(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、採便管の輸送に際して、従来の専用チャック付きの輸送用袋等による包装形態が用いられるのでは、輸送用袋内での採便管の向きが一定にならない。このため、輸送用袋から採便管を取り出すためには、人手に頼るしかないのが現状であって、採便管の取り出し工程の自動化を図ることが困難である、という問題があった。
このような問題を解決するためには、例えば、輸送用袋として、収納された物品を容易に取り出すことができ、特に採便管の輸送用のものとして構成された場合において、便試料の検査を行う際の採便管の取り出し工程の自動化を図ることが容易な検体容器収納ケースを用いることが有効であると考えられる。
【0005】
然るに、このように採便管の輸送に検体容器収納ケースを用いる場合には、便試料の採取に係る情報等の同封に係る作業が煩雑化してしまう、という問題がある。
具体的には、便試料の採取に係る情報としては、被験者に関する情報および採便方法の説明に関する情報などが挙げられる。これらのうち、被験者に関する情報については、被験者の取り違えなどの誤認を防止するために、例えば検体容器収納ケースの表面に当該被験者に関する情報が表示されたラベルが貼付されることにより、表示されることが望ましい。一方、採便方法の説明に関する情報については、検体容器収納ケース自体が採便管のサイズに合わせた小さなサイズのものとされるので、これを表示するスペースを確保し難く、さらに、検体容器収納ケースが例えばブリスターパックよりなる場合は、その性質上、ラベルを貼付する平坦面を確保し難い、という問題がある。また、採便管の輸送に従来の専用チャック付きの輸送用袋を用いる場合は、当該輸送用袋内に採便方法の説明に関する情報が表示された紙面をそのまま或いは四つ折り程度に畳んで同封すればよかったが、ブリスターパックを用いる場合は、採便方法の説明に関する情報が表示された紙面は仮に畳んだとしても収容する空間がない、或いは、採便方法の説明に関する情報が表示された紙面を収容する空間が設けられていたとしても、当該紙面を畳んで同封するときにこの紙面を当該ブリスターパック内に収容することができるよう小さく畳むという煩雑な作業が求められる、という問題も生じる。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、便試料の採取に係る情報等の、
検体管理情報およびケース本体に収容される検体容器の使用に関するインストラクション情報を貼付によってケース本体に簡単に添付することができるラベル本体を有するラベル、当該ラベルより剥離されたラベル本体がケース本体に貼付された検体容器収納ケース、当該検体容器収納ケースを備える検体採取用キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の検体容器収納ケースは、検体容器を収納するケース本体における被貼付部の表面にラベル本体が貼付された検体容器収納ケースであって、
前記ラベル本体は、表面に検体管理情報が表示されたラベル基材、当該ラベル基材の裏面に形成された粘着性層、および、粘着性層上の一部の領域を覆うよう設けられた情報表示シートを有し、前記情報表示シートの粘着性層と接触しない表面に、ケース本体に収容される検体容器の使用に関するインストラクション情報が表示されてなるものであり、
当該ラベル本体は、表面が当該ラベル本体の粘着性層に対して剥離性を有する剥離性シートの表面に剥離可能に支持されてなるラベルより剥離されたものであり、
当該ラベル本体の前記情報表示シートが、前記剥離性シートにおける切り込みに囲まれた部分により構成され、
検体容器を収納するケース本体における被貼付部は、表面にラベル本体が貼付された当該被貼付部の裏面側から、当該被貼付部を介して前記インストラクション情報を視認し得るものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の検体容器収納ケースにおいては、前記インストラクション情報が、検体の採取方法を示すイラストレーションであることが好ましい。
【0010】
本発明の検体容器収納ケースにおいては、前記ケース本体が、樹脂シートの成形品よりなり、一方のケース部材と他方のケース部材とにより内部に検体容器収納空間を形成するブリスターパックであり、
前記一方のケース部材の表面に、前記ラベル本体が貼付されてなる構成とすることができる。
【0011】
上記の検体容器収納ケースにおいては、前記ケース本体が、前記一方のケース部材と前記他方のケース部材とにより内部に検体容器収納空間が形成され
た状態において、当該一方のケース部材に貼付された前記ラベル本体の情報表示シートに表示されたインストラクション情報を、当該他方のケース部材の表面側から、当該他方のケース部材および一方のケース部材を介して視認し得るものであることが好ましい。
【0013】
本発明のラベルは、上記の検体容器収納ケースに用いられるラベル本体を有するラベルであって、
ラベル本体は、表面に検体管理情報が表示されたラベル基材、当該ラベル基材の裏面に形成された粘着性層、および、粘着性層上の一部の領域を覆うよう設けられた情報表示シートを有し、前記情報表示シートの粘着性層と接触しない表面に、ケース本体に収容される検体容器の使用に関するインストラクション情報が表示されてなり、
当該ラベル本体は、表面が当該ラベル本体の粘着性層に対して剥離性を有する剥離性シートの表面に剥離可能に支持されてなり、
当該ラベル本体の前記情報表示シートが、前記剥離性シートにおける切り込みに囲まれた部分により構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のラベルにおいては、前記検体管理情報および/または前記インストラクション情報は、印刷により記載されてなる構成とすることができる。
【0015】
本発明の検体採取用キットは、検体容器と、この検体容器を収納する、上記の検体容器収納ケースとを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラベル貼付物は、表面に貼付対象物に関する主情報表示領域を有すると共に裏面に当該貼付対象物に関する副情報が表示されたラベル本体が、貼付対象物の被貼付部に貼付され、当該被貼付部が、表面にラベル本体が貼付された当該被貼付部の裏面側から、当該被貼付部を介して貼付対象物に関する副情報を視認し得るものである。
従って、本発明のラベル貼付物によれば、ラベル本体の貼付対象物への貼付という簡単な作業によって、貼付対象物に関する主情報を貼付対象物に貼付されたラベル本体の表面に表示させることができると共に、貼付対象物に関する副情報を、当該貼付対象物の裏面側から被貼付部を介して視認することができる。
その結果、貼付対象物がラベル本体を貼付することのできる部分が小さいものであったとしても、所期の貼付対象物に関する主情報および副情報を確実に貼付対象物に表示することができる。また、ラベル本体の貼付対象物への貼付という一度の作業によって、貼付対象物に関する主情報および副情報を、当該貼付対象物の表面および裏面に容易に表示することができる。
【0017】
本発明のラベルは、表面に貼付対象物に関する主情報表示領域を有すると共に裏面に当該貼付対象物に関する副情報が表示されたラベル本体が有するものである。従って、本発明のラベルによれば、貼付対象物が被貼付部の小さいものであったとしても、所期の貼付対象物に関する主情報および副情報を確実に貼付対象物に表示することができる。また、ラベル本体の貼付対象物への貼付という一度の作業によって、貼付対象物に関する主情報および副情報を、当該貼付対象物の表面および裏面に容易に表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
〔ラベル貼付物〕
図1は、本発明のラベル貼付物および当該ラベル貼付物に用いられるラベル本体を有するラベルの構成を示す図であって、(a)は、ラベル貼付物を模式的に示す断面図、(b)は、ラベルを模式的に示す断面図、(c)は、ラベルを模式的に示す斜視図、(d)は、剥離性シートの台紙シートから剥離されたラベル本体を模式的に示す断面図である。
本発明のラベル貼付物は、
図1(a)に示されるように、貼付対象物Wにおける被貼付部9の表面にラベル本体2が貼付されたものである。
【0021】
ラベル本体2は、
図1(b)、
図1(c)および
図1(d)にも示されるように、ラベル基材3と、当該ラベル基材3の裏面に形成された粘着性層4と、当該粘着性層4上の一部の領域4Rを覆うよう設けられた情報表示シート5とを有してなる。このラベル本体2は、表面が当該ラベル本体2の粘着性層4に対して剥離性を有する剥離性シート6の表面に剥離可能に支持されてなるラベル1より剥離によって分離されたものである。
そして、ラベル本体2の情報表示シート5は、剥離性シート6における切り込み6Kに全周が囲まれた部分により構成されている。すなわち、情報表示シート5は、ラベル1の剥離性シート6における、剥離性シート6の情報表示シート5以外の部分である台紙シート7を指で押さえることなどにより固定した状態でラベル基材3と粘着性層4とが積層されたラベル積層体8をその端部から当該剥離性シート6の台紙シート7と離間する方向に剥離する時に、粘着性層4に接着されたままラベル積層体8に追随して当該ラベル積層体8と共に剥離される島状部分によって、構成されている。
情報表示シート5の粘着性層4と接触しない表面、すなわち剥離性シート6の裏面は、貼付対象物Wに対して非粘着性のものとされている。
【0022】
ラベル1において、粘着性層4は、ラベル基材3の裏面の全面に形成されていることが好ましい。
また、剥離性シート6の面方向の面積は、ラベル本体2の台紙シート7からの剥離のし易さの観点から、ラベル基材3と粘着性層4とが積層されたラベル積層体8の面方向の面積よりも大きいことが好ましい。
【0023】
ラベル本体2の裏面、すなわち当該ラベル本体2を構成するラベル基材3の表面と反対側の面は、粘着性を示す粘着性層4が露出された領域(以下、「粘着性領域」ともいう。)と、当該粘着性領域以外の領域である、情報表示シート5によって粘着性層4が被覆された領域(以下、「副情報表示領域」ともいう。)とからなる。
ラベル本体2の裏面における副情報表示領域の大きさは、ラベル本体2の裏面の全領域における副情報表示領域が、貼付対象物Wに関する副情報を十分に表示することができるだけの面積を有し、かつ、ラベル本体2の裏面の全領域における粘着性領域が、貼付対象物Wの被貼付部9に対して必要な接着性を発揮することができる面積を有する程度の大きさとされる。
【0024】
ラベル本体2の裏面における副情報表示領域の形状は、貼付対象物Wに関する副情報を確実に表示することができれば特に限定されず例えば矩形形状とされ、当該副情報表示領域の配置位置は、その四方の全周囲がいわゆるロの字状に粘着性領域に囲まれた位置に配置されているものとすることが好ましい。また例えば、副情報表示領域の配置位置は、貼付対象物Wの被貼付部9に対して必要な接着性が得られるのであれば、一辺が粘着性領域に接触していない、いわゆるコの字状に粘着性領域に囲まれた位置に配置されていてもよい。
【0025】
ラベル本体2の表面には貼付対象物Wに関する主情報表示領域が設けられると共に、当該ラベル本体2の裏面には、貼付対象物Wに関する副情報が表示されている。
具体的には、
図2に示されるように、ラベル本体2の表面であるラベル基材3の表面に、貼付対象物Wに関する主情報表示領域が設けられて、主情報が予め表示されている。一方、
図3に示されるように、ラベル本体2の裏面における副情報表示領域(情報表示シート5の粘着性層4と接触しない表面)に、貼付対象物Wに関する副情報が予め表示されている。
貼付対象物Wに関する主情報および副情報は、それぞれ、図形および/または文字からなる画像情報であることが好ましい。本発明において、図形とは、絵柄などの観念を示す記号の他に、二次元コードなどの機械的に読み取られる記号も含む。
なお、ラベル基材3の表面に設けられた主情報表示領域は、主情報を後から表示することができるよう、空白によって構成されていてもよい。
【0026】
ラベル本体2において、当該ラベル本体2の表裏面に表示される貼付対象物Wに関する主情報および副情報は、表面側から裏面側に向かってラベル基材3、粘着性層4および剥離性シート6が積層されてなるラベル1の状態において印刷を行うことによって、形成することができる。
印刷方法としては特に限定されず、ラベル基材3および剥離性シート6を形成する材料によって、種々の方法を選択することができる。印刷方法としては、例えば電子写真印刷、インクジェット印刷、サーマル印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの公知の方法を用いることができる。
【0027】
ラベル1におけるラベル基材3を構成する材料としては、例えば、紙基材、合成樹脂フィルム、これらの積層材や複合材、紙基材や合成樹脂フィルムを基体とした感熱紙などを用いることができる。
ラベル1における粘着性層4を形成するための粘着剤としては、エマルジョン系、ゴム系、アクリル系などの粘着剤を用いることができる。
ラベル1における剥離性シート6は、その一面がラベル本体2の粘着性層4に対して剥離性を有し、その他面が、適宜の印刷方法によって図形および/または文字からなる画像情報を印刷することができる材料よりなるものとされる。剥離性シート6の具体例としては、粘着性層4に接する表面にシリコーンがコーティングされた紙基材よりなるものなどが挙げられる。
【0028】
貼付対象物Wは、被貼付部9を有するものである。
そして、貼付対象物Wにおける被貼付部9は、表面にラベル本体2が貼付された当該被貼付部9の裏面側から、当該被貼付部9を介して貼付対象物Wに関する副情報を視認し得るものとされている。
具体的には、被貼付部9は、表面が略平坦な被着部分9Aと、当該被着部分9Aの表面にラベル本体2の粘着性領域が接触する状態に貼付されたときに、当該ラベル本体2の副情報表示領域に表示された貼付対象物Wに関する副情報を、被貼付部9の裏面側から視認し得る性質を有する視認可能部分9Bとからなる。
視認可能部分9Bは、透明な部材よりなるものであってもよく、被着部分9Aに囲まれることによって形成された開口であってもよく、また、網状部材によって閉塞された開口であってもよい。
被貼付部9としては、被着部分9Aおよび視認可能部分9Bが透明な部材により一体的に形成されてなるものであることが好ましい。
【0029】
本発明のラベル貼付物は、以下のように作製される。すなわち、まず、ラベル1の剥離性シート6における台紙シート7の端部(例えば
図1(b)において右端部)を、指で押さえることなどにより固定し、この状態において、ラベル基材3と粘着性層4とが積層されたラベル積層体8を、
図1(c)に示されるように、その端部から剥離性シート6の台紙シート7と離間する方向に剥離する。剥離性シート6には、粘着性層4上の一部の領域4Rを覆う位置に切り込み6Kが形成されているので、当該切り込み6Kに全周が囲まれてなる情報表示シート5が、ラベル積層体8の台紙シート7からの剥離に伴って当該ラベル積層体8の粘着性層4に接着されたままラベル積層体8に追随して当該ラベル積層体8と共に島状部分として剥離される。これにより、
図1(d)に示されるように、ラベル1からラベル本体2が分離される。
次いで、ラベル1から分離されたラベル本体2を、貼付対象物Wの被貼付部9の被着部分9Aの表面に、当該ラベル本体2の粘着性領域が接触する状態に貼付する。これにより、ラベル本体2の副情報表示領域に表示された貼付対象物Wに関する副情報が、被貼付部9の視認可能部分9Bの裏面側から視認し得る状態となる。
以上のラベル貼付物の作製における、台紙シート7からのラベル本体2の剥離工程および貼付対象物Wに対するラベル本体2の貼付工程は、自動化が図られてもよい。
【0030】
以上の構成を有するラベル貼付物は、表面に貼付対象物Wに関する主情報が表示されると共に裏面に当該貼付対象物Wに関する副情報が表示されたラベル本体2が、貼付対象物Wの被貼付部9に貼付され、当該被貼付部9が、表面にラベル本体2が貼付された当該被貼付部9の裏面側から、当該被貼付部9を介して貼付対象物Wに関する副情報を視認し得るものである。
従って、このようなラベル貼付物によれば、ラベル本体2の貼付対象物Wへの貼付という簡単な作業によって、貼付対象物Wに関する主情報が貼付対象物Wに貼付されたラベル本体2の表面に表示されると共に、貼付対象物Wに関する副情報を、当該貼付対象物Wの裏面側から被貼付部9を介して視認することができる。
その結果、貼付対象物Wがラベル本体2を貼付することのできる部分が小さいものであったとしても、所期の貼付対象物Wに関する主情報および副情報を確実に貼付対象物Wに表示することができる。また、ラベル本体2の貼付対象物Wへの貼付という一度の作業によって、貼付対象物Wに関する主情報および副情報を、当該貼付対象物Wの表面および裏面に容易に表示することができる。
【0031】
以下、上記のラベル貼付物が、検体容器を収納するケース本体(貼付対象物)にラベル本体が貼付された検体容器収納ケースである場合の具体例について説明する。
【0032】
〔検体容器収納ケース〕
本発明の検体容器収納ケースは、上記のラベル貼付物における貼付対象物Wが、検体容器を収納するケース本体であるものである。
検体容器収納ケースとしては、ケース本体が、樹脂シートの成形品よりなり、一方のケース部材と他方のケース部材とにより内部に検体容器収納空間を形成するブリスターパックであり、一方のケース部材の一部が被貼付部として、その表面に、ラベル本体2が貼付されてなるものが挙げられる。
【0033】
このブリスターパックは、いわゆる「クラムシェル型」のブリスターパックであって、一方のケース部材が他方のケース部材に対して開閉自在に構成されており、例えば物品の輸送用のものとして用いられる。収納される物品は、特に限定されるものではないが、このブリスターパックは、例えば、便試料を内部に保持する採便管の輸送用のものとして好適に用いられる。
【0034】
このようなブリスターパックに用いられるラベル本体2の表裏面にそれぞれ表示される主情報および副情報は、以下のようなものとすることができる。
具体的には、
図2に示されるように、ラベル本体2の表面(ラベル基材3の表面)に表示される主情報が、被験者に関する情報である検体管理情報P1とされると共に、ラベル本体2の裏面(情報表示シート5の表面)に表示される副情報が、
図3に示されるように、例えば当該ブリスターパックに収容される検体容器の使用方法に関するインストラクション情報P2とされる。
【0035】
ラベル本体2の表面に表示される検体管理情報P1は、被検者の氏名および被検者に個別に付与された識別コードのいずれか一方または両方を含むものであることが好ましい。また、検体管理情報P1は、被検者の年齢および性別のいずれか一方または両方を含むものであってもよい。検体管理情報P1として表示し得る他の情報としては、被検者が勤務する会社名および部署等の被検者に関する情報や、検査項目に関する情報などを例示することができる。
また、ラベル基材3の表面には、検体の採取日を記入するための採取日記入欄が記載されていてもよい。
【0036】
ラベル本体2の裏面に表示されるインストラクション情報P2としては、採便の方法を説明して指示する検体の採取方法を示すイラストレーションが挙げられる。このインストラクション情報P2においては、視認者が、検体容器を用いた検体の採取方法の全てを一瞥により理解することができる程度の情報であることが好ましい。
【0037】
図4は、本発明の検体容器収納ケースを構成するケース本体の一例としてのブリスターパックの一例における構成を示す平面側斜視図である。
図5は、
図4に示すブリスターパックが開状態とされた状態を示す平面側斜視図である。
図6は、
図4に示すブリスターパックを展開した状態で示す平面側斜視図である。
このブリスターパック10は、樹脂シートを例えば真空成形または圧空成形することによって得られる成形品よりなり、一方のケース部材である蓋部30と、他方のケース部材である本体部11とが折り曲げ部40を介して一体に連結されて構成されている。このブリスターパック10は、本体部11と蓋部30とが嵌合された状態(閉状態)において、平面視で略長方形状の形態を有している。
【0038】
本体部11は、一の採便管50を受容して保持する採便管収容凹部20と、採便管収容凹部20の開口端縁の全周にわたって外方に延出するフランジ部15とを有する。
この例のブリスターパック10において収納される採便管50は、外形形状が管軸方向における一端部と他端部とで互いに異なるものであって、一端が開口すると共に他端が例えば半球面状に閉塞された円筒状の採便管本体51と、採便管本体51の開口部に着脱可能に装着された円筒状のキャップ52とにより構成されている。
【0039】
採便管収容凹部20は、板状空間を形成する第一凹部21と、この第一凹部21の底面側に段部23を介して連続する第二凹部22とを有する。
【0040】
第一凹部21の内面には、収容される採便管50の管軸方向(以下、「長さ方向」という。)に延びる係合用凹溝24が形成されている。具体的には、係合用凹溝24は、第一凹部21を画成する互いに対向して長さ方向に延びる一対の周壁の内面の各々に、例えば開口面に対して平行に長さ方向に延びるよう形成されている。
【0041】
第二凹部22は、採便管50の一端部および他端部の少なくとも一方の端部の外形形状に適合する空間形状を有する。この例においては、第二凹部22は、長さ方向における一端側部分が採便管50のキャップ52の外形形状に適合する空間形状を有すると共に他端側部分が採便管50の採便管本体51の外形形状に適合する空間形状を有する。すなわち、このブリスターパック10においては、採便管50が、採便管本体部分が第二凹部22の他端側である折り曲げ部側(以下、「連結端側」という。)に位置される姿勢で、第二凹部22内に収容される。
【0042】
また、第二凹部22を画成する互いに対向して長さ方向に延びる一対の周壁の内面の各々には、採便管50を嵌合状態で保持するための突起部が形成されている。この例においては、第二凹部22における一端側(以下、「開閉端側」という。)部分の周壁に、一対の嵌合用突起部25aが互いに対向して形成されており、採便管50のキャップ部分が当該一対の嵌合用突起部25aによって狭持されて嵌合状態で保持される。また、第二凹部22の後端側部分の周壁には、一対の嵌合用突起部25bが互いに対向して形成されており、採便管50における採便管本体部分が当該一対の嵌合用突起部25bによって狭持されて嵌合状態で保持される。
【0043】
このブリスターパック10における蓋部30は、内面側に突出して形成された、本体部11の採便管収容凹部20における第一凹部21内に挿入される凸部31と、この凸部31の外面側に位置される端部において外周の全周にわたって外方に延出するよう形成されたフランジ部35とを有する。
【0044】
このブリスターパック10においては、検体管理情報P1が表示されたラベル本体2が蓋部30の外面に貼付されることから、蓋部30の外面は平坦面とされていることが好ましい。然るに、蓋部30が平坦なシート状に構成されていると、例えば輸送時などにおいて蓋部30が変形するなどして採便管50が脱落するおそれがあるため、蓋部30は十分な強度を有する構成とされていることが望ましい。このような理由から、この例においては、凸部31は、本体部11の採便管収容凹部20の開口形状に適合する矩形枠状に構成されている。この凸部31は、蓋部30の外面側から見ると、幅の狭い凹溝によって構成されている。
【0045】
蓋部30の内面側に形成された、凸部31によって囲まれた空間は、少なくとも一部が採便管50の外形と適合する空間形状を有する。すなわち、この例においては、凸部31における連結端側の内壁が、採便管本体51の他端部に係る球面に沿った湾曲した形状を有している。一方、凸部31における開閉端側の内壁は、採便管50におけるキャップ52の一端面に沿った平坦な形状とされている。
【0046】
また、凸部31における互いに対向して長さ方向に延びる一対の周壁部分の外壁の外面の各々には、本体部11の採便管収容凹部20における第一凹部21に形成された係合用凹溝24の各々に係合される係合用突条32が形成されている。このように、このブリスターパック10においては、本体部11における係合用凹溝24と蓋部30における係合用突条32による長さ方向に延びる係合部が形成されるため、蓋部30を容易に開けることのできる構造でありながら、ブリスターパック10の輸送時などにおいて、蓋部30が期せずして開状態とされることを回避することができる。
【0047】
蓋部30のフランジ部35における開閉端側に位置される部分(開閉端側フランジ部分36)の内面には、突起部38が形成されている。なお、密着防止用の突起部は、本体部11における開閉端側フランジ部分16の内面に形成されていてもよい。また、蓋部30における開閉端側フランジ部分36は、本体部11における開閉端側フランジ部分16に対して長さ方向外方に向かって拡開するよう傾斜していてもよい。
【0048】
そして、本発明の検体容器収納ケースにおいては、ブリスターパック10の蓋部30に被貼付部が設けられている。具体的には、蓋部30の外面における略平坦な外縁領域を有する矩形枠状部分(フランジ部35)が被着部分とされると共に、当該被着部分に囲まれた部分(特に凸部31に囲まれた部分)が視認可能部分とされる。このブリスターパック10の蓋部30は一体的に成形された部材であるので、被貼付部を構成する被着部分および視認可能部分は、連続した一体物として形成されたものとされている。
被貼付部には、ラベル本体2の粘着性領域が当該被貼付部の被着部分の平坦な表面に接着される。これにより、ブリスターパック10の蓋部30は、
図4に示されるように、その外面の略全面がラベル本体2によって被覆された状態とされる。
【0049】
ブリスターパック10を形成するための樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの一方から他方に配置された画像情報を視認し得る程度の透明性を有する熱可塑性樹脂からなるシートを用いることができる。
このような透明性を有する樹脂シートによって形成された蓋部30は、
図6に示されるように、その表面にラベル本体2が貼付された被貼付部の裏面側から、すなわち、蓋部30の裏面側から、当該被貼付部を介してラベル本体2の裏面に表示された、ブリスターパック10に収納される検体容器(採便管)に関するインストラクション情報P2を視認し得るものとなる。
また、ブリスターパック10は、本体部11と蓋部30とが嵌合されて内部に検体容器収納空間が形成され、かつ、採便管50が当該検体容器収納空間に収容されていない状態において、当該蓋部30に貼付されたラベル本体2の情報表示シートに表示されたインストラクション情報P2を、本体部11の表面側から、当該本体部11および蓋部30を介して視認し得るものとされる。さらに、採便管50が検体容器収納空間に収容されているか否かを外部から視認することができる。
【0050】
樹脂シートとしては、ブリスターパックが採便管用のものである場合には、採便管50に保持された便試料の色と補色の関係にある色、例えば緑色または青色などの有色透明な樹脂シートが用いられることが好ましい。一般に、採便管50は透光性を有するものであるため、ブリスターパックが有色透明であることにより、便試料本来の色とは異なる色、例えば黒色(混色)に見えるようにすることができる。
【0051】
樹脂シートの厚みは、例えば0.2〜0.3mmであることが好ましい。
【0052】
本発明の検体容器収納ケースは、以下のように作製される。すなわち、まず、ラベル1の剥離性シート6における台紙シート7の端部を指で押さえることなどにより固定し、この状態において、ラベル基材3と粘着性層4とが積層されたラベル積層体8を、その端部から剥離性シート6の台紙シート7と離間する方向に剥離する。剥離性シート6には、粘着性層4上の一部の領域4Rを覆う位置に切り込み6Kが形成されているので、当該切り込み6Kに全周が囲まれてなる情報表示シート5が、ラベル積層体8の台紙シート7からの剥離に伴って当該ラベル積層体8の粘着性層4に接着されたままラベル積層体8に追随して当該ラベル積層体8と共に島状部分として剥離される。これにより、ラベル1からラベル本体2が分離される。
次いで、ラベル1から分離されたラベル本体2を、ブリスターパック10の蓋部30(被貼付部)の被着部分の表面に、当該ラベル本体2の粘着性領域が接触する状態に貼付する。これにより、ラベル本体2の副情報表示領域に表示されたブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2が、蓋部30の視認可能部分の裏面側から視認し得る状態となる。
以上の検体容器収納ケースの作製における、台紙シート7からのラベル本体2の剥離工程およびブリスターパック10の蓋部30に対するラベル本体2の貼付工程は、自動化が図られてもよい。
【0053】
以上のブリスターパック10は、採便管50が内部に収容されたままの状態で、検査機にセットされて用いられ、当該検査機における蓋部開用治具によって開状態とされると共に採便管取り出し治具によって採便管50がブリスターパック10より取り出される。
【0054】
上記構成のブリスターパック10にラベル本体2が貼付された検体容器収納ケースは、表面に検体管理情報P1が表示されると共に裏面にブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2が表示されたラベル本体2が、ブリスターパック10の蓋部30の外面に貼付され、当該蓋部30が、この蓋部30の裏面側から当該蓋部30を介してブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2を視認し得るものである。
従って、このようなブリスターパック10にラベル本体2が貼付された検体容器収納ケースによれば、ラベル本体2のブリスターパック10の蓋部30への貼付という簡単な作業によって、検体管理情報P1がブリスターパック10の蓋部30の外面に貼付されたラベル本体2の表面に表示されると共に、ブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2を、蓋部30の裏面側から当該蓋部30を介して視認することができる。
その結果、ブリスターパック10がラベル本体2を貼付することのできる部分が小さいものであっても、検体管理情報P1およびブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2を確実にブリスターパック10に表示することができる。また、ラベル本体2のブリスターパック10への貼付という一度の作業によって、検体管理情報P1およびブリスターパック10に収容される採便管50の使用に関するインストラクション情報P2を、ブリスターパック10の蓋部30の表面および裏面に容易に表示することができる。
【0055】
〔検体採取用キット〕
本発明の検体採取用キットは、
図5に示されるように、例えば採便管などの検体容器と、この検体容器を収納する上記のブリスターパック10などのケース本体に、ラベル本体2が貼付されてなる検体容器収納ケースとを備えてなる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明のラベルは検体容器収納ケース用のラベルに限定されず、種々の用途のラベルに適用することができる。
また、本発明の検体容器収納ケースにおいては、ケース本体は
図4〜
図6に示すような、一方のケース部材と他方のケース部材とが折り曲げ部を介して連続するブリスターパックの形態に限定されず、種々の形態のケース本体を採用することができる。