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特許6466747回路付サスペンション基板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466747
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】回路付サスペンション基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/60 20060101AFI20190128BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20190128BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20190128BHJP
   H05K 3/34 20060101ALN20190128BHJP
【FI】
   G11B5/60 P
   G11B21/21 D
   H05K1/11 H
   !H05K3/34 501D
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-49039(P2015-49039)
(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2016-170831(P2016-170831A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】田辺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤村 仁人
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−108576(JP,A)
【文献】 特開2012−104211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/60
G11B 21/21
H05K 1/11
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板からなる第1層と、絶縁性を有し、前記第1層の厚み方向一方側に設けられる第2層と、前記第2層の厚み方向一方側に設けられ、銅または銅合金からなる第3層とを備え、
前記第1層は、厚み方向に貫通する先側開口部および回路開口部を備え、
前記先側開口部には、厚み方向と直交する方向に投影したときに前記第1層と重なる導体層が設けられ、
前記導体層は、発光素子と電気的に接続するための発光素子接続端子および下側配線を有し、銅または銅合金からなる第1導体回路を備え、
前記第3層は、第2電子部品と電気的に接続するための第2電子部品接続端子を有する第2導体回路を備え
前記回路開口部は、前記先側開口部に至るように形成され、
前記回路開口部には、厚み方向と直交する方向に投影したときに前記第1層と重なる発光素子接続回路が設けられ、
前記発光素子接続回路は、電源端子および電源配線を有し、銅または銅合金からなり、
前記電源配線は、前記下側配線に至るように形成されていることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
金属支持基板からなる第1層と、絶縁性を有し、前記第1層の厚み方向一方側に設けられる第2層と、前記第2層の厚み方向一方側に設けられ、銅または銅合金からなる第3層とを備え、
前記第1層は、厚み方向に貫通する下側信号端子開口部を備え、
前記下側信号端子開口部には、厚み方向と直交する方向に投影したときに前記第1層と重なる下側信号端子が設けられ、
前記下側信号端子は、リード・ライト基板と電気的に接続するための端子であって、銅または銅合金からなり、
前記第3層は、上側信号端子を有する第2導体回路を備え
前記下側信号端子は、厚み方向に投影したときに前記上側信号端子と重なり、かつ、前記上側信号端子と電気的に接続していることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板、および、その製造方法、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路付サスペンション基板として、ジンバル部に対して、磁気ヘッドを備えるスライダを設けて、ハードディスクドライブに搭載される回路付サスペンション基板が知られている。
【0003】
このような回路付サスペンション基板では、ディスクの記憶容量を増加させるために、さらにレーザダイオードなどの発光素子を備える熱アシスト装置を実装することが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献1は、回路付サスペンション基板の表面に設けられ、磁気ヘッドと電気的に接続される第1端子と、回路付サスペンション基板の裏面に設けられ、電子素子と電気的に接続される第2端子とを備える回路付サスペンション基板を開示している。
【0005】
特許文献2は、金属支持基板、第1絶縁層、第2絶縁層、第1導体パターンおよび第2導体パターンを備え、第1導体パターンは、第1絶縁層の上かつ第2絶縁層の下に形成される第1連絡部と、電子素子と電気的に接続される第1端子とを備え、第2導体パターンは、第2絶縁層の上に形成される第2連絡部と、磁気ヘッドと電気的に接続される第2端子とを備える回路付サスペンション基板を開示している。
【0006】
このような回路付サスペンション基板は、金属支持基板の厚み方向(上面および/または下面)に、端子を備える導体層が2層積層するため、層数が多くなり、薄型化が困難であるという不具合が生じる。
【0007】
そこで、メタルベースと、メタルベースの上に形成された絶縁層と、絶縁層の上に形成され、付属電子ユニットに電気的に接続される導体と、メタルベースの一部に形成され、付属電子ユニットの端子部に接続される電路部と、絶縁層を厚さ方向に貫いて形成され、前記電路部と前記導体とを電気的につなぐ導体結合部とを具備しているディスク装置用フレキシャが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
特許文献3に記載のディスク装置用フレキシャでは、メタルベースをエッチングすることによりメタルベースを電路部としているため、薄型化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−108575号公報
【特許文献2】特開2012−104210号公報
【特許文献3】特開2012−119032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、メタルベースを加工する必要があるため、電路部の微細化が困難であるという不具合が生じる。
【0011】
また、メタルベースは、一般的にステンレス基板などからなり、銅配線などの導体材料よりも電気抵抗が高いという不具合が生じる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、薄型化が可能であり、微細化および導電性が良好である回路付サスペンション基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の回路付サスペンション基板は、金属支持基板からなる第1層と、絶縁性を有し、前記第1層の厚み方向一方側に設けられる第2層と、導電性を有し、前記第2層の厚み方向一方側に設けられ、銅または銅合金からなる第3層とを備え、前記第1層は、厚み方向に貫通する第1開口部を備え、前記第1開口部には、厚み方向と直交する方向に投影したときに前記第1層と重なる導体層が設けられ、前記導体層は、第1電子部品と電気的に接続するための第1電子部品接続端子を有し、銅または銅合金からなる第1導体回路を備え、前記第3層は、第2電子部品と電気的に接続するための第2電子部品接続端子を有する第2導体回路を備えることを特徴としている。
【0014】
このような回路付サスペンション基板によれば、金属支持基板の第1開口部に、厚み方向と直交する方向に投影したときに金属支持基板と重なるように、第1電子部品接続端子を有する第1導体回路が設けられている。このため、回路付サスペンション基板の薄型化を図ることができる。
【0015】
さらに、第1導体回路は、金属支持基板ではなく、銅または銅合金からなる導体層から設けられているため、導電性が良好である。また、導体層は、アディティブ法などの一般的な配線パターンの形成方法で設けるため、微細化が可能である。
【0016】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記第3層は、第3導体回路をさらに備え、前記第2層は、厚み方向に投影したときに前記第1開口部と重なるように、厚み方向に貫通する第2開口部を備え、前記第2開口部には、前記第1導体回路と前記第3導体回路とを電気的に接続する接続部が設けられていることが好適である。
【0017】
このような回路付サスペンション基板によれば、第3層が、第2導体回路および第3導体回路を備え、第1導体回路が接続部を介して第3導体回路に電気的に接続されている。このため、第1層の厚み方向一方側に、第1導体回路と電気的に接続される第3導体回路を設けることができるため、第1層の厚み方向他方側に設けられる第1導体回路の面積を低減することができる。よって、金属支持基板からなる第1層に設けられる第1開口部の面積を低減できるため、第1層の強度、ひいては、回路付サスペンション基板の強度に優れる。また、生産効率に優れる。
【0018】
本発明の回路付サスペンション基板の製造方法は、金属支持基板からなる第1層と、絶縁性を有し、前記第1層の厚み方向一方側に設けられる第2層と、前記第2層の厚み方向一方側に設けられ、銅または銅合金からなる第3層とを備える中間部材を用意する工程、前記第1層に、厚み方向に貫通する第1開口部を設ける工程、および、前記第1開口部における前記第2層の厚み方向他方側の表面に、第1電子部品と電気的に接続するための第1電子部品接続端子を有し、銅または銅合金からなる第1導体回路を設ける工程を備えることを特徴としている。
【0019】
このような回路付サスペンション基板の製造方法によれば、金属支持基板の第1開口部に、厚み方向と直交する方向に投影したときに金属支持基板と重なるように、第1電子部品接続端子を有する第1導体回路を設けることができる。
【0020】
このため、第1導体回路は、金属支持基板の厚み方向に積層されないため、回路付サスペンション基板の薄型化を図ることができる。
【0021】
さらに、第1導体回路は、金属支持基板ではなく、銅または銅合金からなる導体層から設けるため、導電性が良好である。また、導体層は、アディティブ法などの一般的な配線パターンの形成方法で設けることができるため、微細化が可能である。
【0022】
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法では、前記中間部材において、前記第3層は、第3導体回路をさらに備え、前記第2層は、厚み方向に貫通する第2開口部を備え、前記第2開口部には、前記第1導体回路と前記第3導体回路とを電気的に接続する接続部が設けられており、前記第1層に第1開口部を設ける工程は、前記第1層に、厚み方向に投影したときに前記第2開口部と重なるように、前記第1開口部を設けることが好適である。
【0023】
このような回路付サスペンション基板の製造方法によれば、第3層が、第2導体回路および第3導体回路を備え、第1導体回路が接続部を介して第3導体回路に電気的に接続されている。このため、第1層の厚み方向一方側に、第1導体回路と電気的に接続される第3導体回路を設けることができるため、第1層の厚み方向他方側に設けられる第1導体回路の面積を低減することができる。よって、金属支持基板からなる第1層に設けられる第1開口部の面積を低減できるため、第1層の強度、ひいては、回路付サスペンション基板の強度を向上することができる。また、生産効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の回路付サスペンション基板およびその製造方法によれば、回路付サスペンション基板の薄型化が可能であり、導体層の微細化および導電性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の回路付サスペンション基板の第1実施形態の平面図(ベース絶縁層を省略)を示す。
図2図2は、図1に示す回路付サスペンション基板の第1実施形態の平面図(ベース絶縁層を図示)を示す。
図3図3は、図1に示す回路付サスペンション基板の底面図を示す。
図4図3は、図1に示す回路付サスペンション基板のA−A線に沿う拡大断面図を示す。
図5図5A図5Gは、図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、図5Aは、金属支持基板を用意する工程、図5Bは、ベース絶縁層を形成する工程、図5Cは、上側導体パターンを形成する工程、図5Dは、カバー絶縁層を形成する工程、図5Eは、金属支持基板を加工する工程、図5Fは、下側導体パターンを形成する工程、図5Gは、スライダユニットを実装する工程を示す。
図6図6は、本発明の回路付サスペンション基板の第2実施形態(発光素子接続回路がベース絶縁層の下に形成されている形態)の底面図を示す。
図7図7は、図6に示す回路付サスペンション基板のB−B線に沿う拡大断面図を示す。
図8図8は、本発明の回路付サスペンション基板の第1実施形態の変形例(信号端子が端子接続部を介して両面端子となっている形態)の拡大断面図を示す。
図9図9は、本発明の回路付サスペンション基板の第1実施形態の変形例(信号端子が両面端子となっている形態)の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1において、紙面左右方向は、先後方向(第1方向)であって、紙面左側が先側(第1方向一方側)、紙面右側が後側(第1方向他方側)である。また、紙面上下方向は、左右方向(幅方向、第2方向)であって、紙面上側が左側(幅方向一方側、第2方向一方側)、紙面下側が右側(幅方向他方側、第2方向他方側)である。また、紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第3方向)であって、紙面手前側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面奥側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。なお、図1においては、ベース絶縁層7およびカバー絶縁層9を省略し、図2図3においては、カバー絶縁層9を省略している。
【0027】
<第1実施形態>
図1に示す回路付サスペンション基板1は、第2電子部品の一例としての磁気ヘッド2を搭載するスライダ3、および、第1電子部品の一例としての発光素子4を搭載するスライダユニット5を実装して、熱アシスト法を採用するハードディスクドライブ(図示せず)に搭載される。
【0028】
回路付サスペンション基板1は、図1図3に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されている。回路付サスペンション基板1では、図4に示すように、第1層としての金属支持基板6と、金属支持基板6の上に設けられる第2層の一例としてのベース絶縁層7と、ベース絶縁層7の上に設けられる第3層の一例としての上側導体パターン8と、ベース絶縁層7の下に設けられる導体層の一例としての下側導体パターン10と、接続部の一例としての導電性接続部11と、上側導体パターン8の上に設けられるカバー絶縁層9とを備えている。
【0029】
金属支持基板6は、図1に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されており、本体部13と、本体部13の先側に形成されるジンバル部14とを一体的に備えている。
【0030】
本体部13は、先後方向に延びる平面視略矩形状に形成され、先側部分において、幅方向に広がるように形成されている。本体部13は、回路付サスペンション基板1がハードディスクドライブに搭載されるときに、ハードディスクドライブのロードビーム(図示せず)に支持される。
【0031】
ジンバル部14は、本体部13がロードビームに実装されたときに、ロードビームに搭載されることなく、下面がロードビームから露出し、スライダユニット5(仮想線参照)が実装される。ジンバル部14は、本体部13の先端から連続して先側に延び、本体部13よりも幅広の平面視略矩形状に形成されている。ジンバル部14は、1対のアウトリガー部16と、配線折返部17と、搭載部18とを備えている。
【0032】
アウトリガー部16は、平面視細長矩形状をなし、本体部13の幅方向両端部から先側に向かって直線状に延びるように1対として形成されている。
【0033】
配線折返部17は、1対のアウトリガー部16の先端部間を架設するように幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0034】
搭載部18は、配線折返部17の幅方向中央の後端から後側に延びる平面視略矩形状に形成されている。搭載部18は、1対のアウトリガー部16に対して幅方向内側に間隔を隔て、かつ、本体部13の先端縁に対して先側に間隔を隔てるように配置されている。これによって、搭載部18と1対のアウトリガー部16との間、および、搭載部18と本体部13との間に、平面視において先側に向かって開放する略U字状の後側開口部15が開口されている。
【0035】
搭載部18は、スライダユニット5が実装されるスライダ実装領域であり、搭載部18は、先端部分が、スライダ接続端子搭載部19として区画され、先端部分よりも後側(すなわち、先後方向中央部分および後側部分)がスライダ搭載部20として区画されている。
【0036】
配線折返部17および搭載部18には、これらにわたって開口される第1開口部の一例としての先側開口部21が形成されている。具体的には、先側開口部21は、配線折返部17の幅方向中央後側、および、搭載部18の幅方向中央先側に形成されている。
【0037】
先側開口部21は、金属支持基板6を厚み方向に貫通するように、平面視略矩形状に形成されている。
【0038】
金属支持基板6は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウムなどの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。
【0039】
金属支持基板6の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、35μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0040】
ベース絶縁層7は、図2および図4が参照されるように、金属支持基板6の上面(厚み方向一方側の表面)に形成されている。具体的には、ベース絶縁層7は、本体部13に対応する本体部絶縁層40と、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層41とを備えている。
【0041】
本体部絶縁層40は、図2に示すように、本体部13において、上側導体パターン8(後述)が形成されるパターンに対応するように、後端部から先側に向かって延び、本体部13の先端部において、幅方向両外側斜め先方に向かって分岐する平面視略Y字状に形成されている。
【0042】
ジンバル部絶縁層41は、1対のアウトリガー部16に対応する1対のジンバル外側絶縁層42と、配線折返部17に対応するジンバル先側絶縁層43と、搭載部18に対応するジンバル内側絶縁層44とを備えている。
【0043】
1対のジンバル外側絶縁層42は、本体部絶縁層40の先端部から連続して、幅方向に間隔を隔てて先側に向かって延びるように平面視略矩形状に形成されている。
【0044】
ジンバル先側絶縁層43は、1対のジンバル外側絶縁層42の先端部間を架設するように幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。ジンバル先側絶縁層43は、その先端縁および外側端縁のそれぞれが、金属支持基板6の配線折返部17の先端縁および外側端縁のそれぞれと一致するように配置されている。また、ジンバル先側絶縁層43は、先側開口部21を幅方向に跨ぐように配置されている。すなわち、ジンバル先側絶縁層43は、配線折返部17における先側開口部21の上方を被覆するように設けられている。
【0045】
また、ジンバル先側絶縁層43には、図4に示すように、複数(2つ)の、第2開口部の一例としての連通穴45が形成されている。
【0046】
連通穴45は、厚み方向に投影したときに、先側開口部21と重なる部分において、ジンバル先側絶縁層43を厚み方向に貫通するように、平面視略円形状に形成されている。具体的には、1対の連通穴45は、先側開口部21の幅方向中央部の先側部分において、幅方向に間隔を隔てて形成されている。
【0047】
ジンバル内側絶縁層44は、図2に示すように、ジンバル先側絶縁層43の幅方向中央の後端縁から後側に延びる平面視略矩形状に形成されている。ジンバル内側絶縁層44は、その後端縁および外側端縁のそれぞれが、搭載部18の後端縁および外側端縁のそれぞれと一致するように配置されている。
【0048】
また、ジンバル内側絶縁層44の略中央部には、ベース開口部47が形成されている。具体的には、ベース開口部47は、ジンバル内側絶縁層44の幅方向中央であって、前後方向中央より先側に設けられており、ベース絶縁層7を厚み方向に貫通するように幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。ベース開口部47は、厚み方向に投影したときに、ベース開口部47の幅方向端縁および後端縁のそれぞれが、先側開口部21の幅方向端縁および後端縁のそれぞれと一致するように配置されている。また、ベース開口部47の先端縁は、厚み方向に投影したときに、先側開口部21の先後方向中央部に位置する。すなわち、ベース開口部47は、厚み方向に投影したときに、先側開口部21の後側部分と重複するように、配置されている。
【0049】
なお、ジンバル内側絶縁層44において、ベース開口部47が、発光素子挿通領域22として区画され、ベース開口部47よりも先側部分が、端子形成領域23として区画されている。
【0050】
ジンバル部絶縁層41において、ジンバル内側絶縁層44と1対のジンバル外側絶縁層42との間、および、ジンバル内側絶縁層44と本体部絶縁層40との間に、平面視において、先側に向かって開放する略V字状のジンバル開口部46が開口されている。ジンバル開口部46は、厚み方向に投影したときに、後側開口部15を含むように配置されている。
【0051】
ベース絶縁層7は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁性材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0052】
ベース絶縁層7の厚み(最大厚み)は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、35μm以下、好ましくは、33μm以下である。
【0053】
連通穴45の直径は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下である。
【0054】
上側導体パターン8は、図1図2および図4が参照されるように、ベース絶縁層7の上面に形成されている。具体的には、上側導体パターン8は、第2導体回路の一例としてのヘッド接続回路37と、第3導体回路の一例としての発光素子接続回路38とを備えている。
【0055】
ヘッド接続回路37は、図1および図2に示すように、信号端子31Aと、第2電子部品接続端子の一例としてのヘッド接続端子32と、信号配線35Aとを備えている。
【0056】
信号端子31Aは、本体部絶縁層40の後端部かつ幅方向略中央部に設けられ、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)配置されている。信号端子31Aは、外部側端子として、リード・ライト基板(図示せず)に電気的に接続される。
【0057】
ヘッド接続端子32は、ジンバル内側絶縁層44の先端部分における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、端子形成領域23に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)配置されている。
【0058】
信号配線35Aは、本体部絶縁層40において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)形成されており、信号端子31Aと、ヘッド接続端子32とに電気的に接続されている。信号配線35Aは、磁気ヘッド2(仮想線参照)、および、リード・ライト基板(図示せず)間に電気信号を伝達する。
【0059】
具体的には、信号配線35Aは、本体部絶縁層40において、信号端子31Aから先側に向かって延び、本体部絶縁層40の先端部において、本体部絶縁層40に沿って幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、幅方向両端部において先側に屈曲し、ジンバル部絶縁層41の先端部に向けて、ジンバル外側絶縁層42に沿って先側に向かって延び、図2に示すように、ジンバル先側絶縁層43において、幅方向内側に屈曲して集束状に至り、折り返されて、ヘッド接続端子32に至るように形成されている。
【0060】
発光素子接続回路38は、電源端子31Bと、上側接続端子33と、電源配線35Bとを備えている。
【0061】
電源端子31Bは、本体部絶縁層40の後端部に複数(2つ)設けられている。電源端子31Bは、複数(6つ)の信号端子31Aの幅方向両外側に互いに間隔を隔ててそれぞれ1つ配置されている。電源端子31Bは、外部側端子として、電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0062】
上側接続端子33は、ジンバル先側絶縁層43の先後方向略中央における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、先側開口部21の先端部に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。上側接続端子33は、平面視略円形状(丸ランド形状)に形成され、厚み方向に投影したときに、連通穴45を含むように配置されている。上側接続端子33の下端部は、図4に示すように、導電性接続部11(後述)の上端部と連続している。
【0063】
電源配線35Bは、図1に示すように、複数(2つ)設けられており、複数(6つ)の信号配線35Aよりも幅方向両外側において、幅方向に互いに間隔を隔ててそれぞれ1つ形成されている。具体的には、電源配線35Bは、図1に示すように、本体部絶縁層40およびジンバル外側絶縁層42において、電源端子31Bから先側に向かって、信号配線35Aに沿って延び、ジンバル先側絶縁層43において、幅方向内側に屈曲した後、後側に折り返して、上側接続端子33に至るように形成されている。
【0064】
電源配線35Bは、電源端子31Bと、上側接続端子33とに電気的に接続されている。電源配線35Bは、電源(図示せず)から発光素子4(仮想線参照)に電力を供給する。
【0065】
下側導体パターン10は、図3および図4が参照されるように、ベース絶縁層7の下面(厚み方向他方側の表面)に形成されている。下側導体パターン10は、第1導体回路25を備えている。
【0066】
第1導体回路25は、図3に示すように、厚み方向に投影したときに、先側開口部21に含まれるように設けられている。また、第1導体回路25は、厚み方向と直交する方向(面方向)に投影したときに、金属支持基板6と重なるように、設けられている。詳しくは、第1導体回路25は、面方向に投影したときに、第1導体回路25の上端が金属支持基板6の上端と一致し、第1導体回路25の下端が金属支持基板6の下端よりも上側に位置するように、配置されている。
【0067】
第1導体回路25は、第1電子部品接続端子の一例としての発光素子接続端子26と、下側接続端子27と、下側配線28とを備えている。
【0068】
発光素子接続端子26は、ジンバル内側絶縁層44の先端部分における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、端子形成領域23に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。発光素子接続端子26は、厚み方向に投影したときに、発光素子接続端子26の先端縁がヘッド接続端子32の先端縁よりも先側となるように、ベース開口部47の先端縁48からわずかに間隔を隔てて配置されている。
【0069】
下側接続端子27は、上側接続端子33と対応するように形成されている。すなわち、下側接続端子27は、ジンバル先側絶縁層43の先後方向略中央における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、先側開口部21の先端部に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。下側接続端子27は、平面視略円形状(丸ランド形状)に形成され、厚み方向に投影したときに、連通穴45および上側接続端子33と重なるように配置されている。
【0070】
下側配線28は、複数(2つ)設けられている。下側配線28は、具体的には、発光素子接続端子26から先側に向って下側接続端子27に直線状に延びるように形成されている。下側配線28は、厚み方向に投影したときに、先側開口部21において、信号配線35Aと重なるように配置されている。下側配線28は、発光素子接続端子26と、下側接続端子27とに電気的に接続されている。
【0071】
導電性接続部11は、図4が参照されるように、連通穴45の内部に形成されている。具体的には、導電性接続部11は、連通穴45を充満するように配置されている。導電性接続部11は、上側接続端子33より小径の円柱形状に形成されている。
【0072】
導電性接続部11の上端部は、上側接続端子33の下面と連続し、導電性接続部11の下端部は、下側接続端子27の上面と接触している。これにより、電源端子31Bは、電源配線35B、上側接続端子33、導電性接続部11、下側接続端子27および下側配線28を介して、発光素子接続端子26と電気的に接続される。
【0073】
上側導体パターン8、下側導体パターン10および導電性接続部11は、銅または銅合金から形成されている。銅と合金を形成する金属としては、例えば、ニッケル、金、はんだなどの導体金属が挙げられる。好ましくは、銅から形成されている。
【0074】
上側導体パターン8の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0075】
下側導体パターン10の厚みは、金属支持基板6の厚みよりも薄く、例えば、上側導体パターン8の厚みと同じである。具体的には、下側導体パターン10の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0076】
信号配線35Aおよび電源配線35Bの幅は、それぞれ、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0077】
下側配線28の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0078】
また、複数の信号配線35A間の間隔、信号配線35Aと電源配線35Bとの間隔、および、複数の下側配線28間の間隔は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0079】
また、信号端子31A、電源端子31B、ヘッド接続端子32および発光素子接続端子26の幅および長さ(先後方向長さ)は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下である。
【0080】
また、複数の信号端子31A間の間隔、信号端子31Aと電源端子31Bとの間隔、および、複数のヘッド接続端子32間の間隔は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下である。
【0081】
上側接続端子33および下側接続端子27の直径は、例えば、30μm以上、好ましくは、40μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0082】
導電性接続部11の直径は、連通穴45の直径と同様である。
【0083】
また、図示しないが、信号端子31A、電源端子31B,ヘッド接続端子32、および、発光素子接続端子26の表面には、例えば、無電解めっき、電解めっきなどのめっき、好ましくは、電解めっきによって、めっき層が設けられている。めっき層は、例えば、ニッケル、金などの金属材料から形成されている。好ましくは、金から形成されている。このめっき層の厚みは、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.05μm以上であり、例えば、8μm以下、好ましくは、4μm以下である。
【0084】
カバー絶縁層9は、図4が参照されるように、本体部13およびジンバル部14にわたって、ベース絶縁層7の上面に上側導体パターン8を被覆するように形成されている。
【0085】
カバー絶縁層9は、信号配線35Aおよび電源配線35Bを被覆し、かつ、信号端子31A、電源端子31Bおよびヘッド接続端子32の上面を露出する。具体的には、カバー絶縁層9は、信号端子31Aの上面を露出する信号端子開口部55、および、電源端子31Bの上面を露出する電源端子開口部(図示せず)が形成されている。また、搭載部18においては、カバー絶縁層9は、その後端縁が、ヘッド接続端子32が露出するように形成されている。すなわち、カバー絶縁層9の搭載部18における後端縁は、平面視において、ベース開口部47の先端縁48よりも先側に位置している。
【0086】
カバー絶縁層9は、ベース絶縁層7を形成する絶縁性材料と同一の絶縁性材料から形成されている。カバー絶縁層9の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、40μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0087】
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法およびスライダユニット5の搭載について、図5A図5Gを参照して説明する。
【0088】
回路付サスペンション基板1は、中間部材60を用意する中間部材用意工程、金属支持基板6に、先側開口部21を設ける開口工程、および、ベース絶縁層7の下面に、第1導体回路25を設ける第1導体回路配置工程により、製造される。
【0089】
中間部材用意工程では、まず、図5Aに示すように、金属支持基板6を用意する。
【0090】
次いで、図5Bに示すように、ベース絶縁層7を金属支持基板6の上面に形成する。
【0091】
具体的には、ベース絶縁層7を、図1が参照されるように、本体部絶縁層40、および、ジンバル部絶縁層41に対応するパターンとして、金属支持基板6の上に形成する。ジンバル部絶縁層41においては、ベース開口部47と、ジンバル開口部46と、連通穴45とを備えるパターンとして形成する。
【0092】
ベース開口部47、ジンバル開口部46および連通穴45が形成されるベース絶縁層7を形成するには、感光性の絶縁性材料のワニスを金属支持基板6の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。
【0093】
その後、ベース皮膜を、図示しないフォトマスクを介して露光する。フォトマスクは、遮光部分、および、光全透過部分を備えており、ベース絶縁層7を形成する部分には光全透過部分を、ベース絶縁層7を形成しない部分と、ベース開口部47、ジンバル開口部46および連通穴45を形成する部分には遮光部分を、ベース皮膜に対して、対向配置し、露光する。
【0094】
その後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させることにより、ベース開口部47、ジンバル開口部46および連通穴45を備えるベース絶縁層7を、上記したパターンで形成する。
【0095】
次いで、図5Cに示すように、上側導体パターン8を、ベース絶縁層7の上面に、アディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法、好ましくは、アディティブ法によって形成する。
【0096】
つまり、図1が参照されるように、上側導体パターン8を、ベース絶縁層7の上面に、信号端子31A、電源端子31B、ヘッド接続端子32、上側接続端子33、信号配線35A、電源配線35Bを備えるように形成する。
【0097】
なお、上側接続端子33については、まず、導電性接続部11を連通穴45内に充填し、次いで、上側接続端子33をその上に形成する。これによって、導電性接続部11と、上側接続端子33とは、一体的に形成される。
【0098】
次いで、図5Dに示すように、カバー絶縁層9を、上側導体パターン8を被覆するように、ベース絶縁層7の上面に形成する。
【0099】
具体的には、カバー絶縁層9を信号配線35Aおよび電源配線35Bを被覆し、信号端子31A、電源端子31Bおよびヘッド接続端子32の上面を露出するパターンとして、金属支持基板6の上に形成する。すなわち、カバー絶縁層9を、信号端子開口部55および電源端子開口部(図示せず)を備え、搭載部18における後端縁が、ベース開口部47の先端縁よりも先側となるパターンとして、形成する。
【0100】
カバー絶縁層9を形成するには、ベース絶縁層7の形成と同様に、感光性の絶縁性材料のワニスを塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成した後、カバー皮膜を露光し、続いて、現像して、加熱硬化することにより、上記したパターンで形成する。
【0101】
これにより、中間部材60が得られる。中間部材60は、金属支持基板6と、金属支持基板6の上に形成されるベース絶縁層7と、ベース絶縁層7の上に形成される上側導体パターン8と、上側導体パターン8の上に形成されるカバー絶縁層9と、連通穴45の内部に形成される導電性接続部11とを備えている。
【0102】
次いで、開口工程では、図5Eに示すように、中間部材60の金属支持基板6に、先側開口部21を設ける。具体的には、金属支持基板6を、例えば、エッチングなどによって、厚み方向に投影したときに連通穴45と重なるように、先側開口部21を形成する。この際、先側開口部21の形成とともに、後側開口部15の形成および外形加工も同時に実施する。
【0103】
次いで、第1導体回路配置工程では、図5Fに示すように、ベース絶縁層7の下面に、第1導体回路25を設ける。
【0104】
具体的には、第1導体回路25を、ベース絶縁層7の下面に、アディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法、好ましくは、アディティブ法によって形成する。
【0105】
つまり、図3が参照されるように、第1導体回路25を、先側開口部21内のベース絶縁層7の下面に、発光素子接続端子26、下側接続端子27および下側配線28を備えるように形成する。
【0106】
なお、このとき、下側接続端子27は、導電性接続部11の下面に接触するように形成する。これによって、導電性接続部11は、下側接続端子27と電気的に接続される。
【0107】
続いて、必要に応じて、第1導体回路配置工程の後に、電源端子31B,ヘッド接続端子32、および、発光素子接続端子26の表面に、公知のめっき処理方法を用いて、めっきを設ける。
【0108】
このようにして、回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0109】
なお、スライダユニット実装回路付サスペンション基板61を得るには、次いで、図6Gが参照されるように、回路付サスペンション基板1に、スライダユニット5を搭載する。
【0110】
スライダユニット5は、図5Gに示すように、スライダ3と、発光素子4とを備えている。
【0111】
スライダ3は、平面視略矩形箱形状に形成されている。スライダ3は、磁気ヘッド2を搭載している。
【0112】
磁気ヘッド2は、スライダ3の先端部に設けられており、図示しない磁気ディスクに対して、読み取りおよび書き込みできるように設けられている。
【0113】
磁気ヘッド2の下部の先端面には、第1端子51が形成されている。
【0114】
発光素子4は、スライダ3よりも外形の小さい平面視略矩形状に形成されている。発光素子4は、例えば、レーザダイオードを備えた熱アシスト装置であり、レーザービームによって、図示しない磁気ディスクの記録面を加熱することができるように設けられている。発光素子4は、スライダ3の先後方向中央における下面に設けられている。
【0115】
発光素子4の先端部の下側部分に、第2端子52が形成されている。
【0116】
このスライダユニット5を、発光素子4が発光素子挿通領域22に挿通されるように、回路付サスペンション基板1に対して上側から実装する。
【0117】
そうすると、スライダ3は、スライダ3の先端部の下面がジンバル内側絶縁層44の先側部分の上面に当接し、スライダ3の後側部の下面がジンバル内側絶縁層44の後側部分の上面に当接することにより、スライダ搭載部20に載置される。この際、スライダ3とジンバル内側絶縁層44との間に接着剤層(図示せず)を設けられており、これにより、スライダユニット5は、回路付サスペンション基板1に固定される。
【0118】
続いて、第1端子51とヘッド接続端子32との間、および、第2端子52と発光素子接続端子26との間に、はんだボール50を設け、その後、リフローする。
【0119】
これにより、スライダユニット5では、スライダ3の第1端子51が、リフローされたはんだボール50によりヘッド接続端子32と電気的に接続され、発光素子4の第2端子52が、リフローされたはんだボール50により発光素子接続端子26と電気的に接続される。
【0120】
そして、この回路付サスペンション基板1では、金属支持基板6の先側開口部21に、厚み方向と直交する方向に投影したときに金属支持基板6と重なるように、発光素子接続端子26、下側接続端子27および下側配線28を備える第1導体回路25が形成されている。このため、回路付サスペンション基板1の薄型化を図ることができる。
【0121】
特に、下側導体パターン10の厚みは、金属支持基板6の厚みよりも薄くなるように形成されている。このため、複数の回路付サスペンション基板1を重ねる際に、一の回路付サスペンション基板1の下側導体パターン10は、他の回路付サスペンション基板1の上面に接触しないため、下側導体パターン10の破損の発生を抑制できる。
【0122】
さらに、発光素子接続端子26、下側接続端子27および下側配線28を備える第1導体回路25は、金属支持基板ではなく、銅または銅合金から形成されているため、導電性が良好である。また、第1導体回路25は、アディティブ法などの一般的な配線パターンの形成方法で形成されるため、微細化が可能である。
【0123】
また、上側導体パターン8が、ヘッド接続回路37および発光素子接続回路38を備え、第1導体回路25が導電性接続部11を介して発光素子接続回路38に電気的に接続されている。このため、金属支持基板6の上側に、第1導体回路25と電気的に接続される発光素子接続回路38を形成することができるため、金属支持基板6の下側に形成される第1導体回路25の面積を低減することができる。よって、金属支持基板6に形成される先側開口部21の面積を低減できるため、金属支持基板6の強度、ひいては、回路付サスペンション基板1の強度に優れる。また、生産効率に優れる。
【0124】
なお、図示しないが、ベース絶縁層7の下面には、下側配線28の表面(下面および側面)を被覆するように、下側カバー絶縁層が形成されていてもよい。
【0125】
<第2実施形態>
図6および図7を参照して、第2実施形態の回路付サスペンション基板1について説明する。なお、第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
図1図4では、発光素子接続回路38が、ベース絶縁層7の上面に設けられているが、例えば、図6および図7に示すように、発光素子接続回路38を、ベース絶縁層7の下面に設けることもできる。
【0127】
第2実施形態では、金属支持基板6には、回路開口部58が形成されている。
【0128】
回路開口部58は、金属支持基板6を厚み方向に貫通するように、発光素子接続回路38に対応して複数(2つ)形成されている。
【0129】
具体的には、回路開口部58は、本体部13の後端部から先側に向って延び、本体部13の先側において、本体部13に沿って、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、幅方向両端部において先側に屈曲し、ジンバル部14において、アウトリガー部16に沿って先側に向って延び、配線折返部17において内側方向に屈曲し、先側開口部21に向って内側に延び、先側開口部21の幅方向外側の先端部に至るように形成されている。
【0130】
ベース絶縁層7には、本体部絶縁層40の後端部において、複数(2つ)の電源端子開口部56が形成されている。
【0131】
発光素子接続回路38は、ベース絶縁層7の下面に形成されている。発光素子接続回路38は、厚み方向に投影したときに、回路開口部58および先側開口部21に含まれるように配置されている。また、発光素子接続回路38は、厚み方向と直交する方向(面方向)に投影したときに、金属支持基板6と重なるように、配置されている。詳しくは、発光素子接続回路38は、面方向に投影したときに、発光素子接続回路38の上端が金属支持基板6の上端と一致し、発光素子接続回路38の下端が金属支持基板6の下端よりも上側に位置するように、配置されている。
【0132】
発光素子接続回路38は、電源端子31Bと、電源配線35Bとを備えている。
【0133】
電源端子31Bは、本体部13の本体部絶縁層40の後端部に複数(2つ)設けられている。電源端子31Bは、厚み方向に投影したときに、電源端子開口部56と重なるように配置されている。これにより、電源端子31Bの上面の一部は、露出する。
【0134】
電源配線35Bは、電源端子31Bから先側に向かって、回路開口部58に沿って延び、先側開口部21内部において、下側配線28の後端縁に至るように形成されている。
【0135】
これにより、ベース絶縁層7の下側において、電源端子31Bは、電源配線35Bおよび下側配線28を介して、発光素子接続端子26と電気的に接続される。
【0136】
なお、図示しないが、ベース絶縁層7の下面には、下側配線28および電源配線35Bの表面(下面および側面)を被覆するように、下側カバー絶縁層が形成されていてもよい。
【0137】
図6および7の実施形態も、図1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、図6および図7の実施形態では、ベース絶縁層7の下面に、発光素子接続回路38が設けられているため、配線の自由度に優れる。また、ベース絶縁層7に電源端子開口部56が形成され、電源端子31Bの上面が露出しているため、電源を上側から電気的に接続することが可能である。

【0138】
<その他の形態>
第1実施形態では、図4に示すように、信号端子31Aは、上面のみが露出し、上面のみから導通できるように形成されているが、例えば、図8に示すように、信号端子31Aは、上面および下面から導通できるように形成することもできる。
【0139】
図8の実施形態では、金属支持基板6には、下側信号端子開口部65が形成されている。
【0140】
下側信号端子開口部65は、金属支持基板6を厚み方向に貫通するように、信号端子開口部55に対応して形成されている。具体的には、下側信号端子開口部65は、信号端子開口部55と略同一形状に形成されている。
【0141】
ベース絶縁層7には、接続用貫通孔66が形成されている。接続用貫通孔66は、厚み方向に投影したときに、信号端子31Aの平面視略中央となる位置に、平面視略円形状に形成され、厚み方向にベース絶縁層7を貫通する。接続用貫通孔66は、その孔径が、信号端子31Aの一方向長さ(先後方向長さ)よりも十分小さい小貫通孔である。
【0142】
信号端子31Aは、銅または銅合金からなり、上側信号端子67と、下側信号端子68と、端子接続部69とを備えている。
【0143】
上側信号端子67は、ベース絶縁層7の上面に、平面視略矩形状に形成され、その上面が信号端子開口部55から露出されている。
【0144】
下側信号端子68は、ベース絶縁層7の下面に、平面視略矩形状に形成されている。下側信号端子68は、厚み方向に投影したときに、上側信号端子67と重なり、かつ、下側信号端子開口部65に含まれるように、配置されている。また、下側信号端子68は、面方向に投影したときに、金属支持基板6と重なるように、配置されている。詳しくは、下側信号端子68は、面方向に投影したときに、下側信号端子68の上端が金属支持基板6の上端と一致し、下側信号端子68の下端が金属支持基板6の下端よりも上側に位置するように、配置されている。
【0145】
なお、図示しないが、下側信号端子68の表面(下面および側面)には、めっき層が設けられている。
【0146】
端子接続部69は、接続用貫通孔66の内部に形成されている。端子接続部69の上端は、上側信号端子67の下面と連続し、端子接続部69の下端部は、下側信号端子68の上面と接触している。これにより、上側信号端子67は、端子接続部69を介して、下側信号端子68と電気的に接続される。
【0147】
図8の実施形態では、信号端子を両面端子とすることができる。また、上側信号端子67および下側信号端子68の層構成を備えているため、両面端子の強度が向上している。
【0148】
また、図8の実施形態では、端子接続部69を介して上側信号端子67および下側信号端子68を電気的に接続しているが、例えば、図9に示すように、上側信号端子67は、下側信号端子68と直接電気的に接続することもできる。
【0149】
図9の実施形態では、ベース絶縁層7には、端子用ベース開口部70が形成されている。
【0150】
端子用ベース開口部70は、厚み方向に投影したときに、信号端子31Aに含まれるように設けられており、信号端子31Aよりもわずかに小さい平面視略矩形状に形成されている。
【0151】
信号端子31Aは、銅または銅合金からなり、上側信号端子67と、下側信号端子68とを備えている。
【0152】
上側信号端子67は、端子用ベース開口部70の周縁部の上面に設けられる上側信号端子外側部67Aと、上側信号端子外側部67Aの内側に位置し、端子用ベース開口部70の内部に充填されている上側信号端子内側部67Bとを一体的に備えている。すなわち、上側信号端子67は、その略内側部が下側に凹むように、形成されている。上側信号端子67の下面は、面方向において、ベース絶縁層7の下面と一致する。
【0153】
下側信号端子68は、端子用ベース開口部70の周縁部の下面に設けられる下側信号端子外周部68Aと、下側信号端子外周部68Aの内側に位置し、上側信号端子内側部67Bの下面に設けられる下側信号端子内側部68Bとを一体的に備えている。
【0154】
図9の実施形態では、上側信号端子67の下面と下側信号端子68の上面とが接触している。これにより、上側信号端子67は、下側信号端子68と電気的に接続される。
【0155】
この図9の実施形態も、図8の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0156】
1 回路付サスペンション基板
2 磁気ヘッド
4 発光素子
6 金属支持基板
7 ベース絶縁層
8 上側導体パターン
10 下側導体パターン
11 導電性接続部
21 先側開口部
25 第1導体回路
26 発光素子接続端子
32 ヘッド接続端子
37 ヘッド接続回路
38 発光素子接続回路
45 連通穴
60 中間部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9