(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1モジュラー及び前記第2モジュラーは、第1中継コネクタ及び第2中継コネクタであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報コンセント用器体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態の情報コンセント用器体及び情報コンセントを説明する。ただし、本発明の情報コンセント用器体及び情報コンセントは種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
【0011】
図1は、本実施形態の情報コンセント1a,1bを机の天板2に埋め込んだ例を示す。机の天板2には、化粧プレート4bで覆われた取付け具4aが取り付けられる。情報コンセント1a,1bは、取付け具4aに並べて取り付けられる。一方の情報コンセント1aは、LANケーブルのモジュラープラグが差込み可能なLAN用の情報コンセントである。他方の情報コンセント1bは、USBケーブルの端子が差込み可能なUSB用の情報コンセントである。情報コンセントの個数は1、2、3等適宜設定することができ、情報コンセント1a,1bの用途はLAN用、USB用、電話用、映像用等適宜設定することができる。
【0012】
図2は、机の天板2に取り付けられる取付け具4aの断面図を示す。取付け具4aは、情報コンセント1a,1bを取り付けるための取付け枠4a1を備える。この取付け枠4a1は、埋込形配線器具用の取付け枠(例えばJIS C 8375で規格化された大角形連用配線器具の取付け枠)であり、天板2に開けた孔内に配置される。取付け枠4a1に情報コンセント1aを取り付ける際は、取付け枠4a1の下方から情報コンセント1aを挿入し、情報コンセント1aの左右の突起6(
図3も参照)を取付け枠4a1の左右の係合孔5に係合させる。取付け枠4a1は、樹脂製であり、突起6を挿入できるように可撓性を持つ。情報コンセント1aを取り外すときは、天板2の上方から挿入した工具で取付け枠4a1を撓ませ、情報コンセント1aの突起6と取付け枠4a1の係合孔5との係合を外す。
【0013】
取付け具4aは、化粧プレート4bで覆われる。化粧プレート4bには、情報コンセント1a,1bの上面の接続口を露出させる開口4b1が開けられる。化粧プレート4bには、化粧プレート4bの開口4b1を開閉する蓋3がスライド可能に設けられる。
【0014】
図3は、本実施形態の情報コンセント1aの外観斜視図(
図3(a)は上面側斜視図、
図3(b)は下面側斜視図)を示す。
図4は、本実施形態の情報コンセント1aの分解斜視図を示す。11はカバー、13はケース、12はモジュラーとしての中継コネクタである。カバー11は取付け枠4a1に着脱可能に取り付けられる。ケース13はカバー11に着脱可能に取り付けられる。カバー11とケース13とが情報コンセント用器体10(以下、単に器体10という)を構成する。器体10と中継コネクタ12とが、情報コンセント1aを構成する。
【0015】
なお、以下において、説明の便宜上、
図4の上下、左右、前後の各方向を用いて情報コンセント1aの構成を説明する。もちろん、情報コンセント1aの配置は、このような配置に限られるもではない。
【0016】
図3(a)(b)に示すように、器体10は、横長直方体状の箱体であり、その上面及び下面に略四角形の開口20c1,13c1を有する。器体10の上面の開口20c1には、中継コネクタ12の第1接続口12aが露出する。器体10の下面の開口13c1には、中継コネクタ12の第2接続口12bが露出する。中継コネクタ12の第1接続口12aには、机の上面(造営面)よりも上側に配線される第1信号線(例えば4対8芯の信号線)の第1モジュラープラグが差し込まれる。第2接続口12bには、造営面よりも下側に配線される第2信号線(例えば4対8芯の信号線)の第2モジュラープラグが差し込まれる。
【0017】
図4に示すように、カバー11は、横長直方体状で左右の肩部を有する蓋体20と、蓋体20の前後方向に対向する一対の側面パネル20aそれぞれに一体に形成される第1フック21a,21b及び第2フック22a,22b(
図5(b)参照)と、蓋体20の一対の肩部20bそれぞれに一体に形成されるケースフック23と、を備える。第1フック21a,21b、第2フック22a,22b及びケースフック23は可撓性を持つ。
【0018】
第1フック21a,21bと第2フック22a,22bは、CAT5e、CAT6等の規格が異なって上下方向(器体10の奥行き方向)の長さが変わる2種類の中継コネクタ12,14(
図10、
図11参照)をカバー11に取り付けるために用いられる。第2フック22a,22bの上下方向の長さは、第1フック21a,21bの上下方向の長さよりも長い。ここで、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bの上下方向の長さとは、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bの、側面パネル20aから突出する部分の長さである。第1フック21a,21bは、上下方向の長さが短い中継コネクタ12(
図10参照)をカバー11に取り付けるために用いられる。第2フック22a,22bは、上下方向の長さが長い中継コネクタ14(
図11参照)をカバー11に取り付けるために用いられる。
【0019】
中継コネクタ12は、縦長正方形筒状である。中継コネクタ12は、その上面に第1接続口12aを有し、その下面に第2接続口12b(
図3(b)参照)を有する。第1接続口12aには、第1モジュラープラグの例えば8極の接触子に接触する例えば8極の接触子が設けられる。第2接続口12bには、第2モジュラープラグの例えば8極の接触子に接触する例えば8極の接触子が設けられる。第1接続口12aの接触子と第2接続口12bの接触子とは、図示しない導電部材によって電気的に接続される。中継コネクタ14(
図11参照)は、中継コネクタ12よりも上下方向に長い他、中継コネクタ12と略同様の構成である。中継コネクタ12,14は公知のものであるので、これ以上の詳しい説明を省略する。
【0020】
ケース13は、横長直方体状の箱体である。ケース13の側面パネル13bには、左右方向に突出する突起27が設けられる。カバー11の下面にケース13の上面を突き合わせると、ケース13の突起27がカバー11のケースフック23の係合孔23aに係合して、ケース13がカバー11に取り付けられる。ケース13を取り外すときは、ケースフック23を撓ませ、ケースフック23の係合孔23aとケース13の突起27との係合を外す。
【0021】
カバー11の詳細な構造は、以下のとおりである。
図5(a)はカバー11の上面側斜視図を示し、
図5(b)はカバー11の下面側端図を示す。カバー11の蓋体20の上面パネル20cは、肩部20bよりも上方に突出する。上面パネル20cには、第1信号線の第1モジュラープラグが通過可能な開口20c1が形成される。肩部20bには、左右方向に突出する一対の突起6が設けられる。また、肩部20bには、左右方向に向かって開口する溝状の穴8が設けられる。突起6は、合成樹脂製の取付け枠4a1にカバー11を取り付けるのに用いられる。溝状の穴8は、金属製の取付け枠(図示せず)にカバー11を取り付けるのに用いられる。
【0022】
蓋体20の一方の側面パネル20aの内面には、第1フック21a及び第2フック22aが一体に形成される。第1フック21a及び第2フック22aは、上面パネル20cから下方に向かって延び、側面パネル20aに一体に形成される部分と、側面パネル20aから下方に突出する部分と、を有する。第1フック21aの内面及び第2フック22aの内面は、第1フック21a及び第2フック22aの厚さ分、側面パネル20aの内面よりも内方に突出する。上記のように、第2フック22aの、側面パネル20aから突出する部分の長さは、第1フック21aの、側面パネル20aから突出する部分の長さよりも長い。
【0023】
第1フック21aの先端部には、内方に向かって突出する断面三角形状の突起からなる爪31が一体に形成される。上下方向の長さが短い中継コネクタ12(以下、第1中継コネクタ12という)は、第1フック21aの爪31と上面パネル20cとの間に挟まれて固定される。第2フック22aの先端部にも、内方に向かって突出する断面三角形状の突起からなる爪32が一体に形成される。上下方向の長さが長い中継コネクタ14(以下、第2中継コネクタ14という)は、第2フック22aの爪32と上面パネル20cとの間に挟まれて固定される。第1中継コネクタ12と第2中継コネクタ14とは規格が異なる。例えば第1中継コネクタ12はCAT5e対応の中継コネクタであり、第2中継コネクタ14はCAT6a対応の中継コネクタである。
【0024】
蓋体20の他方の側面パネル20aの内面にも、第1フック21bと第2フック22bとが一体に形成される。第1フック21bの形状は、第1フック21aと同一である。第2フック22bの形状は、第2フック22aと同一である。合計4つの第1フック21a,21bと第2フック22a,22bとは、互い違いに配置される。すなわち、開口20c1を挟んだ一方側(一方の側面パネル20a側)の第1フック21aと開口20c1を挟んだ他方側(他方の側面パネル20a側)の第2フック22bとが向かい合い、一方の側面パネル20a側の第2フック22aと他方の側面パネル20a側の第1フック21bとが向かい合う。
【0025】
蓋体20の側面パネル20aそれぞれの内面には、リブ状の一対の突起34が一体に形成される。突起34、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bによって、中継コネクタ12,14を収容する収容部が画定される。第1フック21a,21bと第2フック22a,22bとを互い違いに配置することで、収容部に収容される中継コネクタ12,14を安定して保持することができる。
【0026】
ケース13の詳細な構造は、以下のとおりである。
図6(a)はケース13の上面側斜視図を示し、
図6(b)はケース13の下面側端図を示す。ケース13の下面パネル13cには、第2信号線の第2モジュラープラグが通過可能な開口13c1が形成される。ケース13の上端の4つの角部には、断面L字状の嵌合突起33が一体に形成される。嵌合突起33が蓋体20の内面に嵌まることで、ケース13がカバー11に位置決めされる。
【0027】
ケース13の側面パネル13bの外面には、ケースフック23の係合孔23aに係合する突起27が形成される。ケース13の側面パネル13aそれぞれの内面には、リブ状の一対の突起35が一体に形成される。突起35、側面パネル13aによって、中継コネクタ12,14の下半分を収容する収容部が画定される。ケース13の側面パネル13aの内面のうち、第2フック22a,22bに対向する部分には、凸部として、下面パネル13cに近づくにしたがって高さが高くなる傾斜面36が形成される。
【0028】
傾斜面36について詳述する。
図7は、中継コネクタ12,14を組み込んでいない器体10の詳細図を示す。
図7(b)(c)に示すように、ケース13の側面パネル13aの内面のうち、第2フック22a,22bに対向する部分は傾斜面36に形成される。このため、第2フック22a,22bの先端部と傾斜面36との間には殆ど隙間が無く、第2フック22a,22bは傾斜面36側に撓むのが防止される。一方、ケース13の側面パネル13aの内面のうち、第1フック21a,21bに対向する部分37(
図6(a)参照)は、第1フック21a,21bと平行な平面に形成される。この部分37と第1フック21a,21bとの間には、第1フック21a,21bの長さ方向に略一定の隙間δ(
図7(c)参照)が空く。
【0029】
図8は、第1中継コネクタ12を組み込んだ器体10の詳細図を示す。第1中継コネクタ12を器体10に組み込んだとき、第1中継コネクタ12は、第1フック21a,21bの爪31とカバー11の上面パネル20cとの間に挟まれて固定される。このとき、第1フック21a,21bと第2フック22a,22bとはいずれも閉じている(言い換えれば、撓んでいないか、略撓んでいない)。第1中継コネクタ12に無理な力がかかり、第1フック21a,21bが開いて第1フック21a,21bの爪31と第1中継コネクタ12との係合が外れたとき、第2フック22a,22bの爪32と第1中継コネクタ12とが係合するようになる。第2フック22a,22bは傾斜面36によって開くのが防止されているので、第1中継コネクタ12が第2フック22a,22bから抜けるのを防止できる。
【0030】
図9は、第2中継コネクタ14を組み込んだ器体10の詳細図を示す。第2中継コネクタ14を器体10に組み込んだとき、第2中継コネクタ14は第2フック22a,22bの爪32とカバー11の上面パネル20cとの間に挟まれて固定される。このとき、第2フック22a,22bは閉じているが、第1フック21a,21bは、その爪31が第2中継コネクタ14の側面に当たるので開いている。第1フック21a,21bとケース13の側面パネル13aの内面37との間には、隙間δ(
図7(c)参照)が空いていて、第1フック21a,21bの開きを許容するので、第1フック21a,21bが開いていても、ケース13をカバー11に取り付けることができる。第2中継コネクタ14に無理な力がかかり、第2フック22a,22bが開こうとしても、傾斜面36によって第2フック22a,22bの開きが防止されているので、第2中継コネクタ14が第2フック22a,22bから抜けるのを防止できる。
【0031】
図10は、第1中継コネクタ12を器体10に組み込むときの工程図を示す。第1フック21aと第2フック22bとの間及び第1フック21bと第2フック22aとの間に第1中継コネクタ12を差し込むと、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bが外側に開く。
図10のS2,S3に示すように、第1中継コネクタ12をカバー11の上面パネル20cに当たるまで差し込むと、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bが閉じ、第1中継コネクタ12が第1フック21a,21bの爪31と上面パネル20cとの間に挟まれてカバー11に固定される。
図10のS4に示すように、ケース13をカバー11に取り付ければ、第1中継コネクタ12が組み込まれたLANケーブル用の情報コンセント1aが完成する。
【0032】
図11は、第2中継コネクタ14を器体10に組み込むときの工程図を示す。第1フック21aと第2フック22bとの間及び第1フック21bと第2フック22aとの間に第2中継コネクタ14を差し込むと、第1フック21a,21b及び第2フック22a,22bが外側に開く。
図11のS2,S3に示すように、第2中継コネクタ14をカバー11の上面パネル20cに当たるまで差し込むと、第1フック21a,21bは外側に開いたままであるが、第2フック22a,22bは閉じる。第2中継コネクタ14は、第2フック22a,22bの爪32と上面パネル20cとの間に挟まれてカバー11に固定される。第1フック21a,21bとケース13の側面パネル13aの内面37との間には、第1フック21a,21bの開きを許容する隙間δが設けられるので、
図11のS4に示すように、第1フック21a,21bが開いていても、ケース13をカバー11に取り付けることができる。
【0033】
図12は、USBケーブルのプラグを器体10に組み込むときの工程図を示す。器体10には、USBケーブルのプラグ41を組み込むことも可能である。この場合、
図12のS1、S2に示すように、器体10とプラグ41との間にこれらの間の隙間を埋めてプラグ41を保持するホルダ42を介在させる。ホルダ42は、2分割された分割ホルダ42a,42bを組み合わせてなる。分割ホルダ42aと分割ホルダ42bとは、同一の形状である。一方の分割ホルダ42aのフック43を他方の分割ホルダ42bの係合孔44に係合させて、分割ホルダ42aと分割ホルダ42bとを結合させる。
【0034】
図13は、分割ホルダ42aの正面図を示す。分割ホルダ42aには、プラグ41の形状に合わせた収容凹部45が形成される。また、分割ホルダ42aには、収容凹部45の壁面を構成するS字状の板ばね部46が設けられる。板ばね部46を設けることによって、プラグ41の寸法の変化に対応することができ、プラグ41をホルダ42内に安定して保持できる。
【0035】
図12のS1、S2に示すように、分割ホルダ42a,42b間にプラグ41を挟み、分割ホルダ42a,42bを互いに結合させた後、
図12のS3に示すように、ホルダ42をカバー11に差し込む。このとき、カバー11の第1フック21a,21bの爪31がホルダ42の横長突起47に係合する。ホルダ42は、第1フック21a,21bの爪31とカバー11の上面パネル20cとの間に挟まれてカバー11に固定される。
図12のS3に示すように、ケース13をカバー11に取り付ければ、USBケーブル用の情報コンセント1bが完成する。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施形態に変更できる。
【0037】
上記実施形態では、情報コンセントを机の天板に埋め込んでいるが、情報コンセントを建築物の壁面に埋め込むこともできる。この場合、取付け枠は、建築物の壁面に埋め込まれたスイッチボックスに取り付けられる。
【0038】
上記実施形態では、モジュラーの接続口を開閉する蓋を机の天板の化粧プレートに設けているが、モジュラーの接続口を開閉する扉をカバーに設けることもできる。
【0039】
上記実施形態では、モジュラーが中継コネクタである例を説明したが、モジュラーにはその後部に信号線が圧接接続される端子を有するものを用いることもできる。
【0040】
上記実施形態では、第1中継コネクタ(第1モジュラー)と第2中継コネクタ(第2モジュラー)との上下方向(器体の奥行き方向)の長さが異なっているが、第1中継コネクタ(第1モジュラー)と第2中継コネクタ(第2モジュラー)との大きさ、すなわち左右方向の幅、前後方向の高さ、上下方向の長さの少なくとも一つが異なっていればよい。