶剤は次いで取り除かれる。
【0119】
この場合において特に、本発明の成分および組成物の前記添加剤を、公知の方法の手段によるかまたはマスターバッチとして導入することが可能である。
【0120】
マスターバッチの使用は、添加剤を導入するのに特に好ましく、またそれぞれのポリマーマトリックスに基づくマスターバッチが特に好ましい。
【0121】
これに関連して、組成物は、軸型押出機(例えば双軸押出機、TSE)、混練機、Brabender混合機またはBanbury混合機などの従来の装置により組み合わさり、混合され、均質化され、次いで押出成形されてもよい。続く押出成形において、押出成形物を冷却し、かつ、粉末状にしてもよい。個別の成分をプレミックスし、次いで残りの出発材料を個別におよび/または同様に混合物へ添加することができる。
【0122】
本発明の組成物からのプラスチック型の製造は、好ましくは、射出成形、熱形成、押出、積層、フィルムインサート成形、型内加飾、型内コーティング、および高速ヒートサイクル成形により達成してもよい。
【0123】
多層系を製造するための本発明のプラスチック組成物の使用も対象である。この場合、本発明のプラスチック組成物は、プラスチックで作成られた成形物品に対して1個以上の層として適用される。この適用は、例えば、箔の裏面上への材料の適用の手段によるか、押出成形によるかまたは多成分射出成形により、成形品の形成と同時または直後に行ってもよい。あるいは、適用を、例えばフィルムを用いる積層、既存の成形品周囲への材料の射出、または溶液からのコーティングによって既に完全に形成された基材上に行ってもよい。